JP3696774B2 - 粉体単層皮膜積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺のフィルム状基体上の粘着層表面に、その一部が突出する状態で緻密な単層に埋め込まれた多数の粉体からなる粉体単層皮膜を形成した粉体単層皮膜積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基体に粉体を付着させる方法としては、(1)荷電を与えた粉体をエアースプレーにより基体に付着させる静電スプレー法、(2)荷電されたエアーにより流動化状態にされた粉体塗料中に基体を浸漬し、静電的に粉体を付着させる静電流動浸漬法、(3)電荷を持つ粉体を液体に分散させ、基体に電圧を印加して粉体を基体に担持させる電着法が一般的である。更に、(4)予め基体の表面に未硬化状態の樹脂からなる粘着層を形成しておき、この粘着層に振動等の外力を用いて皮膜形成媒体の表面に付着している粉体塗料を粘着層に埋め込ませる方法が特開平5−302176号公報に示されている。また(5)基体上に粘着層を形成した後、その粘着層上に粉体を供給し、スキージングして表面を均一にした後、プレス機や加圧ロール等で粉体を粘着層に埋め込む方法が特開平9−318801号公報や特開平11−95004号公報に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)〜(3)の皮膜形成方法は、基体上に粉体を多量に付着させるための方法であり、塗装原理的に見ても面方向に均一にかつ高密度に粉体が充填された単層の粉体皮膜を形成出来るものではない。
一方(4)の塗装方法では、未硬化状態の液状樹脂からなる粘着層に粉体が付着し埋め込まれる際に、粘着層の液状樹脂が表面に押し出され、更に粉体を付着させることになる。これは最終的に液状樹脂のしみ出しが止まるまで繰り返されるためどうしても複層皮膜となってしまう。またこの方法では皮膜形成媒体と基体との両方を容器中で同時に振動または攪拌させるものであるため、長尺のフィルムのように大面積で可撓性の高い基体への適用は困難であった。
【0004】
また(5)の塗装方法は、フィルム状基体には適しているが、面内で粉体の充填密度が密な部分と粗な部分を生じたり、流れ方向に粉体が並んだり、また筋状の傷が発生し易い等の問題があった。またこの方法では、プレス機や加圧ローラーからフィルムにかける圧力の微妙なばらつきから、フィルム全面にわたって粉体を粘着層中に均一な深さに埋め込むことも困難であった。更にこの圧力むらに関しては、大きな圧力がかかった場所ではしみ出した粘着剤に更に粉体が付着して粉体層が複層になったり、圧力が小さかった部分では埋め込みが不十分なため、次工程で余剰な粉体を除去する際に粉体の脱離による欠陥を生じ易いといった問題があった。このような現象は、大きな面積の基体を処理する場合や、平均粒子径が15μm以下の微粒子粉体を用いる場合に顕著に見られた。特に、平均粒子径15μm以下の粉体では、比表面積が大きくなることにより、摩擦帯電による静電気力やファンデルワールス力等の影響を大きく受け、粉体の流動性が著しく低下するため、粘着層表面に均一かつ高密度に粉体を付着させることが困難であった。また流動性に問題がなかったとしても、このような微粒子粉体では、加圧ロールの圧力が分散し、個々の粉体へ加わる圧力が低下するため、既に粘着層上に付着している粉体と粉体との間隙に他の粉体を均一な深さにまで埋め込ませることは困難であった。
【0005】
このように従来技術では、長尺のフィルム状基体表面に均一な粉体単層皮膜を形成することは困難であった。従って、本発明では、平均粒子径が15μm以下の微粒子粉体を用いた場合でも、フィルム状基体に設けた粘着層表面に、粉体の均一な単層皮膜を、高い生産性で形成する方法を提供するものである。なお本発明における「粉体単層皮膜」とは、面内で粉体が厚さ方向に重なり合うことなく、お互いに接触する程度に密にかつほぼ同じ高さで敷き詰められているような状態を指すものである。この用途としては、美観付与と共に表面の耐久性や強度を向上させるための一般的な塗膜の他、研磨用途、滑り止めあるいは滑り性向上、光反射あるいは光反射防止、電気絶縁性あるいは導電性、光を集光および拡散する平面レンズや透過型スクリーン等が挙げられる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法は、長尺のフィルム状基体上の粘着層表面に、その一部が突出する状態で単層に埋め込まれた多数の粉体からなる粉体単層皮膜を形成した粉体単層皮膜積層体の製造方法であって、(a)基体の少なくとも一方の面に粘着層を設ける第1工程と、(b)前記粘着層を有する基体の少なくとも粘着層を、容器中で振動させている粉体と直径が0.1〜3.0mmの粒状物からなるメデイアに接触させ、粘着層表面にその一部が突出する状態で単層に粉体を埋め込み積層体を得る第2工程と、(c)前記工程で得た積層体に付着した余剰な粉体を除去する第3工程、とを具備することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法は、前記第1工程後に、粘着層上に離型フィルムを貼り合わせる工程と、前記離型フィルムを粘着層から剥離して粘着層を露出する工程とを具備するものである。
