JP3643332B2 - 粉体単層皮膜積層体の形成方法 - Google Patents

粉体単層皮膜積層体の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基体上の結着層表面に、各粒子の一部が突出する状態で単層に埋め込まれた多数の粉体粒子からなる粉体単層皮膜を有する粉体単層皮膜積層体の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基体上の結着層表面に、各粒子の一部が突出する状態で多数の粉体粒子が単層に埋め込まれた粉体単層皮膜積層体については、既に特開2000−171618号公報、特開2001−074920号公報、特開2001−098386号公報、特開2001−100012号公報、特開2001−108805号公報等に記載されている。これらの特許公報によると、これらの粉体単層皮膜は、基体上に粘着剤を用いて結着層を設け、この結着層にフィラー(粉体)を加圧媒体(メディア)によって埋め込み、更に余剰フィラーを除去する方法によって作製することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の特許公報に記載の製造方法に従えば、従来にない均一性の高い良好な粉体単層皮膜を作製することができるが、得られた粉体単層皮膜積層体は耐擦傷性に劣り、また汚れを拾い易い等の問題があった。これらの問題は、結着層の形成に粘着剤を使用していることに起因するものであるが、上記の製造方法の原理からみても、粘着剤による結着層の形成は必須の工程であり、上記の問題を解決すべき手段は見出だされていない。
したがって、本発明は、従来の技術における上記の問題点を解消することを目的とするものである。すなわち、本発明の目的は、耐擦傷性に優れ、また汚れの付き難い粉体単層皮膜積層体の形成方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、粉体単層皮膜積層体の基本的作製方法を変更せずに上記の問題を解決する方法について検討した結果、結着層の持つ粘着性は、粉体粒子を付着させ、これを埋め込む際にのみ必要な機能であって、その前後では必ずしも必要でないことに気付いた。そして、結着層の構成材料として、従来の粘着剤を使用する代わりに、室温以上の或る温度のTgを有する高分子樹脂の有機溶剤溶液等を用いることにより、これらの問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、基体上に設けられた結着層と、その表面に各粒子の一部が突出する状態で単層に埋め込まれた多数の粉体粒子からなる粉体単層皮膜とを有する粉体単層皮膜積層体を形成するに際して、(1)基体の少なくとも一方の面に、高分子樹脂を有機溶剤または水に含有させた塗布液、または液状硬化性成分を含有する塗布液を塗布し、乾燥または硬化して、有機溶剤または水または液状硬化性成分が一部残留して粘着性を示す被覆層を形成する工程、(2)形成された被覆層の表面に粉体粒子を付着させ、埋め込む工程、(3)被覆層の表面に存在する余剰な粉体粒子を除去し、かつ、被覆層に残留している有機溶剤または水を除去するか、または液状硬化性成分を硬化することによって粉体粒子が埋め込まれた結着層を形成する工程を含み、そして前記結着層がTg60℃以上またはTgを有しないことを特徴とする。
【0006】
ここでTgはガラス転移温度を意味し、DSCまたは動的粘弾性率測定装置等を使用して測定することができる。なお、本明細書において、「単層」とは、結着層の表面に粉体粒子が一並びだけ並んだ状態を意味し、「粉体単層皮膜」は、その状態の皮膜、すなわち単粒子層を意味する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳記する。
まず、第1の工程において、基体の少なくとも一方の面に、有機溶剤または液状硬化性成分が一部残留した状態の粘着性を有する被覆層を形成する。基体としては、金属、プラスチック、ゴム、紙、ガラス、セラミックス等の各種の材質を用いたものが使用でき、またその形状も、板状、棒状、線材、ブロック、シート等の種々のものが適用可能である。しかしながら、均一な厚さの結着層を基体上に生産性良く設けることができる点から、ロール形状に巻き取り可能なシート状の基体が好ましく使用される。このようなシート状の基体としては、紙、各種の合成樹脂フィルム、シート状ゴム、金属箔、及びこれらの積層品等があげられる。合成樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セロファン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、シクロオレフィン樹脂等があげられる。これらの樹脂は単独で、または混合して使用することができ、更には2種以上の合成樹脂フィルムを積層したものを用いることができる。
