JP2004100664A - 排ガス浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒や還元剤を殊更に用いることなしに、燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物NOxを無害物質に化学的に変化させる排気ガスの効果的な浄化装置を提供する。
【解決手段】各種のエンジン、ボイラなどにおける排ガスの浄化装置であって、燃焼ガス中の窒素酸化物から水や燃料に溶解した液溶化物質を生成する生成手段(20,120)と、同生成手段(20,120)により生成された液溶化物質を帰還路(30)を介してエンジンの燃焼室(10)に帰還させて、燃焼室(10)で無害物質に変化させる。この帰還路(30)は燃料供給路や燃焼室(10)にちょくせつまたは間接的に接続される。前記生成手段(20,120)としては、通常の触媒を使った各種の酸化装置ないし各種のプラズマ放電装置と湿式スクラバー装置の組み合わせ、あるいは液膜式プラズマ放電装置などが使われる。
【選択図】図1
【解決手段】各種のエンジン、ボイラなどにおける排ガスの浄化装置であって、燃焼ガス中の窒素酸化物から水や燃料に溶解した液溶化物質を生成する生成手段(20,120)と、同生成手段(20,120)により生成された液溶化物質を帰還路(30)を介してエンジンの燃焼室(10)に帰還させて、燃焼室(10)で無害物質に変化させる。この帰還路(30)は燃料供給路や燃焼室(10)にちょくせつまたは間接的に接続される。前記生成手段(20,120)としては、通常の触媒を使った各種の酸化装置ないし各種のプラズマ放電装置と湿式スクラバー装置の組み合わせ、あるいは液膜式プラズマ放電装置などが使われる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種のエンジンやボイラなどの排気ガス中に含まれる窒素酸化物NOxを格別の還元剤や触媒を用いることなく燃焼系の内部で還元或いは無害化させる排気ガスの浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大気汚染の原因となることから、エンジンやボイラなどの燃焼室から排出される排気ガス中に含有する窒素酸化物NOxを大気中に放出することが厳しく制限されるようになってきている。そのため、この排気ガス中に含有する窒素酸化物NOxを大気中に放出する前に無害化する様々な技術が提案されている。
【0003】
この無害化する排ガスの浄化方法としては、特開平11−114351号公報にも記載されているように、燃焼方式、触媒方式、吸着方式の3つの方式が主流である。ここで、燃焼方式とは、排ガスを高温下におき、そこに含まれる有害成分を熱分解させ或いは燃焼させたりして、無害化するものである。また、触媒方式とは、触媒を用いて反応速度を促進させながら、還元剤などを用いて排ガス中に含まれる特定の有害な化学成分を無害な化学成分へと化学変化させるものである。また吸着方式とは、排ガス中の有害成分を吸着材に吸着させて除去する方式である。しかるに、燃焼方式により排ガスを十分に無害化するには、多大な燃焼用のエネルギーが必要であり、経済的ではない。そこで、上記触媒方式及び吸着方式による排ガスの浄化技術がいくつか提案されている。
【0004】
格別に触媒を使わずに還元剤を用いて排ガス中の脱硝方法の一例として、例えば特開平7−174015号公報によれば、ディーゼルエンジンの燃焼室に、還元剤専用の噴射ノズルを設けて、燃焼室内での高温、高圧の燃焼ガスに直接還元剤を噴射し、高温、高圧の燃焼ガス中の窒素酸化物と還元剤との化学反応を生じさせて窒素酸化物を還元し除去する。この場合、燃焼室内の燃焼ガス温度が約900℃〜1000℃となる時期に、燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物を還元するのに必要な量の還元剤を噴射ノズルより燃焼室内へ直接噴射させ、或いはディーゼル燃料油に還元剤を混ぜ合わせて燃焼室内へ噴射ノズルより噴射し、燃焼室内での高温、高圧の燃焼ガス中の窒素酸化物と還元剤とを化学反応させて窒素酸化物を還元し除去する。
【0005】
また、例えばゼオライトを含有する触媒を使って、排気ガス中のNOxを吸着し、除去する方法がある。特開2002−147227号公報によれば、この方法では浄化すべきガスの水分濃度が高い場合には、NOxの平衡吸着量が低下する。これを防止するために、従来はゼオライトにNOxを吸着させる以前に、シリカゲル等の吸湿剤でNOxを含んだガスを吸着し乾燥させ、その後ゼオライトに導くようにしている。しかるに、この技術を内燃機関の排気浄化装置に適用して、触媒が温度上昇して活性化するまで待ち、ゼオライトを含有する触媒によりNOxをトラップさせようとした場合、排気中の水分濃度が高いため、シリカゲル等の吸湿剤が再生後の状態にあったとしても、短時間で水分吸着能が飽和する。これを防止するため、シリカゲル等の吸湿剤の容量を拡大すると容量拡大のために車両搭載性が悪化し、さらに排気圧力損失の増大により燃費悪化を引き起こす等が考えられ、内燃機関の排気浄化装置にシリカゲル等の吸湿剤を用いることは非常に難しいとされている。
【0006】
そこで、上記特開2002−147227号公報に開示された内燃機関の排気装置では、ゼオライト触媒からNOxを脱離させる際(触媒温度が所定値以上の場合)、エアポンプによりゼオライト触媒の上流に2次空気を導入して、ゼオライト触媒に流入する排気ガスの酸素濃度を増加させている。一方で、エンジンの空燃比をリッチにすることで、ゼオライト触媒に流入する排気ガスの空燃比を理論空燃比以上のリッチに保ち、ゼオライト触媒上で脱離したNOxを還元処理する。こうして、NOxの脱離処理時間を短縮している。
【0007】
ところで、前述の吸着方式を併用する場合には、いずれにしても吸着材を再利用するために、吸着したガス成分を吸着材から分離する工程や、吸着材から分離された排ガスを無害化する工程、吸着材を再度吸着可能とする再生処理工程等が別途必要となり、煩雑であるばかりでなく、そのための装置や再利用工程で使用されるエネルギーが必要であるため、運用コストの高騰を招くという問題があった。特に、再利用工程おいては、高温ガスや低圧蒸気等を用いるため、装置の密封化が必要となり、装置自体のコストも高くなる。
【0008】
こうした吸着材の使用による諸々の課題を解消すべく、例えば特開平11−114351号公報のように、排ガスの有害物質を吸着した吸着材に非熱プラズマを印加することにより、吸着材に吸着された有害物質を脱着するとともに、吸着材が再生され、また、発生した非熱プラズマによって、吸着材から脱着された有害物質の分解も同時に行われる非熱プラズマによる排ガスの脱着・再生方法が提案されている。この非熱プラズマによる排気ガスの脱着・再生方法により、排ガスの脱着、吸着材の再生及び有害物質の分解を効率良く、低コストで実施することが可能となるというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとく、従来のこの種の排気ガス処理方法によれば、いずれも処理後のガスは大気中に放出され、或いは再度の処理に回される。例えば、排ガスを改めて燃焼させる燃焼方式では、上記特開平11−114351号公報にも記載されているように、排ガスを十分に無害化するためには、多大な燃焼用のエネルギーが必要となり、経済的ではないという問題があった。特に、排ガス中に含まれる有害成分の濃度は、比較的に低濃度であることが多いため、この低濃度の有害成分の分解に必要なエネルギーをより多く消費する傾向があった。
