JP3524246B2 - 高塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法 - Google Patents
高塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水処理剤、サイズ
剤、医薬及び化粧品の原料等の各種用途に供しうる高塩
基度の塩基性塩化アルミニウム溶液を工業的に容易に且
つ安価に製造する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】現在、水処理剤の1つに塩基性塩化アル
ミニウム溶液がある。塩基性塩化アルミニウム溶液は多
くの企業で製造販売されているが、高塩基度で安定な塩
基性塩化アルミニウムを安価に工業的に製造する方法は
開発されていない。 【0003】塩基性塩化アルミニウム溶液の一般的な製
造方法としては、大別すると混酸法とオートクレーブ法
がある。混酸法とは、水酸化アルミニウムを塩酸と硫酸
との混酸で溶解し、その後、カルシウム化合物で硫酸イ
オンを除去して塩基性塩化アルミニウム溶液を得る方法
である。また、オートクレーブ法とは、オートクレーブ
を用いて水酸化アルミニウムを塩酸で溶解し、塩基度4
5%程度の塩基性塩化アルミニウム溶液を製造した後、
これに少量のアルカリ剤(炭酸ナトリウム、炭酸カルシ
ウム等)を加え、塩基度50%程度の塩基性塩化アルミ
ニムを得る方法である。 【0004】しかしながら、これらの方法により製造で
きる塩基性塩化アルミニウム溶液の塩基度は50%程度
であり、これ以上の塩基度を有する塩基性塩化アルミニ
ウムを製造することは技術的にも経済的にも困難であ
る。 【0005】例えば、混酸法で塩基度50%以上の高塩
基性塩化アルミニウム溶液を得るためには、塩酸量に比
べて多量の硫酸を使用し、この使用硫酸を硫酸カルシウ
ムとして除去する必要があり、反応液の濾過操作が困難
となり、また多量の副生硫酸カルシウムを処分する必要
があるため製造コストは高くなり、製品中に相当量のカ
ルシウムイオンが残存するため製品も著しく不安定とな
る。また、オートクレーブ法では、過剰の水酸化アルミ
ニウムを使用し、長時間反応させても達成できる塩基度
は高々50%程度であり、未溶解水酸化アルミニウムが
オートクレーブ中に多量に残留し、これを除去するため
の濾過操作は極めて困難となり、コスト高を招来する。 【0006】この50%程度の塩基性塩化アルミニウム
溶液にアルカリ剤を加えて、高塩基度の塩化アルミニウ
ム溶液を製造することは理論的には可能であり、またこ
のような方法も開示されている(特公昭53−4373
9号公報)が、溶液中に多量の塩類が存在し、製品も不
安定となる。また微細な水酸化アルミニウムを使用し、
反応時間と反応温度を調節し、オートクレーブを用いて
高塩基度の塩基性塩化アルミニウムを製造する方法も開
示(特公平2−4533号公報)されているが塩基度は
高々48%程度である。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み本発
明者らは経済的で、しかも安定な塩基度50%以上の高
塩基性塩化アルミニウム溶液を製造する方法について検
討を重ねた結果、本発明を完成したものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、Al2
O3濃度が7.0〜10.0%の塩化アルミニウム溶液
と平均粒子径25μm以下の水酸化アルミニウムとを加
圧下で反応させることを特徴とする塩基度50%以上の
高塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法に関するもの
である。 【0009】 【発明の実態の形態】本発明者らはオートクレーブ法が
副産物を生成しないため良い方法であると考え、種々検
討したがオートクレーブ中で塩酸と水酸化アルミニウム
を直接反応させる方法は高温、高圧で、しかも強酸を用
