JP2004100389A - 目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】目皿本体と、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤と、該固形薬剤を収納する薬剤収納部と、該薬剤収納部の下部に一体的に固定され、固形薬剤の溶解液である薬液を分散することができる薬液拡散体とからなり、目皿本体にはその下部に係止用突片が固着され、薬剤収納部には前記係止用突片と協働して目皿本体の下部に薬剤収納部を装脱着自在に固定しうる突片固定部が設けられている目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器を排水口に載置する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴室排水口用ヌメリ取り器に関し、詳しくは、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤により、浴室の排水口や排水管内壁に発生するヌメリを簡便に防除することができる、浴室排水口への使用に適したヌメリ取り器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に浴室の排水口にあっては髪の毛や湯垢等のゴミを漉すために、メッシュやスリットからなる排水口の蓋(目皿)が設けられているが、目皿の目を透過した毛髪や湯垢等の細かなゴミが排水口や排水管内壁に付着し、これらが細菌の温床となり、異臭の発生やヌメリの原因となっていた。この問題を解決するために、排水の透過・流入を妨げない目の細かいシートやフィルターや網等を排水口の目皿を覆うように取り付けることによって、細かいゴミを補集する様々なゴミ取り具が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。しかし、これらのゴミ取り具では、シートやフィルター等に停留した毛髪、石鹸、人の垢、界面活性剤等が細菌の栄養源となって、それら自体にヌメリが発生するばかりでなく、通水性が悪化するという問題があった。また、台所流し台や浴室の排水口のヌメリの主成分は、食材、界面活性剤、石鹸、人の垢等を栄養源とする細菌から分泌されるポリサッカライドであることが知られている。本発明者らは、このような問題を解決するために、固形薬剤を用いた浴室等の排水口用のヌメリ取り器等を既に数多く開発している。
【0003】
本発明者らは、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤と、排水口の入口部又は上部に設置可能な形状をした、該固形薬剤を収納する容器とからなり、該容器が、容器の上面及び/又は側面上部に設けられたゴミの流入を抑制する構造を有する排水流入孔と、容器の底部もしくは側面下部又はこれに加えて側面に設けられた溶解液流出孔と、排水の多くが固形薬剤と接触することなく排水口へ流下する構造とを有する、固形薬剤の溶解液をヌメリ発生壁面に広がらせることができる排水口用ヌメリ取り器を提案している(特許文献6参照)。
【0004】
また、本発明者は、微生物の発育抑制物質を含有する固形物と、該固形物を収納する収納容器とからなり、該収納容器が、固形物に排水を接触させるための排水導入開口部と、排水に溶解した薬液の流出開口部と、収納容器を排水口の目皿の表裏いずれかの少なくとも一方の面に固定することができる固定部とを備えた排水口用ヌメリ取り器を提案している(特許文献7参照)。
【0005】
さらに、本発明者は、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤と、排水の流入と溶解液の流出が可能な前記固形薬剤を収納する薬剤容器と、該薬剤容器を挿着することができ、排水口の入口部又は上部に設置可能な形状をした蓋部とからなるヌメリ取り具において、前記蓋部が上蓋部と下蓋部とから構成され、上蓋部には、前記薬剤容器をその中心付近に挿着するための挿入口と、その上面を利用して排水の一部を前記薬剤容器中の固形薬剤と接触させるための導水部と、排水の多くを前記薬剤容器中の固形薬剤と接触させることなく排水するための陥入切開部とが設けられ、下蓋部には、前記上蓋部の挿入口から挿着された薬剤容器を所定の位置に保持するための当接部と、薬剤容器から流出した固形薬剤の溶解液をヌメリ発生面に広がらせるための外周下部に設けられた複数の溶解液排出孔と、前記上蓋部の陥入切開部からの排水を固形薬剤の溶解液と接触させることなく排水するための切欠きを囲む立設部とが設けられている排水口用ヌメリ取り具を提案している(特許文献8参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−285309号公報
【特許文献2】
特開平9−4009号公報
【特許文献3】
特開平9−225214号公報
【特許文献4】
特開平10−252115号公報
【特許文献5】
特開平11−293736号公報
【特許文献6】
特開2000−144840号公報
【特許文献7】
特開2001−65021号公報
【特許文献8】