【0008】
また、シート状の基体は、その用途により透明なものでも不透明なものでも使用可能であり、その厚さは、生産性を考慮すると1μm〜5mmの範囲のものが好ましい。合成樹脂フィルムの場合、フィルム中に微小な発泡を有し、剛性の低い材料よりなるものであれば、5mmよりも厚いものでも使用可能である。なおこれらのシート状の基体は、無垢のものを使用することもできるが、裏面も含めて予め他の層を設けた後で使用することもできる。
【0009】
上記基体の少なくとも一方の面に、高分子樹脂を有機溶剤または水に含有させた塗布液、または液状硬化性成分を含有する塗布液を塗布し、乾燥または硬化して、有機溶剤または水、または液状硬化性成分が一部残留して粘着性を示す被覆層を形成する。
【0010】
まず、高分子樹脂を有機溶剤または水に含有させた塗布液について説明する。この塗布液に含有させる高分子樹脂としては、常温で固体の熱可塑性樹脂および常温で固体の熱硬化性樹脂が使用され、そしてガラス転移温度Tgが60℃以上のものが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(Tg:85℃)、ポリビニルアセタール(Tg:110℃)、ポリビニルブチラール(Tg:60〜90℃)、ポリメチルメタクリレート(Tg:105℃)及びメチルメタクリレート共重合体に代表されるアクリル樹脂、ポリスチレン(Tg:100℃)及びスチレン共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリアクリロニトリル(Tg:97〜125℃)及びアクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル(Tg:81〜98℃)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(Tg:65℃)、ポリエチレンテレフタレート(Tg:80〜100℃)に代表されるポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート(Tg:145℃)、エポキシ樹脂、セルロースアセテートブチレート(Tg:85〜140℃)およびセルロースアセテートプロピオネート(Tg:140〜160℃)に代表されるセルロース系樹脂等があげられる。これらの樹脂は単独で、または混合して、更にグラフト重合等により変性して使用することができる。またこれらの樹脂には、必要に応じてメラミン、エポキシ化合物、イソシアネート化合物等の各種硬化剤を添加することができ、それにより最終的に架橋することによって、結着層の耐擦傷性の向上を図ることができる。
【0011】
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂等があげられ、それぞれ適切な硬化剤、硬化促進剤を含有させて使用することができる。
【0012】
上記の高分子樹脂は、それを有機溶剤または水に溶解または分散して溶液やエマルジョンの形態の塗布液として、基体上に塗布されるが、それらの形態の塗布液を作製するための有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、セロソルブ、カルビトール等のエーテル類、トルエン、キシレン、ゴム揮発油、ミネラルスピリット等の炭化水素類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤等があげられ、これらは単独で、または混合して使用することができる。その場合、揮発性の異なる2種類以上の有機溶剤を混合して使用するのが好ましく、それにより、高沸点溶剤を残留させて被覆層に粘着性をもたせることができる。また、水と混合したものを用いてもよい。
【0013】
本発明において上記の塗布液には、上記熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は単独で含有されていてもよいし、両者が混合された状態で含有されていてもよい。また、塗布液に含有される高分子樹脂は、高分子樹脂全体の60重量%以上が、60℃以上のTgを有する高分子樹脂であるのが好ましく、さらに好ましくは80重量%以上が60℃以上のTgを有する高分子樹脂よりなるものである。
【0014】
次に、液状硬化性成分を含有する塗布液について説明する。この塗布液に含有させる液状硬化性成分とは、加熱や光照射によって硬化させる前の状態が常温で液状の熱硬化性樹脂成分および光硬化性樹脂成分を意味する。具体的には、初めは未硬化で液状または流動性を有するが、加熱や光照射により重合や架橋が進んで最終的にTgが60℃以上、または実質的にTgを有しない熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂となるオリゴマーおよびモノマーがあげられる。さらにまた、水ガラスやアルコキシシランの加水分解縮合物等の硬化させる前の状態が常温で液状の無機系材料をあげることができる。
