JP2004100494A - 内燃機関の吸気系故障検知装置および該吸気系故障検知装置を備えた内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の吸気系の漏れ異常を高精度に検出することである。
【解決手段】スロットルバルブ23よりも下流で吸気系20に漏れ異常があったときに、スロットルバルブ23の開度が小さい方が、漏れ箇所からの空気の流入が多い分、吸気圧を上昇せしめることに着目し、漏れ異常を検知するECU51を、大きさの異なる複数のスロットルバルブ23の開度において吸気圧を検出し、検出値と、開度に対応して設定され、漏れ異常のない正常なときの吸気圧の基準値との偏差が低開度側ほど大きいか否かを判定し、肯定判断されたことを条件として、漏れ異常と判定するように設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】スロットルバルブ23よりも下流で吸気系20に漏れ異常があったときに、スロットルバルブ23の開度が小さい方が、漏れ箇所からの空気の流入が多い分、吸気圧を上昇せしめることに着目し、漏れ異常を検知するECU51を、大きさの異なる複数のスロットルバルブ23の開度において吸気圧を検出し、検出値と、開度に対応して設定され、漏れ異常のない正常なときの吸気圧の基準値との偏差が低開度側ほど大きいか否かを判定し、肯定判断されたことを条件として、漏れ異常と判定するように設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気系故障検知装置および内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関は吸気系から取り込まれる空気と、インジェクタから噴射される燃料とから得られる燃焼ガスによりトルクを発生する。空気の吸入状態は、運転者のトルク調整の意思表示であるスロットルバルブにより調整される。トルク調整は内燃機関の負荷に応じてなされるから、スロットルバルブの開度(以下、適宜、スロットル開度という)は内燃機関の負荷のパラメータである。そして、空気の吸入状態に応じて、また、燃焼ガスの空燃比が適正値となるように、燃料の噴射量が制御され、トルクが調整される。燃料噴射の制御システムとして、吸入状態のパラメータとしてスロットルバルブよりも下流で吸気圧を検出し、吸気圧とエンジン回転数とに応じて基本の燃料噴射量を求める方式(以下、適宜、D−Jシステムという)や、吸入状態のパラメータとしてスロットルバルブよりも上流で吸気量を検出し、吸気量とエンジン回転数とに応じて基本の燃料噴射量を求める方式(以下、適宜、L−Jシステムという)がある。
【0003】
ところで、吸気系において、スロットルバルブよりも下流の吸気マニホールド等の配管の外れや破損により、吸気系の気密性が損なわれる(以下、適宜、かかる不具合を「漏れ異常」という)と、次の問題が生じるおそれがある。すなわち、スロットルバルブよりも下流は負圧になっているから、漏れ異常の発生箇所から吸気系内に空気が流入して、気筒内に取り込まれる空気の量が、スロットルバルブを通過する空気の量よりも多くなる。D−Jシステムの内燃機関では、漏れ異常の発生箇所から吸気系内に空気が流入することで、正常時に比して吸気圧が上昇する。これに伴って燃料噴射量も必要以上に過剰になり、エンジン回転数が過昇して、減速しにくい状況に陥ったり、アイドリング回転数が高くなって、燃費の悪化や排気ガスの増大を招く。また、L−Jシステムの内燃機関では、漏れ異常の発生箇所から流入する空気の分、検出吸気量に対して実際に気筒内に取り込まれる空気の量が過剰となることで、オーバーリーンの状態に陥るおそれがあり、エンジンストール、ドライバビリティの不良、排気ガスの清浄度の低下を招く。
【0004】
このため、吸気系の漏れ異常を検出して、運転者に警告したりフェールセーフの措置を取る必要がある。
【0005】
例えば、D−Jシステムのものにおいて、スロットル開度に応じて上限吸気圧を設定し、検出吸気圧が上限吸気圧を越えたらスロットルバルブ下流で吸気系に漏れ異常が発生したと判ずるようにしている。そして、フェールセーフの措置として燃料カット回転数を引き下げている(第1従来例、特許文献1参照)。
【0006】
また、D−Jシステムのものにおいて、スロットル開度とエンジン回転数とに応じて吸気圧を想定し、検出吸気圧が想定吸気圧を越えたら燃料噴射量を所定値に固定している(第2従来例、特許文献2参照)。
【0007】
また、L−Jシステムのものにおいて、スロットル開度とエンジン回転数とに基づいて基本の吸気量を推定し、実際の吸気量が基本吸気量よりも少なく、かつ、空燃比による燃料噴射量の補正が噴射量を増大するものである場合に、吸気系に漏れ異常が発生したと判ずるようにしている(第3従来例、特許文献3参照)。
【0008】
前記各従来例では、吸気圧や吸気量を検出するセンサが用いられるが、このセンサが特性の変動で検出値が実際の値に対して誤差を生じる場合には、漏れ異常が生じている吸気系を誤って正常と判断するおそれがあり、また逆もあり得る。
【0009】
エンジン始動時等の過渡状態等において、漏れ異常か否かを判定するしきい値を、正常と判定される許容幅が広くなるように修正して、誤判定を回避するものがある(第4従来例、特許文献4参照)が、真に異常があった場合に、見逃すおそれもあり、必ずしも十分ではない。
【0010】
【特許文献1】
特許第2518317号明細書
【特許文献2】
特公平3−16498号公報
【特許文献3】
特開平5−280403号公報
【特許文献4】
特許第2901612号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、吸気系の漏れ異常を適正に判断することのできる内燃機関の吸気系故障検知装置および該吸気系故障検知装置を備えた内燃機関を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関に設けられ、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を、前記吸入状態の検出値と、前記漏れ異常がない正常時の吸入状態の基準値とを比較することにより検知する内燃機関の吸気系故障検知装置において、
前記空気吸入状態の検出値と、内燃機関の負荷に対応して設定された基準値とを比較し、大きさの異なる複数の負荷における前記検出値と前記基準値との差が、低負荷側ほど大きいか否かを判定する負荷依存性判定手段とを具備し、
該負荷依存性判定手段で肯定判断されたことを条件として前記漏れ異常と判定する。
【0013】
負荷が小さいほどスロットル開度が小さくなるから、正常時には吸気圧の負圧傾向が強い。したがって、スロットルバルブよりも下流で吸気系に漏れ異常が発生した場合には、負荷が小さいほど、吸入状態である吸気圧が正常時に比してより大気圧側の圧力値をとる。このため負荷が小さいほど、吸入状態である吸気圧と正常時との差が大きくなる。また、スロットルバルブよりも下流の吸気圧が高くなることで、スロットルバルブを挟んだ気圧差が小さくなり、スロットルバルブを通過する空気の量が減少する。したがって、スロットルバルブよりも下流で吸気系に漏れ異常が発生した場合には、負荷が小さいほど、吸入状態である吸気量が正常時に比してより少なくなる。
【0014】
一方、吸入状態の検出用のセンサでは特性の経時変化や劣化により、通常、0点の変動のようなオフセット変動が認められる。この場合には、みかけ上正常時に対して大きく変化していても、その変化幅が負荷の大きさが違っても殆ど差が生じない。大きさの異なる複数の負荷における前記検出値と前記基準値との差が低負荷側ほど大きい、という条件が成立することを条件として、吸気系の漏れ異常と判定することで、吸気系の漏れ異常を高い確度で検知することができる。
【0015】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記吸入状態の検出値と前記基準値とを比較して、検出値が基準値から所定範囲を越えて外れているか否かを判定する変化幅判定手段を具備せしめ、
該変化幅判定手段で肯定判断されたことを条件として前記漏れ異常と判定する。
【0016】
吸気系の漏れ異常と判定されるために、検出値が基準値から所定範囲を越えて外れている、ことを条件に付加することで、さらに、高い確度で吸気系の漏れ異常を検知することができる。
【0017】
請求項3記載の発明では、請求項2の発明の構成において、前記変化幅判定手段で肯定判断されると、前記吸入状態の検出値が異常値をとった旨の情報をセットし、前記負荷依存性判定手段が肯定判断されると、前記情報をリセットする情報設定手段を具備せしめる。
【0018】
漏れ異常とは判定されないで吸入状態の検出値が基準値から所定範囲を越えて外れている場合には、吸入状態の検出用のセンサの異常とみなせる。この場合には、異常値情報がセットされるから、サービス工場等でセンサ異常を速やかに知ることができる。
【0019】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の発明の構成において、前記基準値を内燃機関の運転状態に基づいて補正する補正手段を具備せしめる。
【0020】
漏れ異常がない正常な場合の負荷−吸入状態の特性は、運転状態によって変化する。したがって、吸入状態の基準値を運転状態に基づいて補正して、運転状態の変化に基準値を追随させることで、より正確な漏れ異常の検知が実現できる。
【0021】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし4の発明の構成において、内燃機関の運転状態が予め設定した所定の状態にあるか否かを判定し、否定判断されると、漏れ異常の判定を禁止する漏れ異常判定禁止手段を具備せしめる。
【0022】
運転状態によって吸気系の漏れ異常の検知がなされるときを制限することで、より正確な漏れ異常の検知が実現できる。
【0023】
請求項6記載の発明では、請求項5の発明の構成において、前記所定の状態は、定常状態とみなせる運転状態とする。
【0024】
過渡状態では応答遅れ等で内燃機関が不安定な状態にあるから、内燃機関が安定している定常状態に、吸気系の漏れ異常の検知を限定することで、吸気系の漏れ異常の検知の確度をさらに高めることができる。
【0025】
請求項7記載の発明では、請求項1ないし6の発明の構成において、前記漏れ異常と判定されると、その旨の警報を発する警報手段を具備せしめる。
【0026】
吸気系に漏れ異常が発生したことについて、運転者に注意を喚起することができる。
【0027】
請求項8記載の発明では、請求項1ないし7いずれか記載の内燃機関の吸気系故障検知装置を備えた内燃機関において、前記吸入状態が、前記スロットルバルブよりも下流の吸気圧をパラメータとしており、
前記漏れ異常と判定されると、内燃機関の出力を低下せしめる出力低下手段を具備せしめる。
【0028】
吸気圧に基づいて燃料の噴射量を演算するD−Jシステムでは、前記のごとく吸気系の漏れ異常の発生箇所からの空気の流入により吸気圧の検出値が上昇することで、運転者の意思以上に燃料が噴射されて出力が増大するおそれがある。出力低下手段が、この出力増大作用を相殺する方向に作用するので、過剰に回転数が上昇するなどの不具合を回避することができる。
【0029】
請求項9記載の発明では、請求項8の発明の構成において、前記出力低下手段を、低負荷側ほど出力低下量が大きくなるように設定する。
【0030】
低負荷側ほど運転者のトルクの要求度が低いから、漏れ異常による出力増大作用の影響は大きい。低負荷側ほど出力低下量が大きくなるように設定することで、より適正な出力調整が実現できる。
【0031】
請求項10記載の発明では、請求項8または9の発明の構成において、前記出力低下手段を、前記吸入状態の検出値と前記基準値との差が大きいほど出力低下量が大きくなるように設定する。
