JP2011100128A - シラン剥離層およびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子写真感光体の基体上に形成された感光体コーティングを基体から除去する方法を提供する。
【解決手段】感光体を再生する方法であって、基体と、前記基体上に形成されたシラン剥離層と、前記シラン剥離層上に形成された1または複数のコーティング層と、を含む感光体を液体浴に浸漬する工程;および前記1または複数のコーティングを前記基体から分離する工程を含み、前記シラン剥離層が、シラン化合物、接着促進剤、およびポリカーボネートバインダーを含む、方法。
【選択図】なし
【解決手段】感光体を再生する方法であって、基体と、前記基体上に形成されたシラン剥離層と、前記シラン剥離層上に形成された1または複数のコーティング層と、を含む感光体を液体浴に浸漬する工程;および前記1または複数のコーティングを前記基体から分離する工程を含み、前記シラン剥離層が、シラン化合物、接着促進剤、およびポリカーボネートバインダーを含む、方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、広義には、電子写真感光体の基体上に形成された感光体コーティングを基体から除去する方法に関する。より具体的には、本発明は、感光体基体と1または複数のコーティング層の間にシラン剥離層を含む電子写真感光体に基づく、感光体コーティングの除去方法を開示する。本発明は、電子写真感光体を再生、再利用、または再製する、簡便且つ効率的な方法を提供する。
電子写真技術においては、剛性ドラムの形態をした感光体用の基体は直線性および丸み、最適な表面反射率および粗さ、ならびに所望の厚さの点で高い寸法精度を有している必要がある。そのような寸法精度を達成するために、サンドブラスト、ガラスビーズホーニング、ダイヤモンドツール等を用いて高精度で基体表面を研磨する。基体表面を形成した後、電荷発生層および電荷輸送層またはそれらが混合した単層等であり得る1以上の感光性材料コーティングを基体に塗布して感光体デバイスが完成される。
現行の感光体は通常、直線性、丸み、および座ぐり穴(counter bore)の同心性に要求される特定の寸法を有するアルミニウム基体からなり得る。例えば、原材料コストの効率化のためには壁を最小限にする必要があるが、1回で加工するための条件と仕上げ後の感光体デバイスの物理的条件とを満たすのに十分な厚さである必要もある。ダイヤモンド加工で鏡面仕上げにした後ガラスビーズホーニングすることで、最大の反射率を有する欠陥のない表面が得られる。最大の表面粗さも特定される。均一で欠陥のない印刷品質を維持するためには、アルミニウム基体表面の加工工程が重要である。表面の反射を最小限に抑えることで、表面反射により印刷物のハーフトーン領域に生じるベニヤ模様の欠陥がなくなる。表面粗さが上限を超えると、電荷注入および高バックグラウンドが生じる。
感光体の最終製品は通常、3つの有機コーティング、すなわち、下塗りとして機能する下引き層(UCL)、電荷発生層、および電荷輸送層、ならびに場合によっては反射防止コーティングおよび正孔ブロック層を含む。組立後の完成品は、2つの末端キャップ(またはフランジ)を有する。一方の末端キャップは駆動ギアを含み、もう一方の末端キャップは軸受けと軸受けシャフトへのばね接点および内部基体表面への摩擦接点を有するアース用ストラップとを含む。末端キャップはエポキシ系接着剤で固定されており、所定の熱サイクル試験後に所定のトルクおよび押出力(put out force)を満たす必要がある。
作製された感光体デバイスは、印刷機またはプリンター中で良好な電気的性能および機械的性能を有することが期待される。しかし、製造プロセスが複雑であるため、印刷機またはプリンターの品質条件を満たさない恐れのある種々の欠陥が一部の感光体デバイスに生じることは避けられない。欠陥のあるデバイスは不合格にしなければならない。また、感光体デバイスの使用寿命は有限である。感光体デバイスが機械中で十分に機能できなくなったら、それはデバイスの使用寿命の終わりを意味する。使用済の感光体デバイスは通常、欠陥デバイスが処理されるのと同じように処分されていた。デバイスの処分は非常に出費がかさみ、多くの環境問題を引き起こし得る。
感光体デバイスの寸法は非常に具体的に決まっており、わずかな変化が結果に大きく悪影響を与え得るので、感光体デバイスの再製は困難である。例えば、基体の表面反射率と表面粗さの間には特定のバランスが維持されている必要がある。更に、そのような感光体は壁厚が薄すぎて再度機械加工することができず、コーティング層に含まれるポリマーは、最も浸食性が強く多くの場合環境によくない溶媒以外に対して化学的に抵抗性である。
現在利用されているコーティングプロセスでは、フランジのない状態のアルミニウム基体しかコーティングできない。ライン製造の終わりにおける不合格品(5〜15%)の場合、ほとんどはコーティングの欠陥で不合格となっており、これらにはフランジがない。しかし、現場から戻ってきたものは、既存の製造プロセスによる再コーティングが容易になるように、また、フランジが摩耗しすぎて新たなまたは再製された感光体の寸法的条件が満たされなくならないように、再製前にフランジを取り外す必要がある。最終的な再製された組立品の全体的な直線性、丸み、および同心性を維持するためには、基体を変形させず、かつ接着剤残渣を完全に除去するようにフランジの取り外しを行うことが重要であるが、現在用いられているプロセスではこれは困難である。例えば、酸は、グラウンドプレーンの表面反射率を変化させるため、更なる加工なしに反射特性を調節するのが困難になることが知られている。パワーウォッシュまたは機械的剥離技術も、基体表面を損傷させるか変化させる可能性があるため、利用は限られている。
