JP2004105127A - 山葵の葉で包んだ食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】今まで十分な用途開発がなされず捨てられていた山葵の葉を有効活用し、山葵として知られた辛味や香りのイメージを持った山葵の葉で包んだ食品を提供する
【解決手段】山葵の根及び茎の少なくとも一方を含ませた食材全体を山葵の葉で包んだ食品であって、この山葵の葉が、塩漬け処理、その葉筋を潰す処理、及び味付け用の汁に浸す処理をされたことを特徴とする食品である。この味付け用の汁に浸す処理は、室温以下の温度又は室温〜75℃で行われることが好ましい。山葵の葉が、処理工程全般を通じて、葉のパリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色が保たれないような高温に長時間置かれることがないため、山葵の葉を、パリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色を保ったまま利用することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】山葵の根及び茎の少なくとも一方を含ませた食材全体を山葵の葉で包んだ食品であって、この山葵の葉が、塩漬け処理、その葉筋を潰す処理、及び味付け用の汁に浸す処理をされたことを特徴とする食品である。この味付け用の汁に浸す処理は、室温以下の温度又は室温〜75℃で行われることが好ましい。山葵の葉が、処理工程全般を通じて、葉のパリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色が保たれないような高温に長時間置かれることがないため、山葵の葉を、パリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色を保ったまま利用することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、食材を山葵の葉で包んだ食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
山葵は、強い殺菌力や抗酸化力を持ち、ビタミンCやカルシウムを含み、生魚の臭みを消す等の効用が知られている。従来、山葵の根は、主にすりおろして、刺身、寿司、そばやソーメンの薬味、わさび漬け、わさび味噌等に用いられ、山葵の茎は、わさび漬け、三杯酢漬け、しょうゆ漬け等に用いられ、花(花茎)は昆布和え、てんぷら等に用いられ、山葵のひげ根は練り山葵等に用いられてきた。しかし、山葵の葉は、山葵の特徴である辛味や香りを持たず、調理法が難しい等の理由で捨てられることが多く、せいぜい茹でておひたし、天ぷら、酢の物、スープ、味噌汁程度にしか用いられておらず、一般には食用として普及していない。
この山葵の葉を食べ易くするために、葉自体に味を付けすることも行われているが、山葵の葉を沸騰した味付け用の汁の中で長時間煮る必要があり、この場合山葵の葉は、色が変わり、簡単に葉が破れてしまうという問題がある。
また、山葵の葉で包んだすしが既に販売されているが(特許第1892371号)、この山葵の葉は塩漬けしたもので、所謂「漬物」で味付け調理がされていないため味が無く、また山葵の特徴である辛味や香りも殆んど無いため、山葵をイメージして食べた人の期待を裏切ることになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、今まで用途開発が十分になされず捨てられていた山葵の葉を有効活用しようとするものである。即ち、本発明は、山葵としてよく知られた辛味や香りのイメージを持った山葵の葉で食材を包んだ食品を提供することを目的とする。本発明は、このような山葵の葉を、これと組み合わせる食材に適した味付けを付して、その食感、色、香り、味の特長を上手に活かした食品を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
山葵の葉は生のままでは青臭く、また他の部分と比較して山葵の特長である辛味が非常に少なく、更に食感が悪く、そのままでは食するには適さない。
しかし、山葵の葉を単に塩漬けしただけでは、味がなく、山葵の辛さや香りを味わうことができない。