特開2001−240503号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、さらに、排水口の目皿の上に目皿を覆うように装着することができ、ゴミが排水管に流入することを阻止することができるシート状の通水性フィルター材と、該フィルター材の上面又は上方に設けられた、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤を収納する収納部と、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤とからなり、固形薬剤に排水が接触することにより、排水に溶解した薬液が前記フィルター材により拡散し、該フィルター材並びに排水口の目皿及び排水管壁面に発生するヌメリを防除することができる排水口用ゴミ取り具(特願2001−61083)や、排水口の目皿に容器を着脱自在に装着することができる取付け具であって、一端が容器の底部に固着されており、他端が目皿に設けられたスリットに挿通し易い形状からなり、容器底部側の取付け具胴部の復元力により前記容器を目皿に止着することができる目皿取付け具(特願2001−60841)を開発している。これらの技術はもともと存在していた浴室排水口用目皿を利用するものであるが、本発明者らは、排水口や排水管内壁に発生する異臭やヌメリを簡便に防除しうると共に、毛髪が捕集された浴室排水口用目皿を簡便に処理することができる、使い捨てタイプの目皿一体型浴室排水口用ヌメリ取り器(特願2001−348048、特願2002−88723)も開発している。
【0008】
なお、最近では、浴室の排水口として、排水口が排水溝の底部に設けられ、通常は排水溝が蓋で覆われているタイプの排水口が増加し、排水口や排水管内壁の他、排水溝の内面、特にヌメリが発生しやすい排水口周辺の排水溝底面に発生するヌメリをも防除することも望まれており、本発明らは、このような要望に対処するために、薬液分散樋を有すドーナツ型平板形状の薬液拡散部を設けた浴室排水口用ヌメリ取り器(特願2002−170719)、毛髪通過部を設けたリング状薬液供給体を有す浴室排水口用ヌメリ取り器(特願2002−180579)をも開発している。
【0009】
本発明者らによるこのような排水口用ヌメリ取り器は、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤の利用及び排水流入孔と薬液排出口を設けた薬剤容器の採用等により、浴室排水口周辺に発生するヌメリを効率よく充分に除去できる優れた浴室排水口用ヌメリ取り器であるが、我が国を含め諸外国において種々のタイプが存在する浴室排水口に対応すべく、種々のタイプの浴室排水口用ヌメリ取り器が望まれている。
【0010】
本発明の課題は、浴室排水口への使用に適したヌメリ取り器において、浴室における排水口や排水管内壁に発生するヌメリを効率よく防除することができ、さらに、浴室排水口の目皿部への浴室排水口用ヌメリ取り器の簡便な取り付けや固形薬剤の簡易な補充又は交換使用を実現できる、浴室排水口への使用に適したヌメリ取り器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤を収納した目皿型ヌメリ取り器において、浴室における排水口や排水管内壁に発生するヌメリを効率よく防除することができ、さらに、浴室排水口の目皿部への浴室排水口用ヌメリ取り器の簡便な取り付けや固形薬剤の簡易な補充又は交換を実現できる、浴室排水口への使用に適したヌメリ取り器を提供するためには、目皿本体の下部に微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤を収納する薬剤収納部を着脱自在に固定し、さらにその下部に薬液拡散体を一体的に設ければよいことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、目皿本体と、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤と、該固形薬剤を収納する薬剤収納部と、該薬剤収納部の下部に一体的に固定され、固形薬剤の溶解液である薬液を分散することができる薬液拡散体とからなり、目皿本体にはその下部に係止用突片が固着され、薬剤収納部には前記係止用突片と協働して目皿本体の下部に薬剤収納部を装脱着自在に固定しうる突片固定部が設けられていることを特徴とする目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項1)や、薬剤収納部が、上面に排水流入孔、下部側周面に薬液流出孔を有する薬剤収納容器から構成されていることを特徴とする請求項1記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項2)や、薬剤収納部が、上面に排水流入孔、下面及び/又は下部側周面に薬液流出孔が設けられた薬剤収容カートリッジと、該薬剤収容カートリッジの載置板から構成されていることを特徴とする請求項1記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項3)や、薬剤収納容器又は薬剤収容カートリッジにおける薬液流出孔の面積の和が、排水流入孔の面積の和より小さいことを特徴とする請求項2又は3記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項4)や、薬剤収納部に、さらに香料及び/又は脱臭剤が収納されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項5)に関する。
【0013】