更に、コーティングされた感光体を再利用するために基体から効果的且つ完全に除去する方法は、しばしば大量に使用する必要がある酸または溶媒を含む強力な化学物質を使用する必要があり、危険廃棄物処理のコストが大きくなり、安全上の懸念となり得るため、問題がある。コーティングされた剥離層の環境に優しい溶媒中での除去を容易にする剥離層は、基体再生プロセスのコストを低減し、基体の再利用を可能にすることで大幅なコスト削減になる。
したがって、上記の問題が克服された電子写真感光体デバイスの再利用または再生方法が求められている。更に、例えば基体の構造に損傷を与えずに感光層またはコーティング層を除去することで使用不能な感光体デバイスを再利用するなどして電子写真感光体の再製コストを低減することに対するニーズがある。これにより、感光体の製造コストが低減するだけでなく、デバイス中の全ての関連材料の廃棄コストが低減する。
本開示は、広義には、電子写真感光体の基体上に形成された感光体コーティングを基体から除去するための、環境に優しい方法に関する。より具体的には、本実施形態は、感光体基体と1または複数のコーティング層との間にシラン剥離層を有する電子写真感光体に基づく、感光体コーティング除去方法を開示する。
コーティングされた層を環境に優しい溶媒で除去し易くする剥離層は、基体再生プロセスのコストを低減し、基体の再利用を可能にすることで、大幅にコストを削減する。そこで、本実施形態は、電子写真感光体を再生、再利用、または再製するための、環境に優しく簡便でありながらも効率的な方法を提供する。
本明細書に記載の態様によれば、基体と、基体上に形成されたシラン剥離層と、シラン剥離層上に形成された1または複数のコーティング層とを含む感光体を液体浴に浸漬する工程、および1または複数のコーティング層を基体から分離する工程を含み、シラン剥離層は、シラン化合物、接着促進剤、およびポリカーボネートバインダーを含む、感光体を再生する方法が提供される。
別の実施形態では、基体、基体上に形成されたシラン剥離層、およびシラン剥離層上に形成された1または複数のコーティング層を含む感光体であって、シラン剥離層がシラン化合物、接着促進剤、およびポリカーボネートバインダーを含む、感光体が提供される。
図1は、各種の層を有するドラム形状の典型的な電子写真感光体を示す。図から分かるように、この例示的な画像形成部材は、剛性の支持基体10、導電性グラウンドプレーン12、下引き層14、電荷発生層18、および電荷輸送層20を含む。剛性基体は、金属、金属合金、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、タングステン、モリブデン、およびこれらの混合物からなる群から選択される材料からなり得る。電荷発生層18および電荷輸送層20は、別々の2層として、ここに記載した画像形成層を形成する。図示したものの他に、電荷輸送層の上に電荷発生層が形成されてもよい。画像形成部材のその他の層には、例えば必要に応じて用いるオーバーコート層32が含まれ得る。オーバーコート層は、機械的摩耗およびスクラッチに対する耐性を増加させて感光体デバイスの寿命を延ばすために一般的に含まれる。本実施形態では、剥離層9も含まれ、これは基体10とその他の層12、14、18、20、32との間に位置する。剥離層は、グラウンドプレーン12と下引き層14との間に位置する。これらの層の機能性成分を組み合わせて単層にしてもよい。
導電性基体は、任意の金属、例えばアルミニウム、ニッケル、鋼、銅等の金属、炭素、金属粉末等の導電性物質が充填されたポリマー材料、もしくは導電性有機材料等であってもよい。特定の実施形態では、基体はアルミニウムまたはアルミニウム合金から作製される。
電気絶縁性または導電性の基体は、可撓性無端ベルト、ウェブ、剛性シリンダー、シート等の形態であり得る。基体層の厚さは、所望の強度、経済的条件等の多くの要因によって異なる。したがって、ドラムの場合、この層の実質的な厚さは、例えば最大で数センチメートル(many centimeters)であってもよく、最も薄くて1ミリメートル未満であってもよい。同様に、可撓性ベルトの実質的な厚さは、最終的な電子写真デバイスに悪影響を与えない限り、例えば約250ミクロンであってもよく、最も薄くて50ミクロン未満であってもよい。ドラム基体の壁の厚さは、感光体デバイスの物理的条件を満たすために、少なくとも約0.25mmとなるように製造される。ある実施形態では、基体の厚さは約0.25〜約5mmである。ある実施形態では、基体の厚さは約0.5〜約3mmである。ある実施形態では基体の厚さは約0.9〜約1.1mmである。しかし、基体の厚さはこれらの範囲外であってもよい。
基体の表面は、ダイヤモンド旋削、冶金学的研磨、ガラスビーズホーニング等、またはダイヤモンド旋削とその後の冶金学的研磨またはガラスビーズホーニングの組合せ等の好適なプロセスで研磨して鏡面仕上げにされる。表面反射率を最小限に抑えることで、表面反射により起こる印刷物のハーフトーン領域にベニヤ模様状に現れる欠陥を除くことができる。特定の表面粗さ、例えば5ミクロン、を超えると、デバイス全体の望ましくない非均一な電気的特性につながり、画像形成品質が悪化する。ある実施形態では、基体の表面粗さは1ミクロン未満または0.5ミクロン未満に調整される。
基体層が導電性でない実施形態では、導電性コーティングによって表面を導電性にしてもよい。導電性コーティングの厚さは、光透過性、所望の可撓性の程度、および経済的要因により、かなり広範囲で変わり得る。
本実施形態では、基体上に形成された剥離層9が提供される。シラン剥離層は、グラウンドプレーンとその他のコーティング層との間に位置し、厚さは約1.5〜約3ミクロンであり得る。
シラン剥離層により、製造上のコーティング不合格品の再生または再利用および現場から戻った感光体の再製のための方法が実現される。シラン剥離層は、感光体の再作製に使用するための基体の回収を可能にし、感光体製造コストを大幅に低減する。ある実施形態では、シラン剥離層は、シラン化合物、接着促進剤、およびポリカーボネートを含み、シランは以下の一般的構造を有し得る。
