JP2004101825A - 電子写真感光体、および、電子写真感光体の再生方法 - Google Patents

電子写真感光体、および、電子写真感光体の再生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真感光体をリサイクル再生する際、電子写真感光体内部の制振材及びフランジを容易に取り外すこと。
【解決手段】管状又は筒状電子写真感光体のフランジの少なくとも片側から電子写真感光体内部に対し、液体あるいは粉体の注入が可能な構造になっていることを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置用の電子写真感光体の再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は従来から複写機、プリンタ、ファクシミリ等に広く使用されているが、近年のエコロジーの要請によって、使用済みの電子写真感光体のリサイクルが必要になっている。
ここで、電子写真感光体は一般にアルミニウムあるいはアルミニウム合金製管(以下アルミ管と略す)の表面に電子写真感光体層を形成したものが使用される。電子写真感光体層は、有機光半導体あるいは、アモルファスシリコンが多く使用されている。
そして、この電子写真感光層を形成したアルミ管の端部にフランジを取り付け、回転駆動可能として、電子写真装置に使用する。ここで、フランジは、感光体を正確に回転させる役目があり、取り付け精度と取り付け強度は高いものが要求される。また、フランジには感光体と電子写真装置のアースを行なう役目もある。
【0003】
また、一部の電子写真感光体では、ブレードクリーニング時の異音発生防止、あるいは、ローラ帯電時の異音発生防止を目的として、内部に制振材を挿入取り付けることが行なわれている。この制振材は、アルミニウム、プラスチック、ゴム等が使用されている。
【0004】
以上述べてきたように、電子写真感光体は、電子写真層を形成したアルミ管と、その両端に取り付けるフランジとからなり、場合によって制振材がある。
電子写真感光体の再生にあたっては、これらを分解するが、このときに損傷なく分解取り外すことが必要になる。
フランジを取り外す方法はいくつか提案されているが、充分とは言えなかった。それを以下に説明する。
【0005】
特開平6−332374号公報に記載の技術では、電子写真感光体のシリンダ部材とフランジの導通を取ることを目的として、フランジ部材の外周に有弾性の導電性リングを配装して、シリンダ部材とフランジを取り付けている。この構造にすることによって、導通以外にフランジの取り外しが容易になる効果もあるが、太さの細いリングで固定しているので、取り付け強度が弱い問題がある。
【0006】
特開平8−297434号公報に記載の技術では、電子写真感光体のシリンダ部材とフランジとの嵌合部に両者の間隙の1/2以上の厚みを有する弾性体片を接着固定した後、嵌合、接着しているが、この方法では、フランジ取り外し時に電子写真感光体のシリンダ部材とフランジに接着剤が残り、シリンダ部材やフランジの再利用が困難な問題がある。
【0007】
特開平9−114323号公報には、感光体および端部フランジを再使用できるように、接着剤を用いずに、端部フランジを中空円筒状の像形成部材の一端に結合することを目的として以下の構造が記載されている。すなわち、フランジは、円板状部材と、円板状部材から軸方向に延びた支持ハブと、支持ハブに対し同軸上に固定された金属円板とから成り、金属円板は、支持ハブを像形成部材の一端に挿入したとき像形成部材と係合するように、支持ハブの仮想軸から離れる方向に円板から放射状に延びた複数の矩形タブを有する。この端部フランジを像形成部材に挿入すると、円板から放射状に延びた複数の矩形タブが中空円筒状像形成部材の内面に係合するので、端部フランジは取り外し可能に像形成部材に結合されるとしている。しかし、この方法では、フランジの形状が複雑になるので成形が難しい問題がある。
【0008】
特開平9−187820号公報、特開平10−115938号公報、特開平10−143011号公報に記載の技術においては、フランジ取り付け部を冷却し、基体であるアルミニウムと、プラスチックの熱膨張係数の差によりフランジを取り外しているが、ここでは冷却に液体窒素を使用しており、液体窒素の保管と取り扱いが必要になる問題がある。
【0009】
特開2001−166628号公報には、フランジの着脱の容易化を目的として以下の構造が記載されている。すなわち、感光体の端部に内端面を設け、そこに感光体の回転方向に対して逆方向に伸長する凹形状の案内溝を配設し、感光体を可回転に支持するための支持軸が貫通する軸受穴を中央に有するフランジの外輪には、感光体の内端面に対向する周接面を設け、その面上に凸形状の突起を等分に配設する。そして、突起を案内溝の相対する開口端と合致させてフランジを感光体の端部に挿入した後、案内溝の奥端に向かって突起が誘導されるように感光体とフランジを互いに逆の方向に回してフランジを感光体の端部に装着している。しかし、この方法では、感光体の内面に複雑な溝を加工で作製する必要がある。
【0010】
次に、制振材を外す方法であるが、制振材を取り外す良い方法は提案されておらず、再生利用は行なわれていないのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べてきたように、本発明の目的は、電子写真感光体をリサイクル再生する際、電子写真感光体内部の制振材及びフランジを容易に取り外すことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題は、本発明の(1)「管状又は筒状電子写真感光体のフランジの少なくとも片側から電子写真感光体内部に対し、液体あるいは粉体の注入が可能な構造になっていることを特徴とする電子写真感光体」、(2)「フランジの電子写真感光体への取り付けが電子写真感光体端部の折り曲げ加工なく取り付けられていることを特徴とする、前記第(1)項に記載の電子写真感光体」によって解決される。
【0013】
また、上記課題は、本発明の(3)「管状又は筒状電子写真感光体のフランジの少なくとも片側から電子写真感光体内部に対し、液体あるいは粉体を注入し、電子写真感光体内面と制振材の摩擦係数を下げ、該制振材を取り外すことを特徴とする、電子写真感光体の再生方法」、(4)「液体あるいは粉体を注入し、電子写真感光体内面と制振材の取り付け強度を、液体あるいは粉体を注入する以前の2/3以下に下げ、該制振材を取り外すことを特徴とする、前記第(3)項に記載の電子写真感光体の再生方法」、(5)「電子写真感光体内に注入する液体が水、あるいは石鹸や界面活性剤の水溶液であることを特徴とする、前記第(3)項に記載の電子写真感光体の再生方法」によって解決される。
