JP2004045497A - 支持体の再生方法及び再生支持体 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気的欠陥の無い支持体の再生方法及びそれにより得られた再生支持体を提供。
【解決手段】支持体表面にバインダー樹脂を含有する下層塗膜を塗布し、その上にバインダー樹脂を含有する上層塗膜を塗布してなる塗膜層及び支持体とで形成される構造物から、該塗膜層を剥離して該支持体を再生する支持体の再生方法において、該構造物を、下層塗膜のバインダー樹脂に対し良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒に浸漬して、該塗膜層を剥離する手段を有することを特徴とする支持体の再生方法。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体表面にバインダー樹脂を含有する下層塗膜を塗布し、その上にバインダー樹脂を含有する上層塗膜を塗布してなる塗膜層及び支持体とで形成される構造物から、該塗膜層を剥離して該支持体を再生する支持体の再生方法において、該構造物を、下層塗膜のバインダー樹脂に対し良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒に浸漬して、該塗膜層を剥離する手段を有することを特徴とする支持体の再生方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機やプリンタの分野において用いられる電子写真感光体、有機エレクトロルミネッセンス、フラットパネルディスプレー、太陽電池等の電気部材に用いられる支持体の再生方法及び再生支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体、有機エレクトロルミネッセンス、フラットパネルディスプレー、太陽電池等の電気部材に用いられる支持体の再生方法については、種々の検討がなされてきた。
【0003】
例えば、有機感光層を有する電子写真感光体(以下、単に感光体とも云う)の支持体を再生する場合、感光体の塗膜層形成に使用されているバインダー樹脂の良溶媒を用い、該塗膜層を溶解し、剥離して支持体を再生使用する方法が試みられてきた。
【0004】
この方法による支持体の再生では、多量の溶媒と数回にわたる洗浄を必要とするため、再生コストが高く、時間もかかり実用的ではなかった。
【0005】
又、この方法では一旦溶解したバインダー樹脂が支持体表面に再付着しやすく、再付着したゴミ(バインダー樹脂)を完全に除去するのは難しい。ゴミが付着した支持体を用いて作製した感光体では、ゴミ付着部が電気的欠陥となり、画像むら、画像かぶり、黒点、白点等の画像欠陥が発生し問題であった。
【0006】
上記問題は、前記電気部材に用いる支持体を再生する場合の共通の課題であり、塗膜層をきれいに剥離し、電気的欠陥が無い良好な支持体を再生する方法が望まれてきたが、いまだ開発されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、電気的欠陥の無い支持体の再生方法及びそれにより得られた再生支持体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は下記構成を採ることにより達成される。
【0009】
1.支持体表面にバインダー樹脂を含有する下層塗膜を塗布し、その上にバインダー樹脂を含有する上層塗膜を塗布してなる塗膜層及び支持体とで形成される構造物から、該塗膜層を剥離して該支持体を再生する支持体の再生方法において、該構造物を、下層塗膜のバインダー樹脂に対し良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒に浸漬して、該塗膜層を剥離する手段を有することを特徴とする支持体の再生方法。
【0010】
2.前記良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒が、前記上層塗膜のバインダー樹脂に対して貧溶媒であることを特徴とする前記1項に記載の支持体の再生方法。
【0011】
3.前記構造物が、電子写真感光体であることを特徴とする前記1又は2項に記載の支持体の再生方法。
【0012】
4.前記良溶媒と貧溶媒とが、前記式(1)を満足することを特徴とする前記1〜3項の何れか1項に記載の支持体の再生方法。
【0013】
5.前記1〜4項の何れか1項に記載の支持体の再生方法を用いて再生されたことを特徴とする再生支持体。
【0014】
本発明者らは、鋭意検討した結果、塗膜層と支持体とからなる構造物を、支持体表面に塗布して形成した下層塗膜のバインダー樹脂に対し良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒に浸漬後、塗膜層を剥離することにより電気的欠陥の無い支持体を再生出来ることを見出し、本発明に至った。
【0015】
上記混合溶媒は、支持体表面に塗布して形成した下層塗膜(以下、単に下層塗膜とも云う)のバインダー樹脂を膨潤させるもので、その上に塗布して設けた上層塗膜(以下、単に上層塗膜とも云う)のバインダー樹脂を膨潤させるか或いは膨潤させないものである。上記混合溶媒を用て塗膜層を剥離すると、バインダー樹脂は混合溶媒中に溶出しないため、バインダー樹脂が支持体へ再付着することが無く、結果として電気的欠陥の無い再生支持体が得られることを見出した。
【0016】
又、本発明の支持体の再生方法によれば、支持体にキズを付けることなく、支持体から塗膜層を完全に除去することができる。
【0017】
まず、本発明に用いられる、混合溶媒について説明する。
上記混合溶媒は、下層塗膜のバインダー樹脂に対し良溶媒と貧溶媒との混合溶媒である。
【0018】
本発明に係る良溶媒は、下層塗膜のバインダー樹脂に対し、20℃において5質量%以上の溶解度を有するものを云う。ここで、溶解度とは前記温度の溶媒中でバインダー樹脂を1時間撹拌し、その溶液を濾過し、濾塊を除いた溶液中に溶解して含まれるバインダー樹脂量の溶媒量に対する値である。又、貧溶媒は、下層塗膜のバインダー樹脂に対し、20℃において5質量%未満の溶解度を有するものであり、1質量%以下の溶解度を有するものが好ましい。
【0019】
良溶媒と貧溶媒は、下層塗膜のバインダー樹脂により選定されるが、例えばバインダー樹脂として、ポリアミド樹脂を用いた場合には、良溶媒として、具体的に、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、2−エチルブタノール、ジオキサン等を挙げることができ、貧溶媒として、具体的に、水、メチルシクロヘキサン、ノルマルペンタン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0020】
又、良溶媒と貧溶媒の好ましい組み合わせは、前記式(1)を満足するものである。前記式(1)を満足することにより、良好に塗膜層を除去することができ好ましい。
【0021】
溶解度パラメーターは、隔れていることが下層塗膜を膨潤させるのに好ましいが、良溶媒と貧溶媒とが相溶しなければ混合溶媒として機能せず、十分に下層塗膜を膨潤出来ず、塗膜層を良好に除去することができず好ましくない。
【0022】