【0010】
また、上記触媒方式によれば、触媒が被毒される可能性があり、十分な信頼性を確保することが困難であるというものである。ここで、被毒とは触媒の反応において、触媒作用を著しく減少させ、又は、全く失わせる物質である触媒毒による作用をいい、原理的に常時、排ガス流に曝していなければならない触媒方式においては、排ガス流に含まれた触媒毒に触媒が接触し被毒する危険性を回避できない。触媒毒と反応する化学成分は固有の成分であるため、処理成分に応じた触媒を用いて、触媒反応に最適な温度環境とすることができれば、前記問題は回避される。しかし、例えば、効果的な触媒反応に最適な温度は、300℃以上であり、常温において効果的な触媒反応を示す場合は少ない。
【0011】
上記特開平11−114351号公報の記載によれば、実際条件として、多様な環境条件下で、多種多様の成分を含む排ガスを処理する方法としては、前記触媒反応は、柔軟性や反応性に欠け、適していないという問題があるとしている。上記特開2002−147227号公報は、この点を補完することを目的としてなされている。
【0012】
本発明は、従来必要としていた触媒や還元剤を殊更に用いることなく、燃焼室のエネルギーを利用して窒素酸化物NOxを還元又は無害物質に化学的に変化させる排気ガスの効果的な浄化装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記課題を解決するために、本件請求項1に係る発明は、各種のエンジン、ボイラなどにおける排ガスの浄化装置であって、燃焼ガス中の窒素酸化物から液溶化物質を生成する液溶化物質の生成手段と、同生成手段により生成された液溶化物質を燃焼室に帰還させる液溶化物質の帰還路とを備えてなることを特徴とする排ガス浄化装置にある。
【0014】
本発明の特徴とする点は、第1に燃焼ガス中の窒素酸化物を水や燃料に溶解しやすい物質に変えた上で、その水や燃料に溶解しやすい物質を水や燃料などの液体に溶解させる液溶化物質の生成手段を備えている点にあり、第2には液溶化物質の生成手段により生成された液溶化物質をエンジンの燃焼室に帰還させるための帰還路を備えている点にある。液溶化物質の生成手段により生成された液溶化物質は、エンジンやボイラなどの燃焼室に帰還路を通して直接導入される。燃焼室は高温化しているため、液溶化物質としてそこに導入される窒素化合物は一部が燃料や空気と化学的に反応して還元され、或いは燃焼し無害化される。無害化されなかった残りは窒素酸化物として再び燃焼室から排出され、燃焼室→液溶化物質生成手段→燃焼室と循環する間に、やはり無害化される。
【0015】
このように、燃焼室→液溶化物質生成手段→燃焼室と循環するとなると、この循環路に窒素酸化物、窒素化合物が蓄積されるとの懸念が生じる。しかるに、次の理由から、その懸念は無用である。燃焼による排気ガス中に含有される窒素化合物NOx(NO,NO2 ,N2 03 等)は水に溶解すると亜硝酸や硝酸などの水溶液、すなわち液溶化物質となる。いま、こうした亜硝酸や硝酸の水溶液を燃焼室に噴射するなどして導入すると、燃焼室内の一部、特に燃料噴霧近傍は燃料リッチで酸素不足の還元雰囲気にあるため、この噴霧されるNOxの一部は燃料により還元され、一部はNOxのまま残る。一方、燃焼室では、燃料の燃焼にともなって、吸入された空気中の窒素から通常の量のNOxが新たに生成される。還元されずに残ったNOxは、新たに生成したNOxとともに燃焼室から排気管へ排出される。
【0016】
図8はNOxの生成量と還元量の関係を示している。燃焼室から排出されるNOxは、液溶化物質生成手段に入り、液体に溶解される。燃焼室から排出されるNOxの量をc(単位はたとえば単位時間あたりのモル数)とし、このうち一定割合β(0≦β≦1)が液溶化物質生成手段において液体に溶解されて硝酸・亜硝酸の形で帰還路を通って燃焼室に還流され、残りの(1−β)cが外部に排出されるとする。燃焼室に還流された硝酸・亜硝酸量βcのうち、一定割合α(0≦α≦1)が燃焼室内で窒素に還元され、残りの(1−α)βcが再びNOxとなって排気中に排出されるとする。また燃焼室内では、空気中の窒素に由来して、通常通りNOxが新たに生成される。この生成量をc0 (単位はcと同じ)とする。還元残りのNOx量(1−α)βcと新たに生成されたNOx量c0 の和が、燃焼室から排気管を経て液溶化物質生成手段側に排出されるNOx量cとなる。すなわち、c=c0 +(1−α)βcという関係が成り立つ。これよりc=c0 /{1−(1−α)β}となる。この式から、α=0で且つβ=1でない限りは、Cは有限の値となる。つまり、燃焼室10内において僅かでも還元反応が起これば(すなわちα>0であれば)、NOx濃度(液溶化物質生成手段20に送られるNOxの量)は無限に上昇せずに一定値に落ち着くことになる。
【0017】
請求項2に係る発明は、前記液溶化物質生成手段が窒素酸化物の酸化装置を備えていることを特徴としている。排ガス中のNOxのうちNOは、酸化装置に導入されてNO2 となり、例えばこれを水に溶解させて、HNO3 (硝酸)との水溶液とし、その水溶液を例えば燃料供給路に接続する帰還路を介して導入する。この導入に際して、酸化装置により生成されたNO2 を含むNOxを水に溶解させて水溶液の状態で燃焼室に導入する場合と、この水溶液を燃料と混合して水エマルジョン燃料を作成し、これを燃焼室に導入する場合とがある。
【0018】
燃焼室に導入されるHNO3 や他のNOxは、その一部が還元されてN2 となり、或いは燃料の一部と結合して無害な窒素化合物が生成される。燃焼室に新たに導入された空気に由来して新たに生成されるNOxと、反応しないで残るNO及びNO2 は、酸化装置20に送られ、液溶化物質に変化して水溶液とされ再び燃焼室に運ばれて、これが繰り返される。この発明にあって、NOx酸化装置としては、触媒式酸化装置或いはプラズマ放電装置によってもNOの酸化が可能であることから、これらの装置を使うことが望ましい。酸化装置で得られたNO2 は、例えば水に溶解させて液溶化物質である硝酸水溶液とし、これを例えば燃料供給路に接続する帰還路を介して燃焼室に戻し、あるいは帰還路を経てから燃料と混合してエマルジョン燃料を作成したのち燃焼室に戻して、燃焼室で燃焼・還元させて無害化される。
【0019】
請求項3に係る発明は、前記液溶化物質生成手段が液膜式プラズマ装置を備えていることを特徴としている。ここで、液溶化物質生成手段として液膜式プラズマ装置を採用すると、非熱プラズマの雰囲気中に導入されたNOxが、プラズマ放電により生成されたラジカルなどによりNO2 となったり、燃料膜を形成する場合には燃料中の有機化合物と結合してニトロ化した化合物が生成されるなどして、液膜を構成している水又は液体燃料に溶解する。この液体すなわち液溶化物質を帰還路を介して燃焼室に導入すれば、燃焼室内において還元処理され無害化される。
【0020】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を図示実施例に基づいて具体的に説明する。