【0032】
吸気系の漏れ異常の程度が大きいほど、吸入状態の検出値とその基準値との差が大きくなるから、この差に応じて出力低下量が与えられるようにすることで、より適正な出力調整が実現できる。
【0033】
請求項11記載の発明では、請求項8ないし10の発明の構成において、前記出力低下手段を、車速が遅いほど出力低下量が大きくなるように設定する。
【0034】
車速が遅いほど運転者のトルクの要求度が低いから、漏れ異常による出力増大作用の影響は大きい。低負荷側ほど出力低下量が大きくなるように設定することで、より適正な出力調整が実現できる。
【0035】
請求項12記載の発明では、請求項1ないし7いずれか記載の内燃機関の吸気系故障検知装置を備えた内燃機関において、
前記吸入状態が、前記スロットルバルブよりも上流の吸気量をパラメータとしており、
前記漏れ異常と判定されると、燃料の噴射量を増量せしめる噴射量増量手段を具備せしめる。
【0036】
吸気量に基づいて燃料の噴射量を演算するL−Jシステムでは、前記のごとく吸気系の漏れ異常の発生箇所からの空気の流入により吸気量の検出値以上に空気が気筒内に取り込まれることで、極端なリーン化等を引き起こすおそれがある。噴射量増量手段が、このリーン化作用を相殺する方向に作用するので、エンジンストールや排気エミッションの悪化等の不具合を良好に回避することができる。
【0037】
請求項13記載の発明では、請求項12の発明の構成において、前記噴射量増量手段を、低負荷側ほど噴射量の増量幅が大きくなるように設定する。
【0038】
低負荷側ほど漏れ異常の発生箇所から流入する空気の割合が高くなるから、漏れ異常による出力の急減作用の影響も大きなものとなる。低負荷側ほど噴射量増量幅が大きくなるように設定することで、より適正な出力調整、空燃比調整が実現できる。
【0039】
請求項14記載の発明では、請求項12または13の発明の構成において、前記噴射量増量手段を、前記吸入状態の検出値と前記基準値との差が大きいほど増量幅が大きくなるように設定する。
【0040】
吸気系の漏れ異常の程度が大きいほど、吸入状態の検出値とその基準値との差が大きくなるから、この差に応じて出力低下量が与えられるようにすることで、より適正な出力調整および空燃比調整が実現できる。
【0041】
請求項15記載の発明では、請求項12ないし14の発明の構成において、前記漏れ異常と判定されると、内燃機関の出力を低下せしめる出力低下手段を具備せしめる。
【0042】
漏れ異常発生時に燃料の噴射量が増量される分、増大傾向を示すので、これを相殺することができる。
【0043】
請求項16記載の発明では、請求項8ないし15の発明の構成において、前記漏れ異常と判定されると、吸気系の漏れ異常以外の異常の検知を禁止するその他異常検知禁止手段を具備せしめる。
【0044】
漏れ異常の発生により内燃機関の各部分が影響を受けるから、運転状態のパラメータの中には適正値から外れて、これを当該パラメータに対応する内燃機関の部分の異常と判断することがあり得る。漏れ異常の場合に、吸気系の漏れ異常以外の異常の検知を禁止することで、かる誤判断を回避することができる。
【0045】
請求項17記載の発明では、吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関に設けられ、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を検知する内燃機関の吸気系故障検知装置において、
前記吸入状態の検出値と、内燃機関の負荷に対応して設定された基準値とを比較して、検出値が基準値から所定範囲を越えて外れているか否かを判定する変化幅判定手段と、
該変化幅判定手段で肯定判断されると、前記吸入状態の検出値が異常値をとった旨の情報をセットし、前記漏れ異常と最終判断されると、前記情報をリセットする情報設定手段とを具備せしめる。
【0046】
漏れ異常とは判定されないで吸入状態の検出値が基準値から所定範囲を越えて外れている場合には、吸入状態の検出用のセンサの異常とみなせる。この場合には、異常値情報がセットされるから、サービス工場等でセンサ異常を速やかに知ることができる。
【0047】
請求項18記載の発明では、吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関であって、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を検知する吸気系故障検知装置を有する内燃機関において、前記漏れ異常と判定されると、燃料の噴射量を増量せしめる噴射量増量手段を具備せしめる。
【0048】
吸気量に基づいて燃料の噴射量を演算するL−Jシステムでは、吸気系の漏れ異常の発生箇所からの空気の流入により吸気量の検出値以上に空気が気筒内に取り込まれることで、極端なリーン化等を引き起こすおそれがある。噴射量増量手段が、このリーン化作用を相殺する方向に作用するので、エンジンストールや排気エミッションの悪化等の不具合を良好に回避することができる。
【0049】
請求項19記載の発明では、吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関であって、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を検知する吸気系故障検知装置を有する内燃機関において、前記漏れ異常と判定されると、吸気系の漏れ異常以外の異常の検知を禁止するその他異常検知禁止手段を具備せしめる。
【0050】
吸気系に漏れ異常が発生したことについて、運転者に注意を喚起することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明を適用した第1実施形態になる内燃機関の構成を示す。本実施形態は例えば自動車のエンジンに適用したものである。内燃機関の本体(以下、適宜、エンジン本体という)10のシリンダブロック11に形成されたシリンダ101内には図中上下方向に往復動するピストン13が配設されており、ピストン13はコンロッド14を介して図示しないクランク軸に連結されている。シリンダブロック11には上方からシリンダヘッド12が覆着されてシリンダ101を上端で閉鎖しており、ピストン13の上方に燃焼室102が形成される。燃焼室102は吸気バルブ17の開時に吸気ポート15と連通し、排気バルブ18の開時に排気ポート16と連通する。吸気バルブ17および排気バルブ18はVVT部43により開閉弁のタイミングが調整自在である。
【0052】
吸気ポート15は吸気系20の吸気管21と、排気ポート16は排気管31と、それぞれ連通している。
【0053】
吸気系20には、エアクリーナ22の下流に図示しないアクセルペダルと連動するスロットルバルブ23が設けられており、吸気量を調整している。また、スロットルバルブ23位置で吸気系20を迂回して流れる吸気量を調整するISCバルブ24が設けてある。また、排気管31を流通する排気ガスの一部を吸気管21に再循環せしめるEGRバルブ42が設けてある。
【0054】
また吸気管21にはインジェクタ41が取り付けられて、吸気ポート15に燃料を噴射する。
【0055】
前記インジェクタ41等は、内燃機関の各部を制御する電子制御ユニット(ECU)51により制御される。ECU51は、基本的な構成は一般的な内燃機関用のもので、アクセルペダルの踏み込み量等に応じて所定の燃料噴射量、噴射時期等を与えるようにする。
【0056】
ECU51における制御に供する運転条件は種々のセンサ類により与えられるが、ECU51に検出信号が入力するセンサとして、スロットルバルブ23の開度(以下、スロットル開度という)を検出するスロットル開度センサ61、スロットル開度センサ61の下流で吸気圧である吸気管21内の圧力(以下、吸気管圧力という)を検出する圧力センサ62、前記吸気の温度を検出する温度センサ63、冷却水の温度を検出する温度センサ64、クランク角度を検出するとともに、これよりエンジン回転数が知られるクランク角センサ65、排気ガスのO2 濃度に基づいて燃焼室102内の空燃比を検出する空燃比センサ66が設けてある。また、大気圧を検出する気圧センサ67、車速を検出する車速センサ68等、一般的な内燃機関が備えるセンサ類を備えている。
【0057】
これらのセンサ類の検出信号に基づいて種々の制御がなされる。燃料噴射量の制御もその1つである。燃料噴射量の制御では、吸気管圧力とエンジ回転数に基づいて、ECU51のROMに記憶されたマップにしたがい基本の燃料噴射量が演算される。
【0058】
次に図2のフローチャートにより、ECU61における制御内容とともに、本内燃機関の作動について説明する。先ず、ステップS1010では、検出されたスロットル開度が所定の領域内か否かを判定する。領域はスロットル開度の小側、中間、大側の3つあり(以下、適宜、領域1、領域2、領域3という)。スロットル開度をαとして、α11≦α≦α12であれば領域1とし、α21≦α≦α22であれば領域2とし、α31≦α≦α32であれば領域3とする。ここで領域の境界を示すα11等はα11<α12<α21<α22<α31<α32であり、予めROMに記憶される。
【0059】
ステップS1010が肯定判断されるとステップS1020に進み、否定判断されるとステップS1010に戻る。
【0060】
ステップS1020は漏れ異常判定禁止手段としての処理で、運転状態が定常状態にあって安定しているか否かを判定する。図3に運転状態が安定しているか否かを判定するフローを示す。ステップS2010では、大気圧が予め設定したP0 以上か否かを判定する。大気圧が低い極端な高地での吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。肯定判断されるとステップS2020に進む。
【0061】
ステップS2020ではVVT部43がオフか否かを判定する。VVT部43のオンにより吸気量が変動する状態での吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。肯定判断されるとステップS2030に進む。
【0062】
ステップS2030ではEGRバルブ42がオフか否かを判定する。EGRバルブ42のオンにより吸気量の正確さが損なわれる状態での吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。肯定判断されるとステップS2040に進む。
【0063】
ステップS2040では冷却水温が予め設定したTw0以上か否かを判定する。冷却水温が低い冷間始動直後での吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。肯定判断されるとステップS2050に進む。
【0064】
ステップS2050では吸気温がTa1からTa2までの範囲内か否かを判定する。これは、極寒雰囲気や高温雰囲気での吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。Ta1,Ta2はいずれも予め設定した値である。肯定判断されるとステップS2060に進む。
【0065】
ステップS2060ではエンジン回転数がN1 からN2 までの範囲内か否かを判定する。これは、アイドリング状態のように回転数が低く吸気量自体が少ないときや、回転数がきわめて高く吸気量が相当多くなるときの吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。N1 ,N2 はいずれも予め設定した値である。肯定判断されるとステップS2070に進み、運転状態は安定と判じてその旨のフラグを立て、リターンに抜ける。
【0066】
前記ステップS2010〜S2060のいずれかで否定判断されると、ステップS2080に進み、運転状態は不安定と判じて前記フラグをリセットし、リターンに抜ける。