式中、R1、R2、R3、およびR4は、独立して、水素、置換または未置換の直鎖、分岐鎖、または環式のC1〜C24のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケノキシ基、アルキニル基、およびアルキノキシ基からなる群から選択され、
ただし、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、置換または未置換の直鎖、分岐鎖、または環式のC1〜C24のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基から選択され、
かつ、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、アルコキシ基、アルケノキシ基、またはアルキノキシ基から選択される。
好ましくは、R1、R2、R3、およびR4中の置換官能基が必要に応じてヒドロキシル、カルボン酸、エステル、カーボネート、またはチオールである
ある特定の実施形態では、シランはガンマアミノプロピルトリエトキシシランである。
ただし、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、置換または未置換の直鎖、分岐鎖、または環式のC1〜C24のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基から選択され、
かつ、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、アルコキシ基、アルケノキシ基、またはアルキノキシ基から選択される。
好ましくは、R1、R2、R3、およびR4中の置換官能基が必要に応じてヒドロキシル、カルボン酸、エステル、カーボネート、またはチオールである
ある特定の実施形態では、シランはガンマアミノプロピルトリエトキシシランである。
本実施形態では、接着促進剤は、例えばVITEL PE−200(ボスティック社(Bostik,Inc.)マサチューセッツ州ミドルトン)から入手可能なV2200)であり得る。このポリエステル樹脂は、2つの二価酸および2つのジオールの直鎖飽和コポリエステルであり、コポリエステル中の二価酸とジオールの比は1:1である。二価酸はテレフタル酸およびイソフタル酸である。テレフタル酸とイソフタル酸の比は1.2:1である。2つのジオールはエチレングリコールおよび2,2−ジメチルプロパンジオールである。エチレングリコールとジメチルプロパンジオールの比は1.33:1である。グッドイヤー社(Goodyear)製PE−200直鎖飽和コポリエステルは、上記比率の2つの二価酸と2つのジオールのランダム交互モノマー単位からなり、重量平均分子量は45,000、Tgは約67℃である。
本実施形態では、ポリカーボネートは、例えば重量平均Mwが約10,000〜約100,000のポリカーボネート(4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール)であり得る。ある実施形態では、ポリカーボネートは、重量平均Mwが約20,000のポリカーボネート(4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール)であり得る。剥離層は、溶媒または溶媒混合物にシラン化合物、接着促進剤、およびポリカーボネートを溶解させた溶液から形成される。ある実施形態では、この溶液は、重量比が約10:1〜約1:10のテトラヒドロフラン/トルエン混合物に、シラン化合物、接着促進剤、およびポリカーボネートを約100:1:1〜約1:50:100の範囲内の重量比で溶解してなる。ある実施形態では、ポリカーボネートは、重量比70:30のテトラヒドロフラン/トルエン混合物中に溶解されており、重量比は2:1:1である。約0〜約100℃の温度で穏やかに撹拌してこれらの固体を溶解し、最終溶液の固体含有量を約10wt%にした。
ある実施形態では、シランは、剥離層の全重量を基準にして、剥離層中に約1〜約99重量パーセント、約5〜約80重量パーセント、または約10〜約50重量パーセントの量で存在する。別の実施形態では、接着促進剤は、剥離層の全重量を基準にして、剥離層中に約0.1〜約90重量パーセント、約1〜約50重量パーセント、または約2〜約30重量パーセントの量で存在する。更に別の実施形態では、ポリカーボネートは、剥離層の全重量を基準にして、剥離層中に約1〜約99重量パーセント、約5〜約80重量パーセント、または約10〜約50重量パーセントの量で存在する。
ある実施形態では、基体および座ぐり穴は、感光体上にコーティング層を塗布する前に最初にシランでコーティングされる。乾燥後、プレコートされた薄いシラン剥離層が得られ、この剥離層により、基体への良好な接着、UCL層への良好な結合、および末端キャップへの良好な結合が得られる。更に、シラン剥離層は、容易な基体回収処理を提供する安価で非毒性の溶媒に可溶である。
したがって、ある実施形態は、基体を損傷させることなく効率的に基体を回収するために全ての感光体コーティング層および座ぐり穴のフランジを除去する、改善された方法を提供する。本方法におけるシラン剥離層の使用は、基体の表面特性または再生した基体の寸法的完全性を変化させない剥離プロセスを容易にする。更に、この方法では、環境に優しい溶媒を使用し、感光体コーティング層を剥離するために通常必要とされる毒性の溶媒を使用しない。