図1はディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置の第1実施例を示しており、液溶化物質生成手段として水膜式プラズマ放電装置20を採用している。前記水膜式プラズマ放電装置20は、例えば「ECO INDUSRY、Vol.5、No.9、2000」の第75〜81頁に記載されているとおり、従来の水膜式プラズマ集塵装置を利用することができ、電子エネルギーを周囲の分子エネルギーより極端に高い非平衡プラズマを利用して従来の化学反応場では実現できない反応を促進させ、或いは反応の高速化が期待できることから、ガス状汚染物質の除去が効果的に実現される。
【0021】
図2は、前記水膜式プラズマ放電装置20の構成例の概要が示されている。
この水膜式プラズマ放電装置20は、同軸円筒型反応容器と呼ばれるリアクタ本体21の内部中央にワイヤー状のコロナ電極22が配設されており、耐熱ガラスからなるリアクタ本体21の周りには銅からなるメッシュスクリーン状の外部電極23が設けられている。リアクタ本体21の上部開口はシリコーンゴムなどのシリコン製の素材を用いた蓋材24により閉塞され、下部開口は同様の素材からなる密閉容器25に接続されている。
【0022】
また、このリアクタ本体21の上端部には外部の水タンク26から供給される水をリアクタ本体21に導入する水導入口21aが形成され、前記リアクタ本体21の下端部及び密閉容器25の側壁部には、リアクタ本体21を流下するリアクタ本体21内で生成されたNO2 やHNO2 を溶解した水を外部に導出する水導出口21bが形成されている。一方、密閉容器25の側壁部には燃焼室10から排出されるガスをリアクタ本体21に導入するガス導入口25aが形成されており、リアクタ本体21の上端に配された蓋材24には、リアクタ本体21の内部を通過するガスを機外に排出するガス排出口24aが形成されている。
【0023】
プラズマ電極を構成するリアクタ本体21内に設置されたコロナ電極22と、リアクタ本体21の外周に設けられた外部電極23とは、それぞれ図示せぬパルス電圧源に電気的に接続されている。本実施例では、前記コロナ電極22には、直径約0.5mmのステンレス・スチールワイヤーが用いられている。また、銅製のメッシュスクリーン状の外部電極23は、リアクタ本体21の外周を被覆している。
【0024】
この水膜式プラズマ放電装置20によれば、コロナ電極22に立ち上がり時間50ns程度、繰り返し周波数200Hz程度のパルス高電圧を印加してパルスストリーマー放電によりプラズマを生成する。このプラズマは、電子が高電界により加速されガス分子を電離することにより生成される。いま、ディーゼルエンジンの燃焼室10から排出されるガス中にはNOxが混入している。この排気ガスを前記水膜式プラズマ放電装置20のガス導入口から装置内部に導入する。排気ガスがプラズマ中に入ると、先ず電離により電子が生成される。この電子によりOH、O、Nなどのラジカルが生成される。OやOHラジカルはNOの酸化反応を生起し、NO2 、HNO3 などの液溶性の物質となる。一方、Nラジカルにより還元反応も同時に進行する。すなわち、反応性の低いNOがNラジカルと結合して還元されN2 とO2 になる。
【0025】
こうして生成されるNO2 、HNO3 などの液溶性の物質は、外部の水タンク26から供給されてリアクタ本体21の内部を流下する水に溶解して液溶化物質となった状態で、帰還路30を介して運ばれ、エマルジョン製造装置41で燃料タンク40から送られる燃料に混合されてエマルジョン燃料となり、燃焼室10内に導入される。
【0026】
燃焼室10に導入されたエマルジョン燃料は、吸入され圧縮された空気と混合して爆発燃焼する。このとき、完全に分解・還元しきれないで残されたエマルジョン燃料中の窒素酸化物NOxと、導入された空気に由来して新たに生成されるNOxとが、排気ガスとなって上記水膜式プラズマ放電装置20に送り込まれ、同様の反応を経て硝酸水溶液となって燃料に混合されたのち、燃焼室10へと導入され、これが繰り返される。
【0027】
本発明では、この操作が繰り返されるとき、燃焼室から排出される全NOxの排出量cは、燃焼室内においてわずかでも還元反応が起これば、無限に増大しつづけることなく一定の値に落ち着く。ここでc=c0 /{1−(1−α)β}であり、c0 は空気中の窒素に由来して新たに生成されるNOx量、αは燃焼室に還流された硝酸・亜硝酸のうち窒素に還元される分の割合(0≦α≦1)、βは燃焼室から排出されたNOxのうち液溶化物質生成手段において液体に溶解されて硝酸・亜硝酸の形で帰還路を通って燃焼室に還流される割合(0≦β≦1)で、c0 、α、βはいずれも一定とする。そのため、上述のように排気ガスを閉ループで循環処理を行っても、系内で循環するNOx量が無限に増加することなく、有限の範囲内に収まる。
【0028】
図3は、本発明の排気ガス浄化装置の第2実施例を示しており、液溶化物質生成手段として液膜式プラズマ放電装置が使われている。ただし、この液膜式プラズマ放電装置の構造は上記水膜式プラズマ放電装置20と実質的に変わるところがないため、同一の符号を付している。この実施例では、液膜式プラズマ放電装置20に導入される液体は水タンク26から送られる水と燃料タンク40から送られる燃料を、一旦エマルジョン燃料製造装置41によって混合してエマルジョン燃料を製造し、このエマルジョン燃料をそのまま液膜式プラズマ放電装置20に導入し、リアクタ本体21の内壁に沿って流下させる。
【0029】
一方、液膜式プラズマ放電装置20には、上記第1実施例と同様に燃焼室10からNOxを含む排気ガスが導入される。この吸着されたNOxは、リアクタ本体21の内部でプラズマにより生成されるラジカルによって酸化され、反応性の高いNO2 になるとともに、燃料の一部と反応してニトロメタンやニトロエタン、或いはニトロパラフィン類などのニトロ化された有機物質を生成する。この有機物質は燃料に溶解しやすい。液膜式プラズマ放電装置20で生成されるNO2 は水に溶解して硝酸となり、有機物質は燃料に溶解して、帰還路30を通って燃焼室10に送られ、燃焼室10内でほぼ完全に燃焼する。この循環系における各種反応も上記第1実施例と同様である。
【0030】
図4は、本発明の第3実施例を示している。この実施例では、水を全く使わず、燃料の一部をそのまま液溶化物質生成手段に導入させている。本実施例によれば、前記液溶化物質生成手段として油膜式プラズマ放電装置を採用している。この油膜式プラズマ放電装置の構造及び機能は、上記第1実施例の水膜式プラズマ放電装置と実質的に変わるところがない。従って、図4においても本発明のNOx抽出装置としての油膜式プラズマ放電装置に上記水膜式プラズマ放電装置と同じ符号20を付している。
【0031】
この実施例にあっては、ディーゼルエンジンの燃焼室10から排出されるNOxを含む排気ガスを油膜式プラズマ放電装置20に送り込み、ここでプラズマ雰囲気中で酸化や還元反応などの化学反応により生成されるNO2 やニトロ化合物を抽出して、帰還路30を介して燃焼室10に戻している。なお、油膜式プラズマ放電装置20には燃焼室10で必要とされる燃料のうちの一部のみを流し、油膜式プラズマ放電装置20から出てきた燃料に、燃料タンク40から送られる燃料を加えたものを燃焼室10に送り込むようにすることもできる。油膜式プラズマ放電装置20には、燃料タンク40から燃料自体が直接導入される。この燃料は油膜式プラズマ放電装置20のリアクタ本体21の内壁面を伝わって流下する。
【0032】
