JP2001347588A - 粉体単層皮膜積層体の製造方法 - Google Patents

粉体単層皮膜積層体の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、微粒子粉体を用いた場合でも、フ
ィルム状基体に設けた粘着層表面に、粉体の均一な単層
皮膜を、高い生産性で形成する方法を提供するものであ
る。 【解決手段】 長尺のフィルム状基体上の粘着層表面
に、その一部が突出する状態で単層に埋め込まれた多数
の粉体からなる粉体単層皮膜を形成した粉体単層皮膜積
層体の製造方法であって、基体の少なくとも一方の面
に粘着層を設ける第1工程と、前記粘着層を有する基
体の少なくとも粘着層を、容器中で振動させている粉体
とメデイアに接触させ、粘着層表面にその一部が突出す
る状態で単層に粉体を埋め込み積層体を得る第2工程
と、前記工程で得た積層体に付着した余剰な粉体を除
去する第3工程、とを具備する粉体単層皮膜積層体の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長尺のフィルム状
基体上の粘着層表面に、その一部が突出する状態で緻密
な単層に埋め込まれた多数の粉体からなる粉体単層皮膜
を形成した粉体単層皮膜積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基体に粉体を付着させる方法としては、
(1)荷電を与えた粉体をエアースプレーにより基体に
付着させる静電スプレー法、(2)荷電されたエアーに
より流動化状態にされた粉体塗料中に基体を浸漬し、静
電的に粉体を付着させる静電流動浸漬法、(3)電荷を
持つ粉体を液体に分散させ、基体に電圧を印加して粉体
を基体に担持させる電着法が一般的である。更に、
(4)予め基体の表面に未硬化状態の樹脂からなる粘着
層を形成しておき、この粘着層に振動等の外力を用いて
皮膜形成媒体の表面に付着している粉体塗料を粘着層に
埋め込ませる方法が特開平5−302176号公報に示
されている。また(5)基体上に粘着層を形成した後、
その粘着層上に粉体を供給し、スキージングして表面を
均一にした後、プレス機や加圧ロール等で粉体を粘着層
に埋め込む方法が特開平9−318801号公報や特開
平11−95004号公報に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)〜(3)の皮膜形成方法は、基体上に粉体を多量
に付着させるための方法であり、塗装原理的に見ても面
方向に均一にかつ高密度に粉体が充填された単層の粉体
皮膜を形成出来るものではない。一方(4)の塗装方法
では、未硬化状態の液状樹脂からなる粘着層に粉体が付
着し埋め込まれる際に、粘着層の液状樹脂が表面に押し
出され、更に粉体を付着させることになる。これは最終
的に液状樹脂のしみ出しが止まるまで繰り返されるため
どうしても複層皮膜となってしまう。またこの方法では
皮膜形成媒体と基体との両方を容器中で同時に振動また
は攪拌させるものであるため、長尺のフィルムのように
大面積で可撓性の高い基体への適用は困難であった。
【0004】また(5)の塗装方法は、フィルム状基体
には適しているが、面内で粉体の充填密度が密な部分と
粗な部分を生じたり、流れ方向に粉体が並んだり、また
筋状の傷が発生し易い等の問題があった。またこの方法
では、プレス機や加圧ローラーからフィルムにかける圧
力の微妙なばらつきから、フィルム全面にわたって粉体
を粘着層中に均一な深さに埋め込むことも困難であっ
た。更にこの圧力むらに関しては、大きな圧力がかかっ
た場所ではしみ出した粘着剤に更に粉体が付着して粉体
層が複層になったり、圧力が小さかった部分では埋め込
みが不十分なため、次工程で余剰な粉体を除去する際に
粉体の脱離による欠陥を生じ易いといった問題があっ
た。このような現象は、大きな面積の基体を処理する場
合や、平均粒子径が15μm以下の微粒子粉体を用いる
場合に顕著に見られた。特に、平均粒子径15μm以下
の粉体では、比表面積が大きくなることにより、摩擦帯
電による静電気力やファンデルワールス力等の影響を大
きく受け、粉体の流動性が著しく低下するため、粘着層
表面に均一かつ高密度に粉体を付着させることが困難で
あった。また流動性に問題がなかったとしても、このよ
うな微粒子粉体では、加圧ロールの圧力が分散し、個々
の粉体へ加わる圧力が低下するため、既に粘着層上に付
着している粉体と粉体との間隙に他の粉体を均一な深さ
にまで埋め込ませることは困難であった。
【0005】このように従来技術では、長尺のフィルム
状基体表面に均一な粉体単層皮膜を形成することは困難
であった。従って、本発明では、平均粒子径が15μm
以下の微粒子粉体を用いた場合でも、フィルム状基体に
設けた粘着層表面に、粉体の均一な単層皮膜を、高い生
産性で形成する方法を提供するものである。なお本発明
における「粉体単層皮膜」とは、面内で粉体が厚さ方向
に重なり合うことなく、お互いに接触する程度に密にか
つほぼ同じ高さで敷き詰められているような状態を指す
ものである。この用途としては、美観付与と共に表面の
耐久性や強度を向上させるための一般的な塗膜の他、研
磨用途、滑り止めあるいは滑り性向上、光反射あるいは
光反射防止、電気絶縁性あるいは導電性、光を集光およ
び拡散する平面レンズや透過型スクリーン等が挙げられ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の粉体単層皮膜積
層体の製造方法は、長尺のフィルム状基体上の粘着層表
面に、その一部が突出する状態で単層に埋め込まれた多
数の粉体からなる粉体単層皮膜を形成した粉体単層皮膜
積層体の製造方法であって、基体の少なくとも一方の
面に粘着層を設ける第1工程と、前記粘着層を有する
基体の少なくとも粘着層を、容器中で振動させている粉
体とメデイアに接触させ、粘着層表面にその一部が突出