いるためオートクレーブの腐食が激しく、また反応制御
が極めて困難であることを確認した。常圧下で濃厚な塩
酸と大過剰のバイヤー法で得られた水酸化アルミニウム
を反応させ、塩基性塩化アルミニウム溶液を製造する方
法(特開昭52−111496号公報)が開示されてい
るが、技術開示が十分でなく本発明者らが研究した結果
では長時間反応させても塩基度は高々45%程度であ
り、54%のような高塩基度の塩基性塩化アルミニウム
溶液を得ることはできなかった。 【0010】そこで塩化アルミニウム溶液を予め用意し
ておき、これと水酸化アルミニウムをオートクレーブ中
で反応させる方法に着手した。 【0011】先ず、塩化アルミニウム溶液の濃度が水酸
化アルミニウムの溶解性即ち、塩基度に及ぼす影響につ
いて検討した結果の一例を示せば次の通りである。 【0012】水酸化アルミニウム(平均粒子径55μ
m)600gと所定濃度の塩化アルミニウム溶液150
0gを容量3Lのオートクレーブに入れ、200rpm
で攪拌した。攪拌後外部ヒーターを使用して加熱し、釜
内温度が150℃になるまで加熱した。この時の釜内圧
は3.1Kg/cm2であった。150℃到達後は所定
時間保持し、その後速やかに冷却した。得られた塩基性
塩化アルミニウムスラリーを採取・濾過・分析を行い、
表1の結果を得た。 【0013】 【表1】尚、本発明に於ける塩基度とは、組成式Al2(OH)n
Cls(SO4)k(但しn+s+2k=6 n>0 s
>0 0≦k≦0.36)で表される塩基性塩化アルミ
ニウムに於いてn/6×100の値を言う。 【0014】上表から明らかなように予め用意する塩化
アルミニウム溶液の濃度は塩基度に重要な影響を及ぼす
ことが判明した。しかも、このような方法では、塩基度
50%以上の塩基性塩化アルミニウム溶液を製造するこ
とは困難であることも判った。 【0015】そこで、次に特公平2−4533号公報開
示の技術をもとに水酸化アルミニウムの粒径が溶解性、
即ち塩基度に及ぼす影響について調査した。その一例を
示せば次の通りである。 【0016】ボールミルで粉砕し、所定粒度に調整した
水酸化アルミニウム500gとAl2O3濃度11.7%
の塩化アルミニウム溶液1250gを容量3Lのオート
クレーブに入れ200rpmで攪拌した。攪拌後外部ヒ
ーターを使用して加熱し、釜内温度が150℃になるま
で加熱した。この時の釜内圧は3.1Kg/cm2 であ
った。150℃到達後は所定時間保持し、その後速やか
に冷却した。得られた塩基性塩化アルミニウムスラリー
を採取・濾過・分析を行い、表2の結果を得た。 【0017】 【表2】上表から水酸化アルミニウムの平均粒子径が小さくなる
程、溶解速度は速くなり短時間で高塩基度に達すること
が判る。しかしながら塩基度が50%に達する以前に反
応時間の経過と共に塩基度は低下する。即ち、一旦生成
した塩基性塩化アルミニウム溶液から不溶性のアルミナ
水和物が生成するために塩基度は低下する。そこで、次
に塩化アルミニウム溶液濃度が極度に小さい場合の水酸
化アルミニウムの溶解性について検討した。その結果を
示せば次の通りである。 【0018】ボールミルで粉砕し、所定粒度に調整した
水酸化アルミニウム550gとAl2O3濃度6.0%の
塩化アルミニウム溶液1250gを容量3Lのオートク
レーブに入れ、200rpmで攪拌した。攪拌後外部ヒ
ーターを使用して加熱し、釜内温度が150℃になるま
で加熱した。この時の釜内圧は3.1Kg/cm2であ
った。150℃到達後は所定時間保持し、その後速やか
に冷却した。得られた塩基性塩化アルミニウムスラリー
を採取・濾過・分析を行い、表3の結果を得た。 【0019】 【表3】上表から明らかなように反応時間の経過と共に塩基度は
上昇するが、50%のような高塩基度の塩基性塩化アル
ミニウム溶液を製造することは極めて困難であることが
判る。 【0020】本発明者らはこれら一連の試験から塩化ア
ルミニウム溶液の濃度と水酸化アルミニウムの粒子径の
間には重要な関連性があることを発見した。即ち、塩基
