JP2004107127A - 過酸化マグネシウムの製造方法 - Google Patents

過酸化マグネシウムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させて過酸化マグネシウムを製造する方法において、マグネシウムの水酸化物または酸化物中に不純物として含有されるCaOが0.6%以下である、マグネシウムの水酸化物または酸化物を原料として用いる。
【効果】一定した品質の過酸化マグネシウムを安定して生産できる。

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、過酸化マグネシウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
過酸化マグネシウムは、過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを多量の水を介在させたスラリー系で反応させることによって得ることができるが、保存安定性が悪いことが指摘されている。
過酸化マグネシウムは、遅効型酸素発生剤、土壌改良剤としての用途が期待されるが、価格面、及び安定性等に問題があったため、今まで、その製造方法について十分な検討が行われてこなかった。
本出願人は、特公平4−2521号公報において、過酸化マグネシウムに二酸化炭素、炭酸又はその水溶性塩を作用(炭酸化)させることによって安定化を計る方法を提案しているが、過酸化マグネシウムの製造方法について、更に検討を重ねていくうちに、反応バッチ毎に反応結果(有効酸素含有率)がばらつくことが分かった。反応バッチ毎に反応結果がばらつくことは、商業規模で過酸化マグネシウムを生産する際、大きな問題になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、一定した品質の過酸化マグネシウムを安定して生産できる方法を見出すことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、原料中の特定の不純物が反応のばらつきの原因であることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させて過酸化マグネシウムを製造する方法において、マグネシウムの水酸化物または酸化物中に不純物として含有されるCaOが0.6重量%以下である、マグネシウムの水酸化物または酸化物を原料として用いる、過酸化マグネシウムの製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において、使用するマグネシウムの水酸化物または酸化物の品質チェックは、極めて重要である。マグネシウムの水酸化物または酸化物中に不純物として含有されるCaOは0.6%重量以下である必要があり、0.6重量%を超える、マグネシウムの水酸化物または酸化物を用いた場合には、13〜16%の有効酸素を持つ過酸化マグネシウムは得られない。
13〜16%の有効酸素を持つ過酸化マグネシウムを安定して得るためには、CaOの含有率が0.6重量%以下の、マグネシウムの水酸化物または酸化物を原料として用いる必要がある。CaOの含有率が0.6重量%を超える、マグネシウムの水酸化物または酸化物を用いなければならない場合は、CaOを除去、或いは低減させる処理を行ってから用いる必要がある。
【0007】
本発明で使用する過酸化水素は、工業薬品としてJIS等の規格を満足しているものであれば良い。濃度としては、35〜76重量%のものが使用出来るが、通常45〜60重量%のものを使用する。
マグネシウムの水酸化物または酸化物に対する過酸化水素のモル比は、1.0〜2.0の範囲が良く、さらには、1.2〜1.8、特には、1.4〜1.7の範囲が好ましい。
【0008】
本発明は、基本的にはマグネシウムの水酸化物または酸化物のスラリーに過酸化水素を添加して行く方法であるが、マグネシウムの水酸化物または酸化物は、過酸化水素と同時に添加することが出来る。その場合、水の使用量を少なくすることが出来るので、反応器の体積効率が上がり、また、ろ液の廃棄量を少なくすることが出来るという利点がある。
マグネシウムの水酸化物または酸化物を過酸化水素と同時に添加する場合、通常、仕込み全量のマグネシウムの水酸化物または酸化物の内、その0〜55%、好ましくは、30〜55%を最初にスラリーにしておき、そこに残りのマグネシウムの水酸化物または酸化物と、過酸化水素を同時に添加していく。仕込み時は水のみを入れておき、マグネシウムの水酸化物または酸化物と、過酸化水素を同時に添加することも可能である。
反応開始時のスラリー濃度は30〜50%の範囲が良く、さらには35〜45%の範囲が好ましい。30%以下では体積効率が悪く、また、ろ液の量が多くなり、その結果として廃液処理量が多くなる。50%以上では、スラリー化が困難である。