一方、従来のように葉自体に味を付けるために長時間加熱処理をすると、色が変わり、葉が破れてしまうが、本発明においては、高温での長時間加熱処理をせず、葉を切り刻まずに葉のまま用いるため、葉のパリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色を保ったまま利用することができる。この高温での長時間加熱処理とは通常沸騰した汁で数時間煮ることをいうが、本発明では、山葵の葉が、処理工程全般を通じて、葉のパリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色が保たれないような高温に長時間置かれることはない。しかし、山葵の葉は、葉のパリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色を保たれるような温度条件に置かれてもよい。
また、葉の葉筋部分は硬く食感が悪いため、この葉筋、特に太い葉筋のみを潰して柔かくすることにより、その他の葉の部分の食感を保ったまま、この葉筋部分の食感の悪さを解決した。
【0005】
本発明においては、山葵の葉を一般の漬物用の野菜と同じように、塩漬け加工し、室温以下又は高くとも75℃の温度で味付けをする。そのために、この山葵の葉を味付け用の汁に浸す処理を行う。このような処理をした山葵の葉は、色鮮やかな緑色で、色が長持ちし、パリパリした食感と香りと味を持つ。本発明においては、食材全体をこの山葵の葉で包むことにより、その食品の保存性を高めると共に、食品に山葵のイメージを賦与することができる。
しかし、食品が山葵の葉で包まれて、山葵のイメージを持つものであっても、山葵の辛さや香りが不足しているため、本発明においては、食材に山葵の根及び茎の少なくとも一方を含ませる。これにより、本発明の食品を食した人が、視覚的に山葵の葉から山葵のイメージを受け、かつ味覚的に山葵の辛さや香りを味わうことができる。
【0006】
即ち、本発明は、山葵の根及び茎の少なくとも一方を含ませた食材全体を山葵の葉で包んだ食品であって、この山葵の葉が、塩漬け処理、その葉筋を潰す処理、及び味付け用の汁に浸す処理をされたことを特徴とする食品である。
塩漬け処理は、通常、山葵の葉を食塩水に漬けた後、冷暗所に数日置き、その後塩抜きをして、揉み込むことから成る。
山葵の葉の葉筋を潰す処理は、通常、山葵の葉を水洗いして、それを食塩水に浸し、その後この葉1枚又は複数枚を平板に置き、円筒状のローラーをその上に転がすことから成る。
山葵の葉を、前記塩漬け処理及び葉筋を潰す処理の少なくとも一方の処理をした後、冷凍保存し、保存後蒸気で短時間蒸して用いてもよい。この短時間とは山葵の葉の色が変色しない程度の時間をいい、通常数分である。
また、山葵の葉の色を補うために、更に、山葵の葉が緑色に着色するような処理を施してもよい。
【0007】
山葵の葉を味付け用の汁に浸す処理は、通常、山葵の葉を水洗いして清水に漬け、白醤油、味醂又はだし汁を含む味付け用の汁に浸し、その後汁切りを行なうことから成る。この味付け用の汁に浸す処理は、室温以下の温度又は室温〜75℃で行われることが好ましい。この処理は室温以下の温度で行われることがより好ましいが、処理時間を短縮するために室温〜75℃で行ってもよい。
山葵の根又は茎は、例えば、刻んだり、摩り下ろしたりして調理されていてもよい。食材に含ませる山葵の根又は茎の量や調理法は、最終食品の味や食感等の品質により適宜定めればよい。
本発明においては、食材は実質的に全体が山葵の葉で覆われていればよく、例えば、食品の通常見えない部分や食材が外気に接しない部分、例えば底などが覆われていなくともよい。更に、食材は、必ずしも1枚の葉全体を用いて覆われていなくともよく、葉の一部をカットしたり、分割したりして使ってもよい。また、食材を大きくし、複数の山葵の葉で包み、食べる時に包丁等でカットして食べるようにしてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明を限定することを意図するものではない。
山葵の葉の処理工程の一例を示す。
(1)緑の新鮮な山葵の葉を水洗いして、水1000ccに150〜200gの食塩を溶かした溶液に浸し、約72時間、冷所に置く。
(2)それを溶液から取り出し俎板の上に3〜6枚広げて重ね、太目のローラー(麺棒のような物)で山葵の葉の上を、葉筋を潰すように十分に転がす。この時葉を破らず、葉元の軸を割らないように、葉筋のみを潰し、食感を良くすることが必要である。その後、再度上記溶液の中に浸し、アク抜きをするため、約3時間置く。