【0067】
前記ステップS1020において運転状態が安定しているか否かは前記フラグに基づいて判定され、ステップS1020が肯定判断されると、ステップS1030に進む。
【0068】
ステップS1030は変化幅判定手段としての処理で、検出吸気管圧力から基準吸気管圧力を減じてこれを圧力偏差ΔPi (i=1,2,3)とし、圧力偏差ΔPi が、所定値ΔPthよりも大きいか否かを判定する。圧力偏差ΔPi はスロットル開度の領域1〜領域3に1対1に対応しており、ΔP1 は領域1における圧力偏差を、ΔP2 は領域2における圧力偏差を、ΔP3 は領域3における圧力偏差を示す。ステップS1010でスロットル開度から特定された領域について圧力偏差ΔPi が算出、判定されることになる。
【0069】
基準吸気管圧力は、吸気系20に漏れ異常がなく、内燃機関の運転状態が定常状態のときの吸気管圧力であり、予め実験等により測定され、スロットル開度の前記領域ごとに与えられる。定常状態の運転状態のうちで、所定の運転状態のときの圧力値が、ベースとなる基準の吸気管圧力(以下、適宜、ベース記憶値という)として、ROMに記憶されており、これに運転状態に応じた補正を加えることで、当該運転状態に対応した、吸気系20に漏れ異常がないときの基準吸気管圧力が得られるようになっている。
【0070】
基準吸気管圧力の補正は、前記ベース記憶値にVVT補正値、ERG補正値、大気圧補正値、ISC補正値および水温補正値を乗じて演算される。
【0071】
VVT補正値は、図4(A)に示すように、VVT進角量に対して単調増加するように設定される。VVT進角量に応じて実吸気管圧力が増大するためである。この補正値はまたエンジン回転数に対する依存性をも有する。
【0072】
大気圧補正値は、図4(B)に示すように、大気圧に対して単調増加するように設定される。大気圧すなわち車内に導入される空気の気圧の大きさに応じて実吸気管圧力が増大するためである。この補正値はまたエンジン回転数に対する依存性をも有する。
【0073】
水温補正値は、図4(C)に示すように、水温に対して単調減少するように設定される。水温が低いほどアイドリング回転数が高く設定され、実吸気管圧力が増大するからである。この補正値はまたエンジン回転数に対する依存性をも有する。
【0074】
EGR補正値は、図4(D)に示すように、EGR量に対して単調増加するように設定される。EGR量に応じて実吸気管圧力が増大するためである。この補正値はまたエンジン回転数に対する依存性をも有する。
【0075】
ISC補正値は、図4(E)に示すように、ISC開度に対して単調増加するように設定される。ISC開度が大きいほど実吸気管圧力が高くなるためである。この補正値はまたエンジン回転数に対する依存性をも有する。
【0076】
圧力偏差ΔPi が所定値ΔPthよりも大きくステップS1030が肯定判断されると、ステップS1040に進み、否定判断されるとステップS1010に戻る。
【0077】
ステップS1040は後述するステップS1110とともに異常値情報設定手段としての処理で、異常値情報であるセンサ異常情報をバックアップRAMに記憶する。異常値情報は、例えば、「1」とする。
【0078】
ステップS1050では、ステップS1030で算出された圧力偏差ΔPi を更新し、ステップS1060で、領域1〜領域3のすべてについて圧力偏差ΔPi が更新されたか否かを判定する。肯定判断されるとステップS1070に進み、否定判断されるとステップS1010に戻る。
【0079】
ステップS1070は、負荷依存性判定手段としての処理で、3つの領域1〜領域3の圧力偏差ΔPi について、ΔP1 >ΔP2 >ΔP3 が成り立つか否かを判定する。肯定判断されるとステップS1080に進み、否定判断されるとステップS1010に戻る。
【0080】
さて、吸気系20に漏れがなく、吸気管21の圧力センサ62の検出特性に異常がなければ、実吸気管圧力は、基準吸気管圧力に対してセンサ特性等に応じた検出誤差等の範囲内で一致する。一方、スロットルバルブ23よりも下流で吸気系20に漏れ異常が生じた場合には次のようになる。漏れ異常発生箇所から空気が流入する分、スロットルバルブ23よりも下流で圧力センサ62により検出される吸気管圧力は上昇する。
【0081】
スロットル開度が小さいと、空気流のスロットルバルブ23位置の通路断面積が絞られることで、スロットルバルブ23よりも下流の吸気管圧力の負圧傾向が強いため、吸気系20に漏れ異常が発生した時には、漏れ異常発生箇所から流入する吸気量も多く、それによる圧力上昇分もより大きい。図5はスロットル開度と吸気管圧力との関係を示すものである。破線が漏れ異常のない正常時のもの(基準運転特性)であり、前記基準吸気管圧力はこの上にのる。実線が漏れ異常が発生したときのもので、前記のごとく、スロットル開度が小さいほど、すなわち低負荷側ほど実吸気管圧力と基準吸気管圧力との偏差は大きくなる。
【0082】
一方、吸気系20に漏れがなくとも、吸気管21の圧力センサ62の検出特性に異常が生じた場合には、実吸気管圧力と基準吸気管圧力との偏差は大きくなり、実吸気管圧力を所定値と比較するだけの従来の技術ではこれも吸気系20の漏れと判定することになる。これに対して、本吸気系故障検知装置では、次のように圧力センサ62の異常を吸気系20の漏れと区別することができる。すなわち、例えば圧力センサ62の検出値に+側のオフセットずれが生じても、実吸気管圧力と基準吸気管圧力との圧力偏差はスロットル開度の大きさによらず、略一定であり、漏れ異常とは判断されない(ステップS1070)。
【0083】
このように、本吸気系故障検知装置は異常検知の信頼性が高く、不用意に吸気系20の漏れ異常と判断することがない。しかも、漏れ異常か否かの判定をする運転状態を所定の運転状態に限定するとともに、基準吸気管圧力を運転状態に基づいて補正して適正化しているから、より、判定の確度の高いものとなっている。
【0084】
ステップS1070が肯定判断された場合には吸気系20に漏れ異常が発生したものと判断し、ステップS1080〜S1100を実行する。
【0085】
ステップS1080は出力低下処理手段としての処理であり、出力低下を、燃料カット回転数を引き下げることにより行う。引き下げ後の燃料カット回転数は、車速、領域1の圧力偏差ΔP1 およびスロットル開度に基づいて設定される。図6は、燃料カット回転数を求めるマップである。なお、燃料カット回転数は、基準値すなわち漏れ異常のないときの値が6800rpmに設定されており、過剰な高速回転のみが禁止される。
【0086】
漏れ異常発生時の燃料カット回転数は、車速が4km/h以上のときには、運転者のトルク要求の意思であるスロットル開度が小さい方が燃料カット回転数は低回転となる。スロットル開度が小さく大きなトルクを必要としていないとみなせるときの方が、より、エンジン出力を抑制する必要性があるからである。
【0087】
また、領域1における圧力偏差ΔP1 が大きい方が燃料カット回転数は低回転となる。吸気系の漏れが大きく過剰な空気量が流入しているおそれが高いからである。
【0088】
また、車速が4km以下のときには、一律、最小の燃料カット回転数である2000rpmとする。停止状態に近く、殆どトルクを必要としていない状態とみなせ、領域1における圧力偏差ΔP1 で燃料カット回転数を区分けする必要がないからである。
【0089】
なお、本実施形態では、漏れ異常発生時に実吸気管圧力と基準吸気管圧力との乖離が最も明瞭に現れる領域1の圧力偏差ΔP1 により、燃料カット回転数を設定しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0090】
出力低下処理(ステップS1080)に続くステップS1090は警報手段としての処理で、吸気系20に漏れ異常が発生した旨の警報を出力する。インストゥルメントパネルのインジケータの点灯や警報音の出力により行う。
【0091】
警報出力処理(ステップS1090)に続くステップS1100はその他異常検知禁止手段としての処理で、内燃機関の各部についての他の異常検知を禁止する。具体的には、吸気系20の漏れ異常が発生した旨のフラグ(以下、適宜、吸気系漏れ異常フラグという)をセットする。他の異常判定ルーチンではこの吸気系漏れ異常フラグがセットされていれば異常判定を禁止する。あるいは、吸気系漏れ異常フラグがセットされたのに応じて車両内の他の制御用のECUに吸気系20の漏れ異常が発生した旨の情報が送信され、これを受信した制御用ECUが、当該制御用ECUが行う異常判定の禁止を自身に課す。
【0092】
漏れ異常の発生により前記のごとくスロットル開度から予測される吸気管圧力以上に吸気管圧力が上昇して、その結果、燃料噴射量が増大するため、これを燃料供給系の異常と判断したり、スロットルバルブ23の異常と判断することが考えられるが、漏れ異常と判定された場合には、これら、燃料供給系等の異常検知が禁止され、正常な燃料供給系等を異常と誤判断することがない。
【0093】
他の異常判定処理(ステップS1100)に続くステップS1110では、ステップS1040で記憶されたセンサ異常情報をリセットする。
【0094】
このステップS1110と前記ステップS1040とにより次の効果を奏する。すなわち、前記のごとく、実吸気管圧力と基準吸気管圧力との圧力偏差が大きくとも、漏れ異常と判断されなければ(ステップS1070)、圧力センサ62のオフセット変動等に基因して生じたもので圧力センサ62の故障のおそれがあると判断することができる。この場合には、バックアップRAMのセンサ異常情報は「1」のままである。これにより、サービス工場等での車両の検査において、圧力センサ62に注目すべきことを知らせることができる。圧力センサ62に対して交換等の処置を速やかにとることができる。前記ステップS1110は、逆に、前記オフセット変動のような圧力センサ62の特性異常ではなく、吸気系漏れ異常と判断されたことに伴う処理である。
【0095】
ステップS1110の実行後、本フローは終了となる。
【0096】
なお、本実施形態では、実吸気管圧力と基準吸気管圧力との圧力偏差を演算すべきスロットル開度の領域を3つとしているが、これよりも多くともよい。あるいは簡単に2つでもよい。実吸気管圧力と基準吸気管圧力との圧力偏差がスロットル開度が小さいほど大きくなっているか否かの判定をすることができればよい。
【0097】
なお、本実施形態では燃料カット回転数を低下してエンジン出力を低下せしめているが、空燃比のリーン化によりエンジン出力を低下せしめてもよい。
【0098】
空燃比のリーン化処理では、燃料を減量する補正値が、車速、領域1の実吸気管圧力と基準吸気管圧力との圧力偏差ΔP1 およびスロットル開度に基づいて設定される。図7(A)、図7(B)は、減量補正値を求めるマップである。車速が4km/h以上でかつスロットル開度が5deg以上のときには、図7(A)のマップに基づいて補正を行う。このマップは、領域1における圧力偏差ΔP1 に対して1つの減量補正値が対応する一次元マップである。減量補正値はベース噴射量に乗じる係数であり、圧力偏差ΔP1 が大きいほど1よりも小さな値が与えられて噴射量が少なくなる。吸気系20の漏れが大きく過剰な実吸気量が流入しており、その分、ベース燃料噴射量もより大きな値が与えられているからである。
【0099】
また、車速が4km/h以下またはスロットル開度が5deg以下のときには、図7(B)のマップに基づいて補正を行う。このマップは、前記図7(A)と同様に、領域1における圧力偏差ΔP1 に対して1つの減量補正値が対応する一次元マップである。圧力偏差ΔP1 が大きいほど1よりも小さな値が与えられて噴射量が少なくなる点も同様であるが、図7(A)のものよりも相対的に小さな値が与えられる。このマップが用いられるときの条件である、車速が4km/h以下またはスロットル開度が5deg以下のときは、トルクを殆ど要求していない状態とみなすことができ、より、燃料噴射量を減じた方が望ましいと考えられるからである。
