JP2004106398A - タイヤ製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インナーライナーからの水分がブレーカーに悪影響を及ぼすことがなく、ブラダーレス加硫によって加硫時間を大幅に短縮することができ、かつ、インナージョイントの問題のないタイヤ製造方法を提供する。
【解決手段】(A)インナーライナー用の未加硫のゴム組成物に、揮発性を有し、かつ該ゴム組成物を溶解する溶剤を付与してインナーライナー用ゴム組成物液を得る工程、(B)該ゴム組成物液をタイヤ成型ドラムの外周面に塗布する工程、(C)該成型ドラムを加熱することにより、前記ゴム組成物液に含まれる前記溶剤を揮発させ未加硫のインナーライナーを形成し、かつ該インナーライナーを加硫しグリーンカバーとする工程および(D)該グリーンカバーをタイヤのインナーライナーに用いる工程からなるタイヤ製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)インナーライナー用の未加硫のゴム組成物に、揮発性を有し、かつ該ゴム組成物を溶解する溶剤を付与してインナーライナー用ゴム組成物液を得る工程、(B)該ゴム組成物液をタイヤ成型ドラムの外周面に塗布する工程、(C)該成型ドラムを加熱することにより、前記ゴム組成物液に含まれる前記溶剤を揮発させ未加硫のインナーライナーを形成し、かつ該インナーライナーを加硫しグリーンカバーとする工程および(D)該グリーンカバーをタイヤのインナーライナーに用いる工程からなるタイヤ製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、加硫時間を短縮し得るタイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ製造工程における加硫工程は、未加硫ゴムを加硫ゴムに変えるという意味で、性能面、品質面から重要な工程である。この加硫工程の加硫時間を短くすることは、生産性向上、省エネ(環境に優しい)という面から推進されるべきである。
【0003】
現在、タイヤ加硫時には、タイヤ内側にブラダーを使用して加硫している。そこで、加硫時間を短くするためには、ブラダー側からの熱周りを向上させる必要があるので、▲1▼ブラダーゲージを薄くする、▲2▼ブラダーゴムそのものの熱伝導性を向上させるなどの手法が用いられてきた。しかし、ブラダーそのものをなくすことができれば、熱周りは▲1▼、▲2▼の手法よりもさらに向上し、加硫時間が短縮できる。
【0004】
一般に、ブラダーはタイヤ内側からの熱媒体(通常スチーム、チッ素ガス)が直接タイヤ内部に接しないようにする目的で使用される。現状でブラダーをなくした状態で加硫すると、インナーライナー部分がブラダーの代わりとなる。しかし、未加硫のインナーライナーゴムでは水分が透過し、スチールブレーカーなどに悪影響を与えるので好ましくない。あらかじめ別の方法で加硫したインナーライナーを用いると、成型時の密着不良が生じる、加硫接着が不足するなどの理由から好ましくない。また、現在の方法では成型時にインナーライナージョイントが発生し、ブラダーを使用しない加硫方法では加硫後もインナーライナージョイントが残り、外観上好ましくない。
【0005】
そこで、ブラダーを使用せずに加硫しても、インナーライナー部分から水分を透過させない方法としては、たとえばインナーライナーの内面に樹脂フィルムを粘着させたり(たとえば、特許文献1参照)、インナーライナーゴムの内面側に円筒状薄膜シートを備えさせたりするものがある(たとえば、特許文献2参照)。しかし、インナーライナーの内面に樹脂フィルムを粘着させる方法では、その処理に多くの工程を要するため、生産性や経済性において不利である。また、インナーライナーゴムの内面側に円筒状薄膜シートを備える方法では、タイヤのサイズに応じた円筒状のシートが必要となるため、汎用性および経済性において不利である。
【0006】
そのほか、ブラダーを使用せずに加硫しても、インナーライナー部分から水分を透過させない方法として、ポリマーを媒質とした水系のエマルションを塗布するものもある(たとえば、特許文献3参照)。しかし、この方法では、水系のエマルションを使用するため、乾燥に時間がかかり、また、溶質としての材料に制限をうけるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−260135号公報
【特許文献2】
特開2001−269945号公報
【特許文献3】