(3)その後、清水で葉に付着している塩分を洗い落とし、清水に約1時間漬けて、塩出しを行なう。この時に山葵に葉は柔らかくなり、若干の塩味が残って、明るい緑色に仕上がる。
【0009】
(4)使用する葉によっては葉の緑色が十分出なかったり、青臭さが残ったりする場合があるので、その場合は、3000ccの水に銅クロロフィリン・ナトリュウム(葉緑素)0.5gとポリリン酸ナトリウム(安定剤)1.2gを混合し、pH7.5〜8.0であることを確認した液を70〜75℃に加温し、その中に前記塩出しした山葵の葉をくぐらせる。その後、清水でよく洗い水切りをする。
(5)新鮮な山葵の葉が無い季節の場合は、そのまま冷凍保存する。使用する時は自然解凍して、使用する。
(6)上記の加工した直後、又は冷凍を解凍した山葵の葉を使用する時は白醤油、味醂、だし汁等で作った味付け用の汁に浸し、数分後直ぐ汁切りを行ない、その後30分以内に中に入れる食材を包む。
【0010】
また、山葵の葉の処理工程の別の一例を示す。
(7)生の山葵の葉を約10%濃度の食塩水に潜らせ、蒸し器に入れて2〜3分間、蒸気で蒸す。
(8)それを約10%濃度の冷塩水に3〜6分間浸し、水切りを行なう。
(9)次に、上記(2)と同様の操作を行い、葉筋を潰す。
(10)それを水洗いする。長時間保存する場合は、これを冷凍保存する。
(11)使用する直前に、味付けを行なうが、白醤油、味醂、だし汁等で作った味付け用の汁に約1時間浸す。なお、中に包む食材に応じてだし汁を70〜70℃で加熱し、浸す時間を短縮してもよい。
【0011】
以下、以上のように処理した山葵の葉で食材を包んだ食品の例をいくつか挙げる。
例えば、この山葵の葉ですしを包んでもよい。この場合、すし飯の上に調理した味付け山葵の茎を載せ、その上にシメ鱒等のすし種を載せる。この時、すし種の下に少量のネリわさびを入れる場合もあるが、山葵の茎にその香りがあるので、入れなくても良い。その全体を上記のように処理した山葵の葉で包み、上部を蒲鉾状にして食べ易くする工夫をしてもよい。
山葵の葉の中に“すし”を包み込む場合には、山葵の葉には山葵の辛味が無いので、辛味のある茎を調理した物をすし飯の上に載せ、山葵の特徴である辛味を強める。中に包み込むすし種としては鱒、鮎、鮭、鯖、鯵、海老等の酢ジメしたもの、調理した蒲焼ウナギや穴子等が山葵の葉との組み合わせとして適している。
【0012】
上記の「握り寿司」の他に「巻き寿司」でもよく、巻き寿司の場合は一般の「のり巻き」を作る時の要領と同じ方法で、「海苔」の代わりに山葵の葉を使用する。即ち、何枚かの葉をカットし、四角い形にした山葵の葉を敷き、その上に寿司飯を載せ、その中央にすし種として卵、きゅうり、アボガド、椎茸、干瓢、海老、サーモン、鱒、等に山葵の茎を加えて置き、簾を巻き込んで作る。食べる時にはそれを短くカットして食する。
また、この他の食材として、ツナ等のおかずを含んだおにぎりやマヨネーズ等で味付けされたサラダ等を用いてもよい。
【0013】
他の応用例としては餡入りの餅を包んだ「山葵葉饅頭」がある。この食品の特長は山葵の香り、山葵の辛味を持った甘い饅頭であり、今までになかったユニークな味と食感を醸し出している。その秘訣は餡の中に山葵の根をすりおろし「アリルからし油」成分を増強したもの(又はねりわさび)或いは辛味のある山葵の茎を細かく刻んで入れることである。餡の主体は小豆、豆類、薯等を使用する。更に、食材として野菜、肉又は魚を用いてもよい。竹の子、牛蒡、アスパラ、椎茸等の調理済み野菜に調理した肉や魚を加えたものに調理した山葵の茎を加えて、山葵の葉で包んだ「わさび葉包み」もすばらしい食品であり、多くの人が好んで食べることを確認した。これらを山葵の葉で包み込んだ食品に使用する山葵の葉は上記(5)の工程で冷凍保存されたものを水に浸して解凍してから、(6)の味付け工程を通して使用するのがよい。
また商品としては食品を包装箱に入れないで、食品を透明のラップ等の包装紙で包み、山葵の葉が外から見ることができるようにしてもよい。
【0014】
【発明の効果】
本発明の山葵の葉は加工されて以下の特徴を持つ。1)山葵の葉を室温以下の温度又は室温〜75℃で味付け用の汁に浸す処理が行われ、高温での長時間加熱処理をしないため、山葵の葉を、パリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色を保ったまま利用することができる。2)葉筋が潰されているため、葉全体を容易に食することができる。3)味付け用の汁により包む食材に適した味と香りを有することができる。本発明の加工された山葵の葉がこのような3つの特徴を有するため、山葵の葉で食材を包んだ食品は、従来の山葵の葉よりも遥かに快適に食することができる。
