JP2004101109A - 畜糞乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】畜糞乾燥に要する処理時間を短縮して、乾燥効率の向上を図ることができる畜糞乾燥装置を提供する。
【解決手段】畜糞乾燥装置50の乾燥ドラム51内部に供給される高水分含有量の未乾燥畜糞Bを、乾燥ドラム51の回転力及び羽根51e…により撹拌しながら始端側から終端側に向けて移送する。未乾燥畜糞Bに含まれる水分を、乾燥ドラム51内部に供給される乾燥熱風Dにより吸着分離して乾燥する。且つ、所定の水分含有量に乾燥された小さな乾燥畜糞Aを、羽根51eの孔部51g…から放出して、乾燥ドラム51の下部内周面に落下及び流下させ、孔部51g…の通過が阻止された大きな乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bを羽根51e…により撹拌して、乾燥熱風Dを、高水分含有量の未乾燥畜糞Bに対して積極的に吹き付け、所定の水分含有量に乾燥処理する。
【選択図】 図6
【解決手段】畜糞乾燥装置50の乾燥ドラム51内部に供給される高水分含有量の未乾燥畜糞Bを、乾燥ドラム51の回転力及び羽根51e…により撹拌しながら始端側から終端側に向けて移送する。未乾燥畜糞Bに含まれる水分を、乾燥ドラム51内部に供給される乾燥熱風Dにより吸着分離して乾燥する。且つ、所定の水分含有量に乾燥された小さな乾燥畜糞Aを、羽根51eの孔部51g…から放出して、乾燥ドラム51の下部内周面に落下及び流下させ、孔部51g…の通過が阻止された大きな乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bを羽根51e…により撹拌して、乾燥熱風Dを、高水分含有量の未乾燥畜糞Bに対して積極的に吹き付け、所定の水分含有量に乾燥処理する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば鶏糞や牛糞、豚糞等の畜糞を乾燥処理する畜糞乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述の乾燥装置としては、例えばロータリーキルン内部に供給される被焼却物を、ロータリーキルンの環状内周面に突設した複数の羽根でかき上げ及び撹拌しながら、一次空気送風機及び二次空気送風のバーナーにより加熱された熱風で所定の水分含有量に乾燥及び燃焼する特許文献1のロータリーキルン式乾燥装置がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−54523号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のロータリーキルン式乾燥装置は、所定の水分含有量に乾燥及び燃焼された低水分含有量の被焼却物と、乾燥及び燃焼するまえの高水分含有量の被焼却物とを一緒に撹拌するので、低水分含有量の被焼却物にも熱風が吹き付けられるため、高水分含有量の被焼却物に対する熱風の吹き付け量が不足し、所定の水分含有量に乾燥するのに時間が掛かる。且つ、乾燥効率が悪く、燃料や電気等のエネルギー消費量が多くなるため、乾燥処理に要する経費が高くなり、処理コスト及び製造コストが高価となる問題点を有している。
【0005】
この発明は上記問題に鑑み、所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞を、羽根の放出部から放出して乾燥ドラムの下部内周面に落下させ、放出部からの放出が阻止された未乾燥畜糞を羽根により撹拌することにより、未乾燥畜糞を乾燥するのに要する処理時間が短くなり、乾燥効率の向上を図ることができる畜糞乾燥装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、回転する乾燥ドラム内部に供給される未乾燥畜糞を、該乾燥ドラム内部に供給される熱風により所定の水分含有量に乾燥処理する畜糞乾燥装置であって、上記未乾燥畜糞を撹拌する羽根を、上記乾燥ドラムの内周面に沿って円周方向及び長さ方向に対して所定間隔に隔てて複数設けると共に、上記所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞の放出が許容され、未乾燥畜糞の放出が阻止される放出部を、上記一部又は全部の羽根に設けた畜糞乾燥装置であることを特徴とする。
【0007】
上述の乾燥畜糞及び未乾燥畜糞は、例えば鶏糞や牛糞、豚糞等の畜糞で構成することができる。また、乾燥ドラムは、例えばロータリーキルン乾燥機や直接加熱式回転乾燥機に用いられる略筒状の乾燥ドラム等で構成することができる。また、放出部は、例えば孔部や網目部等で構成することができる。
【0008】
つまり、回転する乾燥ドラム内部に供給される未乾燥畜糞を、複数の羽根により撹拌しながら始端側から終端側に向けて移送すると共に、未乾燥畜糞に含まれる水分を、乾燥ドラム内部に供給される熱風により吸着分離して乾燥する。且つ、所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞を、各羽根の放出部から放出して乾燥ドラムの下部内周面に落下させ、放出部からの放出が阻止された未乾燥畜糞を各羽根により撹拌して、熱風を、高水分含有量の未乾燥畜糞に対して積極的に吹き付け、所定の水分含有量に乾燥処理する。
【0009】
実施の形態として、上記放出部を、上記羽根の内端側縁部に設けることができる。また、上記放出部を、上記羽根の外端側縁部から内端側縁部に至る平面部に設けることができる。また、上記放出部を、上記所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞の放出が許容される孔部を、上記羽根の内端側縁部に設けて構成することができる。また、上記孔部を、上記羽根の内端側縁部に沿って所定間隔に隔てて複数設けることができる。また、上記放出部を、上記所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞の放出が許容される網目部を、上記羽根の内端側縁部に設けて構成することができる。
【0010】
【作用及び効果】