【0009】
本発明の反応は、固体と液体の接触によって起こる反応であり、基本的にマグネシウムの水酸化物または酸化物の水媒体スラリーと過酸化水素の反応によって起こり、系内は反応の開始から終了までスラリー系である。
【0010】
反応温度は、30〜50℃の範囲が良く、さらには35〜45℃の範囲が良い。30℃以下では反応が遅く、50℃以上では過酸化水素の分解が多く、出来上がりの過酸化マグネシウム中の有効酸素が低くなる。
【0011】
反応終了後、濾過することにより過酸化マグネシウムの湿潤ケーキを得ることができ、これを乾燥して行けば製品とすることができる。
【0012】
濾過によって湿潤ケーキを得る場合には、濾液が出てくる。この濾液は、次の反応の水媒体として使用する事が可能であり、その分廃液量を少なくする事が出来る。
【0013】
湿潤ケーキを得て乾燥し、乾燥品あるいは部分乾燥品を得るが、最終製品にする前に炭酸化して安定化することが重要である。炭酸化しない場合には、製品としての保存安定性は悪い。炭酸化する方法は、特公平4−2521号公報に記載されている。
【0014】
【実施例】
実施例1
撹拌羽根、温度計を具備した500ml容量のフラスコに、水149.9gを入れ、撹拌を開始する。水酸化マグネシウム(CaO含有率0.31%)100.0gを加えてスラリー化し、温度を上げて40℃にする。60%の過酸化水素155.4g(水酸化マグネシウムに対して1.6倍モル)を30minで添加し、その間の液温度を40℃に保つ。過酸化水素添加後、1hr40℃を保ちながら撹拌を続ける。冷却して液温度を25℃まで下げ、固形分を濾過して湿潤ケーキ(重量 約193g)を得た。これを105℃の乾燥機で6hr乾燥し、約108gの乾燥品過酸化マグネシウムを得た。1Nの過マンガン酸カリ標準液で滴定し、有効酸素を求めたところ、14.96%であった。
(上記反応においては、炭酸化処理を行っていないが、炭酸化処理を行う場合は、反応して得られた湿潤ケーキをその含水率が0.2〜20重量%になるように予備乾燥した後、二酸化炭素を過酸化マグネシウムに対して2〜20重量%吸収させ、仕上げ乾燥を行う。)
【0015】
実施例2〜5及び比較例1〜4
CaO含有率が異なる水酸化マグネシウムを使用した他は実施例1と同様にして過酸化マグネシウムを得た。得られた結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
Figure 2004107127
【0017】
実施例6
撹拌羽根、温度計を具備した500ml容量のフラスコに、水269.8gを入れ、撹拌を開始する。酸化マグネシウム(不純物としてのCaO含有率0.49%)80.64gを加えてスラリー化し、温度を上げて40℃にする。60%の過酸化水素113.3g(酸化マグネシウムに対して1.0倍モル)を10minで添加し、その間の液温度を40℃に保つ。過酸化水素添加後、45minの間40℃を保ちながら撹拌を続ける。冷却して液温度を25℃まで下げ、固形分を濾過して湿潤ケーキを得た。これを105℃の乾燥機で6hr乾燥し、約116gの乾燥品過酸化マグネシウムを得た。1Nの過マンガン酸カリ標準液で滴定し、有効酸素を求めたところ、13.7%であった。
【0018】
比較例5
CaO含有率が1.11%である酸化マグネシウムを使用した他は実施例6と同様にして過酸化マグネシウムを得た。過酸化マグネシウムの有効酸素は6.3%であった。
【0019】
【発明の効果】
本発明方法によれば、反応ロット毎の品質のバラツキがなくなり、安定した操業が可能となる。

Claims (4)

  1. 過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させて過酸化マグネシウムを製造する方法において、マグネシウムの水酸化物または酸化物中に不純物として含有されるCaOが0.6重量%以下である、マグネシウムの水酸化物または酸化物を原料として用いること、を特徴とする過酸化マグネシウムの製造方法。
  2. マグネシウムの水酸化物または酸化物に対する過酸化水素のモル比が、1.0〜2.0である請求項1の方法。
  3. マグネシウムの水酸化物または酸化物、の使用全量の内、0〜55%を仕込み時に使用し、残りは過酸化水素の添加と平行して添加する請求項1、2の方法。
  4. 過酸化水素とマグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させ、得られた過酸化マグネシウムを濾過した後、濾液の一部または全部を次ぎの反応の水媒体として使用する請求項1〜3の方法。
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