また、このように加工された山葵の葉で食材全体を包んだ食品は以下のような2つの特徴を持つ。1)食材全体を山葵の葉で包むため、山葵のイメージを食品に賦与することができる。2)食材に山葵の根や茎を含ませるため、食品全体としては、山葵特有の辛さや香りを有している。このような2つの特徴はお互いに補い合って、本発明の食品に独特の品質を賦与する。即ち、本発明の食品は、視覚的に山葵の葉から山葵のイメージを受け、かつ味覚的に山葵の辛さや香りを味わうことができるという、相乗効果を有する。
【0015】
山葵の葉で食材全体を包むため、葉の持つ抗菌、抗カビ効果により、食品の保存効果が大きい。
山葵の葉には、抗菌、抗酸化作用、抗ガン作用、血栓予防効果、消化及び呼吸促進作用、抗下痢効果、骨増強効果等があることが分かっており、今まで十分活用されていなかった山葵の葉を食用に供する道を拓くことは、国民の健康上大きな意義がある。
本発明は山葵の葉を食用としての利用価値を高めるため、今まで利用されずに捨てられていた山葵の葉を有効に利用することができ、食品産業に資する。
【発明の属する技術分野】
この発明は、食材を山葵の葉で包んだ食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
山葵は、強い殺菌力や抗酸化力を持ち、ビタミンCやカルシウムを含み、生魚の臭みを消す等の効用が知られている。従来、山葵の根は、主にすりおろして、刺身、寿司、そばやソーメンの薬味、わさび漬け、わさび味噌等に用いられ、山葵の茎は、わさび漬け、三杯酢漬け、しょうゆ漬け等に用いられ、花(花茎)は昆布和え、てんぷら等に用いられ、山葵のひげ根は練り山葵等に用いられてきた。しかし、山葵の葉は、山葵の特徴である辛味や香りを持たず、調理法が難しい等の理由で捨てられることが多く、せいぜい茹でておひたし、天ぷら、酢の物、スープ、味噌汁程度にしか用いられておらず、一般には食用として普及していない。
この山葵の葉を食べ易くするために、葉自体に味を付けすることも行われているが、山葵の葉を沸騰した味付け用の汁の中で長時間煮る必要があり、この場合山葵の葉は、色が変わり、簡単に葉が破れてしまうという問題がある。
また、山葵の葉で包んだすしが既に販売されているが(特許第1892371号)、この山葵の葉は塩漬けしたもので、所謂「漬物」で味付け調理がされていないため味が無く、また山葵の特徴である辛味や香りも殆んど無いため、山葵をイメージして食べた人の期待を裏切ることになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、今まで用途開発が十分になされず捨てられていた山葵の葉を有効活用しようとするものである。即ち、本発明は、山葵としてよく知られた辛味や香りのイメージを持った山葵の葉で食材を包んだ食品を提供することを目的とする。本発明は、このような山葵の葉を、これと組み合わせる食材に適した味付けを付して、その食感、色、香り、味の特長を上手に活かした食品を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
山葵の葉は生のままでは青臭く、また他の部分と比較して山葵の特長である辛味が非常に少なく、更に食感が悪く、そのままでは食するには適さない。
しかし、山葵の葉を単に塩漬けしただけでは、味がなく、山葵の辛さや香りを味わうことができない。
一方、従来のように葉自体に味を付けるために長時間加熱処理をすると、色が変わり、葉が破れてしまうが、本発明においては、高温での長時間加熱処理をせず、葉を切り刻まずに葉のまま用いるため、葉のパリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色を保ったまま利用することができる。この高温での長時間加熱処理とは通常沸騰した汁で数時間煮ることをいうが、本発明では、山葵の葉が、処理工程全般を通じて、葉のパリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色が保たれないような高温に長時間置かれることはない。しかし、山葵の葉は、葉のパリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色を保たれるような温度条件に置かれてもよい。
