JP2004099262A - シート排出機構,シート処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成によって上流工程のシートの処理速度や搬送速度に影響を与えることなく,前段のシート搬送速度よりも遅い速度でシートを装置外へ排出する。
【解決手段】シート搬送手段36,37bにより搬送されてきたシート束Sを離間させたローラ対Ro6,Ro6’の間に通した後,シート搬送手段によるシートの搬送機能が停止するのとほぼ同時にローラ対Ro6,Ro6’を近接させ,該ローラ対の回転力によりシート束Sを排出する。ローラ対Ro6,Ro6’によるシート束Sの送り速度は,シート搬送手段36,37bによる送り速度よりも遅く設定する。
【選択図】図4
【解決手段】シート搬送手段36,37bにより搬送されてきたシート束Sを離間させたローラ対Ro6,Ro6’の間に通した後,シート搬送手段によるシートの搬送機能が停止するのとほぼ同時にローラ対Ro6,Ro6’を近接させ,該ローラ対の回転力によりシート束Sを排出する。ローラ対Ro6,Ro6’によるシート束Sの送り速度は,シート搬送手段36,37bによる送り速度よりも遅く設定する。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,搬送されてきたシートを所定のシート受け部に排出するシート排出機構,及び該機構を有しシートにステイプル処理等の所定の処理を施すシート処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在,画像形成装置により画像形成されたシートにステイプル処理や穴開け(パンチ)処理,2つ折り(中折り)処理等の処理を施すシート処理装置(画像形成装置の後処理装置)が普及している。一般に,このようなシート処理装置では,所定のシート搬送手段により搬送されてきた処理後のシートを所定のシート排出手段により搬送を引き継いで装置外のシート受け部に排出するよう構成されている。
ここで,前記シート搬送手段によるシートの搬送速度は,シートに対して各種処理を施す処理速度に応じた速度(シートの処理タイミングに合わせた速度)に設定されるが,前記シート搬送手段からシートの搬送を引き継ぐ前記シート排出手段の搬送速度も,前記シート搬送手段によるシートの搬送速度に合わせる必要がある。そうでなければ,シートが前記シート搬送手段と前記シート排出手段とにまたがって搬送される際に,シートに無用な曲げ力や引張り力が加わり,シートを傷めることになるからである。即ち,前記シート排出手段のシートの搬送速度(排出速度)よりもその前段側の前記シート搬送手段の搬送速度の方が速ければ,シートに押し曲げ力が加わってしまい,その逆に遅ければ,シートに引張り力が加わってしまう。
ところが,通常,シート処理装置では,前記シート排出手段におけるシートの搬送速度(排出速度)をシートの処理性能に応じて設定される前記シート搬送手段の搬送速度に等しい速度とすると,前記シート排出手段から排出されるときのシートの初速が大きすぎてシートが前記シート受け部に整然と排出されない(整合不良が生じる),或いはシートが前記シート受け部に強く衝突してシートが痛むという問題が生じる。特に,シートの排出方向の先端部付近にステイプル処理が施されたシート束(複数重ねられたシート)を排出する場合には,シートの排出速度が大きいとシート束の整合が乱れやすい。一般に,前記シート受け部はシートの排出方向に向かって上向くように傾斜して設けられるため,前記シート束が速い初速で排出されると,該シート束は,一旦前記シート受け部上のシート処理装置本体から離れた位置に到達した後,前記シート受け部上において自重によってシート処理装置本体側へずり落ちる。このとき,前記シート束の自重の作用により,前記シート束の下層側(前記シート受け部に近い側)のシートの面が受ける摩擦力よりも,上層側のシートの面が受ける摩擦力の方が小さいため,上層側のシートの方が下層側のシートよりもシート処理装置本体側へずり落ちやすく,さらに,ずり落ちる方向のシート後端部(シート排出方向の後端部)にはステイプル処理がなされていないため,前記シート束の整合が乱れやすくなる。
従来,このような問題を解消するため,例えば,排出ローラ(前記シート排出手段の一例)の周速度を変更可能にし,前段のシート搬送手段からシートの搬送を引き継ぐ際には周速度を前記シート搬送手段の搬送速度に合わせておき,シートが前記シート排出手段から排出される(外れる)前に周速度を低下させるよう構成されたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,前記シート排出手段にシート搬送速度を可変にする機構を設けることは,前記シート排出手段用に独立した速度可変のモータ等の駆動源を設けたり,速度可変とするギア機構を設けたりする必要があり,装置が複雑となるという問題点があった。
また,前記シート排出手段の搬送速度をシートの排出に適切な速度に設定し,その上流工程となる前記シート搬送手段の搬送速度を前記シート排出手段の速度に合わせる場合には,シート処理の生産性が下がるという問題点が生じる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,簡単な構成によって上流工程のシートの処理速度や搬送速度に影響を与えることなく,前段のシート搬送速度よりも遅い速度でシートを装置外へ排出するシート排出機構及び該シート排出機構を具備するシート処理装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,シート搬送手段により搬送されてきたシートをシート排出手段により搬送を引き継いで当該シート排出機構が設けられる本体装置の外部へ排出するシート排出機構において,前記シート排出手段が離接可能に対向配置されたローラ対を具備し,前記シート搬送手段により搬送されてくる前記シートを離間させた前記ローラ対の間に通した後,所定のタイミングで前記ローラ対を近接させ,前記ローラ対の回転力により前記シートを排出するよう構成され,前記シート搬送手段による前記シートの送り速度よりも前記シート排出手段による前記シートの送り速度の方が遅く構成されてなることを特徴とするシート排出機構である。
これにより,前記シート排出手段における前記ローラ対が離間している間は,前記シート搬送手段は前記シート排出手段に拘束されることなくシートを搬送することができるので,前記シート搬送手段によるシートの搬送速度を前記シート排出手段によるシートの搬送速度よりも速く設定してもシートに無用な曲げ力が加わることがない。さらに,前記ローラ対が近接してシートの搬送を引き継いだ後は,シートをその整合を乱すことなく前記シート受け部に排出するのに十分遅い速度で排出することができる。
ここで,前記ローラ対を近接させるタイミングは,前記シート搬送手段によるシートの搬送機能が停止する時又は前記シートが前記シート搬送手段から開放される時或いはそれらに近いタイミングとすることが考えられる。
これにより,前記シート搬送手段から前記シート排出手段への円滑なシート搬送の引継ぎを行うことができる。
【0005】
また,前記ローラ対を離接させる機構としては,前記ローラ対を構成するローラの少なくとも一方が揺動可能な支持部材に支持され,該支持部材の揺動により前記ローラ対が離接するよう構成されたものが考えられる。