【0014】
また、上記課題は、本発明の(6)「管状又は筒状電子写真感光体内部に取り付けられた制振材を取り外す際、制振材の片端に対して外部から引く、あるいは内部から押す力を加え、その力を加えた片端が制振材の移動方向の先頭になるように制振材を取り外すことを特徴とする、制振材の取り外し方法」によって解決される。
【0015】
また、上記課題は、本発明の(7)「管状又は筒状電子写真感光体内部に挿入された制振材の固定が、水溶性接着剤で行なわれていることを特徴とする、電子写真感光体」、(8)「管状又は筒状電子写真感光体内部に挿入された制振材に孔径10mm以下、0.01mm以上の孔が1個あるいは複数個穿孔されており、前記第(2)項に記載の方法で制振材を取り外すとき、内部に注入した液体あるいは粉体が、電子写真感光体内面と制振材の当接面に広がり易くなっていることを特徴とする、電子写真感光体」、(9)「管状又は筒状電子写真感光体内部に挿入された制振材に長さ5mm以上、幅1mm以下、0.01mm以上のスリットが1個あるいは複数個設けられており、前記第(2)項に記載の方法で制振材を取り外すとき、内部に注入した液体あるいは粉体が、電子写真感光体内面と制振材の当接面に広がり易くなっていることを特徴とする、電子写真感光体」、(10)「管状又は筒状電子写真感光体の端部に取り付けられたフランジの固定が、水溶性接着剤で行なわれていることを特徴とする、電子写真感光体」、(11)「フランジが取付けられた管状又は筒状電子写真感光体であって、フランジ取り付け部を水あるいは水系溶液に浸漬することにより、フランジの取り付け強度が、浸漬以前のフランジ取付け強度の2/3以下になることを特徴とする電子写真感光体」によって解決される。
【0016】
また、上記課題は、本発明の(12)「フランジが取付けられた管状又は筒状電子写真感光体を、水あるいは水系溶液に浸漬し、フランジの電子写真感光体への取付け強度を下げ、フランジを取り外すことを特徴とする電子写真感光体の再生方法」によって解決される。
【0017】
また、上記課題は、本発明の(13)「前記第(3)項乃至第(6)項の何れかに記載の電子写真感光体の再生方法で再生したことを特徴とする、制振材および電子写真感光体」によって解決される。
【0018】
また、上記課題は、本発明の(14)「前記第(12)項に記載の電子写真感光体の再生方法で再生したことを特徴とする、フランジおよび電子写真感光体」によって解決される。
【0019】
本発明における感光体を構成する電子写真感光体ドラム及び樹脂製フランジには、特に制限はなく、例えば、汎用のものに任意に適用することができる。
以下に本発明の実施が可能な電子写真感光体の製造法と、フランジ及び制振材の取り外し法について説明する。
【0020】
電子写真感光体ドラムの基体としては、通常用いられる円筒状に成形されたアルミニウム、アルミニウム合金が加工性およびコストから一般的である。これらの基体はアルミニウムあるいはアルミニウム合金を押し出し加工あるいは抽伸加工して管状に成形し、そのまま、あるいは管の表面を切削加工や研削加工して作製する。これ以外に、基体としては、ステンレス等の金属管や、表面を導電性加工した樹脂管も可能である。
【0021】
以下ではアルミニウム合金製管(以下アルミ管と略す)を基体として使用した場合で説明する。
アルミ管の表面に感光層を形成することにより、電子写真感光体が作成される。電子写真感光体の構成を以下に示す。
【0022】
アルミ管と感光層の中間に、バリヤー機能と接着機能をもつ下引層を設けることも電子写真感光体の品質を向上させる上で有効である。下引層はカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどによって形成できる。下引層の膜厚は5μm以下、好ましくは0.5〜3μmが適当である。下引層はその機能を発揮するためには、表面固有抵抗10Ω・cm以上であることが望ましい。また、下引き層は酸化チタン等を含有しても良い。
【0023】
感光層は、有機光導電体などの光導電体を必要に応じてバインダーと共に塗料化して塗布形成、又は、真空蒸着によってされる。有機光導電体を用いる場合、露光により電荷担体を発生する電荷発生層と発生した電荷担体を輸送する能力を持つ電荷輸送層との組み合わせからなる感光層も有効に用いることができる。
【0024】
電荷発生層は、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクドリン顔料、キノン顔料、キノシアニン顔料、ビスベンゾイミゾール顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料などの電荷発生材料の1種類あるいは2種類以上を適当なバインダーと共に(バインダーがなくても可)分散し、各種方法によって塗工して形成できる。これらの顔料を真空下で、基体表面に蒸着して電荷発生層を形成することも可能である。
【0025】
電荷発生層を塗工で形成する場合、そのバインダーは広範な絶縁性樹脂又は有機光導電性ポリマーから選択できる。例えば、絶縁性樹脂としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコールなどを挙げることができる。また、有機光導電性ポリマーとしては、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルビレンなどが挙げられる。絶縁性樹脂と有機光導電性ポリマーの混合物も可能である。
【0026】
電荷発生層の膜厚は0.01〜10μm、好ましくは0.03〜6μmであり、電荷発生層とバインダーとの重量比は10:1〜1:20、好ましくは、2:1〜1:2である。
【0027】
電荷発生層用塗料に用いる溶剤は、使用する樹脂や電荷輸送材料の溶解性や、分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール類、エーテル類、エステル類、スルホキシド類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類あるいは芳香族化合物などを用いることができる。ここで、環境への影響を低減するために、ハロゲン系溶媒以外が好ましい。電荷発生層塗料に0.1重量%のシリコン系レベリング剤を添加することは、塗膜の均一性を保つために有効である。
【0028】
その塗工方法としては、浸漬塗工法、スプレー塗工法、ビーム塗工法、ブレード塗工法などの塗工法が使用可能である。