また、葉の葉筋部分は硬く食感が悪いため、この葉筋、特に太い葉筋のみを潰して柔かくすることにより、その他の葉の部分の食感を保ったまま、この葉筋部分の食感の悪さを解決した。
【0005】
本発明においては、山葵の葉を一般の漬物用の野菜と同じように、塩漬け加工し、室温以下又は高くとも75℃の温度で味付けをする。そのために、この山葵の葉を味付け用の汁に浸す処理を行う。このような処理をした山葵の葉は、色鮮やかな緑色で、色が長持ちし、パリパリした食感と香りと味を持つ。本発明においては、食材全体をこの山葵の葉で包むことにより、その食品の保存性を高めると共に、食品に山葵のイメージを賦与することができる。
しかし、食品が山葵の葉で包まれて、山葵のイメージを持つものであっても、山葵の辛さや香りが不足しているため、本発明においては、食材に山葵の根及び茎の少なくとも一方を含ませる。これにより、本発明の食品を食した人が、視覚的に山葵の葉から山葵のイメージを受け、かつ味覚的に山葵の辛さや香りを味わうことができる。
【0006】
即ち、本発明は、山葵の根及び茎の少なくとも一方を含ませた食材全体を山葵の葉で包んだ食品であって、この山葵の葉が、塩漬け処理、その葉筋を潰す処理、及び味付け用の汁に浸す処理をされたことを特徴とする食品である。
塩漬け処理は、通常、山葵の葉を食塩水に漬けた後、冷暗所に数日置き、その後塩抜きをして、揉み込むことから成る。
山葵の葉の葉筋を潰す処理は、通常、山葵の葉を水洗いして、それを食塩水に浸し、その後この葉1枚又は複数枚を平板に置き、円筒状のローラーをその上に転がすことから成る。
山葵の葉を、前記塩漬け処理及び葉筋を潰す処理の少なくとも一方の処理をした後、冷凍保存し、保存後蒸気で短時間蒸して用いてもよい。この短時間とは山葵の葉の色が変色しない程度の時間をいい、通常数分である。
また、山葵の葉の色を補うために、更に、山葵の葉が緑色に着色するような処理を施してもよい。
【0007】
山葵の葉を味付け用の汁に浸す処理は、通常、山葵の葉を水洗いして清水に漬け、白醤油、味醂又はだし汁を含む味付け用の汁に浸し、その後汁切りを行なうことから成る。この味付け用の汁に浸す処理は、室温以下の温度又は室温〜75℃で行われることが好ましい。この処理は室温以下の温度で行われることがより好ましいが、処理時間を短縮するために室温〜75℃で行ってもよい。
山葵の根又は茎は、例えば、刻んだり、摩り下ろしたりして調理されていてもよい。食材に含ませる山葵の根又は茎の量や調理法は、最終食品の味や食感等の品質により適宜定めればよい。
本発明においては、食材は実質的に全体が山葵の葉で覆われていればよく、例えば、食品の通常見えない部分や食材が外気に接しない部分、例えば底などが覆われていなくともよい。更に、食材は、必ずしも1枚の葉全体を用いて覆われていなくともよく、葉の一部をカットしたり、分割したりして使ってもよい。また、食材を大きくし、複数の山葵の葉で包み、食べる時に包丁等でカットして食べるようにしてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明を限定することを意図するものではない。
山葵の葉の処理工程の一例を示す。
(1)緑の新鮮な山葵の葉を水洗いして、水1000ccに150〜200gの食塩を溶かした溶液に浸し、約72時間、冷所に置く。
(2)それを溶液から取り出し俎板の上に3〜6枚広げて重ね、太目のローラー(麺棒のような物)で山葵の葉の上を、葉筋を潰すように十分に転がす。この時葉を破らず、葉元の軸を割らないように、葉筋のみを潰し、食感を良くすることが必要である。その後、再度上記溶液の中に浸し、アク抜きをするため、約3時間置く。
(3)その後、清水で葉に付着している塩分を洗い落とし、清水に約1時間漬けて、塩出しを行なう。この時に山葵に葉は柔らかくなり、若干の塩味が残って、明るい緑色に仕上がる。
【0009】
(4)使用する葉によっては葉の緑色が十分出なかったり、青臭さが残ったりする場合があるので、その場合は、3000ccの水に銅クロロフィリン・ナトリュウム(葉緑素)0.5gとポリリン酸ナトリウム(安定剤)1.2gを混合し、pH7.5〜8.0であることを確認した液を70〜75℃に加温し、その中に前記塩出しした山葵の葉をくぐらせる。その後、清水でよく洗い水切りをする。