また、本発明は、複数個の係止用突片が、目皿本体の下部に同心円状かつ点対称的に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項6)や、目皿本体の下部に固着された係止用突片が嵌合用突片であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項7)や、嵌合用突片がL字状突片であることを特徴とする請求項7記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項8)や、嵌合用突片が鋸歯状突片であることを特徴とする請求項7記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項9)や、目皿本体の下部に固着された係止用突片が挟持用突片であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項10)や、薬剤収納部に設けられた突片固定部が、薬剤収納部上面に設けられた嵌合用溝であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項11)や、薬剤収納部に設けられた突片固定部が、薬剤収納部上面に設けられた嵌合用穴であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項12)や、薬剤収納部に設けられた突片固定部が、薬剤収納部上部周縁裏面あるいは薬剤収納部側周面に設けられた嵌合用溝又は嵌合用穴であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項13)や、薬液拡散体が、薬剤収納部の下部側周面に形成された薬液流出孔に連接され、適宜間隔で放射状に複数のスリット及び/又は複数の切欠きが設けられたスカート形状体として構成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項14)や、薬液拡散体が、薬剤収納部の下部側周面に形成された薬液流出孔に連接され、放射状に延設された薬液分散樋と、該薬液分散樋の外周縁に設けられた薬液拡散部とを備え、薬液流出孔から流出する薬液が、薬液分散樋を経由して薬液拡散部の外方に拡散するように構成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器(請求項15)に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器としては、目皿本体と、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤と、該固形薬剤を収納する薬剤収納部と、該薬剤収納部の下部に一体的に固定され、固形薬剤の溶解液である薬液を分散することができる薬液拡散体とからなり、目皿本体にはその下部に係止用突片が固着され、薬剤収納部には前記嵌合用突片と協働して目皿本体の下部に薬剤収納部を装脱着自在に固定しうる突片固定部が設けられているヌメリ取り器であれば特に制限されるものではなく、以下、図面を適宜参照しながら、本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器について説明する。なお、図中、1は本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器、2は目皿本体、21a〜cは係止用突片、22は目皿本体の周縁部の嵌合突起、3は固形薬剤、4は薬剤収納部、41は薬剤収納容器、42は薬剤収容カートリッジ、43は薬剤収容カートリッジの載置板、44は棒状突起、45はリング状枠板、46a〜dは突片固定部、47は薬剤収納部の上面に設けられた排水流入孔、48は薬剤収納部の上面に設けられた空気抜き孔、49は薬剤収納部の下部側周面に設けられた薬液流出孔、5は薬液拡散体、51はスカート形状体、52はスリット、53は凹断面を有する薬液分散樋、54は薬液拡散部を示している。
【0015】
上記目皿本体2は合成樹脂などにより成形され、その大きさや形状は特に制限されないが、通常、我が国を含め諸外国の浴室排水口の規格に合致した大きさが好ましく、通常のメッシュやスリットを有する円形状が好ましい。かかるメッシュやスリットは、通水性を有し、毛髪等の異物を捕集することができるものであればどのような形状のものでもよいが、毛髪等を捕集したり、薬液拡散部−薬液拡散体を固定・保持するための補強リブとして機能するように、通水孔や通水スリットを有する多孔網目状平板構造として構成することが好ましい。また、目皿本体の周縁には、ヌメリ取り器を浴室排水口に固定するための螺子溝あるいは嵌合突起22又は嵌合溝を設けておくこともできる。そして、かかる目皿本体の下部(裏面)には係止用突片21が固着されている。
【0016】
上記係止用突片21は、薬液拡散部・薬液拡散体を安定に固定・保持するため、好ましくは複数個、より好ましくは同心円状かつ点対称的に、一体成形などによって目皿本体の下部、例えばリブの下面に固着されている。かかる係止用突片の形状としては、薬剤収納部に設けられている突片固定部と協働して目皿本体の下部に薬剤収納部を装脱着自在に固定しうる形状であれば特に限定されないが、L字状突片21a、鋸歯状突片21b等の嵌合用突片やレ字状突片21c等の挟持用突片を好適に例示することができる。
【0017】
例えば、薬剤収納部4の外縁内側に対応する位置に設けられたL字状の嵌合用突片21aの場合、薬剤収納容器41等からなる薬剤収納部の上面に、L字状の嵌合用突片の形状と配置に応じて設けられた嵌合用の円弧状の穴(貫通した穴も含む)あるいは円弧状の溝46aの幅広部にL字状突片21aを挿入し、幅狭部の方に回すことにより簡便に目皿本体2の下部に薬剤収納部を装着・固定することができる。また、このL字状の嵌合用突片21aが、薬剤収納部の外縁に対応する位置に設けられた場合、周縁などに突出鍔を有する薬剤収納部の上部周縁裏面あるいは薬剤収納容器等からなる薬剤収納部の側周面に、L字状の嵌合用突片の形状と配置に応じて設けられた嵌合用の溝又は穴46bにL字状突片を嵌入することにより簡便に目皿本体の下部に薬剤収納部を装着・固定することができる。かかるL字状の嵌合用突片21aは、プラスチックのような可撓性材料にて形成され、また、3〜4個設けることが好ましい。