ある実施形態では、コーティング層は、例えばイソプロパノールまたは水等の溶媒に室温または高温で約1分間〜約72時間感光体全体を浸漬して液体を浸透させることで、基体から剥離および除去される。別の実施形態では、溶媒はARMAKLEEN(ニュージャージー州プリンストンのアルマクリーン社(ArmaKleen Company)から入手可能)またはNATRASOLVE(ウィスコンシン州スターテバントのジョンソンディバーシー社(Johnson Diversey Inc.)から入手可能)であり得る。この液体浴を軽く撹拌してシラン剥離層の溶解を促す。液体浴に浸漬した後、複数のコーティング層をはぎ取る(peel off)かこそぎ落とす(scrape away)ことで、基体から複数のコーティング層が分離され得る。フランジが存在する場合、フランジは、手作業またはかみそり、ドクターブレード、スカイビング(skive)、ブラシ、洗浄パッド等の道具を用いて行うことができるはぎ取り、こそぎ落とし、および除去作業により基体から分離することができる。フランジは、グリッパーにトルクおよび引張力を加えるか一方の末端に挿入されたバーまたはロッドを用いた衝撃により除去することができる。コーティング層は部分的または完全に分解されてよい。通常、フランジは損傷を受けるか一部分解され、浸漬後に再利用できなくてもよい。回収された基体はその後、再製に用いることができる。アルミニウム基体等の基体は有機感光体製造における感光体原材料コストの約50パーセントを占めるので、本実施形態は大幅なコスト削減を容易にする。
画像形成部材のその他の層として、例えば必要に応じて用いるオーバーコート層32が含まれる。所望により、画像形成部材表面の保護および耐摩耗性向上のために、電荷輸送層20の上に必要に応じてオーバーコート層32を形成してもよい。ある実施形態では、オーバーコート層32の厚さは約0.1〜約10ミクロン、または約1〜約10ミクロンであってよく、ある特定の実施形態では約3ミクロンであってよい。これらのオーバーコート層は、電気絶縁性またはわずかに半導電性の熱可塑性有機ポリマーまたは無機ポリマーを含み得る。例えば、オーバーコート層は、樹脂中に微粒子添加剤を含む分散液から作製され得る。オーバーコート層は連続していてもよく、少なくとも約0.5ミクロンまたは10ミクロン以下の厚さであってよく、別の実施形態では少なくとも約2ミクロンまたは6ミクロン以下であってよい。
導電性のグラウンドプレーン12は、例えば、真空蒸着技術等の任意の好適なコーティング技術で基体10上に形成され得る導電性金属層であってよい。この導電層の厚さは、電子光伝導性(electrophotoconductive)部材に所望の光透過性および可撓性に応じてかなり広範囲に変わり得る。したがって、可撓性の光応答性画像形成デバイスの場合、導電性、可撓性、および光透過の最適な組合せを得るための導電層の厚さは少なくとも約20オングストローム、または約750オングストローム以下、または少なくとも約50オングストローム、または約200オングストローム以下であり得る。
金属層の形成に用いられる技術に関係なく、空気にさらされると大抵の金属の外表面には金属酸化物の薄層が形成される。したがって、金属層の上のその他の層を「隣接(contiguous)」層とした場合、これら金属層上の隣接層は事実上、酸化可能な金属層の外表面上に形成された金属酸化物の薄層に接触し得る。通常、背面消去露光(rear erase exposure)のためには、導電層の光透過性は少なくとも約15%であることが望ましい。導電層は必ずしも金属である必要はない。その他の例としては、導電層は、波長が約4000〜約9000オングストロームの光を透過させる層として、導電性酸化インジウムスズ等の材料の組合せであってよく、不透明な導電層として、ポリマーバインダー中に分散された導電性カーボンブラックであってもよい。
導電性グラウンドプレーン層を形成した後、そこに正孔阻止層14を塗布してもよい。正に帯電した感光体の電子阻止層は、正孔を感光体の画像形成面から導電層に移動させる。負に帯電した感光体では、導電層から反対の光伝導層への正孔注入を阻止する障壁を形成できる任意の好適な正孔阻止層が利用できる。
下引き層の一般的な実施形態は、金属酸化物および樹脂バインダーを含み得る。本明細書の実施形態で用いることのできる金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化モリブデン、およびその混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。下引き層バインダー材料としては、例えばポリエステル、モートンインターナショナル社(Morton International Inc.)のMOR−ESTER 49,000、グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー社(Goodyear Tire and Rubber Co.)のVITEL PE−100、VITEL PE−200、VITEL PE−200D、およびVITEL PE−222;アモコ・プロダクション・プロダクツ(AMOCO Production Products)のARDEL等のポリアリレート、アモコ・プロダクション・プロダクツのポリスルホン、ポリウレタン等が含まれ得る。
正孔阻止層は連続的であり、厚さは約1〜約23ミクロンであり得る。正孔阻止層は、スプレー、ディップコーティング、ドローバーコーティング、グラビアコーティング、シルクスクリーニング、エアナイフコーティング、反転ロールコーティング、真空蒸着、化学処理等の任意の好適な従来技術で形成されてよい。薄層を形成しやすくするために、正孔阻止層は希釈溶液の形態で塗布され、コーティング形成後に減圧、加熱等の従来技術で溶媒を除去する。一般に、スプレーコーティングに適した正孔阻止層材料と溶媒の重量比は約0.05:100〜約0.5:100である。