(5)新鮮な山葵の葉が無い季節の場合は、そのまま冷凍保存する。使用する時は自然解凍して、使用する。
(6)上記の加工した直後、又は冷凍を解凍した山葵の葉を使用する時は白醤油、味醂、だし汁等で作った味付け用の汁に浸し、数分後直ぐ汁切りを行ない、その後30分以内に中に入れる食材を包む。
【0010】
また、山葵の葉の処理工程の別の一例を示す。
(7)生の山葵の葉を約10%濃度の食塩水に潜らせ、蒸し器に入れて2〜3分間、蒸気で蒸す。
(8)それを約10%濃度の冷塩水に3〜6分間浸し、水切りを行なう。
(9)次に、上記(2)と同様の操作を行い、葉筋を潰す。
(10)それを水洗いする。長時間保存する場合は、これを冷凍保存する。
(11)使用する直前に、味付けを行なうが、白醤油、味醂、だし汁等で作った味付け用の汁に約1時間浸す。なお、中に包む食材に応じてだし汁を70〜70℃で加熱し、浸す時間を短縮してもよい。
【0011】
以下、以上のように処理した山葵の葉で食材を包んだ食品の例をいくつか挙げる。
例えば、この山葵の葉ですしを包んでもよい。この場合、すし飯の上に調理した味付け山葵の茎を載せ、その上にシメ鱒等のすし種を載せる。この時、すし種の下に少量のネリわさびを入れる場合もあるが、山葵の茎にその香りがあるので、入れなくても良い。その全体を上記のように処理した山葵の葉で包み、上部を蒲鉾状にして食べ易くする工夫をしてもよい。
山葵の葉の中に“すし”を包み込む場合には、山葵の葉には山葵の辛味が無いので、辛味のある茎を調理した物をすし飯の上に載せ、山葵の特徴である辛味を強める。中に包み込むすし種としては鱒、鮎、鮭、鯖、鯵、海老等の酢ジメしたもの、調理した蒲焼ウナギや穴子等が山葵の葉との組み合わせとして適している。
【0012】
上記の「握り寿司」の他に「巻き寿司」でもよく、巻き寿司の場合は一般の「のり巻き」を作る時の要領と同じ方法で、「海苔」の代わりに山葵の葉を使用する。即ち、何枚かの葉をカットし、四角い形にした山葵の葉を敷き、その上に寿司飯を載せ、その中央にすし種として卵、きゅうり、アボガド、椎茸、干瓢、海老、サーモン、鱒、等に山葵の茎を加えて置き、簾を巻き込んで作る。食べる時にはそれを短くカットして食する。
また、この他の食材として、ツナ等のおかずを含んだおにぎりやマヨネーズ等で味付けされたサラダ等を用いてもよい。
【0013】
他の応用例としては餡入りの餅を包んだ「山葵葉饅頭」がある。この食品の特長は山葵の香り、山葵の辛味を持った甘い饅頭であり、今までになかったユニークな味と食感を醸し出している。その秘訣は餡の中に山葵の根をすりおろし「アリルからし油」成分を増強したもの(又はねりわさび)或いは辛味のある山葵の茎を細かく刻んで入れることである。餡の主体は小豆、豆類、薯等を使用する。更に、食材として野菜、肉又は魚を用いてもよい。竹の子、牛蒡、アスパラ、椎茸等の調理済み野菜に調理した肉や魚を加えたものに調理した山葵の茎を加えて、山葵の葉で包んだ「わさび葉包み」もすばらしい食品であり、多くの人が好んで食べることを確認した。これらを山葵の葉で包み込んだ食品に使用する山葵の葉は上記(5)の工程で冷凍保存されたものを水に浸して解凍してから、(6)の味付け工程を通して使用するのがよい。
また商品としては食品を包装箱に入れないで、食品を透明のラップ等の包装紙で包み、山葵の葉が外から見ることができるようにしてもよい。
【0014】
【発明の効果】
本発明の山葵の葉は加工されて以下の特徴を持つ。1)山葵の葉を室温以下の温度又は室温〜75℃で味付け用の汁に浸す処理が行われ、高温での長時間加熱処理をしないため、山葵の葉を、パリパリした食感及び/又は鮮やかな緑色を保ったまま利用することができる。2)葉筋が潰されているため、葉全体を容易に食することができる。3)味付け用の汁により包む食材に適した味と香りを有することができる。本発明の加工された山葵の葉がこのような3つの特徴を有するため、山葵の葉で食材を包んだ食品は、従来の山葵の葉よりも遥かに快適に食することができる。
また、このように加工された山葵の葉で食材全体を包んだ食品は以下のような2つの特徴を持つ。1)食材全体を山葵の葉で包むため、山葵のイメージを食品に賦与することができる。2)食材に山葵の根や茎を含ませるため、食品全体としては、山葵特有の辛さや香りを有している。このような2つの特徴はお互いに補い合って、本発明の食品に独特の品質を賦与する。即ち、本発明の食品は、視覚的に山葵の葉から山葵のイメージを受け、かつ味覚的に山葵の辛さや香りを味わうことができるという、相乗効果を有する。