また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法は、前記第1工程が、予め離型フィルム上に設けた粘着層を基体上に貼り合わせ、その後離型フィルムを剥離することにより基体上に粘着層を転写して基体上に粘着層を設けるものである。
また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法は、前記第2工程の前に、前記粘着層を有する基体の粘着層に粉体を付着させる工程を有するものである。
【0008】
また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法は、前記粘着層を有する基体の粘着層に粉体を付着させる工程において、エアーにより流動化した粉体を粘着層に接触させるものである。
また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法は、前記第3工程で得られた積層体の粉体単層皮膜上に更に樹脂層を設ける工程を有するものである。
また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法は、前記粘着層が、アクリル系粘着剤を含有し、前記メデイアにより粉体が単層に埋め込まれるだけの膜厚を有するものである。
また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法は、前記メデイアが、直径が0.1〜3.0mmの粒状物であり、このメデイアを振動させることによる衝撃力で前記粉体を打撃し、当該粉体を粘着層に埋め込むものである。
また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法は、前記第3工程において、水または洗浄助剤を添加した水溶液による湿式洗浄を行った後に、積層体を乾燥させる工程を具備するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、図1のa)及びb)に示すように長尺のフィルム状基体11上に粘着層12を有し、その粘着層12の表面に、その一部が突出する状態で単層に埋め込まれた多数の粉体13からなる粉体単層皮膜14を形成した粉体単層皮膜積層体の製造方法を提供するものである。なお、図1のa)は粉体単層皮膜積層体の断面図であり、b)は粉体単層皮膜の面からみた粉体単層皮膜積層体の斜視図である。
以下本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法について、工程順に詳細に説明する。
「基体の少なくとも一方の面に粘着層を設ける第1工程」
本発明の長尺のフィルム状基体としては、ロール形状に巻き取り可能な可撓性を有する、フィルム状のものを使用する。材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリイミド(PI)、芳香族ポリアミド、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、セロファン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)等からなる各種樹脂や紙状物などが挙げられ、これらの単独または混合、更には積層したものを用いることが出来る。またフィルム状基体としては、その用途により透明なものでも不透明なものでも使用可能であり、その厚さは、生産性を考慮すると1μm〜5mmの範囲のものを使用することが出来る。なおこれらのフィルム状基体は、そのまま粘着層を設けてもよいし、フィルム状基体と粘着層との間や粘着層を設けたフィルム状基体の裏面に他の層を設けて使用することもできる。
【0010】
本発明では、フィルム状基体上に粘着性を有する粘着層を設けるが、ここで粘着性とは、常温で後述する粉体を付着せしめるだけの粘着性を有することを意味するものであり、フィルム状基体および粉体の両者との結着力に優れているものであればいずれの材料も使用可能である。フィルム状基体上に設ける粘着層の材料として具体的には、ポリエステル系、エポキシ系、ポリウレタン系、シリコーン系、ゴム系、アクリル系樹脂等の樹脂製粘着剤を挙げることが出来る。これらは単独もしくは2種類以上を混合して使用しても良い。特にアクリル系粘着剤は、耐水性、耐熱性、耐光性等に優れ、粘着力、透明性が良く、更に光学用途等に用いる場合には屈折率をそれに適合するように調整し易いので好ましい。アクリル系粘着剤としては、アクリル酸及びそのエステル、メタクリル酸及びそのエステル、アクリルアミド、アクリルニトリル等のアクリルモノマーの単独重合体もしくはこれらの共重合体、更に前記アクリルモノマーの少なくとも1種と、酢酸ビニル、無水マレイン酸、スチレン等の芳香族ビニルモノマーとの共重合体を挙げることが出来る。特に粘着性を発現するエチレンアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の主モノマー、凝集力成分となる酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアミド、スチレン、メタクリレート、メチルアクリレート等のモノマー、更に粘着力向上や、架橋剤との反応性を有するメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸等の官能基含有モノマーからなる共重合体で、Tg(ガラス転移点)が−55〜−15℃の範囲にあるものが好ましい。このアクリル系粘着剤の重量平均分子量としては25万以上あるものが好ましい。