度50%以上の高塩基性塩化アルミニウム溶液を得るた
めには、使用する塩化アルミニウム溶液のAl2O3濃度
は7.0〜10.0%であることまた、使用する水酸化
アルミニウムの平均粒子径は25μm以下にすることで
ある。本発明に使用する塩化アルミニウム溶液は市販品
であっても、水酸化アルミニウムと塩酸を反応して製造
したものであっても、あるいは各種工場から副生する塩
化アルミニウム溶液であっても良い。また市販の水酸化
アルミニウムには各種の粒子径のものがあるが、25μ
m以上の場合はコロイドミル、振動ボールミル、サンド
ミル等の粉砕機を用いて粉砕を行うのが効果的である。 【0021】粉砕方法は特に湿式粉砕が好ましく、特に
媒体に塩化アルミニウム溶液を使用すると更に効果的で
ある。次に本発明の高塩基性塩化アルミニウム溶液の製
造方法について詳記する。先ずオートクレーブにAl2
O3濃度7.0〜10.0%の塩化アルミニウム溶液を
投入し、次に平均粒子径25μm以下の水酸化アルミニ
ウムを投入する。塩化アルミニウム溶液に対する水酸化
アルミニウムの使用割合は、使用する塩化アルミニウム
溶液の濃度及び使用する水酸化アルミニウムの平均粒子
径によって異なるが、一般的には所望する塩基度を得る
ために必要な計算量の2〜3倍量を使用する。 【0022】更に詳しく言えば、高濃度塩化アルミニウ
ム溶液を使用する程、また平均粒子径が小さい程水酸化
アルミニウムの使用割合は少なくて良い。反応温度に関
して言えば140〜160℃が好ましい。更に高温下で
反応させれば、反応速度は早くなるが高圧に耐えるオー
トクレーブが必要であり経済的でない。上記温度で1〜
5時間反応させることにより所望する塩基度の塩基性塩
化アルミニウム溶液を製造することができる。反応終了
後はオートクレーブより、未溶解水酸化アルミニウムを
含有する塩基性塩化アルミニウムスラリーを取り出し、
フィルタープレス、ベルトプレス、遠心分離機等任意の
濾過機を使用して濾過操作を行う。 【0023】未溶解水酸化アルミニウムは塩化アルミニ
ウム溶液製造時の原料として使用しても良いし、オート
クレーブに投入する水酸化アルミニウムとして使用して
も良い。また本発明の塩基性塩化アルミニウム溶液を水
処理剤として使用する場合は塩基性塩化アルミニウム溶
液中に硫酸イオンを含有させることが望ましい。 【0024】SO4イオンを含有させる方法としては硫
酸あるいは可溶性硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム、硫酸
アルミニウム等を塩化アルミニウム溶液に加えても良い
し、オートクレーブ中に投入しても良い。あるいは製造
した塩基性塩化アルミニウム溶液に加えても良い。塩基
性塩化アルミニウム溶液に含有させるSO4イオンの量
は、SO4として1〜3.5重量%程度が良い。1重量
%以下では効果が無く、3.5重量%を上回ると溶液は
不安定となる。 【0025】 【実施例】以下に本発明の実施例を挙げてさらに説明を
行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。ま
た、%は特に断らない限り全て重量%を示す。 【0026】(実施例1)ボールミルで粉砕し、所定粒
度に調整した水酸化アルミニウム700gと所定濃度に
調整した塩化アルミニウム溶液1750gを容量3Lの
オートクレーブに入れ200rpmで攪拌した。攪拌後
外部ヒーターを使用して加熱し、釜内温度が150℃に
なるまで加熱した。150℃到達後は所定時間保持し、
その後速やかに冷却した。得られた塩基性塩化アルミニ
ウムスラリーを濾過・分析を行った。その結果を表4に
示す。 【0027】 【表4】 【0028】(実施例2)平均粒子径52μmの水酸化
アルミニウム 600gにAl2O3濃度7.3 %の塩化
アルミニウム溶液1000gを加えて、振動ボールミル
を用いて湿式粉砕を行い平均粒子径18μmの水酸化ア
ルミニウムを含む溶液を得た。これにAl2O3濃度7.