【0029】
次に、電荷輸送層は、電荷輸送材料を成膜性のある樹脂に溶解させて形成される。本発明に用いられる有機の電荷輸送材料の例としてはオキサゾール系化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、チアゾール系化合物、トリアリールメタン系化合物などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
電荷輸送層に用いるバインダーの例としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アルキド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリアミド、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネートA樹脂、ポリカーボネートZ樹脂、変性ポリカーボネート等のポリカーボネート樹脂、ポリウレタンあるいはこれらの樹脂の繰返し単位のうち2つ以上を含む共重合体、たとえばスチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマーなどを挙げることができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレンなどの有機光導電性ポリマーからも選択することが可能である。
【0031】
電荷輸送層の膜厚は5〜40μm、好ましくは8〜28μmであり、電荷輸送物質とバインダーとの重量比は5:1〜1:5、好ましくは3:1〜1:3程度である。 塗工は前述のような塗工法を使用可能である。
【0032】
電荷輸送層の上に、更に、保護層を設けてもよい。この保護層上に静電潜像を形成するためには表面抵抗率が1011Ω以上であることが望ましい。
【0033】
保護層はアクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネートA樹脂、ポリカーボネートZ樹脂、メタクリル樹脂、ナイロン、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマーなどの樹脂を適当な有機溶剤によって溶解した液を感光層の上に塗布、乾燥して形成できる。この際、保護層の膜厚は、一般に0.05〜10μmの範囲である。この保護層中に紫外線吸収剤などを含ませてもよい。保護層中に無機あるいは有機フィラーを1重量%以上、30重量%以下添加することは、保護層の耐摩耗性を向上させることができ有効である。
【0034】
次に制振材について説明する。制振材は樹脂あるいは金属の棒状体あるいは円筒体からなり、電子写真感光体内部に挿入固定される。樹脂としてはイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、天然ゴム等の各種ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のビニル樹脂、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ABS等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、各種アクリル系樹脂、ナイロン樹脂、各種セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂ポリウレタン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ジアリルファタレート樹脂等が適している。これの樹脂に酸化珪素粉末やガラス繊維を添加しても良い。
【0035】
制振材に使用可能な金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、鉄、鉄合金等が適している。
これらの材料を棒状あるいは円筒状に成形し、電子写真感光体内部に挿入し、固定するが、固定は制振材がゴムやプラスチック等の弾性体の場合は、その弾性を利用して固定すると良い。制振材の弾性が乏しい場合は、水溶性接着材で固定を行なう。ここで使用可能な水溶性接着剤(水溶性粘着剤及び水分散性接着剤も水溶性接着剤として包含される)は特に限定されないが、従来使用されている水溶性接着剤及び粘着剤を用いることができる。
【0036】
例えば、ベースポリマーとして、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの誘導体などのカルボン酸、またそのカルボン酸塩やエステル含有ポリマー、アクリルアミド等を用いることができ、特にスルホン酸又はカルボン酸やこれらの塩を含有するポリメタアクリルアミド、スチレンスルホン酸とその塩、ビニル炭酸やその高重合ポリマー、アミロース、デキストリン、ポリビニルアルコール、ニカワ、アラビアゴム等が好適に使用できる。なかでもスルホン酸塩やカルボン酸塩を含有するアクリル系ポリマーが機械的性能、取扱性及び水溶性等の点で好ましい。
【0037】
またこれらのベースポリマーを柔軟化するために、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルポリオール、多価アルコールなどの水溶性可塑剤を混合してもよく、さらにベースポリマーと可塑剤の相溶性を向上させるため、脂肪酸エステルの完全あるいは部分ケン化物の中和物であるアニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン性界面活性剤、第4級アンモニウム塩を含有するカチオン性界面活性剤などを添加してもよい。接着剤層には水溶性以外の添加物等が含まれていても構わない。また、接着剤の粘度は2000ポイズ以下、特に100ポイズ以下1ポイズ以上とするのが好ましい。
【0038】
水溶性樹脂、例えば、ポリエチルオキサゾリン等の水溶性ポリマーの場合、平均分子量1万〜10万、好ましくは5万〜50万、濃度は10重量%以上、好ましくは20重量%以上が良い。
【0039】