【0100】
出力低下処理としては、これらの他にも点火時期の遅角等の公知の処理が用いられ得る。
【0101】
(第2実施形態)
図8に本発明を適用した第2の実施形態の内燃機関を示す。本内燃機関は、L−Jシステムのものである。第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0102】
スロットルバルブ23よりも上流で吸気系20には、エアフローメータ69が設けられており、吸気量(以下、適宜、空気量という)を検出するようになっている。ECU51Aでは、この空気量およびエンジン回転数に対して燃料噴射量が対応するマップに基づいて燃料噴射量を演算する。
【0103】
図9にECU51Aで実行される制御フローを示す。第1実施形態と同様に、スロットル開度が領域1〜3のいずれかにあり、運転状態が安定していると判断されると(ステップS1010,S1020)、ステップS1031で、基準空気量から実検出空気量を減じてこれを空気量偏差ΔAi (i=1,2,3)とし、空気量偏差ΔAi が、所定値ΔAthよりも大きいか否かを判定する。空気量偏差ΔAi は領域1〜領域3に1対1に対応しており、ΔA1 は領域1における空気量偏差を、ΔA2 は領域2における空気量偏差を、ΔA3 は領域3における空気量偏差を示す。ステップS1010でスロットル開度から特定された領域について空気量偏差ΔAi が算出、判定されることになる。
【0104】
基準空気量は、ベースとなる基準の空気量(以下、適宜、ベース記憶値という)にVVT補正値、ERG補正値、大気圧補正値、ISC補正値および水温補正値をすべて乗じて演算される。これらの補正の趣旨は第1実施形態と同様である。
【0105】
ステップS1031が肯定判断されると、センサ異常情報をセットし(ステップS1040)、基準空気量と今回の実検出空気量との空気量偏差ΔAi により空気量偏差ΔAi を更新する(ステップS1051)。
【0106】
そして、領域1〜領域3のそれぞれについて更新が済むと(ステップS1060)、空気量偏差ΔAi についてΔA1 >ΔA2 >ΔA3 であるか否かを判定する。肯定判断されると、ステップS1081に進み。否定判断されると、ステップS1010に戻る。
【0107】
さて、吸気系20に漏れがなく、エアフローメータ69の検出特性に異常がなければ、実空気量は、基準空気量に対してセンサ特性等に応じた検出誤差等の範囲内で一致する。一方、スロットルバルブ23よりも下流で吸気系20に漏れ異常が生じた場合には次のようになる。
【0108】
前記のごとく、スロットル開度が小さいと、空気流のスロットルバルブ23位置の通路断面積が絞られることで、スロットルバルブ23よりも下流の吸気管圧力の負圧傾向が強いため、吸気系20に漏れ異常が発生した時には、漏れ異常発生箇所から流入する空気量も多く、それによる圧力上昇分もより大きい。したがって、スロットルバルブ23の上流と下流とで圧力差が漏れ異常のない正常時に比してより小さくなる。この結果、スロットル開度が小さいほど空気量偏差ΔAi は大きくなる。図10はスロットル開度と空気量との関係を示すものである。破線が漏れ異常のない正常時のものであり、前記基準空気量はこの上にのる。実線が漏れ異常が発生したときのもので、前記のごとく、スロットル開度が小さいほど、すなわち低負荷側ほど実空気量と基準空気量との偏差は大きくなる。
【0109】
一方、吸気系20に漏れがなくとも、エアフローメータ69の検出特性に異常が生じた場合には、実空気量と基準空気量との偏差は大きくなり、実空気量を所定値と比較するだけの従来の技術ではこれも吸気系20の漏れ異常と判定することになる。これに対して、本吸気系故障検知装置では、次のようにエアフローメータ69の異常を吸気系20の漏れ異常と区別することができる。すなわち、例えばエアフローメータ69の検出値に−側のオフセットずれが生じても、実空気量と基準空気量との空気量偏差はスロットル開度の大きさによらず、略一定であり、漏れ異常とは判断されない(ステップS1071)。
【0110】
このように、本吸気系故障検知装置は異常検知の信頼性が高く、不用意に吸気系20の漏れ異常と判断することがない。
【0111】
ステップS1081は噴射量増量手段としての処理で、燃料の噴射量を増量する処理を実行する。燃料噴射量増量処理では、図11に示すマップにしたがって増量補正係数を得、これをベース噴射量に乗じて噴射量を変更するものである。ベース噴射量は実検出空気量に基づいて演算され、吸気系漏れ異常がない場合には、噴射量はこのベース噴射量にしたがうことになる。
【0112】
前記マップは、領域1における空気量偏差ΔA1 およびスロットル開度に対して1つの増量補正係数が対応する二次元マップであり、運転者のトルク要求の意思であるスロットル開度が小さい方が増量補正係数が大きくなる。吸気系20の漏れ異常は実空気量を検出空気量よりも増大させる方向に作用するから、スロットル開度が小さく大きなトルクを必要としていないとみなせるときの方が、より、燃料噴射量を増量する必要性があるからである。
【0113】
また、領域1における空気量偏差ΔA1 が大きい方が補正量は大きくなる。検出空気量が実空気量に対してより少なくなっているおそれが高いからである。
【0114】
このように、吸気系20の漏れ異常のときには、燃料が増量されて実空気量に見合ったものとなり、極端なリーン化でエンジンストール等が生じるのを回避することができ、漏れ異常が大きなものであっても必要な退避走行が確保され得る。
【0115】
なお、燃料が増量補正される分、出力も増えるため、燃料噴射量が増量され過ぎないように、すなわち運転者に違和感を与えない範囲で増量補正値を設定する。あるいは、増大する出力の分を低下する処理を併せて行ってもよい。例えば、点火時期の遅角処理を行い得る。点火時期は、空気量および回転数に基づいてベース点火時期を求めるが、これをマップにしたがって補正する。図12にマップの一例を示す。領域1における空気量偏差ΔA1 が大きいほど、スロットル開度が小さいほど、すなわち、燃料噴射量の補正値が大きいほど、遅角補正量は遅角側にシフトする。
【0116】
なお、本実施形態では、吸気系の漏れ異常発生時にリーン化することに着目し、燃料増量補正をして、退避走行の確保を確実にしているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、吸気系の漏れ異常発生時にいかなる処理をなすかは任意である。
【0117】
また、前記各実施形態では、センサ異常情報をバックアップRAMに記憶してサービス工場等でのダイアグノーシスに役立てるようにしているが、要求される仕様によっては必ずしも異常情報を記憶する必要はない。
【0118】
また、負荷のパラメータとしてスロットル開度を用いた例について示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、負荷に応じて変化するものであればよい。例えば、負荷として、D−Jシステムでは空気量を検出してもよいし、L−Jシステムでは吸気管圧力を検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の内燃機関の構成図である。
【図2】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを示す第1のフローチャートである。
【図3】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを示す第2のフローチャートである。
【図4】(A),(B),(C),(D),(E)はそれぞれ前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを説明するグラフである。
【図5】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを説明する別のグラフである。
【図6】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを説明する表である。
【図7】(A),(B)はそれぞれ前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローの変形例を説明する表である。
【図8】本発明を適用した第2の内燃機関の構成図である。
【図9】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを示すフローチャートである。
【図10】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを説明するグラフである。
【図11】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを説明する表である。
【図12】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローの変形例を説明する表である。
【符号の説明】
10 エンジン本体
20 吸気系
23 スロットルバルブ
30 排気系
41 インジェクタ
51 ECU(負荷依存性判定手段、変化幅判定手段、異常値情報設定手段、漏れ異常判定禁止手段、出力低下手段、警報手段、その他異常検知禁止手段)
51A ECU(負荷依存性判定手段、変化幅判定手段、異常値情報設定手段、漏れ異常判定禁止手段、噴射量増量手段、警報手段、その他異常検知禁止手段)
61 スロットル開度センサ
62 圧力センサ
65 クランク角センサ
69 エアフローメータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気系故障検知装置および内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関は吸気系から取り込まれる空気と、インジェクタから噴射される燃料とから得られる燃焼ガスによりトルクを発生する。空気の吸入状態は、運転者のトルク調整の意思表示であるスロットルバルブにより調整される。トルク調整は内燃機関の負荷に応じてなされるから、スロットルバルブの開度(以下、適宜、スロットル開度という)は内燃機関の負荷のパラメータである。そして、空気の吸入状態に応じて、また、燃焼ガスの空燃比が適正値となるように、燃料の噴射量が制御され、トルクが調整される。燃料噴射の制御システムとして、吸入状態のパラメータとしてスロットルバルブよりも下流で吸気圧を検出し、吸気圧とエンジン回転数とに応じて基本の燃料噴射量を求める方式(以下、適宜、D−Jシステムという)や、吸入状態のパラメータとしてスロットルバルブよりも上流で吸気量を検出し、吸気量とエンジン回転数とに応じて基本の燃料噴射量を求める方式(以下、適宜、L−Jシステムという)がある。
【0003】
ところで、吸気系において、スロットルバルブよりも下流の吸気マニホールド等の配管の外れや破損により、吸気系の気密性が損なわれる(以下、適宜、かかる不具合を「漏れ異常」という)と、次の問題が生じるおそれがある。すなわち、スロットルバルブよりも下流は負圧になっているから、漏れ異常の発生箇所から吸気系内に空気が流入して、気筒内に取り込まれる空気の量が、スロットルバルブを通過する空気の量よりも多くなる。D−Jシステムの内燃機関では、漏れ異常の発生箇所から吸気系内に空気が流入することで、正常時に比して吸気圧が上昇する。これに伴って燃料噴射量も必要以上に過剰になり、エンジン回転数が過昇して、減速しにくい状況に陥ったり、アイドリング回転数が高くなって、燃費の悪化や排気ガスの増大を招く。また、L−Jシステムの内燃機関では、漏れ異常の発生箇所から流入する空気の分、検出吸気量に対して実際に気筒内に取り込まれる空気の量が過剰となることで、オーバーリーンの状態に陥るおそれがあり、エンジンストール、ドライバビリティの不良、排気ガスの清浄度の低下を招く。