5%の塩化アルミニウム溶液500gを加え、これを実
施例1で使用したオートクレーブに入れ、200rpm
で攪拌し、145℃で6時間反応させた後、常温まで冷
却しスラリーを濾過・分析した。その結果得られた塩基
性塩化アルミニウム溶液の塩基度は53.2%であっ
た。 【0029】(実施例3)平均粒子径42μmの水酸化
アルミニウムを振動ボールミルで粉砕し平均粒子径8μ
mの水酸化アルミニウムを得た。この水酸化アルミニウ
ム600gとAl2O3濃度9.5%の塩化アルミニウム
溶液1500gを実施例1で使用したオートクレーブに
入れ200rpmで攪拌し、145℃で3時間反応させ
た後、常温まで冷却しスラリーを濾過・分析した。その
結果得られた塩基性塩化アルミニウム溶液の塩基度は5
5.3%であった。 【0030】(実施例4)平均粒子径55μmの水酸化
アルミニウムを振動ボールミルで粉砕し、平均粒子径1
5μmの水酸化アルミニウムを得た。この水酸化アルミ
ニウム600gとAl2O38%濃度の硫酸アルミニウム
溶液150gとAl2O39%濃度の塩化アルミニウム溶
液1380gをオートクレーブに入れ実施例3と同一条
件で反応させ、同様の操作を行ない、SO41.81%
含有した塩基度52.6%塩基性塩化アルミニウム溶液
を得た。 【0031】 【発明の効果】本発明方法によれば、Al2O3濃度7.
0〜10.0%の塩化アルミニウムと平均粒子径25μ
m以下の水酸化アルミニウムをオートクレーブで処理す
ることにより高塩基度の塩基性塩化アルミニウム溶液を
工業的に容易かつ安価に製造することができる。
剤、医薬及び化粧品の原料等の各種用途に供しうる高塩
基度の塩基性塩化アルミニウム溶液を工業的に容易に且
つ安価に製造する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】現在、水処理剤の1つに塩基性塩化アル
ミニウム溶液がある。塩基性塩化アルミニウム溶液は多
くの企業で製造販売されているが、高塩基度で安定な塩
基性塩化アルミニウムを安価に工業的に製造する方法は
開発されていない。 【0003】塩基性塩化アルミニウム溶液の一般的な製
造方法としては、大別すると混酸法とオートクレーブ法
がある。混酸法とは、水酸化アルミニウムを塩酸と硫酸
との混酸で溶解し、その後、カルシウム化合物で硫酸イ
オンを除去して塩基性塩化アルミニウム溶液を得る方法
である。また、オートクレーブ法とは、オートクレーブ
を用いて水酸化アルミニウムを塩酸で溶解し、塩基度4
5%程度の塩基性塩化アルミニウム溶液を製造した後、
これに少量のアルカリ剤(炭酸ナトリウム、炭酸カルシ
ウム等)を加え、塩基度50%程度の塩基性塩化アルミ
ニムを得る方法である。 【0004】しかしながら、これらの方法により製造で
きる塩基性塩化アルミニウム溶液の塩基度は50%程度
であり、これ以上の塩基度を有する塩基性塩化アルミニ
ウムを製造することは技術的にも経済的にも困難であ
る。 【0005】例えば、混酸法で塩基度50%以上の高塩
基性塩化アルミニウム溶液を得るためには、塩酸量に比
べて多量の硫酸を使用し、この使用硫酸を硫酸カルシウ
ムとして除去する必要があり、反応液の濾過操作が困難
となり、また多量の副生硫酸カルシウムを処分する必要
があるため製造コストは高くなり、製品中に相当量のカ
ルシウムイオンが残存するため製品も著しく不安定とな
る。また、オートクレーブ法では、過剰の水酸化アルミ
ニウムを使用し、長時間反応させても達成できる塩基度
は高々50%程度であり、未溶解水酸化アルミニウムが
オートクレーブ中に多量に残留し、これを除去するため
の濾過操作は極めて困難となり、コスト高を招来する。 【0006】この50%程度の塩基性塩化アルミニウム
溶液にアルカリ剤を加えて、高塩基度の塩化アルミニウ
ム溶液を製造することは理論的には可能であり、またこ
のような方法も開示されている(特公昭53−4373
9号公報)が、溶液中に多量の塩類が存在し、製品も不
安定となる。また微細な水酸化アルミニウムを使用し、
反応時間と反応温度を調節し、オートクレーブを用いて
高塩基度の塩基性塩化アルミニウムを製造する方法も開
示(特公平2−4533号公報)されているが塩基度は
高々48%程度である。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み本発
明者らは経済的で、しかも安定な塩基度50%以上の高