具体的には、良溶媒としてメタノールを、貧溶媒としてメチルシクロヘキサンを用いた場合、それぞれのSP値が、SP1=29.7(MPa)1/2とSP2=16.0(MPa)1/2であるので、|SP1−SP2|は14.7(MPa)1/2となり、又、良溶媒としてメタノールを、貧溶媒として水を用いた場合も、それぞれのSP値がSP1=29.7(MPa)1/2とSP2=47.9(MPa)1/2であるので、|SP1−SP2|は18.2(MPa)1/2となり、前記式(1)を満足し好ましい。しかし、良溶媒とし2−エチルブタノールを、貧溶媒としてメチルシクロヘキサンを用いた場合、それぞれのSP値が、SP1=21.5(MPa)1/2とSP2=16.0(MPa)1/2であるので、|SP1−SP2|は5.5(MPa)1/2となり、前記式(1)を満足せず性能が若干劣る。
【0023】
良溶媒と貧溶媒との混合比率は、特に限定されないが、下層塗膜のバインダー樹脂の種類、或いは浸漬、剥離する方法等により変えることが好ましく、良溶媒の比率が10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
【0024】
さらに、混合溶媒は、上層塗膜のバインダー樹脂を膨潤させるか或いは膨潤させないものであることを特徴としている。
【0025】
次に、支持体の再生方法の一例について説明するが、これに限定されるものではない。
【0026】
塗膜層を支持体から剥離する具体的方法として、塗膜層と支持体からなる構造物を、まず、混合溶媒中に浸漬し、下層塗膜のバインダー樹脂を膨潤させ、その後、ブラシ、或いは超音波等により塗膜層を支持体から剥離し、表面に付着しているゴミを洗浄液で洗浄し、その後乾燥する方法を挙げることができる。
【0027】
前記構造物を浸漬する方法は、特に限定されないが、構造物全体を混合溶媒中に浸漬し、下層塗膜のバインダー樹脂を膨潤出来ればよく、具体的には、混合溶媒を満たした容器中に、混合溶媒の沸点以下の温度で設定時間(ブラシ、或いは超音波等により容易に塗膜層を剥離できるようになるまで)浸漬し、下層塗膜のバインダー樹脂を膨潤させればよい。
【0028】
下層塗膜のバインダー樹脂が膨潤した塗膜層を剥離する方法は、具体的には、混合溶媒を満たした容器中で、塗膜層の表面にブラシ、ウエブ等の剥離部材を接触させて、或いは超音波をかけることにより塗膜層を剥離する方法である。ここで、前記剥離部材による剥離では、支持体表面に傷が付かないことが前提となる。
【0029】
塗膜層が剥離された支持体の洗浄、乾燥方法は、具体的には、水、洗浄剤等の洗浄液で、支持体の表面に付着しているゴミを除去し、その後、熱風等で乾燥する方法である。
【0030】
このようにして得られた再生支持体は、新品の支持体と同じように用いることができる。
【0031】
次に、前記構造物の一例として、電子写真感光体を用い、支持体の再生方法及び再生支持体について説明する。
【0032】
感光体の支持体としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
1)アルミニウム、ステンレス等の導電性金属支持体。
2)紙或いはプラスチック等の上に、アルミニウム、パラジウム及び金等の導電性の金属薄層をラミネート若しくは蒸着を設けた支持体。
【0034】
3)紙或いはプラスチック等の上に、導電性ポリマー、酸化インジウム及び酸化錫等の導電性化合物の層を塗布若しくは蒸着した支持体。
【0035】
これらの中では、アルミニウムの導電性金属支持体が好ましく用いられる。
支持体の形状としては、回転することによりエンドレスに画像を形成することが出来る円筒状支持体が好ましい。円筒状支持体の厚さ、径及び長さは、特に限定されず、用いる電子写真画像形成装置により任意に決めることが出来る。円筒状支持体の真直度は0.10mm以下、振れは0.10mm以下の範囲にあるのが好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難となる。
【0036】
感光体の層構成は、例えば、支持体の上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなるもの、支持体の上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなるもの、支持体の上に導電層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなるもの、或いは電荷輸送層の上に表面層をさらに積層してなるもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0037】
具体的に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなる感光体の層構成について説明する。
【0038】
《中間層》
中間層は支持体と後述する感光層との接着性改良、或いは支持体からの電荷注入を防止するために、支持体と感光層の間に設けられる。
【0039】
ここで云う中間層とは、本発明で云う、下層塗膜のことである。
中間層の材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のバインダー樹脂が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらバインダー樹脂の中で、繰り返し使用しても残留電位の増加を小さくおさえることが出来るものとしては、ポリアミド樹脂が挙げられる。又、中間層中にはモアレ防止剤として酸化チタン粉体、酸化亜鉛粉体等を添加することが出来る。これらのバインダー樹脂を用いた中間層の膜厚は0.1〜5.0μmが好ましい。
【0040】
中間層は、前記バインダー樹脂を塗布溶媒で溶解して調製した中間層用塗布液を、浸漬塗布方法で支持体の上に一定の膜厚を塗布し、乾燥して作製することが好ましい。
【0041】
塗布溶媒としては、前記バインダー樹脂を溶解するものなら特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、メチルエチルケトン及びトルエン等を用いることが好ましい。
【0042】
なお、中間層には、導電性カーボン、導電性酸化チタン等の導電性物質を添加して導電層として用いても何ら問題ない。
【0043】
《感光層》
感光層は、前記中間層上に、感光層の機能を電荷発生層と電荷輸送層に分離して形成することが好ましい。感光層を電荷発生層と電荷輸送層に分離して形成することにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御出来、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用感光体では中間層の上に電荷発生層、その上に電荷輸送層の構成をとることが好ましい。正帯電用感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。
【0044】
又、必要に応じ電荷輸送層の上に感光体の耐摩耗性を向上させる目的で表面層を設けることが出来る。
【0045】
ここで云う感光層とは、本発明で云う、上層塗膜のことである。
以下に機能分離型負帯電感光体の層構成及び作製方法について説明する。
【0046】
〈電荷発生層〉
電荷発生層には電荷発生物質を含有する。その他に、必要に応じバインダー樹脂、その他の添加剤を含有しても良い。
【0047】
電荷発生物質としては公知のものを用いることが出来る。具体的には、金属或いは無金属フタロシアニン化合物、アントアントロン化合物、ピリリウム化合物或いはチオピリリウム化合物等が挙げられる。好ましくはチタニルフタロシアニン、より好ましくはCu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、ブラッグ角2θ(±0.2)の27.2度に最大ピークを有するチタニルフタニンである。又、これらは必要に応じ二種類以上混合して用いても良い。