【0011】
Tgが−55℃より低い粘着剤や、重量平均分子量が25万未満の粘着剤では柔らかすぎるため、一度付着した粉体が後述するメデイアの衝撃力により剥がされ、粉体抜けが生じて均一な粉体単層皮膜を形成できなくなる。また一度剥がされた粉体には粘着剤が付着しており、その粉体が粉体層上に再付着してしまうこともある。更に、柔らかすぎる粘着層では、メデイアの衝撃により、粉体が粘着層表面で回転して粘着剤が付着した粉体の部位が粉体層の表面に現れたり、粘着剤がメデイアの衝撃力や毛細管現象により粉体の隙間からしみ出したりして、そこに新たに他の粉体が付着して複層になり易いので好ましくない。一方Tgが−15℃より高い粘着剤では粘着性や粉体の埋め込み性が不足して、メデイアの衝撃力をもってしても固着出来なかったり、余剰粉体を除去する工程等で粉体の脱離が発生し易いので好ましくない。粘着層の粘着力(JIS Z 0237:1980)としては、100g/25mm以上であることが好ましく、これより粘着力が低いと粉体の脱離を生じ易く好ましくない。
【0012】
また、粘着剤には、硬化剤として、例えば金属キレート系、イソシアネート系、エポキシ系等の架橋剤を必要に応じて1種あるいは2種以上混合して用いることができる。更に粘着剤中には、光重合性モノマー、オリゴマー、ポリマー及び光重合開始剤を加えた光硬化性の粘着剤を用いても良い。また粘着剤にはカップリング剤、表面張力調製剤、着色顔料、染料、ワックス、増粘剤、酸化防止剤、防錆剤、抗菌剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を必要に応じて加えても良い。
【0013】
後述する方法でフィルム状基体上または離型フィルム上に粘着剤を設ける際に、適当な膜厚を得るために、必要に応じて粘着剤を有機溶剤で希釈することが出来る。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が使用可能である。
【0014】
上記フィルム状基体の片面または両面に、直接あるいは他の層を介して、あるいは離型フィルム上に粘着層を設けるには、各種コーテイングや印刷法等が使用できる。コーテイング法としては、エアードクターコーテイング、ブレードコーテイング、ナイフコーテイング、リバースコーテイング、グラビアコーテイング、マイクログラビアコーテイング、キスコーテイング、スプレーコーテイング、ダムコーテイング、デイップコーテイング、ダイコーテイング等が挙げられる。また印刷法としては、フレキソ印刷等の凸版印刷、ダイレクトグラビア印刷、オフセットグラビア印刷等の凹版印刷、オフセット印刷等の平版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷を使うことが出来る。これらの塗工及び印刷は、通常フィルム状基体を一定の速度で移動させながら行うことになるが、塗工・印刷の方式によってはフィルム状基体の送り出しを間欠的に行うことも可能である。
【0015】
粘着層の厚さは、後述するメデイアにより粉体が単層に埋め込まれるだけの膜厚を有することが必要であり、すなわち、埋め込む粉体の粒子径の0.01〜2倍が好ましい。結着層の厚さが粉体の粒子径の0.01倍より薄いと、粉体を結着層へ付着させる際に粉体の脱落が発生し易くなり、また2倍より厚いと、埋め込まれ過ぎて表面が突出する状態が得られなくなったり、粉体層から粘着剤が表面にしみ出して他の粉体を付着させて粉体の単層皮膜が得られない可能性が高くなり、好ましくない。
【0016】
本発明では、粘着層を上記方法で設けた後、直ちに前記第2工程を行うこともできるが、その前に、前記粘着層上に離型フィルムを貼り合わせる工程と、前記離型フィルムを粘着層から剥離して粘着層を露出する工程とを実施しても良い。この離型フィルムとの貼り合わせは、上述の塗工や印刷等の方法で粘着層を設け必要に応じて該粘着層を乾燥させた後に行われ、この離型フィルムを貼り合わせた積層体は、一旦保管することができる。この場合、離型フィルムを貼り合わせた積層体は巻き取り状態にして保管されることが取扱上好ましい。このように一度離型フィルムを貼り合わせて巻き取られた巻き取りは、次の工程で離型フィルムを剥離し、次の第2工程を行うことになる。このような方法を採ることにより、粘着層上に離型フィルムを貼り合わせた巻き取りの状態で保管することが出来るため、その後の粉体の種類を変える等で多品種の粉体単層皮膜を有するフィルム状基体を作製することが容易になり、また生産工程を組み易い等の利点が出てくる。
【0017】