また,本発明は,画像形成装置により画像形成されたシートに所定の処理を施して該シートを装置外へ排出するシート処理装置に,前述したシート排出機構を設けたシート処理装置として捉えたものであってもよい。
また,前記シートが,排出時にその整合が乱れやすいステイプル処理後の複数重ねられたシートである場合にはより効果的である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xの概略断面図,図2は本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xを構成する中間処理ユニットの受け側ユニットの正面図,図3は本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xを構成する中間処理ユニットの断面図,図4は本発明の実施の形態に係るシート排出機構の構成及び動作を説明する図である。
【0007】
本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xは,図1に示すような断面を有し,図示の右側側面において画像形成装置と連結される。従って,本シート処理装置Xの図1に向かって右側の側面には,画像形成装置から排出される画像形成されたシートを受け入れるシート入口11が設けられている。また,前記シート入口11に続けて設けられたシートの搬送路r1の途中には,シートに穴開け処理を施すパンチ手段70が設けられており画像形成装置からの所定の制御指令に従って,シートに穴開け処理がなされる。
前記搬送路r1は,シートを上向きに導く搬送路r2と下向きに導く搬送路r3とに分岐しており,いずれの搬送路にシートを導くかは,揺動可能に設けられた可動ガイドg1のにより切り替えられるよう構成されている。
シートを上向きに導く前記搬送路r2は,さらに,搬送中のシートを大型の退避ドラム21の周面に沿う方向へ導いた後に下側へ向かう前記搬送路r3へ導く搬送路r22に繋がっている。
そして,前記搬送路22へ搬送されたシートは,前記退避ドラム21の周面に沿った状態で一時退避した後,前記退避ドラム21の回転によって前記搬送路r3へ送り出される。
また,下側へ向かう前記搬送路r3へ導かれたシートは,前記可動ガイドg1の下方(本シート処理装置の中央部)に設けられた中間処理ユニット30に導かれる。
【0008】
前記中間処理ユニット30は,斜めに傾けて設けられた中間トレイ31,該中間トレイ31の上下方向中央付近の所定位置に揺動可能に設けられた第1のシート端部受け部32,前記中間トレイ31に沿って上下に移動可能に設けられた第2のシート端部受け部33,前記中間トレイ31の上下方向中央付近に設けられシートにステイプル処理を施す第1及び第2のステイプル手段34,35とを具備している。前記第2のシート端部受け部33は,無端ベルト37aに取付けられており,該無端ベルト37aの正転/逆転によって上下に移動するよう構成されている。
また,前記中間処理ユニット30は,前記中間トレイ31や前記第1及び第2のシート端部受け部32,33,前記第1及び第2のステイプル手段34,35等が設けられている受け側ユニット30aと前記第1のステイプル手段34に対向する第1のステイプル受け部34’等が設けられているカバーユニット30bとに区分されており,前記カバーユニット30bが前記受け側ユニット30aに対して離接可能に構成されている。
図3は,前記カバーユニット30bが前記受け側ユニット30aに対して離間及び近接する状態を表す断面図である。図3に示すように,前記カバーユニット30bは前記受け側ユニット30aに回動可能に支持されており,該回動により前記カバーユニット30bが前記受け側ユニット30aに対して近接(図3の(a)の位置)又は離間(図3の(b)の位置)する位置に移動させることができるよう構成されている。前記中間処理ユニット30は,本シート処理装置Xの本体から図1に向かって手前方向に引き出し可能に構成されており,前記中間処理ユニット30を引き出した後,前記カバーユニット30bを前記受け側ユニット30aから離間させることにより,前記中間処理ユニット30のジャム処理やメンテナンス作業等を容易に行うことができる。
図2は,前記中間処理ユニット30の前記受け側ユニット30aを前記シート入口11側からみた正面図である。
前記第1のステイプル手段34は,シートの幅方向(シートの搬送方向(図2では上下方向)に直角の方向)に所定間隔で並べて対に配置されたものであり,シートの端部付近の幅方向中央部へのステイプル処理,及びシートの搬送方向中央部へのステイプル処理(いわゆる中綴じ)を行う場合に用いられる。また,前記第2のステイプル手段35は,シートの幅方向の一方の端部付近に斜め方向に配置されたものであり,シートのコーナー部へのステイプル処理を行う場合に用いられる。前記第1のステイプル受け部34’は,前記第1のステイプル手段34に対向する位置において前記カバーユニット30bに設けられている。
【0009】
図1に示す前記搬送路r3に導かれたシートは,前記中間処理ユニット30の上方に設けられた搬送ローラRo1により下側へ搬送され,前記搬送ローラRo1から外れて落下する。この落下してくるシートは,その一方の面(図1に向かって左側の面)が前記中間トレイ31により受けられ,その先端部(下側端部)が前記第1又は第2のシート端部受け部32,33のいずれかにより受けられる。これにより,前記中間トレイ31上にシートが複数重ねて溜められ(集積され),溜められたシートに前記第1又は第2のステイプル手段34,35によってステイプル処理が施される。
前記第1及び第2のシート端部受け部32,33のいずれによってシートの先端部を受けるかは,前記第1のシート端部受け部32の揺動動作によって切り替えられる。即ち,前記第1のシート端部受け部32が前記中間トレイ31に沿う位置(近接する位置,以下,使用位置という)にある場合は,シートの先端部は前記第1のシート端部受け部32により受けられ,前記第1のシート端部受け部32がその揺動動作により前記中間トレイ31から離間した退避位置にある場合は,前記搬送ローラRo1により搬送されてきたシートの先端部は前記第1のシート端部受け部32を通り過ぎて前記第1のシート端部受け部32よりも下方に移動して待っている前記第2のシート端部受け部33により受けられるよう構成されている。また,小サイズのシートを受ける場合は,前記第2のシート端部受け部33を前記第1のシート端部受け部32よりも上側へ移動させてシートを受けることも可能である。この場合,前記第1のシート端部受け部32は前記使用位置にあっても前記退避位置にあってもかまわない。
