JP2004095248A - 色素増感型太陽電池用封止剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】色素増感型太陽電池の電解液を封止するポリイソブチレン骨格を主鎖に持つ硬化性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】色素増感型太陽電池の電解液を硬化性組成物を用いて封止し、当硬化性組成物が下記の成分(A)、(B)、(C)、(D)を主成分とすることを特徴とする電解液封止用硬化性組成物を用いた。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を含有するイソブチレン系重合体、
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)ヒドロシリル化触媒
(D)シランカップリング剤
【解決手段】色素増感型太陽電池の電解液を硬化性組成物を用いて封止し、当硬化性組成物が下記の成分(A)、(B)、(C)、(D)を主成分とすることを特徴とする電解液封止用硬化性組成物を用いた。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を含有するイソブチレン系重合体、
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)ヒドロシリル化触媒
(D)シランカップリング剤
Description
【発明の属する分野】
本発明は色素増感型太陽電池の封止剤組成物に関するものであり、特に本発明の硬化物は電解液に対する耐性に優れ、電解液のシール性能が高い色素増感型太陽電池の封止剤組成物に適するものである。
【従来技術】
1991年にグレッツェルらが発表した色素増感型太陽電池はシリコン半導体のpn接合型の太陽電池とは異なるメカニズムによって作動し、変換効率が高く、しかも製造コストが安いという利点がある。この太陽電池は、内部に電解液を封入してあることから湿式太陽電池とも呼ばれる。図1に代表的な色素増感型太陽電池の概略断面図を示す。
【0001】
図1において、透明基板1の片方の面に透明導電膜2を形成しその上に酸化チタンの粒子を均一に塗布、加熱して多孔質膜3を設け、さらに多孔質膜に色素4を吸着させる。一方、透明基板1aに透明導電膜2aを形成した導電性基板を封止剤7を介して対向させ、両基板と封止剤によって形成された隙間には電解液5が注入されることにより製造させる。
【0002】
この太陽電池が電気を発生する仕組みは以下のとおりである。透明基板1に光が当たると色素4が光を吸収し、電子を放出する。電子は酸化チタン膜3に移動し電極2に伝わる。さらに電子は対極2aに移動し電解液5中のイオンを還元する。還元されたイオンは色素上6で再び酸化される。これを繰り返して電気が発生する。
【0003】
よって、色素増感型太陽電池では電子の授受のために電解質が必要であり、液体である電解液が用いられていることが多い。その他にゲル電解質、固体電解質を使用することができる。ゲル電解質は、大別して、物理ゲルと化学ゲルに分けられ、物理ゲルは、物理的な相互作用で室温付近でゲル化しているものであり、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリレートが挙げられる。化学ゲルは、架橋反応等により化学結合でゲルを形成しているものであり、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系のゲルが挙げられる。
【0004】
また、固体電解質としては、ポリピロール、CuIが挙げられる。ゲル電解質、固体電解質を使用する場合、低粘度の前駆対を酸化物半導体膜に含浸させ、加熱、紫外線照射、電子線照射などの手段で二次元または三次元の架橋反応を起こさせることにより、ゲル化または固体化することができる。しかしながら、発電効率を考えると電解液を使用することが好ましい。
【0005】
電解液はレドックス系(電荷移動リレー)を含むのが好ましい。好ましいこのような系としてはヨウ素/ヨウ素溶液、臭素/臭素溶液、ヒドロキシ溶液、または未結合電子を運搬する遷移金属錯体溶液を挙げることができる。電解液はアセトニトリルなどの有機溶剤に溶解して使用する。
【0006】
【発明が解決使用とする課題】
色素増感型太陽電池は電解液を保持する必要があるために、透明基板どおしに間隔を持たせる必要がある。そのためスペーサーとなる固形パッキンを挟み込んで使用している。固形パッキンはスペーサーとしての機能だけでなく、電解液が電池から漏れないようにするためのシール剤としての機能がある。従来スペーサーは溶媒に溶解しにくい樹脂製の固形ガスケットが用いられている。しかし、固形ガスケットは透明基板どおしを密着させ、その反発力にてシール性を発揮するものであるため、長期間使用して圧縮されていると経時でその反発力の低下が起こり、シールの信頼性が著しく低下する。また、透明基板と固形ガスケットはお互いに密着しているだけなので、接合界面からの洩れを起こしやすい。
【0007】
一方、封止剤として液状硬化性樹脂を用いることができる。別途スペーサーなどで基板どおしの間隔を確保して透明基板を対向させその間を該封止剤で封止する方法である。これは透明基板に接着固化するため、固形パッキンに比べ信頼性が高い。液状硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが特開2000−30767号等に提案されている。しかし、色素増感型太陽電池の電解液はこれらの樹脂を侵しやすく、長期間電解液に接触することにより膨潤したり、劣化したりして電解液が漏洩することがあり、封止性能を満足できなくなるという欠点があった。
