JP2004106984A - エレベータ用トラクションシーブ - Google Patents
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Abstract
【課題】小径化に伴う摩擦力の低下を抑えて、規定のトラクション比を得ることのできるエレベータ用トラクションシーブを提供する。
【解決手段】トラクションシーブ15の外周部15aの少なくともロープとの接触部である溝15bに高摩擦材15cとしてウレタン樹脂を被覆することにより、摩擦係数を高めることができ、小径化による摩擦力の低下を抑えて規定のトラクション比を得ることができる。また、適度な表面硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を用いれば、耐摩耗性が向上して十分な製品寿命を期待できる。また、ウレタン樹脂の中に適度な粒径のシリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのいずれかを適量充填することにより、さらに耐摩耗性を向上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】トラクションシーブ15の外周部15aの少なくともロープとの接触部である溝15bに高摩擦材15cとしてウレタン樹脂を被覆することにより、摩擦係数を高めることができ、小径化による摩擦力の低下を抑えて規定のトラクション比を得ることができる。また、適度な表面硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を用いれば、耐摩耗性が向上して十分な製品寿命を期待できる。また、ウレタン樹脂の中に適度な粒径のシリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのいずれかを適量充填することにより、さらに耐摩耗性を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロープを介して乗りかごをつるべ式に昇降させるトラクション方式のエレベータに用いられるトラクションシーブに関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータは、乗りかごが建物の昇降路内を昇降することで、乗客を任意の階床へ運ぶ機械である。各階への移動の指令は、かご内の行き先ボタンを押すことで行われ、その指令に従って屋上階の機械室に設置された巻き上げ機が駆動される。この巻き上げ機の駆動に伴い、その回転軸に取り付けられたトラクションシーブが回転することにより、そのトラクションシーブに巻き掛けられたロープを介して乗りかごが昇降する。この場合、ロープの一端にはカウンタウェイトと呼ばれる釣合重りが設けられており、この釣合重りと乗りかごとがロープを介してトラクションシーブを間に挟んで、つるべ式に互いに上下反対方向に昇降することになる。
【0003】
なお、一般にはトラクションシーブに架設されるロープの乗りかご側と釣合重り側とではロープの張力が異なる。張力が異なっていても、各階で静止できるのは、トラクションシーブとロープに発生する摩擦力によるものである。
【0004】
ところで、トラクション方式のエレベータにおいて、乗りかごをつるべ式に昇降させるためには、建物の最上部に巻き上げ機を設置しておく必要があり、通常、建物の屋上に機械室を設けて、そこに巻き上げ機を設置している。この場合、巻き上げ機を小型化すると、それに伴い機械室の占有面積を小さくするができるので、省スペース及び建設コストの削減が図られる。また、現地での工期短縮のため、巻き上げ機のモータやフレーム等を工場出荷時に組み立てておき、現地ではクレーンで屋上のエレベータ機械室に吊り上げて据え付るようにしている。したがって、巻き上げ機が小形であればあるほど、クレーンの容量として小型のものですみ、据え付けが容易となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、エレベータの巻き上げ機を小型化すると、機械室の省スペース化が図られ、また、建築費の削減、クレーン等の建設基材の小型化が図られる。しかしながら、巻き上げ機を小型化するためには、モータの小型化と共にロープを巻き掛けるトラクションシーブの小径化が重要となる。モータについては小型でも従来の数倍の回転数を発生させ、かつ、ロープを駆動できるモーメントを有するモータが開発されている。一方、トラクションシーブについては、通常、鉄製のものが使用されている。このトラクションシーブを小径化した場合、ロープとの接触面積が狭くなるため、その分、摩擦力が足りなくなり、トラクション比(ロープの片端に単位荷重を載せた場合に、ロープがトラクションシーブを滑らずに、もう片方に乗せられる最大荷重の比)が低くなる。このため、シーブとロープとの接触が不安定となり、エレベータ乗降中に乗りかごが下にずれるといったような現象が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、小径化に伴う摩擦力の低下を抑えて、規定のトラクション比を得ることのできるエレベータ用トラクションシーブを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
トラクションシーブを小径化するためには、トラクション比の仕様を満足することが必要条件であり、そのためにはロープとの間の摩擦係数をより高くする必要がある。そこで、本発明では、トラクションシーブの外周部の少なくともロープとの接触部に高摩擦材としてウレタン樹脂を被覆(コーティング)することを特徴とする。
【0008】
このように、トラクションシーブの外周部のロープとの接触部分にウレタン樹脂を被覆することで摩擦係数を高くすることができ、トラクションシーブの小径化によりロープとの接触面積が少なくなった場合でも十分な摩擦力を得ることができる。これにより、規定のトラクション比を満足して、乗りかごの安定した昇降動作を実現できる。
【0009】
上記ウレタン樹脂としては、具体的にはJISで規定されたスケールAによる硬さ試験で硬度が90〜99あるいはスケールDによる硬さ試験で硬度が35〜70である熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂が用いられる。このように、適度な表面硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を用いることで耐摩耗性が向上し、十分な製品寿命を期待することができる。
【0010】
また、このようなウレタン樹脂の中に適度な粒径のシリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのいずれかを適量充填することにより、さらに耐摩耗性を向上させることができる。
【0011】
シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子は、ウレタン樹脂に比べて硬く耐摩耗性を向上させる優れた充填材であり、極少量の充填では特性が発現されず、5重量部以下の充填では無充填と同等の耐摩耗性であり、30重量部以上充填すると粘度が高くなり製造性が悪くなる。チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーについては、硬い材料ではないがウレタン樹脂と馴染み、耐摩耗性を向上させる。これについても、極少量の充填では特性が発現されず、5重量部以下の充填では無充填と同等の耐摩耗性であり、30重量部以上充填すると粘度が高くなり製造性が悪くなる。したがって、シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーの充填量は、ウレタン樹脂100重量部に対して5〜30重量部の割合が好ましい。
【0012】
また、シリカ粉末、黒鉛または炭素粉末、窒化ホウ素粉末の粉末粒径については、5ミクロンメータ以下の細かい粒子では、形成前の樹脂粘度が高くなり成形が困難となる。また、30ミクロンメータ以上の粉末粒子を混入させるとウレタン樹脂の機械強度低下を起こすため、30ミクロンメータ以下の粒子を使用することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係るトラクション方式のエレベータの概略構成を示す図である。図中の10はビルなどの建物の中に設けられた昇降路、11は屋上など昇降路10の最上部に設置された機械室を示している。機械室11には、巻き上げ機12、調速機(ガバナ)13、階床選択機14などが設けられている。
【0015】
巻き上げ機12のモータ軸にはトラクションシーブ(綱車)15が取り付けられており、巻き上げ機12の駆動により、このトラクションシーブ15が回転し、そこに巻き掛けられたロープ16を介して乗りかご17とカウンタウェイト(釣合重り)18とがつるべ式に昇降路10内を互いに反対方向に昇降するようになっている。なお、19はそらせ車であり、トラクションシーブ15と対にして用いられる。図1の例ではロープ16がトラクションシーブ15とそらせ車19に二重巻き(ダブルラップ)された構成になっているが、ロープ16の掛け方については特に限定されるものではない。
【0016】
また、20および21は昇降路10のピット部に設置された緩衝器(バッファ)であり、20は乗りかご用の緩衝器、21はカウンタウェイト用の緩衝器を示している。
【0017】
乗りかご17は、図せぬホール呼びボタンやかご呼びボタンの操作による呼び情報に応答して建物の最下階22と最上階23との間を規定の速度で移動する。また、各階床には昇降路10に対向させてホールドア24がそれぞれ設けられており、これらのホールドア24は乗りかご17の着床に伴いかご側のドア25と共に開閉する。
【0018】
このような構成において、トラクションシーブ15に巻き掛けられるロープ16には重量物であるエレベータの乗りかご17が取り付けられており、乗りかご17が昇降する度にロープ16がトラクションシーブ溝に当たるため、過酷な使用に耐えなければならない。また、ロープ16の一端には乗りかご17、他端にはカウンタウェイト18が結ばれていて、その間のロープ16が掛けられたトラクションシーブ15では、乗りかご17内の乗客の重量とカウンタウェイト18の重量との差による滑りにも耐えられるだけの高い摩擦力をロープ16との間に発生させなければならない。
【0019】
通常、トラクションシーブ15は鉄で形成され、また、ロープ16との間で十分な摩擦力を発生することができるような径を有している。ところが、機械室11の省スペース化などの要求により、トラクションシーブ15の径を小さくした場合にロープ16との接触面積が狭くなり、十分な摩擦力を発生できなくなる。このような問題を解消するため、トラクションシーブ15に対して以下のような工夫を施すものである。
【0020】
図2はトラクションシーブ15の構成を示す図であり、図2(a)はトラクションシーブ15の正面図、同図(b)はトラクションシーブ15の側部断面図である。トラクションシーブ15の外周部15aには、複数本(ここでは4本)の溝15bが形成されており、この溝15bにロープ16が巻き掛けられるようになっている。
【0021】
ここで、トラクションシーブ15の外周部15aの少なくともロープ16との接触部である溝15bの表面部分に、特定の高摩擦材15cを被覆(コーティング)しておく。上記高摩擦材15cとは、具体的にはウレタン樹脂である。このようなウレタン樹脂をシーブ外周部15aの溝15bの表面部分にコーティングしておくことで、通常鉄製で形成されるトラクションシーブ15を小径化した場合でも、ロープ16との間に十分な摩擦力を得ることができ、トラクション比を仕様値まで高めることができる。
【0022】
また、上記ウレタン樹脂としては、エレベータの使用環境に応じて、適度な表面硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を使用する。具体的には、JISで規定された硬さ試験のスケールAによる硬度が90〜99あるいはスケールDによる硬度が35〜70である硬度熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂のいずれかを使用する。このように、適度な表面硬度硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を用いることで、摩擦力だけでなく、耐久性も確保することができ、ロープ16との接触によるトラクションシーブ15の摩耗を抑えてメンテナンスの頻度を少なくすることができる。
【0023】
また、上記ウレタン樹脂は、元々、耐摩耗性の高い樹脂であり、上述したように適度な表面硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を使用すれば十分な製品寿命を期待できるが、さらに、その中にシリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのいずれかの材料を充填することで、耐摩耗性をさらに高めることができる。
【0024】
シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子は、ウレタン樹脂に比べて硬く耐摩耗性を向上させる優れた充填材である。このような充填材を用いる場合において、極少量の充填では特性が発現されず、例えばウレタン樹脂100重量部に対して、5重量部以下の充填では無充填と同等の耐摩耗性であり、一方、30重量部以上充填すると粘度が高くなり製造性が悪くなる。チタン酸カリウム繊維、チタン酸カリウムウィスカーについては、硬い材料ではないがウレタン樹脂と馴染んで耐摩耗性を向上させる特性を有する。これについても、極少量の充填では特性が発現されず、例えばウレタン樹脂100重量部に対して、5重量部以下の充填では無充填と同等の耐摩耗性であり、一方、30重量部以上充填すると粘度が高くなり製造性が悪くなる。
【0025】
このようなことから、シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーを充填する場合には、ウレタン樹脂100重量部に対して5〜30重量部の割合で充填することが好ましい。