特開2002−67037号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インナーライナーからの水分がブレーカーに悪影響を及ぼすことがなく、ブラダーレス加硫によって加硫時間を大幅に短縮することができ、かつ、インナージョイントの問題のないタイヤ製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)インナーライナー用の未加硫のゴム組成物に、揮発性を有し、かつ該ゴム組成物を溶解する溶剤を付与してインナーライナー用ゴム組成物液を得る工程、(B)該ゴム組成物液をタイヤ成型ドラムの外周面に塗布する工程、(C)該成型ドラムを加熱することにより、前記ゴム組成物液に含まれる前記溶剤を揮発させ未加硫のインナーライナーを形成し、かつ該インナーライナーを加硫しグリーンカバーとする工程および(D)該グリーンカバーをタイヤのインナーライナーに用いる工程からなるタイヤ製造方法に関する。
【0010】
また、前記タイヤ製造方法は、前記グリーンカバーをブラダーなしで加硫させることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のタイヤ製造方法では、まず、インナーライナー用未加硫ゴム組成物を有機溶媒に溶かし、そのゴム組成物液をタイヤ成型ドラムに塗布し、乾燥させる。その際、成形ドラムを加熱し、有機溶媒の除去促進、およびインナーライナーを加硫させる。これによって、インナージョイントのない、(インナーライナーが加硫された)ブラダーレス加硫に適したグリーンカバーが得られる。このグリーンカバーをブラダーレス加硫で加硫しても、インナージョイントの問題がなく、インナーライナーがあらかじめ加硫されているので、水分がブレーカーに到達するおそれもない。
【0012】
前記インナーライナー用ゴム組成物は、ゴム成分として、たとえば、天然ゴム、ブロモブチルゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴムなどを含むことができる。なかでも、ブロモブチルゴムまたはブチルゴムが、空気透過性が低く優れていることから好ましい。
【0013】
また、前記インナーライナー用ゴム組成物は、充填材としてカーボンブラック、シリカなどを含むことができる。
【0014】
カーボンブラックを配合する場合、その配合量はゴム成分100重量部に対して、40〜80重量部が好ましい。カーボンブラックの配合量が40重量部未満では補強性に劣る傾向があり、80重量部をこえると加工性に劣る傾向がある。
【0015】
前記インナーライナー用ゴム組成物は、ゴム成分、充填材のほかにも、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤、ステアリン酸、亜鉛華などを含むことができる。
【0016】
前記有機溶媒としては、揮発性を有し、ゴム組成物を溶解することのできるものであれば、とくに制限はなく、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの有機溶剤が使用できる。なかでも、ゴム組成物に対する溶解性が優れている点からトルエンが好ましい。
【0017】
前記インナーライナー用ゴム組成物を前記有機溶媒に溶解させて得られるゴム組成物液の濃度としては、10〜60重量%、とくには40〜50重量%が好ましい。10重量%未満では、有機溶剤の占める割合が高くなり、乾燥に時間を要する。60重量%をこえると、ゴム組成物液に固形分が混ざったり、インナーライナーの表面に気泡ができやすい。
【0018】
ゴム組成物液をタイヤ成型ドラムに塗布する方法としては、スプレーを用いて均一なゲージになるように塗布する方法などが用いられる。
【0019】
つぎに、成型ドラムの加熱方法としては、ドラム内に電熱ヒータまたはスチームを入れ、加熱する方法が用いられる。これによって、ドラム上での加硫が可能となる。また、ゴム組成物液に含まれる有機溶媒が揮発し、除去される。
【0020】
成型ドラムの加熱温度は、100〜160℃が好ましい。加熱温度が100℃未満では有機溶剤が乾燥しにくい傾向があり、160℃をこえるとゴムが物性低下をひきおこす傾向がある。
【0021】
成型ドラムの加熱時間は、2〜5分が好ましい。加熱時間が2分未満では有機溶剤が乾燥しにくい傾向があり、5分をこえるとゴムが物性低下をひきおこす傾向がある。
【0022】
加熱後のゴム組成物の厚さは、0.5〜2mmであることが好ましい。ゴム組成物の厚さが0.5mm未満では空気透過性が高くなる傾向があり、2mmをこえるても、それ以上空気透過性が改善されずコスト高になるだけで、さらにタイヤ重量の増大をもたらす傾向がある。
【0023】
本発明では、このようにして得られるゴム組成物をタイヤのインナーライナーとして使用する。なお、この段階では、該インナーライナーはグリーンカバーである。
【0024】