その後、下引き層14に電荷発生層18を塗布してもよい。任意の好適な電荷発生バインダー、例えば、粒子の形態であってもよい電荷発生/光伝導性(photoconductive)材料が不活性樹脂等の成膜性バインダー中に分散されたもの等、が用いられ得る。光伝導層が電荷発生層の特性を増加または低減する場合、複数の電荷発生層組成物を用いてもよい。選択される電荷発生材料は、静電潜像を形成する電子写真画像形成プロセスの像様放射線露光工程の間、波長が約400〜約900nmの活性化放射線に感受性である。例えば、ヒドロキシガリウムフタロシアニンは波長が約370〜約950ナノメートルの光を吸収する。
本明細書に記載の光伝導体に用いられるチタニルフタロシアニンまたはオキシチタンフタロシアニンの多くは、800ナノメートル付近の近赤外線を吸収することが知られている光発生顔料であり、例えばヒドロキシガリウムフタロシアニン等のその他の顔料よりも良い感受性を有し得る。一般に、チタニルフタロシアニンはI、II、III、X、およびIV型として知られる5つの主な結晶形を有することが知られている。
電荷発生層18中のバインダー材料として任意の好適な不活性樹脂材料が用いられ得る。電荷発生材料は、樹脂性バインダー組成物中に種々の量で存在し得る。通常、少なくとも約5体積パーセントまたは約90体積パーセント以下の電荷発生材料が、少なくとも約95体積パーセントまたは約10体積パーセント以下の樹脂性バインダーに分散され、より具体的には、少なくとも約20体積パーセントまたは約60体積パーセント以下の電荷発生材料が少なくとも約80体積パーセントまたは約40体積パーセント以下の樹脂性バインダー組成物に分散される。
ある特定の実施形態では、電荷発生層18の厚さは1μm未満、または約0.25μmであり得る。これらの実施形態は、クロロガリウムフタロシアニンまたはヒドロキシガリウムフタロシアニン、またはその混合物を含み得る。電荷発生材料および樹脂性バインダー材料を含む電荷発生層18は、通常、乾燥時の厚さが少なくとも約0.1μmまたは約5μm以下、例えば約0.2〜約3μmである。電荷発生層の厚さは、通常、バインダー含有量に関連する。バインダー含有量が大きいと、一般に電荷発生層はより厚くなる。
ドラム型感光体では、電荷輸送層は同じ組成の単層から構成される。したがって、電荷輸送層は単層20として具体的に記載されているが、その詳細は2層の電荷輸送層を有する実施形態にも適用される。その後、電荷発生層18の上に電荷輸送層20が塗布される。電荷輸送層20は、画像形成部材表面上で選択的に表面電荷を放電するために、発生した正孔または電子の電荷発生層18からの注入を支援できると同時にこれらの正孔/電子の電荷輸送層の通過を可能にする任意の好適な透明有機ポリマーまたは非ポリマー材料を含み得る。ある実施形態では、電荷輸送層20は、正孔輸送の機能を果たすだけでなく、摩耗または化学的侵食から電荷発生層18を保護することで、画像形成部材の耐用年数を伸ばすことができる。電荷輸送層20は、光発生した正孔の電荷発生層18からの注入を支援できるものであれば、実質的に非光伝導性の材料であってもよい。
電荷輸送層20は通常、露光時に電子写真画像形成部材が使用される波長域に対して透過性であり、入射された放射線の大部分がその下の電荷発生層18で利用される。電荷輸送層は、ゼログラフィーに有用な波長、例えば400〜900ナノメートルの光に露光された時に、光吸収がごくわずかであり且つ電荷を発生しない、優れた光透過性を示す。透明基体10、およびこれも透過性または部分的に透過性である導電層12を用いて感光体を作製する場合、像様の露光または消去は、基体10で全ての光が基体の背面を通過することでなされ得る。この場合、電荷発生層18が基体と電荷輸送層20の間に挟まれていれば、電荷輸送層20の材料は有用な波長領域の光を透過させる必要はない。電荷輸送層20と電荷発生層18の組合せは、照射がない場合には電荷輸送層上の静電荷が伝導されない程度の絶縁性を有する。電荷輸送層20は、放電プロセス中に電荷輸送層20を電荷が通過する時、最小限の電荷を捕捉する。
電荷輸送層20は、任意の好適な電荷輸送性分、またはポリカーボネートバインダー等の電気的に不活性なポリマー材料に溶解または分子的に分散された添加剤として有用な活性化化合物を含んで固溶体を形成してもよく、これにより、材料は電気的に活性になる。「溶解された」とは、例えば、ポリマーに小分子が溶解されて均一な相を形成している溶液を形成することを意味する。ある実施形態では、分子的に分散されたとは、例えば、小分子がポリマーに分子スケールで分散されている、ポリマーに分散された電荷輸送分子を意味する。電荷輸送成分を添加しなければ生成された正孔の電荷発生材料からの注入を支援できないまたは電荷輸送層を通るこれらの正孔の輸送を可能にできない成膜性ポリマー材料には、電荷輸送成分を添加してもよい。電荷輸送成分の添加により、電気的に不活性なポリマー材料が光発生された正孔の電荷発生層18からの注入を支援でき且つ電荷輸送層20を通るこれらの正孔の輸送を可能にする材料に変換されて、電荷輸送層上の表面電荷が放出できるようになる。高移動度の電荷輸送成分は、協同して分子間で電荷を輸送して最終的に電荷輸送層表面に電荷を輸送する有機化合物の小分子を含み得る。
電荷輸送層中には各種の電荷輸送化合物を含んでよく、この層の厚さは通常、約15〜約50ミクロン、より具体的には約15〜約40ミクロンである。電荷輸送性成分の例としては、以下の式/構造で表されるアリールアミン、
(式中、Xは、アルキル、アルコキシ、アリール、およびその誘導体等の好適な炭化水素;ハロゲン、またはその混合物であり、特に、ClおよびCH3からなる群から選択される置換基である。)、ならびに以下の式で表される分子が挙げられる。
(式中、X、Y、およびZは、独立して、アルキル、アルコキシ、アリール、ハロゲン、またはその混合物であり、YおよびZの少なくとも一方は存在する。)