【0015】
上記のような液状硬化性成分は、その1種または2種以上をそのまま塗布液として使用してもよいし、下記に述べる硬化剤、硬化促進剤、光重合開始剤等を配合した組成物の形態の塗布液として使用してもよい。
【0016】
熱硬化性樹脂のオリゴマーおよびモノマーとしては、具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂等のオリゴマーおよびモノマーがあげられる。これらはそれぞれ適切な硬化剤、硬化促進剤、光重合開始剤等を混合して使用することができる。
【0017】
エポキシ樹脂のオリゴマーおよびモノマーとしては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、脂環式等の化合物が使用可能であり、アミン系、ポリアミノアミド系、酸無水物系、イミダゾール系等の硬化剤と組み合わせて加熱により硬化することができる。
【0018】
液状ビスフェノールA型エポキシ化合物とアミン系硬化剤の組み合せの場合は、硬化剤の種類、配合比や硬化条件により異なるが、硬化した結着層のTgは概ね100〜150℃を示す。またエポキシ樹脂のオリゴマーおよびモノマーは、光カチオン重合開始剤を添加すれば紫外線照射で硬化することが可能であり、その場合、液状ビスフェノールA型エポキシ化合物の硬化物で約110℃、脂環式エポキシ化合物の硬化物で約130℃のTgを示すものとなる。
【0019】
光硬化性樹脂のオリゴマーおよびモノマーとしては、アクリルオリゴマー、アクリルモノマー、光重合開始剤を必須成分とし、光ラジカル重合反応により硬化皮膜を与えるものを使用することができる。アクリルオリゴマーとしては、多価アルコールと多塩基酸とから作製されるポリエステルにアクリロイル基を導入したポリエステルアクリレート、ビスフェノールA型、ノボラック型、脂環式等のエポキシ樹脂にアクリロイル基を導入したエポキシアクリレート、ポリエステルのヒドロキシル基に多価イソシアネート化合物を反応させ、更に残りのイソシアネート基にヒドロキシル基を有するアクリレートを反応させて得られるポリウレタンアクリレート等があげられる。アクリルモノマーとしては、架橋密度を上げるためのものとして、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能アクリレートがあげられ、粘度調整や硬化物性改良のためのものとして、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート等の単官能アクリレートがあげられる。これらの選定に当たっては、経口毒性や一次皮膚刺激率(PII)も考慮すべきである。
【0020】
光重合開始剤は、紫外線を吸収して上記アクリルオリゴマーやアクリルモノマーの重合反応を開始させるものであり、その反応機構によりラジカル反応型とイオン反応型とに分類される。ラジカル反応型としては、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール等の開裂型、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン等の水素引き抜き型があげられ、イオン反応型としては、PF6 - やSb F6 - 等を陰イオンとするジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリア リールスルホニウム塩等のカチオン重合開始剤があげられる。なお、このカチオン重合開始剤は、アクリル系樹脂のオリゴマーおよびモノマーのみならず、上記のエポキシ樹脂のオリゴマーおよびモノマーやビニルエーテル化合物、オキセタン化合物を重合させることができるものである。また、硬化を促進するためにアミン系化合物等の増感剤、分光増感を図るために各種色素等を添加することもできる。なお光硬化性の材料で、特に多官能モノマーの含有率が高いハードコート材料等を用いた場合は、3次元架橋が高度に進むためTgを有しない結着層を形成することができる。
【0021】
本発明においては、前記した高分子樹脂を有機溶剤または水に含有させた塗布液と液状硬化性成分を含有させた塗布液とを混合して使用してもよい。また、粉体粒子を埋め込む際の被覆層の粘着性を増すために、上記の液状硬化性成分と上記のTg60℃以上の熱可塑性樹脂とを混合して使用することも可能である。
【0022】