塩基性塩化アルミニウム溶液を製造する方法について検
討を重ねた結果、本発明を完成したものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、Al2
O3濃度が7.0〜10.0%の塩化アルミニウム溶液
と平均粒子径25μm以下の水酸化アルミニウムとを加
圧下で反応させることを特徴とする塩基度50%以上の
高塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法に関するもの
である。 【0009】 【発明の実態の形態】本発明者らはオートクレーブ法が
副産物を生成しないため良い方法であると考え、種々検
討したがオートクレーブ中で塩酸と水酸化アルミニウム
を直接反応させる方法は高温、高圧で、しかも強酸を用
いるためオートクレーブの腐食が激しく、また反応制御
が極めて困難であることを確認した。常圧下で濃厚な塩
酸と大過剰のバイヤー法で得られた水酸化アルミニウム
を反応させ、塩基性塩化アルミニウム溶液を製造する方
法(特開昭52−111496号公報)が開示されてい
るが、技術開示が十分でなく本発明者らが研究した結果
では長時間反応させても塩基度は高々45%程度であ
り、54%のような高塩基度の塩基性塩化アルミニウム
溶液を得ることはできなかった。 【0010】そこで塩化アルミニウム溶液を予め用意し
ておき、これと水酸化アルミニウムをオートクレーブ中
で反応させる方法に着手した。 【0011】先ず、塩化アルミニウム溶液の濃度が水酸
化アルミニウムの溶解性即ち、塩基度に及ぼす影響につ
いて検討した結果の一例を示せば次の通りである。 【0012】水酸化アルミニウム(平均粒子径55μ
m)600gと所定濃度の塩化アルミニウム溶液150
0gを容量3Lのオートクレーブに入れ、200rpm
で攪拌した。攪拌後外部ヒーターを使用して加熱し、釜
内温度が150℃になるまで加熱した。この時の釜内圧
は3.1Kg/cm2であった。150℃到達後は所定
時間保持し、その後速やかに冷却した。得られた塩基性
塩化アルミニウムスラリーを採取・濾過・分析を行い、
表1の結果を得た。 【0013】 【表1】尚、本発明に於ける塩基度とは、組成式Al2(OH)n
Cls(SO4)k(但しn+s+2k=6 n>0 s
>0 0≦k≦0.36)で表される塩基性塩化アルミ
ニウムに於いてn/6×100の値を言う。 【0014】上表から明らかなように予め用意する塩化
アルミニウム溶液の濃度は塩基度に重要な影響を及ぼす
ことが判明した。しかも、このような方法では、塩基度
50%以上の塩基性塩化アルミニウム溶液を製造するこ
とは困難であることも判った。 【0015】そこで、次に特公平2−4533号公報開
示の技術をもとに水酸化アルミニウムの粒径が溶解性、
即ち塩基度に及ぼす影響について調査した。その一例を
示せば次の通りである。 【0016】ボールミルで粉砕し、所定粒度に調整した
水酸化アルミニウム500gとAl2O3濃度11.7%
の塩化アルミニウム溶液1250gを容量3Lのオート
クレーブに入れ200rpmで攪拌した。攪拌後外部ヒ
ーターを使用して加熱し、釜内温度が150℃になるま
で加熱した。この時の釜内圧は3.1Kg/cm2 であ
った。150℃到達後は所定時間保持し、その後速やか
に冷却した。得られた塩基性塩化アルミニウムスラリー
を採取・濾過・分析を行い、表2の結果を得た。 【0017】 【表2】上表から水酸化アルミニウムの平均粒子径が小さくなる
程、溶解速度は速くなり短時間で高塩基度に達すること
が判る。しかしながら塩基度が50%に達する以前に反
応時間の経過と共に塩基度は低下する。即ち、一旦生成
した塩基性塩化アルミニウム溶液から不溶性のアルミナ
水和物が生成するために塩基度は低下する。そこで、次
に塩化アルミニウム溶液濃度が極度に小さい場合の水酸
化アルミニウムの溶解性について検討した。その結果を
示せば次の通りである。 【0018】ボールミルで粉砕し、所定粒度に調整した
水酸化アルミニウム550gとAl2O3濃度6.0%の
塩化アルミニウム溶液1250gを容量3Lのオートク
レーブに入れ、200rpmで攪拌した。攪拌後外部ヒ
ーターを使用して加熱し、釜内温度が150℃になるま
で加熱した。この時の釜内圧は3.1Kg/cm2であ
った。150℃到達後は所定時間保持し、その後速やか
に冷却した。得られた塩基性塩化アルミニウムスラリー