する状態で単層に粉体を埋め込み積層体を得る第2工程
と、前記工程で得た積層体に付着した余剰な粉体を除
去する第3工程、とを具備することを特徴とするもので
ある。
【0007】また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造
方法は、前記第1工程後に、粘着層上に離型フィルムを
貼り合わせる工程と、前記離型フィルムを粘着層から剥
離して粘着層を露出する工程とを具備するものである。
また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造方法は、前記
第1工程が、予め離型フィルム上に設けた粘着層を基体
上に貼り合わせ、その後離型フィルムを剥離することに
より基体上に粘着層を転写して基体上に粘着層を設ける
ものである。また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造
方法は、前記第2工程の前に、前記粘着層を有する基体
の粘着層に粉体を付着させる工程を有するものである。
【0008】また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造
方法は、前記粘着層を有する基体の粘着層に粉体を付着
させる工程において、エアーにより流動化した粉体を粘
着層に接触させるものである。また、本発明の粉体単層
皮膜積層体の製造方法は、前記第3工程で得られた積層
体の粉体単層皮膜上に更に樹脂層を設ける工程を有する
ものである。また、本発明の粉体単層皮膜積層体の製造
方法は、前記粘着層が、アクリル系粘着剤を含有し、前
記メデイアにより粉体が単層に埋め込まれるだけの膜厚
を有するものである。また、本発明の粉体単層皮膜積層
体の製造方法は、前記メデイアが、直径が0.1〜3.
0mmの粒状物であり、このメデイアを振動させること
による衝撃力で前記粉体を打撃し、当該粉体を粘着層に
埋め込むものである。また、本発明の粉体単層皮膜積層
体の製造方法は、前記第3工程において、水または洗浄
助剤を添加した水溶液による湿式洗浄を行った後に、積
層体を乾燥させる工程を具備するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、図1のa)及びb)に
示すように長尺のフィルム状基体11上に粘着層12を
有し、その粘着層12の表面に、その一部が突出する状
態で単層に埋め込まれた多数の粉体13からなる粉体単
層皮膜14を形成した粉体単層皮膜積層体の製造方法を
提供するものである。なお、図1のa)は粉体単層皮膜
積層体の断面図であり、b)は粉体単層皮膜の面からみ
た粉体単層皮膜積層体の斜視図である。以下本発明の粉
体単層皮膜積層体の製造方法について、工程順に詳細に
説明する。 「基体の少なくとも一方の面に粘着層を設ける第1工
程」本発明の長尺のフィルム状基体としては、ロール形
状に巻き取り可能な可撓性を有する、フィルム状のもの
を使用する。材質としては、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、
トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート
(PC)、ポリアリレート、ポリイミド(PI)、芳香
族ポリアミド、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルス
ルホン(PES)、セロファン、ポリエチレン(P
E)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール
(PVA)等からなる各種樹脂や紙状物などが挙げら
れ、これらの単独または混合、更には積層したものを用
いることが出来る。またフィルム状基体としては、その
用途により透明なものでも不透明なものでも使用可能で
あり、その厚さは、生産性を考慮すると1μm〜5mm
の範囲のものを使用することが出来る。なおこれらのフ
ィルム状基体は、そのまま粘着層を設けてもよいし、フ
ィルム状基体と粘着層との間や粘着層を設けたフィルム
状基体の裏面に他の層を設けて使用することもできる。
【0010】本発明では、フィルム状基体上に粘着性を
有する粘着層を設けるが、ここで粘着性とは、常温で後
述する粉体を付着せしめるだけの粘着性を有することを
意味するものであり、フィルム状基体および粉体の両者
との結着力に優れているものであればいずれの材料も使
用可能である。フィルム状基体上に設ける粘着層の材料
として具体的には、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ
ウレタン系、シリコーン系、ゴム系、アクリル系樹脂等
の樹脂製粘着剤を挙げることが出来る。これらは単独も
しくは2種類以上を混合して使用しても良い。特にアク
リル系粘着剤は、耐水性、耐熱性、耐光性等に優れ、粘
着力、透明性が良く、更に光学用途等に用いる場合には
屈折率をそれに適合するように調整し易いので好まし
い。アクリル系粘着剤としては、アクリル酸及びそのエ
ステル、メタクリル酸及びそのエステル、アクリルアミ
ド、アクリルニトリル等のアクリルモノマーの単独重合
体もしくはこれらの共重合体、更に前記アクリルモノマ
ーの少なくとも1種と、酢酸ビニル、無水マレイン酸、
スチレン等の芳香族ビニルモノマーとの共重合体を挙げ
ることが出来る。特に粘着性を発現するエチレンアクリ
レート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアク
リレート等の主モノマー、凝集力成分となる酢酸ビニ
ル、アクリルニトリル、アクリルアミド、スチレン、メ
タクリレート、メチルアクリレート等のモノマー、更に
粘着力向上や、架橋剤との反応性を有するメタクリル