【0008】
色素増感型太陽電池の製造方法として固形パッキンや液状硬化性樹脂の封止剤にて形成された空間に電解液を注入後、透明導電膜が形成された透明基板でふたをしてその側面を樹脂にて封止することにより接合している。このような製造方法においては、封止材の電解液に対する耐性が十分でないと電解液が漏れ出てくるという問題が生じる。そこで、本発明は、色素増感型太陽電池に使用される電解液に対して優れた耐性を有し、かつ透明基板との接着性に優れ、信頼性の高いシール性能を有する封止剤組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明では、色素増感型太陽電池に使用される電解液を封止するための封止剤組成物であって、当封止剤組成物が下記の成分、(A)、(B)、(C)、(D)を主成分とすることを特徴とする色素増感型太陽電池用封止剤組成物を用いるようにした。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を含有するイソブチレン系重合体、
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)ヒドロシリル化触媒、
(D)シランカップリング剤
【0010】
本発明に用いることができる(A)成分は分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有するポリイソブチレンである。ここで、ポリイソブチレンとは少なくとも50モル%、好ましくは80モル%の反復単位がイソブチレン単位であるものである。平均分子量は100〜20000であることが好ましい。イソブチレン以外の単量体単位成分としては炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が挙げられる。この様な共重合体成分の具体例として、例えば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−ヘキセニルオキシスチレン、p−アリロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等と共重合することができる。
【0011】
また、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基とは、ヒドロシリル化反応に対して活性のある炭素−炭素二重結合を含む基であれば制限されるものではない。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロピニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロピニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基が挙げられる。本発明において、(A)成分は、1分子中にアルケニル基を2個以上個有していることが望ましい。さらに、本発明における(A)成分は、上記ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が重合体末端に導入されていることが望ましい。この様にアルケニル基が重合体末端にあるときは、最終的に形成される硬化物の有効網目鎖量が多くなり、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0012】
また、前記(A)のイソブチレン系重合体としては、下記一般式(a)で示される化合物が特に好ましく使用できる。
【0013】
【化3】
【0014】
本発明の(B)成分である硬化剤としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。ここでいうオルガノハイドロジェンポリシロキサンとは、Si原子上に炭化水素基あるいは水素原子を有するポリシロキサンを指し、その構造について具体的に示すと、次式(b1)〜(b5)にようになる。
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
などで示される鎖状、環状のものが挙げられる。上記の各種のヒドロシリル基含有のうち、本発明の(B)成分であるヒドロシリル基含有硬化剤の(A)成分などの各種有機重合体に対する相溶性を損なう可能性が少ない点を考慮すれば、特に下式(b4)、(b5)のものが好ましい。
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
またこれら(B)成分に含まれるヒドロシリル基の個数については少なくとも1分子中に2個あればよいが2〜40個が好ましい。本発明の組成物をヒドロシリル化反応により硬化させる場合には、該ヒドロシリル基の個数が40より多くなると、(B)成分である硬化剤の安定性が悪くなり、その上硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化物中に残存し、ボイドやクラックの原因となる。
【0022】
本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒については、特に制限はなく、任意のものが使用できる。具体的に例示すれば、塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4]m};白金−ホスフィン錯体{例えばPt(PPh3)4、Pt(PBu3)4};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt[P(OPh)3]4、Pt[P(OBu)3]4}(式中Meはメチル基、Buはブチル基、Viビニル基、Phはフェニル基を表し、n,mは整数を表す)。
