JP2004101600A - 光反射フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光反射特性、輝度特性に優れる光反射フィルムを提供する。
【解決手段】フィルム内部にフィルム面方向に対して扁平な独立気泡を内包し、かつ少なくとも一方の表面に開口孔を有することを特徴とする光反射フィルム。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射部材用に使用される光反射フィルムの改良に関し、さらに詳しくは面光源の反射板、およびランプリフレクターとして好適な光反射フィルムであって、より明るく、かつ照明効率に優れた面光源を得ることのできる、光反射フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置として、液晶を利用したディスプレイが数多く用いられている。これらの液晶ディスプレイは、それ自体は発光体でないために、裏側からバックライトと呼ばれる面光源を設置して光を照射することにより表示が可能となっている。また、バックライトは、単に光を照射するだけでなく、画面全体を均一に照射せねばならないという要求に応えるため、エッジ型もしくは直下型と呼ばれる面光源の構造をとっている。なかでも、薄型、小型化が望まれるノート型パソコン等に使用される薄型液晶ディスプレイ用途には、エッジ型、つまり画面に対し側面から光を照射するタイプのバックライトが、例えば特許文献1で開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−62104号公報。
【0004】
一般的に、このエッジ型バックライトでは、導光板のエッジから冷陰極線管を照明光源とし、光を均一に伝播・拡散する導光板を利用し液晶ディスプレイ全体を均一に照射する導光板方式が採用されている。この照明方法において、より光を効率的に活用するため、冷陰極線管の周囲にランプリフレクターが設けられ、更に導光板から拡散された光を液晶画面側に効率的に反射させるために導光板の下には反射板が設けられている。これにより冷陰極線管からの光のロスを少なくし、液晶画面を明るくする機能を付与している。
【0005】
一方、液晶テレビのような大画面用では、エッジ型バックライトでは画面の高輝度化が望めないことから直下型バックライト方式が採用されてきている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管を並列に設けるもので、反射板の上に平行に冷陰極線管が並べられる。反射板は平面状もしくは、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。
【0006】
このような液晶画面用の面光源に用いられるランプリフレクターや反射板(面光源反射部材と総称する)には、輝度の向上効果や均一性に優れることから、内部に微細な気泡を含有させたフィルムの使用が例えば特許文献2,特許文献3で開示されている。
【0007】
【特許文献2】
特開平6−322153号公報、
【0008】
【特許文献3】
特開平7−118433号公報
中でも、非相溶成分を分散させた樹脂シートを延伸するなど手法によって、内部に扁平な気泡を含有させたフィルムは特に高い反射性を有することから反射部材として広く用いられている。
【0009】
なお、フィルム表面を多孔質化する手段としては、例えば特許文献4には相互溶解度が低い2種類以上の樹脂を塗布し、湿式脱溶媒法によりフィルム表面を多孔質化する方法が、また、例えば特許文献5には大きさの異なる適当な水分散性ポリマーとコロイダルシリカを適当な割合で混合し、その塗液を基材フィルムに塗布、乾燥することにより、フィルム表面を多孔質化する方法が、それぞれ開示されている。
【0010】
【特許文献4】
特開昭63−197183号公報、
【0011】
【特許文献5】
特開平3−96332号公報
しかし、これらには偏平な気泡を内包したフィルムの表面に開口孔を形成する手段について何ら開示されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、液晶画面の用途は、従来からのノート型パソコンに加えて、近年では据置型のパソコンやテレビ、携帯電話のディスプレイなど、様々な機器に採用されており、需要は急速に増大している。一方、液晶画面の画像もより高精細なものが求められるのに伴い、液晶画面の明るさを増して画像をより鮮明に、より見やすくすることが希求されている。このため、光反射フィルムも高輝度なバックライトが得られるものが望まれている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の光反射フィルムは、上記課題を解決するために、主として次の構成を有する。すなわち、
フィルム内部にフィルム面方向に対して扁平な独立気泡を内包し、かつ少なくとも一方の表面に開口孔を有することを特徴とする光反射フィルムである。