【0018】
また、薬剤収納部の外縁内側に対応する位置に設けられた鋸歯状の嵌合用突片21bの場合、薬剤収納容器等からなる薬剤収納部の上面に、鋸歯状の嵌合用突片の形状と配置に応じて設けられた嵌合用の穴(貫通した穴も含む)46cに鋸歯状突片21bを嵌挿することにより簡便に目皿本体の下部に薬剤収納部を装着・固定することができる。ここで、鋸歯状突片とは、プラスチックのような可撓性材料にて形成されたギザギザの鋸歯形状の小長尺状の結合子(例えば、多数の三角形片を上下逆に連接したような形状)であって、上記嵌合用の穴に多少強制的に押し込んで、結合子をその可撓性材料の形状復元力にて嵌合用の穴に係止固定する結合手段をいう。かかる鋸歯状の嵌合用突片21bは、3〜4個設けることが好ましい。
【0019】
また、レ字状等の挟持用突片21cが、薬剤収納部の外縁に相当する位置に設けられた場合、周縁などに突出鍔46dを有する薬剤収納部の上部周縁裏面あるいは薬剤収納容器等からなる薬剤収納部の側周底面を、レ字状突片21cで挟持することにより簡便に目皿本体の下部に薬剤収納部を装着・固定することができる。かかるレ字状の挟持用突片は、プラスチックのような可撓性材料にて形成され、また、3〜4個設けることが好ましい。
【0020】
目皿本体の下部に装脱着自在に固定される上記薬剤収納部4としては、固形薬剤3を収納・保持しうる構造を有するものであれば特に制限されるものではないが、薬剤収納部の径方向の大きさは、目皿本体2の径より小さくなるように構成されており、上面に排水流入孔47、下部側周面に薬液流出孔49を有する薬剤収納容器41から構成されている薬剤収納部や、上面に排水流入孔47、下面及び又は下部側周面に薬液流出孔49が設けられた薬剤収容カートリッジ42と、該薬剤収容カートリッジの載置板43から構成されている薬剤収納部を具体的に例示することができる。そして、これら薬剤収納容器や薬剤収容カートリッジにおける排水流入孔47は、収納されている固形薬剤を溶解させるための排水の流入孔であり、薬液流出孔49は、固形薬剤溶解液(薬液)を比較的高濃度で持続的に流出させるための薬液の流出孔であって、通常、それぞれ複数個設けられ、その形状は特に制限されるものではないが、スリット状の開口とすることが好ましく、その場合のスリットの幅は、0.5〜4mm、さらに0.5〜3mm、特に1〜2mmが好ましい。スリット幅が0.5mm以上であると水の表面張力の均衡が破れ、排水や薬液を容易に流出入させることができ、スリット幅が4mm以下好ましくは3mm以下であると毛髪等の異物の流入を極力防止することができる。また、薬液流出孔の面積の和を、排水流入孔の面積の和より小さくすることが比較的高濃度の薬剤溶解液を持続的に流出させる上で好ましく、さらに上面に空気抜き孔48を設ければ、排水流入孔への排水の流入が滑らかになる。なお、薬剤収納部に固形薬剤に加えて、さらに香料や脱臭剤を収納させれば、浴室に芳香を漂わせ悪臭を除去することができる。
【0021】
上記薬剤収納部が薬剤収納容器41の場合、通常合成樹脂などにより作製され、円筒状、角筒状等その形状は特に制限されず、また、上蓋を設けても設けなくてもよいが、上蓋を設ける場合は詰替用固形薬剤を装填しうるように上蓋を開閉自在に構成することが好ましい。そして、かかる薬剤収納容器41には、前記嵌合用突片と協働して薬剤収納容器を目皿本体の下部(裏面)に装脱着自在に固定するための突片固定部46として、その上面に、L字状突片に対応して嵌合用の円弧状の穴(貫通した穴も含む)や円弧状の溝が、鋸歯状突片に対応して円形の穴が設けられ、あるいは、L字状突片に対応してその側周面に上部を除いて溝が設けられている。また、かかる薬剤収納容器の上部周縁に突出鍔を設け、この突出鍔の周縁裏面に前記L字状突片に対応して嵌合用の溝を形成しておくこともできる。他方、上記薬剤収納部が薬剤収容カートリッジ42とその載置板43から構成されている場合、載置板周辺部にはカートリッジ保持用の棒状突起44を複数本立設させ、棒状突起の他端をリング状枠板45に埋設固着する構造とすることが好ましい。そして、かかるリング状枠板45の周縁裏面には、前記L字状突片に対応して嵌合用の溝を設けることもできるが、設けない場合であっても、レ字状突片やL字状突片で挟持することにより、このタイプの薬剤収納部を目皿本体下部に装脱着自在に固定することができる。
【0022】
薬剤収納部の下部に一体的に固定される上記薬液拡散体5としては、固形薬剤の溶解液である薬液を排水口や排水管壁等に分散し、発生するヌメリを効率よく防除することができるものであればどのようなものでもよいが、薬剤収納部の下部側周面に形成された薬液流出孔に連接されたスカート形状体51に構成され、該スカート形状体51に適宜間隔で放射状に複数のスリット52及び/又は複数の切欠きが設けられている薬液拡散体を例示することができ、複数の切欠きを有する場合は、切欠き後のスカート形状はヒレ状となるが、いずれにしても、複数のスリット部分や複数の切欠き部分は、余剰の排水をスムーズに流下させるため、あるいは、径の異なる排水口や排水管への着脱を容易に行うと同時にその変形を防止するため、設けておくことが好ましい。上記スカート形状部分の直径方向の長さ(幅)は特に制限されないが、通常0.5〜3cm、好ましくは約2cmとすることができ、また、複数のスリット部分や複数の切欠き部分の幅は、通常0.5〜4mm、好ましくは1〜2mmとすることができる。
【0023】