【0023】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種類以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。触媒量としては特に制限が、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10−1〜10−8molの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−2〜10−6molの範囲で用いるのがよい。また、ヒドロシリル基化触媒は、一般的に高価であり、また、水素ガスを発生して硬化物が発泡してしまう場合があるので10−1mol以上用いない方がよい。
【0024】
本発明においては、貴金属触媒を用いたアルケニル基に対するSi−H基の付加反応によって硬化性組成物が硬化するので、硬化速度が非常に速くライン生産を行う上で非常に好都合である。
【0025】
本発明の(D)成分であるシランカップリング剤としては、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基と、ケイ素原子結合アルコール基を有するシランカップリング剤が望ましい。前記官能基については、中でも硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基があるのが好ましい。具体的には、エポキシ官能基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。また、メタクリル基あるいはアクリル基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシランが挙げられる。
【0026】
また、本発明の硬化性組成物には、さらに目的に応じて各種可塑剤や各種無機フィラーを添加することが出来る。可塑剤としては本組成物の流動性を改善するために添加するものであり、一般的に使用されている可塑剤が使用できるが、本発明に用いる飽和炭化水素系重合体と相溶性の良いものが好ましい。可塑剤の具体例としてはポリブテン、水添ポリブテン、α−メチルスチレンオリゴマー、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレンなどの炭化水素系化合物類が望ましい。
【0027】
また、無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カーボンブラックといった各種の無機フィラーが使用できる。しかし、本発明の硬化性組成物はヒドロシリル化反応による硬化を利用するため、その使用に当たっては、例えば組成物に水分が多く含まれると硬化反応時に副反応等が起こる可能性があるなど、ヒドロシリル化反応に対する阻害の有無を考慮しなければならない。さらに、本発明の硬化物組成物には、必要に応じてその他の充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤等を適宜添加することが出来る。
【0028】
本発明の封止剤組成物は色素増感型太陽電池に使用するためプライマーを使用することが好ましい。なぜなら、色素増感型太陽電池の場合、封止剤が接着させる被着面は色素層や透明導電膜であり、ガラスに接着するよりも接着性が劣り、封止性能を最大限に引き出すためにはプライマーを使用することが好ましい。プライマーはエチルシリケート、イソプロポキシチタネート、チタンテトラブトキシドなどが挙げられる。これらは有機溶剤などに溶解して、被着体に塗布され乾燥される。
【0029】
【発明の実施の形態】
【実施例1】
下記に示す硬化性組成物を使用した。
(A)成分
【化9】
【0030】
(B)成分
【化10】
(C)成分 ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金触媒(8.3×10−5mmol/μl,キシレン溶液)
(D)成分 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製商品名:A−187)
【0031】
前記(A)成分のアルケニル基量と(B)成分中のSi−H基量の比が1.0:2.0になるように秤量し、さらに可塑剤としてプロセスオイル(出光興産社製 商品名:PS−32)を(A)成分100重量部に対し50重量部、さらに酸化防止剤としてMARK AO−50(アデカ・アーガス化学社製)を(A)成分100重量部に対し3重量部、さらにホワイトカーボン(日本シリカ工業社製)を(A)成分100重量部に対し50重量部秤量し攪拌脱泡した。続いて(D)成分として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを(A)成分100重量部に対し4.3重量部秤量し混合した。さらに保存安定性改良剤としてジメチルマレートを白金に対し30mol当量及び(C)成分の触媒としてビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金触媒(8.3×10−5mmol/μl,キシレン溶液)を白金が(A)成分のアルケニル基量のモル数に対して5×10−4当量になるように秤量し均一に混合した。
【0032】
次に本組成物を使用して以下のようにして太陽電池を製造した。
