JP3633643B2 - 積層型電子写真感光体とその製造方法および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、有機光導電性物質を含有する電子写真感光体、特には負帯電で使用される積層型電子写真感光体、およびその製造方法、およびそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体として成膜の容易性、安価で無公害であるなどの長所のため有機光導電性物質を含有する有機感光体が開発され実用化されている。特に半導体レーザを光源に用いたレーザビームプリンタなどの光プリンタ、ファクシミリに適した長波長領域に高い感度を有する有機感光体の発展がめざましい。その実用化されている感光体のほとんどが、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型有機感光体であり、機能分離の構成により大幅な特性の向上が図られてきた。
【0003】
この積層型有機感光体において一般に用いられる電荷輸送物質はピラゾリン、ヒドラゾン、オキサゾールなどの電子供与性物質であるため、電荷輸送層は正孔移動型となり、従って電荷発生層上に電荷輸送層を積層した場合は負帯電で使用されている。またこの積層型電子写真感光体において一般に用いられる電荷発生物質は、フタロシアニン系、アゾ系、スクエアリリウム系、シアニン系、ペリレン系等の各種顔料である。
【0004】
これらの電荷発生物質は電荷発生層内で高い電荷発生能を有し、さらに前記した電荷輸送物質が電荷輸送層内で高い電荷輸送能を有するため、この構成の感光体は高い感度が得られ、また電荷輸送物質が一般に低分子化合物であるためバインダー樹脂としてポリカーボネートやアクリルのような機械的特性に優れたポリマーにも容易に固溶させることができるため、電荷輸送層の耐摩耗性を改善することができ、このため感度だけでなく寿命においても比較的満足のいくものが得られるようになった。
【0005】
また近年、電子写真方式の画像形成装置はオフィスユースだけでなく、パーソナルユースにおいても幅広く用いられはじめており、装置の小型化やメンテナンスフリー化、トナーのリサイクル利用等の目的で、種々の新しい構成の現像工程が行われており(例えば、特開平5−72890号公報)、また転写工程においても従来のコロナ転写方式に変わって、バイアス印加したゴムローラを圧接する転写方式が主流になりつつある等、電子写真感光体が使用されるプロセスは大きく変化してきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、電子写真感光体が使用される電子写真プロセスは近年大きく変化し、電子写真感光体に要求される性能も変化してきている。例えば現像工程では、従来の2成分現像法の場合、電子写真感光体はキャリアとの摺擦によって機械的に傷つきあるいは磨耗しやすく、強靱な電子写真感光体が求められてきた。一方、近年広く用いられている1成分現像法の場合、キャリアとの摺擦が無いため傷や磨耗に対しては有利であるが、電子写真感光体表面にトナーが付着するいわゆるトナーフィルミングが発生しやすい問題があった。また転写工程でも従来のコロナ転写方式と比較して、ローラ転写方式では転写用紙がローラで感光体に押しつけられるため、紙粉等が感光体表面に付着しやすい。従来の2成分現像法を用いた画像形性装置では、このようにして付着した紙粉もキャリアとの摺擦で擦り取られていたが、1成分現像法の場合トナーと紙粉が一緒になって感光体上にフィルミングし、通常のクリーニング法では除去できず、画像欠陥となる問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで前記問題点に鑑み、本発明は、導電性支持体上の感光層が少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる有機感光体の、前記電荷輸送層が少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂とともに気相合成シリカ微粒子を含有する積層型電子写真感光体の製造方法であって、電荷輸送層の塗布形性に用いる塗料の塗料化溶剤中に予め気相合成シリカ微粒子を分散し、その後電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶解させて作製した電荷輸送層用塗料を用いて、電荷輸送層を塗布形性することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
【0010】
【作用】
本発明の製造方法による電子写真感光体は、導電性支持体上の感光層が少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる電子写真感光体において、表面層となる電荷輸送層中に少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂とともに気相合成シリカ微粒子を微粒子状態で分散して含有することにより、電子写真感光体の表面の摩擦係数を低減させ、すなわちウレタンゴム等の弾性クリーニングブレードとの摩擦力を低減し、低トルクにて効果的なクリーニング工程の設計を可能にし、また電子写真感光体表面の離形性を向上させ、トナーあるいは紙粉との付着力を低減させ、現像工程・転写工程におけるトナー・紙粉の付着を抑制し、またクリーニング工程でのトナー・紙粉のクリーニングを容易にすることにより、電子写真感光体へのトナー・紙粉等の付着による画像欠陥の発生を抑制するものである。