酸、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタク
リレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノメチル
メタクリレート、アクリルアミド、メチロールアクリル
アミド、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸等
の官能基含有モノマーからなる共重合体で、Tg(ガラ
ス転移点)が−55〜−15℃の範囲にあるものが好ま
しい。このアクリル系粘着剤の重量平均分子量としては
25万以上あるものが好ましい。
【0011】Tgが−55℃より低い粘着剤や、重量平
均分子量が25万未満の粘着剤では柔らかすぎるため、
一度付着した粉体が後述するメデイアの衝撃力により剥
がされ、粉体抜けが生じて均一な粉体単層皮膜を形成で
きなくなる。また一度剥がされた粉体には粘着剤が付着
しており、その粉体が粉体層上に再付着してしまうこと
もある。更に、柔らかすぎる粘着層では、メデイアの衝
撃により、粉体が粘着層表面で回転して粘着剤が付着し
た粉体の部位が粉体層の表面に現れたり、粘着剤がメデ
イアの衝撃力や毛細管現象により粉体の隙間からしみ出
したりして、そこに新たに他の粉体が付着して複層にな
り易いので好ましくない。一方Tgが−15℃より高い
粘着剤では粘着性や粉体の埋め込み性が不足して、メデ
イアの衝撃力をもってしても固着出来なかったり、余剰
粉体を除去する工程等で粉体の脱離が発生し易いので好
ましくない。粘着層の粘着力(JIS Z 0237:
1980)としては、100g/25mm以上であるこ
とが好ましく、これより粘着力が低いと粉体の脱離を生
じ易く好ましくない。
【0012】また、粘着剤には、硬化剤として、例えば
金属キレート系、イソシアネート系、エポキシ系等の架
橋剤を必要に応じて1種あるいは2種以上混合して用い
ることができる。更に粘着剤中には、光重合性モノマ
ー、オリゴマー、ポリマー及び光重合開始剤を加えた光
硬化性の粘着剤を用いても良い。また粘着剤にはカップ
リング剤、表面張力調製剤、着色顔料、染料、ワック
ス、増粘剤、酸化防止剤、防錆剤、抗菌剤、紫外線吸収
剤等の各種添加剤を必要に応じて加えても良い。
【0013】後述する方法でフィルム状基体上または離
型フィルム上に粘着剤を設ける際に、適当な膜厚を得る
ために、必要に応じて粘着剤を有機溶剤で希釈すること
が出来る。具体的には、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール等のアルコール類、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等
のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等
のエステル類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソル
ブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が使用可能で
ある。
【0014】上記フィルム状基体の片面または両面に、
直接あるいは他の層を介して、あるいは離型フィルム上
に粘着層を設けるには、各種コーテイングや印刷法等が
使用できる。コーテイング法としては、エアードクター
コーテイング、ブレードコーテイング、ナイフコーテイ
ング、リバースコーテイング、グラビアコーテイング、
マイクログラビアコーテイング、キスコーテイング、ス
プレーコーテイング、ダムコーテイング、デイップコー
テイング、ダイコーテイング等が挙げられる。また印刷
法としては、フレキソ印刷等の凸版印刷、ダイレクトグ
ラビア印刷、オフセットグラビア印刷等の凹版印刷、オ
フセット印刷等の平版印刷、スクリーン印刷等の孔版印
刷を使うことが出来る。これらの塗工及び印刷は、通常
フィルム状基体を一定の速度で移動させながら行うこと
になるが、塗工・印刷の方式によってはフィルム状基体
の送り出しを間欠的に行うことも可能である。
【0015】粘着層の厚さは、後述するメデイアにより
粉体が単層に埋め込まれるだけの膜厚を有することが必
要であり、すなわち、埋め込む粉体の粒子径の0.01
〜2倍が好ましい。結着層の厚さが粉体の粒子径の0.
01倍より薄いと、粉体を結着層へ付着させる際に粉体
の脱落が発生し易くなり、また2倍より厚いと、埋め込
まれ過ぎて表面が突出する状態が得られなくなったり、
粉体層から粘着剤が表面にしみ出して他の粉体を付着さ
せて粉体の単層皮膜が得られない可能性が高くなり、好
ましくない。
【0016】本発明では、粘着層を上記方法で設けた
後、直ちに前記第2工程を行うこともできるが、その前
に、前記粘着層上に離型フィルムを貼り合わせる工程
と、前記離型フィルムを粘着層から剥離して粘着層を露
出する工程とを実施しても良い。この離型フィルムとの
貼り合わせは、上述の塗工や印刷等の方法で粘着層を設
け必要に応じて該粘着層を乾燥させた後に行われ、この
離型フィルムを貼り合わせた積層体は、一旦保管するこ
とができる。この場合、離型フィルムを貼り合わせた積
層体は巻き取り状態にして保管されることが取扱上好ま
しい。このように一度離型フィルムを貼り合わせて巻き
取られた巻き取りは、次の工程で離型フィルムを剥離
し、次の第2工程を行うことになる。このような方法を
採ることにより、粘着層上に離型フィルムを貼り合わせ
た巻き取りの状態で保管することが出来るため、その後
の粉体の種類を変える等で多品種の粉体単層皮膜を有す
るフィルム状基体を作製することが容易になり、また生
産工程を組み易い等の利点が出てくる。
【0017】また、前述のフィルム状基体に粘着層を形
成した方法と同様に離型フィルムに粘着層を設け、必要
に応じて乾燥を行い、この粘着面を直接フィルム状基体
と貼り合わせて、離型フィルムを剥離し、フィルム状基