【0004】
このため、吸気系の漏れ異常を検出して、運転者に警告したりフェールセーフの措置を取る必要がある。
【0005】
例えば、D−Jシステムのものにおいて、スロットル開度に応じて上限吸気圧を設定し、検出吸気圧が上限吸気圧を越えたらスロットルバルブ下流で吸気系に漏れ異常が発生したと判ずるようにしている。そして、フェールセーフの措置として燃料カット回転数を引き下げている(第1従来例、特許文献1参照)。
【0006】
また、D−Jシステムのものにおいて、スロットル開度とエンジン回転数とに応じて吸気圧を想定し、検出吸気圧が想定吸気圧を越えたら燃料噴射量を所定値に固定している(第2従来例、特許文献2参照)。
【0007】
また、L−Jシステムのものにおいて、スロットル開度とエンジン回転数とに基づいて基本の吸気量を推定し、実際の吸気量が基本吸気量よりも少なく、かつ、空燃比による燃料噴射量の補正が噴射量を増大するものである場合に、吸気系に漏れ異常が発生したと判ずるようにしている(第3従来例、特許文献3参照)。
【0008】
前記各従来例では、吸気圧や吸気量を検出するセンサが用いられるが、このセンサが特性の変動で検出値が実際の値に対して誤差を生じる場合には、漏れ異常が生じている吸気系を誤って正常と判断するおそれがあり、また逆もあり得る。
【0009】
エンジン始動時等の過渡状態等において、漏れ異常か否かを判定するしきい値を、正常と判定される許容幅が広くなるように修正して、誤判定を回避するものがある(第4従来例、特許文献4参照)が、真に異常があった場合に、見逃すおそれもあり、必ずしも十分ではない。
【0010】
【特許文献1】
特許第2518317号明細書
【特許文献2】
特公平3−16498号公報
【特許文献3】
特開平5−280403号公報
【特許文献4】
特許第2901612号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、吸気系の漏れ異常を適正に判断することのできる内燃機関の吸気系故障検知装置および該吸気系故障検知装置を備えた内燃機関を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関に設けられ、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を、前記吸入状態の検出値と、前記漏れ異常がない正常時の吸入状態の基準値とを比較することにより検知する内燃機関の吸気系故障検知装置において、
前記空気吸入状態の検出値と、内燃機関の負荷に対応して設定された基準値とを比較し、大きさの異なる複数の負荷における前記検出値と前記基準値との差が、低負荷側ほど大きいか否かを判定する負荷依存性判定手段とを具備し、
該負荷依存性判定手段で肯定判断されたことを条件として前記漏れ異常と判定する。
【0013】
負荷が小さいほどスロットル開度が小さくなるから、正常時には吸気圧の負圧傾向が強い。したがって、スロットルバルブよりも下流で吸気系に漏れ異常が発生した場合には、負荷が小さいほど、吸入状態である吸気圧が正常時に比してより大気圧側の圧力値をとる。このため負荷が小さいほど、吸入状態である吸気圧と正常時との差が大きくなる。また、スロットルバルブよりも下流の吸気圧が高くなることで、スロットルバルブを挟んだ気圧差が小さくなり、スロットルバルブを通過する空気の量が減少する。したがって、スロットルバルブよりも下流で吸気系に漏れ異常が発生した場合には、負荷が小さいほど、吸入状態である吸気量が正常時に比してより少なくなる。
【0014】
一方、吸入状態の検出用のセンサでは特性の経時変化や劣化により、通常、0点の変動のようなオフセット変動が認められる。この場合には、みかけ上正常時に対して大きく変化していても、その変化幅が負荷の大きさが違っても殆ど差が生じない。大きさの異なる複数の負荷における前記検出値と前記基準値との差が低負荷側ほど大きい、という条件が成立することを条件として、吸気系の漏れ異常と判定することで、吸気系の漏れ異常を高い確度で検知することができる。
【0015】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記吸入状態の検出値と前記基準値とを比較して、検出値が基準値から所定範囲を越えて外れているか否かを判定する変化幅判定手段を具備せしめ、
該変化幅判定手段で肯定判断されたことを条件として前記漏れ異常と判定する。
【0016】
吸気系の漏れ異常と判定されるために、検出値が基準値から所定範囲を越えて外れている、ことを条件に付加することで、さらに、高い確度で吸気系の漏れ異常を検知することができる。
【0017】
請求項3記載の発明では、請求項2の発明の構成において、前記変化幅判定手段で肯定判断されると、前記吸入状態の検出値が異常値をとった旨の情報をセットし、前記負荷依存性判定手段が肯定判断されると、前記情報をリセットする情報設定手段を具備せしめる。
【0018】
漏れ異常とは判定されないで吸入状態の検出値が基準値から所定範囲を越えて外れている場合には、吸入状態の検出用のセンサの異常とみなせる。この場合には、異常値情報がセットされるから、サービス工場等でセンサ異常を速やかに知ることができる。
【0019】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の発明の構成において、前記基準値を内燃機関の運転状態に基づいて補正する補正手段を具備せしめる。
【0020】
漏れ異常がない正常な場合の負荷−吸入状態の特性は、運転状態によって変化する。したがって、吸入状態の基準値を運転状態に基づいて補正して、運転状態の変化に基準値を追随させることで、より正確な漏れ異常の検知が実現できる。
【0021】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし4の発明の構成において、内燃機関の運転状態が予め設定した所定の状態にあるか否かを判定し、否定判断されると、漏れ異常の判定を禁止する漏れ異常判定禁止手段を具備せしめる。
【0022】
運転状態によって吸気系の漏れ異常の検知がなされるときを制限することで、より正確な漏れ異常の検知が実現できる。
【0023】
請求項6記載の発明では、請求項5の発明の構成において、前記所定の状態は、定常状態とみなせる運転状態とする。
【0024】
過渡状態では応答遅れ等で内燃機関が不安定な状態にあるから、内燃機関が安定している定常状態に、吸気系の漏れ異常の検知を限定することで、吸気系の漏れ異常の検知の確度をさらに高めることができる。
【0025】
請求項7記載の発明では、請求項1ないし6の発明の構成において、前記漏れ異常と判定されると、その旨の警報を発する警報手段を具備せしめる。
【0026】
吸気系に漏れ異常が発生したことについて、運転者に注意を喚起することができる。
【0027】
請求項8記載の発明では、請求項1ないし7いずれか記載の内燃機関の吸気系故障検知装置を備えた内燃機関において、前記吸入状態が、前記スロットルバルブよりも下流の吸気圧をパラメータとしており、
前記漏れ異常と判定されると、内燃機関の出力を低下せしめる出力低下手段を具備せしめる。
【0028】
吸気圧に基づいて燃料の噴射量を演算するD−Jシステムでは、前記のごとく吸気系の漏れ異常の発生箇所からの空気の流入により吸気圧の検出値が上昇することで、運転者の意思以上に燃料が噴射されて出力が増大するおそれがある。出力低下手段が、この出力増大作用を相殺する方向に作用するので、過剰に回転数が上昇するなどの不具合を回避することができる。
【0029】
請求項9記載の発明では、請求項8の発明の構成において、前記出力低下手段を、低負荷側ほど出力低下量が大きくなるように設定する。
【0030】
低負荷側ほど運転者のトルクの要求度が低いから、漏れ異常による出力増大作用の影響は大きい。低負荷側ほど出力低下量が大きくなるように設定することで、より適正な出力調整が実現できる。
【0031】
請求項10記載の発明では、請求項8または9の発明の構成において、前記出力低下手段を、前記吸入状態の検出値と前記基準値との差が大きいほど出力低下量が大きくなるように設定する。
【0032】
吸気系の漏れ異常の程度が大きいほど、吸入状態の検出値とその基準値との差が大きくなるから、この差に応じて出力低下量が与えられるようにすることで、より適正な出力調整が実現できる。
【0033】
請求項11記載の発明では、請求項8ないし10の発明の構成において、前記出力低下手段を、車速が遅いほど出力低下量が大きくなるように設定する。
【0034】
車速が遅いほど運転者のトルクの要求度が低いから、漏れ異常による出力増大作用の影響は大きい。低負荷側ほど出力低下量が大きくなるように設定することで、より適正な出力調整が実現できる。
【0035】
請求項12記載の発明では、請求項1ないし7いずれか記載の内燃機関の吸気系故障検知装置を備えた内燃機関において、
前記吸入状態が、前記スロットルバルブよりも上流の吸気量をパラメータとしており、
前記漏れ異常と判定されると、燃料の噴射量を増量せしめる噴射量増量手段を具備せしめる。
【0036】
吸気量に基づいて燃料の噴射量を演算するL−Jシステムでは、前記のごとく吸気系の漏れ異常の発生箇所からの空気の流入により吸気量の検出値以上に空気が気筒内に取り込まれることで、極端なリーン化等を引き起こすおそれがある。噴射量増量手段が、このリーン化作用を相殺する方向に作用するので、エンジンストールや排気エミッションの悪化等の不具合を良好に回避することができる。
【0037】
請求項13記載の発明では、請求項12の発明の構成において、前記噴射量増量手段を、低負荷側ほど噴射量の増量幅が大きくなるように設定する。
【0038】
低負荷側ほど漏れ異常の発生箇所から流入する空気の割合が高くなるから、漏れ異常による出力の急減作用の影響も大きなものとなる。低負荷側ほど噴射量増量幅が大きくなるように設定することで、より適正な出力調整、空燃比調整が実現できる。
【0039】
請求項14記載の発明では、請求項12または13の発明の構成において、前記噴射量増量手段を、前記吸入状態の検出値と前記基準値との差が大きいほど増量幅が大きくなるように設定する。
【0040】
吸気系の漏れ異常の程度が大きいほど、吸入状態の検出値とその基準値との差が大きくなるから、この差に応じて出力低下量が与えられるようにすることで、より適正な出力調整および空燃比調整が実現できる。
【0041】
請求項15記載の発明では、請求項12ないし14の発明の構成において、前記漏れ異常と判定されると、内燃機関の出力を低下せしめる出力低下手段を具備せしめる。
【0042】
漏れ異常発生時に燃料の噴射量が増量される分、増大傾向を示すので、これを相殺することができる。
【0043】
請求項16記載の発明では、請求項8ないし15の発明の構成において、前記漏れ異常と判定されると、吸気系の漏れ異常以外の異常の検知を禁止するその他異常検知禁止手段を具備せしめる。
【0044】
漏れ異常の発生により内燃機関の各部分が影響を受けるから、運転状態のパラメータの中には適正値から外れて、これを当該パラメータに対応する内燃機関の部分の異常と判断することがあり得る。漏れ異常の場合に、吸気系の漏れ異常以外の異常の検知を禁止することで、かる誤判断を回避することができる。
【0045】
請求項17記載の発明では、吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関に設けられ、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を検知する内燃機関の吸気系故障検知装置において、