【0011】
本発明の電子写真感光体の製造方法は、電荷輸送層の塗布形性に用いる塗料化溶剤中に、予め気相合成シリカ微粒子を微粒子状態で分散させた後、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶解させて電荷輸送層用塗料を作製することによって、塗料の粘度が大きくなり過ぎることなくシリカ微粒子を効果的に微粒子状態で安定して塗料中に分散させることができ、平滑な電荷輸送層を形成でき、本製造法で述べた塗料を用いて電荷輸送層を電荷発生層上に塗布形成することによってはじめて、上述のような低摩擦係数と優れた表面離形性を有する電子写真感光体の製造が可能となる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の積層型電子写真感光体とその製造方法、および画像形成方法について詳細に説明する。本発明の積層型電子写真感光体は導電性支持体上の感光層が、少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる積層型有機感光体である。
【0014】
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性支持体は、従来から知られている導電性を有するものであればよく、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属板及び金属ドラム、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物からなる板、またはそれらの金属及び金属酸化物などを真空蒸着、スパッタリング、ラミネート、塗布などによって付着させ導電性処理した各種プラスチックフィルム、紙などである。
【0015】
本発明の電子写真感光体で導電性支持体上に塗布形成される電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質とバインダー樹脂とからなる。電荷発生物質としては、フタロシアニン系、アゾ系、スクエアリリウム系、シアニン系、キノン系、ペリレン系などの各種顔料あるいは染料が挙げられる。これらの電荷発生物質に適当なバインダー樹脂と塗料化溶剤を加えて分散塗料化し、電荷発生層用塗料を得る。
【0016】
バインダー樹脂は、電荷発生物質の分散性向上、他層との接着性向上、塗布膜の均一性向上、塗工時の流動性調整などの目的で、必要に応じて用いられ、具体的には、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラ−ル、ポリ酢酸ビニル、ポリカ−ボネイト、フッ素樹脂、メタクリル樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらの樹脂の共重合体などが挙げられる。塗料化溶剤は電荷発生物質、バインダー樹脂を溶解あるいは分散させ得るものであればよく、具体的には、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アルコール類などを用いることができる。
【0017】
電荷発生層はこの電荷発生層用塗料を用いて浸漬塗工法、スピン塗工法、スプレイ塗工法、静電塗工法等の通常の塗布法によって塗布・乾燥し、数μmの膜厚で形成するが、好ましくは 0.02〜2μmの膜厚に形成するのがよい。
【0018】
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層の形成に用いる電荷輸送層用塗料は、電荷輸送物質とバインダー樹脂と気相合成シリカ微粒子と塗料化溶剤とからなる。
【0019】
電荷輸送物質としては通常の有機感光体と同様に一般に知られている多くの電子供与性物質を用いることができる。具体的には、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、イミド基などの電子供与性基を有する化合物、アントラセン、ピレン、フェナントレンなどの多環芳香族化合物またはそれらの骨格を有する誘導体、インドール、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾール、チアゾール、ピラゾリン、イミダゾール、トリアゾールなどの複素環化合物またはそれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
【0020】
バインダー樹脂は、他層との接着性向上、塗布膜の均一性向上、塗工時の流動性調整などの目的で、必要に応じて用いられ、具体的には、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラ−ル、ポリ酢酸ビニル、ポリカ−ボネイト、フッ素樹脂、メタクリル樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらの樹脂の共重合体などが挙げられる。ただし、電子供与性物質が高分子化合物の場合はバインダー樹脂を用いなくても良い。
【0021】
塗料化溶剤は電荷輸送物質、バインダー樹脂を溶解させるとともに、気相合成シリカ微粒子を分散させ得るものであればよく、具体的には、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類などを用いることができる。
【0022】