体上に粘着層を転写することが出来る。また、このフィ
ルム状基体/粘着層/離型フィルムの構成で一旦巻き取
り保管することも出来る。この構成での巻き取りを作製
するのは、上述の多品種生産対応や生産工程の面等から
有利である。なお一旦巻き取った場合は、次の第2工程
を実施する直前に離型フィルムを剥離することになる。
【0018】また、予め離型フィルム上に粘着層を設
け、更にこの粘着層の面に離型フィルムを貼合わせて離
型フィルム/粘着層/離型フィルムとした積層体を形成
した後、一方の離型フィルムを剥離して、他方の離型フ
ィルム上に設けられた粘着層をフィルム状基体上に貼り
合わせ、その後離型フィルムを剥離することによりフィ
ルム状基体上に粘着層を転写形成させることも出来る。
この離型フィルム/粘着層/離型フィルムの積層体の巻
き取りを作製し、一旦保管しておけば、多品種のフィル
ム状基体に粘着層を形成することが可能となり、生産の
融通性が極めて高くなる。なおこの粘着層の両側に離型
フィルムを配置した構成では、両側の離型フィルムの離
型力に差を付けておくことが好ましい。両側の離型フィ
ルムの離型力が同じである場合は、いずれかの離型フィ
ルムを剥離することが困難となる。
【0019】なお粘着層に硬化剤成分が含まれる場合に
は、上述のフィルム状基体/粘着層/離型フィルム、離
型フィルム/粘着層/離型フィルムの構成の巻き取りの
状態で、20〜80℃程度の温度で3〜14日程度熟成
させ、粘着剤と硬化剤とを十分に反応させて、粘着層の
硬さが安定した後に次の工程に移ることが好ましい。
【0020】「粘着層を容器中で振動させている粉体と
メデイアに接触させる第2工程」本発明における粉体と
しては無機物及び有機物のいずれも使用できる。本発明
で使用される粉体の中で、無機物の具体例としては、ア
ルミニウム、亜鉛、銅、金、銀、ニッケル、タングステ
ン、鉄、セリウム、チタン等の金属およびこれらの合
金、酸化物、窒化物、珪化物や、カーボンブラック、ダ
イヤモンド、グラファイト、シリカ、ガラス、アトマイ
ズケルメット、青銅、ソジウムモンモリナイト、ジルコ
ン砂、炭化珪素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、カオリン、
タルク、セリサイト、炭酸カルシウム等が挙げられる。
また有機物からなる粉体は、各種樹脂から形成されるも
のであり、具体的にはアクリル樹脂、ポリスチレン樹
脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、
シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、テフロン(登録商
標)、ポリフッ化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、メラミン
樹脂等が挙げられる。
【0021】上記のような粉体を使用する際に、後述す
るメデイアの衝撃力で、粉体を前記粘着層に高い充填密
度で、均一の深さに埋め込むには、粉体が球状でその粒
子径分布も狭いことが好ましい。具体的な粒子径分布
は、0.8〜1.0の範囲が好ましく、より好ましくは
0.9〜1.0である。また球状粒子の真円度は80%
以上が好適であり、より好ましくは90%以上である。
なお上記の粉体の粒子径分布は、下記一般式(1)で定
義される。 粒子径分布=個数平均粒子径/体積平均粒子径 (1) ・個数平均粒子径:無作為に抽出した100個の粉体の
直径を測定した平均値。 ・体積平均粒子径:粉体を真球と見なし無作為に抽出し
た100個の粉体の直径から合計体積を算出し、小さい
体積の粉体から累積していき、その累積体積が合計体積
の50%となった粉体の直径。
【0022】また真円度は、下記一般式(2)で定義さ
れるが、具体的には粉体を光学顕微鏡又は透過型電子顕
微鏡で撮影して投影像を得、それを画像解析することに
より得たA、Bから算出することが出来る。 真円度(%)=(4πA/B2)×100 (2) A:粉体の投影面積、B:粉体の周囲長
【0023】本発明の粉体の粒子径(体積平均粒子径)
としては、1〜50μmが好適であり、3〜30μmが
より好ましい。これよりも小さい粒子径の粉体では、粘
着層に単層で埋め込むことが困難であり、またこれより
も大きな粒子径の粉体では、その重量や体積の点から粘
着層への埋め込みが不均一になり易く、また後述する余
剰な粉体を除去する工程等で脱離する可能性が高くなる
からである。
【0024】なお本発明を光拡散等の機能を有する光学
フィルムに適用する場合は、アクリル樹脂やスチレン樹
脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、シリコーン樹脂
等の光学的透明性の高い材質が好ましく、また、2〜1
5μmの粒子径(体積平均粒子径)を有し、粒子径分布
と真円度も高いものが好ましい。
【0025】本発明におけるメデイアは、これを振動さ
せることによる衝撃力で前記粉体を打撃し、当該粉体を
前記粘着層に埋め込むためのものであり、特に、粘着層
に初めに付着した粉体と粉体との間隙に他の粉体を押し
込んで、粉体層の充填密度をより高く均一にする能力を
有するため極めて重要である。このメデイアは、直径が
0.1〜3.0mmの粒状物、好ましくは球状物であ
り、高い充填率でかつ均一な深さに粉体を粘着層に埋め
込むためには、上記の粉体ほどではないが、やはり粒子
径分布と真円度が高い方が好ましい。直径が0.1mm
未満のメデイアでは、粉体と一緒に粘着層に付着してし
まったり、粉体を粘着層に埋め込む能力が不十分で、ま
たあまり小さすぎるためにハンドリングの点でも問題が
ある。一方3.0mm以上の大きさのメデイアは、衝撃
力は十分に大きいが、逆に粉体を粘着層に高い充填率で
かつ均一な深さに埋め込ませることは難しくなるため好
ましくない。