1. 80g/lの硫酸チタニル溶液1リットルを85℃に加熱し、この温度で3時間保持し、硫酸チタニルを加水分解して酸化チタン微粒子を得た。このようにして得られた酸化チタン微粒子を濾過し、洗浄した後、水に分散させて、TiO2基準で200g/lの懸濁液とした。次いで、この懸濁液に硝酸水溶液を添加し、該懸濁液のpHを1.0にした後、オートクレーブに入れ、180℃の温度で13時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行った。次に、この懸濁液に、懸濁液中のTiO2基準に対してポリエチレングリコール(平均分子量20000)40重量%を添加し、60℃の温度に加熱した後、フッ素をドープした酸化スズをコートした透明導電性ガラス板に塗布し、自然乾燥し、引き続き、600℃の温度で30分間焼成して、支持体上に膜状の酸化チタンを形成した。
【0033】
2. シス−(SCN−)2−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)で表される分光増感色素をエタノール液に溶解した。この分光増感色素の濃度は3×10−4モル/lであった。次に、このエタノールの液体に、膜状の酸化チタンを形成した前記の支持体を入れ、加熱し、沸点の温度で加熱還流を15分間した。
【0034】
3 . 2で得られたものの外周部にチタンテトラブトキシド10%溶液を塗布し乾燥させ、外周にそって環状に前記封止剤を塗布した。環状ビードの一部は電解液を封入するための封入口にするために取り除いた。次いで、フッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を準備し外周部にあらかじめ同プライマーを塗布した。これを対電極として、スペーサーを用いて貼り合わせた。これを120℃40分加熱して封止剤を硬化させた。封入口から2つの電極の間に電解質を入れ、封入口を常温硬化性の樹脂で封入した後、リード線を取付けて、色素増感型太陽電池を作成した。なお、前記の電解質は、体積比が1:4であるアセトニトリル/炭酸エチレンの混合溶媒に、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドとヨウ素とを、それぞれの濃度が0.46モル/l、0.06モル/lとなるように溶解したものを用いた。
【0035】
得られた太陽電池を100℃の加熱炉に1時間加熱して、耐久試験として重量変化を測定したが、変化はなく電解液が漏洩することはなかった。
【0036】
【比較例】
比較例として従来のシール剤で同様に太陽電池を製作した。エポキシ変成シリコーン(商品名;ThreeBond3950 スリーボンド社製)を使用して、25℃×55%RHで7日間の硬化条件で太陽電池を製作した。また、紫外線硬化型アクリル樹脂(商品名;ThreeBond3051 スリーボンド社製)を使用して紫外線を照射して太陽電池を製作した。両者を同様に100℃の加熱炉に1時間加熱して、重量変化を測定したところ、前者は0.2%減少し、後者は0.15%減少しており、電解液が漏洩していることが測定された。
【0037】
【発明の効果】
本発明の色素増感型太陽電池用封止剤組成物は色素増感型太陽電池の電解液に対する耐性が高く、電解液の漏洩なく封止することができる。その結果、太陽電池の効率を低下させることがなく長期にわたり信頼して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】色素増感型太陽電池の断面図
【符号の説明】
1 透明基板
1a 透明基板
2 透明導電膜
2a 透明導電膜
3 多孔質膜
4 色素
5 電解液
本発明は色素増感型太陽電池の封止剤組成物に関するものであり、特に本発明の硬化物は電解液に対する耐性に優れ、電解液のシール性能が高い色素増感型太陽電池の封止剤組成物に適するものである。
【従来技術】
1991年にグレッツェルらが発表した色素増感型太陽電池はシリコン半導体のpn接合型の太陽電池とは異なるメカニズムによって作動し、変換効率が高く、しかも製造コストが安いという利点がある。この太陽電池は、内部に電解液を封入してあることから湿式太陽電池とも呼ばれる。図1に代表的な色素増感型太陽電池の概略断面図を示す。
【0001】
図1において、透明基板1の片方の面に透明導電膜2を形成しその上に酸化チタンの粒子を均一に塗布、加熱して多孔質膜3を設け、さらに多孔質膜に色素4を吸着させる。一方、透明基板1aに透明導電膜2aを形成した導電性基板を封止剤7を介して対向させ、両基板と封止剤によって形成された隙間には電解液5が注入されることにより製造させる。
【0002】
この太陽電池が電気を発生する仕組みは以下のとおりである。透明基板1に光が当たると色素4が光を吸収し、電子を放出する。電子は酸化チタン膜3に移動し電極2に伝わる。さらに電子は対極2aに移動し電解液5中のイオンを還元する。還元されたイオンは色素上6で再び酸化される。これを繰り返して電気が発生する。
【0003】
よって、色素増感型太陽電池では電子の授受のために電解質が必要であり、液体である電解液が用いられていることが多い。その他にゲル電解質、固体電解質を使用することができる。ゲル電解質は、大別して、物理ゲルと化学ゲルに分けられ、物理ゲルは、物理的な相互作用で室温付近でゲル化しているものであり、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリレートが挙げられる。化学ゲルは、架橋反応等により化学結合でゲルを形成しているものであり、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系のゲルが挙げられる。
【0004】
また、固体電解質としては、ポリピロール、CuIが挙げられる。ゲル電解質、固体電解質を使用する場合、低粘度の前駆対を酸化物半導体膜に含浸させ、加熱、紫外線照射、電子線照射などの手段で二次元または三次元の架橋反応を起こさせることにより、ゲル化または固体化することができる。しかしながら、発電効率を考えると電解液を使用することが好ましい。
【0005】