気相合成シリカ微粒子は揮発性のシラン化合物を酸素水素炎のような高温炎中で加水分解させて得られた、BET法による比表面積が50m2/g以上400m2/g以下のものであればよく、必要に応じてシリカ表面の水酸基がジメチルジクロルシランまたはヘキサメチレンジシラザンまたはポリジメチルシリコーンオイルで疎水化処理されたものを用いることができる。
【0023】
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性の支持体上に上述のように電荷発生層用塗料を用いて電荷発生層を塗布形成した後、電荷輸送層用塗料を用いて電荷輸送層を塗布形成する。本発明の電荷輸送層用塗料の製造は、はじめに塗料化溶剤に気相合成シリカ微粒子を分散する工程からはじまる。シリカの分散は塗料化溶剤とシリカとともにガラス、ジルコニア等のセラミクスあるいはステンレス等のメディアを容器中で混合し、撹拌、回転、シェイキング等の運動によりシェアリングを与えることによって分散する方法等が用いられる。このようにしてシリカを分散した塗料化溶剤中にバインダー樹脂および電荷輸送物質を溶解させ、電荷輸送層用塗料を得る。本塗料を用いて、浸漬塗工法、スピン塗工法、スプレイ塗工法、静電塗工法等の通常の塗布法によって塗布・乾燥し電荷輸送層を形成せしめる。電荷輸送層の膜厚としては数μm〜数十μmであるが、好ましくは15〜25μmの厚さである。
【0024】
さらに、本発明の電子写真感光体は、通常の電子写真感光体と同様に、導電性支持体と電荷発生層との間にカゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアミドなどの接着層またはバリヤー層を設けることができる。
【0025】
このようにして、導電性支持体上に少なくとも感光層として電荷発生層と電荷輸送層を積層して形成される本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層・電荷輸送層の順に積層され、負帯電で感度を有する。
【0026】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に示す組合せに限定されるものではない。
【0027】
以下本発明の一実施例の積層型電子写真感光体、電子写真感光体製造方法および画像形成方法を説明する。
【0028】
まず、τ型無金属フタロシアニン(東洋インキ製造株式会社製 商品名Liophoton TPH−278)12重量部とフルオロオレフィンービニルエーテル重合体(旭硝子株式会社製 商品名ルミフロンLF916YB)6重量部およびビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製 商品名エスレックBL−1)2重量部とをs−ブチルアルコール480重量部に分散させて電荷発生層用塗料を得て、この塗液を外径30mmのアルミニウムドラム上に浸漬塗布し、自然乾燥させて膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0029】
次に、ジクロロメタン150重量部にポリジメチルシロキサン疎水化気相合成シリカ微粒子(キャボット社製TS720)1重量部およびガラスビーズ(直径1mm)150重量部を混合し、連続シェイキング装置(アイメックス社ペイントコンディテョナー商品名レッドデビル)で24時間分散を行った。このシリカを分散した塗料化溶剤中に、ガラスビーズを取り除いた後に1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン(株式会社アナン製T−405)20重量部とポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学工業株式会社製 商品名ユーピロンZ−300)20重量部とを溶解させ、電荷輸送層用塗料を得た。この電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上に乾燥後の膜厚が25μmとなるように電荷輸送層を形成した。このようにして得た電荷輸送層用塗料はシリカの分散性に優れ、平滑な電荷輸送層を形成することができた。電荷輸送層の乾燥は120℃で1時間の加熱乾燥を行った。
【0030】
このようにして得た電子写真感光体の鋼球(直径10mm)に対する摩擦係数は約0.2と低く、トナーおよび紙粉の離形性も良好であった。
【0031】
このようにして得た電子写真感光体を、非磁性1成分接触現像部とローラ転写部と弾性ブレードクリーニング部とを有する市販のレーザビームプリンタ(エプソン株式会社製LP−1500)に装着し、画像形成装置とした。この画像形成装置を用いて、一定の画像を連続してプリントし、トナー紙粉等のフィルミングによる画像欠陥の有無を評価した。連続して1万枚の画像プリントを行った後にも、感光体上にトナー紙粉等のフィルミングは全く見られず、画像欠陥も発生しなかった。
【0032】
これらの評価結果を(表1)に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
以上のように本実施例によれば、導電性支持体上の感光層として少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる積層型有機感光体で、電荷輸送層中に電荷輸送物質とバインダー樹脂とともに気相合成シリカ微粒子を含有することによって、低摩擦係数で表面離形性に優れた電子写真感光体が得られるものである。
【0035】