つぎに、前記グリーンカバーに、その他のタイヤ構成部材を張り合わせてタイヤを成型する。すなわち、前記グリーンカバーをインナーライナーゴムとしてインナーライナーに使用し、カーカスプライを張り合わせる。ビードチェーファーを要する場合は、あらかじめカーカスプライにビードチェーファーを張り合わせ、成型ドラム上では、ビードチェーファーをカーカスプライの内側とする。カーカスプライにビードフィラーゴムを貼り付けた1対のビードコアをセットし、サイドウォールゴムを張り合わせる。つぎに、1対のビードコアの間隔を狭めつつ、インナーライナーの内側に圧力ガスを充填し、トロイド状に膨出変形させる。そののち、ベルトとトレッドゴムを張り合わせる。
【0025】
このようにして得られたグリーンタイヤは、加硫機に装着した金型内に充填し、加熱媒体を直接導入して加熱・加圧し、ブラダーを用いずに加硫することができる。
【0026】
このときの加熱温度は、150〜200℃であることが好ましい。加熱温度が150℃未満では加硫時間が長くなる傾向があり、200℃をこえるとゴムの物性低下をひきおこす傾向がある。
【0027】
また、圧力は15〜20Paであることが好ましい。圧力が15Pa未満ではジョイントなどが完全に密着されず、セパレーションをひきおこす傾向があり、20Paをこえても意味がなく、コスト高となる傾向がある。
【0028】
このような方法で加硫することにより、加硫時間を10〜15分、さらには8〜10分にまで短縮することができる。
【0029】
本発明の製造方法によれば、ジョイントのないタイヤインナーライナーが得られる。
【0030】
また、本発明の製造方法から得られるタイヤは、空気透過性に関して従来の製造方法から得られるタイヤと同等のものが得られる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
【0032】
実施例1
インナーライナー用のゴム組成物として、表1に示す配合1を用い、ブラダーレス加硫によってタイヤを製造した。なお、表1に示すブロモブチルゴムは、EXXON ブロモブチル 2222を用いた。
【0033】
すなわち、表1に示す配合1のうち、まず、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を除く成分を、140℃で6分間混練し、ついで、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を加えて、4分間混練りし、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物に、ゴム組成物の濃度が50重量%となるようにトルエンを加え、ゴム組成物を溶解した。このゴム組成物液を、スプレーで塗布する方法でタイヤ成型ドラムに塗布し、140℃で3分間加熱し、厚さ1.0mmのインナーライナーゴムを得た。
【0034】
前記インナーライナーゴムに他のタイヤ部材を張り合わせて未加硫タイヤを成型したのち、180℃、20Paの条件でブラダーを用いずに加硫を行なった。
【0035】
比較例1
インナーライナー用のゴム組成物として、表1に示す配合1を用い、ブラダーを用いた現行加硫方式によってタイヤを製造した。
【0036】
すなわち、実施例1と同様の方法で混練りした未加硫のゴム組成物をカレンダーに導入することにより、厚さ1.0mmのインナーライナーゴムを得た。タイヤ成型機上でインナーライナーゴムに他のタイヤ部材を張り合わせて未加硫タイヤを成型したのち、180℃、20Paの条件でブラダーを用いて加硫を行なった。
【0037】
実施例2
インナーライナー用のゴム組成物として、表1に示す配合2を用いたほかは、実施例1と同様の方法でタイヤを製造した。
【0038】
比較例2
インナーライナー用のゴム組成物として、表1に示す配合2を用いたほかは、比較例1と同様の方法でタイヤを製造した。
【0039】
得られた各タイヤは、以下に示す空気透過性に関する評価試験を行なった。
【0040】
<空気透過性試験>
各種供試タイヤに内圧2.0kg/cm2となるように空気を充填し、1ヵ月後の内圧を測定することで、空気透過性を評価した。
【0041】
1ヵ月後の内圧が1.9kg/cm2以上の場合を1とし、1.7kg/cm2以上の場合を2とした。
【0042】
表2に、得られた各タイヤの、インナーライナー部分におけるジョイントの有無、空気透過性の評価結果およびタイヤ加硫に要した時間を示す。
【0043】
表2の結果から、本特許請求の範囲に記載の製造方法でタイヤを製造した実施例1および2では、現行加硫方式による比較例1および2よりも、加硫時間がそれぞれ20%も短縮できた。
【0044】
また、実施例1および2では、ジョイントのないインナーライナーが得られたのに対して、比較例1および2ではジョイントのあるインナーライナーが得られた。
【0045】