例えば,シートの端部付近の所定位置にステイプル処理(いわゆる端部綴じ)を行いたい場合等は,前記第1のシート端部受け部32にシートを積載した状態で前記第1又は第2のステイプル手段34,35によりステイプル処理がなされる。また,シートの搬送方向中央部付近にステイプル処理(いわゆる中綴じ)を行いたい場合等は,前記第2のシート端部受け部33をシートを積載した状態でシートサイズに応じた位置に移動させ,前記第1のステイプル手段34によりステイプル処理がなされる。また,シートのサイズによっては(前記第1のシート端部受け部32で直接受けるべきサイズよりも大きい又は小さいサイズ),前記搬送ローラRo1により搬送されてくるシートを,一旦,前記第2のシート端部受け部33により受けて重積させた後,前記第1のシート端部受け部33に積み替えることも行われる。この場合,まず,搬送されてくるシートを,そのシートのサイズに応じた位置(前記第1のシート端部受け部33の位置よりも下側又は上側)に移動させた前記第2のシート端部受け部33により受け,シートを積載した前記第2のシート端部受け部33を前記第1のシート端部受け部32よりも若干上側の位置(例えば,2mm程度上側)まで移動させた後(この間,前記第1のシート端部受け部32は前記退避位置にある),前記第1のシート端部受け部32を前記使用位置に揺動させ,さらに,前記第2のシート端部受け部33を前記第1のシート端部受け部32よりも下側に移動させることにより,前記第2のシート端部受け部33に積載されたシートを前記第1のシート端部受け部32に積み替える。ここで,前記第1のシート端部受け部32は,本シート処理装置Xにおいて多用されるサイズのシート(例えば,A4Y/LTYサイズ)が搬送されてきたときにそのシートを直接受けるのに適した位置に配置されており,それよりも大きいサイズのシートが搬送されてくる場合であって,そのシートを前記第1のシート端部受け部32に積載した状態でステイプル処理を施したい場合(即ち,端部綴じを行いたい場合)には,前述した積み替えが行われる。これにより,多用されるサイズのシートについては,前記第1のシート端部受け部32によりシートを直接受けることができるので,前記第2のシート端部受け部33の移動による位置合わせを行う必要が無く,迅速なステイプル処理が行える。さらに,シート端部付近の所定位置にステイプル処理(端部綴じ)を施す場合,ステイプル処理を行う位置に高い精度が要求され,前記第2のシート端部受け部33の移動による位置合わせでは十分な位置決め精度を確保することが難しい場合があるが,このような場合でも,移動しない前記第1のシート端部受け部32と移動しない前記第1及び第2のステイプル手段34,35との位置関係は予め精度高く設定することが可能であるので,十分な位置精度でステイプル処理を施すことが可能となる。
【0010】
前記中間処理ユニット30においてステイプル処理が施されたシート(シート束)は,さらに2つ折り処理(以下,中折り処理という)を施す場合には前記中間処理ユニット30内からその下側に設けられた中折りユニット40内の搬送路r5へ送り出され,前記中折り処理を施さない場合には上側の搬送路r4へ送り出される。
前記シートの前記搬送路r5への送り出しは,前記中間処理ユニット30の下部に揺動可能に支持された搬送ローラRo2により行われる。前記搬送ローラRo2は,通常は,前記搬送ローラRo2に対向して配置された従動ローラRo2’と離間する位置に退避しており,シートを前記搬送路r5へ送り出す際に,前記従動ローラRo2’に近接する位置に揺動して前記従動ローラRo2’との間にシートを挟み,前記搬送ローラRo2の回転力により前記搬送路r5へシートを送り出す(搬送する)。
前記中折りユニット40内の前記搬送路r5に導かれたシート(シート束)は,前記中折りユニット40内の搬送ローラRo3によってさらに搬送されて所定位置に停止させられる。そして,シートの搬送方向中央部に押し型41が押し当てられ,シートが前記押し型41の押し当て面と反対側において対向配置されて回転する2つの中折り用ローラ42の間に2つ折りされながら挟まれる。2つの前記中折り用ローラ42は,互いに対向する方向に付勢されており,この付勢力によってシートに折り目がつけられる。このようにして中折り処理がなされたシートは,前記中折り用ローラ42の回転力によってその折り部が先頭となる方向に搬送され,前記中折り用ローラ42上方の搬送路r6を経て,前記中折りユニット40内の排出ローラRo4によって,前記シート入口11の反対側の側面に設けられた下段シート出口14からその外側に設けられた中折りシート排出トレイ60上に排出される。このとき,前記下段シート出口14の上方に回動自在に設けられたシート抑え部材61により,中折り処理されたシートが抑えられて整合される。
【0011】
一方,前記中間処理ユニット30上側の前記搬送路r4へのシートの送り出しは,前記中間トレイ31に沿って上下に移動可能に設けられた断面T字形状のシート送り出し部材36によって行われる。前記シート送り出し部材36は,無端ベルト37bに取付けられており,該無端ベルト37bの正転/逆転によって上下に移動するよう構成されており,前記中間トレイ31の裏面側(下側)へ退避させることも可能である。また,前記シート送り出し部材36と前記第2のシート端部受け部33との上下動の範囲は一部で重複しており,前記シート送り出し部材36を最下端へ移動させた位置の方が,前記第2のシート端部受け部33を最上端へ移動させた位置よりも下側となるよう構成されている。
このように構成された前記シート送り出し部材36により,以下のようにしてシートが上側の前記搬送路4へ送り出される。
まず,前記シート送り出し部材36を裏面側へ退避させた状態で,シートを積載した前記第2のシート端部受け部33を最上端まで移動させる。次に,前記シート送り出し部材36を最下端からおもて面側へ移動させ,さらに前記第2のシート端部受け部33よりも上側へ移動させることにより前記第2のシート端部受け部33に積載されたシートを前記シート送り出し部材36上に積み替えられる。そして,さらに前記シート送り出し部材36を上側へ移動させることにより,積み替えられたシートが前記搬送路r4へ送り出される。
このようにして前記搬送路r4に搬送されてきたシート(シート束)は,シート排出手段80により搬送が引き継がれて,該シート排出手段80の具備する排出ローラRo6の回転力により中段シート出口13からその外側に複数設けられた可動トレイ50(前記シート受け部の一例)のいずれかに排出される。該可動トレイ50は,それぞれシートの排出方向に向かって上向くように傾斜して設けられている。さらに,前記可動トレイ50は上下方向に移動可能に構成され,その停止位置によって前記中段シート出口13から排出されるシートをいずれの前記可動トレイ50で受けるかが切り替えられる。
【0012】
次に,図4を用いて,本発明の実施の形態に係るシート排出機構の構成及び動作について説明する。
図4は,本発明の実施の形態に係るシート排出機構を構成する前記シート排出手段80及び前記シート送り出し部材36等からなるシート搬送手段を模式的に表した図である。
図4(a)に示すように,前記シート排出手段80は,所定の軸82に揺動可能に支持されたアーム部材81と,該アーム部材81に回転自在に支持された排出ローラRo6と,該排出ローラRo6に対向配置された従動ローラRo6’と,前記シート送り出し部材36により搬送されてくるシート束Sを前記排出ローラRo6と前記従動ローラRo6’との間に導くガイド部材83とを具備している。前記排出ローラRo6と前記従動ローラRo6’とは前記アーム部材81の揺動動作により離接可能に構成されている。ここで,前記シート送り出し部材36と,これを斜めに上下動させる前記無端ベルト37bと,該無端ベルト37bを回転可能に支持するベルト軸37cと,前記無端ベルト37b回転駆動させる不図示の駆動源等により前記シート排出手段80にシート束Sを搬送する前記シート搬送手段の一例を構成している。また,前記排出ローラRo6と前記従動ローラRo6’とを併せて,以下,ローラ対Ro6,Ro6’という。