この発明によれば、所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞を、各羽根の放出部から放出して乾燥ドラムの下部内周面に落下させ、放出部からの放出が阻止された未乾燥畜糞を各羽根により積極的に撹拌するので、熱風が、高水分含有量の未乾燥畜糞に対して積極的に吹き付けられ、低水分含有量の乾燥畜糞及び高水分含有量の未乾燥畜糞を一緒に撹拌するよりも、未乾燥畜糞を乾燥するのに要する処理時間が短くなり、所定の水分含有量に効率よく乾燥処理することができる。且つ、熱風を発生させるためのエネルギーの消費量が少なく、乾燥処理に要する経費を削減して、処理コスト及び製造コストの低減を図ることができる。
【0011】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0012】
図面は、家畜が排出する畜糞を所定の水分含有率に乾燥処理する畜糞処理装置に備えられた畜糞乾燥装置を示し、図1に於いて、この畜糞処理装置10は、所定の水分含有量に乾燥した乾燥畜糞Aを供給する燃料供給装置20と、未乾燥畜糞Bを乾燥するのに必要な熱風Dを供給する熱風供給装置30と、高水分含有量の未乾燥畜糞Bを後述する畜糞乾燥装置50に供給する畜糞供給装置40と、未乾燥畜糞Bを熱風Dにより乾燥処理する畜糞乾燥装置50と、乾燥済みの乾燥畜糞Aを集積する乾燥畜糞集積場60と、排ガスEを冷却及び微細な乾燥畜糞Aを分離回収する排ガス処理装置70と、排ガスEを脱臭処理する脱臭装置80とで構成される。
【0013】
上述の燃料供給装置20は、振分けコンベア21を、後述する畜糞乾燥装置50両側部に配設した熱風供給装置30のホッパー31間に架設し、供給コンベア22を、振分けコンベア21と後述する乾燥畜糞集積場60との間に斜設し、乾燥畜糞集積場60に集積された所定の水分含有量(例えば略45%以下)を有する乾燥畜糞Aを、人為的作業又は機械的作業により供給コンベア22のホッパー23に投入すると共に、2基配設した熱風供給装置30のホッパー31に対して供給コンベア22及び振分けコンベア21で振分け供給する。
【0014】
前述の熱風供給装置30は、図2にも示すように、後述する畜糞乾燥装置50の始端側両側部に接続され、未乾燥畜糞Bを所定の水分含有量に乾燥するのに必要とする温度及び風量の熱風Dを、畜糞乾燥装置50の乾燥ドラム51に供給する。また、熱風供給装置30の設置数を、例えば1基や2基以上に変更することもできる。
【0015】
且つ、乾燥畜糞A(例えば略1,750Kcal以上の熱量を有する畜糞)を拡散又は分散する拡散スクリュー32を、ホッパー31内部に対して所定間隔に隔てて複数本軸支し、その乾燥畜糞Aを、ホッパー31底部及び後述する燃焼室34側部の間に形成した出口部31a…に向けて移送する供給スクリュー33を、ホッパー31底部に沿って並列に複数本軸支し、乾燥畜糞Aが繰出される出口部31aを、燃焼室34側部に連通している。なお、スクリュー32,33は、モータ(図示省略)の駆動力で回転する。
【0016】
また、熱風供給開始前において、例えばバーナーやライター、その他の火種等の点火手段で乾燥畜糞Aに点火する。また、乾燥畜糞Aの燃焼を補助するための燃焼装置(例えばアフターバーナー)を備えることもできる。
【0017】
且つ、装置外部の新鮮な外気Hを吸気する正面から見て略台形状の吸気口35a…を、ホッパー31底部の上流側出口部31a及び燃焼室34底部の下流側排出口34bとの間に、上流側の出口部31aから下流側の排出口34bに向けて順に低くなるように複数段配列すると共に、上下段の吸気口35a…を、外気Hが異なる方向(例えば左右互い違い吹出される方向及び角度)に対して吹出される方向及び角度に向き設定している。
【0018】
一方、外気Hを送風する送風ブロワー36を、上述の吸気口35a…と連通して燃焼室34底部に複数接続し、乾燥畜糞Aが燃焼するときに発生する熱で所定温度(例えば略850℃〜略950℃)に加熱した熱風Dを送気する送気口34aを、後述する畜糞供給装置40よりも前段で、畜糞乾燥装置50を構成する乾燥ドラム51の吸気口51bと連通して燃焼室34の上部壁面に形成している。なお、熱風Dの温度、風量、風速は、畜糞乾燥装置50に供給される畜糞の種類や水分含有量等に応じて変更される。
【0019】
且つ、乾燥畜糞Aが燃焼したときに生じる畜糞焼却灰C(肥料灰)を排出する排出口34bを、最下段の吸気口35a下流側と略対応する焼却室35底部に形成し、排出口34bから排出される畜糞焼却灰Cを搬出する搬出コンベア37を熱風供給装置30下部に配設し、搬出コンベア37により排出される畜糞焼却灰Cを移送する移送コンベア38を、搬出コンベア37,37の間と、一方又は両方の熱風供給装置30側部に配設した焼却灰集積場39との間に配設している。
【0020】
前述の畜糞供給装置40は、図3にも示すように、上述の熱風供給装置30及び畜糞乾燥装置50の間に接続され、所定量の未乾燥畜糞Bが投入される第1ホッパー41及び第2ホッパー42を連設し、第2ホッパー42を、畜糞乾燥装置50を構成する乾燥ドラム51の始端側上部に接続して、例えば半日分や1日分等の処理量に相当する未乾燥畜糞Bを乾燥ドラム51に対して定量供給する。
【0021】
且つ、未乾燥畜糞Bを第2ホッパー42に供給する供給スクリュー41aを、第1ホッパー41底部に沿って並列に複数本軸支し、未乾燥畜糞Bを第2ホッパー42底部中央に向けて集合する供給スクリュー42aを、第2ホッパー42の両側斜面に沿って並列に複数本軸支し、その未乾燥畜糞Bを畜糞乾燥装置50に供給する供給スクリュー42bを、第2ホッパー42底部中央に複数本軸支し、未乾燥畜糞Bを拡散又は分散する拡散羽根体42cを、供給スクリュー42aの基端側上部に軸支して、スクリュー41a,42a,42b及び拡散羽根体42cを、モータ(図示省略)の駆動力で回転する。また、ホッパー41,42の設置数を、例えば1台や2台以上に変更することができる。
【0022】
前述の畜糞乾燥装置50は、図4にも示すように、略円筒状を有する乾燥ドラム51を略水平に軸受し、上述の第2ホッパー42底部に形成した排出口42dを、乾燥ドラム51の始端側上部に形成した供給口51aに接続し、前述の熱風供給装置30に形成した送気口34aを、乾燥ドラム51の始端側下部に形成した吸気口51bに接続し、高温の排ガスE及び熱風Dを排出する排気ブロワー52を、乾燥ドラム51の終端側上部に形成した排気口51cに接続し、所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞Aを排出する排出口51dを、乾燥ドラム51の終端側下部に形成している。また、熱風Dを、乾燥ドラム51の終端側から始端側に向けて供給することもできる。
【0023】