【0048】
電荷発生物質の分散媒としてバインダー樹脂を用いる場合、バインダー樹脂としては公知のものを用いることが出来る。具体的には、ホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコン樹脂、シリコン変性ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びフェノキシ樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0049】
電荷発生層中でのバインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂に対し電荷発生物質20〜600質量%が好ましい。
【0050】
上記バインダー樹脂を用い、上記混合割合で電荷発生層を形成すると、繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく出来る。
【0051】
電荷発生層の平均膜厚は0.05〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましい。
【0052】
電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂、その他の添加剤と共に塗布溶媒中に分散或いは溶解して調製した電荷発生層用塗布液を、浸漬塗布方法で前記中間層の上に一定の膜厚を塗布し、乾燥して作製することが好ましい。
【0053】
塗布溶媒としては、前記バインダー樹脂を溶解するものなら特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸t−ブチル、シクロヘキサノン及びテトラハイドロフラン等を用いることが好ましい。
【0054】
塗布液中にフタロシアニン系顔料を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用出来るがこれらに限定されるものではない。
【0055】
〈電荷輸送層〉
電荷輸送層には電荷輸送物質を含有する。その他に、必要に応じバインダー樹脂、その他の添加剤を含有しても良い。
【0056】
電荷輸送物質としては公知のものを用いることが出来る。具体的には、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物等を挙げることが出来るがこれらに限定されるものではない。
【0057】
バインダー樹脂としては公知のものを用いることが出来る。具体的には、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることが出来るがこれらに限定されるものではない。又これらの樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体を挙げることが出来る。これら電荷輸送層のバインダー樹脂として好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂は電荷輸送物質との相溶性、電子写真特性を良好にすることにおいて好ましい。
【0058】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂に対し電荷輸送物質10〜200質量%が好ましい。電荷輸送層の膜厚は、10〜30μmが好ましい。
【0059】
電荷輸送層は、電荷輸送質とバインダー樹脂とその他のものを塗布溶媒に溶解して調製した電荷輸送層用塗布液を、前記電荷発生層の上に浸漬塗布方法で一定の膜厚に塗布し、乾燥して作製することが好ましい。
【0060】
塗布溶媒としては、前記バインダー樹脂と前記電荷輸送物質を溶解するものであれば特に限定されず、具体的には、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、ジクロロメタン及びテトラハイドロフラン等を挙げることが出来る。
【0061】
塗布液中に電荷輸送物質を溶解する手段としては、例えば、超音波分散機及びホモミキサー等が使用出来るがこれらに限定されるものではない。
【0062】
感光体の全塗膜層(中間層+電荷発生層+電荷輸送層)の膜厚は、概ね10〜46μmになるよう作製することが好ましい。
【0063】
《浸漬、剥離方法》
次に、支持体を再生するための浸漬、剥離方法の一例について説明する。
【0064】
感光体は、まず設定温度の混合溶媒に所定時間浸漬し、中間層のバインダー樹脂を膨潤させる。浸漬させている間に、混合溶媒を撹拌したり、混合溶媒中の感光体を揺動させたり或いは混合溶媒に超音波振動を与えたりすると膨潤時間が短縮され好ましい。
【0065】
混合溶媒の設定温度は中間層のバインダー樹脂の膨潤に要する時間に影響する。混合溶媒の設定温度は30〜70℃が好ましく、50〜60℃がより好ましい。70℃より設定温度が高い場合は浸漬時間が短縮され、30℃より設定温度が低い場合は浸漬時間が延長される。
【0066】
感光体を混合溶媒に浸漬し、中間層のバインダー樹脂を膨潤させる時間は、混合溶媒の種類及び設定温度、感光層の構成及びバインダー樹脂の種類にもよるが1〜5分程度で良く、中間層のバインダー樹脂が膨潤すればブラシ等による塗膜層の剥離が可能となる。
【0067】
次に、混合溶媒が満たされた容器中で、ブラシと感光体表面は回転しながら接触し、塗膜層が剥離除去される。ブラシの種類、ブラシと感光体の回転速度及び接触圧、剥離時間は、塗膜層の除去が完全に行われ、且つ支持体表面にキズが付かない条件に設定される。
【0068】
ブラシの回転数は35〜200回転/minが好ましく、40〜100回転/minがより好ましい。感光体の回転はブラシと逆回転が好ましく、回転数は25〜100回転/minが好ましい。
【0069】
剥離時間は中間層のバインダー樹脂の膨潤程度によるが、0.5〜1min程度で完了する。
【0070】
なお、前記容器にはフィルター付きの混合溶媒循環器を設け、混合溶媒中のゴミ(剥離された塗膜層等)をフィルターで除去することにより、支持体表面にゴミが再付着するのを防止することができる。
【0071】
図1は、本発明に係る感光体の塗膜層を剥離除去する手段に用いられる剥離装置の一例を示す概略図である。
【0072】
支持体に塗膜層2を塗布した感光体1は、設定温度の混合溶媒4に所定時間浸漬される。その後、ブラシ3が感光体表面に接触され、感光体回転軸6とブラシ回転軸5が逆方向に回転し、塗膜層が支持体から剥離除去される。
【0073】
混合溶媒4中に浮遊するゴミはフィルター7により除去される。ゴミが除去されきれいになった混合溶媒は循環器8により容器にもどされ再使用される。
【0074】
塗膜層が剥離された支持体は、純水で表面を洗浄した後、熱風乾燥することにより、再生支持体として使用することができる。
【0075】
〈ブラシ〉
本発明で用いるブラシは特に限定されないが、ブラシの植毛部分に微粒子を固着させたものが好ましい。
【0076】
植毛部分に用いられる素材としては、各種の樹脂或いは金属等が挙げられるが、ナイロン、レーヨン、ポリエステル或いはカーボン繊維等が好ましく、ナイロン繊維がより好ましい。繊維径は10〜600μmが好ましく、50〜500μmがより好ましい。繊維の長さは5〜50mmが好ましく、20〜30mmがより好ましい。
【0077】
