JP2003254135A - 空燃比センサの異常診断装置 - Google Patents

空燃比センサの異常診断装置

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JP2003254135A
JP2003254135A JP2002060496A JP2002060496A JP2003254135A JP 2003254135 A JP2003254135 A JP 2003254135A JP 2002060496 A JP2002060496 A JP 2002060496A JP 2002060496 A JP2002060496 A JP 2002060496A JP 2003254135 A JP2003254135 A JP 2003254135A
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air
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ratio sensor
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Kazuhiro Yamada
一博 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】触媒の上流に設けられる空燃比センサについ
て、装置コストを最小限に抑えつつ、その特性ずれ等の
異常をより精度よく診断することのできる空燃比センサ
の異常診断装置を提供する。 【解決手段】ガソリン機関1の制御装置(ECU)2
は、空燃比センサ5により検出される空燃比と酸素セン
サ6により検出される空燃比とが一致せず、且つ燃料噴
射補正量が所定値よりも大きいといった状態が所定時間
継続するときに空燃比センサ5の特性がずれていると判
定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車載内燃機関の
空燃比フィードバック制御に用いられる空燃比センサに
ついてその異常の有無を診断する空燃比センサの異常診
断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、車載内燃機関では通常、
その排気通路に設けられる触媒によって、排気に含まれ
る有害成分(HC、CO、NOx等)を浄化するように
している。そして、この浄化作用は、理論空燃比(約1
4.7)での燃焼が行われるときに最もその効率が高く
なることもよく知られている。なお、理論空燃比での燃
焼は基本的に完全燃焼となるため、機関運転状態として
も良好な状態といえる。このように、車載内燃機関にお
いては、理論空燃比での燃焼を行うことが重要な要素と
なっており、その意味からも、空燃比制御の精度向上
は、排気エミッションやドライバビリティの面で特に重
要である。
【0003】そこで、近年の空燃比フィードバック制御
では、排気中の酸素濃度に応じてリニアに空燃比を検出
することのできる空燃比センサ、例えば限界電流式の空
燃比センサが用いられることも多い。このような空燃比
センサによれば、空燃比がリーン或いはリッチであるこ
とを検出するのみならず、その度合いをも検出すること
ができるため、その検出された空燃比と目標空燃比との
偏差に応じた燃料噴射量の補正を行う場合であれ、より
精度の高い補正が可能となる。
【0004】この空燃比センサの出力特性を図2に示
す。この空燃比センサの場合、通常は図2に実線にて示
されるように、理論空燃比においてその出力電流が
「0」になる。そして、空燃比がリッチになるにつれて
その出力電流は小さくなり、また空燃比がリーンになる
につれてその出力電流は大きくなる。このため、この空
燃比センサを用いた空燃比フィードバック制御では、同
空燃比センサの出力電流が「0」のときに実空燃比が理
論空燃比にあるという大前提のもとに制御が行われる。
すなわち、空燃比を理論空燃比にしようとするときに
は、この空燃比センサの出力電流が「0」になるよう、
燃料噴射量が増量補正、或いは減量補正される。
【0005】このように、空燃比フィードバック制御に
おいては、空燃比センサの出力そのものが直接モニタさ
れる。このため、この出力が実際の空燃比を反映しなく
なるような場合、すなわち、空燃比センサ自身に何らか
の異常が来しているような場合には、空燃比の制御精度
が大きく低下してしまう。
【0006】そこで従来より、上記空燃比センサの異常
の有無を診断するための装置が種々提案されている。例
えば、特開平8―270482号公報に記載の空燃比セ
ンサの異常診断装置では、目標空燃比が急変したときの
その変化量と同変化量に対応する空燃比補正係数との比
が所定範囲内にあるか否かにより、空燃比センサの異常
を判定するようにしている。このような異常診断装置に
よれば、先の図2に実線にて示した出力特性の傾きが変
化し、実空燃比と出力電流との対応がずれてしまうとい
った空燃比センサの異常についてこれを検出することが
できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば、図
2に一点鎖線や二点鎖線にて示されるように、傾き自体
は正常時の実線にて示される特性と同一であっても、理
論空燃比(14.7)において電流値が「0」とならな
いような特性ずれが生じている場合には、やはり実空燃
比と出力電流との対応関係はずれてしまう。なお以降で
は、図2に一点鎖線にて示されるように、実空燃比が理
論空燃比であるにもかかわらずリーンを示す電流値が出
力される空燃比センサの特性異常をリーンずれという。
他方、図2に二点鎖線にて示されるように、実空燃比が
理論空燃比であるにもかかわらずリッチを示す電流値が
出力される空燃比センサの特性異常をリッチずれとい
う。
【0008】そして、空燃比が理論空燃比となるように
フィードバック制御する場合において、このような空燃
比センサの異常、例えば、空燃比センサにリーンずれが
生じているときには、その出力電流を「0」にするべ
く、燃料噴射量の増量補正が行われる。そのため、実空
燃比はリッチとなり、空燃比センサの出力から推定され
る空燃比(理論空燃比)と実空燃比(リッチ)との間に
は誤差が生じてしまう。一方、空燃比センサにリッチず
れが生じているときには空燃比センサの出力電流を
「0」にするべく、燃料噴射量の減量補正が行われる。
そのため、実空燃比はリーンとなり、空燃比センサの出
力から推定される空燃比(理論空燃比)と実空燃比(リ
ーン)との間には誤差が生じてしまう。
【0009】しかしながら、空燃比フィードバック制御
では上述のように、実空燃比がどのようであろうと、あ
くまで空燃比センサの出力に依存して燃料噴射量の制御
が行われる。そのため、空燃比フィードバック制御自体
は、空燃比センサの正常時と何ら変わることなく維持さ
れ、実空燃比のみが理論空燃比からリッチ側、あるいは
リーン側にずれた状態となる。しかも、このような空燃
比センサのリーンずれ、或いはリッチずれは、空燃比セ
ンサとしての出力特性の傾きそのものは正常時と同じで
あるため、上記公報に記載の異常診断装置ではこの異常
を検出することができない。
【0010】なお従来、このようなリーンずれやリッチ
ずれを検出できるものとして、例えば特開平9―166
569号公報に記載の装置も知られてはいる。ちなみ
に、この空燃比センサの異常診断装置では、排気通路に
触媒を挟んで2つの空燃比センサを設け、以下の要領で
それらセンサの異常を検出している。
【0011】(イ)定常走行かつ目標空燃比急変時に、
空燃比補正量の変化量(挙動)から実空燃比を推測し、
それを上流側センサの出力から算出した空燃比と比較す
ることにより、上流側センサの正常・異常を判別。
【0012】(ロ)上流側センサが正常であった場合、
上流・下流側センサから算出した空燃比の中心値を比較
することにより、下流側センサの正常・異常を判別。ま
ず、上記(イ)の方法であるが、空燃比補正量は通常、
センサ出力だけではなく、インジェクタ、フューエルポ
ンプ等の特性によっても補正される。このため、たとえ
空燃比補正量が偏ったとしても、それがセンサの特性ず
れにより過補正されたものか、インジェクタ、フューエ
ルポンプ等のばらつきを正しく補正した結果かは判別で
きない。すなわち、空燃比補正量の変化量(挙動)から
だけでは実空燃比は算出できず、この(イ)の方法は非
現実的である。また、この(イ)の方法では、判定が、
定常走行かつ目標空燃比急変時に限られており、このよ
うな条件は通常成立し難い。
【0013】一方、上記(ロ)の方法では、上流側セン