本発明において、上記の塗布液には、必要に応じて、カップリング剤、表面張力調整剤、着色顔料、染料、ワックス、増粘剤、酸化防止剤、防錆剤、抗菌剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0023】
本発明の粉体単層皮膜積層体の形成方法では、まず基体の少なくとも一方の面に上記の塗布液を塗布するが、塗布方法としては各種の塗工法および印刷法等が使用できる。塗工法としては、エアードクターコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、キスコーティング、スプレーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等があげられる。また印刷法としては、フレキソ印刷等の凸版印刷法、ダイレクトグラビア印刷、オフセットグラビア印刷等の凹版印刷法、オフセット印刷等の平版印刷法、スクリーン印刷等の孔版印刷法等があげられる。本発明においては、これらの塗工法及び印刷法のうち、基体の種類や形状により最適の方法を選択すればよいが、フィルム状基体の場合は、基体を一定の速度で移動させながら連続して行う塗布方法が採用できる。
【0024】
塗布液を塗布した後、形成された被覆層は乾燥または予備硬化させるが、被覆層は、少なくとも粉体粒子を単層に埋め込む時までは、有機溶剤、水または液状硬化性成分が残留していて、粉体粒子を付着せしめるのに充分な粘着性を発現させることが必要である。したがって本発明では、有機溶剤または水を用いた塗布液の場合は、塗布液を塗工した後、有機溶剤または水を完全に揮発させることなく、その一部を残留させることにより必要な粘着性を持たせることにある。また、液状硬化性成分を含む塗布液の場合は、液状硬化性成分を部分的に硬化させて半硬化状態とすることによって、必要な粘着性を持たせることになる。なお、本発明において、液状硬化性成分が一部残留するとは、上記のように液状硬化性成分が半硬化状態のものとなって残留することを意味する。本発明において、上記の乾燥または予備硬化における乾燥条件または硬化条件は特に限定されるものではなく、有機溶剤、水、または液状硬化性成分の一部が残留して、粉体粒子が付着するのに充分な粘着力を有する被覆層が形成されるように適度に調整すればよい。この際の粘着力としてはJIS−Z−0237:1980に示される180°剥離強度が、100g/25mm以上であることが好ましい。
なお、前記粘着性を有する被覆層を設けた後で、下記第2の工程に入る前に、被覆層に剥離フィルム等を貼り合わせて一時保管することも可能であり、これにより製造管理に柔軟性をもたせることが可能となる。
【0025】
次いで、第2の工程として、形成された被覆層の表面に粉体粒子を付着させ、埋め込むが、被覆層の厚さは、埋め込む粉体粒子の粒子径の0.01〜2倍、特に0.5〜2倍が好ましい。被覆層の厚さが粉体粒子径の0.01倍より薄いと、粉体粒子を被覆層に付着させる際に、粉体粒子の脱落が発生し易くなり、また2倍より厚いと、埋め込まれ過ぎて表面に粉体粒子が突出する状態にならなくなったり、粉体粒子層の表面に被覆層形成材料がしみ出して他の粉体粒子が付着し、粉体単層皮膜が形成されなくなる場合が生じる。なお、本発明において、粉体粒子の付着と埋め込みは、後述のように分離した操作としてではなく、一つの操作によって行ってもよい。
【0026】
本発明において粉体粒子としては、各種のものが使用可能であるが、無機物からなる粉体粒子の具体例としては、アルミニウム、亜鉛、銅、金、銀、ニッケル、タングステン、鉄、セリウム、チタン等の金属およびこれらの合金、酸化物、窒化物及び珪化物、カーボンブラック、ダイヤモンド、グラファイト、シリカ、ガラス、アトマイズケルメット、青銅、ソジウムモンモリナイト、ジルコン砂、炭化珪素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、カオリン、タルク、セリサイト及び炭酸カルシウム等の粉体粒子があげられる。また有機物からなる粉体粒子としては、各種樹脂から形成されるものであり、具体的にはアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の粉体粒子があげられるが、これらの樹脂からなる粉体粒子は、被覆層に含まれる有機溶剤及び液状硬化性成分に溶解しないものを選択する必要がある。また被覆層と上記粉体粒子の結着力を向上させるために、粉体粒子表面にカップリング処理やコーティング等を施すことも可能である。
【0027】
上記の粉体粒子を、後述するメディアの衝撃力で、粘着性を有する被覆層に高い充填密度で均一の深さに埋め込むためには、粉体粒子の形状が球状であり、且つその粒子径分布が狭いことが好ましい。具体的な粒子径分布として、0.8〜1.0の範囲が好ましく、より好ましくは0.9〜1.0である。また球状粒子の真円度は80%以上が好適であり、より好ましくは90%以上である。