を採取・濾過・分析を行い、表3の結果を得た。 【0019】 【表3】上表から明らかなように反応時間の経過と共に塩基度は
上昇するが、50%のような高塩基度の塩基性塩化アル
ミニウム溶液を製造することは極めて困難であることが
判る。 【0020】本発明者らはこれら一連の試験から塩化ア
ルミニウム溶液の濃度と水酸化アルミニウムの粒子径の
間には重要な関連性があることを発見した。即ち、塩基
度50%以上の高塩基性塩化アルミニウム溶液を得るた
めには、使用する塩化アルミニウム溶液のAl2O3濃度
は7.0〜10.0%であることまた、使用する水酸化
アルミニウムの平均粒子径は25μm以下にすることで
ある。本発明に使用する塩化アルミニウム溶液は市販品
であっても、水酸化アルミニウムと塩酸を反応して製造
したものであっても、あるいは各種工場から副生する塩
化アルミニウム溶液であっても良い。また市販の水酸化
アルミニウムには各種の粒子径のものがあるが、25μ
m以上の場合はコロイドミル、振動ボールミル、サンド
ミル等の粉砕機を用いて粉砕を行うのが効果的である。 【0021】粉砕方法は特に湿式粉砕が好ましく、特に
媒体に塩化アルミニウム溶液を使用すると更に効果的で
ある。次に本発明の高塩基性塩化アルミニウム溶液の製
造方法について詳記する。先ずオートクレーブにAl2
O3濃度7.0〜10.0%の塩化アルミニウム溶液を
投入し、次に平均粒子径25μm以下の水酸化アルミニ
ウムを投入する。塩化アルミニウム溶液に対する水酸化
アルミニウムの使用割合は、使用する塩化アルミニウム
溶液の濃度及び使用する水酸化アルミニウムの平均粒子
径によって異なるが、一般的には所望する塩基度を得る
ために必要な計算量の2〜3倍量を使用する。 【0022】更に詳しく言えば、高濃度塩化アルミニウ
ム溶液を使用する程、また平均粒子径が小さい程水酸化
アルミニウムの使用割合は少なくて良い。反応温度に関
して言えば140〜160℃が好ましい。更に高温下で
反応させれば、反応速度は早くなるが高圧に耐えるオー
トクレーブが必要であり経済的でない。上記温度で1〜
5時間反応させることにより所望する塩基度の塩基性塩
化アルミニウム溶液を製造することができる。反応終了
後はオートクレーブより、未溶解水酸化アルミニウムを
含有する塩基性塩化アルミニウムスラリーを取り出し、
フィルタープレス、ベルトプレス、遠心分離機等任意の
濾過機を使用して濾過操作を行う。 【0023】未溶解水酸化アルミニウムは塩化アルミニ
ウム溶液製造時の原料として使用しても良いし、オート
クレーブに投入する水酸化アルミニウムとして使用して
も良い。また本発明の塩基性塩化アルミニウム溶液を水
処理剤として使用する場合は塩基性塩化アルミニウム溶
液中に硫酸イオンを含有させることが望ましい。 【0024】SO4イオンを含有させる方法としては硫
酸あるいは可溶性硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム、硫酸
アルミニウム等を塩化アルミニウム溶液に加えても良い
し、オートクレーブ中に投入しても良い。あるいは製造
した塩基性塩化アルミニウム溶液に加えても良い。塩基
性塩化アルミニウム溶液に含有させるSO4イオンの量
は、SO4として1〜3.5重量%程度が良い。1重量
%以下では効果が無く、3.5重量%を上回ると溶液は
不安定となる。 【0025】 【実施例】以下に本発明の実施例を挙げてさらに説明を
行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。ま
た、%は特に断らない限り全て重量%を示す。 【0026】(実施例1)ボールミルで粉砕し、所定粒
度に調整した水酸化アルミニウム700gと所定濃度に
調整した塩化アルミニウム溶液1750gを容量3Lの
オートクレーブに入れ200rpmで攪拌した。攪拌後
外部ヒーターを使用して加熱し、釜内温度が150℃に
なるまで加熱した。150℃到達後は所定時間保持し、
その後速やかに冷却した。得られた塩基性塩化アルミニ
ウムスラリーを濾過・分析を行った。その結果を表4に
示す。 【0027】 【表4】 【0028】(実施例2)平均粒子径52μmの水酸化
アルミニウム 600gにAl2O3濃度7.3 %の塩化
アルミニウム溶液1000gを加えて、振動ボールミル
を用いて湿式粉砕を行い平均粒子径18μmの水酸化ア
ルミニウムを含む溶液を得た。これにAl2O3濃度7.