【0026】
また、シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子といった粉末材に関しては、その粒径が5ミクロンメータ以下の細かい粒子では、形成前の樹脂粘度が高くなり成形が困難となり、一方、30ミクロンメータ以上の粉末粒子を混入させるとウレタン樹脂の機械強度低下を起こす。したがって、5〜30ミクロンメータの粒径粒子を使用することが好ましい。
【0027】
なお、シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのうち、少なくとも2種類以上を5〜30重量部混合し、粉末材に関してはその粒径が5〜30ミクロンメータとすることでも良く、このようにした場合でも上記同様に耐摩耗性を高めることができる。
【0028】
また、ウレタン樹脂にどの種類の粉末をどの程度充填するかについては、エレベータ機械室内環境等を考慮して決めるものとする。
【0029】
ここで、図3を参照してトラクションシーブ15の外周部15aに上述したウレタン樹脂をコーティングした場合におけるトラクション比と耐摩耗性の試験結果について述べる。トラクション比とは、トラクションシーブに掛けられたロープが滑らないでいられる両端の重量比のことであり、この値が高いほど、トラクションシーブとしての性能(摩擦力)が高いことを意味する。
【0030】
(試験1)
図3はトラクション比を測定するための装置であり、図中の31はロープ16の一端に付けられる重り(A)、32はロープ16の他端に付けられる重り(B)、33は軸、34はロープである。
【0031】
今、JISのAスケールによる硬さ試験(JISのKによる7312の7硬さ試験)で硬度96の熱硬化性ウレタン樹脂を1mmの厚さで外周部15aに被覆したトラクションシーブ15を被試験体として用い、図3に示すようなトラクション比測定装置の軸33に回転しないように取り付ける。そして、このトラクションシーブ15の外周部15aにロープ34を巻き掛け、ロープ34の一方端に重り(A)31を吊し、他方端に重り(A)31の1.5倍の重量を有する重り(B)32を吊るして、ロープ34の滑り状態を検査したところ、ロープ34が滑らなかったことが確認された。これに対し、ウレタン樹脂を被覆していない通常のトラクションシーブについても上記同様の試験を行ったところ、ロープ34が重り(A)31よりも重量のある重い重り(B)32側へ滑ることが確認された。
【0032】
また、ロープ34の両端にそれぞれ重り(A)31と重り(B)32を吊るした状態で、重り(B)32が落ちない方向(図3では反時計回り)に軸33を回転させ、トラクションシーブ15の外周部15aに施されたウレタン樹脂の耐摩耗性を試験した。トラクションシーブ15が1000回転した後にその摩耗量を測定したところ、測定誤差内の若干の摩耗量が検出されただけであり、耐摩耗性が高いことが確認された。
【0033】
また、スケールAによる硬度96の前後の熱硬化性ウレタン樹脂を用いて上記同様の試験を試みた結果、90〜99の範囲で同様結果が得られることが判明した。また、熱硬化性ウレタン樹脂に代えて、同様の硬度90〜99を有する熱可塑性ウレタン樹脂を用いた場合でも同じ結果が得られた。
【0034】
なお、スケールAによる硬さ試験では90〜99の硬度が最適なものであるが、スケールDによる硬さ試験では35〜70の硬度が最適なものとなる。スケールAとスケールDとでは硬さの試験方法が異なり、その硬度の表示レベルも違うが、その試験対象となるウレタン樹脂としての硬質は同じである。
【0035】
このように、JISで規定されたスケールAによる硬さ試験で硬度が90〜99あるいはスケールDによる硬さ試験で硬度が35〜70である熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂をトラクションシーブ15の外周部15aにコーティングしておくことで摩擦係数を上げることができ、所定のトラクション比を確保して、ロープずれを抑えて安定したエレベータの運転を行うことができると共に、トラクションシーブ15の耐摩耗性を確保してメンテナンス頻度を削減することができる。
【0036】
(試験2)
トラクションシーブ15の外周部15aにコーティングするウレタン樹脂100の中に、ウレタン樹脂100重量部に対して、平均粒子径15ミクロンメータのシリカ粉末の粒子を「2重量部、5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、35重量部」といった割合でそれぞれ充填して上記試験1と同様の試験を行った。なお、「ウレタン樹脂100重量部に対してシリカ粉末をx重量部の割合」とは、重量比として例えばウレタン樹脂100gに対して、シリカ粉末をxgの割合で入れることを意味する。
【0037】
その結果、トラクション性能及び耐摩耗性は、シリカ粉末を2重量部の割合で充填したものはウレタン樹脂のみのシーブの場合と変わりなかった。これに対し、シリカ粉末を5重量部、10重量部、20重量部、30重量部といった割合でそれぞれに充填したシーブでは耐摩耗性の向上が見られ、トラクション性能(つまりトラクション比)は上記試験1と同様の結果が得られた。また、シリカ粉末を35重量部充填したものについては、シリカ粉末を被覆する時にボイドが多数残ってしまい、製造性が低下するといった問題があった。
【0038】
以上のような点から、ウレタン樹脂100重量部に対して、シリカ粉末を5〜30重量部の割合で充填することが好もしいものとされる。また、シリカ粉末の粒径のサイズについては、粒径が5ミクロンメータ以下の細かい粒子では、形成前の樹脂粘度が高くなり成形が困難となり、一方、30ミクロンメータ以上の粉末粒子を混入させるとウレタン樹脂の機械強度低下を起こすため、15ミクロンメータの前後、具体的には5〜30ミクロンメータの粒径粒子を使用することが好ましい。
【0039】
(試験3)
トラクションシーブ15の外周部15aにコーティングするウレタン樹脂100の中に、ウレタン樹脂100重量部に対して、平均粒子径15ミクロンメータの黒鉛粉末の粒子を「2重量部、5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、35重量部」といった割合でそれぞれ充填して上記試験1と同様の試験を行った。
【0040】
その結果、トラクション性能及び耐摩耗性は、黒鉛粉末を2重量部の割合で充填したものはウレタン樹脂のみのシーブの場合と変わりなかった。これに対して、黒鉛粉末を5重量部、10重量部、20重量部、30重量部といった割合でそれぞれに充填したシーブでは、3000回転試験を行ってもシーブ外周部にほとんど摩耗が見られず、耐摩耗性として十分な結果が得られた。トラクション性能については上記試験1と同様の結果が得られた。また、黒鉛粉末を35重量部充填したものについては、粘度が高くなり、黒鉛粉末を被覆する時にボイドが多数残ってしまい、製造性が低下するといった問題があった。
【0041】