【0014】
また、本発明の光反射フィルムの製造方法は、上記課題を解決するために、主として次の構成を有する。すなわち、
フィルムを構成する主たる熱可塑性樹脂(a)中に該熱可塑性樹脂と非相溶の粒子(b)を分散した樹脂組成物をシート状に成形した後、該シートを延伸することを特徴とする光反射フィルムの製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の光反射フィルムは、フィルム内部にフィルム面方向に対して扁平な独立気泡を内包し、かつ少なくとも一方の表面に開口孔を有することが必要である。
【0016】
扁平気泡含有層の少なくとも一方の表面に開口孔を形成することで、優れた反射特性を保持しつつ、該反射フィルムを用いた面光源の正面輝度を飛躍的に向上させることができる。
【0017】
光反射フィルムの製造法として特に、光反射フィルムを構成する主たる樹脂成分中に気泡および各種無機・有機粒子などの光反射成分を含有させる手法があるが、これらの光反射成分を単純に増加しただけでは、該光反射フィルムを用いた面光源の正面輝度は、ほとんど向上しない。本発明者らは、このような現象について鋭意検討した結果、面光源の正面輝度は、それに用いられる光反射フィルムの光反射成分量で単純に規定されるべきものではなく、光反射フィルムの光拡散性にも支配されていることを見出した。さらに、バックライトの高輝度化を達成可能な光拡散性を得るためには、扁平気泡含有層の少なくても一つの表面に開口孔を形成することが非常に効果的であり、正面輝度が飛躍的に向上することを見出し、本発明に至った。
【0018】
ここで、扁平な独立気泡とは、気泡のフィルム面に平行な方向の長さ(L)とフィルム面に垂直な方向の長さ(S)の比である気泡扁平度(L/S)が1.5以上でありかつ、他の気泡との連結が確認されない気泡をいう。また、図1に示すように、扁平気泡中に無機、有機を問わず粒子が存在していても良い。
【0019】
気泡扁平度は光反射性の点で、2以上が好ましく、より好ましくは3以上である。気泡扁平度の大きな扁平独立気泡をフィルム内部に内包させることにより、高い光反射性および隠蔽性を得ることができる。
【0020】
また、光反射性の点から扁平気泡を含有している層(A層)における全気泡中のうち該扁平な独立気泡が占める個数割合(扁平気泡含有率)が40%以上、さらには60%以上、特に80%以上であることが好ましい。扁平気泡含有率がかかる好ましい範囲であると、所望の膜厚で充分な光反射特性や輝度特性を容易に得ることができる。
【0021】
尚、フィルム中に複数の層が存在する場合は、各々の層について上記測定を行い、内一層以上が扁平気泡含有率40%以上を達成すれば良い。
【0022】
本発明の光反射フィルム中の扁平気泡を形成するための方法としては、当該技術分野で公知の方法を用いることができる。例えば、(1)熱可塑性樹脂中(a)に該熱可塑性樹脂(a)と非相溶の粒子(b)を分散した樹脂組成物をシート状に成形した後、該シートを延伸することによってフィルム内部に微細な扁平気泡を形成させる、(2)形状が扁平である発泡性粒子を添加し、溶融押出することによってフィルム内部にて発泡させることにより、扁平気泡を形成させる、(3)形状が扁平である中空粒子を添加し、溶融押出しすることによって、扁平気泡を形成させるなどがあげられる。
【0023】
本発明においては、フィルム内部に微細な扁平気泡を多量に含むものが好ましく、特に本発明の用途においては、より光反射率が向上し、また、面光源においては正面輝度が向上するものとして、上記(1)の手法が好ましい。(1)手法は延伸中に熱可塑性樹脂(a)と非相溶の粒子の界面(b)で剥離が起こることを利用して、微細な扁平気泡を生成させる手法である。
【0024】
以下、本発明の好ましい例として、上記(1)の手法について詳述する。
【0025】
光反射フィルムを構成する主たる熱可塑性樹脂(a)としては、溶融押出しによってフィルムを形成し得る熱可塑性樹脂であれば特に限定しないが、好ましい例として、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドおよびこれらを主たる成分とする共重合体、またはこれら樹脂の混合物等を挙げることができる。特に本発明においては、可視光線域における吸収がほとんどないなどの点からポリオレフィンまたはポリエステルが好ましく、その中でも寸法安定性や機械的特性が良好である点よりポリエステルが特に好ましい。
【0026】
もちろん、これらのポリエステルはホモポリマーであってもコポリマーであってもよいが、好ましくはホモポリマーである。コポリマーである場合の共重合成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、炭素数2〜15のジオール成分を挙げることができ、これらの例としては、たとえばイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、スルホン酸塩基含有イソフタル酸、およびこれらのエステル形成性化合物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、分子量400〜2万のポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。