また、別の態様の薬剤収納部の下部に一体的に固定される上記薬液拡散体としては、薬剤収納部の下部側周面に形成された薬液流出孔49に連接され、放射状に延設された薬液分散樋53と、該薬液分散樋の外周縁に設けられた薬液拡散部54とを備え、薬液流出孔から流出する薬液が、薬液分散樋53を経由して薬液拡散部54の外方に拡散するように構成されている薬液拡散体を例示することができ、かかる放射状に延設された薬液分散樋としては、薬剤収納部の薬液流出孔と薬液拡散部とを面一に連設していることが好ましい。薬液分散樋は、好ましくは同心円状に点対称的に設置され、また、薬剤収納部から放射状に遠ざかるにしたがって、緩やかな下り傾斜となるものや、幅が広がり凹断面がより緩やかになるものや、薬剤溶解液を容易に拡散するために樋内面に細かな溝を有するものや、これらを兼ね備えているものなどを好適に例示することができる。上記薬液拡散部としては、リング状平板や複数の切れ目を有するリング状平板を具体的に例示することができる。
【0024】
そしてこの薬液拡散体を含め、目皿本体及び薬剤収納部の材質としては、合成樹脂、紙、繊維、不織布、金属等を例示することができるが、通常、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などのプラスチックが好適である。また必要に応じて、各部材に親水処理や撥水処理を施すこともできる。親水処理や撥水処理は、例えば、親水性又は撥水性の樹脂材料を用いたり、樹脂に親水性又は撥水性の界面活性剤を練り込んだ材料を用いたり、あるいは各部材の表面に親水性又は撥水性のコーティング剤や塗料を塗布することにより行うことができる。各部材の材質の全部又は一部、例えば薬剤収納部を親水性とすることにより、水の表面張力の影響を小さくすることができ、排水流入孔からの排水をより円滑に流入させることができる。反対に、材質の全部又は一部を撥水性とすることにより、水溶性汚れ物質による汚れの付着を防止することができる。
【0025】
上述の本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器を使用する際には、通常の備え付けの浴室排水口の目皿を取り外して、本発明のヌメリ取り器を嵌め落としなどにより排水口に装着する。固形薬剤が使用後1ヶ月ないし数ヶ月たって消費しつくされれば、目皿本体の下部に固着された係止用突片と、薬剤収納部に設けられている突片固定部との結合を解き、目皿本体から薬剤収納部−薬液拡散体の複合体を取り外して、薬剤収納部に新たな固形薬剤(薬剤収納容器)又は薬剤収容カートリッジ(薬剤収容カートリッジの載置板)を挿着・補給するか、使用済みの薬剤収納部−薬液拡散体の複合体を使い捨てとし、固形薬剤が装着済みの新しい薬剤収納部−薬液拡散体の複合体と交換することにより、ヌメリの防除を継続的に実施することができる。
【0026】
次に、本発明で使用する固形薬剤について説明する。本発明において、微生物の発育を抑制する物質としては、各種公知の殺菌剤、抗菌剤が使用可能であり、一般的な防黴剤又は抗細菌剤として知られている化合物や抗菌作用を有する天然精油類等であればどのようなものでも使用することができるが、広い抗菌スペクトルを有するものが好ましく、例えば、塩素系酸化剤としては、ジクロロジメチルヒダントイン、ブロモクロルジメチルヒダントイン、ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロルイソシアヌル酸カリウム、ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムの水和物(2水和物等)、ジクロルイソシアヌル酸カリウムの水和物及びトリクロルイソシアヌル酸、次亜塩素酸カルシウム等を例示することができ、また、塩素系酸化剤以外の薬剤としては、過炭素ナトリウム、過硫酸カリウム、過硼酸ナトリウム、オルトフェニルフェノール、ジフェニル、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、パラクロロメタキシレノール、パラヒドロキシ安息香酸−n−ブチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸メチル、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルへキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、メチレンビスチオシアネート、2−ピリジンチオール−1−オキシド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、N,N′−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)、4,4′−(テトラメチレンジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等を例示することができる。
【0027】