【0026】メデイアの具体例としては、鉄、炭素鋼、
合金鋼、銅及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム
合金、、その他の各種金属、合金からなるもの、あるい
はアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、炭化珪素
等のセラミックからなるもの、さらには、ガラス、石
英、硬質プラスチック、硬質ゴム等が挙げられる。硬質
プラスチックや硬質ゴム等については、その中に上述の
各種金属や合金、セラミックス、ガラス等の微粒子を含
有させたものも使用することが出来る。
【0027】本発明で使用するメデイアは、粘着層の厚
さや粘着力、粉体の粒子径や比重、粉体を埋め込む深さ
等により最適なものを選定する必要がある。メデイアの
粒子径が大きいと、衝撃力は大きいが、粘着層に力を伝
える機会が少ないため均一性が乏しく、また粉体を脱離
させ易い傾向がある。逆に粒子径が小さい場合は、均一
性は高くなるが衝撃力が小さいため、埋め込む力は弱く
なる。また粉体の埋め込み具合は、メデイアの比重とも
密接に関係し、高比重の材質を使用すれば同じ粒子径で
も衝撃力は大きくなり、低比重のものでは衝撃力が小さ
くなり粉体を埋め込む力は劣ることになる。従って、一
般には比較的粒子径が小さく、比重の高いメデイアを使
用する方が好ましい傾向がある。
【0028】本発明では、上述の粉体とメデイアとを容
器中に入れ、これらを容器中で振動させることにより、
両者は十分に混和し、メデイア表面に粉体が付着した状
態になることが好ましい。この時のメデイア表面への粉
体の付着状態は、単層でも多層でも構わないが、振動さ
せても両者が分離してしまうような組み合わせは好まし
くないため、両者の比重や表面付着性を事前に確認して
おく必要がある。
【0029】粉体とメデイアを入れる容器は、両者の重
量と振動に耐え得るものであればその材質や大きさは問
わない。ただしその形状は、基体に設けた粘着層を、振
動する粉体とメデイアに接触させる方式により工夫する
必要がある。特に容器自体を振動させ、その力を粉体及
びメデイアに伝達させて、最終的に粉体を粘着層に埋め
込む場合は、少なくともフィルム状基体の粘着層に対し
てその幅方向に関しては粉体及びメデイアから均一な衝
撃力を与える必要があるため、粉体とメデイアを挟んで
振動容器壁面と粘着面との距離が少なくともフィルム状
基体の幅方向では一定であることが好ましい。なお、容
器を振動させるのではなく、容器中に別の振動板等の振
動体を設置して、これにより粉体とメデイアを振動させ
ることもできるが、この際にも上述のフィルム状基体の
粘着面へ均一の力を与えるようにその取り付け位置や粘
着面からの距離を一定にすることが好ましい。また粉体
とメデイアを振動させる際に、これらが容器から飛散す
ることのない様な工夫を容器側に施すことも必要であ
る。
【0030】粉体とメデイアを入れた容器、または容器
中に設置した振動板等の振動体を振動させるには、振動
モーターやエアーバイブレーター、電磁加振装置、カム
を使用した機械振動装置等の公知の振動装置を使用する
ことが出来る。これらの振動装置は、フィーダーやホッ
パー、コンベア、ふるい、パーツフィーダー、パーツ整
列機、振動テーブル、バレル研磨等広い分野で使用され
てものであり、本発明ではフィルム状基体のサイズやメ
デイア、容器のサイズ・重量、これらを含めた装置の構
造等を考慮して、これらの中から適当なものを選択する
ことが必要である。更にいずれの装置についても、粉体
を粘着層に高い充填率でかつ均一な深さに埋め込ませる
ために、振動装置の容器への取り付け位置、バネの選定
等を通じて、振動モード、加振力、振幅を調整する必要
がある。振動数については、200〜4000cpmが
好ましく、より好ましくは1000〜3000cpmで
ある。200cpmより振動数が小さい場合はメデイア
が粘着層へ粉体を埋め込む力が弱くまた処理に時間がか
かり好ましくない。また4000cpmを超えると、衝
撃力が大きすぎて粘着層から粉体が脱離し易くなるか、
逆に容器または振動体からの振動がメデイアに吸収され
て粘着層へ届きにくくなるといった問題を生じ好ましく
ない。これらの機種選定、条件決定の場合、粘着層を設
けた長尺のフィルム状基体を移動させながら長時間安定
して粘着層への粉体の埋め込みを行うために、粉体やメ
デイアが、容器外に飛散せず、また容器中で分離した
り、一方に偏ってくることのないことが必要である。更
にまた、粉体やメデイアは、粘着層に接する部分が入れ
替わるように、ゆっくりと流動することが好ましい。
【0031】次に、粘着層を容器中で振動させている粉
体とメデイアに接触させる機構について、いくつかの模
式図により具体的に説明する。図2は、粘着層を設けた
長尺のフィルム状基体1をロール2にフィルム基体面を
接触させて移動させ、容器3中の粉体及びメデイアの混
合物4にロール2の直径の1/3程度の深さまで該ロー
ルを浸した状態が示されている。ロール2は、振動が直
接伝達しないように容器3とは別のフレームに取り付け
られている。容器3の直下には振動モーター5が取り付
けられ一体化されており、またこれらはバネ6を介して
床7に固定されている。粘着層を設けたフィルム状基体
1における粘着層は、ロール2に対して反対面となって
おり、振動モーター5によって容器3が振動することに
より振動した粉体及びメデイアの混合物4中を通過させ
ることによって該粘着層に粉体が埋め込まれる。なおロ
ール2は、粉体及びメデイアの混合物4に粘着層とは反
対のフィルム状基体面に粉体が付着しない深さまで浸し
ていることが好ましく、その深さは粉体及びメデイアの
混合物4にロール2の直径の1/3以下の深さまで浸し
ているのが好ましい。この深さである場合は、粘着層と
は反対のフィルム状基体面に粉体が付着するのを防ぐこ