上方向に移動する前記シート送り出し部材36に積載されて前記搬送路r4に送られてきたシート束Sは,図4(a)に示すように,前記ガイド部材83によって前記ローラ対Ro6,Ro6’の間に導かれる。このとき,前記ローラ対Ro6,Ro6’は,前記アーム部材81によって離間した状態に保持されている。このため,前記シート送り出し部材36は,前記シート排出手段80に拘束されることなくシート束Sを搬送することができる。
【0013】
次に,前記シート送り出し部材36が,図4(b)に示す所定の引継ぎ位置に到達したときに停止し(前記シート送り出し部材36によるシート束Sの搬送機能が停止),該停止するのとほぼ同時に前記アーム部材81が前記ローラ対Ro6,Ro6’を近接させる方向に揺動し,前記ローラ対Ro6,Ro6’の間にシート束Sが挟まれ,前記排出ローラRo6の回転力によってシート束Sが排出側へ搬送される。これにより,シート束Sの搬送が前記シート送り出し部材36から前記シート排出手段80に引き継がれる。
本シート処理装置Xでは,前記シート送り出し部材36が前記引継ぎ位置に到達したことは,前記無端ベルト37bの駆動源である不図示のステッピングモータのステップ数をCPU,ROM等で構成される不図示の制御部によってカウントし,このカウント数が,前記シート送り出し部材36が所定のホームポジションから前記引継ぎ位置に到達するまでに進むステップ数の設定値(予め設定)に等しくなったことによって検出される。前記ホームポジションの位置には,前記シート送り出し部材36の接触によりONされるリミットスイッチが設けられており,前記制御部は,前記リミットスイッチのON信号により前記シート送り出し部材36が前記ホームポジションに移動してきたことを検知できる。
また,前記アーム部材81は,ソレノイドによって前記ローラ対Ro6,Ro6’を近接させる側又は離間させる側のいずれかに移動されるよう構成されており,前記ソレノイドは,前記制御部によって制御される。
【0014】
図4(b)は,前記ローラ対Ro6,Ro6’によるシート束Sの搬送が開始された直後(搬送が引き継がれた直後)の状態を表している。ここで,前記排出ローラRo6によるシートSの搬送速度(前記排出ローラRo6の周速度)は,シート束Sを前記可動トレイ50(図1参照)の付け根部分(当該シート処理装置Xの本体に近い位置)に排出(落下)させる十分遅い速度に設定されており,この速度は,前記シート送り出し部材36によるシートSの搬送速度(前記シート送り出し部材36の移動速度)よりも遅い。しかし,前述したように,前記シート送り出し部材36によりシート束Sが搬送されている間は,前記ローラ対Ro6,Ro6’が離間した状態に保持されているので,前記ローラ対Ro6,Ro6’と前記シート送り出し部材36との間でシート束Sに無用な曲げ力が加わることがない。このため,前記シート送り出し部材36の移動速度を,前記排出ローラRo6の周速度に合わせて遅く設定する必要がなく,前記中間処理ユニット30における生産性(処理速度)に影響を与えることもない。さらに,前記排出ローラRo6の回転速度を可変とする機構を設ける必要がなく(回転速度は略一定),ごく簡単な構成によって実現できる。
【0015】
【実施例】
前記シート処理装置Xでは,前記ローラ対Ro6,Ro6’を離接させるタイミングの検出は,本シート処理装置Xのようにステッピングモータのステップ数で検出するよう構成されているが,これに限るものでなく,例えば,前記引継ぎ位置にリミットスイッチを設けることや,メカ的な機構によってタイミングを取る等他の方法で検出するものであってもよい。
また,前記ローラ対Ro6,Ro6’を離間状態から近接させるタイミングは,前記シート送り出し部材36によるシート束Sの搬送機能が停止した時点から多少前後したタイミングであっても特に問題はない。
また,前記シート処理装置Xは,前記シート排出手段80の前段のシート搬送手段として,前記シート送り出し部材36によるリフト機構を用いるものであったが,これに限るものでなく,例えば,所定のローラ対の間にシートを挟み,該ローラ対の回転力によって前記シート排出手段80にシートを搬送するよう構成されたシート搬送手段等であってもよい。このようなシート搬送手段を用いる場合は,該シート搬送手段からシートが解放される時,或いはそれに近いタイミングで前記シート排出手段80における前記ローラ対Ro6,Ro6’を離間状態から近接させればよい。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,ごく簡単な構成によって上流工程のシートの処理速度や搬送速度に影響を与えることなく,前段のシート搬送手段による搬送速度よりも遅い速度でシートを装置外へ排出するシート排出機構を構成することが可能となる。その結果,シートはその整合を乱すことなく整然とシート受け部に排出されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xの概略断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xを構成する中間処理ユニットの正面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xを構成する中間処理ユニットの断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るシート排出機構の構成及び動作を説明する図。
【符号の説明】
11…シート入り口
12…上段シート出口
13…中段シート出口
14…下段シート出口
21…退避ドラム
30…中間処理ユニット
31…中間トレイ
32…第1のシート端部受け部
33…第2のシート端部受け部
34,35…ステイプル手段
34’,35’…ステイプル受け部
36…シート送り出し部材(シート搬送手段)
37a,37b…無端ベルト
37c…ベルト軸
40…中折りユニット
41…押し型
42…中折り用ローラ
50…可動トレイ(シート受け部)
60…中折シート排出トレイ
61…シート抑え部材
80…シート排出手段
81…アーム部材
82…アーム部材の回動軸
Ro1,Ro2,Ro3…搬送ローラ
Ro4,Ro5,Ro6…排出ローラ
r1,r2,r21,r22,r3,r4,r5,r6…シートの搬送路
【発明の属する技術分野】
本発明は,搬送されてきたシートを所定のシート受け部に排出するシート排出機構,及び該機構を有しシートにステイプル処理等の所定の処理を施すシート処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在,画像形成装置により画像形成されたシートにステイプル処理や穴開け(パンチ)処理,2つ折り(中折り)処理等の処理を施すシート処理装置(画像形成装置の後処理装置)が普及している。一般に,このようなシート処理装置では,所定のシート搬送手段により搬送されてきた処理後のシートを所定のシート排出手段により搬送を引き継いで装置外のシート受け部に排出するよう構成されている。