この燃料の流下時に、リアクタ本体21の内部には、既述したとおり、パルスストリーマー放電によりプラズマが生成されており、燃料中に含有する各種成分がこのプラズマにより生成されたラジカルなどと反応して、NOを還元し又は酸化してN2 とNO2 を生成し、或いはこの生成されたN2 やNO2 と各種の有機化合物とが反応してニトロ化合物を生成する。そして、こうして生成されたニトロ化合物は有機溶媒に溶解しやすいため、燃料中に溶解して帰還路30を燃料と共に運ばれ、燃焼室10に送り込まれる。燃焼室10に入った前記化合物を含有する燃料は、通常の燃焼工程において燃焼する。このとき、前記ニトロ化合物も同時に分解され、無害化される。
【0033】
図5は、本発明の排気ガス浄化装置の第4実施例を示している。この実施例にあっても、上記第1実施例と同様に、液溶化物質生成手段として水膜式又は油膜式プラズマ放電装置20が使われている。ただし、この実施例では、液溶化物質生成手段で生成された液溶化物質は、燃料ないしエマルジョン燃料とともに燃焼室に送り込まれるのではない。
【0034】
すなわち、この第4実施例では水膜式又は油膜式プラズマ放電装置20を通して得られる液溶化物質を、途中で水や燃料と混合することなく、燃焼室10の室内に向けて付設した噴射ノズル50に帰還路30を介して直接燃焼室10に噴射導入するようにしている。かかる構成を採用することにより、窒素化合物が燃焼室内で最も還元・分解しやすい条件(噴射タイミング、噴射圧、噴射時間など)で液溶化物質を燃焼室内に導入できるようになる。
【0035】
図6は、本発明の第5実施例を示している。この実施例では、液溶化物質生成手段として、充填層式プラズマ放電装置120を採用している。本実施例による充填層式プラズマ放電装置120の概略構成と機能の一例を図7に示す。この充填層式プラズマ放電装置は、たとえば、『The Papers of Joint Technical Meeting on Plasma Science and Technology and Pulsed Power Technology, IEE Japan, pp.163−166, 2002 』に記載されている。充填層式プラズマ放電装置120は上部と下部の2つに分かれ、上部には同軸円筒型反応容器と呼ばれるリアクタ本体121が配されると共に、同リアクタ本体121の下部に連続して円筒形容器122が配されている。
【0036】
前記リアクタ本体121は耐熱ガラスから構成され、その外周面にはPt製のメッシュ状の外部電極121aによって被包されている。リアクタ本体121の上端開口はシリコーンゴムなどからなるブッシュ123により閉塞され、その中心部を貫通してタングステンニードルからなる内部電極124がリアクタ本体121の内部に延設されている。また、前記ブッシュ123の一部には排気ガスの導入口123aが形成されている。前記円筒形容器122の相対する一対の側壁には、直流電極125,126が対向して配されている。また、円筒形容器122の底部にはガスの排出口122aが形成されている。更に、前記リアクタ本体121及び円筒形容器122の内部には、径が2〜3mmの球状のγアルミナ27が充填されている。
【0037】
かかる構成を備えた充填層式プラズマ放電装置120の外部電極121aと内部電極との間に交流高電圧を印加すると、γアルミナ27の接触点で放電し、プラズマが発生する。このプラズマ領域にNOxガスが導入されると、リアクタ本体121の内部ではNOx中のNOの一部が還元されてN2 となり、ガス排出口122aから外部へと排出され、酸化されたNO2 はγアルミナ27に吸着され、更に酸化してNO3 − にイオン化される。このイオン化したNO3 − は円筒形容器122の対向する直流電極125,126の+側へと移動して、帰還路30を介して燃焼室10へと送られる。
【0038】
本実施例にあっては、エンジンの燃焼室10から排出されるNOxを含むガスは、図6に示すように、上記充填層式プラズマ放電装置120に導入され、同充填層式プラズマ放電装置120でプラズマにより生成されたN2 とNO2 、NO3 等の一部が外部に排出されるとともに、残るNO2 、NO3 は帰還路30を通る途中で水タンク26から送られる水に溶解させたのち、燃料タンク40から送られる燃料とエマルジョン製造装置41にて混合され、燃焼室10に入る。燃焼室10に供給されたエマルジョン燃料は燃焼行程を経て燃焼される。このときに、溶解されていた窒素化合物も同時に還元される。一部の還元されずに残ったNOxならびにこの燃焼により新たに生じたNOxを含むガスは、上記充填層式プラズマ放電装置120に送られ、同様に反応してN2 、NO2 、NO3 などを生成し、一部の処理済ガスを排気しながら密閉されたガス浄化のため循環路を循環する。
【0039】
以上のとおり、本発明によれば燃焼装置から排出されたガス中の有害成分を排気流路上で集めて、これを水や燃料に溶解させて燃焼室に帰還させ、燃焼室内で還元又は燃焼させて無害化する。これを繰り返す内部循環型のクローズドシステムを採用しているため、外部への排気ガスからは有害ガスの殆どが効率的に排除され、窒素酸化物の排出量を確実に低減できる。
【0040】
また、同時に燃料そのものを還元剤として使えるため、還元剤を別途添加することが不要となる。また燃焼室を反応器利用するため、格別に高価な貴金属類からなる触媒を備えることも不要となる。また、本発明装置による無害化工程によれば、燃焼室内では必ずしも全部のNOxが無害化されなくともよい。既述したとおり、燃焼室に帰還されたNOx類のうち、ある割合が無害化できれば十分である。
【0041】
液溶化物質手段としては、上にあげた例のほか、一般の排ガス処理で用いられる湿式のスクラバーを用いても、同様の効果が得られる。スクラバーの例としては、たとえば「大気汚染防止機器(1995年、産業調査会)」のP.108〜に示されている。本発明によれば、湿式処理で問題となる処理水(硝酸溶液)の処理を行う必要もない。
なお、本発明にあっても燃料噴射ポンプやノズルを閉塞させたり、エンジン各部に磨耗や損傷を与える恐れのある大きな粒子は、フィルタなどで除去することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置のシステム図である。
【図2】前記浄化装置に適用される水膜式プラズマ放電装置の構成例を概略で示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施例を示すディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置のシステム図である。
【図4】本発明の第3実施例を示すディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置のシステム図である。
【図5】本発明の第4実施例を示すディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置のシステム図である。
【図6】本発明の第5実施例を示すディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置のシステム図である。
【図7】前記第5実施例に適用される充填層式プラズマ放電装置の概略構成と機能の一例を示す説明図である。
【図8】本発明装置によるガス浄化システムの循環原理を示す説明図である。
【符号の説明】
10 燃焼室
20 水(油、液)膜式プラズマ放電装置(液溶化物質生成手段)
21 リアクタ本体
21a 水導入口
21b 水導出口
22 コロナ電極
23 外部電極
24 蓋材
24a ガス排出口
25 密閉容器
25a ガス導入口
26 水タンク
27 球体状γアルミナ
