JP2004098858A - 自動二輪車の風防装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フロントハンドルカバー15を,前面が上向きに傾斜した上半部15aと,前面が下向きに傾斜した下半部15bとを結合して構成して,その下半部15bに空気導入口30を設け,前縁をウインドスクリーン12の内側面に当接もしくは近接させたアッパハンドルカバー13に,ウインドスクリーン12の内面に沿って開口する多数の噴気孔31を設け,空気導入口30から取り入れた走行風を噴気孔31に誘導する導風板16をハンドルカバー15及びアッパハンドルカバー13間に配設した。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,棒状の操向ハンドルに取り付けられて,その前面を覆うフロントハンドルカバーに,その前方に開口する空気導入口を設け,この空気導入口から取り入れた走行風を,フロントハンドルカバーから上方に突出したウインドスクリーンの内側に供給するようにした,自動二輪車の風防装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝる自動二輪車の風防装置は,例えば特許文献1に開示されているように,既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−203453号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,従来の自動二輪車の風防装置では,フロントハンドルカバーの前面を上向きに傾斜させた部分に空気導入口を開口させているので,その空気導入口が目立ち過ぎて車両前面の外観を損なうのみならず,雨天走行中,空気導入口に浸入した雨がウインドスクリ−ン内側に上がることを防止する配慮が必要となる。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,空気導入口が目立たないようにして車両前面の良好な外観を保持し,しかも空気導入口への雨の浸入を防ぐようにした,前記自動二輪車の風防装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,棒状の操向ハンドルに取り付けられて,その前面を覆うフロントハンドルカバーに,その前方に開口する空気導入口を設け,この空気導入口から取り入れた走行風を,フロントハンドルカバーから上方に突出したウインドスクリーンの内側に供給するようにした,自動二輪車の風防装置において,フロントハンドルカバーを,前面が上向きに傾斜した上半部と,前面が下向きに傾斜した下半部とを,その間に左右方向の稜線が形成されるように結合して構成し,前記下半部に前記空気導入口を設けたことを第1の特徴とする。
【0007】
この第1の特徴によれば,フロントハンドルカバーの空気導入口は,フロントハンドルカバーの,稜線より下方の前面下向きの下部に設けられているため,一般の成人の前方からの視線は稜線で遮られ,空気導入口が見え難くなり,したがって空気導入口が自動二輪車の外観に影響を及ぼすことを回避できる。しかも,フロントハンドルカバーの,空気導入口の開口する前面が下向きであることから,雨天走行時,空気導入口への雨の進入を防ぐことができる。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,操向ハンドルに,前縁をウインドスクリーンの内側面に当接もしくは近接させつゝ操向ハンドルの上面を覆うアッパハンドルカバーを取り付け,このアッパハンドルカバーの前部に,ウインドスクリーンの内面に向かって開口する多数の噴気孔を設け,前記空気導入口から取り入れた走行風を前記噴気孔に誘導する導風板をフロントハンドルカバー及びアッパハンドルカバー間に配設したことを第2の特徴とする。
【0009】
この第2の特徴によれば,フロントハンドルカバーの空気取り入れ口に進入した走行風は,導風板によりアッパハンドルカバーの噴気孔へ誘導され,多数の噴気孔から噴出して,ウインドスクリーン内側での負圧の発生を抑え,風防効果を高めることができる。しかも,ウインドスクリーンとアッパハンドルカバーとの間からは,大きな隙間を排除することができて,良好な外観を得ることができる。