サはそれ単独で異常を検出し、この上流側センサが正常
であった場合に限り、それら空燃比の中心値を単純に比
較することによって下流側センサの異常の有無を判別し
ている。しかし、現実には、上流側センサの信号を真と
して空燃比フィードバック制御が行われるため、上流側
センサの特性がずれた場合でも、センサ信号は正常時と
変わらない。そして、少なくとも上流側センサの診断方
法(上記(イ)の方法)そのものが、信頼性の低い非現
実的な方法であることは上述したとおりである。
【0014】また何よりも、空燃比センサ自体が高価で
あり、このような高価な空燃比センサを2つ必要とする
この異常診断装置の場合、実用性の面でも問題を残すも
のとなっている。
【0015】この発明はこうした実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、触媒の上流に設けられる空
燃比センサについて、装置コストを最小限に抑えつつ、
その特性ずれ等の異常をより精度よく診断することので
きる空燃比センサの異常診断装置を提供することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段及びその作用効果について以下に記載する。請求
項1に記載に発明は、内燃機関の排気浄化用触媒の上流
側に設けられて空燃比の変化に応じたリニアな値を出力
する空燃比センサと、同排気浄化用触媒の下流側に設け
られて空燃比がリッチ或いはリーンであることを検出す
る酸素センサと、前記空燃比センサにより検出される空
燃比に基づいて前記内燃機関に対する燃料噴射量の補正
量を算出する燃料噴射量補正手段と、前記酸素センサに
より検出される空燃比に基づいて前記燃料噴射量の補正
量に対する修正量を算出する補正量修正手段とを備えて
空燃比フィードバック制御を行いつつ、前記空燃比セン
サの異常の有無を診断する装置であって、前記酸素セン
サの出力と前記燃料噴射量補正手段により算出される補
正量とから予想される空燃比と、前記空燃比センサの出
力とが異なることに基づいて前記空燃比センサの特性ず
れを検出する特性ずれ検出手段を備えることをその要旨
とする。
【0017】空燃比フィードバック制御にあっては前述
のように、空燃比センサの出力が例えばリーンとなって
いるときには、この空燃比センサから出力される電流値
に応じた燃料噴射量の増量補正が行われる。このため実
空燃比はリッチになりやすく、これを反映して酸素セン
サの出力はリッチを示すようになる。すなわち、燃料噴
射量の増量補正が行われて酸素センサの出力もリッチを
示すときには、実空燃比がリッチであると予想できる。
しかし、このような場合であっても、空燃比センサの出
力がなおリーンを示し続けるときには、空燃比センサの
特性がリーン側にずれていると推測できる。同様にし
て、空燃比センサの特性がリッチ側にずれていることも
もちろん推測できる。こういった酸素センサの出力と燃
料噴射量の補正量とから予想される実空燃比と、空燃比
センサの出力とを比較する上記請求項1に記載の構成に
よれば、空燃比センサの特性ずれを簡便、且つ的確に診
断することができるようになる。しかもこの場合、触媒
の下流側に設けられるセンサとして安値な酸素センサを
利用することができるため、診断装置としてのコストも
低く抑えることができるようにもなる。
【0018】請求項2に記載の発明は、内燃機関の排気
浄化用触媒の上流側に設けられて空燃比の変化に応じた
リニアな値を出力する空燃比センサと、同排気浄化用触
媒の下流側に設けられて空燃比がリッチ或いはリーンで
あることを検出する酸素センサと、前記空燃比センサに
より検出される空燃比に基づいて前記内燃機関に対する
燃料噴射量の補正量を算出する燃料噴射量補正手段と、
前記酸素センサにより検出される空燃比に基づいて前記
燃料噴射量の補正量に対する修正量を算出する補正量修
正手段とを備えて空燃比フィードバック制御を行いつ
つ、前記空燃比センサの異常の有無を診断する装置であ
って、前記空燃比センサにより検出される空燃比と前記
酸素センサにより検出される空燃比とが一致せず、且つ
前記燃料噴射量補正手段により算出される補正量が所定
値よりも大きい状態が所定時間継続されるときに前記空
燃比センサの特性がずれていると判定する特性ずれ検出
手段を備えることをその要旨とする。
【0019】例えば、空燃比センサの特性が前述したリ
ーンずれとなっている場合には、空燃比センサの出力が
「0」となる空燃比から実空燃比が理論空燃比となる範
囲において、空燃比センサからは何らかの正の電流が出
力される(図2参照)。このため、同センサによる空燃
比の検出結果はリーンとなる。そして、この結果をもと
に空燃比フィードバック制御が行われる場合には、酸素
センサの出力はリッチとなり、両者の検出結果は一致し
なくなる。ただし、こうした状態は空燃比センサが正常
であっても起こる可能性はある。例えば、前記酸素セン
サはある基準値を境にしてリーン、或いはリッチを判定
しているため、基準値近傍の出力がなされている状態で
は、わずかな空燃比の変化でリーンとリッチとの判定が
反転してしまう。また、空燃比センサも出力電流が
「0」となる近傍の状態では、わずかな空燃比の変化で
リーンとリッチとの判定が反転してしまう。そのため、
上述した空燃比センサと酸素センサとの検出結果の相違
だけでは正確に空燃比センサの異常を判定することはで
きない。
【0020】ここで、空燃比センサの出力に基づく燃料
噴射量の補正量に注目すると、空燃比センサのリーンず
れに起因して、空燃比センサの出力がリーンであって酸
素センサの出力がリッチである場合には、空燃比センサ
の出力電流に応じた燃料噴射量の増量補正が行われる。
そのため、空燃比センサが正常である場合と比較して燃
料噴射量の増量側への補正量が大きくなる。従って、前
記空燃比センサにより検出される空燃比と前記酸素セン
サにより検出される空燃比とが一致せず、且つ燃料噴射
補正量が所定値よりも大きいといった条件が満たされる
ときには空燃比センサに異常があると推定することがで
きる。ただし、この条件は、空燃比センサが正常であっ
ても、例えば機関運転状態が変化するとき等には満たさ
れてしまう可能性がある。しかし、この条件が所定時間
継続して満たされる場合には、明らかに空燃比センサに
異常があると判定することができる。
【0021】そこで、請求項2に記載の構成では、特性
ずれ検出手段により、前記空燃比センサにより検出され
る空燃比と前記酸素センサにより検出される空燃比とが
一致せず、且つ前記燃料噴射量補正手段により算出され
る燃料噴射補正量が所定値よりも大きい状態が所定時間
継続されるときに前記空燃比センサの特性がずれている
と判定するようにしている。そのため、より的確に空燃
比センサの特性ずれを診断することができるようにな
る。またこの場合も、触媒の下流側に設けられるセンサ
として安値な酸素センサを利用することができるため、
診断装置としてのコストも低く抑えることができるよう
になる。
【0022】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の空燃比センサの異常診断装置において、前記特性ずれ
検出手段は、前記空燃比センサにより検出される空燃比
がリーンであり、前記酸素センサにより検出される空燃
比がリッチであって、且つ、前記燃料噴射補正量の増量
値が所定値以上であるという条件が所定時間継続される
ときに前記空燃比センサの特性がリーン側にずれている
と判定することをその要旨とする。
【0023】同構成によれば、空燃比センサの特性が特
にリーンずれとなっている場合について、その旨を的確
に診断することができるようになる。請求項4に記載の
発明は、請求項2に記載の空燃比センサの異常診断装置
において、前記特性ずれ検出手段は、前記空燃比センサ
により検出される空燃比がリーンであり、前記酸素セン
サにより検出される空燃比がリッチであって、且つ、前
記燃料噴射補正量の増量値が所定値以上であるという条
件が所定時間継続され、且つ前記補正量修正手段により
算出される修正量の平均値が減量側の所定値よりも大き
いときに前記空燃比センサの特性がリーン側にずれてい
ると判定することをその要旨とする。
【0024】前記触媒では、排気中の有害成分が浄化さ
れる際に酸素の放出が行われ、この影響を受けて触媒の
下流側に設けられる酸素センサの出力はリーンになる。
そして、この酸素センサの出力に基づいて前記補正量修
正手段により、燃料噴射補正量が増量修正される。ま
た、前記触媒では、酸素の消費も行われ、この影響を受
けて触媒の下流側に設けられる酸素センサの出力はリッ
チになる。そして、この酸素センサの出力に基づいて前