30 帰還路
40 燃料タンク
41 エマルジョン製造装置
50 噴射ノズル
120 充填層式プラズマ放電装置(液溶化物質生成手段)
121 リアクタ本体
121a 外部電極
122 円筒形容器
123 ブッシュ
123a 排気ガスの導入口
124 内部電極
125,126 直流電極
【発明の属する技術分野】
本発明は各種のエンジンやボイラなどの排気ガス中に含まれる窒素酸化物NOxを格別の還元剤や触媒を用いることなく燃焼系の内部で還元或いは無害化させる排気ガスの浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大気汚染の原因となることから、エンジンやボイラなどの燃焼室から排出される排気ガス中に含有する窒素酸化物NOxを大気中に放出することが厳しく制限されるようになってきている。そのため、この排気ガス中に含有する窒素酸化物NOxを大気中に放出する前に無害化する様々な技術が提案されている。
【0003】
この無害化する排ガスの浄化方法としては、特開平11−114351号公報にも記載されているように、燃焼方式、触媒方式、吸着方式の3つの方式が主流である。ここで、燃焼方式とは、排ガスを高温下におき、そこに含まれる有害成分を熱分解させ或いは燃焼させたりして、無害化するものである。また、触媒方式とは、触媒を用いて反応速度を促進させながら、還元剤などを用いて排ガス中に含まれる特定の有害な化学成分を無害な化学成分へと化学変化させるものである。また吸着方式とは、排ガス中の有害成分を吸着材に吸着させて除去する方式である。しかるに、燃焼方式により排ガスを十分に無害化するには、多大な燃焼用のエネルギーが必要であり、経済的ではない。そこで、上記触媒方式及び吸着方式による排ガスの浄化技術がいくつか提案されている。
【0004】
格別に触媒を使わずに還元剤を用いて排ガス中の脱硝方法の一例として、例えば特開平7−174015号公報によれば、ディーゼルエンジンの燃焼室に、還元剤専用の噴射ノズルを設けて、燃焼室内での高温、高圧の燃焼ガスに直接還元剤を噴射し、高温、高圧の燃焼ガス中の窒素酸化物と還元剤との化学反応を生じさせて窒素酸化物を還元し除去する。この場合、燃焼室内の燃焼ガス温度が約900℃〜1000℃となる時期に、燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物を還元するのに必要な量の還元剤を噴射ノズルより燃焼室内へ直接噴射させ、或いはディーゼル燃料油に還元剤を混ぜ合わせて燃焼室内へ噴射ノズルより噴射し、燃焼室内での高温、高圧の燃焼ガス中の窒素酸化物と還元剤とを化学反応させて窒素酸化物を還元し除去する。
【0005】
また、例えばゼオライトを含有する触媒を使って、排気ガス中のNOxを吸着し、除去する方法がある。特開2002−147227号公報によれば、この方法では浄化すべきガスの水分濃度が高い場合には、NOxの平衡吸着量が低下する。これを防止するために、従来はゼオライトにNOxを吸着させる以前に、シリカゲル等の吸湿剤でNOxを含んだガスを吸着し乾燥させ、その後ゼオライトに導くようにしている。しかるに、この技術を内燃機関の排気浄化装置に適用して、触媒が温度上昇して活性化するまで待ち、ゼオライトを含有する触媒によりNOxをトラップさせようとした場合、排気中の水分濃度が高いため、シリカゲル等の吸湿剤が再生後の状態にあったとしても、短時間で水分吸着能が飽和する。これを防止するため、シリカゲル等の吸湿剤の容量を拡大すると容量拡大のために車両搭載性が悪化し、さらに排気圧力損失の増大により燃費悪化を引き起こす等が考えられ、内燃機関の排気浄化装置にシリカゲル等の吸湿剤を用いることは非常に難しいとされている。
【0006】
そこで、上記特開2002−147227号公報に開示された内燃機関の排気装置では、ゼオライト触媒からNOxを脱離させる際(触媒温度が所定値以上の場合)、エアポンプによりゼオライト触媒の上流に2次空気を導入して、ゼオライト触媒に流入する排気ガスの酸素濃度を増加させている。一方で、エンジンの空燃比をリッチにすることで、ゼオライト触媒に流入する排気ガスの空燃比を理論空燃比以上のリッチに保ち、ゼオライト触媒上で脱離したNOxを還元処理する。こうして、NOxの脱離処理時間を短縮している。
【0007】
ところで、前述の吸着方式を併用する場合には、いずれにしても吸着材を再利用するために、吸着したガス成分を吸着材から分離する工程や、吸着材から分離された排ガスを無害化する工程、吸着材を再度吸着可能とする再生処理工程等が別途必要となり、煩雑であるばかりでなく、そのための装置や再利用工程で使用されるエネルギーが必要であるため、運用コストの高騰を招くという問題があった。特に、再利用工程おいては、高温ガスや低圧蒸気等を用いるため、装置の密封化が必要となり、装置自体のコストも高くなる。
【0008】
こうした吸着材の使用による諸々の課題を解消すべく、例えば特開平11−114351号公報のように、排ガスの有害物質を吸着した吸着材に非熱プラズマを印加することにより、吸着材に吸着された有害物質を脱着するとともに、吸着材が再生され、また、発生した非熱プラズマによって、吸着材から脱着された有害物質の分解も同時に行われる非熱プラズマによる排ガスの脱着・再生方法が提案されている。この非熱プラズマによる排気ガスの脱着・再生方法により、排ガスの脱着、吸着材の再生及び有害物質の分解を効率良く、低コストで実施することが可能となるというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとく、従来のこの種の排気ガス処理方法によれば、いずれも処理後のガスは大気中に放出され、或いは再度の処理に回される。例えば、排ガスを改めて燃焼させる燃焼方式では、上記特開平11−114351号公報にも記載されているように、排ガスを十分に無害化するためには、多大な燃焼用のエネルギーが必要となり、経済的ではないという問題があった。特に、排ガス中に含まれる有害成分の濃度は、比較的に低濃度であることが多いため、この低濃度の有害成分の分解に必要なエネルギーをより多く消費する傾向があった。
【0010】
また、上記触媒方式によれば、触媒が被毒される可能性があり、十分な信頼性を確保することが困難であるというものである。ここで、被毒とは触媒の反応において、触媒作用を著しく減少させ、又は、全く失わせる物質である触媒毒による作用をいい、原理的に常時、排ガス流に曝していなければならない触媒方式においては、排ガス流に含まれた触媒毒に触媒が接触し被毒する危険性を回避できない。触媒毒と反応する化学成分は固有の成分であるため、処理成分に応じた触媒を用いて、触媒反応に最適な温度環境とすることができれば、前記問題は回避される。しかし、例えば、効果的な触媒反応に最適な温度は、300℃以上であり、常温において効果的な触媒反応を示す場合は少ない。
【0011】
上記特開平11−114351号公報の記載によれば、実際条件として、多様な環境条件下で、多種多様の成分を含む排ガスを処理する方法としては、前記触媒反応は、柔軟性や反応性に欠け、適していないという問題があるとしている。上記特開2002−147227号公報は、この点を補完することを目的としてなされている。
【0012】