なお、黒鉛粉末を同様の性質を有する炭素粉末に代えて試験した場合でも上記同様の結果が得られる。
【0042】
以上のような点から、ウレタン樹脂100重量部に対して、黒鉛粉末粒子または炭素粉末を5〜30重量部充填することが好もしいものとされる。また、その粒径のサイズについては、上記シリカ粉末と同様に15ミクロンメータ前後、具体的には5〜30ミクロンメータが好ましい。
【0043】
(試験4)
トラクションシーブ15の外周部15aにコーティングするウレタン樹脂100の中に、ウレタン樹脂100重量部に対して、平均粒子径15ミクロンメータの窒化ホウ素粉末の粒子を「2重量部、5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、35重量部」といった割合でそれぞれ充填して上記試験1と同様の試験を行った。
【0044】
その結果、トラクション性能及び耐摩耗性は、窒化ホウ素粉を2重量部の割合で充填したものはウレタン樹脂のみのシーブの場合と変わりなかった。これに対して、窒化ホウ素粉を5重量部、10重量部、20重量部、30重量部といった割合でそれぞれに充填したシーブでは、2000回転試験を行ってもシーブ外周部にほとんど摩耗が見られず、耐摩耗性として十分な結果が得られた。トラクション性能については上記試験1と同様の結果が得られた。また、窒化ホウ素粉を35重量部充填したものについては、同様の試験を試みた結果、混合時に増粘し、餅状になり被覆できなかった。
【0045】
以上のような点から、ウレタン樹脂100重量部に対して、窒化ホウ素粉を5〜30重量部充填することが好ましいものとされる。また、その粒径のサイズについては、上記シリカ粉末と同様に15ミクロンメータ前後、具体的には5〜30ミクロンメータが好ましい。
【0046】
(試験5)
トラクションシーブ15の外周部15aにコーティングするウレタン樹脂100の中に、ウレタン樹脂100重量部に対して、チタン酸カリウム繊維を「2重量部、5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、35重量部」といった割合でそれぞれ充填して上記試験1と同様の試験を行った。
【0047】
その結果、トラクション性能及び耐摩耗性は、チタン酸カリウム繊維を2重量部の割合で充填したものはウレタン樹脂のみのシーブの場合と変わりなかった。これに対して、チタン酸カリウム繊維を5重量部、10重量部、20重量部、30重量部といった割合でそれぞれに充填したシーブでは、2000回転試験を行ってもシーブ外周部にほとんど摩耗が見られず、耐摩耗性として十分な結果が得られた。トラクション性能については上記試験1と同様の結果が得られた。また、チタン酸カリウム繊維を35重量部充填したものについては、やや粘度が高くなり、被覆する時にボイドが多数残り、製造性が低下するといった問題があった。
【0048】
なお、チタン酸カリウム繊維を同様の性質を有するチタン酸カリウムウィスカーに代えて試験した場合でも上記同様の結果が得られる。
【0049】
以上のような点から、ウレタン樹脂100重量部に対して、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーを5〜30重量部充填することが好もしいものとされる。
【0050】
(試験6)
トラクションシーブ15の外周部15aにコーティングするウレタン樹脂100の中に、ウレタン樹脂100重量部に対して、平均粒子径15ミクロンメータのシリカ粉末を5重量部、黒鉛粉末(または炭素粉末)を5重量部、窒化ホウ素粉末を5重量部の割合で混合して充填することにより上記試験1と同様の試験を行った。その結果、トラクション性能及び耐摩耗性は、ウレタン樹脂のみのシーブよりも優れていた。
【0051】
なお、上記混合材にチタン酸カリウム繊維(またはチタン酸カリウムウィスカー)を5重量部の割合で加えても良い。また、これらの混合材の割合は上述したように5〜30重量部が好ましく、粒子サイズについては5〜30ミクロンメータが好ましい。
【0052】
また、シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーの他にも、耐摩耗性を高めることのできる材料があれば、その材料をウレタン樹脂に充填することで上記同様の効果が得られるものである。
【0053】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、トラクションシーブの外周部の少なくともロープとの接触部に高摩擦材としてウレタン樹脂を被覆(コーティング)するようにしたため、ロープとの間の摩擦係数を高くすることができ、トラクションシーブの小径化によりロープとの接触面積が少なくなった場合でも十分な摩擦力を得ることができる。これにより、規定のトラクション比を満足して、乗りかごの安定した昇降動作を実現することができる。
【0054】
また、上記ウレタン樹脂としては、適度な表面硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を用いることで耐摩耗性が向上し、十分な製品寿命を期待することができる。
【0055】
また、上記ウレタン樹脂の中に適度な粒径のシリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのいずれかを適量充填することにより、さらに耐摩耗性を向上させることができ、トラクションシーブの製品寿命の延長化を図ることができると共に、メンテナンス頻度を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るトラクション方式のエレベータの概略構成を示す図。
【図2】上記エレベータに用いられるトラクションシーブの構成を示す図であり、図2(a)はトラクションシーブの正面図、同図(b)はトラクションシーブの側部断面図。
【図3】本発明によるトラクションシーブのトラクション比及び耐摩耗性について説明するための図。
【符号の説明】
10…昇降路
11…機械室
12…巻き上げ機
13…調速機
14…階床選択機
15…トラクションシーブ
15a…外周部
15b…溝
15c…高摩擦材
16…ロープ
17…乗りかご
18…カウンタウェイト
19…そらせ車
20,21…緩衝器
22…最下階
23…最上階
24…ホールドア
25…かごドア
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロープを介して乗りかごをつるべ式に昇降させるトラクション方式のエレベータに用いられるトラクションシーブに関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータは、乗りかごが建物の昇降路内を昇降することで、乗客を任意の階床へ運ぶ機械である。各階への移動の指令は、かご内の行き先ボタンを押すことで行われ、その指令に従って屋上階の機械室に設置された巻き上げ機が駆動される。この巻き上げ機の駆動に伴い、その回転軸に取り付けられたトラクションシーブが回転することにより、そのトラクションシーブに巻き掛けられたロープを介して乗りかごが昇降する。この場合、ロープの一端にはカウンタウェイトと呼ばれる釣合重りが設けられており、この釣合重りと乗りかごとがロープを介してトラクションシーブを間に挟んで、つるべ式に互いに上下反対方向に昇降することになる。