また、本発明における微生物の発育を抑制する物質として、防黴剤又は抗細菌剤と多分子系ホスト化合物とからなる包接化合物を有利に用いることができる。この包接化合物を用いる場合、防黴剤又は抗細菌剤としては、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−3−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メトキシカルボニルベンズイミダゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メタンスルホニルピリジン、2−チオシアノメチベンゾチアゾール、2,2−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)、3,3,4,4−テトラハイドロチオフェン−1,1−ジオキサイド、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオラン−3−オン、5−クロロ−4−フェニル−1,2−ジチオラン−3−オン、N−メチルピロリドン、フェニル−(2−シアノ−2−クロロビニル)スルホン、メチレンビスチオシアネート、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−エタノール、2−ブロモ−4′−ヒドロキシアセトフェノン、ジブロモニトリルプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ブロモメチルグルタルニトリル等を、また天然製油類としては、例えば、シネオール、ヒノキチオール、メントール、テルピネオール、ボルネオール、ノポール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、ジメチルオクタノール、チモール等を例示することができる。
【0028】
ここで、多分子系ホスト化合物とは、ゲストとなる抗菌剤とともに結晶性錯体(包接化合物)を形成する化合物をいい、上記の性質を有する化合物であれば特に制限されないが、例えば、テトラキスフェノ−ル類、1,1,6,6−テトラフェニル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、1,6−ビス(2−クロロフェニル)−1,6−ジフェニルヘキサン−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、2,5−ビス(2,4−ジメチルフェニル)ハイドロキノン、1,1−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1,1,2,2−テトラフェニルエタン−1,2−ジオール、1,1′−ビス−2−ナフトール、9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロキシアントラセン、1,1,6,6−テトラ(2,4−ジメチルフェニル)−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、9,10−ビス(4−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロキシアントラセン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラキス(シクロヘキシル)−(1,1′−ビフェニル)−2−2′−ジカルボキシアミド、4,4′−スルホニルビスフェノール、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(4−クロロフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−クロロフェノール)、デオキシコール酸、コール酸、α,α,α′,α′−テトラフェニル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジメタノール、t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、顆粒状コーンスターチ、1,4−ジアザビシクロ−(2,2,2)−オクタン、3,3′−ビスフェニルスルフォニル−4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフォン、トリ−o−チモチドを例示することができる。
【0029】
また、上記のテトラキスフェノ−ル類としては、例えば、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3,3−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン等テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカン類を具体的に例示することができる。
【0030】
本発明における微生物の発育を抑制する物質として、他の抗菌剤に比較して抗菌スペクトルが広く、人体に安全な有機ヨード系抗菌剤も有利に用いることができる。この場合、有機ヨード系抗菌剤であれば特に制限はないが固体のものが望ましく、例えば、2,3,3−トリヨードアリルアルコール類、2,3,3−トリヨードアリルエーテル類、2,3,3−トリヨードアリルアゾール類、3−ヨード−2−プロパギルブチルカルバミン酸、4−クロロフェニル(3−ヨードプロパギル)ホルマール、ヨードプロパギルアゾール類、ジヨード−パラ−トリスルホン、ポピドンヨード、ベンジルヨード酢酸エステル及びパラニトロベンジルヨード酢酸エステルを例示することができ、これらは単独又は2種以上混合して使用される。
【0031】
また、微生物の発育を抑制する物質として、前記の各種公知の殺菌剤、抗菌剤、防黴剤等やそれらを含有する公知のヌメリ防除剤、あるいは上記包接化合物や有機ヨード系抗菌剤を用いる場合、有効成分が排水と接触した際必要以上に流出することを防止し、適度な速度で接触した排水に溶解させるため、適宜配合物と混合して加圧成形、加熱溶融混合、混練り押し出し成形等の公知の方法により適当な大きさに成形することができる。
【0032】
加圧成形する場合の配合物としては、各種公知の賦形剤、溶解調整剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、腐食防止剤等を例示することができる。特に界面活性剤は溶解液がヌメリ発生壁面に広がりやすくし、かつ蓋や容器が油で汚れることを防止するのに有効である。また、苦味付与成分、辛味付与成分などを添加して、薬剤を誤って乳幼児が口に入れた場合も飲み込まないようにすることもできる。