記補正量修正手段により、燃料噴射補正量が減量修正さ
れる。この触媒での酸素消費が長時間継続する場合に
は、酸素センサにより検出される空燃比が長時間リッチ
に張り付いてしまう。この場合には、酸素センサにより
検出されるリッチが触媒の酸素消費によるものなのか、
空燃比センサのリーンずれに起因するものなのかを区別
することができないため、場合によっては空燃比センサ
が正常であるにもかかわらず、請求項3に記載の条件を
満たしてしまい、空燃比センサの特性が異常であると誤
検出されるおそれがある。
【0025】ここで、空燃比センサが正常の場合には、
実空燃比は理論空燃比を中心に制御される。また、ある
程度の長時間でとらえると触媒での酸素放出時間と消費
時間とはほぼ同じになる。従って、このときの前記修正
量の平均値に注目すると、その値はほぼ「0」に近い値
となる。一方、空燃比センサの特性がリーンにずれてい
る場合には、実空燃比はリッチ傾向になるため、酸素セ
ンサによる空燃比の検出もリッチ判定が多くなる。従っ
て、上記修正量は減量されることが多くなり、同修正量
の平均値は減量側に大きくなる。この点、この空燃比セ
ンサのリーンずれと前記修正量の傾向に着目した請求項
4に記載の構成によれば、前記請求項3に記載の発明の
条件に加え、更に、前記補正量修正手段により算出され
る修正量の平均値が減量側の所定値よりも大きいときに
前記空燃比センサの特性がリーン側にずれていると判定
される。従って、触媒での酸素消費が長時間継続する場
合に起こりやすい空燃比センサのリーンずれに関する誤
診断を好適に抑制することができるようになる。
【0026】請求項5に記載に発明は、請求項2に記載
の空燃比センサの異常診断装置において、前記特性ずれ
検出手段は、前記空燃比センサにより検出される空燃比
がリッチであり、前記酸素センサにより検出される空燃
比がリーンであって、且つ、前記燃料噴射補正量の減量
値が所定値以上であるという条件が所定時間継続される
ときに前記空燃比センサの特性がリッチ側にずれている
と判定することをその要旨とする。
【0027】上記請求項3に記載の発明では、空燃比セ
ンサの特性が前述したリーンずれとなっている場合につ
いて言及したが、同センサ特性がリッチずれとなってい
る場合であれ、リーン/リッチの関係が逆になるだけ
で、基本的には同様の原理に基づいてその診断を行うこ
とができる。そして、この請求項5に記載の発明によれ
ば、空燃比センサの特性が特にリッチずれとなっている
場合について、その旨を的確に診断することができるよ
うになる。
【0028】請求項6に記載に発明は、請求項2に記載
の空燃比センサの異常診断装置において、前記特性ずれ
検出手段は、前記空燃比センサにより検出される空燃比
がリッチであり、前記酸素センサにより検出される空燃
比がリーンであって、且つ、前記燃料噴射補正量の減量
値が所定値以上であるという条件が所定時間継続され、
且つ前記補正量修正手段により算出される修正量の平均
値が増量側の所定値よりも大きいときに前記空燃比セン
サの特性がリッチ側にずれていると判定することをその
要旨とする。
【0029】前述したように、前記触媒での酸素放出が
長時間継続する場合には、空燃比センサが正常であるに
もかかわらず、請求項5に記載の条件を満たしてしま
い、空燃比センサの特性が異常であると誤検出されるお
それがある。
【0030】ここで、空燃比センサの特性がリッチにず
れている場合には、実空燃比はリーン傾向になるため、
酸素センサによる空燃比の検出もリーン判定が多くな
る。従って、上記修正量は増量されることが多くなり、
同修正量の平均値は増量側に大きくなる。この点、この
空燃比センサのリッチずれと前記修正量の傾向に着目し
た請求項6に記載の構成によれば、前記請求項5に記載
の発明の条件に加え、更に、前記補正量修正手段により
算出される修正量の平均値が増量側の所定値よりも大き
いときに前記空燃比センサの特性がリッチ側にずれてい
ると判定される。従って、触媒での酸素放出が長時間継
続する場合に起こりやすい空燃比センサのリッチずれに
関する誤診断を好適に抑制することができるようにな
る。
【0031】請求項7に記載の発明は、請求項2に記載
の空燃比センサの異常診断装置において、前記特性ずれ
検出手段は、前記空燃比センサにより検出される空燃比
がリーンであり、前記酸素センサにより検出される空燃
比がリッチであって、且つ、前記燃料噴射補正量の増量
値が所定値以上であるという条件が所定時間継続される
ときに前記空燃比センサの特性がリーン側にずれている
と判定し、前記空燃比センサにより検出される空燃比が
リッチであり、前記酸素センサにより検出される空燃比
がリーンであって、且つ、前記燃料噴射補正量の減量値
が所定値以上であるという条件が所定時間継続されると
きに前記空燃比センサの特性がリッチ側にずれていると
判定することをその要旨とする。
【0032】同構成によれば、空燃比センサの特性がリ
ーン側にずれている状態及びリッチ側にずれている状態
の双方についてこれを的確に診断することができるよう
になる。
【0033】請求項8に記載の発明は、請求項2に記載
の空燃比センサの異常診断装置において、前記特性ずれ
検出手段は、前記空燃比センサにより検出される空燃比
がリーンであり、前記酸素センサにより検出される空燃
比がリッチであって、且つ、前記燃料噴射補正量の増量
値が所定値以上であるという条件が所定時間継続され、
且つ前記補正量修正手段により算出される修正量の平均
値が減量側の所定値よりも大きいときに前記空燃比セン
サの特性がリーン側にずれていると判定し、前記空燃比
センサにより検出される空燃比がリッチであり、前記酸
素センサにより検出される空燃比がリーンであって、且
つ、前記燃料噴射補正量の減量値が所定値以上であると
いう条件が所定時間継続され、且つ前記補正量修正手段
により算出される修正量の平均値が増量側の所定値より
も大きい場合に前記空燃比センサの特性がリッチ側にず
れていると判定することをその要旨とする。
【0034】同構成によれば、触媒での酸素消費又は酸
素放出が長時間継続する場合においても、空燃比センサ
の特性がリーン側にずれている状態、及びリッチ側にず
れている状態についての誤診断を好適に抑制することが
できるようになる。
【0035】請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の
いずれかに記載の空燃比センサの異常診断装置におい
て、前記空燃比センサの特性がずれていると判定される
ときには、前記空燃比フィードバック制御の実行を禁止
する空燃比制御禁止手段を更に備えることをその要旨と
する。
【0036】実空燃比を反映していない空燃比センサの
出力に基づいて燃料噴射量が補正されると、空燃比が過
度にリーン、或いはリッチになり、排気エミッションや
ドライバビリティ等が悪化するおそれがある。しかしな
がら、この請求項9に記載の構成によれば、前記空燃比
センサの特性がずれていると判定されるときには、同空
燃比センサを用いた空燃比フィードバック制御が禁止さ
れるため、上記不具合の発生も未然に防止されるように
なる。
【0037】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、この発
明にかかる空燃比センサの異常診断装置を具体化した第
1の実施形態について図1〜図5に基づいて詳細に説明
する。
【0038】図1は、本実施形態にかかる空燃比センサ
の異常診断装置、これが適用されるガソリン機関1、並
びにそれらの周辺構成を示す概略構成図である。このガ
ソリン機関1は、周知のように、吸気通路から吸入され
る空気及び燃料噴射弁から噴射される燃料からなる混合
気がシリンダ及びピストンによって区画形成される燃焼
室に吸入される。そして、この混合気は燃焼室に備えら
れる点火プラグにより点火されて燃焼され、燃焼後は排
気ガスとして前記燃焼室から排気通路3へ排出される。
【0039】なお、ガソリン機関1の燃焼室に取り込ま
れる空気量は、吸気通路の途中に設けられるスロットル
弁によって調量される。一方、前記排気通路3の途中に
は触媒4が取り付けられている。この触媒4は、いわゆ
る三元触媒であり、理論空燃比近傍での燃焼が行われる
状態において、排気中のHCやCOを酸化するとともに
同排気中のNOxを還元して排気を浄化する作用を有し
ている。
【0040】この触媒4の上流側の排気通路3には空燃
比センサ5が設けられている。この空燃比センサ5は、
周知の限界電流式酸素センサである。この限界電流式酸
素センサは、濃淡電池式酸素センサの検出部に拡散律速
層と呼ばれるセラミック層を備えることにより排気中の