【0003】
なお、一般にはトラクションシーブに架設されるロープの乗りかご側と釣合重り側とではロープの張力が異なる。張力が異なっていても、各階で静止できるのは、トラクションシーブとロープに発生する摩擦力によるものである。
【0004】
ところで、トラクション方式のエレベータにおいて、乗りかごをつるべ式に昇降させるためには、建物の最上部に巻き上げ機を設置しておく必要があり、通常、建物の屋上に機械室を設けて、そこに巻き上げ機を設置している。この場合、巻き上げ機を小型化すると、それに伴い機械室の占有面積を小さくするができるので、省スペース及び建設コストの削減が図られる。また、現地での工期短縮のため、巻き上げ機のモータやフレーム等を工場出荷時に組み立てておき、現地ではクレーンで屋上のエレベータ機械室に吊り上げて据え付るようにしている。したがって、巻き上げ機が小形であればあるほど、クレーンの容量として小型のものですみ、据え付けが容易となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、エレベータの巻き上げ機を小型化すると、機械室の省スペース化が図られ、また、建築費の削減、クレーン等の建設基材の小型化が図られる。しかしながら、巻き上げ機を小型化するためには、モータの小型化と共にロープを巻き掛けるトラクションシーブの小径化が重要となる。モータについては小型でも従来の数倍の回転数を発生させ、かつ、ロープを駆動できるモーメントを有するモータが開発されている。一方、トラクションシーブについては、通常、鉄製のものが使用されている。このトラクションシーブを小径化した場合、ロープとの接触面積が狭くなるため、その分、摩擦力が足りなくなり、トラクション比(ロープの片端に単位荷重を載せた場合に、ロープがトラクションシーブを滑らずに、もう片方に乗せられる最大荷重の比)が低くなる。このため、シーブとロープとの接触が不安定となり、エレベータ乗降中に乗りかごが下にずれるといったような現象が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、小径化に伴う摩擦力の低下を抑えて、規定のトラクション比を得ることのできるエレベータ用トラクションシーブを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
トラクションシーブを小径化するためには、トラクション比の仕様を満足することが必要条件であり、そのためにはロープとの間の摩擦係数をより高くする必要がある。そこで、本発明では、トラクションシーブの外周部の少なくともロープとの接触部に高摩擦材としてウレタン樹脂を被覆(コーティング)することを特徴とする。
【0008】
このように、トラクションシーブの外周部のロープとの接触部分にウレタン樹脂を被覆することで摩擦係数を高くすることができ、トラクションシーブの小径化によりロープとの接触面積が少なくなった場合でも十分な摩擦力を得ることができる。これにより、規定のトラクション比を満足して、乗りかごの安定した昇降動作を実現できる。
【0009】
上記ウレタン樹脂としては、具体的にはJISで規定されたスケールAによる硬さ試験で硬度が90〜99あるいはスケールDによる硬さ試験で硬度が35〜70である熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂が用いられる。このように、適度な表面硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を用いることで耐摩耗性が向上し、十分な製品寿命を期待することができる。
【0010】
また、このようなウレタン樹脂の中に適度な粒径のシリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのいずれかを適量充填することにより、さらに耐摩耗性を向上させることができる。
【0011】
シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子は、ウレタン樹脂に比べて硬く耐摩耗性を向上させる優れた充填材であり、極少量の充填では特性が発現されず、5重量部以下の充填では無充填と同等の耐摩耗性であり、30重量部以上充填すると粘度が高くなり製造性が悪くなる。チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーについては、硬い材料ではないがウレタン樹脂と馴染み、耐摩耗性を向上させる。これについても、極少量の充填では特性が発現されず、5重量部以下の充填では無充填と同等の耐摩耗性であり、30重量部以上充填すると粘度が高くなり製造性が悪くなる。したがって、シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーの充填量は、ウレタン樹脂100重量部に対して5〜30重量部の割合が好ましい。
【0012】
また、シリカ粉末、黒鉛または炭素粉末、窒化ホウ素粉末の粉末粒径については、5ミクロンメータ以下の細かい粒子では、形成前の樹脂粘度が高くなり成形が困難となる。また、30ミクロンメータ以上の粉末粒子を混入させるとウレタン樹脂の機械強度低下を起こすため、30ミクロンメータ以下の粒子を使用することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係るトラクション方式のエレベータの概略構成を示す図である。図中の10はビルなどの建物の中に設けられた昇降路、11は屋上など昇降路10の最上部に設置された機械室を示している。機械室11には、巻き上げ機12、調速機(ガバナ)13、階床選択機14などが設けられている。
【0015】
巻き上げ機12のモータ軸にはトラクションシーブ(綱車)15が取り付けられており、巻き上げ機12の駆動により、このトラクションシーブ15が回転し、そこに巻き掛けられたロープ16を介して乗りかご17とカウンタウェイト(釣合重り)18とがつるべ式に昇降路10内を互いに反対方向に昇降するようになっている。なお、19はそらせ車であり、トラクションシーブ15と対にして用いられる。図1の例ではロープ16がトラクションシーブ15とそらせ車19に二重巻き(ダブルラップ)された構成になっているが、ロープ16の掛け方については特に限定されるものではない。
【0016】
また、20および21は昇降路10のピット部に設置された緩衝器(バッファ)であり、20は乗りかご用の緩衝器、21はカウンタウェイト用の緩衝器を示している。
【0017】
乗りかご17は、図せぬホール呼びボタンやかご呼びボタンの操作による呼び情報に応答して建物の最下階22と最上階23との間を規定の速度で移動する。また、各階床には昇降路10に対向させてホールドア24がそれぞれ設けられており、これらのホールドア24は乗りかご17の着床に伴いかご側のドア25と共に開閉する。