さらに、空気透過性に関する評価においても、実施例1および2は、インナーライナーゴム配合がそれぞれ同様の比較例1および2と比べても、それぞれ同等の結果が得られた。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、ブラダーなしで加硫することができるので、加硫時間を短縮させることが可能になる。また、インナーライナージョイントが発生せず、ジョイントがある場合に比べて加硫時間の短縮に効果がある。また、本発明により得られるタイヤは、空気透過性に関しても問題がない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、加硫時間を短縮し得るタイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ製造工程における加硫工程は、未加硫ゴムを加硫ゴムに変えるという意味で、性能面、品質面から重要な工程である。この加硫工程の加硫時間を短くすることは、生産性向上、省エネ(環境に優しい)という面から推進されるべきである。
【0003】
現在、タイヤ加硫時には、タイヤ内側にブラダーを使用して加硫している。そこで、加硫時間を短くするためには、ブラダー側からの熱周りを向上させる必要があるので、▲1▼ブラダーゲージを薄くする、▲2▼ブラダーゴムそのものの熱伝導性を向上させるなどの手法が用いられてきた。しかし、ブラダーそのものをなくすことができれば、熱周りは▲1▼、▲2▼の手法よりもさらに向上し、加硫時間が短縮できる。
【0004】
一般に、ブラダーはタイヤ内側からの熱媒体(通常スチーム、チッ素ガス)が直接タイヤ内部に接しないようにする目的で使用される。現状でブラダーをなくした状態で加硫すると、インナーライナー部分がブラダーの代わりとなる。しかし、未加硫のインナーライナーゴムでは水分が透過し、スチールブレーカーなどに悪影響を与えるので好ましくない。あらかじめ別の方法で加硫したインナーライナーを用いると、成型時の密着不良が生じる、加硫接着が不足するなどの理由から好ましくない。また、現在の方法では成型時にインナーライナージョイントが発生し、ブラダーを使用しない加硫方法では加硫後もインナーライナージョイントが残り、外観上好ましくない。
【0005】
そこで、ブラダーを使用せずに加硫しても、インナーライナー部分から水分を透過させない方法としては、たとえばインナーライナーの内面に樹脂フィルムを粘着させたり(たとえば、特許文献1参照)、インナーライナーゴムの内面側に円筒状薄膜シートを備えさせたりするものがある(たとえば、特許文献2参照)。しかし、インナーライナーの内面に樹脂フィルムを粘着させる方法では、その処理に多くの工程を要するため、生産性や経済性において不利である。また、インナーライナーゴムの内面側に円筒状薄膜シートを備える方法では、タイヤのサイズに応じた円筒状のシートが必要となるため、汎用性および経済性において不利である。
【0006】
そのほか、ブラダーを使用せずに加硫しても、インナーライナー部分から水分を透過させない方法として、ポリマーを媒質とした水系のエマルションを塗布するものもある(たとえば、特許文献3参照)。しかし、この方法では、水系のエマルションを使用するため、乾燥に時間がかかり、また、溶質としての材料に制限をうけるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−260135号公報
【特許文献2】
特開2001−269945号公報
【特許文献3】
特開2002−67037号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インナーライナーからの水分がブレーカーに悪影響を及ぼすことがなく、ブラダーレス加硫によって加硫時間を大幅に短縮することができ、かつ、インナージョイントの問題のないタイヤ製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)インナーライナー用の未加硫のゴム組成物に、揮発性を有し、かつ該ゴム組成物を溶解する溶剤を付与してインナーライナー用ゴム組成物液を得る工程、(B)該ゴム組成物液をタイヤ成型ドラムの外周面に塗布する工程、(C)該成型ドラムを加熱することにより、前記ゴム組成物液に含まれる前記溶剤を揮発させ未加硫のインナーライナーを形成し、かつ該インナーライナーを加硫しグリーンカバーとする工程および(D)該グリーンカバーをタイヤのインナーライナーに用いる工程からなるタイヤ製造方法に関する。
【0010】
また、前記タイヤ製造方法は、前記グリーンカバーをブラダーなしで加硫させることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のタイヤ製造方法では、まず、インナーライナー用未加硫ゴム組成物を有機溶媒に溶かし、そのゴム組成物液をタイヤ成型ドラムに塗布し、乾燥させる。その際、成形ドラムを加熱し、有機溶媒の除去促進、およびインナーライナーを加硫させる。これによって、インナージョイントのない、(インナーライナーが加硫された)ブラダーレス加硫に適したグリーンカバーが得られる。このグリーンカバーをブラダーレス加硫で加硫しても、インナージョイントの問題がなく、インナーライナーがあらかじめ加硫されているので、水分がブレーカーに到達するおそれもない。