且つ、図5、図6、図7にも示すように、未乾燥畜糞Bを撹拌及び移送する羽根51eを、乾燥ドラム51の始端側から終端側に至る内周面に沿って円周方向及び長さ方向に対して所定間隔に隔てて多数突設すると共に、乾燥ドラム51を、モータ(図示省略)の駆動力により矢印方向に回転するとき、乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bが始端側から終端側に向けて移送される角度に傾斜している。且つ、所定の水分含有量に乾燥した小さな乾燥畜糞Aが通過許容され、未乾燥畜糞Bの通過が阻止される孔部51gを、羽根51eの内端側縁部に起立した起立片51fの垂直面に沿って長さ方向に対して所定間隔に隔てて複数設けている。
【0024】
上述の起立片51fは、羽根51eの内端側縁部を矢印方向(円周方向)に対して略直角に折り曲げて形成している。孔部51gは、羽根51eの平面部と略同等となる高さに形成している。また、上述の乾燥ドラム51全体を、未乾燥畜糞Bが始端側から終端側に向けて移送される角度に斜設することもできる。
【0025】
且つ、排出口51dから排出される乾燥畜糞Aを搬出する搬出コンベア53を乾燥ドラム51の終端側下部に配設し、搬出コンベア53により排出される乾燥畜糞Aを移送する移送コンベア54を、搬出コンベア53と、畜糞乾燥装置50側部に配設した乾燥畜糞集積場60との間に配設している。なお、乾燥ドラム51の回転速度は、畜糞の種類や水分含有量等に応じて変更される。
【0026】
前述の排ガス処理装置70は、図8にも示すように、排ガスEに含まれる大きな乾燥畜糞Aを集塵するサイクロン72a,72bを、排気ブロワー52と排気ダクト71とを介して、乾燥ドラム51の排気口51cに接続し、排ガスEを冷却及び微細な乾燥畜糞Aを分離回収する冷却分離塔74a〜74dを、排気ダクト73を介して、サイクロン72bの排気側に接続し、冷却分離塔74a,74b間及び冷却分離塔74c,74d間を排気ダクト74eで接続し、冷却分離塔74b上部及び冷却分離塔74c側部の間を排気ダクト74fで接続し、後述する脱臭装置80の排気ダクト81を冷却分離塔74d上部に接続している。
【0027】
且つ、例えば水道水や蒸留水等の冷却水Fを噴出(シャワーリング)するための噴射ノズル75を、冷却分離塔74a〜74d内部に複数設け、例えば水道の蛇口や貯水タンク、貯水槽等の冷却水Fを供給する水源76を、バルブ76a及びポンプ76b、供給路76cを介して、噴射ノズル75に接続している。
【0028】
且つ、畜糞が含まれる汚水を貯留するための汚水槽77を、排出路77aを介して、冷却分離塔74a〜74d底部に接続し、汚水槽77底部を、バルブ77bと、ポンプ77cと、返還路77dとを介して、前述した畜糞供給装置40のホッパー41又は42に接続している。
【0029】
また、サイクロン72a,72bの設置数を、例えば1基又は2基以上に変更することができる。且つ、汚水や汚泥に含まれる水分を、排ガスEの余熱で蒸発気化し、残った汚泥を未乾燥畜糞B又は乾燥畜糞Aに混入して再度乾燥処理するか、冷却水Fの代わりに、例えば冷却溶剤や冷却剤等を用いることができる。
【0030】
前述の脱臭装置80は、上述の冷却分離塔74dに接続された排気ダクト81を、送気ブロワー82を介して、処理槽83内部に形成した排ガス室84に接続し、排ガスEに含まれる臭いの成分を吸着分離する脱臭材G(例えば籾殻や鋸屑、活性炭、炭、多孔質物等)を、排ガス室84上部に形成した脱臭槽85に所定量収容し、汚水や汚泥を貯留するための貯留槽86を排ガス室84下部に形成し、排ガスEや液体の通過を許容する仕切り板87(例えばフィルター)を、排ガス室84と脱臭槽85との間に架設している。
【0031】
且つ、貯留槽86底部を、バルブ86aと、ポンプ86bと、返還路86cとを介して、前述の畜糞供給装置40のホッパー41又は42に接続している。一方、前述の水源76に接続した噴射ノズル88を、バルブ88a及びポンプ88b、供給路88cを介して、脱臭槽85に収容された脱臭材G表面と対向して所定間隔に隔てて複数配設し、その噴射ノズル88から吹出される霧状の冷却水Fを、脱臭材G全体に対して略均一に散布し、脱臭材Gを、乾燥度に応じて適度に加湿及び排ガスEの温度を所定温度に低下する。
【0032】
なお、上述の脱臭装置80は、屋内設置型の装置と屋外設置型の装置とで構成され、何れか一方の装置を独立して設置するか、両方の装置を組み合わせて設置する。例えば排ガスEを、屋内に設置し処理槽83に供給して一次処理後、その屋内に放出される排ガスEを、送気ブロワー82により次の屋内に設置した処理槽83(図1仮想線で示す)に供給して二次処理する。一次処理及び二次処理を行った後又はその処理を何回か繰り返した後、最終段階に於いて、屋外に設置された開放型の処理槽83に供給して最終処理した後、大気中に放出する。
【0033】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、畜糞処理装置10により未乾燥畜糞Bを乾燥処理及び焼却処理する方法を説明する。
【0034】
先ず、図1に示すように、乾燥畜糞集積場60に集積された乾燥畜糞Aを、燃料供給装置20の供給コンベア22及び振分けコンベア21により熱風供給装置30のホッパー31に対して振分け供給する。
【0035】
次に、図2にも示すように、ホッパー31に投入された乾燥畜糞Aを、供給スクリュー33の回転力によりホッパー31底部の出口部31a…から略均等に繰出すと共に、送風ブロワー36により送風される新鮮な外気Hを、吸気口35a…から略均等に吹出して、乾燥畜糞Aを、燃焼室34内で燃焼する乾燥畜糞Aの炎により略完全燃焼させ、例えば略850℃〜略950℃の高熱を発生させる。
【0036】
同時に、乾燥畜糞Aが燃焼するときに発生する熱で加熱した乾燥熱風Dを、送風ブロワー36の送風力及び排気ブロワー52の吸引力により乾燥ドラム51の吸気口51bから排気口51cに向けて送気する。且つ、排出口34bから排出される畜糞焼却灰Cを、搬出コンベア37及び移送コンベア38で焼却灰集積場39に搬送する。
【0037】
次に、図4、図5、図6にも示すように、畜糞供給装置40の第2ホッパー42に投入された未乾燥畜糞Bを、供給スクリュー42bの回転力により畜糞乾燥装置50の乾燥ドラム51内部に対して定量供給する。且つ、回転中の乾燥ドラム51の始端側底部に落下及び流下した未乾燥畜糞Bを、乾燥ドラム51の回転力及び羽根51e…によりかき上げ及び撹拌しながら始端側から終端側に向けて移送する。且つ、未乾燥畜糞Bを、乾燥ドラム51内部に供給される乾燥熱風Dに対して略均等に接触させて加熱すると共に、未乾燥畜糞Bに含まれる水分を乾燥熱風Dで吸着分離する。