酸素濃度に応じた出力電流が得られるセンサであり、排
気中の酸素濃度と密接な関係にある空燃比と同センサの
出力電流との関係は、通常、先の図2に実線にて示され
るようになっている。すなわち、理論空燃比においてそ
の出力電流は「0」になる。また、空燃比がリッチにな
るにつれて出力電流は負の方向に大きくなり、空燃比が
リーンになるにつれて出力電流は正の方向に大きくな
る。従って、この空燃比センサ5の出力から現在の空燃
比のリーン度合いやリッチ度合いを検出することができ
る。
【0041】また、触媒4の下流側の排気通路3には酸
素センサ6が設けられている。この酸素センサ6は、周
知の濃淡電池式酸素センサである。この濃淡電池式酸素
センサの出力特性は、図3に示されるように理論空燃比
近傍でその出力電圧が大きく変化するようになってい
る。従って、この酸素センサ6の出力からは、現在の空
燃比がリーンとなっているかリッチとなっているかのみ
を判定することができる。なお、この酸素センサ6は、
触媒での排気浄化作用の状態を監視するために、触媒4
の下流側に設けられている。従って、触媒4の上流側の
空燃比が理論空燃比になっていても、同触媒4での還元
作用が促進されており、排気中に酸素が放出されている
ときには、酸素センサ6の出力はリーンになる。また、
触媒4での酸化作用が促進されており、排気中の酸素が
消費されているときには、酸素センサ6の出力はリッチ
になる。
【0042】上記ガソリン機関1の点火時期や燃料噴射
量等の各種制御は、制御装置(以下、ECUという)2
によって行われる。このECU2は中央処理制御装置
(CPU)を備えるマイクロコンピュータを中心として
構成されている。すなわち、各種プログラムやマップ等
を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演
算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RA
M)、演算結果や予め記憶されたデータ等を機関停止後
も保存するためバックアップRAM、入力インターフェ
ース、出力インターフェース等を備えた構成となってい
る。また、このECU2には、水温センサやガソリン機
関1の出力軸近傍に設けられて機関回転速度やクランク
角を検出するクランク角センサ等、ガソリン機関1の運
転状態を計測する各種センサからの情報が入力される。
特に、本実施形態に関連していえば、このECU2には
前記空燃比センサ5や酸素センサ6の出力が入力され、
この入力値に基づいて前記燃料噴射弁から噴射される燃
料噴射量が補正されて、空燃比が目標空燃比に制御され
る。なお、この目標空燃比は前記触媒4の排気浄化作用
を引き出すために、通常、理論空燃比が設定される。こ
の空燃比フィードバック制御は従来より行われている制
御であるため、詳細な説明は省略するが、概略は以下の
とおりになっている。
【0043】本実施形態における空燃比フィードバック
制御は、空燃比センサ5により検出される空燃比に基づ
いて基本燃料噴射量に対する補正量を算出する燃料噴射
量補正処理、及び酸素センサ6により検出される空燃比
に基づいて前記補正量を一定量ずつ修正する補正量修正
処理(以下、サブフィードバック制御という)として実
行される。
【0044】具体的にはまず、機関回転速度や負荷に応
じた基本燃料噴射量がECU2により設定される。次
に、空燃比センサ5の出力により、現在の空燃比のリー
ン度合い、或いはリッチ度合いが検出される。上述した
ように、この空燃比センサ5は理論空燃比にて出力電流
が「0」となるセンサであるため、出力される電流値は
そのままリーン度合い、或いはリッチ度合いを表してい
る。そして燃料噴射量補正処理を通じて、この検出され
るリーン度合い、或いはリッチ度合い応じて前記基本燃
料噴射量の補正が行われる。従って、リーン度合いが大
きいほど、基本燃料噴射量に対する増量補正量は大きく
なる。また、リッチ度合いが大きいほど、基本燃料噴射
量に対する減量補正量は大きくなる。一方、現在の空燃
比は酸素センサ6によっても検出されており、この酸素
センサ6の出力により、触媒4を通過した後の空燃比の
リーン、或いはリッチが検出される。そして、前記サブ
フィードバック制御により、この検出結果がリーンであ
れば、前記補正量に対して一定量ずつ増量修正が行わ
れ、検出結果がリッチであれば、一定量ずつ減量修正が
行われる。
【0045】このようにして、サブフィードバック制御
により修正された前記補正量が最終的な補正量となり、
前記基本燃料噴射量にこの補正量が反映される。その結
果、運転状態が変化するなどしても空燃比が理論空燃比
に制御される。
【0046】ところで、上述したように、空燃比フィー
ドバック制御における燃料噴射量補正処理では、空燃比
センサ5の出力電流が「0」であるときに現在の空燃比
が理論空燃比であると推定している。そのため、図2に
一点鎖線や二点差線にて示されるように、空燃比センサ
5の特性がリーンずれ、或いはリッチずれとなっている
ときには、目標空燃比が理論空燃比であるにもかかわら
ず、実空燃比はリッチ、或いはリーンに収束してしま
う。この場合には、触媒4の排気浄化作用が低下して排
気エミッションが悪化したり、失火の発生によりドライ
バビリティが悪化するといった不具合が生じてしまう。
【0047】そこでいま、例えば図2に一点鎖線にて示
されるような空燃比センサ5のリーンずれが生じている
場合を考える。空燃比センサ5の特性がリーンずれとな
っている場合には、空燃比センサ5の出力が「0」とな
る空燃比から実空燃比が理論空燃比となる範囲におい
て、空燃比センサ5の出力はリーンであり、酸素センサ
6の出力はリッチであって両者の検出結果は一致しな
い。また、空燃比センサ5の出力に基づく燃料噴射量の
補正量に注目すると、空燃比センサ5の特性がリーンず
れになっている場合には、実空燃比が理論空燃比の時に
空燃比センサ5の出力はリーンであるため、このリーン
度合いに応じた燃料噴射量の増量補正が行われる。その
ため、空燃比センサ5が正常である場合と比較して燃料
噴射量の補正量が大きくなる。従って、以下の判定条
件、・前記空燃比センサ5により検出される空燃比と前
記酸素センサ6により検出される空燃比とが一致せず、
且つ燃料噴射補正量が大きい。といった条件が満たされ
るときには空燃比センサ5に異常があると推定すること
ができる。
【0048】ただし、この条件は、空燃比センサ5が正
常であっても、例えば機関運転状態が変化するとき等に
は満たされてしまう可能性がある。しかし、この条件が
所定時間継続して満たされる場合には、明らかに空燃比
センサ5に異常があると判定することができる。
【0049】そこで、本実施形態では上記の判定条件を
用いることにより、前記空燃比センサ5の異常のうち、
リーンずれを検出するようにしている。図4及び図5の
フローチャートは、本実施形態にかかる空燃比センサ5
のリーンずれ異常診断処理についてその概要を示してい
る。この処理はECU2により、実際には所定時間毎に
行われる処理である。
【0050】本処理が開始されると、まず、空燃比フィ
ードバック制御が行われているか否かが判定される(図
4のステップS110)。ここで、空燃比フィードバッ
ク制御が行われる条件としてはガソリン機関1の冷却水
温が所定値以上であって、且つ高負荷高回転の運転状態
ではないことなどが挙げられる。また、空燃比センサ5
の出力特性が不安定なときには異常診断処理が行われな
いように、この図4のステップS110での判定条件と
して、例えば、 ・空燃比センサ5が活性化している。 ・フューエルカットからの復帰後所定時間が経過してい
る。 ・アイドル中ではない。 ・吸入空気量が所定値以上である。 等の条件を追加してもよい。
【0051】空燃比フィーバック制御が行われていない
場合には(図4のステップS110でNO)、燃料噴射
量の補正が行われないため、本処理を終了する。一方、
空燃比フィードバック制御が行われている場合には(図
4のステップS110でYES)、空燃比センサ5の出
力電流IAF、酸素センサ6の出力電圧VAF、燃料噴
射補正量ΔQを読み込む(図4のステップS120)。
【0052】次に、異常仮判定カウンタTEをスタート
させる(図4のステップS130)。そして、前記読み
込まれた値に基づいて空燃比センサ5の特性がリーン側
にずれているか否かが判定される(図4のステップS1
40)。すなわち、空燃比センサ5により検出される空
燃比がリーンであり、酸素センサ6により検出される空
燃比がリッチであって、且つ、燃料噴射補正量ΔQが所
定値以上増量されているか否かが判定される。この判定
は次式(1)〜(3)の論理積を満たしているか否かに