ここで,前記シート搬送手段によるシートの搬送速度は,シートに対して各種処理を施す処理速度に応じた速度(シートの処理タイミングに合わせた速度)に設定されるが,前記シート搬送手段からシートの搬送を引き継ぐ前記シート排出手段の搬送速度も,前記シート搬送手段によるシートの搬送速度に合わせる必要がある。そうでなければ,シートが前記シート搬送手段と前記シート排出手段とにまたがって搬送される際に,シートに無用な曲げ力や引張り力が加わり,シートを傷めることになるからである。即ち,前記シート排出手段のシートの搬送速度(排出速度)よりもその前段側の前記シート搬送手段の搬送速度の方が速ければ,シートに押し曲げ力が加わってしまい,その逆に遅ければ,シートに引張り力が加わってしまう。
ところが,通常,シート処理装置では,前記シート排出手段におけるシートの搬送速度(排出速度)をシートの処理性能に応じて設定される前記シート搬送手段の搬送速度に等しい速度とすると,前記シート排出手段から排出されるときのシートの初速が大きすぎてシートが前記シート受け部に整然と排出されない(整合不良が生じる),或いはシートが前記シート受け部に強く衝突してシートが痛むという問題が生じる。特に,シートの排出方向の先端部付近にステイプル処理が施されたシート束(複数重ねられたシート)を排出する場合には,シートの排出速度が大きいとシート束の整合が乱れやすい。一般に,前記シート受け部はシートの排出方向に向かって上向くように傾斜して設けられるため,前記シート束が速い初速で排出されると,該シート束は,一旦前記シート受け部上のシート処理装置本体から離れた位置に到達した後,前記シート受け部上において自重によってシート処理装置本体側へずり落ちる。このとき,前記シート束の自重の作用により,前記シート束の下層側(前記シート受け部に近い側)のシートの面が受ける摩擦力よりも,上層側のシートの面が受ける摩擦力の方が小さいため,上層側のシートの方が下層側のシートよりもシート処理装置本体側へずり落ちやすく,さらに,ずり落ちる方向のシート後端部(シート排出方向の後端部)にはステイプル処理がなされていないため,前記シート束の整合が乱れやすくなる。
従来,このような問題を解消するため,例えば,排出ローラ(前記シート排出手段の一例)の周速度を変更可能にし,前段のシート搬送手段からシートの搬送を引き継ぐ際には周速度を前記シート搬送手段の搬送速度に合わせておき,シートが前記シート排出手段から排出される(外れる)前に周速度を低下させるよう構成されたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,前記シート排出手段にシート搬送速度を可変にする機構を設けることは,前記シート排出手段用に独立した速度可変のモータ等の駆動源を設けたり,速度可変とするギア機構を設けたりする必要があり,装置が複雑となるという問題点があった。
また,前記シート排出手段の搬送速度をシートの排出に適切な速度に設定し,その上流工程となる前記シート搬送手段の搬送速度を前記シート排出手段の速度に合わせる場合には,シート処理の生産性が下がるという問題点が生じる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,簡単な構成によって上流工程のシートの処理速度や搬送速度に影響を与えることなく,前段のシート搬送速度よりも遅い速度でシートを装置外へ排出するシート排出機構及び該シート排出機構を具備するシート処理装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,シート搬送手段により搬送されてきたシートをシート排出手段により搬送を引き継いで当該シート排出機構が設けられる本体装置の外部へ排出するシート排出機構において,前記シート排出手段が離接可能に対向配置されたローラ対を具備し,前記シート搬送手段により搬送されてくる前記シートを離間させた前記ローラ対の間に通した後,所定のタイミングで前記ローラ対を近接させ,前記ローラ対の回転力により前記シートを排出するよう構成され,前記シート搬送手段による前記シートの送り速度よりも前記シート排出手段による前記シートの送り速度の方が遅く構成されてなることを特徴とするシート排出機構である。
これにより,前記シート排出手段における前記ローラ対が離間している間は,前記シート搬送手段は前記シート排出手段に拘束されることなくシートを搬送することができるので,前記シート搬送手段によるシートの搬送速度を前記シート排出手段によるシートの搬送速度よりも速く設定してもシートに無用な曲げ力が加わることがない。さらに,前記ローラ対が近接してシートの搬送を引き継いだ後は,シートをその整合を乱すことなく前記シート受け部に排出するのに十分遅い速度で排出することができる。
ここで,前記ローラ対を近接させるタイミングは,前記シート搬送手段によるシートの搬送機能が停止する時又は前記シートが前記シート搬送手段から開放される時或いはそれらに近いタイミングとすることが考えられる。
これにより,前記シート搬送手段から前記シート排出手段への円滑なシート搬送の引継ぎを行うことができる。
【0005】
また,前記ローラ対を離接させる機構としては,前記ローラ対を構成するローラの少なくとも一方が揺動可能な支持部材に支持され,該支持部材の揺動により前記ローラ対が離接するよう構成されたものが考えられる。
また,本発明は,画像形成装置により画像形成されたシートに所定の処理を施して該シートを装置外へ排出するシート処理装置に,前述したシート排出機構を設けたシート処理装置として捉えたものであってもよい。
また,前記シートが,排出時にその整合が乱れやすいステイプル処理後の複数重ねられたシートである場合にはより効果的である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xの概略断面図,図2は本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xを構成する中間処理ユニットの受け側ユニットの正面図,図3は本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xを構成する中間処理ユニットの断面図,図4は本発明の実施の形態に係るシート排出機構の構成及び動作を説明する図である。
【0007】
本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xは,図1に示すような断面を有し,図示の右側側面において画像形成装置と連結される。従って,本シート処理装置Xの図1に向かって右側の側面には,画像形成装置から排出される画像形成されたシートを受け入れるシート入口11が設けられている。また,前記シート入口11に続けて設けられたシートの搬送路r1の途中には,シートに穴開け処理を施すパンチ手段70が設けられており画像形成装置からの所定の制御指令に従って,シートに穴開け処理がなされる。
前記搬送路r1は,シートを上向きに導く搬送路r2と下向きに導く搬送路r3とに分岐しており,いずれの搬送路にシートを導くかは,揺動可能に設けられた可動ガイドg1のにより切り替えられるよう構成されている。