合成高分子系水溶性接着剤としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル共重合体、ポリアミド共重合体、またはポリエステル共重合体からなる水溶性接着剤が使用できる。酢酸ビニル系重合体接着剤の場合、その調製にあたっては、酢酸ビニルを単独で、または他の共重合可能なビニル系単量体を少量共存させて公知の方法でエマルジョン重合を行なって接着剤を作製する。共重合性ビニル単量体としては、例えば、エチレン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン、マレイン酸およびそれらのエステル類がある。保護コロイドとして使用するポリビニルアルコールは、酢酸ビニル系重合固形分に対し、1〜25重量%使用することが必要である。保護コロイドはエマルジョン重合開始時、あるいは途中、またあるいは終了後のいずれの時点においても添加可能であるが、通常は重合の開始時、または途中に添加されることが好ましい。重合触媒は任意の過酸化物(過酸化水素、過硫酸カリウムなど)が使用可能である。その他、各種界面活性剤、他の水溶性保護コロイド、pH調製剤等任意の化合物を併用することもできる。
【0040】
以上のようにして得られる酢酸ビニル系重合体エマルジョンは、そのまま、または必要に応じて可塑剤、高沸点溶剤などの造膜助剤、クレー、炭酸カルシウム、カオリンなどの体質顔料、酸化チタンなどの有色顔料、防腐剤、殺虫剤、増粘剤などを適宜配合し、接着剤として使用する。さらに、金属塩類、グリオキザール、ほう酸などの硬化剤を併用することも可能である。
【0041】
ゼラチンやニカワを含む組成物(以下、ゼラチン系と称する)を接着剤として使用する場合、水を多量に含んだゼリー状配合物を作成して、加温(通常60〜70℃)しゾル化させ、取扱いが容易な液体となった配合物を接着剤として使用する。ゼラチン系接着剤は、ゾルが冷えて室温に戻りゼリー状(ゲル化)になったところで初期接着力が発現し、その後、徐々に水分が失われ水分量が外気と平衡になったところで、更に強固な接着が得られる。このようにゼラチン系接着剤は、一般に水に溶解した加温溶液として用いられ、塗布すると直ちに冷却されてゾル−ゲル変化を起こすので作業性が良く、乾燥すると耐熱性に優れた皮膜を形成する。
水溶性接着材の使用量は、接着材が電子写真感光体からはしみ出さなければ良い。
【0042】
接着剤としてこのように水溶性接着剤を使用することにより、電子写真感光体の再生作業を有機溶剤の蒸気の存在しない、作業者にとって好ましい環境で再生が可能になる。
【0043】
これらの水溶性接着剤でフランジを取り付けた電子写真感光体を水あるいは水系液体に接触させ、数十分以上放置すると、接着部は膨潤軟化するので、フランジが容易に取り外せるようになる。水あるいは水系液体を接触させる方法は各種の方法が使用可能であり、浸漬法、スプレー等が適している。このときの温度は5℃以上、90℃以下が良く、30℃以上、80℃以下がより好ましい。
【0044】
フランジ及び制振材の接着をたとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体系,ポリオレフィン系塩素化ポリプロピレン,合成ゴム系,またはアクリル系の有機溶剤溶解型の接着剤で行ない、電子写真感光体の再生に当たっては、これらの接着剤固化物を溶解可能な有機溶剤を使用して再生を行なうことは可能ではあるが、大気中への炭化水素の放出量の増加や、作業者への溶剤暴露の問題が発生し、好ましいものではない。
【0045】
次にフランジの取り付け方と取り外し方について説明する。
樹脂製フランジは一般にエンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂類、例えば、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS等の熱可塑性樹脂で成形されており、これらはすべて本発明の方法を適用することができる。
本発明において、フランジは水溶性接着剤で電子写真感光体に固定されるか、あるいは、弾性体を介して電子写真感光体に固定される。前者の場合、電子写真感光体のフランジ取り付け部を水あるいは水系溶媒に接触させると固定力が低下するので、フランジの取り外しが可能になる。後者の場合、水あるいは水系溶媒に接触させると、弾性体の表面にこれらの液体が広がり、摩擦係数が低下してフランジが取り外せるようになる。
【0046】
次に本発明の目的とする制振材の取り外し方法について説明する。
本発明では、制振材が弾性体であり、その弾性を利用して制振材を取り付けている場合は、電子写真感光体内部に水あるいは水系溶液、あるいは潤滑性のある粉末を注入し、制振材と電子写真感光体内面の摩擦係数を下げることにより行なう。
また、制振材の取り付けを接着剤で行なう場合は、接着剤に水溶性接着剤を使用し、制振材取り外しに当たっては、電子写真感光体内部に水あるいは水系溶液を注入し、制振材と電子写真感光体内面の接着力を下げることにより行なう。
【0047】
電子写真感光体内部への水や水系液体、及び、潤滑性粉体の注入方法は、フランジに貫通孔を設けておき、再生時にこの貫通孔を通じて電子写真感光体内部に液体あるいは粉体を注入しても良いし、あるいは、フランジを取り外ししてから、電子写真感光体内部に液体あるいは粉体を注入しても良い。フランジに貫通孔がある場合、貫通孔は電子写真感光体を電子写真装置で使用する場合は塞いでおいても良い。
【0048】
電子写真感光体内部に注入する液体は、電子写真感光体と制振材間の摩擦係数を下げ、かつ変質させなければ各種の液体が使用可能であり、水、石鹸を含有した水、界面活性剤を含有した水等が使用可能である。例えば、一般の石鹸や、食器用洗剤、工業用洗剤が使用可能である。その量は電子写真感光体内部の体積に応じて適時選べばよく、数cc以下で充分である。植物油、鉱油も使用可能であるが、再使用に当たっては、念入りな洗浄が必要になる。
【0049】
本発明では上記のように水あるいは水系液体を使用することにより、制振材の材質がゴムやプラスチック等の弾性材料の場合に、該制振材を膨潤させることなく、取り外すことが可能になる。制振材取り外しにおいて、メチルアルコール、エチアルコール、トルエン、アセトン、酢酸エチル等の有機溶剤を使用すると、制振材の材質がゴムやプラスチック等の場合、該制振材を溶解させたり、あるいは膨潤させることになり、取り外しが困難になる。
【0050】
液体の注入方法としては、注射針状の注液ノズルをフランジに入れて、注入してもよく、あるいは、スプレーノズルの先端をフランジに入れて噴霧しても良い。ここで、電子写真感光体を減圧し、液体を注入すると、液体が電子写真感光体内部に充分に行き渡るので効果的である。 電子写真感光体内部に液体を注入後、電子写真感光体を振揺させることも、液体を行き渡らせるのに効果がある。
【0051】
電子写真感光体内部へ注入する粉体としては、滑石粉末、グラファイト等が使用可能である。また、金属ジカルコゲナイドのうち、二硫化モリブデンや二硫化タングステン等の比較的層間距離の離れた層状分子構造を有するものが、優れた潤滑効果を有し、有効である。これらは、粉体を気流で吹き付けたり、あるいは溶媒に分散させて吹き付けることが有効である。