【0038】
且つ、所定の水分含有量に乾燥された小さな乾燥畜糞Aを、羽根51eの孔部51g…から放出して乾燥ドラム51の下部内周面に落下及び流下させ、孔部51g…よりも大きな乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bを羽根51e…によりかき上げ及び撹拌して、乾燥熱風Dを、高水分含有量の未乾燥畜糞Bに対して積極的に吹き付けると共に、かき上げ及び撹拌を何回も繰り返しながら移送して所定の水分含有量に乾燥処理する。
【0039】
且つ、乾燥ドラム51の下部内周面に落下及び流下する乾燥畜糞Aを終端側の排出口51dに向けて積極的に移送すると共に、排出口51dから排出される乾燥畜糞Aを、搬出コンベア53及び移送コンベア54で乾燥畜糞集積場60に搬送する。
【0040】
一方、乾燥ドラム51の排気口51cから排出される排ガスEを、排ガス処理装置70のサイクロン72a,72bに供給し、集塵された大きな乾燥畜糞Aを畜糞供給装置40のホッパー41又は42に返還して再度乾燥処理する。
【0041】
次に、図8にも示すように、高温の排ガスEを冷却分離塔74a〜74dに供給し、噴射ノズル75から吹出される冷却水Fで冷却して、排ガスEに含まれる微細な乾燥畜糞Aを塔底部に分離降下させ、残りの排ガスEを脱臭装置80に供給する。且つ、冷却分離塔74a〜74dから排出される汚水を汚水槽77に貯留し、槽底部に溜まった汚泥を畜糞供給装置40に返還して再度乾燥処理する。
【0042】
次に、冷却分離塔74dから排出される排ガスEを、処理槽83の排ガス室84に供給し、排ガスEに含まれる臭いの成分を、脱臭槽85の脱臭材Gで吸着分離して、脱臭処理された排ガスEのみを大気中に放出する。且つ、貯留槽86底部に貯留される汚水や汚泥を、畜糞供給装置40に返還して再度乾燥処理する。
【0043】
以上のように、乾燥処理時において、所定の水分含有量に乾燥された小さな乾燥畜糞Aを、乾燥ドラム51内部に突設した羽根51eの孔部51g…から放出して乾燥ドラム51の下部内周面に落下及び流下させ、孔部51gの通過が阻止された大きな乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bを羽根51e…により積極的に撹拌するので、乾燥熱風Dが、高水分含有量の未乾燥畜糞Bに対して積極的に吹き付けられ、低水分含有量の乾燥畜糞A及び高水分含有量の未乾燥畜糞Bを一緒に撹拌するよりも、未乾燥畜糞Bを乾燥するのに要する処理時間が短くなり、所定の水分含有量に効率よく乾燥処理することができる。且つ、乾燥熱風Dを発生させるためのエネルギーの消費量が少なくなり、乾燥処理に要する経費を削減して、処理コスト及び製造コストの低減を図ることができる。
【0044】
且つ、未乾燥畜糞Bを羽根51e…により積極的にかき上げ及び撹拌して、乾燥ドラム51の下部内周面に落下及び流下する乾燥畜糞Aを終端側の排出口51dに向けて積極的に移送するので、乾燥畜糞Aを過剰乾燥させることなく、排出口51dに向けてスムースに移送することができ、所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞Aが得られる。
【0045】
図9は、所定の水分含有量に乾燥した小さな乾燥畜糞Aが通過許容される網目部51hを、羽根51eの起立片51fに形成した他の例を示し、未乾燥畜糞Bを、乾燥ドラム51の羽根51e…によりかき上げ及び撹拌するとき、所定の水分含有量に乾燥された小さな乾燥畜糞Aを、羽根51eの網目部51hから落下及び流下させ、網目部51hよりも大きな乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bを羽根51eによりかき上げ及び撹拌するので、上述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、網目部51hを起立片51fに取り付ける代わりに、起立片51fの垂直面を網目状にパンチング加工して形成してもよい。
【0046】
図10は、孔部51gを、羽根51eの外端側縁部から内端側縁部に至る平面部に複数設けた羽根51eのその他の例を示し、所定の水分含有量に乾燥された小さな乾燥畜糞Aを、羽根51e平面部の孔部51g…から落下及び流下させ、孔部51g…よりも大きな乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bを羽根51eによりかき上げ及び撹拌するので、上述上述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。且つ、孔部51gの代わりに、上述の網目部51hを設けることもできる。また、孔部51g及び網目部51hを併用又は組み合わせて設けてもよい。
【0047】
図11は、乾燥ドラム51の羽根51e…を所望する傾斜角度に可変調節自在に設けた羽根51eのその他の例を示し、羽根51eの基端側を、乾燥ドラム51の内周面に突設した枢支部51iで枢支し、羽根51eの遊端側に取り付けた固定部材51jを、乾燥ドラム51の内周面に設けた略弧状のガイド孔51kに対して移動可能に係合している。つまり、枢支部51iを中心として、羽根51eの遊端側を上下方向に回動し、羽根51e全体を所望する傾斜角度に可変調節するので、所定の水分含有量に乾燥するのに要する処理時間を、未乾燥畜糞Bの種類や水分含有量、投入量等に略応じて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】畜糞処理装置の全体構成を示す平面図。
【図2】熱風供給装置による熱風の発生方法を示す縦断側面図。
【図3】畜糞供給装置による畜糞の供給方法を示す平面図。
【図4】畜糞乾燥装置による畜糞の乾燥方法を示す縦断側面図。
【図5】乾燥ドラムによる畜糞のかき上げや及び撹拌を示す縦断正面図。
【図6】羽根の孔部から放出される畜糞の放出状態を示す拡大正面図。
【図7】孔部を内端側縁部に設けた羽根を示す斜視図。
【図8】排ガス処理装置及び脱臭装置による処理状態を示す側面図。
【図9】網目部を内端側縁部に設けた羽根の他の例を示す斜視図。
【図10】孔部を平面部に設けた羽根のその他の例を示す斜視図。
【図11】傾斜角度を可変調節自在に設けた羽根のその他の例を示す側面図。
【符号の説明】
A…乾燥畜糞
B…未乾燥畜糞
D…熱風
10…畜糞処理装置
30…熱風供給装置
40…畜糞供給装置
50…畜糞乾燥装置
51…乾燥ドラム
51e…羽根
51g…孔部