シートを上向きに導く前記搬送路r2は,さらに,搬送中のシートを大型の退避ドラム21の周面に沿う方向へ導いた後に下側へ向かう前記搬送路r3へ導く搬送路r22に繋がっている。
そして,前記搬送路22へ搬送されたシートは,前記退避ドラム21の周面に沿った状態で一時退避した後,前記退避ドラム21の回転によって前記搬送路r3へ送り出される。
また,下側へ向かう前記搬送路r3へ導かれたシートは,前記可動ガイドg1の下方(本シート処理装置の中央部)に設けられた中間処理ユニット30に導かれる。
【0008】
前記中間処理ユニット30は,斜めに傾けて設けられた中間トレイ31,該中間トレイ31の上下方向中央付近の所定位置に揺動可能に設けられた第1のシート端部受け部32,前記中間トレイ31に沿って上下に移動可能に設けられた第2のシート端部受け部33,前記中間トレイ31の上下方向中央付近に設けられシートにステイプル処理を施す第1及び第2のステイプル手段34,35とを具備している。前記第2のシート端部受け部33は,無端ベルト37aに取付けられており,該無端ベルト37aの正転/逆転によって上下に移動するよう構成されている。
また,前記中間処理ユニット30は,前記中間トレイ31や前記第1及び第2のシート端部受け部32,33,前記第1及び第2のステイプル手段34,35等が設けられている受け側ユニット30aと前記第1のステイプル手段34に対向する第1のステイプル受け部34’等が設けられているカバーユニット30bとに区分されており,前記カバーユニット30bが前記受け側ユニット30aに対して離接可能に構成されている。
図3は,前記カバーユニット30bが前記受け側ユニット30aに対して離間及び近接する状態を表す断面図である。図3に示すように,前記カバーユニット30bは前記受け側ユニット30aに回動可能に支持されており,該回動により前記カバーユニット30bが前記受け側ユニット30aに対して近接(図3の(a)の位置)又は離間(図3の(b)の位置)する位置に移動させることができるよう構成されている。前記中間処理ユニット30は,本シート処理装置Xの本体から図1に向かって手前方向に引き出し可能に構成されており,前記中間処理ユニット30を引き出した後,前記カバーユニット30bを前記受け側ユニット30aから離間させることにより,前記中間処理ユニット30のジャム処理やメンテナンス作業等を容易に行うことができる。
図2は,前記中間処理ユニット30の前記受け側ユニット30aを前記シート入口11側からみた正面図である。
前記第1のステイプル手段34は,シートの幅方向(シートの搬送方向(図2では上下方向)に直角の方向)に所定間隔で並べて対に配置されたものであり,シートの端部付近の幅方向中央部へのステイプル処理,及びシートの搬送方向中央部へのステイプル処理(いわゆる中綴じ)を行う場合に用いられる。また,前記第2のステイプル手段35は,シートの幅方向の一方の端部付近に斜め方向に配置されたものであり,シートのコーナー部へのステイプル処理を行う場合に用いられる。前記第1のステイプル受け部34’は,前記第1のステイプル手段34に対向する位置において前記カバーユニット30bに設けられている。
【0009】
図1に示す前記搬送路r3に導かれたシートは,前記中間処理ユニット30の上方に設けられた搬送ローラRo1により下側へ搬送され,前記搬送ローラRo1から外れて落下する。この落下してくるシートは,その一方の面(図1に向かって左側の面)が前記中間トレイ31により受けられ,その先端部(下側端部)が前記第1又は第2のシート端部受け部32,33のいずれかにより受けられる。これにより,前記中間トレイ31上にシートが複数重ねて溜められ(集積され),溜められたシートに前記第1又は第2のステイプル手段34,35によってステイプル処理が施される。
前記第1及び第2のシート端部受け部32,33のいずれによってシートの先端部を受けるかは,前記第1のシート端部受け部32の揺動動作によって切り替えられる。即ち,前記第1のシート端部受け部32が前記中間トレイ31に沿う位置(近接する位置,以下,使用位置という)にある場合は,シートの先端部は前記第1のシート端部受け部32により受けられ,前記第1のシート端部受け部32がその揺動動作により前記中間トレイ31から離間した退避位置にある場合は,前記搬送ローラRo1により搬送されてきたシートの先端部は前記第1のシート端部受け部32を通り過ぎて前記第1のシート端部受け部32よりも下方に移動して待っている前記第2のシート端部受け部33により受けられるよう構成されている。また,小サイズのシートを受ける場合は,前記第2のシート端部受け部33を前記第1のシート端部受け部32よりも上側へ移動させてシートを受けることも可能である。この場合,前記第1のシート端部受け部32は前記使用位置にあっても前記退避位置にあってもかまわない。
例えば,シートの端部付近の所定位置にステイプル処理(いわゆる端部綴じ)を行いたい場合等は,前記第1のシート端部受け部32にシートを積載した状態で前記第1又は第2のステイプル手段34,35によりステイプル処理がなされる。また,シートの搬送方向中央部付近にステイプル処理(いわゆる中綴じ)を行いたい場合等は,前記第2のシート端部受け部33をシートを積載した状態でシートサイズに応じた位置に移動させ,前記第1のステイプル手段34によりステイプル処理がなされる。また,シートのサイズによっては(前記第1のシート端部受け部32で直接受けるべきサイズよりも大きい又は小さいサイズ),前記搬送ローラRo1により搬送されてくるシートを,一旦,前記第2のシート端部受け部33により受けて重積させた後,前記第1のシート端部受け部33に積み替えることも行われる。この場合,まず,搬送されてくるシートを,そのシートのサイズに応じた位置(前記第1のシート端部受け部33の位置よりも下側又は上側)に移動させた前記第2のシート端部受け部33により受け,シートを積載した前記第2のシート端部受け部33を前記第1のシート端部受け部32よりも若干上側の位置(例えば,2mm程度上側)まで移動させた後(この間,前記第1のシート端部受け部32は前記退避位置にある),前記第1のシート端部受け部32を前記使用位置に揺動させ,さらに,前記第2のシート端部受け部33を前記第1のシート端部受け部32よりも下側に移動させることにより,前記第2のシート端部受け部33に積載されたシートを前記第1のシート端部受け部32に積み替える。ここで,前記第1のシート端部受け部32は,本シート処理装置Xにおいて多用されるサイズのシート(例えば,A4Y/LTYサイズ)が搬送されてきたときにそのシートを直接受けるのに適した位置に配置されており,それよりも大きいサイズのシートが搬送されてくる場合であって,そのシートを前記第1のシート端部受け部32に積載した状態でステイプル処理を施したい場合(即ち,端部綴じを行いたい場合)には,前述した積み替えが行われる。これにより,多用されるサイズのシートについては,前記第1のシート端部受け部32によりシートを直接受けることができるので,前記第2のシート端部受け部33の移動による位置合わせを行う必要が無く,迅速なステイプル処理が行える。さらに,シート端部付近の所定位置にステイプル処理(端部綴じ)を施す場合,ステイプル処理を行う位置に高い精度が要求され,前記第2のシート端部受け部33の移動による位置合わせでは十分な位置決め精度を確保することが難しい場合があるが,このような場合でも,移動しない前記第1のシート端部受け部32と移動しない前記第1及び第2のステイプル手段34,35との位置関係は予め精度高く設定することが可能であるので,十分な位置精度でステイプル処理を施すことが可能となる。