【0010】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,アッパハンドルカバーにメータユニットを装着し,このメータユニットと前記噴気孔群との間から起立してメータユニットの表示面への幻惑光線の入射を阻止するメータバイザをアッパハンドルカバーに一体に形成したことを第3の特徴とする。
【0011】
この第3の特徴によれば,噴気孔群の後方から起立したメータバイザは,ウインドスクリーンの内側面に比較的近接して対向して,ウインドスクリーンとの間に噴気孔から噴出する空気の上昇通路を画成する役割を果たし,その噴出空気の拡散を防いで,ウインドスクリーン内側での負圧の発生を効果的に抑制することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて以下に説明する。
【0013】
図1は本発明の風防装置を備えた自動二輪車の側面図,図2は図1の2矢視拡大図,図3は図1の3矢視拡大図,図4は図2の4−4線断面図,図5は図4の5−5線断面図,図6は図4の6−6線断面図,図7は図2の7−7線断面図,図8は図3の8−8線断面図,図9は図3の9−9線断面図,図10は図3の10−10線断面図である。
【0014】
尚,以下の説明において,前後,左右とは,自動二輪車Sを基準にして言うものとする。
【0015】
先ず,図1〜図3において,スクータ型自動二輪車Sの車体フレーム1の前端に形成されたヘッドパイプ1hは,前輪2を支持するフロントフォーク3のステアリングステム3aを回転可能に支承する。ステアリングステム3aは,ヘッドパイプ1hを下方から貫通して上方に延びており,その上端に操向ハンドル4が一体に連結される。この操向ハンドル4は棒状のもので,ステアリングステム3aに最下部が連結されるU字状部4aと,このU字状部4aの左右両端からそれぞれ左右外方に延びる一対の直線部4b,4bとからなっており,これら直線部4b,4bの外端部にグリップラバー5,5が嵌装される。
【0016】
U字状部4aの両端部間にはクロスメンバ6が溶接により結合され,このクロスメンバ6の両端部に左右一対の第1ステー7,7が溶接され,またU字状部4aの両端に左右一対の第2ステー8,8が溶接され,ステアリングステム3aの上端部背面に第3ステー9が溶接され,クロスメンバ6の中央部に第4ステー10が溶接される。
【0017】
図2及び図7に示すように,左右の第1ステー7,7には合成樹脂製で透明のウインドスクリーン12の下端部がボルト17,17により固着される。
【0018】
また図4に示すように,左右の第2ステー8,8には,操向ハンドル4の上面を覆う合成樹脂製のアッパハンドルカバー13がボルト18,18により固着され,第3ステー9には操向ハンドル4の下面を覆う合成樹脂製のロアハンドルカバー14がボルト19により固着される。
【0019】
操向ハンドル4の前面を覆うフロントハンドルカバー15は,ウインドスクリーン12の下端部をも覆って,その左右両側方に張り出するように形成され,このフロントハンドルカバー15,アッパハンドルカバー13及びロアハンドルカバー14の三者は左右のグリップラバー5,5の内側で操向ハンドル4を挟むようにして相互に結合される。即ち,フロントハンドルカバー15の,ウインドスクリーン12から外側方に張り出した左右両端部の内面には,図3,図8〜図10に示すように,上方から第1連結ボス21,21,第2連結ボス22,22及び第3連結ボス23,23が一体に突設されており,左右の第1連結ボス21,21は,アッパハンドルカバー13の左右両端部にボルト20,20により連結され,左右の第2連結ボス22,22は,互いに重なるアッパハンドルカバー13及びロアハンドルカバー14の両端部にボルト25,25により連結され,左右の第3連結ボス23,23はロアハンドルカバー14にボルト26,26により固着される。
【0020】
また図10に示すように,アッパハンドルカバー13及びロアハンドルカバー14は,その対向部適所に形成した係止孔36及び係止爪37を弾性的に係合させている。こうして,フロントハンドルカバー15は,操向ハンドル4に支持されるアッパハンドルカバー13及びロアハンドルカバー14によって支持される。
【0021】
図2及び図4に示すように,フロントハンドルカバー15も合成樹脂製で,前面が上向きに傾斜した上半部15aと,前面が下向きに傾斜した下半部15bとを,その間に左右方向の稜線15cが形成されるように結合した形状をなしており,その上半部15aの上縁には,ウインドスクリーン12の前面に密接するシール部材28が装着される。またその下半部15bには,ウインドスクリーン12の直下において左右一対の空気導入口30,30が設けられる。