とができる。
【0032】図3では、容器3中に該容器3とは別のフ
レームに取り付けられている2本のロール2を配置し、
このロール2を介して粘着層を設けたフィルム状基体1
を通すものである。本方法は原理的には図2と同じであ
るが、容器3中の粉体及びメデイアの混合物4に浸され
ている粘着層を設けたフィルム状基体1の距離が図2よ
り長く、その結果結着層へのメデイアによる粉体の埋め
込まれる機会が増大するため、粘着層を設けたフィルム
状基体1の送り速度を上げることが出来る利点がある。
また粘着層を設けたフィルム状基体1が容器3中のロー
ル2に達するまでの間に粉体に接し、この段階で粘着層
に粉体が付着するため、両面に粘着層を有するフィルム
状基体の場合は両面に粉体を埋め込むこともできる。
【0033】図4では、容器3は固定されており、容器
3の底に取り付けた電磁式加振装置8により振動板9が
上下に振動する構造になっている。粘着層を設けたフィ
ルム状基体1は、容器3の左右に開けたスリット10を
通して、容器3及びその中に入っている粉体及びメデイ
アの混合物4中を通過する。ここでスリット10からメ
デイアが容器の外にこぼれないように、スリット間隔は
メデイアの直径よりも狭くする必要がある。なお本図の
振動方法は、電磁式加振装置と振動板を使用している
が、これは必須ではなく、図2や図3のように容器を振
動させる方式を採用することも可能である。
【0034】図2や図3では、粘着層を設けたフィルム
状基体1とロール2との間に粉体やメデイアが挟まり、
メデイアの粒子径やフィルム状基体のテンションによっ
てはフィルム状基体を傷つけるおそれがある。この問題
を解決するため、溝を掘ったロールや網目状のロールを
使用して、フィルム状基体とロールとの間に入った粉体
及びメデイアを溝に逃がしたり、網目に通過させること
が有効である。またフィルム状基体の両端だけをロール
やベルト、ガイドホルダー等で支えることや、フィルム
状基体の両端にローレット加工を施したり、予めスプロ
ケット加工を施したフィルム状基体を専用の突起付きロ
ールで送ることも好ましい方法である。
【0035】またこれまでのいずれの図でも、粘着層を
設けたフィルム状基体を粉体及びメデイア中に沈み込ま
せる形になっていたが、この時には沈ませる深さによっ
て粘着層にかかる圧力が異なるため、事前に適正な深さ
を調整する必要がある。メデイアの密度にもよるが一般
にあまり深くフィルム状基体が置かれた場合は、つまり
高い圧力下に置かれたフィルム状基体の粘着層にメデイ
アからの振動を与えた場合には、粉体の脱離が起こる可
能性が高くなり好ましくない。なお粘着層側だけを、振
動している粉体及びメデイアの表面に軽く接触させるだ
けで十分に粉体の粘着層への埋め込みが果たせる場合
は、それでも構わない。
【0036】本発明では、前記第2工程の前に、前記粘
着層を有するフィルム状基体の粘着層に粉体を付着させ
る工程を有することが好ましい。本工程は、上述の粘着
層を容器中で振動させている粉体とメデイアに接触させ
る工程に先だって行われるものであり、これにより粘着
層上へのメデイアの付着を防止することが出来ると共
に、粉体の充填率を高め、粉体抜けの欠陥を少なくする
ことができる利点がある。粘着層に粉体を付着させる具
体的な方法としては、単に容器中に入れた粉体の上面に
粘着剤を接触させる、粉体の中をくぐらせる、粉体を振
りかける等が挙げられる。更に、容器中の粉体を振動も
しくは流動化エアーにより流動化させ、この流動化した
粉体中にフィルム状基体をくぐらせる方法が考えられる
が、粉体の粒子径が小さい場合は流動化エアーを使用す
る方が、より効率的である。更にエアースプレーにより
粉体を粘着層に吹き付ける方法があり、これは空気との
混合も容易であるため粉体を粘着層上に均一に付着させ
るのに好適である。なおこの粘着層に粉体を付着する工
程では、粘着層の粘着力や静電吸着力により粉体が粘着
層の表面に単に付着していれば良く、複層に付着してい
ても構わない。
【0037】「余剰な粉体を除去する第3工程」上述の
メデイアを使用して粉体を粘着層に埋め込んだ後、フィ
ルム上には静電気力やファンデルワールス力等の粒子間
力により余剰の粉体が付着しているため、これを除去す
る必要がある。その方法としては、プレードでかき取
る、ブラシや刷毛で払い取る、布等でふき取る、エアー
ブローで吹き飛ばす等が挙げられる。これらはそれなり
に有効ではあるが、余剰粉体を完全に除去するには不十
分であり、これらの方法を使用しても最後は水または洗
浄助剤を添加した水溶液による湿式洗浄を行うことが必
要である。湿式洗浄の中で、水をノズルから勢い良く吹
き出して行うウオータージェットは有効であるが、粉体
の粒子径が15μm以下の微粒子に対しては、流体圧に
よる除去だけでは不十分になるおそれがあるため、界面
活性剤等の洗浄助剤が添加されたイオン交換水等に浸漬
させて超音波洗浄等を行った後、脱イオン水等で十分に
すすぐことが好ましい。またこのような湿式洗浄を行っ
た後では、最終的に水分を除去することが必要である。
これには、ゴムロール間を通して水分を絞ったり、吸水
性のロールやマット等で水分を吸収・拭き取ったり、エ
アーブローで水分を吹き飛ばしたりする方法が挙げられ
る。フィルム状基体や粉体の種類によってはこれだけの
方法で水分を完全に除去することが出来ない場合は、別
途十分な時間冷風や熱風を当てたり、赤外線ヒーターで
加熱したりして乾燥することも必要である。
【0038】以上説明した方法で、粉体単層皮膜積層体
を製造することが出来るが、粘着層のタック性を無く
す、表面強度を向上させる等の目的で、粉体単層皮膜上
に更に別の樹脂層を設けることが好ましい。光学フィル
ム用途では、この方法により、光学特性としての全光線
透過率やヘイズ値の調整、ブロッキング防止、光学特性
の信頼性向上等を果たすことが出来る。
【0039】ここで粉体単層皮膜上に設ける樹脂層の材