【0028】
なお上記の粉体粒子の粒子径分布は、下記一般式(1)で定義される。
粒子径分布=個数平均粒子径/体積平均粒子径 (1)
・個数平均粒子径:無作為に抽出した100個の粉体粒子の直径を測定した平均値
・体積平均粒子径:粉体粒子を真球とみなし、無作為に抽出した100個の粉体粒子の直径から合計体積を算出し、小さい体積の粉体粒子から累積していき、その累積体積が合計体積の50%となった粉体粒子の直径。
【0029】
また真円度は、下記一般式(2)で定義されるが、具体的には粉体粒子を光学顕微鏡又は透過型電子顕微鏡で撮影して投影像を得、それを画像解析することにより得たA、Bから算出することができる。
真円度(%)=(4πA/B2 )×100 (2)
A:粉体粒子の投影面積、B:粉体粒子の周囲長。
【0030】
本発明において、粉体粒子の粒子径(体積平均粒子径)は、1〜50μmの範囲が好適であり、特に3〜30μmの範囲がより好ましい。粒子径が上記の範囲よりも小さい場合は、被覆層に単粒子層状に埋め込むことが困難になり、また上記の範囲よりも大きい場合は、粉体粒子の重量や体積の点から、被覆層への埋め込みが不均一になり易く、また後述する余剰な粉体粒子を除去する工程等で脱離する可能性が高くなる。
【0031】
本発明の粉体単層皮膜積層体を光拡散等の機能を有する光学フィルムとして使用する場合は、粉体粒子として、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂、シリコーン樹脂等の光学的透明性の高い材質を用いるのが好ましく、また、2〜15μmの範囲の粒子径(体積平均粒子径)を有し、粒子径分布と真円度も高いものが好ましい。
【0032】
次に粉体粒子を被覆層に埋め込む方法について説明する。本発明では、上記方法で設けた粘着性を有する被覆層に、容器中で振動させている粉体粒子とメディアに接触させて被覆層上に粉体粒子を付着・埋め込ませる。または予め粉体粒子だけを結着層に付着させ、その後に容器中で振動させている粉体粒子とメディアに接触させて被覆層に粉体粒子を埋め込ませることになる。本発明においては、粉体粒子の埋め込みにメディアを使用するが、このメディアを振動させることによって生じる衝撃力で粉体粒子を打撃し、被覆層に埋め込むのである。特に、被覆層に最初に付着した粉体粒子と粉体粒子との間隙に、他の粉体粒子を押し込んで、粉体単層皮膜の充填密度をより高く均一にする能力を有するためには、このメディアの使用は極めて重要である。
【0033】
本発明で使用するメディアの具体例としては、鉄、炭素鋼、合金鋼、銅及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金、その他の各種金属、合金からなるもの、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、炭化珪素等のセラミックからなるもの、及びガラス、石英、硬質プラスチック、硬質ゴム等からなるものがあげられる。また、硬質プラスチックや硬質ゴムの中に上述の各種金属や合金、セラミックス、ガラス等の微粒子を含有させたものも使用することもできる。
【0034】
上記メディアとしては、直径が0.1〜3.0mmの球状物が使用される。そして高い充填率でかつ均一な深さに粉体粒子を結着層に埋め込むためには、上記の粉体粒子ほどではないが、やはり粒子径分布と真円度が高い方が好ましい。直径が0.1mm未満のメディアの場合は、衝撃力が小さいため粉体粒子を被覆層に埋め込む能力が不十分であって、粉体粒子と一緒に被覆層に付着し、またあまり小さすぎるためにハンドリングの点でも問題がある。一方3.0mm以上の大きさのメディアの場合は、衝撃力は十分に大きいが、被覆層に力を伝える機会が少ないため埋め込みの均一性が乏しく、また粉体粒子が脱離し易い傾向がある。粉体粒子の埋め込み具合は、メディアの比重とも密接に関係し、高比重の材質を使用すれば同じ粒子径でも衝撃力は大きくなり、低比重のものでは衝撃力が小さくなり粉体粒子を埋め込む力は劣ることになる。したがって、一般には比較的粒子径が小さく、比重の高いメディアを使用する方が好ましいという傾向がある。これらのことから、被覆層の厚さや粘着力、粉体粒子の粒子径や比重、粉体粒子を埋め込む深さ等を考慮して最適なメディアを選定する必要がある。
【0035】
本発明を実施する場合、上述の粉体粒子とメディアとを容器中に入れ、これらを容器中で振動させることにより、両者は十分に混和し、メディア表面に粉体粒子が付着した状態にすることが好ましい。この時のメディア表面への粉体粒子の付着状態は、単粒子層状でも多粒子層状でも構わないが、振動させても両者が分離してしまうような組み合わせは好ましくないため、両者の比重や表面付着性を事前に確認しておく必要がある。