51h…網目部
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば鶏糞や牛糞、豚糞等の畜糞を乾燥処理する畜糞乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述の乾燥装置としては、例えばロータリーキルン内部に供給される被焼却物を、ロータリーキルンの環状内周面に突設した複数の羽根でかき上げ及び撹拌しながら、一次空気送風機及び二次空気送風のバーナーにより加熱された熱風で所定の水分含有量に乾燥及び燃焼する特許文献1のロータリーキルン式乾燥装置がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−54523号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のロータリーキルン式乾燥装置は、所定の水分含有量に乾燥及び燃焼された低水分含有量の被焼却物と、乾燥及び燃焼するまえの高水分含有量の被焼却物とを一緒に撹拌するので、低水分含有量の被焼却物にも熱風が吹き付けられるため、高水分含有量の被焼却物に対する熱風の吹き付け量が不足し、所定の水分含有量に乾燥するのに時間が掛かる。且つ、乾燥効率が悪く、燃料や電気等のエネルギー消費量が多くなるため、乾燥処理に要する経費が高くなり、処理コスト及び製造コストが高価となる問題点を有している。
【0005】
この発明は上記問題に鑑み、所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞を、羽根の放出部から放出して乾燥ドラムの下部内周面に落下させ、放出部からの放出が阻止された未乾燥畜糞を羽根により撹拌することにより、未乾燥畜糞を乾燥するのに要する処理時間が短くなり、乾燥効率の向上を図ることができる畜糞乾燥装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、回転する乾燥ドラム内部に供給される未乾燥畜糞を、該乾燥ドラム内部に供給される熱風により所定の水分含有量に乾燥処理する畜糞乾燥装置であって、上記未乾燥畜糞を撹拌する羽根を、上記乾燥ドラムの内周面に沿って円周方向及び長さ方向に対して所定間隔に隔てて複数設けると共に、上記所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞の放出が許容され、未乾燥畜糞の放出が阻止される放出部を、上記一部又は全部の羽根に設けた畜糞乾燥装置であることを特徴とする。
【0007】
上述の乾燥畜糞及び未乾燥畜糞は、例えば鶏糞や牛糞、豚糞等の畜糞で構成することができる。また、乾燥ドラムは、例えばロータリーキルン乾燥機や直接加熱式回転乾燥機に用いられる略筒状の乾燥ドラム等で構成することができる。また、放出部は、例えば孔部や網目部等で構成することができる。
【0008】
つまり、回転する乾燥ドラム内部に供給される未乾燥畜糞を、複数の羽根により撹拌しながら始端側から終端側に向けて移送すると共に、未乾燥畜糞に含まれる水分を、乾燥ドラム内部に供給される熱風により吸着分離して乾燥する。且つ、所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞を、各羽根の放出部から放出して乾燥ドラムの下部内周面に落下させ、放出部からの放出が阻止された未乾燥畜糞を各羽根により撹拌して、熱風を、高水分含有量の未乾燥畜糞に対して積極的に吹き付け、所定の水分含有量に乾燥処理する。
【0009】
実施の形態として、上記放出部を、上記羽根の内端側縁部に設けることができる。また、上記放出部を、上記羽根の外端側縁部から内端側縁部に至る平面部に設けることができる。また、上記放出部を、上記所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞の放出が許容される孔部を、上記羽根の内端側縁部に設けて構成することができる。また、上記孔部を、上記羽根の内端側縁部に沿って所定間隔に隔てて複数設けることができる。また、上記放出部を、上記所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞の放出が許容される網目部を、上記羽根の内端側縁部に設けて構成することができる。
【0010】
【作用及び効果】
この発明によれば、所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞を、各羽根の放出部から放出して乾燥ドラムの下部内周面に落下させ、放出部からの放出が阻止された未乾燥畜糞を各羽根により積極的に撹拌するので、熱風が、高水分含有量の未乾燥畜糞に対して積極的に吹き付けられ、低水分含有量の乾燥畜糞及び高水分含有量の未乾燥畜糞を一緒に撹拌するよりも、未乾燥畜糞を乾燥するのに要する処理時間が短くなり、所定の水分含有量に効率よく乾燥処理することができる。且つ、熱風を発生させるためのエネルギーの消費量が少なく、乾燥処理に要する経費を削減して、処理コスト及び製造コストの低減を図ることができる。
【0011】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0012】
図面は、家畜が排出する畜糞を所定の水分含有率に乾燥処理する畜糞処理装置に備えられた畜糞乾燥装置を示し、図1に於いて、この畜糞処理装置10は、所定の水分含有量に乾燥した乾燥畜糞Aを供給する燃料供給装置20と、未乾燥畜糞Bを乾燥するのに必要な熱風Dを供給する熱風供給装置30と、高水分含有量の未乾燥畜糞Bを後述する畜糞乾燥装置50に供給する畜糞供給装置40と、未乾燥畜糞Bを熱風Dにより乾燥処理する畜糞乾燥装置50と、乾燥済みの乾燥畜糞Aを集積する乾燥畜糞集積場60と、排ガスEを冷却及び微細な乾燥畜糞Aを分離回収する排ガス処理装置70と、排ガスEを脱臭処理する脱臭装置80とで構成される。
【0013】
上述の燃料供給装置20は、振分けコンベア21を、後述する畜糞乾燥装置50両側部に配設した熱風供給装置30のホッパー31間に架設し、供給コンベア22を、振分けコンベア21と後述する乾燥畜糞集積場60との間に斜設し、乾燥畜糞集積場60に集積された所定の水分含有量(例えば略45%以下)を有する乾燥畜糞Aを、人為的作業又は機械的作業により供給コンベア22のホッパー23に投入すると共に、2基配設した熱風供給装置30のホッパー31に対して供給コンベア22及び振分けコンベア21で振分け供給する。
【0014】