5%の塩化アルミニウム溶液500gを加え、これを実
施例1で使用したオートクレーブに入れ、200rpm
で攪拌し、145℃で6時間反応させた後、常温まで冷
却しスラリーを濾過・分析した。その結果得られた塩基
性塩化アルミニウム溶液の塩基度は53.2%であっ
た。 【0029】(実施例3)平均粒子径42μmの水酸化
アルミニウムを振動ボールミルで粉砕し平均粒子径8μ
mの水酸化アルミニウムを得た。この水酸化アルミニウ
ム600gとAl2O3濃度9.5%の塩化アルミニウム
溶液1500gを実施例1で使用したオートクレーブに
入れ200rpmで攪拌し、145℃で3時間反応させ
た後、常温まで冷却しスラリーを濾過・分析した。その
結果得られた塩基性塩化アルミニウム溶液の塩基度は5
5.3%であった。 【0030】(実施例4)平均粒子径55μmの水酸化
アルミニウムを振動ボールミルで粉砕し、平均粒子径1
5μmの水酸化アルミニウムを得た。この水酸化アルミ
ニウム600gとAl2O38%濃度の硫酸アルミニウム
溶液150gとAl2O39%濃度の塩化アルミニウム溶
液1380gをオートクレーブに入れ実施例3と同一条
件で反応させ、同様の操作を行ない、SO41.81%
含有した塩基度52.6%塩基性塩化アルミニウム溶液
を得た。 【0031】 【発明の効果】本発明方法によれば、Al2O3濃度7.
0〜10.0%の塩化アルミニウムと平均粒子径25μ
m以下の水酸化アルミニウムをオートクレーブで処理す
ることにより高塩基度の塩基性塩化アルミニウム溶液を
工業的に容易かつ安価に製造することができる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 Al2O3濃度7.0〜10.0%の塩
化アルミニウム溶液と平均粒子径25μm以下の水酸化
アルミニウムとを加圧下で反応させることを特徴とする
塩基度50%以上の高塩基性塩化アルミニウム溶液の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32618595A JP3524246B2 (ja) | 1995-11-15 | 1995-11-15 | 高塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32618595A JP3524246B2 (ja) | 1995-11-15 | 1995-11-15 | 高塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09142837A JPH09142837A (ja) | 1997-06-03 |
JP3524246B2 true JP3524246B2 (ja) | 2004-05-10 |
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ID=18184989
Family Applications (1)
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JP32618595A Expired - Fee Related JP3524246B2 (ja) | 1995-11-15 | 1995-11-15 | 高塩基性塩化アルミニウム溶液の製造方法 |
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FR2864064B1 (fr) * | 2003-12-22 | 2006-03-03 | Arkema | Procede de production de solutions de polychlorures et polychlorosulfates d'aluminium de haute basicite, a forte concentration en alumine et stables, et solutions obtenues |
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-
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- 1995-11-15 JP JP32618595A patent/JP3524246B2/ja not_active Expired - Fee Related
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