【0027】
これらのポリエステル中には本発明の効果を阻害しない範囲内で各種添加物、たとえば蛍光増白剤、架橋剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、有機の滑剤、有機、無機の微粒子、充填剤、耐光剤、帯電防止剤、核剤、染料、分散剤、カップリンブ剤などが添加されていてもよい。
【0028】
次に、微細な扁平気泡を形成させるために添加される、熱可塑性樹脂(a)と非相溶の粒子(b)について述べる。熱可塑性樹脂(a)と非相溶の粒子(b)はA層を構成する熱可塑性樹脂(a)と同一ではなく、かつ熱可塑性樹脂(a)中に粒子状に分散し得るものであればよく、例えば無機微粒子、有機微粒子、各種熱可塑性樹脂などが挙げられる。この熱可塑性樹脂(a)と非相溶の粒子(b)は単独でも2種以上を併用してもよい。
【0029】
このうち無機微粒子としては、それ自体を核として微細な扁平気泡を形成し得るものが好ましく、たとえば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン(アナターゼ型、ルチル型)、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫化亜鉛、塩基性炭酸鉛、雲母チタン、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、カオリンなどを用いることができる。これらの中で400〜700nmの可視光域において吸収の少ない炭酸カルシウム、硫酸バリウムを用いることが高輝度を維持できる観点から特に好ましい。有機微粒子の場合には、溶融押出によって溶融しないものが好ましく、架橋スチレン、架橋アクリルなどの架橋微粒子が特に好ましい。上記の微粒子は単独でも2種以上を併用してもよい。
【0030】
次に非相溶の粒子(b)として樹脂を用いた場合の例としては、熱可塑性樹脂(a)にポリエステル樹脂を用いる場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂などが好適に用いられる。これらは単独重合体であっても共重合体であってもよく、2種以上を併用してもよい。特にポリエステルとの臨界表面張力差が大きく、延伸後の熱処理によって変形しにくい樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、中でもポリメチルペンテンが特に好ましい。
【0031】
また、内部に扁平気泡を形成させたフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂層を共押出などの方法によって表層を積層しても良い。かかる熱可塑性樹脂層を積層することにより、表面平滑性および機械的強度をフィルムに付与することができる。
【0032】
このとき、該表面層に有機もしくは無機の微粒子、あるいは非相溶性樹脂を含有させることができる。この場合、フィルムの製造時に共押出し、少なくとも1方向に延伸することによって、表層にも扁平気泡を含有させることができる。
【0033】
本発明において、扁平気泡中の成分は一般的には空気中に存在する成分であるが、減圧状態であっても、その他の気体成分が充満していてもよく、例えば気体成分としては、酸素、窒素、水素、塩素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、アンモニア、一酸化窒素、硫化水素、亜硫酸、メタン、エチレン、ベンゼン、メチルアルコール、エチルアルコール、メチルエーテル、エチルエーテルなどが挙げられる。これらの気体成分は1種類または2種類以上混合されていてもよい。さらに孔中の圧力は大気圧以上でも以下でもよい。
【0034】
本発明の光反射フィルムはかかる扁平な独立気泡を内包し、かつ少なくとも一方の表面に開口孔を有することが必要である。開口孔とは、表面に対して開口している孔である。孔の開口径および開口形状は特に限定されないが、光拡散性および光反射性の点で、開口(円相当)径は0.1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜20μm、さらに好ましくは0.4〜10μmである。開口径が0.1μm未満であると、光干渉効果などにより光拡散性および光反射性が波長によって変化し、拡散光および反射光が色付くことがある。また、開口孔の数は特に限定されないが、1平方mm当り1000個以上であることが好ましい。より好ましくは10000個以上である。開口径がかかる好ましい範囲であると、輝度向上効果に優れる。