【0012】
前記インナーライナー用ゴム組成物は、ゴム成分として、たとえば、天然ゴム、ブロモブチルゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴムなどを含むことができる。なかでも、ブロモブチルゴムまたはブチルゴムが、空気透過性が低く優れていることから好ましい。
【0013】
また、前記インナーライナー用ゴム組成物は、充填材としてカーボンブラック、シリカなどを含むことができる。
【0014】
カーボンブラックを配合する場合、その配合量はゴム成分100重量部に対して、40〜80重量部が好ましい。カーボンブラックの配合量が40重量部未満では補強性に劣る傾向があり、80重量部をこえると加工性に劣る傾向がある。
【0015】
前記インナーライナー用ゴム組成物は、ゴム成分、充填材のほかにも、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤、ステアリン酸、亜鉛華などを含むことができる。
【0016】
前記有機溶媒としては、揮発性を有し、ゴム組成物を溶解することのできるものであれば、とくに制限はなく、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの有機溶剤が使用できる。なかでも、ゴム組成物に対する溶解性が優れている点からトルエンが好ましい。
【0017】
前記インナーライナー用ゴム組成物を前記有機溶媒に溶解させて得られるゴム組成物液の濃度としては、10〜60重量%、とくには40〜50重量%が好ましい。10重量%未満では、有機溶剤の占める割合が高くなり、乾燥に時間を要する。60重量%をこえると、ゴム組成物液に固形分が混ざったり、インナーライナーの表面に気泡ができやすい。
【0018】
ゴム組成物液をタイヤ成型ドラムに塗布する方法としては、スプレーを用いて均一なゲージになるように塗布する方法などが用いられる。
【0019】
つぎに、成型ドラムの加熱方法としては、ドラム内に電熱ヒータまたはスチームを入れ、加熱する方法が用いられる。これによって、ドラム上での加硫が可能となる。また、ゴム組成物液に含まれる有機溶媒が揮発し、除去される。
【0020】
成型ドラムの加熱温度は、100〜160℃が好ましい。加熱温度が100℃未満では有機溶剤が乾燥しにくい傾向があり、160℃をこえるとゴムが物性低下をひきおこす傾向がある。
【0021】
成型ドラムの加熱時間は、2〜5分が好ましい。加熱時間が2分未満では有機溶剤が乾燥しにくい傾向があり、5分をこえるとゴムが物性低下をひきおこす傾向がある。
【0022】
加熱後のゴム組成物の厚さは、0.5〜2mmであることが好ましい。ゴム組成物の厚さが0.5mm未満では空気透過性が高くなる傾向があり、2mmをこえるても、それ以上空気透過性が改善されずコスト高になるだけで、さらにタイヤ重量の増大をもたらす傾向がある。
【0023】
本発明では、このようにして得られるゴム組成物をタイヤのインナーライナーとして使用する。なお、この段階では、該インナーライナーはグリーンカバーである。
【0024】
つぎに、前記グリーンカバーに、その他のタイヤ構成部材を張り合わせてタイヤを成型する。すなわち、前記グリーンカバーをインナーライナーゴムとしてインナーライナーに使用し、カーカスプライを張り合わせる。ビードチェーファーを要する場合は、あらかじめカーカスプライにビードチェーファーを張り合わせ、成型ドラム上では、ビードチェーファーをカーカスプライの内側とする。カーカスプライにビードフィラーゴムを貼り付けた1対のビードコアをセットし、サイドウォールゴムを張り合わせる。つぎに、1対のビードコアの間隔を狭めつつ、インナーライナーの内側に圧力ガスを充填し、トロイド状に膨出変形させる。そののち、ベルトとトレッドゴムを張り合わせる。
【0025】
このようにして得られたグリーンタイヤは、加硫機に装着した金型内に充填し、加熱媒体を直接導入して加熱・加圧し、ブラダーを用いずに加硫することができる。
【0026】
このときの加熱温度は、150〜200℃であることが好ましい。加熱温度が150℃未満では加硫時間が長くなる傾向があり、200℃をこえるとゴムの物性低下をひきおこす傾向がある。
【0027】
また、圧力は15〜20Paであることが好ましい。圧力が15Pa未満ではジョイントなどが完全に密着されず、セパレーションをひきおこす傾向があり、20Paをこえても意味がなく、コスト高となる傾向がある。
【0028】
このような方法で加硫することにより、加硫時間を10〜15分、さらには8〜10分にまで短縮することができる。