また、前述のフィルム状基体に粘着層を形成した方法と同様に離型フィルムに粘着層を設け、必要に応じて乾燥を行い、この粘着面を直接フィルム状基体と貼り合わせて、離型フィルムを剥離し、フィルム状基体上に粘着層を転写することが出来る。また、このフィルム状基体/粘着層/離型フィルムの構成で一旦巻き取り保管することも出来る。この構成での巻き取りを作製するのは、上述の多品種生産対応や生産工程の面等から有利である。なお一旦巻き取った場合は、次の第2工程を実施する直前に離型フィルムを剥離することになる。
【0018】
また、予め離型フィルム上に粘着層を設け、更にこの粘着層の面に離型フィルムを貼合わせて離型フィルム/粘着層/離型フィルムとした積層体を形成した後、一方の離型フィルムを剥離して、他方の離型フィルム上に設けられた粘着層をフィルム状基体上に貼り合わせ、その後離型フィルムを剥離することによりフィルム状基体上に粘着層を転写形成させることも出来る。
この離型フィルム/粘着層/離型フィルムの積層体の巻き取りを作製し、一旦保管しておけば、多品種のフィルム状基体に粘着層を形成することが可能となり、生産の融通性が極めて高くなる。なおこの粘着層の両側に離型フィルムを配置した構成では、両側の離型フィルムの離型力に差を付けておくことが好ましい。両側の離型フィルムの離型力が同じである場合は、いずれかの離型フィルムを剥離することが困難となる。
【0019】
なお粘着層に硬化剤成分が含まれる場合には、上述のフィルム状基体/粘着層/離型フィルム、離型フィルム/粘着層/離型フィルムの構成の巻き取りの状態で、20〜80℃程度の温度で3〜14日程度熟成させ、粘着剤と硬化剤とを十分に反応させて、粘着層の硬さが安定した後に次の工程に移ることが好ましい。
【0020】
「粘着層を容器中で振動させている粉体とメデイアに接触させる第2工程」
本発明における粉体としては無機物及び有機物のいずれも使用できる。
本発明で使用される粉体の中で、無機物の具体例としては、アルミニウム、亜鉛、銅、金、銀、ニッケル、タングステン、鉄、セリウム、チタン等の金属およびこれらの合金、酸化物、窒化物、珪化物や、カーボンブラック、ダイヤモンド、グラファイト、シリカ、ガラス、アトマイズケルメット、青銅、ソジウムモンモリナイト、ジルコン砂、炭化珪素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、カオリン、タルク、セリサイト、炭酸カルシウム等が挙げられる。また有機物からなる粉体は、各種樹脂から形成されるものであり、具体的にはアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、テフロン、ポリフッ化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0021】
上記のような粉体を使用する際に、後述するメデイアの衝撃力で、粉体を前記粘着層に高い充填密度で、均一の深さに埋め込むには、粉体が球状でその粒子径分布も狭いことが好ましい。具体的な粒子径分布は、0.8〜1.0の範囲が好ましく、より好ましくは0.9〜1.0である。また球状粒子の真円度は80%以上が好適であり、より好ましくは90%以上である。
なお上記の粉体の粒子径分布は、下記一般式(1)で定義される。
粒子径分布=個数平均粒子径/体積平均粒子径 (1)
・個数平均粒子径:無作為に抽出した100個の粉体の直径を測定した平均値。
・体積平均粒子径:粉体を真球と見なし無作為に抽出した100個の粉体の直径から合計体積を算出し、小さい体積の粉体から累積していき、その累積体積が合計体積の50%となった粉体の直径。
【0022】
また真円度は、下記一般式(2)で定義されるが、具体的には粉体を光学顕微鏡又は透過型電子顕微鏡で撮影して投影像を得、それを画像解析することにより得たA、Bから算出することが出来る。
真円度(%)=(4πA/B2)×100 (2)
A:粉体の投影面積、B:粉体の周囲長
【0023】
本発明の粉体の粒子径(体積平均粒子径)としては、1〜50μmが好適であり、3〜30μmがより好ましい。これよりも小さい粒子径の粉体では、粘着層に単層で埋め込むことが困難であり、またこれよりも大きな粒子径の粉体では、その重量や体積の点から粘着層への埋め込みが不均一になり易く、また後述する余剰な粉体を除去する工程等で脱離する可能性が高くなるからである。
【0024】
なお本発明を光拡散等の機能を有する光学フィルムに適用する場合は、アクリル樹脂やスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、シリコーン樹脂等の光学的透明性の高い材質が好ましく、また、2〜15μmの粒子径(体積平均粒子径)を有し、粒子径分布と真円度も高いものが好ましい。
【0025】
本発明におけるメデイアは、これを振動させることによる衝撃力で前記粉体を打撃し、当該粉体を前記粘着層に埋め込むためのものであり、特に、粘着層に初めに付着した粉体と粉体との間隙に他の粉体を押し込んで、粉体層の充填密度をより高く均一にする能力を有するため極めて重要である。このメデイアは、直径が0.1〜3.0mmの粒状物、好ましくは球状物であり、高い充填率でかつ均一な深さに粉体を粘着層に埋め込むためには、上記の粉体ほどではないが、やはり粒子径分布と真円度が高い方が好ましい。直径が0.1mm未満のメデイアでは、粉体と一緒に粘着層に付着してしまったり、粉体を粘着層に埋め込む能力が不十分で、またあまり小さすぎるためにハンドリングの点でも問題がある。一方3.0mm以上の大きさのメデイアは、衝撃力は十分に大きいが、逆に粉体を粘着層に高い充填率でかつ均一な深さに埋め込ませることは難しくなるため好ましくない。