電荷輸送層用に選択することができる具体的なアリールアミンの例としては、アルキルがメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル等からなる群から選択されるN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(アルキルフェニル)−1,1−ビフェニル−4,4’−ジアミン等;ハロ置換基がクロロ置換基であるN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(ハロフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン;N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジ−p−トリル−[p−テルフェニル]−4,4’’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジ−m−トリル−[p−テルフェニル]−4,4’’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジ−o−トリル−[p−テルフェニル]−4,4’’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス−(4−イソプロピルフェニル)−[p−テルフェニル]−4,4’’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス−(2−エチル−6−メチルフェニル)−[p−テルフェニル]−4,4’’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス−(2,5−ジメチルフェニル)−[p−テルフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−クロロフェニル)−[p−テルフェニル]−4,4’’−ジアミン等が含まれる。
他の実施形態では、上記の他の公知の電荷輸送層分子を選択してもよい。
他の実施形態では、上記の他の公知の電荷輸送層分子を選択してもよい。
ポリマーバインダー材料の具体例としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、セルロースポリマー、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(シクロオレフィン)、およびエポキシ、およびこれらのランダムまたは交互コポリマーが含まれる。ある実施形態では、正孔輸送層等の電荷輸送層の厚さは少なくとも約10μmまたは約40μm以下であり得る。
例えば側方電荷移動(lateral charge migration:LCM)抵抗の改善を可能にするために、複数の電荷輸送層または少なくとも1つの電荷輸送層に導入してもよい成分または材料の例としては、テトラキスメチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート)メタン(IRGANOX(登録商標)1010、チバ・スペシャルティ・ケミカル社から入手可能)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、ならびにSUMILIZER(商標) BHT−R、MDP−S、BBM−S、WX−R、NW、BP−76、BP−101、GA−80、GM、およびGS(住友化学株式会社から入手可能)、IRGANOX(登録商標)1035、1076、1098、1135、1141、1222、1330、1425WL、1520L、245、259、3114、3790、5057、および565(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から入手可能)、ならびにADEKA STAB(商標)AO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80、およびAO−330(旭電化工業株式会社から入手可能)等のその他のヒンダードフェノール系酸化防止剤;サノール(商標)LS−2626、LS−765、LS−770、およびLS−744(三共株式会社から入手可能)、チヌビン(TINUVIN)(登録商標)144および622LD(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から入手可能)、MARK(商標)LA57、LA67、LA62、LA68、およびLA63(旭電化工業株式会社から入手可能)、ならびにSUMILIZER(登録商標)TPS(住友化学株式会社から入手可能)等のヒンダードアミン系酸化防止剤;SUMILIZER(登録商標)TP−D(住友化学株式会社から入手可能)等のチオエーテル系酸化防止剤;MARK(商標)2112、PEP−8、PEP−24G、PEP−36、329K、およびHP−10(旭電化工業株式会社から入手可能)等のリン酸系酸化防止剤;ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン(BDETPM)、ビス−[2−メチル−4−(N−2−ヒドロキシエチル−N−エチル−アミノフェニル)]−フェニルメタン(DHTPM)等のその他の分子が含まれる。電荷輸送層の少なくとも1つに含まれる酸化防止剤の重量パーセントは約0〜約20、約1〜約10、または約3〜約8重量パーセントである。
電荷輸送層は、その上の静電潜像の形成および維持を防止するのに十分な割合の照射がない場合には正孔輸送層上の静電荷が伝導されない程度に絶縁性であるべきである。電荷輸送層は、意図した使用の領域の可視光または放射線を実質的に吸収しないが、光発生層すなわち電荷発生層からの光発生した正孔の注入を可能にし、これらの正孔がこの層を通過して活性層表面上の表面電荷を選択的に放出することを可能にするという点で、電気的に「活性」である。