また本実施例によれば、電荷輸送層の塗布形性に用いる塗料の塗料化溶剤中に予め気相合成シリカ微粒子を分散し、その後電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶解させて作製した電荷輸送層用塗料を用いて、電荷輸送層を塗布形性することによって、塗料の粘度が大きくなり過ぎることなく、気相合成シリカ微粒子を効果的に分散し、平滑な電荷輸送層を得られるものである。
【0036】
また本実施例によれば、画像形成方法として、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程を有し、用いる電子写真感光体の表面層となる電荷輸送層中に、電荷輸送物質とバインダー樹脂とともに気相合成シリカ微粒子を含有することにより、電子写真感光体表面が低摩擦係数と優れた離形性を有するようにし、転写工程での紙粉の付着を抑制し、クリーニングブレード等の手段によりトナーや紙粉が容易に擦り取られるようにし、トナーや紙粉のフィルミングを抑制し、画像欠陥の発生が抑制されるものである。
【0037】
以下本発明の第2の実施例について説明する。
第1の実施例において、電荷輸送層の膜厚を25μmとする代わりに、20μmとした以外は、第1の実施例と同様にして導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を形成し、第1の実施例と同様にして評価を行なった。
【0038】
その評価結果を(表1)に示す。
以下本発明の第3の実施例について説明する。
【0039】
第1の実施例において、電荷輸送層用塗料の塗料化溶剤をジクロロメタンとする代わりに、テトラヒドロフランとした以外は、第1の実施例と同様にして電荷輸送層用塗料を作製し、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を形成し、第1の実施例と同様にして評価を行なった。
【0040】
その評価結果を(表1)に示す。
以下本発明の第1の比較例について説明する。
【0041】
第1の実施例において、電荷輸送層用塗料をジクロロメタン150重量部に1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン(株式会社アナン製T−405)20重量部とポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学工業株式会社製 商品名ユーピロンZ−300)20重量部とを溶解させて作製した以外は、第1の実施例と同様にして電荷輸送層用塗料を用いて、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を形成し、第1の実施例と同様にして評価を行なった。
【0042】
その評価結果を(表1)に示す。
以下本発明の第2の比較例について説明する。
【0043】
第1の実施例において、電荷輸送層用塗料をジクロロメタン150重量部に1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン(株式会社アナン製T−405)20重量部とポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学工業株式会社製 商品名ユーピロンZ−300)20重量部とを溶解させた後、ポリジメチルシロキサン疎水化気相合成シリカ微粒子(キャボット社製TS720)1重量部およびガラスビーズ(直径1mm)150重量部を混合し、連続シェイキング装置(アイメックス社ペイントコンディテョナー商品名レッドデビル)で24時間分散を行って作製した以外は、第1の実施例と同様にして電荷輸送層用塗料を用いて、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を形成した。作製した電荷輸送層用塗料は、気相合成シリカ微粒子の分散が不十分で、粘度も大きく、電荷輸送層として平滑な塗膜は得られなかった。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、導電性支持体上の感光層として少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる積層型有機感光体で、電荷輸送層中に電荷輸送物質とバインダー樹脂とともに気相合成シリカ微粒子を微粒子状態で分散して含有することによって、低摩擦係数で表面離形性に優れた電子写真感光体が得られるものである。また本発明によれば、電荷輸送層の塗布形性に用いる塗料の塗料化溶剤中に予め気相合成シリカ微粒子を微粒子状態で分散させ、その後電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶解させて作製した電荷輸送層用塗料を用いて、電荷輸送層を塗布形性することによって、塗料の粘度が大きくなり過ぎることなく、気相合成シリカ微粒子を効果的に分散し、平滑な電荷輸送層を得られるものである。
【産業上の利用分野】
本発明は、有機光導電性物質を含有する電子写真感光体、特には負帯電で使用される積層型電子写真感光体、およびその製造方法、およびそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体として成膜の容易性、安価で無公害であるなどの長所のため有機光導電性物質を含有する有機感光体が開発され実用化されている。特に半導体レーザを光源に用いたレーザビームプリンタなどの光プリンタ、ファクシミリに適した長波長領域に高い感度を有する有機感光体の発展がめざましい。その実用化されている感光体のほとんどが、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型有機感光体であり、機能分離の構成により大幅な特性の向上が図られてきた。