又、固着される微粒子の素材としては、各種のセラミック、金属、金属酸化物或いは樹脂等が好ましく、具体的には、アルミナ(酸化アルミ)、酸化チタン或いはシリコーンカーバイトを挙げることができる。微粒子の粒径は1〜100μmが好ましく、5〜70μmがより好ましい。微粒子の硬度は、モース硬度で3以上が好ましく、7以上がより好ましい。繊維に固着される微粒子の量は繊維に対して2〜20質量%が好ましく、4〜15質量%がより好ましい。又、繊維に微粒子を固着したブラシは「錦」株式会社製のものを用いることが好ましい。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0079】
《感光体1の作製》
〈支持体1の作製〉
引き抜き加工により得られた厚さ2mm、直径80mm、長さ360mmのアルミニウム素管の表面を切削加工し、その後表面を洗浄して「支持体1」を作製した。
【0080】
〈中間層用塗布液1の調製〉
メトキシメチル化ポリアミド樹脂 35g
メタノール 1400g
ノルマルプロパノール 350g
上記中間層用材料を溶解して「中間層用塗布液1」を調製した。
【0081】
〈中間層1の形成〉
前記「支持体1」の上に、前記「中間層用塗布液1」を浸漬塗布方法で塗布し、乾燥して膜厚0.5μmの「中間層1」を形成した。
【0082】
上記電荷発生層用材料をサンドミル分散機で10時間分散して「電荷発生層用塗布液1」を調製した。
【0083】
〈電荷発生層1の形成〉
前記「中間層1」の上に、前記「電荷発生層用塗布液1」を浸漬塗布方法で塗布し、乾燥して膜厚0.3μmの「電荷発生層1」を形成した。
【0084】
上記電荷輸送層用材料を溶解して「電荷輸送層用塗布液1」を調製した。
【0085】
〈電荷輸送層1の形成〉
前記「電荷発生層1」の上に、前記「電荷輸送層用塗布液1」を浸漬塗布方法で塗布し、100℃で1時間乾燥して膜厚25μmの「電荷輸送層1」を形成し、「感光体1」を作製した。
【0086】
《感光体2の作製》
〈導電層用塗布液2の調製〉
酸化スズで表面処理した酸化チタン粉体 500g
メトキシメチル化ポリアミド樹脂 250g
メチルセロソルブ 1500g
メタノール 500g
シリコンオイル 0.02g
(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)
上記導電性物質を含む導電層用材料を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル分散機で5時間分散後、濾過して「導電層用塗布液2」を調製した。
【0087】
〈導電層2の形成〉
前記「支持体1」の上に、前記「導電層用塗布液2」を浸漬塗布方法で塗布し、120℃で10分間乾燥して膜厚20μmの「導電層2」を形成した。
【0088】
〈電荷発生層2の形成〉
前記「導電層2」の上に、前記「電荷発生層用塗布液1」を浸漬塗布方法で塗布し、乾燥して膜厚0.3μmの「電荷発生層2」を形成した。
【0089】
〈電荷輸送層2の形成〉
前記「電荷発生層2」の上に、前記「電荷輸送層用塗布液1」を浸漬塗布方法で塗布し、100℃で1時間乾燥して膜厚25μmの「電荷輸送層2」を形成し、「感光体2」を作製した。
【0090】
〈再生支持体の作製〉
感光体を設定温度の混合溶媒が満たされた容器に、設定時間浸漬した後、図1に示す混合溶媒の循環器を備えたブラシ付き剥離装置を用い、表1に示すブラシで、表3に示す混合溶媒で剥離を行い塗膜層を除去した。その後、表面に付着しているゴミと混合溶媒を水で洗浄し、熱風乾燥を行ない「再生支持体S1〜S11」を作製した。
【0091】
表1に、剥離に用いたブラシの繊維、繊維径、微粒子の粒径等を示す。
【0092】
【表1】
【0093】
表2に、剥離に用いた単独溶媒の、塗膜層形成に用いたバインダー樹脂に対する溶解度を示す。(20℃の溶媒中で、1時間撹拌してバインダー樹脂を溶解させた時の溶解度)
【0094】
【表2】
【0095】
表3に、剥離に用いた良溶媒と貧溶媒(メトキシメチル化ポリアミド樹脂に対して)、それらの混合比率及び混合溶媒のポリカーボネート樹脂に対する溶解度を示す。
【0096】
【表3】
【0097】
表4に、再生支持体作製に用いた感光体、混合溶媒、浸漬条件、剥離条件及び再生支持体の表面状態を目視により評価した結果を示す。
【0098】
表面状態の評価基準
○:塗膜層が完全に剥離されている
△:支持体のごく一部にむら状の塗膜痕跡が残存している
×:塗膜の一部が残存している
××:塗膜層が剥離出来ていない
【0099】
【表4】
【0100】
「再生支持体S1〜S11」の表面状態を目視にて観察した結果、「再生支持体S1〜S6」は塗膜層が完全に剥離されていたが、「再生支持体S7及び8」は支持体のごく一部にむら状の塗膜痕跡が、「再生支持体S11」は塗膜の一部が残存し、「再生支持体S9及びS10」は塗膜層が剥離出来ていなかった。
【0101】
〈再生支持体を用いた感光体の作製〉
「感光体1」で用いた「支持体1」を「再生支持体S1〜S8、S11」に変更した以外は、「感光体1」の作製と同じ方法で「感光体101〜108、111」を作製した。
【0102】
なお、「再生支持体S9及びS10」は塗膜層が剥離出来ていなかったので感光体の作製は行わなかった。
【0103】
〈再生支持体を用いた感光体の画像評価〉
「再生支持体S1〜8、S11」を用いた「感光体101〜108、111」を、電子写真複写機「Konica7060」(コニカ株式会社製)に搭載し、20℃、50%RHの環境下で1万枚のプリントを行ないプリント画像を作成した。
【0104】
支持体に電気的欠陥が有ると発生する画像むら、画像かぶり、黒点、白点に着目し、プリント画像の画像むら、画像かぶり、黒点、白点の発生状況を目視にて評価した。
【0105】
表5に、評価結果を示す。
評価基準
◎:全く問題なく、再生支持体として使用可能
○:問題なく、再生支持体として使用可能
△:やや問題有るが、再生支持体として使用可能
×:問題有り、再生支持体として使用不可能
【0106】
【表5】
【0107】
評価結果から、「感光体101〜106」は画像むら、画像かぶり、黒点、白点の発生が無く、「感光体107」は画像むら、画像かぶり、黒点、白点が発生しやや問題が有ったが再生支持体として使用可能であった。しかし「感光体108、111」は画像むら、画像かぶり、黒点、白点の何れかがひどく発生し再生支持体として使用不可能であった。
【0108】
【発明の効果】
実施例で実証されたように、本発明の支持体の再生方法及び支持体は、電気的欠陥の無い優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る感光体の塗膜層を剥離除去する手段に用いられる剥離装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 塗膜層
3 ブラシ
4 混合溶媒
5 ブラシ回転軸
6 感光体回転軸
7 フィルター
8 循環器
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機やプリンタの分野において用いられる電子写真感光体、有機エレクトロルミネッセンス、フラットパネルディスプレー、太陽電池等の電気部材に用いられる支持体の再生方法及び再生支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体、有機エレクトロルミネッセンス、フラットパネルディスプレー、太陽電池等の電気部材に用いられる支持体の再生方法については、種々の検討がなされてきた。
【0003】