【0022】
また図4及び図5に示すように,アッパハンドルカバー13は,その前縁をウインドスクリーン12の内側面に当接もしくは近接するように形成されていて,その前端部には,ウインドスクリーン12の内側面に沿って上方に開口する,前後方向に長いスリット状の多数の噴気孔31,31…が設けられる。そして前記空気導入口30から取り入れた走行風を噴気孔31,31…に誘導する導風板16の中央部が前記第4ステー10にボルト27により固着され,またこの導風板16の上部がアッパハンドルカバー13の内壁に左右一対のボルト38,38(図4及び図6参照)により固着される。
【0023】
図4において,アッパハンドルカバー13の中央部に開口するメータ取り付け孔32にはメータユニット33が装着され,メータ取り付け孔32の前方で起立して,メータユニット33の表示面への幻惑光線の入射を阻止するメータバイザ34がアッパハンドルカバー13に一体に形成される。このメータバイザ34は,前記噴気孔31,31…群の後部から起立する前壁34aと,メータ取り付け孔32の前縁から起立して上端で前壁34aと一体に連結する後壁34bとで二重壁に構成される。
【0024】
尚,図中,参照符号35は操向ハンドル4に取り付けられるバックミラーである。
【0025】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0026】
自動二輪車Sの走行中,その走行によって生じる走行風がフロントハンドルカバー15の左右の空気導入口30に進入すると,導風板16により上方へ誘導されて,アッパハンドルカバー13の多数の噴気孔31,31…から噴出する。これら噴気孔31,31…は,ウインドスクリーン12の内側面に沿って上方に開口しているので,噴気孔31,31…から噴出した空気は,ウインドスクリーン12の内側面に沿って上昇し,それによってウインドスクリ−ン12内側での負圧の発生を抑えることができ,したがってウインドスクリ−ン12の前面に沿って上昇した走行風の気流がウインドスクリ−ン12の内側に回り込むことを防いで,ウインドスクリ−ン12の風防効果を高めることができる。
【0027】
また噴気孔31,31…群の後方から起立したメータバイザ34は,ウインドスクリーン12の内側面に比較的近接して対向しているから,ウインドスクリーン12との間に噴気孔31,31…から噴出する空気の上昇通路を画成する役割を果たし,ウインドスクリ−ン12内側での噴出空気の拡散を防ぎ,負圧の発生を効果的に抑制することができる。
【0028】
またフロントハンドルカバー15の空気導入口30,30は,フロントハンドルカバー15の,稜線15cより下方の前面下向きの下半部15bに設けられているから,一般の成人がこの自動二輪車Sを前方から見たとき,その視線が稜線15cで遮られることになり,空気導入口30,30が見え難く,したがって空気導入口30,30が自動二輪車Sの外観に影響を及ぼすことを回避できる。しかも,フロントハンドルカバー15の,空気導入口30,30の開口する前面が下向きであることから,空気導入口30,30への雨の進入を防ぐことができる。
【0029】
一方,ウインドスクリーン12の内側では,アッパハンドルカバー13の前端部に多数の噴気孔31,31…を設けることで,負圧抑制用の空気の流れを確保しながら,ウインドスクリーン12とアッパハンドルカバー13との間から大きな隙間を排除することができて,良好な外観を得ることができる。
【0030】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,棒状の操向ハンドルに取り付けられて,その前面を覆うフロントハンドルカバーに,その前方に開口する空気導入口を設け,この空気導入口から取り入れた走行風を,フロントハンドルカバーから上方に突出したウインドスクリーンの内側に供給するようにした,自動二輪車の風防装置において,フロントハンドルカバーを,前面が上向きに傾斜した上半部と,前面が下向きに傾斜した下半部とを,その間に左右方向の稜線が形成されるように結合して構成し,前記下半部に前記空気導入口を設けたので,フロントハンドルカバーの空気導入口が,フロントハンドルカバーの,稜線より下方の前面下向きの下部に設けられることで,一般の成人の前方からの視線は稜線で遮られ,空気導入口が見え難くなり,したがって空気導入口が自動二輪車の外観に影響を及ぼすことを回避できる。しかも,フロントハンドルカバーの,空気導入口の開口する前面が下向きであることから,雨天走行時,空気導入口への雨の進入を防ぐことができる。