【0052】
ここで、金属ジカルコゲナイド粉末に両性あるいは陽イオン系界面活性剤を含ませることにより、滑剤としての性能を上げることが可能である。ここで、使用可能な金属ジカルコゲナイド潤滑材料としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステンがある。また、両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等がある。また、陽イオン界面活性剤としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテートなどがある。
【0053】
本発明は、制振材を取り外すとき、前記第(6)項に示すように、制振材の片端に対して外部から引く、あるいは内部から押す力を加え、その力を加えた片端が制振材の移動方向の先頭になるように制振材を取り外すことを特徴とする。
【0054】
図8はこの制振材取り外しの実施の形態を示す図であり、(1)は電子写真感光体層を形成した管、(11)と(12)はフランジ、(13)は制振材であり、この制振材は片端が閉じた筒状である。図8において、制振材の取り外しはI、II、III、IVの順で進行する。以下にその工程を説明する。Iは制振材とフランジが取り付けられた電子写真感光体である。IIはフランジを取り外した図である。フランジ取り外しは前述した方法で行なえば良い。フランジを取り外した後、あるいはフランジを取り外す前に、電子写真感光体内部に水あるいは界面活性剤を含有させた水を注入する。IIIは制振材を取り外す様子を示した図であり、電子写真感光体内部に制振材取り外し棒(14)を挿入し、制振材の片端を押して、制振材を取り外している様子である。そして、IVはフランジ(11)、(12)と制振材(13)が取り外された様子を示した図である。
【0055】
図9は制振材を取り外す別の例を示した図である。図9において、(1)は電子写真感光層が形成された管、(11)と(12)はフランジ、(15)は制振材、(16)は制振材取り外し治具である。図9において、制振材の取り外しはI、II、III、IV順で進行する。以下にその工程を説明する。Iは制振材とフランジが取り付けられた電子写真感光体である。IIはフランジを取り外した図である。フランジ取り外しは前述した方法で行なえば良い。フランジを取り外した後、あるいはフランジを取り外す前に、電子写真感光体内部に水あるいは界面活性剤を含有させた水を注入する。IIIは制振材を取り外す様子を示した図であり、電子写真感光体内部の制振材(15)の端部を制振材取り外し治具(16)で加え、制振材を引っ張り出す。IV制振材の片端を加えて引っ張り出している様子を示した図である。
【0056】
図10は制振材を取り外す更に別の例を示した図である。図10において、(1)は電子写真感光層が形成された管、(11)と(18)はフランジ、(17)は制振材である。この実施例ではフランジと制振材(17)は一体化されているか、あるいは連結されている。この方法は、一体成形、接着、接合等の方法が可能である。図10において、制振材の取り外しはI、IIの順で進行する。以下にその工程を説明する。Iは制振材とフランジが取り付けられた電子写真感光体である。IIはフランジと制振材を取り外した図であり、フランジ(18)を取り外すと同時に制振材(17)を引き出すことができる。
【0057】
このように電子写真感光体内部に取り付けられた制振材を取り外す際、制振材の片端に対して外部から引く、あるいは内部から押す力を加え、その力を加えた片端が制振材の移動方向の先頭になるように制振材を取り外すと、制振材は引っ張られながら取り外すことになり、このとき、制振材が弾性体でできている場合は、制振材は軸方向の寸法が伸び、外径は細くなる。制振材の寸法がこのように変化することにより、制振材の取り外しが容易になる。
【0058】
以上述べた方法で、制振材を取り外すとき、制振材あるいは電子写真感光体を細かく振動させながら取り外すと、取り外しが容易となる。電子写真感光体を液体の入った槽に浸漬し、超音波を照射しながら取り外しても良い。
【0059】
以上述べた方法で、制振材とフランジを取り外した基体は、金属として再生しても良く、あるいは、感光層を再形成しても良い。同様に制振材とフランジもそれぞれの材料として再生しても良く、あるいは、電子写真感光体の部品として使用しても良い。本発明に述べた方法によれば、基体、制振材、フランジを損傷なく取り外すことが可能になり、これらの再利用が容易になる。特に今まで制振材をシアノアクリレート樹脂や硬化型接着剤で接着していた場合、これらを完全に除去することは困難であったが、本発明が示すように、水溶性接着剤を使用するか、あるいは弾性体を使用することにより、電子写真感光体の再生に当たり、接着剤が残ることなく再生することが可能になる。
【0060】
実施例と比較例を説明する前に、実施例と比較例で使用するアルミ管の表面に電子写真層を形成した管状体(以下、電子写真感光体管と略す)の作製法から説明する。
【0061】
(1)基体の作成
アルミニウム合金JIS規格A6063材をポートホール押出し法により外径φ30.1mm、内径φ28.5mmのパイプ状に連続押出しし、それを長さ254mmにカットして円筒シリンダーとした。これを粗素管と呼ぶ。
【0062】
(2)切削加工
粗素管の表面を昌運製旋盤でフラットバイトを使用し、切削加工を行なった。
切削加工を終えたアルミ管を素管と呼ぶ。
【0063】
(3)洗浄
切削加工を終えた素管を、界面活性剤を含有した水槽に浸漬し、超音波を照射して5分間洗浄した。ここで、界面活性剤を入れた超音波層は5槽用意し、素管を順次入れ替えて洗浄した。最後に純水を基体に噴霧し、すすぎ洗浄を行なった。
【0064】
(4)下引き層の形成
次いで、この素管表面に下記の組成からなる樹脂塗料を浸漬法で塗布し、次いで150℃で15分間加熱し、熱硬化させて、素管表面に厚さ5μmの下引き層を形成させた。
酸化チタン            20重量部
アルキッド樹脂          10重量部
メラミン樹脂           10重量部
メチルエチルケトン        60重量部
【0065】
(5)電荷発生層の形成
次いで、この下引き層上に、電荷発生層を積層形成するために下記の組成からなる樹脂塗料(塗工樹脂液)を調製し、上記基体に同じく浸漬法でこの樹脂塗料を塗布し、100℃で10分間乾燥し、下引き層上に電荷発生層を積層形成させた。
ブチラール樹脂(UCC社製 XYHL)     1重量部