【0029】
本発明の製造方法によれば、ジョイントのないタイヤインナーライナーが得られる。
【0030】
また、本発明の製造方法から得られるタイヤは、空気透過性に関して従来の製造方法から得られるタイヤと同等のものが得られる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
【0032】
実施例1
インナーライナー用のゴム組成物として、表1に示す配合1を用い、ブラダーレス加硫によってタイヤを製造した。なお、表1に示すブロモブチルゴムは、EXXON ブロモブチル 2222を用いた。
【0033】
すなわち、表1に示す配合1のうち、まず、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を除く成分を、140℃で6分間混練し、ついで、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を加えて、4分間混練りし、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物に、ゴム組成物の濃度が50重量%となるようにトルエンを加え、ゴム組成物を溶解した。このゴム組成物液を、スプレーで塗布する方法でタイヤ成型ドラムに塗布し、140℃で3分間加熱し、厚さ1.0mmのインナーライナーゴムを得た。
【0034】
前記インナーライナーゴムに他のタイヤ部材を張り合わせて未加硫タイヤを成型したのち、180℃、20Paの条件でブラダーを用いずに加硫を行なった。
【0035】
比較例1
インナーライナー用のゴム組成物として、表1に示す配合1を用い、ブラダーを用いた現行加硫方式によってタイヤを製造した。
【0036】
すなわち、実施例1と同様の方法で混練りした未加硫のゴム組成物をカレンダーに導入することにより、厚さ1.0mmのインナーライナーゴムを得た。タイヤ成型機上でインナーライナーゴムに他のタイヤ部材を張り合わせて未加硫タイヤを成型したのち、180℃、20Paの条件でブラダーを用いて加硫を行なった。
【0037】
実施例2
インナーライナー用のゴム組成物として、表1に示す配合2を用いたほかは、実施例1と同様の方法でタイヤを製造した。
【0038】
比較例2
インナーライナー用のゴム組成物として、表1に示す配合2を用いたほかは、比較例1と同様の方法でタイヤを製造した。
【0039】
得られた各タイヤは、以下に示す空気透過性に関する評価試験を行なった。
【0040】
<空気透過性試験>
各種供試タイヤに内圧2.0kg/cm2となるように空気を充填し、1ヵ月後の内圧を測定することで、空気透過性を評価した。
【0041】
1ヵ月後の内圧が1.9kg/cm2以上の場合を1とし、1.7kg/cm2以上の場合を2とした。
【0042】
表2に、得られた各タイヤの、インナーライナー部分におけるジョイントの有無、空気透過性の評価結果およびタイヤ加硫に要した時間を示す。
【0043】
表2の結果から、本特許請求の範囲に記載の製造方法でタイヤを製造した実施例1および2では、現行加硫方式による比較例1および2よりも、加硫時間がそれぞれ20%も短縮できた。
【0044】
また、実施例1および2では、ジョイントのないインナーライナーが得られたのに対して、比較例1および2ではジョイントのあるインナーライナーが得られた。
【0045】
さらに、空気透過性に関する評価においても、実施例1および2は、インナーライナーゴム配合がそれぞれ同様の比較例1および2と比べても、それぞれ同等の結果が得られた。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、ブラダーなしで加硫することができるので、加硫時間を短縮させることが可能になる。また、インナーライナージョイントが発生せず、ジョイントがある場合に比べて加硫時間の短縮に効果がある。また、本発明により得られるタイヤは、空気透過性に関しても問題がない。
Claims (2)
- (A)インナーライナー用の未加硫のゴム組成物に、揮発性を有し、かつ該ゴム組成物を溶解する溶剤を付与してインナーライナー用ゴム組成物液を得る工程、(B)該ゴム組成物液をタイヤ成型ドラムの外周面に塗布する工程、(C)該成型ドラムを加熱することにより、前記ゴム組成物液に含まれる前記溶剤を揮発させ未加硫のインナーライナーを形成し、かつ該インナーライナーを加硫しグリーンカバーとする工程および(D)該グリーンカバーをタイヤのインナーライナーに用いる工程からなるタイヤ製造方法。
- 前記グリーンカバーをブラダーなしで加硫する請求項1記載のタイヤ製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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