本発明は、従来必要としていた触媒や還元剤を殊更に用いることなく、燃焼室のエネルギーを利用して窒素酸化物NOxを還元又は無害物質に化学的に変化させる排気ガスの効果的な浄化装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記課題を解決するために、本件請求項1に係る発明は、各種のエンジン、ボイラなどにおける排ガスの浄化装置であって、燃焼ガス中の窒素酸化物から液溶化物質を生成する液溶化物質の生成手段と、同生成手段により生成された液溶化物質を燃焼室に帰還させる液溶化物質の帰還路とを備えてなることを特徴とする排ガス浄化装置にある。
【0014】
本発明の特徴とする点は、第1に燃焼ガス中の窒素酸化物を水や燃料に溶解しやすい物質に変えた上で、その水や燃料に溶解しやすい物質を水や燃料などの液体に溶解させる液溶化物質の生成手段を備えている点にあり、第2には液溶化物質の生成手段により生成された液溶化物質をエンジンの燃焼室に帰還させるための帰還路を備えている点にある。液溶化物質の生成手段により生成された液溶化物質は、エンジンやボイラなどの燃焼室に帰還路を通して直接導入される。燃焼室は高温化しているため、液溶化物質としてそこに導入される窒素化合物は一部が燃料や空気と化学的に反応して還元され、或いは燃焼し無害化される。無害化されなかった残りは窒素酸化物として再び燃焼室から排出され、燃焼室→液溶化物質生成手段→燃焼室と循環する間に、やはり無害化される。
【0015】
このように、燃焼室→液溶化物質生成手段→燃焼室と循環するとなると、この循環路に窒素酸化物、窒素化合物が蓄積されるとの懸念が生じる。しかるに、次の理由から、その懸念は無用である。燃焼による排気ガス中に含有される窒素化合物NOx(NO,NO2 ,N2 03 等)は水に溶解すると亜硝酸や硝酸などの水溶液、すなわち液溶化物質となる。いま、こうした亜硝酸や硝酸の水溶液を燃焼室に噴射するなどして導入すると、燃焼室内の一部、特に燃料噴霧近傍は燃料リッチで酸素不足の還元雰囲気にあるため、この噴霧されるNOxの一部は燃料により還元され、一部はNOxのまま残る。一方、燃焼室では、燃料の燃焼にともなって、吸入された空気中の窒素から通常の量のNOxが新たに生成される。還元されずに残ったNOxは、新たに生成したNOxとともに燃焼室から排気管へ排出される。
【0016】
図8はNOxの生成量と還元量の関係を示している。燃焼室から排出されるNOxは、液溶化物質生成手段に入り、液体に溶解される。燃焼室から排出されるNOxの量をc(単位はたとえば単位時間あたりのモル数)とし、このうち一定割合β(0≦β≦1)が液溶化物質生成手段において液体に溶解されて硝酸・亜硝酸の形で帰還路を通って燃焼室に還流され、残りの(1−β)cが外部に排出されるとする。燃焼室に還流された硝酸・亜硝酸量βcのうち、一定割合α(0≦α≦1)が燃焼室内で窒素に還元され、残りの(1−α)βcが再びNOxとなって排気中に排出されるとする。また燃焼室内では、空気中の窒素に由来して、通常通りNOxが新たに生成される。この生成量をc0 (単位はcと同じ)とする。還元残りのNOx量(1−α)βcと新たに生成されたNOx量c0 の和が、燃焼室から排気管を経て液溶化物質生成手段側に排出されるNOx量cとなる。すなわち、c=c0 +(1−α)βcという関係が成り立つ。これよりc=c0 /{1−(1−α)β}となる。この式から、α=0で且つβ=1でない限りは、Cは有限の値となる。つまり、燃焼室10内において僅かでも還元反応が起これば(すなわちα>0であれば)、NOx濃度(液溶化物質生成手段20に送られるNOxの量)は無限に上昇せずに一定値に落ち着くことになる。
【0017】
請求項2に係る発明は、前記液溶化物質生成手段が窒素酸化物の酸化装置を備えていることを特徴としている。排ガス中のNOxのうちNOは、酸化装置に導入されてNO2 となり、例えばこれを水に溶解させて、HNO3 (硝酸)との水溶液とし、その水溶液を例えば燃料供給路に接続する帰還路を介して導入する。この導入に際して、酸化装置により生成されたNO2 を含むNOxを水に溶解させて水溶液の状態で燃焼室に導入する場合と、この水溶液を燃料と混合して水エマルジョン燃料を作成し、これを燃焼室に導入する場合とがある。
【0018】
燃焼室に導入されるHNO3 や他のNOxは、その一部が還元されてN2 となり、或いは燃料の一部と結合して無害な窒素化合物が生成される。燃焼室に新たに導入された空気に由来して新たに生成されるNOxと、反応しないで残るNO及びNO2 は、酸化装置20に送られ、液溶化物質に変化して水溶液とされ再び燃焼室に運ばれて、これが繰り返される。この発明にあって、NOx酸化装置としては、触媒式酸化装置或いはプラズマ放電装置によってもNOの酸化が可能であることから、これらの装置を使うことが望ましい。酸化装置で得られたNO2 は、例えば水に溶解させて液溶化物質である硝酸水溶液とし、これを例えば燃料供給路に接続する帰還路を介して燃焼室に戻し、あるいは帰還路を経てから燃料と混合してエマルジョン燃料を作成したのち燃焼室に戻して、燃焼室で燃焼・還元させて無害化される。
【0019】
請求項3に係る発明は、前記液溶化物質生成手段が液膜式プラズマ装置を備えていることを特徴としている。ここで、液溶化物質生成手段として液膜式プラズマ装置を採用すると、非熱プラズマの雰囲気中に導入されたNOxが、プラズマ放電により生成されたラジカルなどによりNO2 となったり、燃料膜を形成する場合には燃料中の有機化合物と結合してニトロ化した化合物が生成されるなどして、液膜を構成している水又は液体燃料に溶解する。この液体すなわち液溶化物質を帰還路を介して燃焼室に導入すれば、燃焼室内において還元処理され無害化される。
【0020】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を図示実施例に基づいて具体的に説明する。
図1はディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置の第1実施例を示しており、液溶化物質生成手段として水膜式プラズマ放電装置20を採用している。前記水膜式プラズマ放電装置20は、例えば「ECO INDUSRY、Vol.5、No.9、2000」の第75〜81頁に記載されているとおり、従来の水膜式プラズマ集塵装置を利用することができ、電子エネルギーを周囲の分子エネルギーより極端に高い非平衡プラズマを利用して従来の化学反応場では実現できない反応を促進させ、或いは反応の高速化が期待できることから、ガス状汚染物質の除去が効果的に実現される。
【0021】
図2は、前記水膜式プラズマ放電装置20の構成例の概要が示されている。
この水膜式プラズマ放電装置20は、同軸円筒型反応容器と呼ばれるリアクタ本体21の内部中央にワイヤー状のコロナ電極22が配設されており、耐熱ガラスからなるリアクタ本体21の周りには銅からなるメッシュスクリーン状の外部電極23が設けられている。リアクタ本体21の上部開口はシリコーンゴムなどのシリコン製の素材を用いた蓋材24により閉塞され、下部開口は同様の素材からなる密閉容器25に接続されている。
【0022】
また、このリアクタ本体21の上端部には外部の水タンク26から供給される水をリアクタ本体21に導入する水導入口21aが形成され、前記リアクタ本体21の下端部及び密閉容器25の側壁部には、リアクタ本体21を流下するリアクタ本体21内で生成されたNO2 やHNO2 を溶解した水を外部に導出する水導出口21bが形成されている。一方、密閉容器25の側壁部には燃焼室10から排出されるガスをリアクタ本体21に導入するガス導入口25aが形成されており、リアクタ本体21の上端に配された蓋材24には、リアクタ本体21の内部を通過するガスを機外に排出するガス排出口24aが形成されている。