例えば、有機感光層を有する電子写真感光体(以下、単に感光体とも云う)の支持体を再生する場合、感光体の塗膜層形成に使用されているバインダー樹脂の良溶媒を用い、該塗膜層を溶解し、剥離して支持体を再生使用する方法が試みられてきた。
【0004】
この方法による支持体の再生では、多量の溶媒と数回にわたる洗浄を必要とするため、再生コストが高く、時間もかかり実用的ではなかった。
【0005】
又、この方法では一旦溶解したバインダー樹脂が支持体表面に再付着しやすく、再付着したゴミ(バインダー樹脂)を完全に除去するのは難しい。ゴミが付着した支持体を用いて作製した感光体では、ゴミ付着部が電気的欠陥となり、画像むら、画像かぶり、黒点、白点等の画像欠陥が発生し問題であった。
【0006】
上記問題は、前記電気部材に用いる支持体を再生する場合の共通の課題であり、塗膜層をきれいに剥離し、電気的欠陥が無い良好な支持体を再生する方法が望まれてきたが、いまだ開発されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、電気的欠陥の無い支持体の再生方法及びそれにより得られた再生支持体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は下記構成を採ることにより達成される。
【0009】
1.支持体表面にバインダー樹脂を含有する下層塗膜を塗布し、その上にバインダー樹脂を含有する上層塗膜を塗布してなる塗膜層及び支持体とで形成される構造物から、該塗膜層を剥離して該支持体を再生する支持体の再生方法において、該構造物を、下層塗膜のバインダー樹脂に対し良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒に浸漬して、該塗膜層を剥離する手段を有することを特徴とする支持体の再生方法。
【0010】
2.前記良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒が、前記上層塗膜のバインダー樹脂に対して貧溶媒であることを特徴とする前記1項に記載の支持体の再生方法。
【0011】
3.前記構造物が、電子写真感光体であることを特徴とする前記1又は2項に記載の支持体の再生方法。
【0012】
4.前記良溶媒と貧溶媒とが、前記式(1)を満足することを特徴とする前記1〜3項の何れか1項に記載の支持体の再生方法。
【0013】
5.前記1〜4項の何れか1項に記載の支持体の再生方法を用いて再生されたことを特徴とする再生支持体。
【0014】
本発明者らは、鋭意検討した結果、塗膜層と支持体とからなる構造物を、支持体表面に塗布して形成した下層塗膜のバインダー樹脂に対し良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒に浸漬後、塗膜層を剥離することにより電気的欠陥の無い支持体を再生出来ることを見出し、本発明に至った。
【0015】
上記混合溶媒は、支持体表面に塗布して形成した下層塗膜(以下、単に下層塗膜とも云う)のバインダー樹脂を膨潤させるもので、その上に塗布して設けた上層塗膜(以下、単に上層塗膜とも云う)のバインダー樹脂を膨潤させるか或いは膨潤させないものである。上記混合溶媒を用て塗膜層を剥離すると、バインダー樹脂は混合溶媒中に溶出しないため、バインダー樹脂が支持体へ再付着することが無く、結果として電気的欠陥の無い再生支持体が得られることを見出した。
【0016】
又、本発明の支持体の再生方法によれば、支持体にキズを付けることなく、支持体から塗膜層を完全に除去することができる。
【0017】
まず、本発明に用いられる、混合溶媒について説明する。
上記混合溶媒は、下層塗膜のバインダー樹脂に対し良溶媒と貧溶媒との混合溶媒である。
【0018】
本発明に係る良溶媒は、下層塗膜のバインダー樹脂に対し、20℃において5質量%以上の溶解度を有するものを云う。ここで、溶解度とは前記温度の溶媒中でバインダー樹脂を1時間撹拌し、その溶液を濾過し、濾塊を除いた溶液中に溶解して含まれるバインダー樹脂量の溶媒量に対する値である。又、貧溶媒は、下層塗膜のバインダー樹脂に対し、20℃において5質量%未満の溶解度を有するものであり、1質量%以下の溶解度を有するものが好ましい。
【0019】
良溶媒と貧溶媒は、下層塗膜のバインダー樹脂により選定されるが、例えばバインダー樹脂として、ポリアミド樹脂を用いた場合には、良溶媒として、具体的に、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、2−エチルブタノール、ジオキサン等を挙げることができ、貧溶媒として、具体的に、水、メチルシクロヘキサン、ノルマルペンタン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0020】
又、良溶媒と貧溶媒の好ましい組み合わせは、前記式(1)を満足するものである。前記式(1)を満足することにより、良好に塗膜層を除去することができ好ましい。
【0021】
溶解度パラメーターは、隔れていることが下層塗膜を膨潤させるのに好ましいが、良溶媒と貧溶媒とが相溶しなければ混合溶媒として機能せず、十分に下層塗膜を膨潤出来ず、塗膜層を良好に除去することができず好ましくない。
【0022】
具体的には、良溶媒としてメタノールを、貧溶媒としてメチルシクロヘキサンを用いた場合、それぞれのSP値が、SP1=29.7(MPa)1/2とSP2=16.0(MPa)1/2であるので、|SP1−SP2|は14.7(MPa)1/2となり、又、良溶媒としてメタノールを、貧溶媒として水を用いた場合も、それぞれのSP値がSP1=29.7(MPa)1/2とSP2=47.9(MPa)1/2であるので、|SP1−SP2|は18.2(MPa)1/2となり、前記式(1)を満足し好ましい。しかし、良溶媒とし2−エチルブタノールを、貧溶媒としてメチルシクロヘキサンを用いた場合、それぞれのSP値が、SP1=21.5(MPa)1/2とSP2=16.0(MPa)1/2であるので、|SP1−SP2|は5.5(MPa)1/2となり、前記式(1)を満足せず性能が若干劣る。
【0023】
良溶媒と貧溶媒との混合比率は、特に限定されないが、下層塗膜のバインダー樹脂の種類、或いは浸漬、剥離する方法等により変えることが好ましく、良溶媒の比率が10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
【0024】
さらに、混合溶媒は、上層塗膜のバインダー樹脂を膨潤させるか或いは膨潤させないものであることを特徴としている。
【0025】
次に、支持体の再生方法の一例について説明するが、これに限定されるものではない。
【0026】
塗膜層を支持体から剥離する具体的方法として、塗膜層と支持体からなる構造物を、まず、混合溶媒中に浸漬し、下層塗膜のバインダー樹脂を膨潤させ、その後、ブラシ、或いは超音波等により塗膜層を支持体から剥離し、表面に付着しているゴミを洗浄液で洗浄し、その後乾燥する方法を挙げることができる。
【0027】
前記構造物を浸漬する方法は、特に限定されないが、構造物全体を混合溶媒中に浸漬し、下層塗膜のバインダー樹脂を膨潤出来ればよく、具体的には、混合溶媒を満たした容器中に、混合溶媒の沸点以下の温度で設定時間(ブラシ、或いは超音波等により容易に塗膜層を剥離できるようになるまで)浸漬し、下層塗膜のバインダー樹脂を膨潤させればよい。
【0028】
下層塗膜のバインダー樹脂が膨潤した塗膜層を剥離する方法は、具体的には、混合溶媒を満たした容器中で、塗膜層の表面にブラシ、ウエブ等の剥離部材を接触させて、或いは超音波をかけることにより塗膜層を剥離する方法である。ここで、前記剥離部材による剥離では、支持体表面に傷が付かないことが前提となる。