電解液はレドックス系(電荷移動リレー)を含むのが好ましい。好ましいこのような系としてはヨウ素/ヨウ素溶液、臭素/臭素溶液、ヒドロキシ溶液、または未結合電子を運搬する遷移金属錯体溶液を挙げることができる。電解液はアセトニトリルなどの有機溶剤に溶解して使用する。
【0006】
【発明が解決使用とする課題】
色素増感型太陽電池は電解液を保持する必要があるために、透明基板どおしに間隔を持たせる必要がある。そのためスペーサーとなる固形パッキンを挟み込んで使用している。固形パッキンはスペーサーとしての機能だけでなく、電解液が電池から漏れないようにするためのシール剤としての機能がある。従来スペーサーは溶媒に溶解しにくい樹脂製の固形ガスケットが用いられている。しかし、固形ガスケットは透明基板どおしを密着させ、その反発力にてシール性を発揮するものであるため、長期間使用して圧縮されていると経時でその反発力の低下が起こり、シールの信頼性が著しく低下する。また、透明基板と固形ガスケットはお互いに密着しているだけなので、接合界面からの洩れを起こしやすい。
【0007】
一方、封止剤として液状硬化性樹脂を用いることができる。別途スペーサーなどで基板どおしの間隔を確保して透明基板を対向させその間を該封止剤で封止する方法である。これは透明基板に接着固化するため、固形パッキンに比べ信頼性が高い。液状硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが特開2000−30767号等に提案されている。しかし、色素増感型太陽電池の電解液はこれらの樹脂を侵しやすく、長期間電解液に接触することにより膨潤したり、劣化したりして電解液が漏洩することがあり、封止性能を満足できなくなるという欠点があった。
【0008】
色素増感型太陽電池の製造方法として固形パッキンや液状硬化性樹脂の封止剤にて形成された空間に電解液を注入後、透明導電膜が形成された透明基板でふたをしてその側面を樹脂にて封止することにより接合している。このような製造方法においては、封止材の電解液に対する耐性が十分でないと電解液が漏れ出てくるという問題が生じる。そこで、本発明は、色素増感型太陽電池に使用される電解液に対して優れた耐性を有し、かつ透明基板との接着性に優れ、信頼性の高いシール性能を有する封止剤組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明では、色素増感型太陽電池に使用される電解液を封止するための封止剤組成物であって、当封止剤組成物が下記の成分、(A)、(B)、(C)、(D)を主成分とすることを特徴とする色素増感型太陽電池用封止剤組成物を用いるようにした。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を含有するイソブチレン系重合体、
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)ヒドロシリル化触媒、
(D)シランカップリング剤
【0010】
本発明に用いることができる(A)成分は分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有するポリイソブチレンである。ここで、ポリイソブチレンとは少なくとも50モル%、好ましくは80モル%の反復単位がイソブチレン単位であるものである。平均分子量は100〜20000であることが好ましい。イソブチレン以外の単量体単位成分としては炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が挙げられる。この様な共重合体成分の具体例として、例えば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−ヘキセニルオキシスチレン、p−アリロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等と共重合することができる。
【0011】
また、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基とは、ヒドロシリル化反応に対して活性のある炭素−炭素二重結合を含む基であれば制限されるものではない。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロピニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロピニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基が挙げられる。本発明において、(A)成分は、1分子中にアルケニル基を2個以上個有していることが望ましい。さらに、本発明における(A)成分は、上記ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が重合体末端に導入されていることが望ましい。この様にアルケニル基が重合体末端にあるときは、最終的に形成される硬化物の有効網目鎖量が多くなり、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0012】
また、前記(A)のイソブチレン系重合体としては、下記一般式(a)で示される化合物が特に好ましく使用できる。
【0013】
【化3】
【0014】
本発明の(B)成分である硬化剤としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。ここでいうオルガノハイドロジェンポリシロキサンとは、Si原子上に炭化水素基あるいは水素原子を有するポリシロキサンを指し、その構造について具体的に示すと、次式(b1)〜(b5)にようになる。