【0003】
この積層型有機感光体において一般に用いられる電荷輸送物質はピラゾリン、ヒドラゾン、オキサゾールなどの電子供与性物質であるため、電荷輸送層は正孔移動型となり、従って電荷発生層上に電荷輸送層を積層した場合は負帯電で使用されている。またこの積層型電子写真感光体において一般に用いられる電荷発生物質は、フタロシアニン系、アゾ系、スクエアリリウム系、シアニン系、ペリレン系等の各種顔料である。
【0004】
これらの電荷発生物質は電荷発生層内で高い電荷発生能を有し、さらに前記した電荷輸送物質が電荷輸送層内で高い電荷輸送能を有するため、この構成の感光体は高い感度が得られ、また電荷輸送物質が一般に低分子化合物であるためバインダー樹脂としてポリカーボネートやアクリルのような機械的特性に優れたポリマーにも容易に固溶させることができるため、電荷輸送層の耐摩耗性を改善することができ、このため感度だけでなく寿命においても比較的満足のいくものが得られるようになった。
【0005】
また近年、電子写真方式の画像形成装置はオフィスユースだけでなく、パーソナルユースにおいても幅広く用いられはじめており、装置の小型化やメンテナンスフリー化、トナーのリサイクル利用等の目的で、種々の新しい構成の現像工程が行われており(例えば、特開平5−72890号公報)、また転写工程においても従来のコロナ転写方式に変わって、バイアス印加したゴムローラを圧接する転写方式が主流になりつつある等、電子写真感光体が使用されるプロセスは大きく変化してきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、電子写真感光体が使用される電子写真プロセスは近年大きく変化し、電子写真感光体に要求される性能も変化してきている。例えば現像工程では、従来の2成分現像法の場合、電子写真感光体はキャリアとの摺擦によって機械的に傷つきあるいは磨耗しやすく、強靱な電子写真感光体が求められてきた。一方、近年広く用いられている1成分現像法の場合、キャリアとの摺擦が無いため傷や磨耗に対しては有利であるが、電子写真感光体表面にトナーが付着するいわゆるトナーフィルミングが発生しやすい問題があった。また転写工程でも従来のコロナ転写方式と比較して、ローラ転写方式では転写用紙がローラで感光体に押しつけられるため、紙粉等が感光体表面に付着しやすい。従来の2成分現像法を用いた画像形性装置では、このようにして付着した紙粉もキャリアとの摺擦で擦り取られていたが、1成分現像法の場合トナーと紙粉が一緒になって感光体上にフィルミングし、通常のクリーニング法では除去できず、画像欠陥となる問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで前記問題点に鑑み、本発明は、導電性支持体上の感光層が少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる有機感光体の、前記電荷輸送層が少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂とともに気相合成シリカ微粒子を含有する積層型電子写真感光体の製造方法であって、電荷輸送層の塗布形性に用いる塗料の塗料化溶剤中に予め気相合成シリカ微粒子を分散し、その後電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶解させて作製した電荷輸送層用塗料を用いて、電荷輸送層を塗布形性することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
【0010】
【作用】
本発明の製造方法による電子写真感光体は、導電性支持体上の感光層が少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる電子写真感光体において、表面層となる電荷輸送層中に少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂とともに気相合成シリカ微粒子を微粒子状態で分散して含有することにより、電子写真感光体の表面の摩擦係数を低減させ、すなわちウレタンゴム等の弾性クリーニングブレードとの摩擦力を低減し、低トルクにて効果的なクリーニング工程の設計を可能にし、また電子写真感光体表面の離形性を向上させ、トナーあるいは紙粉との付着力を低減させ、現像工程・転写工程におけるトナー・紙粉の付着を抑制し、またクリーニング工程でのトナー・紙粉のクリーニングを容易にすることにより、電子写真感光体へのトナー・紙粉等の付着による画像欠陥の発生を抑制するものである。
【0011】
本発明の電子写真感光体の製造方法は、電荷輸送層の塗布形性に用いる塗料化溶剤中に、予め気相合成シリカ微粒子を微粒子状態で分散させた後、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶解させて電荷輸送層用塗料を作製することによって、塗料の粘度が大きくなり過ぎることなくシリカ微粒子を効果的に微粒子状態で安定して塗料中に分散させることができ、平滑な電荷輸送層を形成でき、本製造法で述べた塗料を用いて電荷輸送層を電荷発生層上に塗布形成することによってはじめて、上述のような低摩擦係数と優れた表面離形性を有する電子写真感光体の製造が可能となる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の積層型電子写真感光体とその製造方法、および画像形成方法について詳細に説明する。本発明の積層型電子写真感光体は導電性支持体上の感光層が、少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる積層型有機感光体である。