【0035】
また、孔の状態は特に限定されない。微細孔が積層され連続孔になっていても良い。さらに、微細孔がフィルム面方向もしくは厚み方向に二次元網目構造を形成していてもよいし、三次元網目構造となって、一方の表面から他の表面に貫通孔を形成していても良い。
【0036】
開口孔を有する層の厚さは特に限定されないが、0.3μm〜30μmであることが好ましく、さらには0.3〜10μmであることが、不必要に厚みを増大させることがないので好ましい。
【0037】
開口孔の形成方法としては、以下のようなものが挙げられる。(I)適当な樹脂を適当な溶媒に溶解させ、基材フィルムに塗布した後、前記溶媒は溶解するが、樹脂は溶解しない液中に通し、凝固させ乾燥することにより、開口孔を形成させる方法、(II)大きさの異なる適当な水分散性ポリマーとコロイダルシリカを適当な割合で混合し、その塗液を基材フィルムに塗布、乾燥することにより、開口孔を形成させる手法、(III)基材フィルムに透湿加工用ウレタン樹脂等をコーティングし、乾燥させることにより開口孔を形成させるなどの方法、(IV)二成分以上のポリマー、有機物、もしくは無機物を混合し、溶融押出しした後、溶媒抽出により、少なくとも一成分を溶解させることより、フィルム表層に開口孔を形成させる方法、(V)発泡性粒子を添加し、溶融押出することによってフィルム内部にて発泡させ気泡を破裂することにより、開口孔を形成させる方法(VI)、炭酸ガスなどの気体を注入して押出発泡させることにより、開口孔を形成させる方法(VII)、基材フィルムに不織布を貼り合わせることにより、開口孔を形成させる手法等が挙げられる。このなかでも、薄膜で高性能を達成できる点で(I)のコーティングによる方法が好ましい。
【0038】
以下、本発明の好ましい例の一つとして、(I)の手法について詳述する。樹脂は特に限定されず、単一の樹脂を用いてもよいが、樹脂材料として互いに混和性の低い樹脂を2種類以上用いることにより、多量かつ微細な開口孔を有する表面を形成することができる。互いに混和性の低い樹脂の組み合わせとしては、例えば、ポリエステルとポリウレタン、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂と酢酸セルロース等が挙げられるが、本発明の効果を最もよく発揮できるのは(A)塩化ビニル単独又は共重合物、(B)アクリロニトリルの単独又は共重合物、(C)ブチラール樹脂のうち(A)と(B)および(A)と(C)などである。上記における(A)の塩化ビニルの共重合相手としては、酢酸ビニル、マレイン酸等がよく、また、(B)のアクリロニトリルの共重合相手としては、アクリル酸エステル類、酢酸ビニル類が挙げられ、アクリルスルホン酸ナトリウム類を少量含むものでもよい。これらの組み合わせが多孔化しやすいのは、溶解パラメータが互いに大きく異なるためと考えられる。また、溶媒への溶解のしやすさ並びに塗液の安定性の面で、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とブチラール樹脂の組み合わせが特に好ましい。さらに、上記の組み合わせを主体として、塗液の安定性向上のためや、各種特性向上のために他の樹脂や有機材料、無機材料を含有させても良い。かかる手法による微細孔形成の機構の詳細は不明であるが、塗液状態では2種の樹脂は互いに混和性が低いため、量的に少ない樹脂は量的に多い樹脂中に球状に分散しているが、溶剤中における凝固に伴い、上記2種の樹脂は濃縮され、それゆえ両者間の距離は大きくなり、間隙が形成されると推測される。
【0039】
また、開口孔を有する層には本発明の効果を阻害しない範囲内で各種添加物、たとえば蛍光増白剤、架橋剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、有機の滑剤、有機、無機の微粒子、充填剤、耐光剤、帯電防止剤、核剤、染料、分散剤、カップリンブ剤などが添加されていてもよい。
【0040】
尚、光反射率向上および電磁波遮蔽性や折り曲げ加工性付与などの目的で、光線非入射面にアルミニウム、銀などを金属を蒸着や貼り合わせなどの手法によって加えてもよい。
【0041】
本発明の光反射フィルムの厚みは10〜1000μmが好ましく、20〜500μmがより好ましい。光反射フィルムの厚みがかかる好ましい範囲の場合、フィルムの平坦性を確保することが容易で、面光源として用いた際に、明るさにムラを生じにくい。一方、光反射フィルムとして液晶ディスプレイなどに用いた場合、厚みが大きくなりすぎることもない。
【0042】
また、本発明の光反射フィルムの光反射率は80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。光反射率がかかる好ましい範囲の場合、隠蔽性に優れたフィルムとなり、また光反射フィルムとして液晶ディスプレイなどに用いた場合、充分な輝度が得られる。
【0043】