【0026】
メデイアの具体例としては、鉄、炭素鋼、合金鋼、銅及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金、、その他の各種金属、合金からなるもの、あるいはアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、炭化珪素等のセラミックからなるもの、さらには、ガラス、石英、硬質プラスチック、硬質ゴム等が挙げられる。硬質プラスチックや硬質ゴム等については、その中に上述の各種金属や合金、セラミックス、ガラス等の微粒子を含有させたものも使用することが出来る。
【0027】
本発明で使用するメデイアは、粘着層の厚さや粘着力、粉体の粒子径や比重、粉体を埋め込む深さ等により最適なものを選定する必要がある。メデイアの粒子径が大きいと、衝撃力は大きいが、粘着層に力を伝える機会が少ないため均一性が乏しく、また粉体を脱離させ易い傾向がある。逆に粒子径が小さい場合は、均一性は高くなるが衝撃力が小さいため、埋め込む力は弱くなる。また粉体の埋め込み具合は、メデイアの比重とも密接に関係し、高比重の材質を使用すれば同じ粒子径でも衝撃力は大きくなり、低比重のものでは衝撃力が小さくなり粉体を埋め込む力は劣ることになる。従って、一般には比較的粒子径が小さく、比重の高いメデイアを使用する方が好ましい傾向がある。
【0028】
本発明では、上述の粉体とメデイアとを容器中に入れ、これらを容器中で振動させることにより、両者は十分に混和し、メデイア表面に粉体が付着した状態になることが好ましい。この時のメデイア表面への粉体の付着状態は、単層でも多層でも構わないが、振動させても両者が分離してしまうような組み合わせは好ましくないため、両者の比重や表面付着性を事前に確認しておく必要がある。
【0029】
粉体とメデイアを入れる容器は、両者の重量と振動に耐え得るものであればその材質や大きさは問わない。ただしその形状は、基体に設けた粘着層を、振動する粉体とメデイアに接触させる方式により工夫する必要がある。特に容器自体を振動させ、その力を粉体及びメデイアに伝達させて、最終的に粉体を粘着層に埋め込む場合は、少なくともフィルム状基体の粘着層に対してその幅方向に関しては粉体及びメデイアから均一な衝撃力を与える必要があるため、粉体とメデイアを挟んで振動容器壁面と粘着面との距離が少なくともフィルム状基体の幅方向では一定であることが好ましい。なお、容器を振動させるのではなく、容器中に別の振動板等の振動体を設置して、これにより粉体とメデイアを振動させることもできるが、この際にも上述のフィルム状基体の粘着面へ均一の力を与えるようにその取り付け位置や粘着面からの距離を一定にすることが好ましい。また粉体とメデイアを振動させる際に、これらが容器から飛散することのない様な工夫を容器側に施すことも必要である。
【0030】
粉体とメデイアを入れた容器、または容器中に設置した振動板等の振動体を振動させるには、振動モーターやエアーバイブレーター、電磁加振装置、カムを使用した機械振動装置等の公知の振動装置を使用することが出来る。これらの振動装置は、フィーダーやホッパー、コンベア、ふるい、パーツフィーダー、パーツ整列機、振動テーブル、バレル研磨等広い分野で使用されてものであり、本発明ではフィルム状基体のサイズやメデイア、容器のサイズ・重量、これらを含めた装置の構造等を考慮して、これらの中から適当なものを選択することが必要である。更にいずれの装置についても、粉体を粘着層に高い充填率でかつ均一な深さに埋め込ませるために、振動装置の容器への取り付け位置、バネの選定等を通じて、振動モード、加振力、振幅を調整する必要がある。振動数については、200〜4000cpmが好ましく、より好ましくは1000〜3000cpmである。200cpmより振動数が小さい場合はメデイアが粘着層へ粉体を埋め込む力が弱くまた処理に時間がかかり好ましくない。また4000cpmを超えると、衝撃力が大きすぎて粘着層から粉体が脱離し易くなるか、逆に容器または振動体からの振動がメデイアに吸収されて粘着層へ届きにくくなるといった問題を生じ好ましくない。これらの機種選定、条件決定の場合、粘着層を設けた長尺のフィルム状基体を移動させながら長時間安定して粘着層への粉体の埋め込みを行うために、粉体やメデイアが、容器外に飛散せず、また容器中で分離したり、一方に偏ってくることのないことが必要である。更にまた、粉体やメデイアは、粘着層に接する部分が入れ替わるように、ゆっくりと流動することが好ましい。
【0031】
次に、粘着層を容器中で振動させている粉体とメデイアに接触させる機構について、いくつかの模式図により具体的に説明する。
図2は、粘着層を設けた長尺のフィルム状基体1をロール2にフィルム基体面を接触させて移動させ、容器3中の粉体及びメデイアの混合物4にロール2の直径の1/3程度の深さまで該ロールを浸した状態が示されている。