【0014】
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性支持体は、従来から知られている導電性を有するものであればよく、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属板及び金属ドラム、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物からなる板、またはそれらの金属及び金属酸化物などを真空蒸着、スパッタリング、ラミネート、塗布などによって付着させ導電性処理した各種プラスチックフィルム、紙などである。
【0015】
本発明の電子写真感光体で導電性支持体上に塗布形成される電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質とバインダー樹脂とからなる。電荷発生物質としては、フタロシアニン系、アゾ系、スクエアリリウム系、シアニン系、キノン系、ペリレン系などの各種顔料あるいは染料が挙げられる。これらの電荷発生物質に適当なバインダー樹脂と塗料化溶剤を加えて分散塗料化し、電荷発生層用塗料を得る。
【0016】
バインダー樹脂は、電荷発生物質の分散性向上、他層との接着性向上、塗布膜の均一性向上、塗工時の流動性調整などの目的で、必要に応じて用いられ、具体的には、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラ−ル、ポリ酢酸ビニル、ポリカ−ボネイト、フッ素樹脂、メタクリル樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらの樹脂の共重合体などが挙げられる。塗料化溶剤は電荷発生物質、バインダー樹脂を溶解あるいは分散させ得るものであればよく、具体的には、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アルコール類などを用いることができる。
【0017】
電荷発生層はこの電荷発生層用塗料を用いて浸漬塗工法、スピン塗工法、スプレイ塗工法、静電塗工法等の通常の塗布法によって塗布・乾燥し、数μmの膜厚で形成するが、好ましくは 0.02〜2μmの膜厚に形成するのがよい。
【0018】
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層の形成に用いる電荷輸送層用塗料は、電荷輸送物質とバインダー樹脂と気相合成シリカ微粒子と塗料化溶剤とからなる。
【0019】
電荷輸送物質としては通常の有機感光体と同様に一般に知られている多くの電子供与性物質を用いることができる。具体的には、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、イミド基などの電子供与性基を有する化合物、アントラセン、ピレン、フェナントレンなどの多環芳香族化合物またはそれらの骨格を有する誘導体、インドール、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾール、チアゾール、ピラゾリン、イミダゾール、トリアゾールなどの複素環化合物またはそれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
【0020】
バインダー樹脂は、他層との接着性向上、塗布膜の均一性向上、塗工時の流動性調整などの目的で、必要に応じて用いられ、具体的には、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラ−ル、ポリ酢酸ビニル、ポリカ−ボネイト、フッ素樹脂、メタクリル樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらの樹脂の共重合体などが挙げられる。ただし、電子供与性物質が高分子化合物の場合はバインダー樹脂を用いなくても良い。
【0021】
塗料化溶剤は電荷輸送物質、バインダー樹脂を溶解させるとともに、気相合成シリカ微粒子を分散させ得るものであればよく、具体的には、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類などを用いることができる。
【0022】
気相合成シリカ微粒子は揮発性のシラン化合物を酸素水素炎のような高温炎中で加水分解させて得られた、BET法による比表面積が50m2/g以上400m2/g以下のものであればよく、必要に応じてシリカ表面の水酸基がジメチルジクロルシランまたはヘキサメチレンジシラザンまたはポリジメチルシリコーンオイルで疎水化処理されたものを用いることができる。
【0023】