前記吸入状態の検出値と、内燃機関の負荷に対応して設定された基準値とを比較して、検出値が基準値から所定範囲を越えて外れているか否かを判定する変化幅判定手段と、
該変化幅判定手段で肯定判断されると、前記吸入状態の検出値が異常値をとった旨の情報をセットし、前記漏れ異常と最終判断されると、前記情報をリセットする情報設定手段とを具備せしめる。
【0046】
漏れ異常とは判定されないで吸入状態の検出値が基準値から所定範囲を越えて外れている場合には、吸入状態の検出用のセンサの異常とみなせる。この場合には、異常値情報がセットされるから、サービス工場等でセンサ異常を速やかに知ることができる。
【0047】
請求項18記載の発明では、吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関であって、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を検知する吸気系故障検知装置を有する内燃機関において、前記漏れ異常と判定されると、燃料の噴射量を増量せしめる噴射量増量手段を具備せしめる。
【0048】
吸気量に基づいて燃料の噴射量を演算するL−Jシステムでは、吸気系の漏れ異常の発生箇所からの空気の流入により吸気量の検出値以上に空気が気筒内に取り込まれることで、極端なリーン化等を引き起こすおそれがある。噴射量増量手段が、このリーン化作用を相殺する方向に作用するので、エンジンストールや排気エミッションの悪化等の不具合を良好に回避することができる。
【0049】
請求項19記載の発明では、吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関であって、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を検知する吸気系故障検知装置を有する内燃機関において、前記漏れ異常と判定されると、吸気系の漏れ異常以外の異常の検知を禁止するその他異常検知禁止手段を具備せしめる。
【0050】
吸気系に漏れ異常が発生したことについて、運転者に注意を喚起することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明を適用した第1実施形態になる内燃機関の構成を示す。本実施形態は例えば自動車のエンジンに適用したものである。内燃機関の本体(以下、適宜、エンジン本体という)10のシリンダブロック11に形成されたシリンダ101内には図中上下方向に往復動するピストン13が配設されており、ピストン13はコンロッド14を介して図示しないクランク軸に連結されている。シリンダブロック11には上方からシリンダヘッド12が覆着されてシリンダ101を上端で閉鎖しており、ピストン13の上方に燃焼室102が形成される。燃焼室102は吸気バルブ17の開時に吸気ポート15と連通し、排気バルブ18の開時に排気ポート16と連通する。吸気バルブ17および排気バルブ18はVVT部43により開閉弁のタイミングが調整自在である。
【0052】
吸気ポート15は吸気系20の吸気管21と、排気ポート16は排気管31と、それぞれ連通している。
【0053】
吸気系20には、エアクリーナ22の下流に図示しないアクセルペダルと連動するスロットルバルブ23が設けられており、吸気量を調整している。また、スロットルバルブ23位置で吸気系20を迂回して流れる吸気量を調整するISCバルブ24が設けてある。また、排気管31を流通する排気ガスの一部を吸気管21に再循環せしめるEGRバルブ42が設けてある。
【0054】
また吸気管21にはインジェクタ41が取り付けられて、吸気ポート15に燃料を噴射する。
【0055】
前記インジェクタ41等は、内燃機関の各部を制御する電子制御ユニット(ECU)51により制御される。ECU51は、基本的な構成は一般的な内燃機関用のもので、アクセルペダルの踏み込み量等に応じて所定の燃料噴射量、噴射時期等を与えるようにする。
【0056】
ECU51における制御に供する運転条件は種々のセンサ類により与えられるが、ECU51に検出信号が入力するセンサとして、スロットルバルブ23の開度(以下、スロットル開度という)を検出するスロットル開度センサ61、スロットル開度センサ61の下流で吸気圧である吸気管21内の圧力(以下、吸気管圧力という)を検出する圧力センサ62、前記吸気の温度を検出する温度センサ63、冷却水の温度を検出する温度センサ64、クランク角度を検出するとともに、これよりエンジン回転数が知られるクランク角センサ65、排気ガスのO2 濃度に基づいて燃焼室102内の空燃比を検出する空燃比センサ66が設けてある。また、大気圧を検出する気圧センサ67、車速を検出する車速センサ68等、一般的な内燃機関が備えるセンサ類を備えている。
【0057】
これらのセンサ類の検出信号に基づいて種々の制御がなされる。燃料噴射量の制御もその1つである。燃料噴射量の制御では、吸気管圧力とエンジ回転数に基づいて、ECU51のROMに記憶されたマップにしたがい基本の燃料噴射量が演算される。
【0058】
次に図2のフローチャートにより、ECU61における制御内容とともに、本内燃機関の作動について説明する。先ず、ステップS1010では、検出されたスロットル開度が所定の領域内か否かを判定する。領域はスロットル開度の小側、中間、大側の3つあり(以下、適宜、領域1、領域2、領域3という)。スロットル開度をαとして、α11≦α≦α12であれば領域1とし、α21≦α≦α22であれば領域2とし、α31≦α≦α32であれば領域3とする。ここで領域の境界を示すα11等はα11<α12<α21<α22<α31<α32であり、予めROMに記憶される。
【0059】
ステップS1010が肯定判断されるとステップS1020に進み、否定判断されるとステップS1010に戻る。
【0060】
ステップS1020は漏れ異常判定禁止手段としての処理で、運転状態が定常状態にあって安定しているか否かを判定する。図3に運転状態が安定しているか否かを判定するフローを示す。ステップS2010では、大気圧が予め設定したP0 以上か否かを判定する。大気圧が低い極端な高地での吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。肯定判断されるとステップS2020に進む。
【0061】
ステップS2020ではVVT部43がオフか否かを判定する。VVT部43のオンにより吸気量が変動する状態での吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。肯定判断されるとステップS2030に進む。
【0062】
ステップS2030ではEGRバルブ42がオフか否かを判定する。EGRバルブ42のオンにより吸気量の正確さが損なわれる状態での吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。肯定判断されるとステップS2040に進む。
【0063】
ステップS2040では冷却水温が予め設定したTw0以上か否かを判定する。冷却水温が低い冷間始動直後での吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。肯定判断されるとステップS2050に進む。
【0064】
ステップS2050では吸気温がTa1からTa2までの範囲内か否かを判定する。これは、極寒雰囲気や高温雰囲気での吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。Ta1,Ta2はいずれも予め設定した値である。肯定判断されるとステップS2060に進む。
【0065】
ステップS2060ではエンジン回転数がN1 からN2 までの範囲内か否かを判定する。これは、アイドリング状態のように回転数が低く吸気量自体が少ないときや、回転数がきわめて高く吸気量が相当多くなるときの吸気系20の漏れ異常の判定を排除する趣旨である。N1 ,N2 はいずれも予め設定した値である。肯定判断されるとステップS2070に進み、運転状態は安定と判じてその旨のフラグを立て、リターンに抜ける。
【0066】
前記ステップS2010〜S2060のいずれかで否定判断されると、ステップS2080に進み、運転状態は不安定と判じて前記フラグをリセットし、リターンに抜ける。
【0067】
前記ステップS1020において運転状態が安定しているか否かは前記フラグに基づいて判定され、ステップS1020が肯定判断されると、ステップS1030に進む。
【0068】
ステップS1030は変化幅判定手段としての処理で、検出吸気管圧力から基準吸気管圧力を減じてこれを圧力偏差ΔPi (i=1,2,3)とし、圧力偏差ΔPi が、所定値ΔPthよりも大きいか否かを判定する。圧力偏差ΔPi はスロットル開度の領域1〜領域3に1対1に対応しており、ΔP1 は領域1における圧力偏差を、ΔP2 は領域2における圧力偏差を、ΔP3 は領域3における圧力偏差を示す。ステップS1010でスロットル開度から特定された領域について圧力偏差ΔPi が算出、判定されることになる。
【0069】
基準吸気管圧力は、吸気系20に漏れ異常がなく、内燃機関の運転状態が定常状態のときの吸気管圧力であり、予め実験等により測定され、スロットル開度の前記領域ごとに与えられる。定常状態の運転状態のうちで、所定の運転状態のときの圧力値が、ベースとなる基準の吸気管圧力(以下、適宜、ベース記憶値という)として、ROMに記憶されており、これに運転状態に応じた補正を加えることで、当該運転状態に対応した、吸気系20に漏れ異常がないときの基準吸気管圧力が得られるようになっている。
【0070】
基準吸気管圧力の補正は、前記ベース記憶値にVVT補正値、ERG補正値、大気圧補正値、ISC補正値および水温補正値を乗じて演算される。
【0071】
VVT補正値は、図4(A)に示すように、VVT進角量に対して単調増加するように設定される。VVT進角量に応じて実吸気管圧力が増大するためである。この補正値はまたエンジン回転数に対する依存性をも有する。
【0072】
大気圧補正値は、図4(B)に示すように、大気圧に対して単調増加するように設定される。大気圧すなわち車内に導入される空気の気圧の大きさに応じて実吸気管圧力が増大するためである。この補正値はまたエンジン回転数に対する依存性をも有する。
【0073】
水温補正値は、図4(C)に示すように、水温に対して単調減少するように設定される。水温が低いほどアイドリング回転数が高く設定され、実吸気管圧力が増大するからである。この補正値はまたエンジン回転数に対する依存性をも有する。
【0074】
EGR補正値は、図4(D)に示すように、EGR量に対して単調増加するように設定される。EGR量に応じて実吸気管圧力が増大するためである。この補正値はまたエンジン回転数に対する依存性をも有する。
【0075】
ISC補正値は、図4(E)に示すように、ISC開度に対して単調増加するように設定される。ISC開度が大きいほど実吸気管圧力が高くなるためである。この補正値はまたエンジン回転数に対する依存性をも有する。
【0076】
圧力偏差ΔPi が所定値ΔPthよりも大きくステップS1030が肯定判断されると、ステップS1040に進み、否定判断されるとステップS1010に戻る。
【0077】
ステップS1040は後述するステップS1110とともに異常値情報設定手段としての処理で、異常値情報であるセンサ異常情報をバックアップRAMに記憶する。異常値情報は、例えば、「1」とする。
【0078】
ステップS1050では、ステップS1030で算出された圧力偏差ΔPi を更新し、ステップS1060で、領域1〜領域3のすべてについて圧力偏差ΔPi が更新されたか否かを判定する。肯定判断されるとステップS1070に進み、否定判断されるとステップS1010に戻る。
【0079】