ロール2は、振動が直接伝達しないように容器3とは別のフレームに取り付けられている。容器3の直下には振動モーター5が取り付けられ一体化されており、またこれらはバネ6を介して床7に固定されている。
粘着層を設けたフィルム状基体1における粘着層は、ロール2に対して反対面となっており、振動モーター5によって容器3が振動することにより振動した粉体及びメデイアの混合物4中を通過させることによって該粘着層に粉体が埋め込まれる。
なおロール2は、粉体及びメデイアの混合物4に粘着層とは反対のフィルム状基体面に粉体が付着しない深さまで浸していることが好ましく、その深さは粉体及びメデイアの混合物4にロール2の直径の1/3以下の深さまで浸しているのが好ましい。この深さである場合は、粘着層とは反対のフィルム状基体面に粉体が付着するのを防ぐことができる。
【0032】
図3では、容器3中に該容器3とは別のフレームに取り付けられている2本のロール2を配置し、このロール2を介して粘着層を設けたフィルム状基体1を通すものである。本方法は原理的には図2と同じであるが、容器3中の粉体及びメデイアの混合物4に浸されている粘着層を設けたフィルム状基体1の距離が図2より長く、その結果結着層へのメデイアによる粉体の埋め込まれる機会が増大するため、粘着層を設けたフィルム状基体1の送り速度を上げることが出来る利点がある。また粘着層を設けたフィルム状基体1が容器3中のロール2に達するまでの間に粉体に接し、この段階で粘着層に粉体が付着するため、両面に粘着層を有するフィルム状基体の場合は両面に粉体を埋め込むこともできる。
【0033】
図4では、容器3は固定されており、容器3の底に取り付けた電磁式加振装置8により振動板9が上下に振動する構造になっている。粘着層を設けたフィルム状基体1は、容器3の左右に開けたスリット10を通して、容器3及びその中に入っている粉体及びメデイアの混合物4中を通過する。ここでスリット10からメデイアが容器の外にこぼれないように、スリット間隔はメデイアの直径よりも狭くする必要がある。なお本図の振動方法は、電磁式加振装置と振動板を使用しているが、これは必須ではなく、図2や図3のように容器を振動させる方式を採用することも可能である。
【0034】
図2や図3では、粘着層を設けたフィルム状基体1とロール2との間に粉体やメデイアが挟まり、メデイアの粒子径やフィルム状基体のテンションによってはフィルム状基体を傷つけるおそれがある。この問題を解決するため、溝を掘ったロールや網目状のロールを使用して、フィルム状基体とロールとの間に入った粉体及びメデイアを溝に逃がしたり、網目に通過させることが有効である。またフィルム状基体の両端だけをロールやベルト、ガイドホルダー等で支えることや、フィルム状基体の両端にローレット加工を施したり、予めスプロケット加工を施したフィルム状基体を専用の突起付きロールで送ることも好ましい方法である。
【0035】
またこれまでのいずれの図でも、粘着層を設けたフィルム状基体を粉体及びメデイア中に沈み込ませる形になっていたが、この時には沈ませる深さによって粘着層にかかる圧力が異なるため、事前に適正な深さを調整する必要がある。メデイアの密度にもよるが一般にあまり深くフィルム状基体が置かれた場合は、つまり高い圧力下に置かれたフィルム状基体の粘着層にメデイアからの振動を与えた場合には、粉体の脱離が起こる可能性が高くなり好ましくない。なお粘着層側だけを、振動している粉体及びメデイアの表面に軽く接触させるだけで十分に粉体の粘着層への埋め込みが果たせる場合は、それでも構わない。
【0036】
本発明では、前記第2工程の前に、前記粘着層を有するフィルム状基体の粘着層に粉体を付着させる工程を有することが好ましい。
本工程は、上述の粘着層を容器中で振動させている粉体とメデイアに接触させる工程に先だって行われるものであり、これにより粘着層上へのメデイアの付着を防止することが出来ると共に、粉体の充填率を高め、粉体抜けの欠陥を少なくすることができる利点がある。
粘着層に粉体を付着させる具体的な方法としては、単に容器中に入れた粉体の上面に粘着剤を接触させる、粉体の中をくぐらせる、粉体を振りかける等が挙げられる。更に、容器中の粉体を振動もしくは流動化エアーにより流動化させ、この流動化した粉体中にフィルム状基体をくぐらせる方法が考えられるが、粉体の粒子径が小さい場合は流動化エアーを使用する方が、より効率的である。更にエアースプレーにより粉体を粘着層に吹き付ける方法があり、これは空気との混合も容易であるため粉体を粘着層上に均一に付着させるのに好適である。なおこの粘着層に粉体を付着する工程では、粘着層の粘着力や静電吸着力により粉体が粘着層の表面に単に付着していれば良く、複層に付着していても構わない。
【0037】
「余剰な粉体を除去する第3工程」