基づいて行われる。
【0053】 空燃比センサ5の出力電流IAF≧リーン判定値IL … (1) 酸素センサ6の出力電圧VAF≧リッチ判定値VR … (2) 燃料噴射補正量ΔQ≧増量補正判定値QB … (3) なお、リーン判定値ILは、空燃比センサ5の出力に基
づいて現在の空燃比がリーンであると判定することので
きる値である。また、リッチ判定値VRは、酸素センサ
6の出力に基づいて現在の空燃比がリッチであると判定
することのできる値である。そして、増量補正判定値Q
Bは、空燃比センサ5の特性がリーン側にずれていると
きに生じやすい、過大な燃料噴射量の増量補正を判定で
きる値である。なおこれらは、それぞれ予め実験等によ
り求められている値である。
【0054】この図4のステップS140での判定が否
定されると(図4のステップS140でNO)、異常仮
判定カウンタTEがリセットされるとともに、正常仮判
定カウンタTTがスタートされ(図5のステップS20
0)、図5のステップS210以降の処理に移行される
が、その詳細については後述する。
【0055】一方、図4のステップS140での判定が
肯定されると(図4のステップS140でYES)、異
常仮判定カウンタTEの値が異常仮判定値TE1以上で
あるか否かが判定される(図4のステップS150)。
この異常仮判定値TE1は上記式(1)〜(3)の論理
積が所定時間継続して満たされているか否かを判定する
ための値であり、異常仮判定カウンタTEの値が異常仮
判定値TE1以上である場合には(図4のステップS1
50でYES)、空燃比センサ5の特性がリーン側に所
定時間継続してずれており、その特性が異常である可能
性があるとして、正常判定カウンタCTが「0」にクリ
アされるとともに異常判定カウンタCEがインクリメン
トされる(図4のステップS140)。
【0056】一方、異常仮判定カウンタTEの値が異常
仮判定値TE1に満たない場合には、図4のステップS
140に戻り、再び上記式(1)〜(3)の論理積が満
たされているか否かが判定される。
【0057】本来ならば、図4のステップS130〜1
50での処理により、空燃比センサ5のリーンずれ異常
は検出できるのであるが、誤検出の可能性を極力少なく
するため、図4のステップS160、ステップS170
の処理が設けられている。すなわち、前記ステップS1
40、ステップS150の処理によりリーンずれの可能
性があると判定されるたびに異常判定カウンタCEはイ
ンクリメントされるため、異常判定カウンタCEの値は
リーンずれであるという仮判定が行われた回数を表すこ
とになる。
【0058】そして、この異常判定カウンタCEの値が
異常判定確定値E1以上である場合には(図4のステッ
プS170でYES)、リーンずれ判定の回数が多く、
確かに空燃比センサ5の特性がリーン側にずれていると
判定される(図4のステップS180)。この場合に
は、空燃比センサ5の出力電流IAFが実空燃比を反映
していないため、その出力電流IAFに基づいて空燃比
フィードバック制御を行っても、正確な空燃比制御はで
きない。場合によっては、実空燃比がリッチ、或いはリ
ーンに収束してしまい、触媒4の排気浄化作用が低下し
て排気エミッションが悪化したり、失火の発生によりド
ライバビリティが悪化するといった不具合が生じてしま
う。そこで、空燃比センサ5の特性がリーン側にずれて
いると判定される場合には空燃比フィードバック制御を
禁止し(図4のステップS190)、本処理を終了す
る。
【0059】一方、図4のステップS170で異常判定
カウンタCEの値が異常判定確定値E1に達していない
場合には(図4のステップS170でNO)、まだ、図
4のステップS140、ステップS150での処理によ
る異常の仮判定回数が少なく、空燃比センサ5のリーン
ずれを確定することはできない。このため、空燃比セン
サ5の異常を確定することなく、本処理を終了する。
【0060】次に、図5のステップS210以降の処理
を説明する。図4のステップS140における上記式
(1)〜(3)の論理積が満たされない場合は、空燃比
センサ5の特性は少なくともリーン側にずれておらず、
正常である可能性がある。そこで、図5のステップS2
10以降の処理では、少なくとも空燃比センサ5の特性
がリーン側にずれていないことが確認される。
【0061】図2に一点鎖線にて示されるように、空燃
比センサ5の特性がリーン側にずれている場合には、実
空燃比がリッチ側にずれている状態で出力電流IAFが
「0」になるため、極端なリッチを示す出力電流IOR
は出力されにくくなる。逆にいえば、極端なリッチを示
す出力電流IORが出力される場合には、少なくともリ
ーン側に特性がずれていないといえる。
【0062】また、空燃比センサ5の特性がリーン側に
ずれている場合には、燃料噴射量が増量されて実空燃比
がリッチ傾向になるため、図3に示されるように、酸素
センサ6は極端なリッチを示す出力電圧VORを出力し
やすくなる。逆にいえば、極端なリッチを示す出力電圧
VORが酸素センサ6から出力されない場合には、少な
くともリーンにずれていないといえる。
【0063】そこで、図5のステップS210では、空
燃比センサ5により検出される空燃比が過度にリッチで
ある、或いは酸素センサ6により検出される空燃比が過
度にリッチではないといった状態か否かが判定される。
この判定は次式(4)、(5)の論理和を満たしている
か否かに基づいて行われる。
【0064】 空燃比センサ5の出力電流IAF<過剰リッチ判定値IOR … (4) 酸素センサ6の出力電圧VAF<過剰リッチ判定値VOR … (5) なお、過剰リッチ判定値IORは、空燃比センサ5によ
り検出される空燃比が過剰にリッチであり、少なくとも
その特性がリーン側にずれていないことを判定すること
のできる値である。また、過剰リッチ判定値VORは、
酸素センサ6により検出される空燃比が過剰にリッチで
ないため空燃比センサ5の特性がリーン側にずれていな
いと判定できる値である。なおこれらは、それぞれ予め
実験等により求められている値である。
【0065】この図5のステップS210での判定が否
定されると(図5のステップS210でNO)、正常仮
判定カウンタTTがリセットされ(図5のステップS2
60)、本処理を終了する。従って、この場合には異常
判定カウンタCE及び正常判定カウンタCTの値はいず
れも現状の値が保持される。
【0066】一方、図5のステップS210での判定が
肯定されると(図5のステップS210でYES)、正
常仮判定カウンタTTの値が正常仮判定値TT1以上で
あるか否かが判定される(図5のステップS220)。
この正常仮判定値TT1は上記式(4)、(5)の論理
和が所定時間継続して満たされているか否かを判定する
ための値であり、正常仮判定カウンタTTの値が正常仮
判定値TT1以上である場合には(図5のステップS2
20でYES)、空燃比センサ5の特性が少なくともリ
ーン側にはずれていない可能性があるとして、異常判定
カウンタCEが「0」にクリアされるとともに正常判定
カウンタCTがインクリメントされる(図5のステップ
S230)。
【0067】本来ならば、図5のステップS200〜ス
テップS220での処理により、空燃比センサ5の特性
は少なくともリーン側にずれていないといえるのである
が、誤検出の可能性を極力少なくするため、図5のステ
ップS230、ステップS240の処理が設けられてい
る。すなわち、前記ステップS210、ステップS22
0において少なくともリーン側に特性がずれていない可
能性があると判定されるたびに正常判定カウンタCTは
インクリメントされるため、正常判定カウンタCTの値
は、空燃比センサ5の特性が少なくともリーン側にずれ
ていないと判定された回数を表すことになる。
【0068】そして、この異常判定カウンタCEの値が
正常判定確定値T1以上である場合には(図5のステッ
プS240でYES)、空燃比センサ5の特性が少なく
ともリーン側にずれていないと判定された回数が多いた
め、空燃比センサ5の特性がリーン側にずれていないと
確定され(図5のステップS250)。そして、本処理
を終了する。
【0069】一方、図5のステップS240で正常判定
カウンタCTの値が正常判定確定値T1に達していない
場合には(図5のステップS240でNO)、まだ、図
5のステップS210、ステップS220での肯定判定
の回数が少なく、空燃比センサ5の特性が少なくともリ
ーン側にずれていないと確定することができない。この
ため、空燃比センサ5の正常を確定することなく、本処
理を終了する。
【0070】以後、所定時間毎に本処理が繰り返され