ジスアゾ顔料[下記(1)式]          9重量部
シクロヘキサノン               30重量部
テトラヒドロフラン(THF)         30重量部
【0066】
【化1】
Figure 2004101825
式(1)
【0067】
(6)電荷輸送層の形成
さらに、この電荷発生層上に電荷輸送層を積層形成するために下記の組成からなる樹脂塗料(塗工樹脂液)を調製し、上記基体に同じく浸漬法でこの樹脂塗料を塗布し、塗布後120℃で15分間乾燥し、電荷発生層上に電荷輸送層を積層形成させた。
ポリカーボネート樹脂            10重量部
電荷移動剤[下記(2)式]         10重量部
ジクロロメタン               80重量部
なお、ポリカーボネート樹脂は帝人社製のパンライトK−1300を使用した。
【0068】
【化2】
Figure 2004101825
式(2)
以上のようにして電子写真感光体管を作製した。
【0069】
【実施例】
以下にフランジ取り外しの実施例及び比較例を説明する。
(実施例1)
図1に実施例1でのフランジ取り付けの構造図を断面図で示す。図1において、(1)は電子写真感光体管、(2)はフランジ、(3)はフランジを電子写真感光体管へ接着した接着部である。ここで、電子写真感光体管の内径は28.5mm、フランジの電子写真感光体管への挿入部の外径は平均28.45mmであった。フランジと電子写真感光体管の接着は濃度35重量%のポリエチルオキサゾリン水溶液を使用した。ここで使用したポリエチルオキサゾリンの平均分子量は約35万であった。
フランジ取り付け後24時間経過した時点で、フランジ対し電子写真感光体の軸方向でかつフランジが外れる方向の力を徐々に加え、フランジが外れる力を求めたところ、約140Nでフランジが外れた。
【0070】
このようにしてフランジを取り付けた電子写真感光体を、温度45℃の温水に12時間浸漬後、フランジが外れる力を同様に測定したところ、約70Nであった。フランジの外周に一致する治具を用意し、フランジを回転させたところ、フランジを容易に取り外すことができた。
【0071】
(実施例2)
図2に実施例2でのフランジ取り付けの構造図を断面図で示す。図2において、(1)は電子写真感光体管、(4)はフランジ、(3)はフランジを電子写真感光体管へ接着した接着部である。この実施例では、フランジ(4)に孔(4a)があり、再生時にこの孔(4a)から水が入り、接着部(3)を軟化させ、分解を容易にする効果がある。ここで、電子写真感光体管(1)の内径は28.5mm、フランジ(4)の電子写真感光体管への挿入部の外径は平均28.45mmであった。フランジ(4)と電子写真感光体管(4)の接着はアクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ナトリウム、及び、アクリル酸からなる共重合体にポリオキシアルキル化グリセリンを可塑剤として配合し、水で希釈した粘度75ポイズの水溶性接着剤で行なった。
フランジ取り付け後24時間経過した時点で、フランジ対し電子写真感光体の軸方向でかつフランジが外れる方向の力を徐々に加え、フランジが外れる力を求めたところ、約150Nでフランジが外れた。
【0072】
このようにしてフランジを取り付けた電子写真感光体を、温度45℃の温水に12時間浸漬後、フランジが外れる力を同様に測定したところ、約60Nであった。フランジの外周に一致する治具を用意し、フランジを回転させたところ、フランジを容易に取り外すことができた。
このように、フランジを図2に示す構造にすることによって、フランジ接着部の膨潤・軟化が速やかに進行する。
【0073】
(実施例3)
図3に実施例3でのフランジ取り付けの構造図を断面図で示す。図3において、(1)は電子写真感光体管、(5)はフランジ、(3)はフランジを電子写真感光体管へ接着した接着部である。この実施の形態では、フランジ(5)には孔(5a)があり、これは内部に貫通している。フランジをこのような構造にすることによって、フランジ接着部の膨潤軟化が速やかに進行するだけでなく、制振材の取り外しも容易になる利点がある。
【0074】
ここで、電子写真感光体管(1)の内径は28.5mm、フランジ(4)の電子写真感光体管への挿入部の外径は平均28.45mmであった。
フランジ(4)と電子写真感光体管(4)の接着はアクリル酸アルコキシエチルとスチレンスルホン酸ナトリウムの共重合体にポリエーテルポリオール系の可塑剤を配合した粘度ポイズの水溶性接着剤を使用した。
フランジ取り付け後24時間経過した時点で、フランジ対し電子写真感光体の軸方向でかつフランジが外れる方向の力を徐々に加え、フランジが外れる力を求めたところ、約120Nでフランジが外れた。
【0075】
このようにしてフランジを取り付けた電子写真感光体を、温度45℃の温水に12時間浸漬後、フランジが外れる力を同様に測定したところ、約55Nであった。フランジの外周に一致する治具を用意し、フランジを回転させたところ、フランジを容易に取り外すことができた。
フランジを図3に示す構造にすることによって、フランジ接着部の膨潤軟化が速やかに進行する。
【0076】
実施例1、2、3において、フランジ取り付け部を水槽に浸漬したとき、同時に超音波を照射すると、接着剤の軟化がより進行し、フランジの取り外しはより容易になる。
【0077】
(実施例4)
図4に実施例4でのフランジ取り付けの構造図を断面図で示す。図4において、(1)は電子写真感光体管、(2)はフランジ、(6)は弾性体である。ここで、電子写真感光体管(1)の内径は28.5mm、フランジ(4)の電子写真感光体管への挿入部の外径は平均24.05mmであった。弾性体(6)の厚さは非圧縮時には2mmであった。弾性体(6)は圧縮されており、フランジ(2)を電子写真感光体(1)へ固定している。また、弾性体(6)の幅は非圧縮時において21mmであった。
フランジ取り付け後に、フランジ対し電子写真感光体の軸方向でかつフランジが外れる方向の力を徐々に加え、フランジが外れる力を求めたところ、約96Nでフランジが外れた。
【0078】
このようにしてフランジを取り付けた電子写真感光体を、温度45℃の温水に12時間浸漬後、フランジが外れる力を同様に測定したところ、約35Nであった。フランジの外周に一致する治具を用意し、フランジを回転させたところ、フランジを容易に取り外すことができた。
このような構造のフランジ取り付け部に水あるいは水系溶液を供給することにより、弾性体(6)と電子写真感光体(1)の摩擦係数が下がり、フランジを取り外すことが可能になる。
また、このときフランジ取り付け部に超音波を照射すると、フランジの取り外しはより容易になる。