料としては、特に限定されないが、塗工や印刷等の方法
でこれを設ける際に、粉体を埋め込ませている粘着層を
侵して粉体単層皮膜中に敷き詰められた粉体の配列を乱
したり、破壊したり、傷を発生したりすることのないも
のから選択する。樹脂材料として有機溶剤に溶解・希釈
した塗料又はインキを使用するのであれば、これらの溶
剤が、粉体が埋め込まれている粘着層を膨潤・溶解させ
ることのない、または少ないことが必要である。粘着層
材料としてアクリル系粘着剤を使用する場合は、これが
ケトン、エステル、芳香族炭化水素系溶剤への溶解性が
高いために粉体単層皮膜上に設ける樹脂層の溶剤として
は使用出来ず、水やアルコール、脂肪族炭化水素系溶剤
を使うことが好ましい。逆に言えばここにおいて使用で
きる樹脂としては、これらの溶剤に可溶または希釈可能
なものであることが必須となる。アルコール系溶剤と
は、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノ
ール、tert−ブタノール等が示され、これらに可溶
な樹脂としては、ポリイソブチルメタクリレート、メチ
ルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等の
アクリル系樹脂、セルロースアセテートプロピオネー
ト、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系
樹脂、ブチラール樹脂、酒精塗料に使用されるセラック
等が挙げられる。脂肪族炭化水素系溶剤とは、化学組成
的にはn−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、
n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ヘキサ
デカン、n−トリデカン等があり、蒸留により分けられ
た工業用ガソリンとして石油エーテル、石油ベンジン、
ゴム揮発油、大豆揮発油、ミネラルスピリット等があ
る。これらの脂肪族炭化水素系溶剤に可溶な樹脂として
は、ロジン系樹脂、石油樹脂、ゴム系樹脂、テルペン樹
脂等が挙げられる。また水性塗料の場合は、各種の水溶
性樹脂やエマルジョン類から選択することが可能であ
る。更に無溶剤の紫外線硬化樹脂をそのまま、または上
記のアルコール系等の溶剤で希釈して使用することも有
用である。紫外線硬化樹脂には、アクリル系のオリゴマ
ーやモノマーを配合したものに光ラジカル重合開始剤を
添加したものや、エポキシ樹脂やオキセタン化合物に光
カチオン重合開始剤を配合したものがあり、更に主骨格
からウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレー
ト、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート等
に分類される。なお本発明で使用されるこれらの樹脂と
して、塗工基体表面の粘着層や粉体と強固に接着するも
のであることは当然である。
【0040】各種溶剤を使用してこれらの樹脂を粉体単
層皮膜上に設けるには、先に粘着層を設ける際に説明し
た各種の塗工・印刷方法が使用可能であるが、粉体単層
皮膜に出来るだけ損傷を与えないよう方法を選択する必
要がある。更に、粉体単層皮膜は、各粉体の一部が突出
したいわゆる凹凸の大きい表面であることから、その上
に塗料・インキを塗工・印刷する際に、はじきや空気の
巻き込みを防ぐ目的で、必要に応じて界面活性剤等の添
加剤を使用することが出来る。また機能付与や塗工適性
向上の目的で、この樹脂層塗料・インキ中に各種の染料
や顔料を添加することも可能である。
【0041】なおこの粉体単層皮膜上に設ける樹脂層
は、通常その下層である粘着層と粉体の上に積層される
が、粘着層上だけに積層して粉体の上には積層しない場
合もあり、このいずれも本発明では有用である。
【0042】本発明では、以上説明した層構成以外に、
フィルム状基体と粘着層との間やフィルム状基体裏面
に、接着層や着色層、導電層、帯電層、帯電防止層等を
設けることが出来る。また粉体の単層皮膜上にそれぞれ
異なる樹脂を複数層積層することも可能である。本発明
を光学フィルムに適用する場合は、更に基体、粘着層、
粉体、必要に応じて単層皮膜上に設ける樹脂層につい
て、屈折率を考慮することにより、光透過性能や反射性
能、光拡散性能等を微妙に調整することが出来る。
【0043】本発明では、前記全ての工程を連続して行
い粉体単層皮膜積層体を製造することも可能であるし、
また各工程を不連続に行うこともできる。ただし、既に
述べたように、粘着層を設けた後は、そのままで巻き取
って保管することは出来ないため、一旦離型フィルムを
貼り合わせて巻き取り保管するか、粘着層に粉体を付着
させて巻き取り保管するか、容器中で振動させている粉
体とメデイアを粘着層に接触させて粉体単層皮膜を形成
させた後巻き取り保管することが好ましい。粘着層に粉
体を付着させたり、粉体とメデイアに接触させて粘着層
に粉体を埋め込んだものは、もはや粘着性を示さないた
めそのまま巻き取り保管することが可能である。この場
合、必ずしもその後の工程を連続して行う必要はない
が、この状態では、粉体が粘着層上に単層以上付着し、
また裏面にも粉体が付着している可能性が高いため、そ
のまま巻き取ると基体及び粘着層に圧痕を生じることが
ある。従って、これらの工程の直後に余剰な粉体を除去
する工程を連続して実施することが好ましい。もし余剰
な粉体を除去する工程を連続して行わない場合は、柔ら
かい材質の紙やフィルムを間に挟んで巻き取ったり、両
耳にテープ状の紙やフィルムを挟んで巻き取る等して、
基体及び粘着層に上述の圧痕を生じるような圧力がかか
らないように工夫することもできる。本発明において粉
体単層皮膜は、同時又は順次基体の両面に設けることも