【0033】
賦形剤、結合剤、溶解調整剤としては、フマル酸、安息香酸、アジピン酸、コハク酸、dl−リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸、マロン酸、グリコール酸等の各種有機酸、無機酸、乳糖、ブドウ糖等の糖類、コーンスターチ等の各種デンプン、燐酸水素カルシウム2水和物、燐酸3カルシウム無水物、燐酸水素マグネシウム3水和物、燐酸水素マグネシウム8水和物、クエン酸カルシウム4水和物、硫酸カルシウム0.5水和物、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸−o−トルイダイド、アセト酢酸−p−トルイダイド、アセト酢酸−o−アニシダイド、結晶セルロース、粉末セルロース、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、合成珪酸アルミニウム、三珪酸マグネシウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム(粉末)、ショ糖脂肪酸エステル、C14〜C24の飽和脂肪酸類等を挙げることができるが、その中でも特に燐酸水素カルシウム2水和物、燐酸3カルシウム無水物、燐酸水素マグネシウム3水和物、燐酸水素マグネシウム8水和物、クエン酸カルシウム4水和物、硫酸カルシウム0.5水和物、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸−o−トルイダイド、アセト酢酸−p−トルイダイド、アセト酢酸−o−アニシダイド、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム(粉末)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デキストリン、C14〜C24の飽和脂肪酸類等は加圧成形性を向上することができ、また、各種洗剤等が混入しても反応して有毒ガス等が発生することが無いので好ましく、これら賦形剤や結合剤、溶解調整剤は全固形薬剤重量に対して1〜99重量%の割合で添加することができる。
【0034】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、安息香酸ナトリウム、シリカ、タルク、ワックス類等を例示することができ、これら滑沢剤は全固形薬剤重量に対して0.01〜10重量%の割合で使用することができる。
【0035】
界面活性剤としては、アルキルアルカノールアミド類、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等を例示することができ、これら界面活性剤は全固形薬剤重量に対して0.5〜10重量%の割合で使用することができる。また、腐食防止剤としては、アルキルチオ尿素系やトリアゾール系化合物を例示することができ、これらを使用すると配管などの金属部分の腐食を抑制することができる。
【0036】
加熱溶融混合の場合や混練り押し出し成形する場合の配合物としては、融点が40〜100℃で固体であるものが好ましく、ポリオキシエチレン等の各種の水溶性高分子類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類等の界面活性剤を例示することができる。
【0037】
また、固形薬剤の形状としては、球状、錠剤状、円柱状、直方体状、角錐状、ドーナツ状等どのような形態でもよく、その大きさも薬剤収納部に収容しうる大きさであればどのようなものでもよい。固形薬剤の使用の形態としては、例えば、円柱状のものを1個用いる場合もあるが、小粒のものを多数使用することもできる。小粒のものを多数使用する場合、同種のものを用いるほか、例えば配合成分の異なる薬剤や溶解度が異なる薬剤等異種の複数の小粒の固形薬剤を用いることもできる。なお、本発明における固形薬剤には、有効成分が排水と接触した際必要以上に流出することを防止することができ、適度な速度で接触した排水に溶解させることができる形態のもの、例えばヌメリ防除剤等が不織布、紙、フィルム等の透水性の袋やチューブ等に収容されているものや、ヌメリ防除剤等がスポンジ、樹脂発泡体等に担持されているものや、液体のヌメリ防除剤等が多孔質鉱物などに含浸されているものも便宜上含まれる。かかる固形薬剤をカートリッジに収容した前記の薬剤収容カートリッジを使用すると、固形薬剤の交換時に直接薬剤に触る必要がなく、またワンタッチで補給しうることから便利である。
【0038】
【発明の効果】
本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器を用いることにより、浴室の排水口や排水管内面に発生するヌメリを、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤によって簡便に防除することができ、ヌメリ取り器の取り付けや固形薬剤の補充又は交換も簡易に行え、併せて、浴室の排水溝の悪臭を脱臭でき芳香を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】浴室排水溝の排水口に設置された本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器の断面図である。
【図2】本発明の薬剤収納部が薬剤収容カートリッジタイプの目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器の分解斜視図である。