【0032】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,操向ハンドルに,前縁をウインドスクリーンの内側面に当接もしくは近接させつゝ操向ハンドルの上面を覆うアッパハンドルカバーを取り付け,このアッパハンドルカバーの前部に,ウインドスクリーンの内面に向かって開口する多数の噴気孔を設け,前記空気導入口から取り入れた走行風を前記噴気孔に誘導する導風板をフロントハンドルカバー及びアッパハンドルカバー間に配設したので,フロントハンドルカバーの空気取り入れ口に進入した走行風は,導風板によりアッパハンドルカバーの噴気孔へ誘導され,多数の噴気孔から噴出して,ウインドスクリーン内側での負圧の発生を抑え,風防効果を高めることができる。しかも,ウインドスクリーンとアッパハンドルカバーとの間からは,大きな隙間を排除することができて,良好な外観を得ることができる。
【0033】
さらに本発明の第3の特徴によれば,第2の特徴に加えて,アッパハンドルカバーにメータユニットを装着し,このメータユニットと前記噴気孔群との間から起立してメータユニットの表示面への幻惑光線の入射を阻止するメータバイザをアッパハンドルカバーに一体に形成したので,噴気孔群の後方から起立したメータバイザは,ウインドスクリーンの内側面に比較的近接して対向して,ウインドスクリーンとの間に噴気孔から噴出する空気の上昇通路を画成する役割を果たし,その噴出空気の拡散を防いで,ウインドスクリーン内側での負圧の発生を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の風防装置を備えた自動二輪車の側面図
【図2】図1の2矢視拡大図
【図3】図1の3矢視拡大図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】図4の6−6線断面図
【図7】図2の7−7線断面図
【図8】図3の8−8線断面図
【図9】図3の9−9線断面図
【図10】図3の10−10線断面図
【符号の説明】
12・・・・ウインドスクリーン
13・・・・アッパハンドルカバー
14・・・・ロアハンドルカバー
15・・・・フロントハンドルカバー
15a・・・フロントハンドルカバーの上半部
15b・・・フロントハンドルカバーの下半部
15c・・・稜線
16・・・・導風板
30・・・・空気導入口
31・・・・噴気孔
32・・・・メータ取り付け孔
33・・・・メータユニット
34・・・・メータバイザ
S・・・・・自動二輪車
Claims (3)
- 棒状の操向ハンドル(4)に取り付けられて,その前面を覆うフロントハンドルカバー(15)に,その前方に開口する空気導入口(30)を設け,この空気導入口(30)から取り入れた走行風を,フロントハンドルカバー(15)から上方に突出したウインドスクリーン(12)の内側に供給するようにした,自動二輪車の風防装置において,
フロントハンドルカバー(15)を,前面が上向きに傾斜した上半部(15a)と,前面が下向きに傾斜した下半部(15b)とを,その間に左右方向の稜線(15c)が形成されるように結合して構成し,前記下半部(15b)に前記空気導入口(30)を設けたことを特徴とする,自動二輪車の風防装置。 - 請求項1記載の自動二輪車の風防装置において,
操向ハンドル(4)に,前縁をウインドスクリーン(12)の内側面に当接もしくは近接させつゝ操向ハンドル(4)の上面を覆うアッパハンドルカバー(13)を取り付け,このアッパハンドルカバー(13)の前部に,ウインドスクリーン(12)の内面に沿って開口する多数の噴気孔(31)を設け,前記空気導入口(30)から取り入れた走行風を前記噴気孔(31)に誘導する導風板(16)をフロントハンドルカバー(15)及びアッパハンドルカバー(13)間に配設したことを特徴とする,自動二輪車の風防装置。 - 請求項2記載の自動二輪車の風防装置において,
アッパハンドルカバー(13)にメータユニット(33)を装着し,このメータユニット(33)と前記噴気孔(31)群との間から起立してメータユニット(33)の表示面への幻惑光線の入射を阻止するメータバイザ(34)をアッパハンドルカバー(13)に一体に形成したことを特徴とする,自動二輪車の風防装置。
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