上述のメデイアを使用して粉体を粘着層に埋め込んだ後、フィルム上には静電気力やファンデルワールス力等の粒子間力により余剰の粉体が付着しているため、これを除去する必要がある。その方法としては、プレードでかき取る、ブラシや刷毛で払い取る、布等でふき取る、エアーブローで吹き飛ばす等が挙げられる。これらはそれなりに有効ではあるが、余剰粉体を完全に除去するには不十分であり、これらの方法を使用しても最後は水または洗浄助剤を添加した水溶液による湿式洗浄を行うことが必要である。湿式洗浄の中で、水をノズルから勢い良く吹き出して行うウオータージェットは有効であるが、粉体の粒子径が15μm以下の微粒子に対しては、流体圧による除去だけでは不十分になるおそれがあるため、界面活性剤等の洗浄助剤が添加されたイオン交換水等に浸漬させて超音波洗浄等を行った後、脱イオン水等で十分にすすぐことが好ましい。またこのような湿式洗浄を行った後では、最終的に水分を除去することが必要である。これには、ゴムロール間を通して水分を絞ったり、吸水性のロールやマット等で水分を吸収・拭き取ったり、エアーブローで水分を吹き飛ばしたりする方法が挙げられる。フィルム状基体や粉体の種類によってはこれだけの方法で水分を完全に除去することが出来ない場合は、別途十分な時間冷風や熱風を当てたり、赤外線ヒーターで加熱したりして乾燥することも必要である。
【0038】
以上説明した方法で、粉体単層皮膜積層体を製造することが出来るが、粘着層のタック性を無くす、表面強度を向上させる等の目的で、粉体単層皮膜上に更に別の樹脂層を設けることが好ましい。光学フィルム用途では、この方法により、光学特性としての全光線透過率やヘイズ値の調整、ブロッキング防止、光学特性の信頼性向上等を果たすことが出来る。
【0039】
ここで粉体単層皮膜上に設ける樹脂層の材料としては、特に限定されないが、塗工や印刷等の方法でこれを設ける際に、粉体を埋め込ませている粘着層を侵して粉体単層皮膜中に敷き詰められた粉体の配列を乱したり、破壊したり、傷を発生したりすることのないものから選択する。樹脂材料として有機溶剤に溶解・希釈した塗料又はインキを使用するのであれば、これらの溶剤が、粉体が埋め込まれている粘着層を膨潤・溶解させることのない、または少ないことが必要である。粘着層材料としてアクリル系粘着剤を使用する場合は、これがケトン、エステル、芳香族炭化水素系溶剤への溶解性が高いために粉体単層皮膜上に設ける樹脂層の溶剤としては使用出来ず、水やアルコール、脂肪族炭化水素系溶剤を使うことが好ましい。逆に言えばここにおいて使用できる樹脂としては、これらの溶剤に可溶または希釈可能なものであることが必須となる。アルコール系溶剤とは、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等が示され、これらに可溶な樹脂としては、ポリイソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等のアクリル系樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂、ブチラール樹脂、酒精塗料に使用されるセラック等が挙げられる。脂肪族炭化水素系溶剤とは、化学組成的にはn−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ヘキサデカン、n−トリデカン等があり、蒸留により分けられた工業用ガソリンとして石油エーテル、石油ベンジン、ゴム揮発油、大豆揮発油、ミネラルスピリット等がある。これらの脂肪族炭化水素系溶剤に可溶な樹脂としては、ロジン系樹脂、石油樹脂、ゴム系樹脂、テルペン樹脂等が挙げられる。また水性塗料の場合は、各種の水溶性樹脂やエマルジョン類から選択することが可能である。更に無溶剤の紫外線硬化樹脂をそのまま、または上記のアルコール系等の溶剤で希釈して使用することも有用である。紫外線硬化樹脂には、アクリル系のオリゴマーやモノマーを配合したものに光ラジカル重合開始剤を添加したものや、エポキシ樹脂やオキセタン化合物に光カチオン重合開始剤を配合したものがあり、更に主骨格からウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート等に分類される。なお本発明で使用されるこれらの樹脂として、塗工基体表面の粘着層や粉体と強固に接着するものであることは当然である。
【0040】
各種溶剤を使用してこれらの樹脂を粉体単層皮膜上に設けるには、先に粘着層を設ける際に説明した各種の塗工・印刷方法が使用可能であるが、粉体単層皮膜に出来るだけ損傷を与えないよう方法を選択する必要がある。更に、粉体単層皮膜は、各粉体の一部が突出したいわゆる凹凸の大きい表面であることから、その上に塗料・インキを塗工・印刷する際に、はじきや空気の巻き込みを防ぐ目的で、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を使用することが出来る。また機能付与や塗工適性向上の目的で、この樹脂層塗料・インキ中に各種の染料や顔料を添加することも可能である。
【0041】
なおこの粉体単層皮膜上に設ける樹脂層は、通常その下層である粘着層と粉体の上に積層されるが、粘着層上だけに積層して粉体の上には積層しない場合もあり、このいずれも本発明では有用である。
【0042】
本発明では、以上説明した層構成以外に、フィルム状基体と粘着層との間やフィルム状基体裏面に、接着層や着色層、導電層、帯電層、帯電防止層等を設けることが出来る。また粉体の単層皮膜上にそれぞれ異なる樹脂を複数層積層することも可能である。本発明を光学フィルムに適用する場合は、更に基体、粘着層、粉体、必要に応じて単層皮膜上に設ける樹脂層について、屈折率を考慮することにより、光透過性能や反射性能、光拡散性能等を微妙に調整することが出来る。