【0036】
粉体粒子とメディアを入れる容器は、両者の重量と振動に耐え得るものであればその材質や大きさには特に制限はない。ただしその形状は、基体に設けた被覆層を、振動する粉体粒子とメディアに接触させる方式により工夫する必要がある。特に容器自体を振動させ、その力を粉体粒子及びメディアに伝達させて、最終的に粉体粒子を被覆層に埋め込む場合には、少なくともフィルム状基体の被覆層の幅方向に関しては、粉体粒子及びメディアから均一な衝撃力を与える必要があるため、粉体粒子とメディアを挟んで振動容器壁面と被覆層面との距離が少なくとも基体の幅方向では一定であることが好ましい。また、容器を振動させるのではなく、容器中に別の振動板等の振動体を設置して、これにより粉体粒子とメディアを振動させることもできるが、この際にも上述の基体の被覆層面へ均一の力を与えるようにその取り付け位置や被覆層面からの距離を考慮すべきである。更に粉体粒子とメディアを振動させる際に、これらが容器から飛散することのない様な工夫を容器側に施すことも必要である。なお被覆層を設けた基体がフィルムのような連続体でなく板状や個片状の場合は、基体全体を粉体粒子とメディアの入った容器に投入して処理するため、その容器の大きさや形状、振動機構を工夫する必要がある。
【0037】
粉体粒子とメディアを入れた容器、または容器中に設置した振動板等の振動体を振動させるには、振動モーターやエアーバイブレーター、電磁加振装置、カムを使用した機械振動装置等の公知の振動装置を使用することができる。これらの振動装置は、フィーダーやホッパー、コンベア、ふるい、パーツフィーダー、パーツ整列機、振動テーブル、バレル研磨等広い分野で使用されてものであり、本発明では基体サイズやメディア、容器のサイズ・重量、これらを含めた装置の構造等を考慮して、これらの中から適当なものを選択することが必要である。更にいずれの装置についても、粉体粒子を被覆層に高い充填率でかつ均一な深さに埋め込ませるために、振動装置の容器への取り付け位置、バネの選定等を通じて、振動モード、加振力、振幅を調整する必要がある。振動数については、200〜4000rpmが好ましく、より好ましくは1000〜3000rpmである。200rpmより振動数が小さい場合は、メディアが被覆層へ粉体粒子を埋め込む力が弱く、また処理に時間がかかり好ましくない。また4000rpmを超えると、衝撃力が大きすぎて被覆層から粉体粒子が脱離し易くなるか、逆に容器または振動体からの振動がメディアに吸収されて被覆層に届きにくくなるという問題を生じ、好ましくない。これらの機種選定、条件決定の場合、被覆層を設けた基体を長尺で移動させながら、長時間安定して被覆層への粉体粒子の埋め込みを行うために、粉体粒子やメディアが、容器外に飛散せず、また容器中で分離したり、一方に偏ってくることのないことが必要である。更にまた、粉体粒子やメディアは、被覆層に接する部分が入れ替わるように、ゆっくりと流動することが好ましい。
【0038】
次いで、第3の工程において、上記のようにして粉体粒子が埋め込まれた被覆層からその表面に付着した余剰な粉体粒子を除去し、そして被覆層を乾燥または硬化して、残留している有機溶剤または液状硬化性成分を除去し、粉体単層皮膜を有する結着層を形成する。余剰な粉体粒子の除去は、被覆層の乾燥または硬化の前に行っても、後に行ってもよい。
【0039】
次に、余剰な粉体粒子を除去する方法について説明する。上記のようにメディアを使用して粉体粒子を被覆層に埋め込んだ後、またはさらに被覆層を乾燥または硬化した後、基体の被覆層または結着層の上には静電気力やファンデアワールス力等の粒子間力により余剰の粉体粒子が付着している。そのため、これを除去する必要がある。その方法としては、ブレードでかき取る、ブラシや刷毛で払い取る、布等でふき取る、エアーブローで吹き飛ばす等の方法があげられる。これらの方法は、ある程度は有効ではあるが、余剰の粉体粒子を完全に除去するためには不十分である。したがって、これらの方法を使用する場合には、最後に水または洗浄助剤を添加した水溶液による湿式洗浄を行うことが必要である。湿式洗浄の中で、水をノズルから勢い良く吹き出して行うウォータージェットは有効であるが、粉体粒子の粒子径が15μm以下の微粒子に対しては、流体圧による除去だけでは不十分になるおそれがあるため、界面活性剤等の洗浄助剤が添加されたイオン交換水等に浸漬させて超音波洗浄等を行った後、脱イオン水等で十分にすすぐことが好ましい。またこのような湿式洗浄を行った後では、最終的に水分を除去することが必要である。そのためには、ゴムロール間を通して水分を絞ったり、吸水性のロールやマット等で水分を吸収・拭き取ったり、エアーブローで水分を吹き飛ばしたりする方法があげられる。基材や粉体粒子の種類によってはこの方法で水分を完全に除去することができない場合があるが、その場合は、別途十分な時間冷風や熱風を当てたり、赤外線ヒーターで加熱して乾燥することも必要になってくる。