【0018】
このような構成において、トラクションシーブ15に巻き掛けられるロープ16には重量物であるエレベータの乗りかご17が取り付けられており、乗りかご17が昇降する度にロープ16がトラクションシーブ溝に当たるため、過酷な使用に耐えなければならない。また、ロープ16の一端には乗りかご17、他端にはカウンタウェイト18が結ばれていて、その間のロープ16が掛けられたトラクションシーブ15では、乗りかご17内の乗客の重量とカウンタウェイト18の重量との差による滑りにも耐えられるだけの高い摩擦力をロープ16との間に発生させなければならない。
【0019】
通常、トラクションシーブ15は鉄で形成され、また、ロープ16との間で十分な摩擦力を発生することができるような径を有している。ところが、機械室11の省スペース化などの要求により、トラクションシーブ15の径を小さくした場合にロープ16との接触面積が狭くなり、十分な摩擦力を発生できなくなる。このような問題を解消するため、トラクションシーブ15に対して以下のような工夫を施すものである。
【0020】
図2はトラクションシーブ15の構成を示す図であり、図2(a)はトラクションシーブ15の正面図、同図(b)はトラクションシーブ15の側部断面図である。トラクションシーブ15の外周部15aには、複数本(ここでは4本)の溝15bが形成されており、この溝15bにロープ16が巻き掛けられるようになっている。
【0021】
ここで、トラクションシーブ15の外周部15aの少なくともロープ16との接触部である溝15bの表面部分に、特定の高摩擦材15cを被覆(コーティング)しておく。上記高摩擦材15cとは、具体的にはウレタン樹脂である。このようなウレタン樹脂をシーブ外周部15aの溝15bの表面部分にコーティングしておくことで、通常鉄製で形成されるトラクションシーブ15を小径化した場合でも、ロープ16との間に十分な摩擦力を得ることができ、トラクション比を仕様値まで高めることができる。
【0022】
また、上記ウレタン樹脂としては、エレベータの使用環境に応じて、適度な表面硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を使用する。具体的には、JISで規定された硬さ試験のスケールAによる硬度が90〜99あるいはスケールDによる硬度が35〜70である硬度熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂のいずれかを使用する。このように、適度な表面硬度硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を用いることで、摩擦力だけでなく、耐久性も確保することができ、ロープ16との接触によるトラクションシーブ15の摩耗を抑えてメンテナンスの頻度を少なくすることができる。
【0023】
また、上記ウレタン樹脂は、元々、耐摩耗性の高い樹脂であり、上述したように適度な表面硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を使用すれば十分な製品寿命を期待できるが、さらに、その中にシリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのいずれかの材料を充填することで、耐摩耗性をさらに高めることができる。
【0024】
シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子は、ウレタン樹脂に比べて硬く耐摩耗性を向上させる優れた充填材である。このような充填材を用いる場合において、極少量の充填では特性が発現されず、例えばウレタン樹脂100重量部に対して、5重量部以下の充填では無充填と同等の耐摩耗性であり、一方、30重量部以上充填すると粘度が高くなり製造性が悪くなる。チタン酸カリウム繊維、チタン酸カリウムウィスカーについては、硬い材料ではないがウレタン樹脂と馴染んで耐摩耗性を向上させる特性を有する。これについても、極少量の充填では特性が発現されず、例えばウレタン樹脂100重量部に対して、5重量部以下の充填では無充填と同等の耐摩耗性であり、一方、30重量部以上充填すると粘度が高くなり製造性が悪くなる。
【0025】
このようなことから、シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーを充填する場合には、ウレタン樹脂100重量部に対して5〜30重量部の割合で充填することが好ましい。
【0026】
また、シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子といった粉末材に関しては、その粒径が5ミクロンメータ以下の細かい粒子では、形成前の樹脂粘度が高くなり成形が困難となり、一方、30ミクロンメータ以上の粉末粒子を混入させるとウレタン樹脂の機械強度低下を起こす。したがって、5〜30ミクロンメータの粒径粒子を使用することが好ましい。
【0027】
なお、シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのうち、少なくとも2種類以上を5〜30重量部混合し、粉末材に関してはその粒径が5〜30ミクロンメータとすることでも良く、このようにした場合でも上記同様に耐摩耗性を高めることができる。
【0028】
また、ウレタン樹脂にどの種類の粉末をどの程度充填するかについては、エレベータ機械室内環境等を考慮して決めるものとする。
【0029】
ここで、図3を参照してトラクションシーブ15の外周部15aに上述したウレタン樹脂をコーティングした場合におけるトラクション比と耐摩耗性の試験結果について述べる。トラクション比とは、トラクションシーブに掛けられたロープが滑らないでいられる両端の重量比のことであり、この値が高いほど、トラクションシーブとしての性能(摩擦力)が高いことを意味する。
【0030】
(試験1)
図3はトラクション比を測定するための装置であり、図中の31はロープ16の一端に付けられる重り(A)、32はロープ16の他端に付けられる重り(B)、33は軸、34はロープである。
【0031】
今、JISのAスケールによる硬さ試験(JISのKによる7312の7硬さ試験)で硬度96の熱硬化性ウレタン樹脂を1mmの厚さで外周部15aに被覆したトラクションシーブ15を被試験体として用い、図3に示すようなトラクション比測定装置の軸33に回転しないように取り付ける。そして、このトラクションシーブ15の外周部15aにロープ34を巻き掛け、ロープ34の一方端に重り(A)31を吊し、他方端に重り(A)31の1.5倍の重量を有する重り(B)32を吊るして、ロープ34の滑り状態を検査したところ、ロープ34が滑らなかったことが確認された。これに対し、ウレタン樹脂を被覆していない通常のトラクションシーブについても上記同様の試験を行ったところ、ロープ34が重り(A)31よりも重量のある重い重り(B)32側へ滑ることが確認された。
【0032】