【0010】
前記中間処理ユニット30においてステイプル処理が施されたシート(シート束)は,さらに2つ折り処理(以下,中折り処理という)を施す場合には前記中間処理ユニット30内からその下側に設けられた中折りユニット40内の搬送路r5へ送り出され,前記中折り処理を施さない場合には上側の搬送路r4へ送り出される。
前記シートの前記搬送路r5への送り出しは,前記中間処理ユニット30の下部に揺動可能に支持された搬送ローラRo2により行われる。前記搬送ローラRo2は,通常は,前記搬送ローラRo2に対向して配置された従動ローラRo2’と離間する位置に退避しており,シートを前記搬送路r5へ送り出す際に,前記従動ローラRo2’に近接する位置に揺動して前記従動ローラRo2’との間にシートを挟み,前記搬送ローラRo2の回転力により前記搬送路r5へシートを送り出す(搬送する)。
前記中折りユニット40内の前記搬送路r5に導かれたシート(シート束)は,前記中折りユニット40内の搬送ローラRo3によってさらに搬送されて所定位置に停止させられる。そして,シートの搬送方向中央部に押し型41が押し当てられ,シートが前記押し型41の押し当て面と反対側において対向配置されて回転する2つの中折り用ローラ42の間に2つ折りされながら挟まれる。2つの前記中折り用ローラ42は,互いに対向する方向に付勢されており,この付勢力によってシートに折り目がつけられる。このようにして中折り処理がなされたシートは,前記中折り用ローラ42の回転力によってその折り部が先頭となる方向に搬送され,前記中折り用ローラ42上方の搬送路r6を経て,前記中折りユニット40内の排出ローラRo4によって,前記シート入口11の反対側の側面に設けられた下段シート出口14からその外側に設けられた中折りシート排出トレイ60上に排出される。このとき,前記下段シート出口14の上方に回動自在に設けられたシート抑え部材61により,中折り処理されたシートが抑えられて整合される。
【0011】
一方,前記中間処理ユニット30上側の前記搬送路r4へのシートの送り出しは,前記中間トレイ31に沿って上下に移動可能に設けられた断面T字形状のシート送り出し部材36によって行われる。前記シート送り出し部材36は,無端ベルト37bに取付けられており,該無端ベルト37bの正転/逆転によって上下に移動するよう構成されており,前記中間トレイ31の裏面側(下側)へ退避させることも可能である。また,前記シート送り出し部材36と前記第2のシート端部受け部33との上下動の範囲は一部で重複しており,前記シート送り出し部材36を最下端へ移動させた位置の方が,前記第2のシート端部受け部33を最上端へ移動させた位置よりも下側となるよう構成されている。
このように構成された前記シート送り出し部材36により,以下のようにしてシートが上側の前記搬送路4へ送り出される。
まず,前記シート送り出し部材36を裏面側へ退避させた状態で,シートを積載した前記第2のシート端部受け部33を最上端まで移動させる。次に,前記シート送り出し部材36を最下端からおもて面側へ移動させ,さらに前記第2のシート端部受け部33よりも上側へ移動させることにより前記第2のシート端部受け部33に積載されたシートを前記シート送り出し部材36上に積み替えられる。そして,さらに前記シート送り出し部材36を上側へ移動させることにより,積み替えられたシートが前記搬送路r4へ送り出される。
このようにして前記搬送路r4に搬送されてきたシート(シート束)は,シート排出手段80により搬送が引き継がれて,該シート排出手段80の具備する排出ローラRo6の回転力により中段シート出口13からその外側に複数設けられた可動トレイ50(前記シート受け部の一例)のいずれかに排出される。該可動トレイ50は,それぞれシートの排出方向に向かって上向くように傾斜して設けられている。さらに,前記可動トレイ50は上下方向に移動可能に構成され,その停止位置によって前記中段シート出口13から排出されるシートをいずれの前記可動トレイ50で受けるかが切り替えられる。
【0012】
次に,図4を用いて,本発明の実施の形態に係るシート排出機構の構成及び動作について説明する。
図4は,本発明の実施の形態に係るシート排出機構を構成する前記シート排出手段80及び前記シート送り出し部材36等からなるシート搬送手段を模式的に表した図である。
図4(a)に示すように,前記シート排出手段80は,所定の軸82に揺動可能に支持されたアーム部材81と,該アーム部材81に回転自在に支持された排出ローラRo6と,該排出ローラRo6に対向配置された従動ローラRo6’と,前記シート送り出し部材36により搬送されてくるシート束Sを前記排出ローラRo6と前記従動ローラRo6’との間に導くガイド部材83とを具備している。前記排出ローラRo6と前記従動ローラRo6’とは前記アーム部材81の揺動動作により離接可能に構成されている。ここで,前記シート送り出し部材36と,これを斜めに上下動させる前記無端ベルト37bと,該無端ベルト37bを回転可能に支持するベルト軸37cと,前記無端ベルト37b回転駆動させる不図示の駆動源等により前記シート排出手段80にシート束Sを搬送する前記シート搬送手段の一例を構成している。また,前記排出ローラRo6と前記従動ローラRo6’とを併せて,以下,ローラ対Ro6,Ro6’という。
上方向に移動する前記シート送り出し部材36に積載されて前記搬送路r4に送られてきたシート束Sは,図4(a)に示すように,前記ガイド部材83によって前記ローラ対Ro6,Ro6’の間に導かれる。このとき,前記ローラ対Ro6,Ro6’は,前記アーム部材81によって離間した状態に保持されている。このため,前記シート送り出し部材36は,前記シート排出手段80に拘束されることなくシート束Sを搬送することができる。
【0013】
次に,前記シート送り出し部材36が,図4(b)に示す所定の引継ぎ位置に到達したときに停止し(前記シート送り出し部材36によるシート束Sの搬送機能が停止),該停止するのとほぼ同時に前記アーム部材81が前記ローラ対Ro6,Ro6’を近接させる方向に揺動し,前記ローラ対Ro6,Ro6’の間にシート束Sが挟まれ,前記排出ローラRo6の回転力によってシート束Sが排出側へ搬送される。これにより,シート束Sの搬送が前記シート送り出し部材36から前記シート排出手段80に引き継がれる。
本シート処理装置Xでは,前記シート送り出し部材36が前記引継ぎ位置に到達したことは,前記無端ベルト37bの駆動源である不図示のステッピングモータのステップ数をCPU,ROM等で構成される不図示の制御部によってカウントし,このカウント数が,前記シート送り出し部材36が所定のホームポジションから前記引継ぎ位置に到達するまでに進むステップ数の設定値(予め設定)に等しくなったことによって検出される。前記ホームポジションの位置には,前記シート送り出し部材36の接触によりONされるリミットスイッチが設けられており,前記制御部は,前記リミットスイッチのON信号により前記シート送り出し部材36が前記ホームポジションに移動してきたことを検知できる。