前述の熱風供給装置30は、図2にも示すように、後述する畜糞乾燥装置50の始端側両側部に接続され、未乾燥畜糞Bを所定の水分含有量に乾燥するのに必要とする温度及び風量の熱風Dを、畜糞乾燥装置50の乾燥ドラム51に供給する。また、熱風供給装置30の設置数を、例えば1基や2基以上に変更することもできる。
【0015】
且つ、乾燥畜糞A(例えば略1,750Kcal以上の熱量を有する畜糞)を拡散又は分散する拡散スクリュー32を、ホッパー31内部に対して所定間隔に隔てて複数本軸支し、その乾燥畜糞Aを、ホッパー31底部及び後述する燃焼室34側部の間に形成した出口部31a…に向けて移送する供給スクリュー33を、ホッパー31底部に沿って並列に複数本軸支し、乾燥畜糞Aが繰出される出口部31aを、燃焼室34側部に連通している。なお、スクリュー32,33は、モータ(図示省略)の駆動力で回転する。
【0016】
また、熱風供給開始前において、例えばバーナーやライター、その他の火種等の点火手段で乾燥畜糞Aに点火する。また、乾燥畜糞Aの燃焼を補助するための燃焼装置(例えばアフターバーナー)を備えることもできる。
【0017】
且つ、装置外部の新鮮な外気Hを吸気する正面から見て略台形状の吸気口35a…を、ホッパー31底部の上流側出口部31a及び燃焼室34底部の下流側排出口34bとの間に、上流側の出口部31aから下流側の排出口34bに向けて順に低くなるように複数段配列すると共に、上下段の吸気口35a…を、外気Hが異なる方向(例えば左右互い違い吹出される方向及び角度)に対して吹出される方向及び角度に向き設定している。
【0018】
一方、外気Hを送風する送風ブロワー36を、上述の吸気口35a…と連通して燃焼室34底部に複数接続し、乾燥畜糞Aが燃焼するときに発生する熱で所定温度(例えば略850℃〜略950℃)に加熱した熱風Dを送気する送気口34aを、後述する畜糞供給装置40よりも前段で、畜糞乾燥装置50を構成する乾燥ドラム51の吸気口51bと連通して燃焼室34の上部壁面に形成している。なお、熱風Dの温度、風量、風速は、畜糞乾燥装置50に供給される畜糞の種類や水分含有量等に応じて変更される。
【0019】
且つ、乾燥畜糞Aが燃焼したときに生じる畜糞焼却灰C(肥料灰)を排出する排出口34bを、最下段の吸気口35a下流側と略対応する焼却室35底部に形成し、排出口34bから排出される畜糞焼却灰Cを搬出する搬出コンベア37を熱風供給装置30下部に配設し、搬出コンベア37により排出される畜糞焼却灰Cを移送する移送コンベア38を、搬出コンベア37,37の間と、一方又は両方の熱風供給装置30側部に配設した焼却灰集積場39との間に配設している。
【0020】
前述の畜糞供給装置40は、図3にも示すように、上述の熱風供給装置30及び畜糞乾燥装置50の間に接続され、所定量の未乾燥畜糞Bが投入される第1ホッパー41及び第2ホッパー42を連設し、第2ホッパー42を、畜糞乾燥装置50を構成する乾燥ドラム51の始端側上部に接続して、例えば半日分や1日分等の処理量に相当する未乾燥畜糞Bを乾燥ドラム51に対して定量供給する。
【0021】
且つ、未乾燥畜糞Bを第2ホッパー42に供給する供給スクリュー41aを、第1ホッパー41底部に沿って並列に複数本軸支し、未乾燥畜糞Bを第2ホッパー42底部中央に向けて集合する供給スクリュー42aを、第2ホッパー42の両側斜面に沿って並列に複数本軸支し、その未乾燥畜糞Bを畜糞乾燥装置50に供給する供給スクリュー42bを、第2ホッパー42底部中央に複数本軸支し、未乾燥畜糞Bを拡散又は分散する拡散羽根体42cを、供給スクリュー42aの基端側上部に軸支して、スクリュー41a,42a,42b及び拡散羽根体42cを、モータ(図示省略)の駆動力で回転する。また、ホッパー41,42の設置数を、例えば1台や2台以上に変更することができる。
【0022】
前述の畜糞乾燥装置50は、図4にも示すように、略円筒状を有する乾燥ドラム51を略水平に軸受し、上述の第2ホッパー42底部に形成した排出口42dを、乾燥ドラム51の始端側上部に形成した供給口51aに接続し、前述の熱風供給装置30に形成した送気口34aを、乾燥ドラム51の始端側下部に形成した吸気口51bに接続し、高温の排ガスE及び熱風Dを排出する排気ブロワー52を、乾燥ドラム51の終端側上部に形成した排気口51cに接続し、所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞Aを排出する排出口51dを、乾燥ドラム51の終端側下部に形成している。また、熱風Dを、乾燥ドラム51の終端側から始端側に向けて供給することもできる。
【0023】
且つ、図5、図6、図7にも示すように、未乾燥畜糞Bを撹拌及び移送する羽根51eを、乾燥ドラム51の始端側から終端側に至る内周面に沿って円周方向及び長さ方向に対して所定間隔に隔てて多数突設すると共に、乾燥ドラム51を、モータ(図示省略)の駆動力により矢印方向に回転するとき、乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bが始端側から終端側に向けて移送される角度に傾斜している。且つ、所定の水分含有量に乾燥した小さな乾燥畜糞Aが通過許容され、未乾燥畜糞Bの通過が阻止される孔部51gを、羽根51eの内端側縁部に起立した起立片51fの垂直面に沿って長さ方向に対して所定間隔に隔てて複数設けている。
【0024】
上述の起立片51fは、羽根51eの内端側縁部を矢印方向(円周方向)に対して略直角に折り曲げて形成している。孔部51gは、羽根51eの平面部と略同等となる高さに形成している。また、上述の乾燥ドラム51全体を、未乾燥畜糞Bが始端側から終端側に向けて移送される角度に斜設することもできる。
【0025】
且つ、排出口51dから排出される乾燥畜糞Aを搬出する搬出コンベア53を乾燥ドラム51の終端側下部に配設し、搬出コンベア53により排出される乾燥畜糞Aを移送する移送コンベア54を、搬出コンベア53と、畜糞乾燥装置50側部に配設した乾燥畜糞集積場60との間に配設している。なお、乾燥ドラム51の回転速度は、畜糞の種類や水分含有量等に応じて変更される。
【0026】
前述の排ガス処理装置70は、図8にも示すように、排ガスEに含まれる大きな乾燥畜糞Aを集塵するサイクロン72a,72bを、排気ブロワー52と排気ダクト71とを介して、乾燥ドラム51の排気口51cに接続し、排ガスEを冷却及び微細な乾燥畜糞Aを分離回収する冷却分離塔74a〜74dを、排気ダクト73を介して、サイクロン72bの排気側に接続し、冷却分離塔74a,74b間及び冷却分離塔74c,74d間を排気ダクト74eで接続し、冷却分離塔74b上部及び冷却分離塔74c側部の間を排気ダクト74fで接続し、後述する脱臭装置80の排気ダクト81を冷却分離塔74d上部に接続している。