ステップS1070は、負荷依存性判定手段としての処理で、3つの領域1〜領域3の圧力偏差ΔPi について、ΔP1 >ΔP2 >ΔP3 が成り立つか否かを判定する。肯定判断されるとステップS1080に進み、否定判断されるとステップS1010に戻る。
【0080】
さて、吸気系20に漏れがなく、吸気管21の圧力センサ62の検出特性に異常がなければ、実吸気管圧力は、基準吸気管圧力に対してセンサ特性等に応じた検出誤差等の範囲内で一致する。一方、スロットルバルブ23よりも下流で吸気系20に漏れ異常が生じた場合には次のようになる。漏れ異常発生箇所から空気が流入する分、スロットルバルブ23よりも下流で圧力センサ62により検出される吸気管圧力は上昇する。
【0081】
スロットル開度が小さいと、空気流のスロットルバルブ23位置の通路断面積が絞られることで、スロットルバルブ23よりも下流の吸気管圧力の負圧傾向が強いため、吸気系20に漏れ異常が発生した時には、漏れ異常発生箇所から流入する吸気量も多く、それによる圧力上昇分もより大きい。図5はスロットル開度と吸気管圧力との関係を示すものである。破線が漏れ異常のない正常時のもの(基準運転特性)であり、前記基準吸気管圧力はこの上にのる。実線が漏れ異常が発生したときのもので、前記のごとく、スロットル開度が小さいほど、すなわち低負荷側ほど実吸気管圧力と基準吸気管圧力との偏差は大きくなる。
【0082】
一方、吸気系20に漏れがなくとも、吸気管21の圧力センサ62の検出特性に異常が生じた場合には、実吸気管圧力と基準吸気管圧力との偏差は大きくなり、実吸気管圧力を所定値と比較するだけの従来の技術ではこれも吸気系20の漏れと判定することになる。これに対して、本吸気系故障検知装置では、次のように圧力センサ62の異常を吸気系20の漏れと区別することができる。すなわち、例えば圧力センサ62の検出値に+側のオフセットずれが生じても、実吸気管圧力と基準吸気管圧力との圧力偏差はスロットル開度の大きさによらず、略一定であり、漏れ異常とは判断されない(ステップS1070)。
【0083】
このように、本吸気系故障検知装置は異常検知の信頼性が高く、不用意に吸気系20の漏れ異常と判断することがない。しかも、漏れ異常か否かの判定をする運転状態を所定の運転状態に限定するとともに、基準吸気管圧力を運転状態に基づいて補正して適正化しているから、より、判定の確度の高いものとなっている。
【0084】
ステップS1070が肯定判断された場合には吸気系20に漏れ異常が発生したものと判断し、ステップS1080〜S1100を実行する。
【0085】
ステップS1080は出力低下処理手段としての処理であり、出力低下を、燃料カット回転数を引き下げることにより行う。引き下げ後の燃料カット回転数は、車速、領域1の圧力偏差ΔP1 およびスロットル開度に基づいて設定される。図6は、燃料カット回転数を求めるマップである。なお、燃料カット回転数は、基準値すなわち漏れ異常のないときの値が6800rpmに設定されており、過剰な高速回転のみが禁止される。
【0086】
漏れ異常発生時の燃料カット回転数は、車速が4km/h以上のときには、運転者のトルク要求の意思であるスロットル開度が小さい方が燃料カット回転数は低回転となる。スロットル開度が小さく大きなトルクを必要としていないとみなせるときの方が、より、エンジン出力を抑制する必要性があるからである。
【0087】
また、領域1における圧力偏差ΔP1 が大きい方が燃料カット回転数は低回転となる。吸気系の漏れが大きく過剰な空気量が流入しているおそれが高いからである。
【0088】
また、車速が4km以下のときには、一律、最小の燃料カット回転数である2000rpmとする。停止状態に近く、殆どトルクを必要としていない状態とみなせ、領域1における圧力偏差ΔP1 で燃料カット回転数を区分けする必要がないからである。
【0089】
なお、本実施形態では、漏れ異常発生時に実吸気管圧力と基準吸気管圧力との乖離が最も明瞭に現れる領域1の圧力偏差ΔP1 により、燃料カット回転数を設定しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0090】
出力低下処理(ステップS1080)に続くステップS1090は警報手段としての処理で、吸気系20に漏れ異常が発生した旨の警報を出力する。インストゥルメントパネルのインジケータの点灯や警報音の出力により行う。
【0091】
警報出力処理(ステップS1090)に続くステップS1100はその他異常検知禁止手段としての処理で、内燃機関の各部についての他の異常検知を禁止する。具体的には、吸気系20の漏れ異常が発生した旨のフラグ(以下、適宜、吸気系漏れ異常フラグという)をセットする。他の異常判定ルーチンではこの吸気系漏れ異常フラグがセットされていれば異常判定を禁止する。あるいは、吸気系漏れ異常フラグがセットされたのに応じて車両内の他の制御用のECUに吸気系20の漏れ異常が発生した旨の情報が送信され、これを受信した制御用ECUが、当該制御用ECUが行う異常判定の禁止を自身に課す。
【0092】
漏れ異常の発生により前記のごとくスロットル開度から予測される吸気管圧力以上に吸気管圧力が上昇して、その結果、燃料噴射量が増大するため、これを燃料供給系の異常と判断したり、スロットルバルブ23の異常と判断することが考えられるが、漏れ異常と判定された場合には、これら、燃料供給系等の異常検知が禁止され、正常な燃料供給系等を異常と誤判断することがない。
【0093】
他の異常判定処理(ステップS1100)に続くステップS1110では、ステップS1040で記憶されたセンサ異常情報をリセットする。
【0094】
このステップS1110と前記ステップS1040とにより次の効果を奏する。すなわち、前記のごとく、実吸気管圧力と基準吸気管圧力との圧力偏差が大きくとも、漏れ異常と判断されなければ(ステップS1070)、圧力センサ62のオフセット変動等に基因して生じたもので圧力センサ62の故障のおそれがあると判断することができる。この場合には、バックアップRAMのセンサ異常情報は「1」のままである。これにより、サービス工場等での車両の検査において、圧力センサ62に注目すべきことを知らせることができる。圧力センサ62に対して交換等の処置を速やかにとることができる。前記ステップS1110は、逆に、前記オフセット変動のような圧力センサ62の特性異常ではなく、吸気系漏れ異常と判断されたことに伴う処理である。
【0095】
ステップS1110の実行後、本フローは終了となる。
【0096】
なお、本実施形態では、実吸気管圧力と基準吸気管圧力との圧力偏差を演算すべきスロットル開度の領域を3つとしているが、これよりも多くともよい。あるいは簡単に2つでもよい。実吸気管圧力と基準吸気管圧力との圧力偏差がスロットル開度が小さいほど大きくなっているか否かの判定をすることができればよい。
【0097】
なお、本実施形態では燃料カット回転数を低下してエンジン出力を低下せしめているが、空燃比のリーン化によりエンジン出力を低下せしめてもよい。
【0098】
空燃比のリーン化処理では、燃料を減量する補正値が、車速、領域1の実吸気管圧力と基準吸気管圧力との圧力偏差ΔP1 およびスロットル開度に基づいて設定される。図7(A)、図7(B)は、減量補正値を求めるマップである。車速が4km/h以上でかつスロットル開度が5deg以上のときには、図7(A)のマップに基づいて補正を行う。このマップは、領域1における圧力偏差ΔP1 に対して1つの減量補正値が対応する一次元マップである。減量補正値はベース噴射量に乗じる係数であり、圧力偏差ΔP1 が大きいほど1よりも小さな値が与えられて噴射量が少なくなる。吸気系20の漏れが大きく過剰な実吸気量が流入しており、その分、ベース燃料噴射量もより大きな値が与えられているからである。
【0099】
また、車速が4km/h以下またはスロットル開度が5deg以下のときには、図7(B)のマップに基づいて補正を行う。このマップは、前記図7(A)と同様に、領域1における圧力偏差ΔP1 に対して1つの減量補正値が対応する一次元マップである。圧力偏差ΔP1 が大きいほど1よりも小さな値が与えられて噴射量が少なくなる点も同様であるが、図7(A)のものよりも相対的に小さな値が与えられる。このマップが用いられるときの条件である、車速が4km/h以下またはスロットル開度が5deg以下のときは、トルクを殆ど要求していない状態とみなすことができ、より、燃料噴射量を減じた方が望ましいと考えられるからである。
【0100】
出力低下処理としては、これらの他にも点火時期の遅角等の公知の処理が用いられ得る。
【0101】
(第2実施形態)
図8に本発明を適用した第2の実施形態の内燃機関を示す。本内燃機関は、L−Jシステムのものである。第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0102】
スロットルバルブ23よりも上流で吸気系20には、エアフローメータ69が設けられており、吸気量(以下、適宜、空気量という)を検出するようになっている。ECU51Aでは、この空気量およびエンジン回転数に対して燃料噴射量が対応するマップに基づいて燃料噴射量を演算する。
【0103】
図9にECU51Aで実行される制御フローを示す。第1実施形態と同様に、スロットル開度が領域1〜3のいずれかにあり、運転状態が安定していると判断されると(ステップS1010,S1020)、ステップS1031で、基準空気量から実検出空気量を減じてこれを空気量偏差ΔAi (i=1,2,3)とし、空気量偏差ΔAi が、所定値ΔAthよりも大きいか否かを判定する。空気量偏差ΔAi は領域1〜領域3に1対1に対応しており、ΔA1 は領域1における空気量偏差を、ΔA2 は領域2における空気量偏差を、ΔA3 は領域3における空気量偏差を示す。ステップS1010でスロットル開度から特定された領域について空気量偏差ΔAi が算出、判定されることになる。
【0104】
基準空気量は、ベースとなる基準の空気量(以下、適宜、ベース記憶値という)にVVT補正値、ERG補正値、大気圧補正値、ISC補正値および水温補正値をすべて乗じて演算される。これらの補正の趣旨は第1実施形態と同様である。
【0105】
ステップS1031が肯定判断されると、センサ異常情報をセットし(ステップS1040)、基準空気量と今回の実検出空気量との空気量偏差ΔAi により空気量偏差ΔAi を更新する(ステップS1051)。
【0106】
そして、領域1〜領域3のそれぞれについて更新が済むと(ステップS1060)、空気量偏差ΔAi についてΔA1 >ΔA2 >ΔA3 であるか否かを判定する。肯定判断されると、ステップS1081に進み。否定判断されると、ステップS1010に戻る。
【0107】
さて、吸気系20に漏れがなく、エアフローメータ69の検出特性に異常がなければ、実空気量は、基準空気量に対してセンサ特性等に応じた検出誤差等の範囲内で一致する。一方、スロットルバルブ23よりも下流で吸気系20に漏れ異常が生じた場合には次のようになる。
【0108】
前記のごとく、スロットル開度が小さいと、空気流のスロットルバルブ23位置の通路断面積が絞られることで、スロットルバルブ23よりも下流の吸気管圧力の負圧傾向が強いため、吸気系20に漏れ異常が発生した時には、漏れ異常発生箇所から流入する空気量も多く、それによる圧力上昇分もより大きい。したがって、スロットルバルブ23の上流と下流とで圧力差が漏れ異常のない正常時に比してより小さくなる。この結果、スロットル開度が小さいほど空気量偏差ΔAi は大きくなる。図10はスロットル開度と空気量との関係を示すものである。破線が漏れ異常のない正常時のものであり、前記基準空気量はこの上にのる。実線が漏れ異常が発生したときのもので、前記のごとく、スロットル開度が小さいほど、すなわち低負荷側ほど実空気量と基準空気量との偏差は大きくなる。
【0109】