る。以上説明したように、本実施形態にかかる空燃比セ
ンサの異常診断装置によれば、次のような効果が得られ
るようになる。
【0071】(1)空燃比フィードバック制御の実行に
併せて、空燃比センサ5の出力電流IAFとリーン判定
値IL、酸素センサ6の出力電圧VAFとリッチ判定値
VR、燃料噴射補正量ΔQと増量補正判定値QBをそれ
ぞれ式(1)〜(3)に基づき比較することとした。こ
のため、空燃比センサ5の特性がリーン側にずれて、リ
ッチ領域で出力電流IAFが「0」となってしまう異常
を検出することができるようになる。
【0072】(2)上記(1)での比較判定に際し、所
定時間内に継続して肯定判定がなされ、更にその肯定回
数が所定回数以上であるときに、空燃比センサ5の特性
がリーン側にずれて、リッチ領域で出力電流IAFが
「0」となってしまう異常な状態であることを確定する
ようにしている。そのため、機関運転状態が変化すると
きなどに生じやすい異常判定の誤検出を抑制することが
できるようになる。
【0073】(3)空燃比センサ5の特性がリーン側に
ずれていると判定されるときには、空燃比フィードバッ
ク制御を中止するようにしている。そのため、実空燃比
を反映していない空燃比センサ5の出力電流IAFに基
づいて空燃比フィードバック制御が行われる場合の不具
合を未然に防止することができるようになる。すなわ
ち、例えば、実空燃比がリッチ側に収束することによ
り、触媒4の排気浄化作用が低下して排気エミッション
が悪化したり、失火が発生してドライバビリティが悪化
する等の不具合が未然に防止される。
【0074】(4)本実施形態にかかる空燃比センサの
異常診断装置では、空燃比センサ5と酸素センサ6を備
えている。従って、2つの空燃比センサを備える同セン
サの異常診断装置と比較して、コストダウンを図ること
ができる。
【0075】(第2の実施形態)前記第1の実施形態で
は空燃比センサ5の特性がリーン側にずれていることを
検出するための異常診断処理であったが、空燃比センサ
5の特性異常にはリッチ側にずれるといったことも起こ
りうる。そこで、本実施形態では空燃比センサ5の特性
がリッチ側にずれていることを検出するための異常診断
処理を説明する。
【0076】このリッチずれに関しても、第1の実施形
態と同様の原理で診断が可能であり、具体的には、第1
の実施形態における図4のステップS140及び図5の
ステップS210での判定条件を以下のように変更すれ
ばよい。
【0077】まず、図4のステップS140での判定条
件として、空燃比センサ5により検出される空燃比がリ
ッチであり、酸素センサ6により検出される空燃比がリ
ーンであって、且つ、燃料噴射補正量ΔQが所定値以上
減量されているか否かを判定するようにすればよい。こ
の判定は次式(6)〜(8)の論理積を満たしているか
否かに基づいて行われる。
【0078】 空燃比センサ5の出力電流IAF<リッチ判定値IR … (6) 酸素センサ6の出力電圧VAF<リーン判定値VL … (7) 燃料噴射補正量ΔQ<減量補正判定値QS … (8) なお、リッチ判定値IRは、空燃比センサ5の出力に基
づいて現在の空燃比がリッチであると判定することので
きる値である。また、リーン判定値VLは、酸素センサ
6の出力に基づいて現在の空燃比がリーンであると判定
することのできる値である。そして、減量補正判定値Q
Sは、空燃比センサ5の特性がリッチ側にずれていると
きに生じやすい、過大な燃料噴射量の減量補正を判定で
きる値である。なおこれらは、それぞれ予め実験等によ
り求められている値である。
【0079】また、上記式(6)〜(8)の論理積の肯
定が所定時間継続しない場合には、空燃比センサ5の特
性は少なくともリッチ側にずれておらず、正常である可
能性がある。そこで、前記第1の実施形態における図5
のステップS210での処理と同様の原理で、少なくと
も空燃比センサ5の特性がリッチ側にずれていないこと
が確認される。
【0080】図2に二点鎖線にて示されるように、空燃
比センサ5の特性がリッチ側にずれている場合には、実
空燃比がリーン側にずれている状態で出力電流IAFが
「0」になるため、極端なリーンを示す出力電流IOL
は出力されにくくなる。逆にいえば、極端なリーンを示
す出力電流IOLが出力される場合には、少なくともリ
ッチ側に特性がずれていないといえる。
【0081】また、空燃比センサ5の特性がリッチ側に
ずれている場合には、燃料噴射量が減量されて実空燃比
がリーン傾向になるため、図3に示されるように、酸素
センサ6は極端なリーンを示す出力電圧VOLを出力し
やすくなる。逆にいえば、極端なリーンを示す出力電圧
VOLが酸素センサ6から出力されない場合には、少な
くともリッチにずれていないといえる。
【0082】そこで、本実施形態における図5のステッ
プS210では、所定時間内において、空燃比センサ5
により検出される空燃比が過度にリーンである、或いは
酸素センサ6により検出される空燃比が過度にリーンで
はないといった状態か否かが判定される。この判定は次
式(9)、(10)の論理和を満たしているか否かに基
づいて行われる。
【0083】 空燃比センサ5の出力電流IAF≧過剰リーン判定値IOL … (9) 酸素センサ6の出力電圧VAF≧過剰リーン判定値VOL … (10) なお、過剰リーン判定値IOLは、空燃比センサ5によ
り検出される空燃比が過剰にリーンであり、少なくとも
その特性がリッチ側にずれていないことを判定すること
のできる値である。また、過剰リーン判定値VOLは、
酸素センサ6により検出される空燃比が過剰にリーンで
はないため空燃比センサ5の特性がリッチ側にずれてい
ないと判定できる値である。なおこれらも、それぞれ予
め実験等により求められている値である。
【0084】以上説明したように、本実施形態にかかる
空燃比センサの異常診断装置によれば、次のような効果
が得られるようになる。 (1)空燃比フィードバック制御の実行に併せて、空燃
比センサ5の出力電流IAFとリッチ判定値IR、酸素
センサ6の出力電圧VAFとリーン判定値VL、燃料噴
射補正量ΔQと減量補正判定値QSをそれぞれ式(6)
〜(8)に基づき比較することとした。このため、空燃
比センサ5の特性がリッチ側にずれて、リーン領域で出
力電流IAFが「0」となってしまう異常を検出するこ
とができるようになる。
【0085】(2)上記(1)での比較判定に際し、所
定時間内に継続して肯定判定がなされ、更にその肯定回
数が所定回数以上であるときに、空燃比センサ5の特性
がリッチ側にずれて、リーン領域で出力電流IAFが
「0」となってしまう異常な状態であることを確定する
ようにしている。そのため、機関運転状態が変化すると
きなどに生じやすい異常判定の誤検出を抑制することが
できるようになる。
【0086】(3)空燃比センサ5の特性がリッチ側に
ずれていると判定されるときには、空燃比フィードバッ
ク制御を中止するようにしている。そのため、実空燃比
を反映していない空燃比センサ5の出力電流IAFに基
づいて空燃比フィードバック制御が行われる場合の不具
合を未然に防止することができるようになる。すなわ
ち、実空燃比がリーン側に収束することにより、触媒4
の排気浄化作用が低下して排気エミッションが悪化した
り、失火が発生してドライバビリティが悪化する等の不
具合が未然に防止される。
【0087】(4)本実施形態にかかる空燃比センサの
異常診断装置では、空燃比センサ5と酸素センサ6を備
えている。従って、2つの空燃比センサを備える同セン
サの異常診断装置と比較して、コストダウンを図ること
ができる。
【0088】(第3の実施形態)前記第1の実施形態に
おける触媒4では、排気中の有害成分が浄化される際に
酸素の放出が行われ、この影響を受けて触媒の下流側に
設けられる酸素センサ6の出力はリーンになる。そし
て、この酸素センサ6の出力を受けてサブフィードバッ
ク制御により燃料噴射補正量ΔQは一定量ずつ増量修正
される。また、前記触媒4では、酸素の消費も行われ、
この影響を受けて触媒4の下流側に設けられる酸素セン
サ6の出力はリッチになる。そして、この酸素センサ6
の出力を受けて燃料噴射補正量ΔQは一定量ずつ減量修
正される。
【0089】ここで、触媒4での酸素消費が長時間継続
する場合には、酸素センサ6により検出される空燃比が
長時間リッチに張り付いてしまい、酸素センサ6により
検出されるリッチが空燃比センサ5のリーンずれによる
ものなのか、触媒4での酸素消費によるものなのかを区
別することができない。この場合には、いずれの原因に
おいても第1の実施形態における前記式(2)が肯定さ
れるため、場合によっては、空燃比センサ5が正常であ