【0029】
塗膜層が剥離された支持体の洗浄、乾燥方法は、具体的には、水、洗浄剤等の洗浄液で、支持体の表面に付着しているゴミを除去し、その後、熱風等で乾燥する方法である。
【0030】
このようにして得られた再生支持体は、新品の支持体と同じように用いることができる。
【0031】
次に、前記構造物の一例として、電子写真感光体を用い、支持体の再生方法及び再生支持体について説明する。
【0032】
感光体の支持体としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
1)アルミニウム、ステンレス等の導電性金属支持体。
2)紙或いはプラスチック等の上に、アルミニウム、パラジウム及び金等の導電性の金属薄層をラミネート若しくは蒸着を設けた支持体。
【0034】
3)紙或いはプラスチック等の上に、導電性ポリマー、酸化インジウム及び酸化錫等の導電性化合物の層を塗布若しくは蒸着した支持体。
【0035】
これらの中では、アルミニウムの導電性金属支持体が好ましく用いられる。
支持体の形状としては、回転することによりエンドレスに画像を形成することが出来る円筒状支持体が好ましい。円筒状支持体の厚さ、径及び長さは、特に限定されず、用いる電子写真画像形成装置により任意に決めることが出来る。円筒状支持体の真直度は0.10mm以下、振れは0.10mm以下の範囲にあるのが好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難となる。
【0036】
感光体の層構成は、例えば、支持体の上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなるもの、支持体の上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなるもの、支持体の上に導電層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなるもの、或いは電荷輸送層の上に表面層をさらに積層してなるもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0037】
具体的に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなる感光体の層構成について説明する。
【0038】
《中間層》
中間層は支持体と後述する感光層との接着性改良、或いは支持体からの電荷注入を防止するために、支持体と感光層の間に設けられる。
【0039】
ここで云う中間層とは、本発明で云う、下層塗膜のことである。
中間層の材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のバインダー樹脂が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらバインダー樹脂の中で、繰り返し使用しても残留電位の増加を小さくおさえることが出来るものとしては、ポリアミド樹脂が挙げられる。又、中間層中にはモアレ防止剤として酸化チタン粉体、酸化亜鉛粉体等を添加することが出来る。これらのバインダー樹脂を用いた中間層の膜厚は0.1〜5.0μmが好ましい。
【0040】
中間層は、前記バインダー樹脂を塗布溶媒で溶解して調製した中間層用塗布液を、浸漬塗布方法で支持体の上に一定の膜厚を塗布し、乾燥して作製することが好ましい。
【0041】
塗布溶媒としては、前記バインダー樹脂を溶解するものなら特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、メチルエチルケトン及びトルエン等を用いることが好ましい。
【0042】
なお、中間層には、導電性カーボン、導電性酸化チタン等の導電性物質を添加して導電層として用いても何ら問題ない。
【0043】
《感光層》
感光層は、前記中間層上に、感光層の機能を電荷発生層と電荷輸送層に分離して形成することが好ましい。感光層を電荷発生層と電荷輸送層に分離して形成することにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御出来、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用感光体では中間層の上に電荷発生層、その上に電荷輸送層の構成をとることが好ましい。正帯電用感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。
【0044】
又、必要に応じ電荷輸送層の上に感光体の耐摩耗性を向上させる目的で表面層を設けることが出来る。
【0045】
ここで云う感光層とは、本発明で云う、上層塗膜のことである。
以下に機能分離型負帯電感光体の層構成及び作製方法について説明する。
【0046】
〈電荷発生層〉
電荷発生層には電荷発生物質を含有する。その他に、必要に応じバインダー樹脂、その他の添加剤を含有しても良い。
【0047】
電荷発生物質としては公知のものを用いることが出来る。具体的には、金属或いは無金属フタロシアニン化合物、アントアントロン化合物、ピリリウム化合物或いはチオピリリウム化合物等が挙げられる。好ましくはチタニルフタロシアニン、より好ましくはCu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、ブラッグ角2θ(±0.2)の27.2度に最大ピークを有するチタニルフタニンである。又、これらは必要に応じ二種類以上混合して用いても良い。
【0048】
電荷発生物質の分散媒としてバインダー樹脂を用いる場合、バインダー樹脂としては公知のものを用いることが出来る。具体的には、ホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコン樹脂、シリコン変性ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びフェノキシ樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0049】
電荷発生層中でのバインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂に対し電荷発生物質20〜600質量%が好ましい。
【0050】
上記バインダー樹脂を用い、上記混合割合で電荷発生層を形成すると、繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく出来る。
【0051】
電荷発生層の平均膜厚は0.05〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましい。
【0052】
電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂、その他の添加剤と共に塗布溶媒中に分散或いは溶解して調製した電荷発生層用塗布液を、浸漬塗布方法で前記中間層の上に一定の膜厚を塗布し、乾燥して作製することが好ましい。
【0053】
塗布溶媒としては、前記バインダー樹脂を溶解するものなら特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸t−ブチル、シクロヘキサノン及びテトラハイドロフラン等を用いることが好ましい。
【0054】