一方、吸気系20に漏れがなくとも、エアフローメータ69の検出特性に異常が生じた場合には、実空気量と基準空気量との偏差は大きくなり、実空気量を所定値と比較するだけの従来の技術ではこれも吸気系20の漏れ異常と判定することになる。これに対して、本吸気系故障検知装置では、次のようにエアフローメータ69の異常を吸気系20の漏れ異常と区別することができる。すなわち、例えばエアフローメータ69の検出値に−側のオフセットずれが生じても、実空気量と基準空気量との空気量偏差はスロットル開度の大きさによらず、略一定であり、漏れ異常とは判断されない(ステップS1071)。
【0110】
このように、本吸気系故障検知装置は異常検知の信頼性が高く、不用意に吸気系20の漏れ異常と判断することがない。
【0111】
ステップS1081は噴射量増量手段としての処理で、燃料の噴射量を増量する処理を実行する。燃料噴射量増量処理では、図11に示すマップにしたがって増量補正係数を得、これをベース噴射量に乗じて噴射量を変更するものである。ベース噴射量は実検出空気量に基づいて演算され、吸気系漏れ異常がない場合には、噴射量はこのベース噴射量にしたがうことになる。
【0112】
前記マップは、領域1における空気量偏差ΔA1 およびスロットル開度に対して1つの増量補正係数が対応する二次元マップであり、運転者のトルク要求の意思であるスロットル開度が小さい方が増量補正係数が大きくなる。吸気系20の漏れ異常は実空気量を検出空気量よりも増大させる方向に作用するから、スロットル開度が小さく大きなトルクを必要としていないとみなせるときの方が、より、燃料噴射量を増量する必要性があるからである。
【0113】
また、領域1における空気量偏差ΔA1 が大きい方が補正量は大きくなる。検出空気量が実空気量に対してより少なくなっているおそれが高いからである。
【0114】
このように、吸気系20の漏れ異常のときには、燃料が増量されて実空気量に見合ったものとなり、極端なリーン化でエンジンストール等が生じるのを回避することができ、漏れ異常が大きなものであっても必要な退避走行が確保され得る。
【0115】
なお、燃料が増量補正される分、出力も増えるため、燃料噴射量が増量され過ぎないように、すなわち運転者に違和感を与えない範囲で増量補正値を設定する。あるいは、増大する出力の分を低下する処理を併せて行ってもよい。例えば、点火時期の遅角処理を行い得る。点火時期は、空気量および回転数に基づいてベース点火時期を求めるが、これをマップにしたがって補正する。図12にマップの一例を示す。領域1における空気量偏差ΔA1 が大きいほど、スロットル開度が小さいほど、すなわち、燃料噴射量の補正値が大きいほど、遅角補正量は遅角側にシフトする。
【0116】
なお、本実施形態では、吸気系の漏れ異常発生時にリーン化することに着目し、燃料増量補正をして、退避走行の確保を確実にしているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、吸気系の漏れ異常発生時にいかなる処理をなすかは任意である。
【0117】
また、前記各実施形態では、センサ異常情報をバックアップRAMに記憶してサービス工場等でのダイアグノーシスに役立てるようにしているが、要求される仕様によっては必ずしも異常情報を記憶する必要はない。
【0118】
また、負荷のパラメータとしてスロットル開度を用いた例について示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、負荷に応じて変化するものであればよい。例えば、負荷として、D−Jシステムでは空気量を検出してもよいし、L−Jシステムでは吸気管圧力を検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の内燃機関の構成図である。
【図2】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを示す第1のフローチャートである。
【図3】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを示す第2のフローチャートである。
【図4】(A),(B),(C),(D),(E)はそれぞれ前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを説明するグラフである。
【図5】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを説明する別のグラフである。
【図6】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを説明する表である。
【図7】(A),(B)はそれぞれ前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローの変形例を説明する表である。
【図8】本発明を適用した第2の内燃機関の構成図である。
【図9】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを示すフローチャートである。
【図10】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを説明するグラフである。
【図11】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローを説明する表である。
【図12】前記内燃機関のECUで実行される吸気系漏れ異常検知フローの変形例を説明する表である。
【符号の説明】
10 エンジン本体
20 吸気系
23 スロットルバルブ
30 排気系
41 インジェクタ
51 ECU(負荷依存性判定手段、変化幅判定手段、異常値情報設定手段、漏れ異常判定禁止手段、出力低下手段、警報手段、その他異常検知禁止手段)
51A ECU(負荷依存性判定手段、変化幅判定手段、異常値情報設定手段、漏れ異常判定禁止手段、噴射量増量手段、警報手段、その他異常検知禁止手段)
61 スロットル開度センサ
62 圧力センサ
65 クランク角センサ
69 エアフローメータ
Claims (19)
- 吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関に設けられ、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を、前記吸入状態の検出値と、前記漏れ異常がない正常時の吸入状態の基準値とを比較することにより検知する内燃機関の吸気系故障検知装置において、
前記空気吸入状態の検出値と、内燃機関の負荷に対応して設定された基準値とを比較し、大きさの異なる複数の負荷における前記検出値と前記基準値との差が、低負荷側ほど大きいか否かを判定する負荷依存性判定手段とを具備し、
該負荷依存性判定手段で肯定判断されたことを条件として前記漏れ異常と判定する内燃機関の吸気系故障検知装置。 - 請求項1記載の内燃機関の吸気系故障検知装置において、前記吸入状態の検出値と前記基準値とを比較して、検出値が基準値から所定範囲を越えて外れているか否かを判定する変化幅判定手段を具備せしめ、
該変化幅判定手段で肯定判断されたことを条件として前記漏れ異常と判定する内燃機関の吸気系故障検知装置。 - 請求項2記載の内燃機関の吸気系故障検知装置において、前記変化幅判定手段で肯定判断されると、前記吸入状態の検出値が異常値をとった旨の情報をセットし、前記負荷依存性判定手段が肯定判断されると、前記情報をリセットする情報設定手段を具備せしめた内燃機関の吸気系故障検知装置。
- 請求項1ないし3いずれか記載の内燃機関の吸気系故障検知装置において、前記基準値を内燃機関の運転状態に基づいて補正する補正手段を具備せしめた内燃機関の吸気系故障検知装置。
- 請求項1ないし4いずれか記載の内燃機関の吸気系故障検知装置において、
内燃機関の運転状態が予め設定した所定の状態にあるか否かを判定し、否定判断されると、漏れ異常の判定を禁止する漏れ異常判定禁止手段を具備せしめた内燃機関の吸気系故障検知装置。 - 請求項5記載の内燃機関の吸気系故障検知装置において、
前記所定の状態は、定常状態とみなせる運転状態である内燃機関の吸気系故障検知装置。 - 請求項1ないし6いずれか記載の内燃機関の吸気系故障検知装置において、
前記漏れ異常と判定されると、その旨の警報を発する警報手段を具備せしめた内燃機関の吸気系故障検知装置。 - 請求項1ないし7いずれか記載の内燃機関の吸気系故障検知装置を備えた内燃機関であって、
前記吸入状態が、前記スロットルバルブよりも下流の吸気圧をパラメータとしており、
前記漏れ異常と判定されると、内燃機関の出力を低下せしめる出力低下手段を具備せしめた内燃機関。 - 請求項8記載の内燃機関において、前記出力低下手段を、低負荷側ほど出力低下量が大きくなるように設定した内燃機関。
- 請求項8または9いずれか記載の内燃機関において、前記出力低下手段を、前記吸入状態の検出値と前記基準値との差が大きいほど出力低下量が大きくなるように設定した内燃機関。
- 請求項8ないし10いずれか記載の内燃機関において、前記出力低下手段を、車速が遅いほど出力低下量が大きくなるように設定した内燃機関。
- 請求項1ないし7いずれか記載の内燃機関の吸気系故障検知装置を備えた内燃機関であって、
前記吸入状態が、前記スロットルバルブよりも上流の吸気量をパラメータとしており、
前記漏れ異常と判定されると、燃料の噴射量を増量せしめる噴射量増量手段を具備せしめた内燃機関。 - 請求項12記載の内燃機関において、前記噴射量増量手段を、低負荷側ほど噴射量の増量幅が大きくなるように設定した内燃機関。
- 請求項12または13いずれか記載の内燃機関において、前記噴射量増量手段を、前記吸入状態の検出値と前記基準値との差が大きいほど増量幅が大きくなるように設定した内燃機関。
- 請求項12ないし13いずれか記載の内燃機関において、前記漏れ異常と判定されると、内燃機関の出力を低下せしめる出力低下手段を具備せしめた内燃機関。
- 請求項8ないし15いずれか記載の内燃機関において、前記漏れ異常と判定されると、吸気系の漏れ異常以外の異常の検知を禁止するその他異常検知禁止手段を具備せしめた内燃機関。
- 吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関に設けられ、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を検知する内燃機関の吸気系故障検知装置において、
前記吸入状態の検出値と、内燃機関の負荷に対応して設定された基準値とを比較して、検出値が基準値から所定範囲を越えて外れているか否かを判定する変化幅判定手段と、
該変化幅判定手段で肯定判断されると、前記吸入状態の検出値が異常値をとった旨の情報をセットし、前記漏れ異常と最終判断されると、前記情報をリセットする情報設定手段とを具備せしめたことを特徴とする内燃機関の吸気系故障検知装置。 - 吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関であって、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を検知する吸気系故障検知装置を有する内燃機関において、
前記漏れ異常と判定されると、燃料の噴射量を増量せしめる噴射量増量手段を具備せしめたことを特徴とする内燃機関。 - 吸気系における空気の吸入状態の検出値に基づいて燃料噴射量を設定する内燃機関であって、スロットルバルブよりも下流における吸気系の漏れ異常を検知する吸気系故障検知装置を有する内燃機関において、
前記漏れ異常と判定されると、吸気系の漏れ異常以外の異常の検知を禁止するその他異常検知禁止手段を具備せしめたことを特徴とする内燃機関。
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