【0027】
且つ、例えば水道水や蒸留水等の冷却水Fを噴出(シャワーリング)するための噴射ノズル75を、冷却分離塔74a〜74d内部に複数設け、例えば水道の蛇口や貯水タンク、貯水槽等の冷却水Fを供給する水源76を、バルブ76a及びポンプ76b、供給路76cを介して、噴射ノズル75に接続している。
【0028】
且つ、畜糞が含まれる汚水を貯留するための汚水槽77を、排出路77aを介して、冷却分離塔74a〜74d底部に接続し、汚水槽77底部を、バルブ77bと、ポンプ77cと、返還路77dとを介して、前述した畜糞供給装置40のホッパー41又は42に接続している。
【0029】
また、サイクロン72a,72bの設置数を、例えば1基又は2基以上に変更することができる。且つ、汚水や汚泥に含まれる水分を、排ガスEの余熱で蒸発気化し、残った汚泥を未乾燥畜糞B又は乾燥畜糞Aに混入して再度乾燥処理するか、冷却水Fの代わりに、例えば冷却溶剤や冷却剤等を用いることができる。
【0030】
前述の脱臭装置80は、上述の冷却分離塔74dに接続された排気ダクト81を、送気ブロワー82を介して、処理槽83内部に形成した排ガス室84に接続し、排ガスEに含まれる臭いの成分を吸着分離する脱臭材G(例えば籾殻や鋸屑、活性炭、炭、多孔質物等)を、排ガス室84上部に形成した脱臭槽85に所定量収容し、汚水や汚泥を貯留するための貯留槽86を排ガス室84下部に形成し、排ガスEや液体の通過を許容する仕切り板87(例えばフィルター)を、排ガス室84と脱臭槽85との間に架設している。
【0031】
且つ、貯留槽86底部を、バルブ86aと、ポンプ86bと、返還路86cとを介して、前述の畜糞供給装置40のホッパー41又は42に接続している。一方、前述の水源76に接続した噴射ノズル88を、バルブ88a及びポンプ88b、供給路88cを介して、脱臭槽85に収容された脱臭材G表面と対向して所定間隔に隔てて複数配設し、その噴射ノズル88から吹出される霧状の冷却水Fを、脱臭材G全体に対して略均一に散布し、脱臭材Gを、乾燥度に応じて適度に加湿及び排ガスEの温度を所定温度に低下する。
【0032】
なお、上述の脱臭装置80は、屋内設置型の装置と屋外設置型の装置とで構成され、何れか一方の装置を独立して設置するか、両方の装置を組み合わせて設置する。例えば排ガスEを、屋内に設置し処理槽83に供給して一次処理後、その屋内に放出される排ガスEを、送気ブロワー82により次の屋内に設置した処理槽83(図1仮想線で示す)に供給して二次処理する。一次処理及び二次処理を行った後又はその処理を何回か繰り返した後、最終段階に於いて、屋外に設置された開放型の処理槽83に供給して最終処理した後、大気中に放出する。
【0033】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、畜糞処理装置10により未乾燥畜糞Bを乾燥処理及び焼却処理する方法を説明する。
【0034】
先ず、図1に示すように、乾燥畜糞集積場60に集積された乾燥畜糞Aを、燃料供給装置20の供給コンベア22及び振分けコンベア21により熱風供給装置30のホッパー31に対して振分け供給する。
【0035】
次に、図2にも示すように、ホッパー31に投入された乾燥畜糞Aを、供給スクリュー33の回転力によりホッパー31底部の出口部31a…から略均等に繰出すと共に、送風ブロワー36により送風される新鮮な外気Hを、吸気口35a…から略均等に吹出して、乾燥畜糞Aを、燃焼室34内で燃焼する乾燥畜糞Aの炎により略完全燃焼させ、例えば略850℃〜略950℃の高熱を発生させる。
【0036】
同時に、乾燥畜糞Aが燃焼するときに発生する熱で加熱した乾燥熱風Dを、送風ブロワー36の送風力及び排気ブロワー52の吸引力により乾燥ドラム51の吸気口51bから排気口51cに向けて送気する。且つ、排出口34bから排出される畜糞焼却灰Cを、搬出コンベア37及び移送コンベア38で焼却灰集積場39に搬送する。
【0037】
次に、図4、図5、図6にも示すように、畜糞供給装置40の第2ホッパー42に投入された未乾燥畜糞Bを、供給スクリュー42bの回転力により畜糞乾燥装置50の乾燥ドラム51内部に対して定量供給する。且つ、回転中の乾燥ドラム51の始端側底部に落下及び流下した未乾燥畜糞Bを、乾燥ドラム51の回転力及び羽根51e…によりかき上げ及び撹拌しながら始端側から終端側に向けて移送する。且つ、未乾燥畜糞Bを、乾燥ドラム51内部に供給される乾燥熱風Dに対して略均等に接触させて加熱すると共に、未乾燥畜糞Bに含まれる水分を乾燥熱風Dで吸着分離する。
【0038】
且つ、所定の水分含有量に乾燥された小さな乾燥畜糞Aを、羽根51eの孔部51g…から放出して乾燥ドラム51の下部内周面に落下及び流下させ、孔部51g…よりも大きな乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bを羽根51e…によりかき上げ及び撹拌して、乾燥熱風Dを、高水分含有量の未乾燥畜糞Bに対して積極的に吹き付けると共に、かき上げ及び撹拌を何回も繰り返しながら移送して所定の水分含有量に乾燥処理する。
【0039】
且つ、乾燥ドラム51の下部内周面に落下及び流下する乾燥畜糞Aを終端側の排出口51dに向けて積極的に移送すると共に、排出口51dから排出される乾燥畜糞Aを、搬出コンベア53及び移送コンベア54で乾燥畜糞集積場60に搬送する。
【0040】
一方、乾燥ドラム51の排気口51cから排出される排ガスEを、排ガス処理装置70のサイクロン72a,72bに供給し、集塵された大きな乾燥畜糞Aを畜糞供給装置40のホッパー41又は42に返還して再度乾燥処理する。
【0041】
次に、図8にも示すように、高温の排ガスEを冷却分離塔74a〜74dに供給し、噴射ノズル75から吹出される冷却水Fで冷却して、排ガスEに含まれる微細な乾燥畜糞Aを塔底部に分離降下させ、残りの排ガスEを脱臭装置80に供給する。且つ、冷却分離塔74a〜74dから排出される汚水を汚水槽77に貯留し、槽底部に溜まった汚泥を畜糞供給装置40に返還して再度乾燥処理する。
【0042】
次に、冷却分離塔74dから排出される排ガスEを、処理槽83の排ガス室84に供給し、排ガスEに含まれる臭いの成分を、脱臭槽85の脱臭材Gで吸着分離して、脱臭処理された排ガスEのみを大気中に放出する。且つ、貯留槽86底部に貯留される汚水や汚泥を、畜糞供給装置40に返還して再度乾燥処理する。