次に本発明の光反射フィルムの製造方法について、その一例を説明するが、かかる例に限定されるものではない。
【0044】
主押し出し機、副押し出し機を有する複合製膜装置において、必要に応じて十分な真空乾燥を行ったA層を構成する熱可塑性樹脂(a)のチップと非相溶成分(b)を混合したものを加熱された主押し出し機に供給する。ここで、第3成分として熱可塑性樹脂(a)と非相溶成分(b)に対して相溶化作用を有する第3成分を加えることも、より多くの扁平気泡形成に有効である。また、非相溶成分の添加は、事前に均一に溶融混練して配合させて作製されたマスターチップを用いても、もしくは直接混練押し出し機に供給するなどしてもよい。また、別の熱可塑性樹脂層を積層するために、必要に応じて十分な真空乾燥を行った熱可塑性樹脂のチップおよび非相溶成分を加熱された副押し出し機に供給する。
【0045】
このようにして各押し出し機に原料を供給し、Tダイ複合口金内で主押し出し機のポリマーの片面に副押し出し機のポリマーが来るように積層(A/BもしくはA/B/A)してシート状に共押し出し成形し、溶融積層シートを得る。
【0046】
この溶融積層シートを、冷却されたドラム上で密着冷却固定化し、未延伸積層フィルムを作製する。この時、均一なフィルムを得るために静電気を印加してドラムに密着させることが望ましい。その後、必要により延伸工程、熱処理工程等を経て目的の光反射フィルムを得る。
【0047】
延伸の方法は特に問われないが、長手方向の延伸と巾方向の延伸を分離して行う逐次二軸延伸法や長手方向の延伸と巾方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸法がある。
【0048】
逐次二軸延伸の方法としては、例えば、上記の未延伸積層フィルムを加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に延伸し、次いで冷却ロール群で冷却する。
【0049】
続いて長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながら加熱されたテンターに導き、長手方向に垂直な方向(横方向あるいは幅方向)に延伸を行うことができる。
【0050】
同時二軸延伸の方法としては、例えば、上記の未延伸積層フィルムの両端をクリップで把持しながら加熱されたテンターに導き、巾方向に延伸を行うと同時にクリップ走行速度を加速していくことで、長手方向の延伸を同時に行う方法がある。この同時二軸延伸法は、フィルムが加熱されたロールに接触することがないため、フィルム表面に光学的な欠点となるキズが入らないという利点を有する。
【0051】
こうして得られた二軸延伸積層フィルムに平面安定性、寸法安定性を付与するため、引き続いてテンター内で熱処理(熱固定)を行い、均一に徐冷後、室温付近まで冷却した後、巻き取る。
【0052】
次に互いに混和性の低い2種類の樹脂を適当な溶剤に溶解する。この溶剤を先ほど巻き取ったフィルム上に公知の塗布手段により塗布する。上記の塗布を施したものを、その中に含まれる溶剤は溶解するが、樹脂は溶解しない溶剤中で凝固させる。ここで、第3成分として凝固液に可溶性の物質を加えることも多孔化に有効である。また、60℃以上、好ましくは80℃以上に熱した上記凝固液と同系統の液中に上記塗布フィルムを再度通すことにより、溶剤のさらなる離脱および樹脂の収縮が促進され、多孔化が更に進行する。凝固液を液切り後乾燥すると、扁平な独立気泡を内包するフィルム上に開口孔が形成されたシートを得ることができる。
【0053】
本発明の光反射フィルムは、光反射のために面光源に組み込まれる板状材として好ましく用いられる。具体的には、液晶画面用のエッジ型バックライトの光反射板、直下型バックライトの面光源の光反射板、および冷陰極管の周囲のランプリフレクター等に好ましく用いられる。
[特性の測定方法および評価方法]
(1)扁平気泡含有率
ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく切断する。次いで、切断した断面を走査型電子顕微鏡を用いて、適当な倍率(100〜10000倍)に拡大観察して得られた画像より、気泡成分を無作為に1000個抽出し、気泡扁平度(L/S)を求めた。ここでLは気泡の長径、Sは気泡の短径を表す。かかる気泡扁平度が1.5以上の気泡を扁平気泡とし、全気泡成分中における扁平気泡の個数割合を求め、扁平気泡含有率を算出した。同様の作業をフィルム面方向に対して30°ずつ変化させて、0〜330°まで行う。かかる手法で求めた扁平気泡含有率の最大値を該フィルムの扁平気泡含有率とする。
(2)開口孔数
フィルム表面を走査型電子顕微鏡を用いて、適当な倍率(100〜10000倍)に拡大観察して得られた画像より決定した。即ち、フィルム表面1平方mm当りに存在する開口径が0.1〜50μmである開口孔の数を計測した。
(3)光反射率