【0015】
山葵の葉で食材全体を包むため、葉の持つ抗菌、抗カビ効果により、食品の保存効果が大きい。
山葵の葉には、抗菌、抗酸化作用、抗ガン作用、血栓予防効果、消化及び呼吸促進作用、抗下痢効果、骨増強効果等があることが分かっており、今まで十分活用されていなかった山葵の葉を食用に供する道を拓くことは、国民の健康上大きな意義がある。
本発明は山葵の葉を食用としての利用価値を高めるため、今まで利用されずに捨てられていた山葵の葉を有効に利用することができ、食品産業に資する。
Claims (10)
- 山葵の根及び茎の少なくとも一方を含ませた食材全体を山葵の葉で包んだ食品であって、この山葵の葉が、塩漬け処理、その葉筋を潰す処理、及び味付け用の汁に浸す処理をされたことを特徴とする食品。
- 前記味付け用の汁に浸す処理が、室温以下の温度又は室温〜75℃で行われる請求項1に記載の食品。
- 更に、山葵の葉が緑色に着色する処理をされた請求項1又は2に記載の食品。
- 前記山葵の葉の葉筋を潰す処理が、山葵の葉を水洗いして、それを食塩水に浸し、その後この葉1枚又は複数枚を平板に置き、円筒状のローラーをその上に転がすことから成る請求項1〜3のいずれか一項に記載の食品。
- 前記山葵の葉を味付け用の汁に浸す処理が、山葵の葉を水洗いして清水に漬け、白醤油、味醂又はだし汁を含む味付け用の汁に浸し、その後汁切りを行なうことから成る請求項1〜4のいずれか一項に記載の食品。
- 前記山葵の根又は茎が調理された請求項1〜5のいずれか一項に記載の食品。
- 前記山葵に葉を、前記塩漬け処理及び葉筋を潰す処理の少なくとも一方の処理をした後、冷凍保存し、保存後蒸気で短時間蒸して用いる請求項1〜6のいずれか一項に記載の食品。
- 前記食材が、すし飯の上にすし種を乗せたものである請求項1〜7のいずれか一項に記載の食品。
- 前記食材が、餡を内蔵した饅頭である請求項1〜7のいずれか一項に記載の食品。
- 前記食材が、調理され味付けされた野菜、魚又は肉である請求項1〜7のいずれか一項に記載の食品。
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JP2002274656A JP2004105127A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 山葵の葉で包んだ食品 |
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JP2002274656A JP2004105127A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 山葵の葉で包んだ食品 |
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Cited By (2)
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JP2007137794A (ja) * | 2005-11-16 | 2007-06-07 | Kinjirushi Kk | わさび葉成分組成物、これを含む食品および医薬品 |
CN111329051A (zh) * | 2020-04-16 | 2020-06-26 | 昆明理工大学 | 一种薄荷脆片及其制作方法 |
-
2002
- 2002-09-20 JP JP2002274656A patent/JP2004105127A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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JP2007137794A (ja) * | 2005-11-16 | 2007-06-07 | Kinjirushi Kk | わさび葉成分組成物、これを含む食品および医薬品 |
CN111329051A (zh) * | 2020-04-16 | 2020-06-26 | 昆明理工大学 | 一种薄荷脆片及其制作方法 |
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