また、ロープ34の両端にそれぞれ重り(A)31と重り(B)32を吊るした状態で、重り(B)32が落ちない方向(図3では反時計回り)に軸33を回転させ、トラクションシーブ15の外周部15aに施されたウレタン樹脂の耐摩耗性を試験した。トラクションシーブ15が1000回転した後にその摩耗量を測定したところ、測定誤差内の若干の摩耗量が検出されただけであり、耐摩耗性が高いことが確認された。
【0033】
また、スケールAによる硬度96の前後の熱硬化性ウレタン樹脂を用いて上記同様の試験を試みた結果、90〜99の範囲で同様結果が得られることが判明した。また、熱硬化性ウレタン樹脂に代えて、同様の硬度90〜99を有する熱可塑性ウレタン樹脂を用いた場合でも同じ結果が得られた。
【0034】
なお、スケールAによる硬さ試験では90〜99の硬度が最適なものであるが、スケールDによる硬さ試験では35〜70の硬度が最適なものとなる。スケールAとスケールDとでは硬さの試験方法が異なり、その硬度の表示レベルも違うが、その試験対象となるウレタン樹脂としての硬質は同じである。
【0035】
このように、JISで規定されたスケールAによる硬さ試験で硬度が90〜99あるいはスケールDによる硬さ試験で硬度が35〜70である熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂をトラクションシーブ15の外周部15aにコーティングしておくことで摩擦係数を上げることができ、所定のトラクション比を確保して、ロープずれを抑えて安定したエレベータの運転を行うことができると共に、トラクションシーブ15の耐摩耗性を確保してメンテナンス頻度を削減することができる。
【0036】
(試験2)
トラクションシーブ15の外周部15aにコーティングするウレタン樹脂100の中に、ウレタン樹脂100重量部に対して、平均粒子径15ミクロンメータのシリカ粉末の粒子を「2重量部、5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、35重量部」といった割合でそれぞれ充填して上記試験1と同様の試験を行った。なお、「ウレタン樹脂100重量部に対してシリカ粉末をx重量部の割合」とは、重量比として例えばウレタン樹脂100gに対して、シリカ粉末をxgの割合で入れることを意味する。
【0037】
その結果、トラクション性能及び耐摩耗性は、シリカ粉末を2重量部の割合で充填したものはウレタン樹脂のみのシーブの場合と変わりなかった。これに対し、シリカ粉末を5重量部、10重量部、20重量部、30重量部といった割合でそれぞれに充填したシーブでは耐摩耗性の向上が見られ、トラクション性能(つまりトラクション比)は上記試験1と同様の結果が得られた。また、シリカ粉末を35重量部充填したものについては、シリカ粉末を被覆する時にボイドが多数残ってしまい、製造性が低下するといった問題があった。
【0038】
以上のような点から、ウレタン樹脂100重量部に対して、シリカ粉末を5〜30重量部の割合で充填することが好もしいものとされる。また、シリカ粉末の粒径のサイズについては、粒径が5ミクロンメータ以下の細かい粒子では、形成前の樹脂粘度が高くなり成形が困難となり、一方、30ミクロンメータ以上の粉末粒子を混入させるとウレタン樹脂の機械強度低下を起こすため、15ミクロンメータの前後、具体的には5〜30ミクロンメータの粒径粒子を使用することが好ましい。
【0039】
(試験3)
トラクションシーブ15の外周部15aにコーティングするウレタン樹脂100の中に、ウレタン樹脂100重量部に対して、平均粒子径15ミクロンメータの黒鉛粉末の粒子を「2重量部、5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、35重量部」といった割合でそれぞれ充填して上記試験1と同様の試験を行った。
【0040】
その結果、トラクション性能及び耐摩耗性は、黒鉛粉末を2重量部の割合で充填したものはウレタン樹脂のみのシーブの場合と変わりなかった。これに対して、黒鉛粉末を5重量部、10重量部、20重量部、30重量部といった割合でそれぞれに充填したシーブでは、3000回転試験を行ってもシーブ外周部にほとんど摩耗が見られず、耐摩耗性として十分な結果が得られた。トラクション性能については上記試験1と同様の結果が得られた。また、黒鉛粉末を35重量部充填したものについては、粘度が高くなり、黒鉛粉末を被覆する時にボイドが多数残ってしまい、製造性が低下するといった問題があった。
【0041】
なお、黒鉛粉末を同様の性質を有する炭素粉末に代えて試験した場合でも上記同様の結果が得られる。
【0042】
以上のような点から、ウレタン樹脂100重量部に対して、黒鉛粉末粒子または炭素粉末を5〜30重量部充填することが好もしいものとされる。また、その粒径のサイズについては、上記シリカ粉末と同様に15ミクロンメータ前後、具体的には5〜30ミクロンメータが好ましい。
【0043】
(試験4)
トラクションシーブ15の外周部15aにコーティングするウレタン樹脂100の中に、ウレタン樹脂100重量部に対して、平均粒子径15ミクロンメータの窒化ホウ素粉末の粒子を「2重量部、5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、35重量部」といった割合でそれぞれ充填して上記試験1と同様の試験を行った。
【0044】
その結果、トラクション性能及び耐摩耗性は、窒化ホウ素粉を2重量部の割合で充填したものはウレタン樹脂のみのシーブの場合と変わりなかった。これに対して、窒化ホウ素粉を5重量部、10重量部、20重量部、30重量部といった割合でそれぞれに充填したシーブでは、2000回転試験を行ってもシーブ外周部にほとんど摩耗が見られず、耐摩耗性として十分な結果が得られた。トラクション性能については上記試験1と同様の結果が得られた。また、窒化ホウ素粉を35重量部充填したものについては、同様の試験を試みた結果、混合時に増粘し、餅状になり被覆できなかった。
【0045】
以上のような点から、ウレタン樹脂100重量部に対して、窒化ホウ素粉を5〜30重量部充填することが好ましいものとされる。また、その粒径のサイズについては、上記シリカ粉末と同様に15ミクロンメータ前後、具体的には5〜30ミクロンメータが好ましい。
【0046】
(試験5)
トラクションシーブ15の外周部15aにコーティングするウレタン樹脂100の中に、ウレタン樹脂100重量部に対して、チタン酸カリウム繊維を「2重量部、5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、35重量部」といった割合でそれぞれ充填して上記試験1と同様の試験を行った。
【0047】
その結果、トラクション性能及び耐摩耗性は、チタン酸カリウム繊維を2重量部の割合で充填したものはウレタン樹脂のみのシーブの場合と変わりなかった。これに対して、チタン酸カリウム繊維を5重量部、10重量部、20重量部、30重量部といった割合でそれぞれに充填したシーブでは、2000回転試験を行ってもシーブ外周部にほとんど摩耗が見られず、耐摩耗性として十分な結果が得られた。トラクション性能については上記試験1と同様の結果が得られた。また、チタン酸カリウム繊維を35重量部充填したものについては、やや粘度が高くなり、被覆する時にボイドが多数残り、製造性が低下するといった問題があった。