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性の支持体上に上述のように電荷発生層用塗料を用いて電荷発生層を塗布形成した後、電荷輸送層用塗料を用いて電荷輸送層を塗布形成する。本発明の電荷輸送層用塗料の製造は、はじめに塗料化溶剤に気相合成シリカ微粒子を分散する工程からはじまる。シリカの分散は塗料化溶剤とシリカとともにガラス、ジルコニア等のセラミクスあるいはステンレス等のメディアを容器中で混合し、撹拌、回転、シェイキング等の運動によりシェアリングを与えることによって分散する方法等が用いられる。このようにしてシリカを分散した塗料化溶剤中にバインダー樹脂および電荷輸送物質を溶解させ、電荷輸送層用塗料を得る。本塗料を用いて、浸漬塗工法、スピン塗工法、スプレイ塗工法、静電塗工法等の通常の塗布法によって塗布・乾燥し電荷輸送層を形成せしめる。電荷輸送層の膜厚としては数μm〜数十μmであるが、好ましくは15〜25μmの厚さである。
【0024】
さらに、本発明の電子写真感光体は、通常の電子写真感光体と同様に、導電性支持体と電荷発生層との間にカゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアミドなどの接着層またはバリヤー層を設けることができる。
【0025】
このようにして、導電性支持体上に少なくとも感光層として電荷発生層と電荷輸送層を積層して形成される本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層・電荷輸送層の順に積層され、負帯電で感度を有する。
【0026】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に示す組合せに限定されるものではない。
【0027】
以下本発明の一実施例の積層型電子写真感光体、電子写真感光体製造方法および画像形成方法を説明する。
【0028】
まず、τ型無金属フタロシアニン(東洋インキ製造株式会社製 商品名Liophoton TPH−278)12重量部とフルオロオレフィンービニルエーテル重合体(旭硝子株式会社製 商品名ルミフロンLF916YB)6重量部およびビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製 商品名エスレックBL−1)2重量部とをs−ブチルアルコール480重量部に分散させて電荷発生層用塗料を得て、この塗液を外径30mmのアルミニウムドラム上に浸漬塗布し、自然乾燥させて膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0029】
次に、ジクロロメタン150重量部にポリジメチルシロキサン疎水化気相合成シリカ微粒子(キャボット社製TS720)1重量部およびガラスビーズ(直径1mm)150重量部を混合し、連続シェイキング装置(アイメックス社ペイントコンディテョナー商品名レッドデビル)で24時間分散を行った。このシリカを分散した塗料化溶剤中に、ガラスビーズを取り除いた後に1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン(株式会社アナン製T−405)20重量部とポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学工業株式会社製 商品名ユーピロンZ−300)20重量部とを溶解させ、電荷輸送層用塗料を得た。この電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上に乾燥後の膜厚が25μmとなるように電荷輸送層を形成した。このようにして得た電荷輸送層用塗料はシリカの分散性に優れ、平滑な電荷輸送層を形成することができた。電荷輸送層の乾燥は120℃で1時間の加熱乾燥を行った。
【0030】
このようにして得た電子写真感光体の鋼球(直径10mm)に対する摩擦係数は約0.2と低く、トナーおよび紙粉の離形性も良好であった。
【0031】
このようにして得た電子写真感光体を、非磁性1成分接触現像部とローラ転写部と弾性ブレードクリーニング部とを有する市販のレーザビームプリンタ(エプソン株式会社製LP−1500)に装着し、画像形成装置とした。この画像形成装置を用いて、一定の画像を連続してプリントし、トナー紙粉等のフィルミングによる画像欠陥の有無を評価した。連続して1万枚の画像プリントを行った後にも、感光体上にトナー紙粉等のフィルミングは全く見られず、画像欠陥も発生しなかった。
【0032】
これらの評価結果を(表1)に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
以上のように本実施例によれば、導電性支持体上の感光層として少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる積層型有機感光体で、電荷輸送層中に電荷輸送物質とバインダー樹脂とともに気相合成シリカ微粒子を含有することによって、低摩擦係数で表面離形性に優れた電子写真感光体が得られるものである。
【0035】
また本実施例によれば、電荷輸送層の塗布形性に用いる塗料の塗料化溶剤中に予め気相合成シリカ微粒子を分散し、その後電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶解させて作製した電荷輸送層用塗料を用いて、電荷輸送層を塗布形性することによって、塗料の粘度が大きくなり過ぎることなく、気相合成シリカ微粒子を効果的に分散し、平滑な電荷輸送層を得られるものである。
【0036】
また本実施例によれば、画像形成方法として、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程を有し、用いる電子写真感光体の表面層となる電荷輸送層中に、電荷輸送物質とバインダー樹脂とともに気相合成シリカ微粒子を含有することにより、電子写真感光体表面が低摩擦係数と優れた離形性を有するようにし、転写工程での紙粉の付着を抑制し、クリーニングブレード等の手段によりトナーや紙粉が容易に擦り取られるようにし、トナーや紙粉のフィルミングを抑制し、画像欠陥の発生が抑制されるものである。