【0043】
本発明では、前記全ての工程を連続して行い粉体単層皮膜積層体を製造することも可能であるし、また各工程を不連続に行うこともできる。ただし、既に述べたように、粘着層を設けた後は、そのままで巻き取って保管することは出来ないため、一旦離型フィルムを貼り合わせて巻き取り保管するか、粘着層に粉体を付着させて巻き取り保管するか、容器中で振動させている粉体とメデイアを粘着層に接触させて粉体単層皮膜を形成させた後巻き取り保管することが好ましい。
粘着層に粉体を付着させたり、粉体とメデイアに接触させて粘着層に粉体を埋め込んだものは、もはや粘着性を示さないためそのまま巻き取り保管することが可能である。この場合、必ずしもその後の工程を連続して行う必要はないが、この状態では、粉体が粘着層上に単層以上付着し、また裏面にも粉体が付着している可能性が高いため、そのまま巻き取ると基体及び粘着層に圧痕を生じることがある。従って、これらの工程の直後に余剰な粉体を除去する工程を連続して実施することが好ましい。もし余剰な粉体を除去する工程を連続して行わない場合は、柔らかい材質の紙やフィルムを間に挟んで巻き取ったり、両耳にテープ状の紙やフィルムを挟んで巻き取る等して、基体及び粘着層に上述の圧痕を生じるような圧力がかからないように工夫することもできる。
本発明において粉体単層皮膜は、同時又は順次基体の両面に設けることもできるが、片面だけに設けた場合は、その後裏面に塗工・蒸着・粘着加工等の別の加工を行い粉体単層皮膜積層体としてもよい。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、微粒子の粉体を用いた場合でも、長尺のフィルム状基体に設けた粘着層表面に、粉体の均一な単層皮膜を高い生産性で形成することができ、産業上有益な粉体単層皮膜積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法で得られる粉体単層皮膜積層体の概略図である。
【図2】 フィルム状基体上の粘着層に粉体単層皮膜を形成する装置の概略図である。
【図3】 フィルム状基体上の粘着層に粉体単層皮膜を形成する別の装置の概略図である。
【図4】 フィルム状基体上の粘着層に粉体単層皮膜を形成する別の装置の概略図である。
【符号の説明】
1 粘着層を設けたフィルム状基体
2 ローラ
3 容器
4 粉体及びメデイアの混合物
5 振動モーター
6 バネ
7 床
Claims (9)
- 長尺のフィルム状基体上の粘着層表面に、その一部が突出する状態で単層に埋め込まれた多数の粉体からなる粉体単層皮膜を形成した粉体単層皮膜積層体の製造方法であって、
(a)基体の少なくとも一方の面に粘着層を設ける第1工程と、
(b)前記粘着層を有する基体の少なくとも粘着層を、容器中で振動させている粉体と直径が0.1〜3.0mmの粒状物からなるメデイアに接触させ、粘着層表面にその一部が突出する状態で単層に粉体を埋め込み積層体を得る第2工程と、
(c)前記工程で得た積層体に付着した余剰な粉体を除去する第3工程、
とを具備することを特徴とする粉体単層皮膜積層体の製造方法。 - 前記第1工程後に、粘着層上に離型フィルムを貼り合わせる工程と、前記離型フィルムを粘着層から剥離して粘着層を露出する工程とを具備することを特徴とする請求項1に記載の粉体単層皮膜積層体の製造方法。
- 前記第1工程が、予め離型フィルム上に設けた粘着層を基体上に貼り合わせ、その後離型フィルムを剥離することにより基体上に粘着層を転写して基体上に粘着層を設けることを特徴とする請求項1に記載の粉体単層皮膜積層体の製造方法。
- 前記第2工程の前に、前記粘着層を有する基体の粘着層に粉体を付着させる工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉体単層皮膜積層体の製造方法。
- 前記粘着層を有する基体の粘着層に粉体を付着させる工程において、エアーにより流動化した粉体を粘着層に接触させることを特徴とする請求項4に記載の粉体単層皮膜積層体の製造方法。
- 前記第3工程で得られた積層体の粉体単層皮膜上に更に樹脂層を設ける工程を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粉体単層皮膜積層体の製造方法。
- 前記粘着層は、アクリル系粘着剤を含有し、前記メデイアにより粉体が単層に埋め込まれるだけの膜厚を有するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粉体単層皮膜積層体の製造方法。
- 前記メデイアを振動させることによる衝撃力で前記粉体を打撃し、当該粉体を粘着層に埋め込むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粉体単層皮膜積層体の製造方法。
- 前記第3工程において、水または洗浄助剤を添加した水溶液による湿式洗浄を行った後に、積層体を乾燥させる工程を具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粉体単層皮膜積層体の製造方法。
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