電荷輸送層混合物を形成し、その後、支持基体層上に塗布するために、任意の好適な従来技術が用いられ得る。電荷輸送層は、単一のコーティング工程で形成してもよく、複数のコーティング工程で形成してもよい。ディップコーティング、リングコーティング、スプレー、グラビアコーティング、または任意のその他のドラムコーティング方法が使用され得る。
形成されたコーティングの乾燥は、オーブン乾燥、赤外線乾燥、風乾等の任意の好適な従来技術でなされ得る。最適な光電気的および機械的結果を得るためには、乾燥後の電荷輸送層の厚さは約10〜約40μm、または約12〜約36μmである。別の実施形態では、厚さは約14〜約36μmである。
特定の形態、例えば可撓性ウェブの形態では、必要に応じて別個の接着界面層を設けてもよい。図2に示す実施形態では、界面層は、阻止層14と電荷発生層18の間に設けられる。界面層はコポリエステル樹脂を含み得る。接着界面層は、正孔阻止層14に直接塗布してもよい。したがって、ある実施形態の接着界面層は、下側の正孔阻止層14と上側の電荷発生層18との両方に直接隣接して接触し、接着接合を強化し、結合を形成する。更に別の実施形態では、接着界面層を完全に省いてもよい。
任意の好適な溶媒または溶媒混合物を用いて接着界面層用のポリエステルのコーティング溶液を形成することができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン、トルエン、モノクロロベンゼン、塩化メチレン、シクロヘキサノン等およびその混合物が含まれ得る。接着層コーティング混合物を混合してその後正孔阻止層に塗布するために任意のその他の好適な従来技術を用いてよい。塗布技術としては、スプレー、ディップコーティング、ロールコーティング、巻線ロッドコーティング等が含まれ得る。形成されたウェットコーティングの乾燥は、オーブン乾燥、赤外線乾燥、風乾等の任意の好適な従来プロセスでなされ得る。
接着界面層の乾燥後の厚さは、少なくとも約0.01ミクロン、または約900ミクロン以下であり得る。実施形態では、乾燥厚さは約0.03〜約1ミクロンである。
グラウンドストリップは、成膜性ポリマーバインダーおよび導電性粒子を含み得る。任意の好適な導電性粒子を、導電性グラウンドストリップ19中で用いてよい。導電性粒子は任意の好適な形状であってよく、不規則な形状、粒形、球形、楕円形、立方体、薄片、フィラメント等が挙げられる。導電性粒子の粒子サイズは、導電性グラウンドストリップ層の外表面が過度に不均一にならないように、導電性グラウンドストリップ層の厚さよりも小さい。通常、平均粒子サイズが約10ミクロン未満であれば、乾燥後のグラウンドストリップ層の外表面で導電性粒子の突出が極端にならず、乾燥後のグラウンドストリップ層のマトリックス中に比較的均一に粒子が分散される。グラウンドストリップ中で用いられる導電性粒子の濃度は、用いられる具体的な導電性粒子の導電性等の要因により変わる。
グラウンドストリップ層の厚さは、少なくとも約7ミクロン、または約42ミクロン以下、または少なくとも約14ミクロン、または約27ミクロン以下であり得る。
カール防止バックコーティング1は、電気絶縁性またはわずかに半導電性の有機ポリマーまたは無機ポリマーを含み得る。カール防止バックコーティング1は、平坦性および/または耐摩耗性を付与する。
カール防止バックコーティング1は、画像形成層とは反対側の基体2の裏側に形成され得る。カール防止バックコーティングは、成膜性樹脂バインダーおよび接着促進添加剤を含み得る。樹脂バインダーは、前述した電荷輸送層の樹脂バインダーと同じ樹脂であってよい。成膜性樹脂の例としては、ポリアクリレート、ポリスチレン、ビスフェノールポリカーボネート、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェニルポリカーボネート等が含まれる。添加剤として用いられる接着促進剤としては、49,000(デュポン社)、Vitel PE−100、Vitel PE−200、Vitel PE−307(ゴッドイヤー社)等が含まれる。通常、成膜性樹脂の添加には、約1〜約15重量パーセントの接着促進剤が選択される。カール防止バックコーティングの厚さは少なくとも約3ミクロン、または約35ミクロン以下、または約14ミクロンである。
更に、ベルトの形状を有する実施形態では、電荷輸送層は、シングルパス電荷輸送層またはデュアルパス電荷輸送層(または2層の電荷輸送層)からなってよく、輸送分子比は同じであっても異なっていてもよい。これらの実施形態では、2層の電荷輸送層の合計の厚さは約10〜約40μmである。別の実施形態では、2層の電荷輸送層の各層の厚さは約2〜約20μmである。更に、電荷輸送層は、電荷輸送層とオーバーコート層の界面での結晶化を防止する感光体のトップ層として使用されるように構成してよい。別の実施形態では、電荷輸送層は、第1パス層と第2パス層の界面で起こる微小結晶化を防止する第1パス電荷輸送層として用いられるように構成されてよい。
本実施形態の複数の例示的な剥離溶液の状態を以下の実施例で調べた。
シラン剥離層の配合
ガンマアミノプロピルトリエトキシシランと、VITEL PE−200接着促進剤と、重量平均Mwが約20,000のポリカーボネート(4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール)とを2:1:1の重量比で重量比70:30のテトラヒドロフラン/トルエンに溶解させて、剥離層溶液を作製した。室温で穏やかに撹拌することで固形分を溶解させ、固体含有量が約10wt%の最終溶液を得た。
感光体の形成
洗浄したアルミニウムドラム上に2種の層厚を有する剥離層を有する、複数層の感光体デバイスを作製した。剥離層を、引き上げ速度100ミリメートル/分および225ミリメートル/分でツキアゲ(tsukiage)コーティングし、120℃で10または20分間乾燥させ、乾燥膜圧を約1.5〜約3ミクロンにした。この剥離層の上、および対照としての裸アルミニウム基体の上に、以下の層をコーティングした。