【0079】
(比較例1)
フランジと電子写真感光体管の接着を二液硬化型エポキシ接着剤で行なった以外は、実施例1と同様にしてフランジの接着を行なった。
フランジ取り付け後24時間経過した時点で、フランジ対し電子写真感光体の軸方向でかつフランジが外れる方向の力を徐々に加え、フランジが外れる力を求めたところ、約180Nでフランジが外れた。
【0080】
このようにしてフランジを取り付けた電子写真感光体を、温度45℃の温水に12時間浸漬後、フランジが外れる力を同様に測定したところ、約170Nであった。フランジの外周に一致する治具を用意し、フランジを回転させたところ、フランジを取り外すことはできなかった。
【0081】
(比較例2)
弾性体の幅が2mmであること以外は実施例4と同様にしてフランジ取り付けを行なった。
フランジ取り付け後に、フランジ対し電子写真感光体の軸方向でかつフランジが外れる方向の力を徐々に加え、フランジが外れる力を求めたところ、約26Nでフランジが外れた。電子写真感光体として使用するには50Nでもフランジが外れない必要があり、比較例2の26Nでは不足である。
このようにしてフランジを取り付けた電子写真感光体を、温度45℃の温水に12時間浸漬後、フランジが外れる力を同様に測定したところ、約11Nであった。フランジの外周に一致する治具を用意し、フランジを回転させたところ、フランジを簡単に外れた。
【0082】
(実施例1〜4と、比較例1、2の評価結果)
以上の実施例1〜4、比較例1、2によって、本発明の効果が確認できた。
次に、感光体内部に取り付けられた制振材の取り外しについて説明する。
【0083】
(実施例5)
図5に実施例5における電子写真感光体管へ制振材の取り付け状態を断面図で示す。図において(1)は電子写真感光体管であり、この内径は28.5mmである。また、(7)は制振材であり、これは外径30mm、内径20mm、220mmのブチルゴムである。
実施例5において、制振材はその弾性を利用して電子写真感光体管へ取り付けられている。
【0084】
このような方法で制振材を取り付けた電子写真感光体を温度40℃の水が入った水槽に入れ、超音波を5分照射後1時間放置してから、電子写真感光体の内部の制振材の端部を図示されていない制振材治具で把持し、制振材を引っ張ったところ、容易に制振材を取り出すことができた。
ここで、制振材に管の壁方向に孔やスリットがあると、電子写真感光体内部に液体や粉体を注入したとき、その広がりが迅速に行なわれる。
【0085】
(実施例6)
図7に実施例6における電子写真感光体管へ制振材の取り付け状態を断面図で示す。図において(1)は電子写真感光体管であり、この内径は28.5mmである。また、(9)は制振材であり、これは外径28.4mm、内径20mm、220mmのアルミニウム管である。また、(10)は水溶性接着剤であり、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ナトリウム、及び、アクリル酸からなる共重合体にポリオキシアルキル化グリセリンを可塑剤として配合し、水で希釈した粘度75ポイズの水溶性接着剤で接着した。
このような方法で制振材を取り付けた電子写真感光体を温度40℃の水が入った水槽に入れ、超音波を5分照射後12時間放置してから、実施例5と同様にして制振材を取り出したところ、容易に制振材を取り出すことができた。
【0086】
以上の実施例5、実施例6によって、本発明の効果が確認できた。
【0087】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明により、本発明の電子写真感光体は、その電子写真感光体のフランジの少なくとも片側から電子写真感光体内部に対し液体あるいは粉体の注入が可能な構造になっているので、電子写真感光体内部への液体あるいは粉体の注入が容易に行なえ、その液体あるいは粉体によってフランジ及び制振材の取り付け強度を下げることができ、したがって、電子写真感光体の再生を容易に行なえる。
また、フランジの電子写真感光体への取り付けが電子写真感光体端部の折り曲げ加工なく取り付けられているので、フランジおよび制振材取り外しに当たり、障害なく行なうことが可能であり、したがって、電子写真感光体の再生を容易に行なえる。
【0088】
また、本発明により、電子写真感光体のフランジの少なくとも片側から電子写真感光体内部に対し液体あるいは粉体を注入し、電子写真感光体内面と制振材の摩擦係数を下げているので、電子写真感光体の基体、制振材、及びフランジに損傷なく分離・分解が可能であり、したがって、電子写真感光体の再生を容易に行なえる。
また、電子写真感光体内部に液体あるいは粉体を注入し、電子写真感光体内面と制振材の取り付け強度を、液体あるいは粉体を注入する以前の2/3以下に下げているので、電子写真感光体の基体、制振材、及びフランジに損傷なく分離・分解が可能であり、したがって、電子写真感光体の再生を容易に行なえる。
また、電子写真感光体内に注入する液体が石鹸あるいは界面活性剤の水溶液であるので、フランジと電子写真感光体の摩擦力、あるいは制振材と電子写真感光体の摩擦力を下げることができ、したがって、電子写真感光体の基体、制振材、及びフランジに損傷なく分離・分解が可能であり、電子写真感光体の再生を容易に行なえる。また、水あるいは水系液体を使用することにより、制振材の材質がゴムやプラスチック等の弾性材料の場合に、該制振材を膨潤させることなく、取り外すことが可能になる。制振材取り外しにおいて、メチルアルコール、エチルアルコール、トルエン、アセトン、酢酸エチル等の有機溶剤を使用すると、制振材の材質がゴムやプラスチック等の場合、該制振材を溶解させたり、あるいは膨潤させることになり、取り外しが困難になる問題がある。
【0089】
本発明の電子写真感光体の制振材取り外し方法は、電子写真感光体内部に取り付けられた制振材を取り外す際、制振材の片端に対して外部から引く、あるいは内部から押す力を加え、その力を加えた片端が制振材の移動方向の先頭になるように制振材を取り外すと、制振材は引っ張られながら取り外すことになり、このとき、制振材が弾性体で出来ている場合は、制振材は軸方向の寸法が伸び、外径は細くなる。制振材の寸法がこのように変化することにより、制振材の取り外しが容易になる。
【0090】
また、本発明の電子写真感光体は、電子写真感光体はその内部に挿入された制振材の固定が、水溶性接着剤で行なわれているので、制振材の取り外しに当たって水あるいは水系溶液で再生処理を行なうことが可能であり、したがって、有機溶剤を使用して分解を行なうときのような有機溶剤の拡散大気放出がなく、また作業者が有機溶剤を吸引することがなく、良好な環境での再生が可能になる。