また,前記アーム部材81は,ソレノイドによって前記ローラ対Ro6,Ro6’を近接させる側又は離間させる側のいずれかに移動されるよう構成されており,前記ソレノイドは,前記制御部によって制御される。
【0014】
図4(b)は,前記ローラ対Ro6,Ro6’によるシート束Sの搬送が開始された直後(搬送が引き継がれた直後)の状態を表している。ここで,前記排出ローラRo6によるシートSの搬送速度(前記排出ローラRo6の周速度)は,シート束Sを前記可動トレイ50(図1参照)の付け根部分(当該シート処理装置Xの本体に近い位置)に排出(落下)させる十分遅い速度に設定されており,この速度は,前記シート送り出し部材36によるシートSの搬送速度(前記シート送り出し部材36の移動速度)よりも遅い。しかし,前述したように,前記シート送り出し部材36によりシート束Sが搬送されている間は,前記ローラ対Ro6,Ro6’が離間した状態に保持されているので,前記ローラ対Ro6,Ro6’と前記シート送り出し部材36との間でシート束Sに無用な曲げ力が加わることがない。このため,前記シート送り出し部材36の移動速度を,前記排出ローラRo6の周速度に合わせて遅く設定する必要がなく,前記中間処理ユニット30における生産性(処理速度)に影響を与えることもない。さらに,前記排出ローラRo6の回転速度を可変とする機構を設ける必要がなく(回転速度は略一定),ごく簡単な構成によって実現できる。
【0015】
【実施例】
前記シート処理装置Xでは,前記ローラ対Ro6,Ro6’を離接させるタイミングの検出は,本シート処理装置Xのようにステッピングモータのステップ数で検出するよう構成されているが,これに限るものでなく,例えば,前記引継ぎ位置にリミットスイッチを設けることや,メカ的な機構によってタイミングを取る等他の方法で検出するものであってもよい。
また,前記ローラ対Ro6,Ro6’を離間状態から近接させるタイミングは,前記シート送り出し部材36によるシート束Sの搬送機能が停止した時点から多少前後したタイミングであっても特に問題はない。
また,前記シート処理装置Xは,前記シート排出手段80の前段のシート搬送手段として,前記シート送り出し部材36によるリフト機構を用いるものであったが,これに限るものでなく,例えば,所定のローラ対の間にシートを挟み,該ローラ対の回転力によって前記シート排出手段80にシートを搬送するよう構成されたシート搬送手段等であってもよい。このようなシート搬送手段を用いる場合は,該シート搬送手段からシートが解放される時,或いはそれに近いタイミングで前記シート排出手段80における前記ローラ対Ro6,Ro6’を離間状態から近接させればよい。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,ごく簡単な構成によって上流工程のシートの処理速度や搬送速度に影響を与えることなく,前段のシート搬送手段による搬送速度よりも遅い速度でシートを装置外へ排出するシート排出機構を構成することが可能となる。その結果,シートはその整合を乱すことなく整然とシート受け部に排出されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xの概略断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xを構成する中間処理ユニットの正面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るシート排出機構を具備するシート処理装置Xを構成する中間処理ユニットの断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るシート排出機構の構成及び動作を説明する図。
【符号の説明】
11…シート入り口
12…上段シート出口
13…中段シート出口
14…下段シート出口
21…退避ドラム
30…中間処理ユニット
31…中間トレイ
32…第1のシート端部受け部
33…第2のシート端部受け部
34,35…ステイプル手段
34’,35’…ステイプル受け部
36…シート送り出し部材(シート搬送手段)
37a,37b…無端ベルト
37c…ベルト軸
40…中折りユニット
41…押し型
42…中折り用ローラ
50…可動トレイ(シート受け部)
60…中折シート排出トレイ
61…シート抑え部材
80…シート排出手段
81…アーム部材
82…アーム部材の回動軸
Ro1,Ro2,Ro3…搬送ローラ
Ro4,Ro5,Ro6…排出ローラ
r1,r2,r21,r22,r3,r4,r5,r6…シートの搬送路
Claims (5)
- シート搬送手段により搬送されてきたシートをシート排出手段により搬送を引き継いで当該シート排出機構が設けられる本体装置の外部へ排出するシート排出機構において,
前記シート排出手段が離接可能に対向配置されたローラ対を具備し,
前記シート搬送手段により搬送されてくる前記シートを離間させた前記ローラ対の間に通した後,所定のタイミングで前記ローラ対を近接させ,前記ローラ対の回転力により前記シートを排出するよう構成され,前記シート搬送手段による前記シートの送り速度よりも前記シート排出手段による前記シートの送り速度の方が遅く構成されてなることを特徴とするシート排出機構。 - 前記ローラ対を近接させるタイミングを,前記シート搬送手段によるシートの搬送機能が停止する時又は前記シートが前記シート搬送手段から開放される時或いはそれらに近いタイミングとしたものである請求項1に記載のシート排出機構。
- 前記ローラ対を構成するローラの少なくとも一方が揺動可能な支持部材に支持され,該支持部材の揺動により前記ローラ対が離接するよう構成されてなる請求項1又は2のいずれかに記載のシート排出機構。
- 画像形成装置により画像形成されたシートに所定の処理を施して該シートを装置外へ排出するシート処理装置において,
請求項1〜3のいずれかに記載のシート排出機構を具備してなることを特徴とするシート処理装置。 - 前記シートがステイプル処理後の複数重ねられたシートである請求項4に記載のシート処理装置。
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JP2002264954A JP2004099262A (ja) | 2002-09-11 | 2002-09-11 | シート排出機構,シート処理装置 |
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JP2002264954A JP2004099262A (ja) | 2002-09-11 | 2002-09-11 | シート排出機構,シート処理装置 |
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2002
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JP2008273659A (ja) * | 2007-04-26 | 2008-11-13 | Nisca Corp | シート後処理装置及び画像形成システム |
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