【0048】
なお、チタン酸カリウム繊維を同様の性質を有するチタン酸カリウムウィスカーに代えて試験した場合でも上記同様の結果が得られる。
【0049】
以上のような点から、ウレタン樹脂100重量部に対して、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーを5〜30重量部充填することが好もしいものとされる。
【0050】
(試験6)
トラクションシーブ15の外周部15aにコーティングするウレタン樹脂100の中に、ウレタン樹脂100重量部に対して、平均粒子径15ミクロンメータのシリカ粉末を5重量部、黒鉛粉末(または炭素粉末)を5重量部、窒化ホウ素粉末を5重量部の割合で混合して充填することにより上記試験1と同様の試験を行った。その結果、トラクション性能及び耐摩耗性は、ウレタン樹脂のみのシーブよりも優れていた。
【0051】
なお、上記混合材にチタン酸カリウム繊維(またはチタン酸カリウムウィスカー)を5重量部の割合で加えても良い。また、これらの混合材の割合は上述したように5〜30重量部が好ましく、粒子サイズについては5〜30ミクロンメータが好ましい。
【0052】
また、シリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーの他にも、耐摩耗性を高めることのできる材料があれば、その材料をウレタン樹脂に充填することで上記同様の効果が得られるものである。
【0053】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、トラクションシーブの外周部の少なくともロープとの接触部に高摩擦材としてウレタン樹脂を被覆(コーティング)するようにしたため、ロープとの間の摩擦係数を高くすることができ、トラクションシーブの小径化によりロープとの接触面積が少なくなった場合でも十分な摩擦力を得ることができる。これにより、規定のトラクション比を満足して、乗りかごの安定した昇降動作を実現することができる。
【0054】
また、上記ウレタン樹脂としては、適度な表面硬度を持つ熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂を用いることで耐摩耗性が向上し、十分な製品寿命を期待することができる。
【0055】
また、上記ウレタン樹脂の中に適度な粒径のシリカ粉末粒子、黒鉛または炭素粉末粒子、窒化ホウ素粉末粒子、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのいずれかを適量充填することにより、さらに耐摩耗性を向上させることができ、トラクションシーブの製品寿命の延長化を図ることができると共に、メンテナンス頻度を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るトラクション方式のエレベータの概略構成を示す図。
【図2】上記エレベータに用いられるトラクションシーブの構成を示す図であり、図2(a)はトラクションシーブの正面図、同図(b)はトラクションシーブの側部断面図。
【図3】本発明によるトラクションシーブのトラクション比及び耐摩耗性について説明するための図。
【符号の説明】
10…昇降路
11…機械室
12…巻き上げ機
13…調速機
14…階床選択機
15…トラクションシーブ
15a…外周部
15b…溝
15c…高摩擦材
16…ロープ
17…乗りかご
18…カウンタウェイト
19…そらせ車
20,21…緩衝器
22…最下階
23…最上階
24…ホールドア
25…かごドア
Claims (10)
- 乗りかごと釣合重りとをつるべ式に昇降させるロープの巻き上げ機に設置されるエレベータ用トラクションシーブにおいて、
上記ロープが巻き掛けられる外周部の少なくとも上記ロープとの接触部に、高摩擦材としてウレタン樹脂が被覆されていることを特徴とするエレベータ用トラクションシーブ。 - 乗りかごと釣合重りとをつるべ式に昇降させるロープの巻き上げ機に設置されるエレベータ用トラクションシーブにおいて、
上記ロープが巻き掛けられる外周部の少なくとも上記ロープとの接触部に、JISで規定されたスケールAによる硬さ試験で硬度が90〜99あるいはスケールDによる硬さ試験で硬度が35〜70である熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂が被覆されていることを特徴とするエレベータ用トラクションシーブ。 - 乗りかごと釣合重りとをつるべ式に昇降させるロープの巻き上げ機に設置されるエレベータ用トラクションシーブにおいて、
上記ロープが巻き掛けられる外周部の少なくとも上記ロープとの接触部に、高摩擦材としてウレタン樹脂が被覆されており、そのウレタン樹脂に耐摩耗性を高める特定の材料が充填されていることを特徴とするエレベータ用トラクションシーブ。 - 上記ウレタン樹脂は、JISで規定されたスケールAによる硬さ試験で硬度が90〜99あるいはスケールDによる硬さ試験で硬度が35〜70である熱硬化性ウレタン樹脂または熱可塑性ウレタン樹脂であることを特徴とする請求項3記載のエレベータ用トラクションシーブ。
- 上記耐摩耗性を高める特定の材料とは、シリカ粉末、黒鉛または炭素粉末、窒化ホウ素粉末、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのいずれかであることを特徴とする請求項3記載のエレベータ用トラクションシーブ。
- ウレタン樹脂100重量部に対して、シリカ粉末が5〜30重量部の割合で充填されており、そのシリカ粉末の粒径が5〜30ミクロンメータであることを特徴とする請求項3記載のエレベータ用トラクションシーブ。
- ウレタン樹脂100重量部に対して、黒鉛または炭素粉末が5〜30重量部の割合で充填されており、その黒鉛または炭素粉末の粒径が5〜30ミクロンメータであることを特徴とする請求項3記載のエレベータ用トラクションシーブ。
- ウレタン樹脂100重量部に対して、窒化ホウ素粉末が5〜30重量部の割合で充填されており、その窒化ホウ素粉末の粒径が5〜30ミクロンメータであることを特徴とする請求項3記載のエレベータ用トラクションシーブ。
- ウレタン樹脂100重量部に対して、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーが5〜30重量部の割合で充填されていることを特徴とする請求項3記載のエレベータ用トラクションシーブ。
- ウレタン樹脂100重量部に対して、シリカ粉末、黒鉛または炭素粉末、窒化ホウ素粉末、チタン酸カリウム繊維またはチタン酸カリウムウィスカーのうちの少なくとも2種類以上が5〜30重量部の割合で混合され、粉末材に関してはその粒径が5〜30ミクロンメータであることを特徴とする請求項3記載のエレベータ用トラクションシーブ。
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