【0037】
以下本発明の第2の実施例について説明する。
第1の実施例において、電荷輸送層の膜厚を25μmとする代わりに、20μmとした以外は、第1の実施例と同様にして導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を形成し、第1の実施例と同様にして評価を行なった。
【0038】
その評価結果を(表1)に示す。
以下本発明の第3の実施例について説明する。
【0039】
第1の実施例において、電荷輸送層用塗料の塗料化溶剤をジクロロメタンとする代わりに、テトラヒドロフランとした以外は、第1の実施例と同様にして電荷輸送層用塗料を作製し、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を形成し、第1の実施例と同様にして評価を行なった。
【0040】
その評価結果を(表1)に示す。
以下本発明の第1の比較例について説明する。
【0041】
第1の実施例において、電荷輸送層用塗料をジクロロメタン150重量部に1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン(株式会社アナン製T−405)20重量部とポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学工業株式会社製 商品名ユーピロンZ−300)20重量部とを溶解させて作製した以外は、第1の実施例と同様にして電荷輸送層用塗料を用いて、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を形成し、第1の実施例と同様にして評価を行なった。
【0042】
その評価結果を(表1)に示す。
以下本発明の第2の比較例について説明する。
【0043】
第1の実施例において、電荷輸送層用塗料をジクロロメタン150重量部に1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン(株式会社アナン製T−405)20重量部とポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学工業株式会社製 商品名ユーピロンZ−300)20重量部とを溶解させた後、ポリジメチルシロキサン疎水化気相合成シリカ微粒子(キャボット社製TS720)1重量部およびガラスビーズ(直径1mm)150重量部を混合し、連続シェイキング装置(アイメックス社ペイントコンディテョナー商品名レッドデビル)で24時間分散を行って作製した以外は、第1の実施例と同様にして電荷輸送層用塗料を用いて、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を形成した。作製した電荷輸送層用塗料は、気相合成シリカ微粒子の分散が不十分で、粘度も大きく、電荷輸送層として平滑な塗膜は得られなかった。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、導電性支持体上の感光層として少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる積層型有機感光体で、電荷輸送層中に電荷輸送物質とバインダー樹脂とともに気相合成シリカ微粒子を微粒子状態で分散して含有することによって、低摩擦係数で表面離形性に優れた電子写真感光体が得られるものである。また本発明によれば、電荷輸送層の塗布形性に用いる塗料の塗料化溶剤中に予め気相合成シリカ微粒子を微粒子状態で分散させ、その後電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶解させて作製した電荷輸送層用塗料を用いて、電荷輸送層を塗布形性することによって、塗料の粘度が大きくなり過ぎることなく、気相合成シリカ微粒子を効果的に分散し、平滑な電荷輸送層を得られるものである。
Claims (3)
- 導電性支持体上の感光層が少なくとも電荷発生層上に電荷輸送層を積層してなる有機感光体の製造方法であって、前記電荷輸送層の塗布形成に用いる塗料の塗料化溶剤中に、予め気相合成シリカ微粒子を微粒子状態で分散させ、その後少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶解させることによって得た電荷輸送層用塗料を用いて電荷輸送層を塗布形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 前記電荷輸送層用塗料の塗料化溶剤に予め分散される気相合成シリカ微粒子が、表面の水酸基をジメチルジクロルシランあるいはヘキサメチレンジシラザンあるいはポリジメチルシリコーンオイルで疎水化されたものであることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記電荷輸送層用塗料の塗料化溶剤に予め分散される気相合成シリカ微粒子が、表面の水酸基をポリジメチルシリコーンオイルで疎水化されたものであることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
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