【0023】
プラズマ電極を構成するリアクタ本体21内に設置されたコロナ電極22と、リアクタ本体21の外周に設けられた外部電極23とは、それぞれ図示せぬパルス電圧源に電気的に接続されている。本実施例では、前記コロナ電極22には、直径約0.5mmのステンレス・スチールワイヤーが用いられている。また、銅製のメッシュスクリーン状の外部電極23は、リアクタ本体21の外周を被覆している。
【0024】
この水膜式プラズマ放電装置20によれば、コロナ電極22に立ち上がり時間50ns程度、繰り返し周波数200Hz程度のパルス高電圧を印加してパルスストリーマー放電によりプラズマを生成する。このプラズマは、電子が高電界により加速されガス分子を電離することにより生成される。いま、ディーゼルエンジンの燃焼室10から排出されるガス中にはNOxが混入している。この排気ガスを前記水膜式プラズマ放電装置20のガス導入口から装置内部に導入する。排気ガスがプラズマ中に入ると、先ず電離により電子が生成される。この電子によりOH、O、Nなどのラジカルが生成される。OやOHラジカルはNOの酸化反応を生起し、NO2 、HNO3 などの液溶性の物質となる。一方、Nラジカルにより還元反応も同時に進行する。すなわち、反応性の低いNOがNラジカルと結合して還元されN2 とO2 になる。
【0025】
こうして生成されるNO2 、HNO3 などの液溶性の物質は、外部の水タンク26から供給されてリアクタ本体21の内部を流下する水に溶解して液溶化物質となった状態で、帰還路30を介して運ばれ、エマルジョン製造装置41で燃料タンク40から送られる燃料に混合されてエマルジョン燃料となり、燃焼室10内に導入される。
【0026】
燃焼室10に導入されたエマルジョン燃料は、吸入され圧縮された空気と混合して爆発燃焼する。このとき、完全に分解・還元しきれないで残されたエマルジョン燃料中の窒素酸化物NOxと、導入された空気に由来して新たに生成されるNOxとが、排気ガスとなって上記水膜式プラズマ放電装置20に送り込まれ、同様の反応を経て硝酸水溶液となって燃料に混合されたのち、燃焼室10へと導入され、これが繰り返される。
【0027】
本発明では、この操作が繰り返されるとき、燃焼室から排出される全NOxの排出量cは、燃焼室内においてわずかでも還元反応が起これば、無限に増大しつづけることなく一定の値に落ち着く。ここでc=c0 /{1−(1−α)β}であり、c0 は空気中の窒素に由来して新たに生成されるNOx量、αは燃焼室に還流された硝酸・亜硝酸のうち窒素に還元される分の割合(0≦α≦1)、βは燃焼室から排出されたNOxのうち液溶化物質生成手段において液体に溶解されて硝酸・亜硝酸の形で帰還路を通って燃焼室に還流される割合(0≦β≦1)で、c0 、α、βはいずれも一定とする。そのため、上述のように排気ガスを閉ループで循環処理を行っても、系内で循環するNOx量が無限に増加することなく、有限の範囲内に収まる。
【0028】
図3は、本発明の排気ガス浄化装置の第2実施例を示しており、液溶化物質生成手段として液膜式プラズマ放電装置が使われている。ただし、この液膜式プラズマ放電装置の構造は上記水膜式プラズマ放電装置20と実質的に変わるところがないため、同一の符号を付している。この実施例では、液膜式プラズマ放電装置20に導入される液体は水タンク26から送られる水と燃料タンク40から送られる燃料を、一旦エマルジョン燃料製造装置41によって混合してエマルジョン燃料を製造し、このエマルジョン燃料をそのまま液膜式プラズマ放電装置20に導入し、リアクタ本体21の内壁に沿って流下させる。
【0029】
一方、液膜式プラズマ放電装置20には、上記第1実施例と同様に燃焼室10からNOxを含む排気ガスが導入される。この吸着されたNOxは、リアクタ本体21の内部でプラズマにより生成されるラジカルによって酸化され、反応性の高いNO2 になるとともに、燃料の一部と反応してニトロメタンやニトロエタン、或いはニトロパラフィン類などのニトロ化された有機物質を生成する。この有機物質は燃料に溶解しやすい。液膜式プラズマ放電装置20で生成されるNO2 は水に溶解して硝酸となり、有機物質は燃料に溶解して、帰還路30を通って燃焼室10に送られ、燃焼室10内でほぼ完全に燃焼する。この循環系における各種反応も上記第1実施例と同様である。
【0030】
図4は、本発明の第3実施例を示している。この実施例では、水を全く使わず、燃料の一部をそのまま液溶化物質生成手段に導入させている。本実施例によれば、前記液溶化物質生成手段として油膜式プラズマ放電装置を採用している。この油膜式プラズマ放電装置の構造及び機能は、上記第1実施例の水膜式プラズマ放電装置と実質的に変わるところがない。従って、図4においても本発明のNOx抽出装置としての油膜式プラズマ放電装置に上記水膜式プラズマ放電装置と同じ符号20を付している。
【0031】
この実施例にあっては、ディーゼルエンジンの燃焼室10から排出されるNOxを含む排気ガスを油膜式プラズマ放電装置20に送り込み、ここでプラズマ雰囲気中で酸化や還元反応などの化学反応により生成されるNO2 やニトロ化合物を抽出して、帰還路30を介して燃焼室10に戻している。なお、油膜式プラズマ放電装置20には燃焼室10で必要とされる燃料のうちの一部のみを流し、油膜式プラズマ放電装置20から出てきた燃料に、燃料タンク40から送られる燃料を加えたものを燃焼室10に送り込むようにすることもできる。油膜式プラズマ放電装置20には、燃料タンク40から燃料自体が直接導入される。この燃料は油膜式プラズマ放電装置20のリアクタ本体21の内壁面を伝わって流下する。
【0032】
この燃料の流下時に、リアクタ本体21の内部には、既述したとおり、パルスストリーマー放電によりプラズマが生成されており、燃料中に含有する各種成分がこのプラズマにより生成されたラジカルなどと反応して、NOを還元し又は酸化してN2 とNO2 を生成し、或いはこの生成されたN2 やNO2 と各種の有機化合物とが反応してニトロ化合物を生成する。そして、こうして生成されたニトロ化合物は有機溶媒に溶解しやすいため、燃料中に溶解して帰還路30を燃料と共に運ばれ、燃焼室10に送り込まれる。燃焼室10に入った前記化合物を含有する燃料は、通常の燃焼工程において燃焼する。このとき、前記ニトロ化合物も同時に分解され、無害化される。
【0033】
図5は、本発明の排気ガス浄化装置の第4実施例を示している。この実施例にあっても、上記第1実施例と同様に、液溶化物質生成手段として水膜式又は油膜式プラズマ放電装置20が使われている。ただし、この実施例では、液溶化物質生成手段で生成された液溶化物質は、燃料ないしエマルジョン燃料とともに燃焼室に送り込まれるのではない。
【0034】
すなわち、この第4実施例では水膜式又は油膜式プラズマ放電装置20を通して得られる液溶化物質を、途中で水や燃料と混合することなく、燃焼室10の室内に向けて付設した噴射ノズル50に帰還路30を介して直接燃焼室10に噴射導入するようにしている。かかる構成を採用することにより、窒素化合物が燃焼室内で最も還元・分解しやすい条件(噴射タイミング、噴射圧、噴射時間など)で液溶化物質を燃焼室内に導入できるようになる。
【0035】