分光光度径U−3410((株)日立製作所)にφ60積分球130−063((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取りつけた状態で560nmの光反射率をフィルムの両表面について求め、最大値を該フィルムの光反射率とする。尚、標準白色板はU−3410に添付のもの((株)日立製作所)を用いた。
(4)面光源としての輝度
バックライトにフィルムを組み込み、点灯1時間後の正面輝度を測定した。使用したバックライトは、評価用に用意したノートパソコンに使用される直管一灯型エッジ式バックライト(14.1インチ)である。測定は、バックライト面を2×2の4区画に分け、点灯1時間後の輝度を求めることによって行った。輝度はトプコン社製のBM−7を用いて測定した。面内4箇所における輝度の単純平均を求め、平均輝度とした。尚、バックライトには拡散フィルムやプリズムシートなど他の光学フィルムは組み込んでいない。
【0054】
【実施例】
本発明を以下の実施例および比較例を用いて説明するが、特にこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
主押出し機に固有粘度0.63dl/g、融点256℃のポリエチレンテレフタレート(以下、PET)を89重量%、融点235℃のポリメチルペンテンを10重量%、分子量4,000のポリエチレングリコールを1重量%を混合したペレットを供給し、また、別の副押出し機にPETを85重量%、炭酸カルシウムを15重量%混合したペレットを供給し、所定の方法により両側表層に副押出し機に供給した成分が積層されるよう溶融押出しを行い、静電印加法により鏡面のキャストドラム上で冷却して3層積層シートを作製した。この積層シートを温度90℃で長手方向に3.3倍に延伸し、続いてテンターにて110℃の予熱ゾーンを通して120℃で巾方向に3.5倍に延伸した。さらに220℃にて30秒間熱処理し、延伸熱処理シートを得た。該シートの片面に下記の塗材を乾燥後の厚みが10μmになるように塗布し、20℃の水に1分間浸漬した後、85℃の熱水に10秒間浸漬し、取りだして風乾させ、総膜厚200μmの光反射フィルムを得た。塗材には塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(ダウケミカル社製、VROH)100部(以下、部は重量部を表す)をジメチルホルムアミド(以下、DMF)400部に溶解し、別に(B)ブチラール樹脂“エスラックB”(登録商標、積水化学工業(株)製)100部をDMF400部に溶解して、(A):(B)=1:1で混合したものを用いた。得られた光反射フィルムの扁平気泡含有率は98.3%、開口孔数は561000であった。また、光反射率は98.1%、バックライトに組み込んだ際の輝度は塗布層を設けた面を反射面とすると3060 cd/mと高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムおよびそれを用いた面光源は高光反射性・高輝度特性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
[実施例2]
実施例1と同様にして、3層積層シートを作製し、延伸熱処理シートを得た。該シートの片面に下記の塗材を乾燥後の厚みが100μmになるように塗布し、80℃で1分間無風乾燥した後、130で1分間有風乾燥し、総膜厚290μmの光反射フィルムを得た。塗材には、IMPRAPERM43153(脂肪族系ウレタン樹脂溶液、BAYER社製)100部中に2.5%アンモニア水を9部、IMPRANIL AV Solution(ポリアクリレート、BAYER社製)5部とトルエン27部からなる混合溶液32部、IMPRAFIX SK Solution(架橋剤、BAYER社製)1.2部、水80部を撹拌しながらそれぞれ添加し、添加終了後更に5分間撹拌したものを用いた。得られた光反射フィルムの扁平気泡含有率は98.5%、開口孔数は98500であった。また、光反射率は97.9%、バックライトに組み込んだ際の輝度は塗布層を設けた面を光反射面とすると3110cd/mと高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムおよびそれを用いた面光源は高反射性・高輝度特性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
[実施例3]
実施例1と同様にして、3層積層シートを作製し、延伸熱処理シートを得た。該シートの片面に下記の塗材を乾燥後の厚みが10μmになるように塗布し、130℃にて2分間乾燥させ総膜厚200μmの光反射フィルムを得た。塗材には平均粒子径0.20μmのアクリル系ポリマーエマルジョン(メチルメタクリレート/エチルアルコール/アクリル酸(60/35/5重量%)共重合体70部と平均粒子径0.01μmの球状コロイダルシリカ30部を水で希釈して30重量%としたものを用いた。得られた光反射フィルムの扁平気泡含有率は98.2%、開口孔数は2700000であった。また、光反射率は98.0%、バックライトに組み込んだ際の輝度は塗布層を設けた面を光反射面とすると3040cd/mと高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムおよびそれを用いた面光源は高光反射性・高輝度特性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