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
などで示される鎖状、環状のものが挙げられる。上記の各種のヒドロシリル基含有のうち、本発明の(B)成分であるヒドロシリル基含有硬化剤の(A)成分などの各種有機重合体に対する相溶性を損なう可能性が少ない点を考慮すれば、特に下式(b4)、(b5)のものが好ましい。
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
またこれら(B)成分に含まれるヒドロシリル基の個数については少なくとも1分子中に2個あればよいが2〜40個が好ましい。本発明の組成物をヒドロシリル化反応により硬化させる場合には、該ヒドロシリル基の個数が40より多くなると、(B)成分である硬化剤の安定性が悪くなり、その上硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化物中に残存し、ボイドやクラックの原因となる。
【0022】
本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒については、特に制限はなく、任意のものが使用できる。具体的に例示すれば、塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4]m};白金−ホスフィン錯体{例えばPt(PPh3)4、Pt(PBu3)4};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt[P(OPh)3]4、Pt[P(OBu)3]4}(式中Meはメチル基、Buはブチル基、Viビニル基、Phはフェニル基を表し、n,mは整数を表す)。
【0023】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種類以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。触媒量としては特に制限が、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10−1〜10−8molの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−2〜10−6molの範囲で用いるのがよい。また、ヒドロシリル基化触媒は、一般的に高価であり、また、水素ガスを発生して硬化物が発泡してしまう場合があるので10−1mol以上用いない方がよい。
【0024】
本発明においては、貴金属触媒を用いたアルケニル基に対するSi−H基の付加反応によって硬化性組成物が硬化するので、硬化速度が非常に速くライン生産を行う上で非常に好都合である。
【0025】
本発明の(D)成分であるシランカップリング剤としては、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基と、ケイ素原子結合アルコール基を有するシランカップリング剤が望ましい。前記官能基については、中でも硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基があるのが好ましい。具体的には、エポキシ官能基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。また、メタクリル基あるいはアクリル基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシランが挙げられる。
【0026】
また、本発明の硬化性組成物には、さらに目的に応じて各種可塑剤や各種無機フィラーを添加することが出来る。可塑剤としては本組成物の流動性を改善するために添加するものであり、一般的に使用されている可塑剤が使用できるが、本発明に用いる飽和炭化水素系重合体と相溶性の良いものが好ましい。可塑剤の具体例としてはポリブテン、水添ポリブテン、α−メチルスチレンオリゴマー、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレンなどの炭化水素系化合物類が望ましい。
【0027】
また、無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カーボンブラックといった各種の無機フィラーが使用できる。しかし、本発明の硬化性組成物はヒドロシリル化反応による硬化を利用するため、その使用に当たっては、例えば組成物に水分が多く含まれると硬化反応時に副反応等が起こる可能性があるなど、ヒドロシリル化反応に対する阻害の有無を考慮しなければならない。さらに、本発明の硬化物組成物には、必要に応じてその他の充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤等を適宜添加することが出来る。
【0028】
本発明の封止剤組成物は色素増感型太陽電池に使用するためプライマーを使用することが好ましい。なぜなら、色素増感型太陽電池の場合、封止剤が接着させる被着面は色素層や透明導電膜であり、ガラスに接着するよりも接着性が劣り、封止性能を最大限に引き出すためにはプライマーを使用することが好ましい。プライマーはエチルシリケート、イソプロポキシチタネート、チタンテトラブトキシドなどが挙げられる。これらは有機溶剤などに溶解して、被着体に塗布され乾燥される。
【0029】
【発明の実施の形態】
【実施例1】
下記に示す硬化性組成物を使用した。
(A)成分
【化9】
【0030】
(B)成分
【化10】
(C)成分 ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金触媒(8.3×10−5mmol/μl,キシレン溶液)