【図3】本発明の薬剤収納部が薬剤収納容器タイプの目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器の斜視図である。
【図4】本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器の概略断面図である。
【図5】本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器の概略断面図である。
【図6】本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器の概略断面図である。
【図7】本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器の概略断面図である。
【符号の説明】
1 本発明の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器
2 目皿本体
21 係止用突片
22 目皿本体の周縁部の嵌合突起
3 固形薬剤
4 薬剤収納部
41 薬剤収納容器
42 薬剤収容カートリッジ
43 薬剤収容カートリッジの載置板
44 棒状突起
45 リング状枠板
46 突片固定部
47 排水流入孔
48 空気抜き孔
49 薬剤流出孔
5 薬液拡散体
51 スカート形状体
52 スリット
53 薬液分散樋
54 薬液拡散
Claims (15)
- 目皿本体と、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤と、該固形薬剤を収納する薬剤収納部と、該薬剤収納部の下部に一体的に固定され、固形薬剤の溶解液である薬液を分散することができる薬液拡散体とからなり、目皿本体にはその下部に係止用突片が固着され、薬剤収納部には前記係止用突片と協働して目皿本体の下部に薬剤収納部を装脱着自在に固定しうる突片固定部が設けられていることを特徴とする目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 薬剤収納部が、上面に排水流入孔、下部側周面に薬液流出孔を有する薬剤収納容器から構成されていることを特徴とする請求項1記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 薬剤収納部が、上面に排水流入孔、下面及び/又は下部側周面に薬液流出孔が設けられた薬剤収容カートリッジと、該薬剤収容カートリッジの載置板から構成されていることを特徴とする請求項1記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 薬剤収納容器又は薬剤収容カートリッジにおける薬液流出孔の面積の和が、排水流入孔の面積の和より小さいことを特徴とする請求項2又は3記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 薬剤収納部に、さらに香料及び/又は脱臭剤が収納されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 複数個の係止用突片が、目皿本体の下部に同心円状かつ点対称的に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 目皿本体の下部に固着された係止用突片が嵌合用突片であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 嵌合用突片がL字状突片であることを特徴とする請求項7記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 嵌合用突片が鋸歯状突片であることを特徴とする請求項7記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 目皿本体の下部に固着された係止用突片が挟持用突片であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 薬剤収納部に設けられた突片固定部が、薬剤収納部上面に設けられた嵌合用溝であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 薬剤収納部に設けられた突片固定部が、薬剤収納部上面に設けられた嵌合用穴であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 薬剤収納部に設けられた突片固定部が、薬剤収納部上部周縁裏面あるいは薬剤収納部側周面に設けられた嵌合用溝又は嵌合用穴であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 薬液拡散体が、薬剤収納部の下部側周面に形成された薬液流出孔に連接され、適宜間隔で放射状に複数のスリット及び/又は複数の切欠きが設けられたスカート形状体として構成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
- 薬液拡散体が、薬剤収納部の下部側周面に形成された薬液流出孔に連接され、放射状に延設された薬液分散樋と、該薬液分散樋の外周縁に設けられた薬液拡散部とを備え、薬液流出孔から流出する薬液が、薬液分散樋を経由して薬液拡散部の外方に拡散するように構成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか記載の目皿一体固定型浴室排水口用ヌメリ取り器。
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