[実施例4]
孔径0.4mm、孔数75個の矩形口金を用いて、PET原料をメルトブロー法にて紡出し、平均繊維径8μm、目付100g/mの不織布を作製した。次いで、実施例1と同様の原料を用いて、キャストドラム上にキャストして未延伸3層積層フィルムを作製した。該未延伸3層積層フィルム上に前記の不織布を重ね、加熱ロールに供給してロール温度80℃で熱圧着し、4層積層シートを作製した。該積層シートを90℃の加熱ロール間で長手方向に3.3倍に延伸した後、テンターにて110℃の予熱ゾーンを通して120℃で巾方向に4倍に延伸した。さらに210℃にて30秒間熱処理し、総膜厚250μmの光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムの扁平気泡含有率は98.1%、開口孔数は1290であった。また、光反射率は98.4%、バックライトに組み込んだ際の輝度は不織布を積層した面を光反射面とすると3010cd/mと高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムおよびそれを用いた面光源は高光反射性・高輝度特性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
[実施例5]
塗材を両面に塗布した以外は実施例1と同様にして作製し、総膜厚210μmの光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムの扁平気泡含有率は97.6%、開口孔数は567000であった。また、光反射率は97.8%、バックライトに組み込んだ際の輝度は3010 cd/mと高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムおよびそれを用いた面光源は高反射性・高輝度特性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
[比較例1]
塗材を塗布しない以外は実施例1と同様にして、3層積層シートを作製し、延伸熱処理を行い、総膜厚190μmの積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの扁平気泡含有率は98.6%、開口孔数は620であった。光反射率は97.6%であったが、バックライトに組み込んだ際の輝度は2740cd/mと低い値を示した。
[比較例2]
主押出し機、副押出し機に共にPETのみを供給した以外は、実施例1と同様にして、延伸熱処理を行い、得られた延伸熱処理シートに塗材の塗布および風乾等を行い、該総膜厚190μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムの扁平気泡含有率は4.3%、開口孔数は559000であった。光反射率は83.0%、バックライトに組み込んだ際の輝度は2230cd/mと低い値を示した。
【0055】
【発明の効果】
本発明の光反射フィルムは、光反射特性、輝度特性などに優れており、液晶画面を照明する面光源内の光反射板やランプリフレクターとして用いた時、液晶画面を明るく照らし、液晶画像をより鮮明かつ見やすくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム面方向に対して扁平な独立気泡を内包する本発明の光反射フィルム内部の気泡形状の一例を示す模式的断面図。
【符号の説明】
1:粒子
2:偏平気泡
L:気泡のフィルム面に平行な方向の長さ
S:気泡のフィルム面に垂直な方向の長さ

Claims (4)

  1. フィルム内部にフィルム面方向に対して扁平な独立気泡を内包し、かつ少なくとも一方の表面に開口孔を有することを特徴とする光反射フィルム。
  2. 開口孔の開口径が0.1〜50μmであり、かつ該開口孔の数がフィルム表面1平方mm当り1000以上であることを特徴とする請求項1に記載の光反射フィルム。
  3. フィルムを構成する主たる樹脂成分(a)がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の光反射フィルム。
  4. フィルムを構成する主たる熱可塑性樹脂(a)中に該熱可塑性樹脂(a)と非相溶の粒子(b)を分散した樹脂組成物をシート状に成形した後、該シートを延伸することを特徴とする光反射フィルムの製造方法。
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