重量比1:1の1−ブタノールとキシレン混合物に62重量パーセントの二酸化チタン(テイカ株式会社(日本、大阪)から入手可能なMT150W(商標))および38重量パーセントのフェノール樹脂(オキシケムカンパニー(テキサス州ダラス)から入手可能なVARCUM(商標)29159、Mw=約3,600、粘度=約200cps)を含んでなる酸化チタン/フェノール樹脂分散液から下引き層を作製し、その後、165℃で15分間乾燥させた。得られた下引き層(UCL)の厚さは10ミクロンであった。
続いて、クロロガリウム顔料、n−酢酸ブチル溶媒に懸濁された重量比54:46の塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー(VMCH)バインダー分散液からなる電荷発生層を、下引き層上に形成した。
最後に、重量比25:75のトルエン:THF溶媒系中にN,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス[4−(n−ブチル)フェニル]−[p−テルフェニル]−4,4’’−ジアミン(TPD)40重量パーセント、三菱ガス化学株式会社(日本、東京)から入手可能)なポリ(4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニル−1−1−シクロヘキサン、Mw=40,000(PCZ400)60重量パーセント、約1重量パーセントの酸化防止剤、約7%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子(PTFEを分散させるための界面活性剤を含む。)を含む電荷輸送層コーティング溶液を、ディップコーティングプロセスを用いて塗布した。引き上げ速度が180ミリメートル/分のとき、電荷輸送層の厚さは32マイクロメートルとなる。
更なる層としては、1〜18ミクロンの範囲内のTiO2ベースのUCL、および15〜28ミクロンの範囲内のZnOベースのUCLが含まれる(3成分UCL)。
性能試験
完成したデバイスについて、サイクリック・スキャナ中で電気的に試験を行った。剥離層を有するデバイスは良好な線形の帯電量を示し、また、剥離層なしで作製した対照と同じように電界の消失が少なかった。
感光体の寿命をシミュレートし、高い電界でUCLに応力をかけて、デバイスの実地試験を行った。見かけのV0が700Vになるようにデータを標準化し、電荷輸送層の厚さ減少と予測される光放電特性(PIDC)曲線の変化を反映させた。これらのデバイスの最初の名目的な厚さは30ミクロンであり、PIDCは、20ミクロンおよび17ミクロンでシミュレートした時に見られるよりも浅かった。より高い電界応力でも、電気的性能に剥離層の影響は検出されず、優れた放電特性が示される。
剥離層コーティングを有する完成品のデバイス、および剥離層を有しない完成品のデバイスについて、72℃のイソプロパノール浴を用いて剥離を行った。剥離層を有しない対照サンプルでは基体上にコーティングのかなりの部分が残ったが、剥離層でコーティングされたデバイスでは3時間の浸漬でコーティング層が完全に除去されることが実証された。
Claims (4)
- 感光体を再生する方法であって、
基体と、
前記基体上に形成されたシラン剥離層と、
前記シラン剥離層上に形成された1または複数のコーティング層と、
を含む感光体を液体浴に浸漬する工程;および
前記1または複数のコーティングを前記基体から分離する工程
を含み、前記シラン剥離層が、シラン化合物、接着促進剤、およびポリカーボネートバインダーを含む、方法。 - 基体;
前記基体上に形成されたシラン剥離層;および
前記シラン剥離層上に形成された1または複数のコーティング層
を含む感光体であって、前記シラン剥離層が、シラン化合物、接着促進剤、およびポリカーボネートバインダーを含む、感光体。 - 前記シラン化合物が、下記式で表される構造を有する、請求項2に記載の感光体。
ただし、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、置換または未置換の直鎖、分岐鎖、または環式のC1〜C24のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基から選択され、
かつ、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、アルコキシ基、アルケノキシ基、またはアルキノキシ基から選択される。) - 基体;
前記基体上に形成されたシラン剥離層;および
前記シラン剥離層上に形成された1または複数のコーティング層
を含む感光体であって、前記シラン剥離層が、シラン化合物、接着促進剤、およびポリカーボネートバインダーを溶媒に溶解してなる溶液から形成され、前記シラン化合物が下記式で表される構造を有する、感光体。
ただし、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、置換または未置換の直鎖、分岐鎖、または環式のC1〜C24のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基から選択され、
かつ、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、アルコキシ基、アルケノキシ基、またはアルキノキシ基から選択される。)
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20131025 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20140115 |