【0043】
以上のように、乾燥処理時において、所定の水分含有量に乾燥された小さな乾燥畜糞Aを、乾燥ドラム51内部に突設した羽根51eの孔部51g…から放出して乾燥ドラム51の下部内周面に落下及び流下させ、孔部51gの通過が阻止された大きな乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bを羽根51e…により積極的に撹拌するので、乾燥熱風Dが、高水分含有量の未乾燥畜糞Bに対して積極的に吹き付けられ、低水分含有量の乾燥畜糞A及び高水分含有量の未乾燥畜糞Bを一緒に撹拌するよりも、未乾燥畜糞Bを乾燥するのに要する処理時間が短くなり、所定の水分含有量に効率よく乾燥処理することができる。且つ、乾燥熱風Dを発生させるためのエネルギーの消費量が少なくなり、乾燥処理に要する経費を削減して、処理コスト及び製造コストの低減を図ることができる。
【0044】
且つ、未乾燥畜糞Bを羽根51e…により積極的にかき上げ及び撹拌して、乾燥ドラム51の下部内周面に落下及び流下する乾燥畜糞Aを終端側の排出口51dに向けて積極的に移送するので、乾燥畜糞Aを過剰乾燥させることなく、排出口51dに向けてスムースに移送することができ、所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞Aが得られる。
【0045】
図9は、所定の水分含有量に乾燥した小さな乾燥畜糞Aが通過許容される網目部51hを、羽根51eの起立片51fに形成した他の例を示し、未乾燥畜糞Bを、乾燥ドラム51の羽根51e…によりかき上げ及び撹拌するとき、所定の水分含有量に乾燥された小さな乾燥畜糞Aを、羽根51eの網目部51hから落下及び流下させ、網目部51hよりも大きな乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bを羽根51eによりかき上げ及び撹拌するので、上述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、網目部51hを起立片51fに取り付ける代わりに、起立片51fの垂直面を網目状にパンチング加工して形成してもよい。
【0046】
図10は、孔部51gを、羽根51eの外端側縁部から内端側縁部に至る平面部に複数設けた羽根51eのその他の例を示し、所定の水分含有量に乾燥された小さな乾燥畜糞Aを、羽根51e平面部の孔部51g…から落下及び流下させ、孔部51g…よりも大きな乾燥畜糞A及び未乾燥畜糞Bを羽根51eによりかき上げ及び撹拌するので、上述上述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。且つ、孔部51gの代わりに、上述の網目部51hを設けることもできる。また、孔部51g及び網目部51hを併用又は組み合わせて設けてもよい。
【0047】
図11は、乾燥ドラム51の羽根51e…を所望する傾斜角度に可変調節自在に設けた羽根51eのその他の例を示し、羽根51eの基端側を、乾燥ドラム51の内周面に突設した枢支部51iで枢支し、羽根51eの遊端側に取り付けた固定部材51jを、乾燥ドラム51の内周面に設けた略弧状のガイド孔51kに対して移動可能に係合している。つまり、枢支部51iを中心として、羽根51eの遊端側を上下方向に回動し、羽根51e全体を所望する傾斜角度に可変調節するので、所定の水分含有量に乾燥するのに要する処理時間を、未乾燥畜糞Bの種類や水分含有量、投入量等に略応じて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】畜糞処理装置の全体構成を示す平面図。
【図2】熱風供給装置による熱風の発生方法を示す縦断側面図。
【図3】畜糞供給装置による畜糞の供給方法を示す平面図。
【図4】畜糞乾燥装置による畜糞の乾燥方法を示す縦断側面図。
【図5】乾燥ドラムによる畜糞のかき上げや及び撹拌を示す縦断正面図。
【図6】羽根の孔部から放出される畜糞の放出状態を示す拡大正面図。
【図7】孔部を内端側縁部に設けた羽根を示す斜視図。
【図8】排ガス処理装置及び脱臭装置による処理状態を示す側面図。
【図9】網目部を内端側縁部に設けた羽根の他の例を示す斜視図。
【図10】孔部を平面部に設けた羽根のその他の例を示す斜視図。
【図11】傾斜角度を可変調節自在に設けた羽根のその他の例を示す側面図。
【符号の説明】
A…乾燥畜糞
B…未乾燥畜糞
D…熱風
10…畜糞処理装置
30…熱風供給装置
40…畜糞供給装置
50…畜糞乾燥装置
51…乾燥ドラム
51e…羽根
51g…孔部
51h…網目部
Claims (6)
- 回転する乾燥ドラム内部に供給される未乾燥畜糞を、該乾燥ドラム内部に供給される熱風により所定の水分含有量に乾燥処理する畜糞乾燥装置であって、
上記未乾燥畜糞を撹拌する羽根を、上記乾燥ドラムの内周面に沿って円周方向及び長さ方向に対して所定間隔に隔てて複数設けると共に、
上記所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞の放出が許容され、未乾燥畜糞の放出が阻止されるる放出部を、上記一部又は全部の羽根に設けた
畜糞乾燥装置。 - 上記放出部を、上記羽根の内端側縁部に設けた
請求項1記載の畜糞乾燥装置。 - 上記放出部を、上記羽根の外端側縁部から内端側縁部に至る平面部に設けた
請求項1記載の畜糞乾燥装置。 - 上記放出部を、上記所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞の放出が許容される孔部を、上記羽根の内端側縁部に設けて構成した
請求項1,2又は3記載の畜糞乾燥装置。 - 上記孔部を、上記羽根の内端側縁部に沿って所定間隔に隔てて複数設けた
請求項4記載の畜糞乾燥装置。 - 上記放出部を、上記所定の水分含有量に乾燥された乾燥畜糞の放出が許容される網目部を、上記羽根の内端側縁部に設けて構成した
請求項1,2又は3記載の畜糞乾燥装置。
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JP2014044026A (ja) * | 2012-08-28 | 2014-03-13 | Zero Techno:Kk | 焼成装置 |
-
2002
- 2002-09-11 JP JP2002265480A patent/JP2004101109A/ja active Pending
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