(D)成分 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製商品名:A−187)
【0031】
前記(A)成分のアルケニル基量と(B)成分中のSi−H基量の比が1.0:2.0になるように秤量し、さらに可塑剤としてプロセスオイル(出光興産社製 商品名:PS−32)を(A)成分100重量部に対し50重量部、さらに酸化防止剤としてMARK AO−50(アデカ・アーガス化学社製)を(A)成分100重量部に対し3重量部、さらにホワイトカーボン(日本シリカ工業社製)を(A)成分100重量部に対し50重量部秤量し攪拌脱泡した。続いて(D)成分として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを(A)成分100重量部に対し4.3重量部秤量し混合した。さらに保存安定性改良剤としてジメチルマレートを白金に対し30mol当量及び(C)成分の触媒としてビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金触媒(8.3×10−5mmol/μl,キシレン溶液)を白金が(A)成分のアルケニル基量のモル数に対して5×10−4当量になるように秤量し均一に混合した。
【0032】
次に本組成物を使用して以下のようにして太陽電池を製造した。
1. 80g/lの硫酸チタニル溶液1リットルを85℃に加熱し、この温度で3時間保持し、硫酸チタニルを加水分解して酸化チタン微粒子を得た。このようにして得られた酸化チタン微粒子を濾過し、洗浄した後、水に分散させて、TiO2基準で200g/lの懸濁液とした。次いで、この懸濁液に硝酸水溶液を添加し、該懸濁液のpHを1.0にした後、オートクレーブに入れ、180℃の温度で13時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行った。次に、この懸濁液に、懸濁液中のTiO2基準に対してポリエチレングリコール(平均分子量20000)40重量%を添加し、60℃の温度に加熱した後、フッ素をドープした酸化スズをコートした透明導電性ガラス板に塗布し、自然乾燥し、引き続き、600℃の温度で30分間焼成して、支持体上に膜状の酸化チタンを形成した。
【0033】
2. シス−(SCN−)2−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)で表される分光増感色素をエタノール液に溶解した。この分光増感色素の濃度は3×10−4モル/lであった。次に、このエタノールの液体に、膜状の酸化チタンを形成した前記の支持体を入れ、加熱し、沸点の温度で加熱還流を15分間した。
【0034】
3 . 2で得られたものの外周部にチタンテトラブトキシド10%溶液を塗布し乾燥させ、外周にそって環状に前記封止剤を塗布した。環状ビードの一部は電解液を封入するための封入口にするために取り除いた。次いで、フッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を準備し外周部にあらかじめ同プライマーを塗布した。これを対電極として、スペーサーを用いて貼り合わせた。これを120℃40分加熱して封止剤を硬化させた。封入口から2つの電極の間に電解質を入れ、封入口を常温硬化性の樹脂で封入した後、リード線を取付けて、色素増感型太陽電池を作成した。なお、前記の電解質は、体積比が1:4であるアセトニトリル/炭酸エチレンの混合溶媒に、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドとヨウ素とを、それぞれの濃度が0.46モル/l、0.06モル/lとなるように溶解したものを用いた。
【0035】
得られた太陽電池を100℃の加熱炉に1時間加熱して、耐久試験として重量変化を測定したが、変化はなく電解液が漏洩することはなかった。
【0036】
【比較例】
比較例として従来のシール剤で同様に太陽電池を製作した。エポキシ変成シリコーン(商品名;ThreeBond3950 スリーボンド社製)を使用して、25℃×55%RHで7日間の硬化条件で太陽電池を製作した。また、紫外線硬化型アクリル樹脂(商品名;ThreeBond3051 スリーボンド社製)を使用して紫外線を照射して太陽電池を製作した。両者を同様に100℃の加熱炉に1時間加熱して、重量変化を測定したところ、前者は0.2%減少し、後者は0.15%減少しており、電解液が漏洩していることが測定された。
【0037】
【発明の効果】
本発明の色素増感型太陽電池用封止剤組成物は色素増感型太陽電池の電解液に対する耐性が高く、電解液の漏洩なく封止することができる。その結果、太陽電池の効率を低下させることがなく長期にわたり信頼して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】色素増感型太陽電池の断面図
【符号の説明】
1 透明基板
1a 透明基板
2 透明導電膜
2a 透明導電膜
3 多孔質膜
4 色素
5 電解液
Claims (3)
- 色素増感型太陽電池の電解液を封止するための封止剤組成物であって、当該封止剤組成物が下記の成分、(A)、(B)、(C)、(D)を主成分とすることを特徴とする色素増感型太陽電池用封止剤物組成物。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を含有するイソブチレン系重合体
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)ヒドロシリル化触媒
(D)シランカップリング剤
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