【0040】
上記の被覆層は、乾燥により残留している有機溶剤を除去するか、または加熱または紫外線照射により重合または架橋反応を終了させて残留している液状硬化性成分を除去し、それにより、各粒子の一部が突出する状態で埋め込まれた粉体単層皮膜を有する結着層が形成される。
【0041】
本発明において、上記のようにして形成された結着層は、Tg60℃以上、または実質的にTgを有しないものであることが必要である。結着層のTgが60℃以上であれば、得られる粉体単層皮膜積層体は、通常の使用において軟化することがなく、強い結着力を保持するものとなる。なお、Tgを有しないことは、結着層を形成する樹脂が高度に3次元架橋して熱分解温度以下ではガラス転移が起こらないことを意味する。更にまた、本発明において、最終的に固化または硬化した結着層は、その鉛筆硬度がHB以上を示すことが好ましい。なおここでの鉛筆硬度は、PETフィルム上に設けた結着層を光照射や加熱により完全に固化(硬化)させて、JIS−K−5400に基づいて測定するものである。
【0042】
なお、本発明において、結着層の材料(結着剤)としては、上記した熱可塑性樹脂または硬化性樹脂を主成分とし、上記他の成分が所望により配合されるが、これら熱可塑性樹脂または硬化性樹脂は結着層中60重量%以上、特に80重量%以上を占めるが好ましい。
【0043】
本発明においては、粉体単層被膜積層体は上記の層構成を有するが、所望により、上記以外に、基体と結着層との間に、接着層、着色層、導電層、帯電層、帯電防止層等の層を設けてもよく、また、粉体単層皮膜上にそれぞれ異なる樹脂よりなる複数の樹脂層を積層することも可能である。また粉体単層皮膜は、基体の両面に上記の方法によって同時に又は順次に設けることができる。また、片面だけに設けた場合には、その後、裏面に塗工・蒸着・粘着加工等の別の加工を施すことも可能である。本発明による粉体単層皮膜積層体を光学フィルムに適用する場合は、更に基体、結着層、粉体粒子、必要に応じて粉体単層皮膜上に設ける樹脂層について、屈折率を考慮することにより、光透過性能や反射性能、光拡散性能等を微妙に調整することができる。
【0044】
本発明においては、所望により、表面強度を更に向上させる等の目的で粉体単層皮膜上に更に別の樹脂層を設けることができるが、光学フィルムの用途に用いる場合は、この方法により、光学特性としての全光線透過率やヘイズ値の調整、ブロッキング防止、光学特性の信頼性向上等を果たすことができる。なお、粉体単層皮膜上に別の樹脂層を設ける場合、下層として粘着性を有する被覆層でも、粘着性を示さない結着層でも特に制限されるものではない。
【0045】
樹脂層を粉体単層皮膜上に設ける場合、樹脂材料としては、原則的に如何なるものを使用してもよいが、塗工や印刷等の方法でこれを設ける際に、粉体粒子を埋め込ませている結着層または被覆層を侵して粉体単層皮膜中に敷き詰められた粉体粒子の配列を乱したり、破壊したり、傷を発生したりすることのないものから選択するように留意すべきである。樹脂材料を有機溶剤に溶解・希釈した塗料又はインキを使用するのであれば、その有機溶剤が、粉体粒子が埋め込まれている結着層または被覆層を膨潤・溶解しがたいか、またはしないことが必要である。なおこの粉体粒子よりなる粉体単層皮膜上に設ける樹脂層は、通常その下層である結着層または被覆層と粉体粒子の上に積層されるが、材料の選定によっては結着層または被覆層と粉体粒子の一方の上にのみ積層することも可能である。
【0046】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例を用いてより具体的に説明する。
実施例1
ポリメチルメタクリレート(商品名:パラロイドA−21、ローム&ハース社製、Tg:105℃)をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン(1/1)の混合溶剤に溶解し、固形分濃度20%の溶液を調製した。この溶液を厚さ75μmの透明易接着処理PET上にワイヤーバーで塗工し(乾燥膜厚2.5μm相当)、1分間風乾した後、その塗工面上に平均粒子径4.5μmのメチルシリコーン微粒子(商品名:トスパール145、GE東芝シリコーン社製)を散布した。次に、上記微粒子と、メディアとしての0.5mmの真球状ジルコニア球とを入れた容器を振動させ、その中を上記のようにして作製された微粒子が付着した被覆層を有するPETをくぐらせ、微粒子を被覆層中に埋め込んだ。その後、余剰の微粒子を水洗して除去し、60℃の恒温槽で3時間乾燥して残留溶剤を除去することにより、結着層表面に、各粒子の一部が突出する状態で埋め込まれた粉体単層皮膜を有する粉体単層皮膜積層体を作製した。