塗布液中にフタロシアニン系顔料を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用出来るがこれらに限定されるものではない。
【0055】
〈電荷輸送層〉
電荷輸送層には電荷輸送物質を含有する。その他に、必要に応じバインダー樹脂、その他の添加剤を含有しても良い。
【0056】
電荷輸送物質としては公知のものを用いることが出来る。具体的には、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物等を挙げることが出来るがこれらに限定されるものではない。
【0057】
バインダー樹脂としては公知のものを用いることが出来る。具体的には、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることが出来るがこれらに限定されるものではない。又これらの樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体を挙げることが出来る。これら電荷輸送層のバインダー樹脂として好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂は電荷輸送物質との相溶性、電子写真特性を良好にすることにおいて好ましい。
【0058】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂に対し電荷輸送物質10〜200質量%が好ましい。電荷輸送層の膜厚は、10〜30μmが好ましい。
【0059】
電荷輸送層は、電荷輸送質とバインダー樹脂とその他のものを塗布溶媒に溶解して調製した電荷輸送層用塗布液を、前記電荷発生層の上に浸漬塗布方法で一定の膜厚に塗布し、乾燥して作製することが好ましい。
【0060】
塗布溶媒としては、前記バインダー樹脂と前記電荷輸送物質を溶解するものであれば特に限定されず、具体的には、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、ジクロロメタン及びテトラハイドロフラン等を挙げることが出来る。
【0061】
塗布液中に電荷輸送物質を溶解する手段としては、例えば、超音波分散機及びホモミキサー等が使用出来るがこれらに限定されるものではない。
【0062】
感光体の全塗膜層(中間層+電荷発生層+電荷輸送層)の膜厚は、概ね10〜46μmになるよう作製することが好ましい。
【0063】
《浸漬、剥離方法》
次に、支持体を再生するための浸漬、剥離方法の一例について説明する。
【0064】
感光体は、まず設定温度の混合溶媒に所定時間浸漬し、中間層のバインダー樹脂を膨潤させる。浸漬させている間に、混合溶媒を撹拌したり、混合溶媒中の感光体を揺動させたり或いは混合溶媒に超音波振動を与えたりすると膨潤時間が短縮され好ましい。
【0065】
混合溶媒の設定温度は中間層のバインダー樹脂の膨潤に要する時間に影響する。混合溶媒の設定温度は30〜70℃が好ましく、50〜60℃がより好ましい。70℃より設定温度が高い場合は浸漬時間が短縮され、30℃より設定温度が低い場合は浸漬時間が延長される。
【0066】
感光体を混合溶媒に浸漬し、中間層のバインダー樹脂を膨潤させる時間は、混合溶媒の種類及び設定温度、感光層の構成及びバインダー樹脂の種類にもよるが1〜5分程度で良く、中間層のバインダー樹脂が膨潤すればブラシ等による塗膜層の剥離が可能となる。
【0067】
次に、混合溶媒が満たされた容器中で、ブラシと感光体表面は回転しながら接触し、塗膜層が剥離除去される。ブラシの種類、ブラシと感光体の回転速度及び接触圧、剥離時間は、塗膜層の除去が完全に行われ、且つ支持体表面にキズが付かない条件に設定される。
【0068】
ブラシの回転数は35〜200回転/minが好ましく、40〜100回転/minがより好ましい。感光体の回転はブラシと逆回転が好ましく、回転数は25〜100回転/minが好ましい。
【0069】
剥離時間は中間層のバインダー樹脂の膨潤程度によるが、0.5〜1min程度で完了する。
【0070】
なお、前記容器にはフィルター付きの混合溶媒循環器を設け、混合溶媒中のゴミ(剥離された塗膜層等)をフィルターで除去することにより、支持体表面にゴミが再付着するのを防止することができる。
【0071】
図1は、本発明に係る感光体の塗膜層を剥離除去する手段に用いられる剥離装置の一例を示す概略図である。
【0072】
支持体に塗膜層2を塗布した感光体1は、設定温度の混合溶媒4に所定時間浸漬される。その後、ブラシ3が感光体表面に接触され、感光体回転軸6とブラシ回転軸5が逆方向に回転し、塗膜層が支持体から剥離除去される。
【0073】
混合溶媒4中に浮遊するゴミはフィルター7により除去される。ゴミが除去されきれいになった混合溶媒は循環器8により容器にもどされ再使用される。
【0074】
塗膜層が剥離された支持体は、純水で表面を洗浄した後、熱風乾燥することにより、再生支持体として使用することができる。
【0075】
〈ブラシ〉
本発明で用いるブラシは特に限定されないが、ブラシの植毛部分に微粒子を固着させたものが好ましい。
【0076】
植毛部分に用いられる素材としては、各種の樹脂或いは金属等が挙げられるが、ナイロン、レーヨン、ポリエステル或いはカーボン繊維等が好ましく、ナイロン繊維がより好ましい。繊維径は10〜600μmが好ましく、50〜500μmがより好ましい。繊維の長さは5〜50mmが好ましく、20〜30mmがより好ましい。
【0077】
又、固着される微粒子の素材としては、各種のセラミック、金属、金属酸化物或いは樹脂等が好ましく、具体的には、アルミナ(酸化アルミ)、酸化チタン或いはシリコーンカーバイトを挙げることができる。微粒子の粒径は1〜100μmが好ましく、5〜70μmがより好ましい。微粒子の硬度は、モース硬度で3以上が好ましく、7以上がより好ましい。繊維に固着される微粒子の量は繊維に対して2〜20質量%が好ましく、4〜15質量%がより好ましい。又、繊維に微粒子を固着したブラシは「錦」株式会社製のものを用いることが好ましい。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0079】
《感光体1の作製》
〈支持体1の作製〉
引き抜き加工により得られた厚さ2mm、直径80mm、長さ360mmのアルミニウム素管の表面を切削加工し、その後表面を洗浄して「支持体1」を作製した。
【0080】
〈中間層用塗布液1の調製〉
メトキシメチル化ポリアミド樹脂 35g
メタノール 1400g
ノルマルプロパノール 350g
上記中間層用材料を溶解して「中間層用塗布液1」を調製した。
【0081】
〈中間層1の形成〉
前記「支持体1」の上に、前記「中間層用塗布液1」を浸漬塗布方法で塗布し、乾燥して膜厚0.5μmの「中間層1」を形成した。
【0082】
上記電荷発生層用材料をサンドミル分散機で10時間分散して「電荷発生層用塗布液1」を調製した。
【0083】
〈電荷発生層1の形成〉
前記「中間層1」の上に、前記「電荷発生層用塗布液1」を浸漬塗布方法で塗布し、乾燥して膜厚0.3μmの「電荷発生層1」を形成した。
【0084】
上記電荷輸送層用材料を溶解して「電荷輸送層用塗布液1」を調製した。
【0085】
〈電荷輸送層1の形成〉
前記「電荷発生層1」の上に、前記「電荷輸送層用塗布液1」を浸漬塗布方法で塗布し、100℃で1時間乾燥して膜厚25μmの「電荷輸送層1」を形成し、「感光体1」を作製した。
【0086】
《感光体2の作製》
〈導電層用塗布液2の調製〉
酸化スズで表面処理した酸化チタン粉体 500g
メトキシメチル化ポリアミド樹脂 250g