図6は、本発明の第5実施例を示している。この実施例では、液溶化物質生成手段として、充填層式プラズマ放電装置120を採用している。本実施例による充填層式プラズマ放電装置120の概略構成と機能の一例を図7に示す。この充填層式プラズマ放電装置は、たとえば、『The Papers of Joint Technical Meeting on Plasma Science and Technology and Pulsed Power Technology, IEE Japan, pp.163−166, 2002 』に記載されている。充填層式プラズマ放電装置120は上部と下部の2つに分かれ、上部には同軸円筒型反応容器と呼ばれるリアクタ本体121が配されると共に、同リアクタ本体121の下部に連続して円筒形容器122が配されている。
【0036】
前記リアクタ本体121は耐熱ガラスから構成され、その外周面にはPt製のメッシュ状の外部電極121aによって被包されている。リアクタ本体121の上端開口はシリコーンゴムなどからなるブッシュ123により閉塞され、その中心部を貫通してタングステンニードルからなる内部電極124がリアクタ本体121の内部に延設されている。また、前記ブッシュ123の一部には排気ガスの導入口123aが形成されている。前記円筒形容器122の相対する一対の側壁には、直流電極125,126が対向して配されている。また、円筒形容器122の底部にはガスの排出口122aが形成されている。更に、前記リアクタ本体121及び円筒形容器122の内部には、径が2〜3mmの球状のγアルミナ27が充填されている。
【0037】
かかる構成を備えた充填層式プラズマ放電装置120の外部電極121aと内部電極との間に交流高電圧を印加すると、γアルミナ27の接触点で放電し、プラズマが発生する。このプラズマ領域にNOxガスが導入されると、リアクタ本体121の内部ではNOx中のNOの一部が還元されてN2 となり、ガス排出口122aから外部へと排出され、酸化されたNO2 はγアルミナ27に吸着され、更に酸化してNO3 − にイオン化される。このイオン化したNO3 − は円筒形容器122の対向する直流電極125,126の+側へと移動して、帰還路30を介して燃焼室10へと送られる。
【0038】
本実施例にあっては、エンジンの燃焼室10から排出されるNOxを含むガスは、図6に示すように、上記充填層式プラズマ放電装置120に導入され、同充填層式プラズマ放電装置120でプラズマにより生成されたN2 とNO2 、NO3 等の一部が外部に排出されるとともに、残るNO2 、NO3 は帰還路30を通る途中で水タンク26から送られる水に溶解させたのち、燃料タンク40から送られる燃料とエマルジョン製造装置41にて混合され、燃焼室10に入る。燃焼室10に供給されたエマルジョン燃料は燃焼行程を経て燃焼される。このときに、溶解されていた窒素化合物も同時に還元される。一部の還元されずに残ったNOxならびにこの燃焼により新たに生じたNOxを含むガスは、上記充填層式プラズマ放電装置120に送られ、同様に反応してN2 、NO2 、NO3 などを生成し、一部の処理済ガスを排気しながら密閉されたガス浄化のため循環路を循環する。
【0039】
以上のとおり、本発明によれば燃焼装置から排出されたガス中の有害成分を排気流路上で集めて、これを水や燃料に溶解させて燃焼室に帰還させ、燃焼室内で還元又は燃焼させて無害化する。これを繰り返す内部循環型のクローズドシステムを採用しているため、外部への排気ガスからは有害ガスの殆どが効率的に排除され、窒素酸化物の排出量を確実に低減できる。
【0040】
また、同時に燃料そのものを還元剤として使えるため、還元剤を別途添加することが不要となる。また燃焼室を反応器利用するため、格別に高価な貴金属類からなる触媒を備えることも不要となる。また、本発明装置による無害化工程によれば、燃焼室内では必ずしも全部のNOxが無害化されなくともよい。既述したとおり、燃焼室に帰還されたNOx類のうち、ある割合が無害化できれば十分である。
【0041】
液溶化物質手段としては、上にあげた例のほか、一般の排ガス処理で用いられる湿式のスクラバーを用いても、同様の効果が得られる。スクラバーの例としては、たとえば「大気汚染防止機器(1995年、産業調査会)」のP.108〜に示されている。本発明によれば、湿式処理で問題となる処理水(硝酸溶液)の処理を行う必要もない。
なお、本発明にあっても燃料噴射ポンプやノズルを閉塞させたり、エンジン各部に磨耗や損傷を与える恐れのある大きな粒子は、フィルタなどで除去することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置のシステム図である。
【図2】前記浄化装置に適用される水膜式プラズマ放電装置の構成例を概略で示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施例を示すディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置のシステム図である。
【図4】本発明の第3実施例を示すディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置のシステム図である。
【図5】本発明の第4実施例を示すディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置のシステム図である。
【図6】本発明の第5実施例を示すディーゼルエンジンにおける排気ガスの浄化装置のシステム図である。
【図7】前記第5実施例に適用される充填層式プラズマ放電装置の概略構成と機能の一例を示す説明図である。
【図8】本発明装置によるガス浄化システムの循環原理を示す説明図である。
【符号の説明】
10 燃焼室
20 水(油、液)膜式プラズマ放電装置(液溶化物質生成手段)
21 リアクタ本体
21a 水導入口
21b 水導出口
22 コロナ電極
23 外部電極
24 蓋材
24a ガス排出口
25 密閉容器
25a ガス導入口
26 水タンク
27 球体状γアルミナ
30 帰還路
40 燃料タンク
41 エマルジョン製造装置
50 噴射ノズル
120 充填層式プラズマ放電装置(液溶化物質生成手段)
121 リアクタ本体
121a 外部電極
122 円筒形容器
123 ブッシュ
123a 排気ガスの導入口
124 内部電極
125,126 直流電極
Claims (3)
- 各種のエンジン、ボイラなどにおける排ガスの浄化装置であって、
燃焼ガス中の窒素酸化物から液溶化物質を生成する液溶化物質の生成手段と、
同生成手段により生成された液溶化物質を燃焼室に帰還させる液溶化物質の帰還路と、
を備えてなることを特徴とする排ガス浄化装置。 - 前記液溶化物質の生成手段が窒素酸化物の酸化装置を備えてなる請求項1記載の排ガス浄化装置。
- 前記液溶化物質の生成手段が液膜式プラズマ放電装置を備えてなる請求項1記載の排ガス浄化装置。
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JP2012016677A (ja) * | 2010-07-09 | 2012-01-26 | Edwards Kk | 除害装置及び除害システム |
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-
2002
- 2002-09-13 JP JP2002267604A patent/JP2004100664A/ja active Pending
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