【0047】
実施例2
UV硬化型シリコーンアクリレート(商品名:UVHC−1105、GE東芝シリコーン社製)8重量部、ポリメチルメタクリレート2重量部、メチルイソブチルケトン20重量部を混合溶解して調製した塗布液を、厚さ75μmの透明易接着処理PET上にワイヤーバーで塗工し(乾燥膜厚3.0μm相当)、100℃で1分間乾燥した後、その塗工面上に平均粒子径4.5μmのメチルシリコーン微粒子(商品名:トスパール145、GE東芝シリコーン社製)を散布した。次に、上記微粒子と、メディアとしての0.5mmの真球状ジルコニア球とを入れた容器を振動させ、その中を上記のようにして作製された微粒子が付着した被覆層を有するPETをくぐらせ、微粒子を被覆層中に埋め込んだ。その後余剰の微粒子を水洗し、コンベア型UV照射装置(メタルハライドランプ)を使用して約600mJ/cm2 の積算光量の紫外線を照射し被覆層を硬化することにより、結着層表面に、各粒子の一部が突出する状態で埋め込まれた粉体単層皮膜を有する粉体単層皮膜積層体を作製した。
【0048】
比較例1
実施例1において、ポリメチルメタクリレートをエチルメタクリレートコポリマー(商品名:パラロイドB−72、ローム&ハース社製、Tg:40℃)に変えた以外は、全て実施例1と同様の方法で粉体単層皮膜積層体を作製した。
【0049】
比較例2
アクリル系粘着剤(商品名:H−6F、綜研化学社製、Tg:−35℃)をメチルイソブチルケトンで希釈し、厚さ75μmの透明易接着処理PET上にワイヤーバーで塗工し(乾燥膜厚3.0μm相当)、100℃で1分間乾燥した後、その塗工面上に平均粒子径4.5μmのメチルシリコーン微粒子(商品名:トスパール145、GE東芝シリコーン社製)を散布した。次に、上記微粒子と、メディアとしての0.5mmの真球状ジルコニア球とを入れた容器を振動させ、その中を上記のようにして作製された微粒子が付着した粘着層を有するPETをくぐらせ、微粒子を粘着層中に埋め込んだ。その後余剰の微粒子を水洗して除去し、粉体単層皮膜積層体を作製した。
【0050】
評価
上記のようにして作製した粉体単層皮膜積層体の表面をSEMで観察したところ、いずれもシリコーン微粒子が粉体単層皮膜の状態で高密度に埋め込まれているのが確認された。更に耐擦傷性と耐汚染性を下記方法で評価した。その評価結果を下記表1に示す。
(耐擦傷性)
粉体単層皮膜の表面を爪で擦り、その傷の付き方を観察した。評価基準は次の通りである。
○:ほとんど傷つかない。
△:やや傷つく。
×:容易に傷つく。
【0051】
(耐汚染性)
粉体単層皮膜の表面に2Bの鉛筆で筆記し、その後洗剤/水で洗浄し、鉛筆による汚れの残り具合を観察した。評価基準は次の通りである。
○:完全に汚れが除去されている。
△:やや汚れが残っている。
×:筆記跡が明確に認められるか、相当な汚れが残っている。
【0052】
【表1】
Figure 0003643332
*:ガラス板上で硬化させたものを掻き取り、DSC測定(−100℃から昇温)を行ったがTgと思われる変化を見出すことができなかった。
表1から明らかなように、結着層のTgが60℃より低い比較例の場合は、耐擦傷性や耐汚染性が劣るが、本発明の実施例ではいずれも優れた結果を示していることが分かる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の粉体単層皮膜積層体の形成方法は、上記の構成を有するから、耐擦傷性に優れ、また汚れの付き難い粉体単層皮膜積層体を容易に製造することができる。

Claims (2)

  1. 基体上に設けられた結着層と、その表面に各粒子の一部が突出する状態で単層に埋め込まれた多数の粉体粒子からなる粉体単層皮膜とを有する粉体単層皮膜積層体を形成する方法において、(1)基体の少なくとも一方の面に、高分子樹脂を有機溶剤または水に含有させた塗布液、または液状硬化性成分を含有する塗布液を塗布し、乾燥または硬化して、有機溶剤または水または液状硬化性成分が一部残留して粘着性を示す被覆層を形成する工程、(2)形成された被覆層の表面に粉体粒子を付着させ、埋め込む工程、(3)被覆層の表面に存在する余剰な粉体粒子を除去し、かつ、被覆層に残留している有機溶剤または水を除去するか、または液状硬化性成分を硬化することによって粉体粒子が埋め込まれた結着層を形成する工程を含み、前記結着層がTg60℃以上またはTgを有しないことを特徴とする粉体単層皮膜積層体の形成方法。
  2. 前記高分子樹脂として、Tg60℃以上を示すものを用いることを特徴とする請求項1記載の粉体単層皮膜積層体の形成方法。
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