メチルセロソルブ 1500g
メタノール 500g
シリコンオイル 0.02g
(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)
上記導電性物質を含む導電層用材料を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル分散機で5時間分散後、濾過して「導電層用塗布液2」を調製した。
【0087】
〈導電層2の形成〉
前記「支持体1」の上に、前記「導電層用塗布液2」を浸漬塗布方法で塗布し、120℃で10分間乾燥して膜厚20μmの「導電層2」を形成した。
【0088】
〈電荷発生層2の形成〉
前記「導電層2」の上に、前記「電荷発生層用塗布液1」を浸漬塗布方法で塗布し、乾燥して膜厚0.3μmの「電荷発生層2」を形成した。
【0089】
〈電荷輸送層2の形成〉
前記「電荷発生層2」の上に、前記「電荷輸送層用塗布液1」を浸漬塗布方法で塗布し、100℃で1時間乾燥して膜厚25μmの「電荷輸送層2」を形成し、「感光体2」を作製した。
【0090】
〈再生支持体の作製〉
感光体を設定温度の混合溶媒が満たされた容器に、設定時間浸漬した後、図1に示す混合溶媒の循環器を備えたブラシ付き剥離装置を用い、表1に示すブラシで、表3に示す混合溶媒で剥離を行い塗膜層を除去した。その後、表面に付着しているゴミと混合溶媒を水で洗浄し、熱風乾燥を行ない「再生支持体S1〜S11」を作製した。
【0091】
表1に、剥離に用いたブラシの繊維、繊維径、微粒子の粒径等を示す。
【0092】
【表1】
【0093】
表2に、剥離に用いた単独溶媒の、塗膜層形成に用いたバインダー樹脂に対する溶解度を示す。(20℃の溶媒中で、1時間撹拌してバインダー樹脂を溶解させた時の溶解度)
【0094】
【表2】
【0095】
表3に、剥離に用いた良溶媒と貧溶媒(メトキシメチル化ポリアミド樹脂に対して)、それらの混合比率及び混合溶媒のポリカーボネート樹脂に対する溶解度を示す。
【0096】
【表3】
【0097】
表4に、再生支持体作製に用いた感光体、混合溶媒、浸漬条件、剥離条件及び再生支持体の表面状態を目視により評価した結果を示す。
【0098】
表面状態の評価基準
○:塗膜層が完全に剥離されている
△:支持体のごく一部にむら状の塗膜痕跡が残存している
×:塗膜の一部が残存している
××:塗膜層が剥離出来ていない
【0099】
【表4】
【0100】
「再生支持体S1〜S11」の表面状態を目視にて観察した結果、「再生支持体S1〜S6」は塗膜層が完全に剥離されていたが、「再生支持体S7及び8」は支持体のごく一部にむら状の塗膜痕跡が、「再生支持体S11」は塗膜の一部が残存し、「再生支持体S9及びS10」は塗膜層が剥離出来ていなかった。
【0101】
〈再生支持体を用いた感光体の作製〉
「感光体1」で用いた「支持体1」を「再生支持体S1〜S8、S11」に変更した以外は、「感光体1」の作製と同じ方法で「感光体101〜108、111」を作製した。
【0102】
なお、「再生支持体S9及びS10」は塗膜層が剥離出来ていなかったので感光体の作製は行わなかった。
【0103】
〈再生支持体を用いた感光体の画像評価〉
「再生支持体S1〜8、S11」を用いた「感光体101〜108、111」を、電子写真複写機「Konica7060」(コニカ株式会社製)に搭載し、20℃、50%RHの環境下で1万枚のプリントを行ないプリント画像を作成した。
【0104】
支持体に電気的欠陥が有ると発生する画像むら、画像かぶり、黒点、白点に着目し、プリント画像の画像むら、画像かぶり、黒点、白点の発生状況を目視にて評価した。
【0105】
表5に、評価結果を示す。
評価基準
◎:全く問題なく、再生支持体として使用可能
○:問題なく、再生支持体として使用可能
△:やや問題有るが、再生支持体として使用可能
×:問題有り、再生支持体として使用不可能
【0106】
【表5】
【0107】
評価結果から、「感光体101〜106」は画像むら、画像かぶり、黒点、白点の発生が無く、「感光体107」は画像むら、画像かぶり、黒点、白点が発生しやや問題が有ったが再生支持体として使用可能であった。しかし「感光体108、111」は画像むら、画像かぶり、黒点、白点の何れかがひどく発生し再生支持体として使用不可能であった。
【0108】
【発明の効果】
実施例で実証されたように、本発明の支持体の再生方法及び支持体は、電気的欠陥の無い優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る感光体の塗膜層を剥離除去する手段に用いられる剥離装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 塗膜層
3 ブラシ
4 混合溶媒
5 ブラシ回転軸
6 感光体回転軸
7 フィルター
8 循環器
Claims (5)
- 支持体表面にバインダー樹脂を含有する下層塗膜を塗布し、その上にバインダー樹脂を含有する上層塗膜を塗布してなる塗膜層及び支持体とで形成される構造物から、該塗膜層を剥離して該支持体を再生する支持体の再生方法において、該構造物を、下層塗膜のバインダー樹脂に対し良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒に浸漬して、該塗膜層を剥離する手段を有することを特徴とする支持体の再生方法。
- 前記良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒が、前記上層塗膜のバインダー樹脂に対して貧溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の支持体の再生方法。
- 前記構造物が、電子写真感光体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の支持体の再生方法。
- 前記良溶媒と貧溶媒とが、下記式(1)を満足することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の支持体の再生方法。
式(1)
|SP1−SP2|≧6(MPa)1/2
(式中、SP1は良溶媒、SP2は貧溶媒の溶解度パラメーター値を表す) - 請求項1〜4の何れか1項に記載の支持体の再生方法を用いて再生されたことを特徴とする再生支持体。
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---|---|---|---|---|
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EP2267541A1 (en) * | 2009-06-17 | 2010-12-29 | Xerox Corporation | Photoreceptor with release layer |
JP2016525169A (ja) * | 2013-09-02 | 2016-08-22 | エルジー・ケム・リミテッド | 高分子の膨潤現象評価指数を計算する方法およびこれを用いたシステム |
CN110639933A (zh) * | 2019-09-26 | 2020-01-03 | 苏州腾晖光伏技术有限公司 | 一种废旧光伏组件回收方法及其装置 |
-
2002
- 2002-07-09 JP JP2002199873A patent/JP2004045497A/ja active Pending
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