できるが、片面だけに設けた場合は、その後裏面に塗工
・蒸着・粘着加工等の別の加工を行い粉体単層皮膜積層
体としてもよい。
【0044】
【発明の効果】本発明は、微粒子の粉体を用いた場合で
も、長尺のフィルム状基体に設けた粘着層表面に、粉体
の均一な単層皮膜を高い生産性で形成することができ、
産業上有益な粉体単層皮膜積層体を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法で得られる粉体単層皮膜積
層体の概略図である。
【図2】 フィルム状基体上の粘着層に粉体単層皮膜を
形成する装置の概略図である。
【図3】 フィルム状基体上の粘着層に粉体単層皮膜を
形成する別の装置の概略図である。
【図4】 フィルム状基体上の粘着層に粉体単層皮膜を
形成する別の装置の概略図である。
【符号の説明】
1 粘着層を設けたフィルム状基体 2 ローラ 3 容器 4 粉体及びメデイアの混合物 5 振動モーター 6 バネ 7 床
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H042 BA02 BA15 BA19 BA20 2K009 AA02 AA12 BB14 BB24 BB28 CC03 CC06 CC09 CC14 CC23 CC24 CC33 CC35 CC42 DD01 DD02 DD15 EE03 4F100 AB02 AB10 AK01A AK01D AK25G AK41G AK42 AK45 AR00B BA03 BA04 BA07 CB05 DD07C DE01C EC042 EC182 EG002 EH032 EH462 EH612 EJ252 EJ302 EJ852 EJ862 GB90 JL02 JL11B JM02C

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺のフィルム状基体上の粘着層表面
    に、その一部が突出する状態で単層に埋め込まれた多数
    の粉体からなる粉体単層皮膜を形成した粉体単層皮膜積
    層体の製造方法であって、 基体の少なくとも一方の面に粘着層を設ける第1工程
    と、 前記粘着層を有する基体の少なくとも粘着層を、容器
    中で振動させている粉体とメデイアに接触させ、粘着層
    表面にその一部が突出する状態で単層に粉体を埋め込み
    積層体を得る第2工程と、 前記工程で得た積層体に付着した余剰な粉体を除去す
    る第3工程、とを具備することを特徴とする粉体単層皮
    膜積層体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1工程後に、粘着層上に離型フィ
    ルムを貼り合わせる工程と、前記離型フィルムを粘着層
    から剥離して粘着層を露出する工程とを具備することを
    特徴とする請求項1に記載の粉体単層皮膜積層体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記第1工程が、予め離型フィルム上に
    設けた粘着層を基体上に貼り合わせ、その後離型フィル
    ムを剥離することにより基体上に粘着層を転写して基体
    上に粘着層を設けることを特徴とする請求項1に記載の
    粉体単層皮膜積層体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2工程の前に、前記粘着層を有す
    る基体の粘着層に粉体を付着させる工程を有することを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉体
    単層皮膜積層体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記粘着層を有する基体の粘着層に粉体
    を付着させる工程において、エアーにより流動化した粉
    体を粘着層に接触させることを特徴とする請求項4に記
    載の粉体単層皮膜積層体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第3工程で得られた積層体の粉体単
    層皮膜上に更に樹脂層を設ける工程を有することを特徴
    とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粉体単層
    皮膜積層体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記粘着層は、アクリル系粘着剤を含有
    し、前記メデイアにより粉体が単層に埋め込まれるだけ
    の膜厚を有するものであることを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれか1項に記載の粉体単層皮膜積層体の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記メデイアは、直径が0.1〜3.0
    mmの粒状物であり、このメデイアを振動させることに
    よる衝撃力で前記粉体を打撃し、当該粉体を粘着層に埋
    め込むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項
    に記載の粉体単層皮膜積層体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第3工程において、水または洗浄助
    剤を添加した水溶液による湿式洗浄を行った後に、積層
    体を乾燥させる工程を具備することを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれか1項に記載の粉体単層皮膜積層体の
    製造方法。
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