また、その内部に挿入された制振材に孔径10mm以下、0.01mm以上の孔が1個あるいは複数個穿孔されており、前記第(2)項に示す方法で制振材を取り外すとき、内部に注入した液体あるいは粉体が、電子写真感光体内面と制振材の当接面に広がり易くなっているので、迅速に制振材の取り外しが行なえる。
また、その内部に挿入された制振材に長さ5mm以上、幅1mm以下、0.01mm以上のスリットが1個あるいは複数個設けられており、前記第(2)項に示す方法で制振材を取り外すとき、内部に注入した液体あるいは粉体が、電子写真感光体内面と制振材の当接面に広がり易くなっているので、迅速に制振材の取り外しが行なえる。
また、本発明の電子写真感光体は、その端部に取り付けられたフランジの固定が、水溶性接着剤で行なわれているので、フランジの取り外しに当たって水あるいは水系溶液で再生処理を行なうことが可能であり、したがって、有機溶剤を使用して分解を行なうときのような有機溶剤の拡散大気放出がなく、また作業者が有機溶剤を吸引することがなく、良好な環境での再生が可能になる。
また、フランジ取付け部を水あるいは水系溶液に浸漬することにより、フランジの取付け強度が、浸漬以前のフランジ取付け強度の2/3以下になるので、フランジの取り外しに当たって水あるいは水系溶液で再生処理を行なうことが可能であり、したがって、また、取り付け強度が2/3以下になっているので、容易にフランジの取り外しが可能になる。
【0091】
また、本発明の電子写真感光体の再生方法は、フランジが取付けられた電子写真感光体を、水あるいは水系溶液に浸漬し、フランジの電子写真感光体への取付け強度を下げ、フランジを取り外すので、フランジの取り外しに当たって水あるいは水系溶液で再生処理を行なうことが可能であり、したがって、有機溶剤を使用して分解を行なうときのような有機溶剤の拡散大気放出がなく、また作業者が有機溶剤を吸引することがなく、良好な環境での再生が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるフランジ取り付けの構造図である。
【図2】実施例2におけるフランジ取り付けの構造図である。
【図3】実施例3におけるフランジ取り付けの構造図である。
【図4】実施例4におけるフランジ取り付けの構造図である。
【図5】実施例5における制振材取り付けの構造図である。
【図6】管壁に孔を有する制振材を電子写真感光体管へ取り付けた図である。
【図7】実施例6における制振材取り付けの構造図である。
【図8】制振材を取り外す過程の例を示した図である。
【図9】制振材を取り外す過程の別の例を示した図である。
【図10】制振材を取り外す過程の更に別の例を示した図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体管
2 フランジ
3 接着部
4 フランジ
4a フランジの孔
5 フランジ
5a フランジの孔
6 弾性体
7 制振材
8 管壁に孔を有する制振材
8a 制振材の管壁の孔
9 制振材
10 接着部
11 フランジ
12 フランジ
13 制振材
14 制振材を取り外すための棒
15 制振材
16 制振材を取り外すための治具
17 制振材
18 フランジ

Claims (14)

  1. 管状又は筒状電子写真感光体のフランジの少なくとも片側から電子写真感光体内部に対し、液体あるいは粉体の注入が可能な構造になっていることを特徴とする電子写真感光体。
  2. フランジの電子写真感光体への取り付けが電子写真感光体端部の折り曲げ加工なく取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 管状又は筒状電子写真感光体のフランジの少なくとも片側から電子写真感光体内部に対し、液体あるいは粉体を注入し、電子写真感光体内面と制振材の摩擦係数を下げ、該制振材を取り外すことを特徴とする、電子写真感光体の再生方法。
  4. 液体あるいは粉体を注入し、電子写真感光体内面と制振材の取り付け強度を、液体あるいは粉体を注入する以前の2/3以下に下げ、該制振材を取り外すことを特徴とする、請求項3に記載の電子写真感光体の再生方法。
  5. 電子写真感光体内に注入する液体が水、あるいは石鹸や界面活性剤の水溶液であることを特徴とする、請求項3に記載の電子写真感光体の再生方法。
  6. 管状又は筒状電子写真感光体内部に取り付けられた制振材を取り外す際、制振材の片端に対して外部から引く、あるいは内部から押す力を加え、その力を加えた片端が制振材の移動方向の先頭になるように制振材を取り外すことを特徴とする、制振材の取り外し方法。
  7. 管状又は筒状電子写真感光体内部に挿入された制振材の固定が、水溶性接着剤で行なわれていることを特徴とする、電子写真感光体。
  8. 管状又は筒状電子写真感光体内部に挿入された制振材に孔径10mm以下、0.01mm以上の孔が1個あるいは複数個穿孔されており、請求項2に記載の方法で制振材を取り外すとき、内部に注入した液体あるいは粉体が、電子写真感光体内面と制振材の当接面に広がり易くなっていることを特徴とする、電子写真感光体。
  9. 管状又は筒状電子写真感光体内部に挿入された制振材に長さ5mm以上、幅1mm以下、0.01mm以上のスリットが1個あるいは複数個設けられており、請求項2に記載の方法で制振材を取り外すとき、内部に注入した液体あるいは粉体が、電子写真感光体内面と制振材の当接面に広がり易くなっていることを特徴とする、電子写真感光体。
  10. 管状又は筒状電子写真感光体の端部に取り付けられたフランジの固定が、水溶性接着剤で行なわれていることを特徴とする、電子写真感光体。
  11. フランジが取付けられた管状又は筒状電子写真感光体であって、フランジ取付け部を水あるいは水系溶液に浸漬することにより、フランジの取付け強度が、浸漬以前のフランジ取付け強度の2/3以下になることを特徴とする電子写真感光体。
  12. フランジが取付けられた管状又は筒状電子写真感光体を、水あるいは水系溶液に浸漬し、フランジの電子写真感光体への取付け強度を下げ、フランジを取り外すことを特徴とする電子写真感光体の再生方法。
  13. 請求項3乃至6の何れかに記載の電子写真感光体の再生方法で再生したことを特徴とする、制振材および電子写真感光体。
  14. 請求項12に記載の電子写真感光体の再生方法で再生したことを特徴とする、フランジおよび電子写真感光体。
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