るにもかかわらず異常であると誤検出されてしまう。
【0090】そこで、本実施形態では、第1の実施形態
において触媒4での酸素消費が長時間継続する場合に生
じうる上記誤検出を抑制するようにしている。すなわ
ち、空燃比センサ5が正常の場合には、実空燃比は理論
空燃比を中心に制御される。また、ある程度の長時間で
とらえると触媒4での酸素放出時間と消費時間とはほぼ
同じになる。従って、このときの前記修正量の平均値に
注目すると、図6の(a)に示されるように、その値は
ほぼ「0」に近い値となる。
【0091】一方、空燃比センサ5の特性がリーン側に
ずれている場合には、実空燃比はリッチ傾向になるた
め、酸素センサ6による空燃比の検出もリッチ判定が多
くなる。そのため、燃料噴射補正量ΔQは一定量ずつ減
量修正されることが多くなり、同修正量の平均値AVG
は図6の(b)に示されるように減量側に大きくなる。
従って、この修正量の平均値AVGと所定の減量修正判
定値SLとを比較することにより、酸素センサ6により
検出されるリッチが、空燃比センサ5のリーンずれによ
るものなのか、触媒4での酸素消費によるものなのかを
区別することができ、上記誤検出を抑制することができ
る。
【0092】実際には、第1の実施形態における図4の
ステップS140の判定条件に、下記の式(11)を追
加すればよい。 修正量の平均値AVG<減量修正判定値SL … (11) なお、減量修正判定値SLは、空燃比センサ5の特性が
リーン側にずれることにより修正量の平均値AVGが減
量側に大きくなっていることを判定することのできる値
であり、予め実験等により求められている値である。
【0093】以上説明したように、本実施形態にかかる
空燃比センサの異常診断装置によれば、次のような効果
が得られるようになる。 (1)空燃比センサ5の特性が正常であって、触媒4で
の酸素消費が長時間継続されている場合には、前記第1
の実施形態の前記式(2)が肯定されるとともに本実施
形態の上記式(11)が否定される。一方、空燃比セン
サ5の特性がリーン側にずれている場合には、前記第1
の実施形態の前記式(2)と本実施形態の上記式(1
1)とがいずれも肯定される。従って、第1の実施形態
における異常診断処理において、触媒4での酸素消費が
長時間継続される場合に起こりうる誤検出を抑制するこ
とができるようになる。
【0094】(第4の実施形態)上記第3の実施形態
は、第1の実施形態において触媒4での酸素消費が長時
間継続される場合の不具合を抑制するものであった。一
方、本実施形態は、第2の実施形態において触媒4での
酸素放出が長時間継続される場合の不具合を抑制するも
のである。
【0095】すなわち、触媒4での酸素放出が長時間継
続する場合には、酸素センサ6により検出される空燃比
が長時間リーンに張り付いてしまい、酸素センサ6によ
り検出されるリーンが空燃比センサ5のリッチずれによ
るものなのか、触媒4での酸素放出によるものなのかを
区別することができない。この場合には、いずれの原因
においても第2の実施形態における式(7)が肯定され
るため、場合によっては、空燃比センサ5が正常である
にもかかわらず異常であると誤検出されてしまう。
【0096】この誤検出も、前記第3の実施形態と同様
の原理で抑制することができる。すなわち、空燃比セン
サが正常の場合には、実空燃比は理論空燃比を中心に制
御される。また、ある程度の長時間でとらえると触媒で
の酸素放出時間と消費時間とはほぼ同じになる。従っ
て、前記燃料噴射補正量ΔQに対して行われる修正量の
平均値に注目すると、図6の(a)に示されるように、
その値はほぼ「0」に近い値となる。
【0097】一方、空燃比センサ5の特性がリッチ側に
ずれている場合には、実空燃比はリーン傾向になるた
め、酸素センサ6による空燃比の検出もリーン判定が多
くなる。そのため、燃料噴射補正量ΔQは一定量ずつ増
量修正されることが多くなり、同修正量の平均値AVG
は増量側に大きくなる。従って、この修正量の平均値A
VGと所定の増量修正判定値BLとを比較することによ
り、酸素センサ6により検出されるリーンが、空燃比セ
ンサ5のリッチずれによるものなのか、触媒4での酸素
放出によるものなのかを区別することができ、上記誤検
出を抑制することができる。
【0098】実際には、第2の実施形態における前記式
(6)〜(8)に下記の式(12)を追加すればよい。 修正量の平均値AVG≧増量修正判定値BL … (12) なお、増量修正判定値BLは、空燃比センサ5の特性が
リッチ側にずれることにより修正量の平均値AVGが増
量側に大きくなっていることを判定することのできる値
であり、予め実験等により求められている値である。
【0099】以上説明したように、本実施形態にかかる
空燃比センサの異常診断装置によれば、次のような効果
が得られるようになる。 (1)空燃比センサ5の特性が正常であって、触媒4で
の酸素放出が長時間継続されている場合には、前記第2
の実施形態の前記式(7)が肯定されるとともに本実施
形態の上記式(12)が否定される。一方、空燃比セン
サ5の特性がリッチ側にずれている場合には、前記第2
の実施形態の前記式(7)と本実施形態の上記式(1
2)とがいずれも肯定される。従って、第2の実施形態
における異常診断処理において、触媒4での酸素放出が
長時間継続される場合に起こりうる誤検出を抑制するこ
とができるようになる。
【0100】(その他の実施形態)なお、上記各実施形
態は以下のように変更してもよく、その場合でもそれら
実施形態に準じた作用及び効果を得ることができる。
【0101】・上記第1及び第3の実施形態における異
常診断処理は、空燃比センサ5の特性がリーン側にずれ
ていることを検出するための処理であり、上記第2及び
第4の実施形態における異常診断処理は、空燃比センサ
5の特性がリッチ側にずれていることを検出するための
処理であった。ここで、空燃比センサ5の異常診断装置
に、上記第1又は第3の実施形態における異常診断処理
と上記第2又は第4の実施形態における異常診断処理と
を備えてもよい。この場合には、空燃比センサ5の特性
がリーン側にずれているという異常、及びリッチ側にず
れているという異常の双方を検出することができるよう
になる。
【0102】・上記各実施形態では、空燃比センサ5の
出力電流IAFに対して、リーン判定値IL、リッチ判
定値IR、過剰リッチ判定値IOR、過剰リーン判定値
IOLを設定した。ここで、空燃比センサ5の出力電流
IAFはECU2での処理に際し、電圧変換される場合
がある。この場合には、上記判定値を電圧値とすること
で、上記各実施形態に準ずる効果を得ることができる。
【0103】・上記各実施形態では、空燃比センサ5に
より検出される空燃比と酸素センサ6により検出される
空燃比とが一致せず、且つ燃料噴射補正量が大きい場合
には、空燃比センサ5の特性がずれていると判定するよ
うにした。ここで、空燃比フィードバック制御にあって
は前述のように、空燃比センサ5の出力が例えばリーン
となっているときには、この空燃比センサ5から出力さ
れる電流値に応じた燃料噴射量の増量補正が行われる。
このため実空燃比はリッチになりやすく、これを反映し
て酸素センサ6の出力はリッチを示すようになる。すな
わち、燃料噴射量の増量補正が行われて酸素センサ6の
出力もリッチを示すときには、実空燃比がリッチである
と予想できる。しかし、このような場合であっても、空
燃比センサ5の出力がなおリーンを示し続けるときに
は、空燃比センサ5の特性がリーン側にずれていると推
測できる。同様にして、空燃比センサ5の特性がリッチ
側にずれていることももちろん推測できる。そこで、こ
ういった酸素センサの出力と燃料噴射量の補正量とから
予想される実空燃比と、空燃比センサの出力とを比較す
るようにしても、空燃比センサの特性ずれを簡便、且つ
的確に診断することができるようになる。しかもこの場
合、触媒の下流側に設けられるセンサとして安値な酸素
センサを利用することができるため、診断装置としての
コストも低く抑えることができるようにもなる。
【0104】・上記各実施形態にかかる空燃比センサの
異常診断装置では、空燃比センサ5の特性に異常がある
と診断されたときに、空燃比フィードバック制御の実行
を禁止するようにした。しかしながら、この空燃比フィ
ードバック制御の実行禁止処理を行わない空燃比センサ
の異常診断装置であっても、空燃比センサの特性ずれを
診断することは可能である。
【0105】・上記各実施形態では、ガソリン機関1に
本発明にかかる空燃比センサの異常診断装置を適用し
た。しかしながら、適用対象となる内燃機関はこのガソ
リン機関1に何ら限定するものではない。要するに、触
媒4の上流側に空燃比センサ5を備えるとともに触媒4
の下流側に酸素センサ6を備え、少なくとも空燃比セン
サ5の出力に基づいて燃料噴射量を補正する空燃比フィ
ードバック制御を行う内燃機関であれば、上記第1及び
第2の実施形態にかかる空燃比センサの異常診断装置は
適用可能である。更に、酸素センサ6の出力に基づいて
前記燃料噴射量の補正量を修正するサブフィードバック
制御を備える内燃機関であれば、上記第3及び第4の実
施形態にかかる空燃比センサの異常診断装置は適用可能
である。この場合にも上記各実施形態に準ずる効果を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が適用されるガソリン機
関、及びこれに搭載される空燃比センサの異常診断装置
の概略構成図。
【図2】空燃比センサの出力特性を示す図。
【図3】酸素センサの出力特性を示す図。
【図4】第1の実施形態における空燃比センサの異常診
断についての処理手順を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態における空燃比センサの異常診
断についての処理手順を示すフローチャート。
【図6】酸素センサの出力とサブフィードバック制御に
よる修正量との関係を示したタイミングチャート。
【符号の説明】
1…ガソリン機関、2…制御装置(ECU)、3…排気
通路、4…触媒、5…空燃比センサ、6…酸素センサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G084 BA09 BA13 CA03 DA27 DA30 EA04 EA11 EB08 EB12 EB22 EC01 EC03 FA20 FA30 FA33 FA38 3G301 HA01 JB01 JB09 KA08 LB01 MA01 MA11 NA08 NB03 NB13 NC02 ND07 NE14 PD09A PD09B PD09Z PE01Z PE03Z PE08Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の排気浄化用触媒の上流側に設け
    られて空燃比の変化に応じたリニアな値を出力する空燃
    比センサと、同排気浄化用触媒の下流側に設けられて空
    燃比がリッチ或いはリーンであることを検出する酸素セ
    ンサと、前記空燃比センサにより検出される空燃比に基
    づいて前記内燃機関に対する燃料噴射量の補正量を算出
    する燃料噴射量補正手段と、前記酸素センサにより検出
    される空燃比に基づいて前記燃料噴射量の補正量に対す
    る修正量を算出する補正量修正手段とを備えて空燃比フ
    ィードバック制御を行いつつ、前記空燃比センサの異常
    の有無を診断する装置であって、 前記酸素センサの出力と前記燃料噴射量補正手段により
    算出される補正量とから予想される空燃比と、前記空燃
    比センサの出力とが異なることに基づいて前記空燃比セ
    ンサの特性ずれを検出する特性ずれ検出手段を備えるこ
    とを特徴とする空燃比センサの異常診断装置。
  2. 【請求項2】内燃機関の排気浄化用触媒の上流側に設け
    られて空燃比の変化に応じたリニアな値を出力する空燃
    比センサと、同排気浄化用触媒の下流側に設けられて空
    燃比がリッチ或いはリーンであることを検出する酸素セ
    ンサと、前記空燃比センサにより検出される空燃比に基
    づいて前記内燃機関に対する燃料噴射量の補正量を算出
    する燃料噴射量補正手段と、前記酸素センサにより検出
    される空燃比に基づいて前記燃料噴射量の補正量に対す
    る修正量を算出する補正量修正手段とを備えて空燃比フ
    ィードバック制御を行いつつ、前記空燃比センサの異常
    の有無を診断する装置であって、 前記空燃比センサにより検出される空燃比と前記酸素セ
    ンサにより検出される空燃比とが一致せず、且つ前記燃
    料噴射量補正手段により算出される補正量が所定値より
    も大きい状態が所定時間継続されるときに前記空燃比セ
    ンサの特性がずれていると判定する特性ずれ検出手段を
    備えることを特徴とする空燃比センサの異常診断装置。
  3. 【請求項3】前記特性ずれ検出手段は、前記空燃比セン
    サにより検出される空燃比がリーンであり、前記酸素セ
    ンサにより検出される空燃比がリッチであって、且つ、
    前記燃料噴射補正量の増量値が所定値以上であるという
    条件が所定時間継続されるときに前記空燃比センサの特
    性がリーン側にずれていると判定する請求項2に記載の
    空燃比センサの異常診断装置。
  4. 【請求項4】前記特性ずれ検出手段は、前記空燃比セン
    サにより検出される空燃比がリーンであり、前記酸素セ
    ンサにより検出される空燃比がリッチであって、且つ、
    前記燃料噴射補正量の増量値が所定値以上であるという
    条件が所定時間継続され、且つ前記補正量修正手段によ
    り算出される修正量の平均値が減量側の所定値よりも大
    きいときに前記空燃比センサの特性がリーン側にずれて
    いると判定する請求項2に記載の空燃比センサの異常診
    断装置。
  5. 【請求項5】前記特性ずれ検出手段は、前記空燃比セン
    サにより検出される空燃比がリッチであり、前記酸素セ
    ンサにより検出される空燃比がリーンであって、且つ、
    前記燃料噴射補正量の減量値が所定値以上であるという
    条件が所定時間継続されるときに前記空燃比センサの特
    性がリッチ側にずれていると判定する請求項2に記載の
    空燃比センサの異常診断装置。
  6. 【請求項6】前記特性ずれ検出手段は、前記空燃比セン
    サにより検出される空燃比がリッチであり、前記酸素セ
    ンサにより検出される空燃比がリーンであって、且つ、
    前記燃料噴射補正量の減量値が所定値以上であるという
    条件が所定時間継続され、且つ前記補正量修正手段によ
    り算出される修正量の平均値が増量側の所定値よりも大
    きいときに前記空燃比センサの特性がリッチ側にずれて
    いると判定する請求項2に記載の空燃比センサの異常診
    断装置。
  7. 【請求項7】前記特性ずれ検出手段は、前記空燃比セン
    サにより検出される空燃比がリーンであり、前記酸素セ
    ンサにより検出される空燃比がリッチであって、且つ、
    前記燃料噴射補正量の増量値が所定値以上であるという
    条件が所定時間継続されるときに前記空燃比センサの特
    性がリーン側にずれていると判定し、前記空燃比センサ
    により検出される空燃比がリッチであり、前記酸素セン
    サにより検出される空燃比がリーンであって、且つ、前
    記燃料噴射補正量の減量値が所定値以上であるという条
    件が所定時間継続されるときに前記空燃比センサの特性
    がリッチ側にずれていると判定する請求項2に記載の空
    燃比センサの異常診断装置。
  8. 【請求項8】前記特性ずれ検出手段は、前記空燃比セン
    サにより検出される空燃比がリーンであり、前記酸素セ
    ンサにより検出される空燃比がリッチであって、且つ、
    前記燃料噴射補正量の増量値が所定値以上であるという
    条件が所定時間継続され、且つ前記補正量修正手段によ
    り算出される修正量の平均値が減量側の所定値よりも大
    きいときに前記空燃比センサの特性がリーン側にずれて
    いると判定し、前記空燃比センサにより検出される空燃
    比がリッチであり、前記酸素センサにより検出される空
    燃比がリーンであって、且つ、前記燃料噴射補正量の減
    量値が所定値以上であるという条件が所定時間継続さ
    れ、且つ前記補正量修正手段により算出される修正量の
    平均値が増量側の所定値よりも大きいときに前記空燃比
    センサの特性がリッチ側にずれていると判定する請求項
    2に記載の空燃比センサの異常診断装置。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の空燃比セ
    ンサの異常診断装置において、 前記空燃比センサの特性がずれていると判定されるとき
    には、前記空燃比フィードバック制御の実行を禁止する
    空燃比制御禁止手段を更に備えることを特徴とする空燃
    比センサの異常診断装置。
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