JP2007157397A - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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勝 米山
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Abstract

【課題】必要な接着耐久性、耐熱性、耐湿性、耐候性等を得ることができ、しかも、第一、第二の極板間の隙間を適切に確保したり、生産性を向上させ、電解質溶液の漏洩を抑制できる色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】第一、第二の極板1・1Aを相対向させてその狭い間には電解質溶液10をエンドレスのシール材20を介して充填封止する。このシール材20を、第一、第二の極板1・1Aの少なくともいずれか一方に、溶媒により希釈されたシリコーン樹脂を塗布した後に溶媒を揮発させることにより形成し、第一、第二の極板1・1Aを硬化接着して電解質溶液10をシールするものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、長期の接着性と高い耐候性を有するシーリング材を備えた色素増感型太陽電池に関するものである。
太陽電池は、シリコン半導体のpn接合タイプが古くから広く知られているが、1991年に色素増感タイプが提案されてからは、色素増感タイプが注目されている。この色素増感型太陽電池は、湿式太陽電池とも呼ばれ、図示しないが、対向する第一、第二の極板の間に電解質溶液が封入され、第一、第二の極板の対向面周縁部がシール材により接着されており、製造設備やコストを安価にできるという特徴を有している(特許文献1、2、3、4、5、6参照)。
第一の極板は、透明基板を備え、この透明基板の内面である対向面に透明導電膜が積層形成され、この透明導電膜には、酸化チタン粒子が均一に塗布・加熱されることにより多孔質膜が積層形成されており、この多孔質膜には色素が吸着されている。また、第二の極板は、透明基板を備え、この透明基板の内面である対向面に透明導電膜が積層形成されている。また、シール材は、アイオノマー樹脂やエポキシ樹脂等を使用してエンドレスの枠形に成形されている。
このような構成の色素増感型太陽電池は、第一の極板に光線が照射されると、色素が光線を吸収して電子を放出し、この電子が多孔質膜に移動して透明導電膜に伝わる。そして電子は、第二の極板の透明導電膜に移動して電解質溶液中のイオンを還元し、この還元されたイオンが色素上で再度酸化され、これらの繰り返しにより電気エネルギが発生する。
特開2004‐95248号公報 特開2000‐173680号公報 特開平11‐288745号公報 特開2000‐348783号公報 特開2001‐185244号公報 特開2000‐30367号公報
従来における色素増感型太陽電池は、以上のようにシール材がアイオノマー樹脂やエポキシ樹脂等を使用して単に成形されているので、必要な接着耐久性、耐熱性、耐湿性、耐候性等を得ることができないという大きな問題がある。
係る問題を解消する方法としては、シール材としてシリコーンRTVを用いる手段が考えられるが、シリコーンRTVは液状であるので、対向する第一、第二の極板の貼り合わせの際、シリコーンRTVが潰れて食み出し、第一、第二の極板間の隙間を適度に維持することができないおそれが少なくなく、又シール材の目付け幅を一定にするのが困難である。また、食み出したシリコーンRTVを除去したり、清掃する必要があるので、生産性が非常に悪化するという大きな問題が新たに生じることとなる。さらに、シリコーンRTVの未硬化時に、第一、第二の極板の自重やその他の応力により、電解質溶液が漏れ出るおそれもある。
本発明は上記に鑑みなされたもので、必要な接着耐久性、耐熱性、耐湿性、耐候性等を得ることができ、しかも、第一、第二の極板間の隙間を適切に確保したり、生産性を向上させ、電解質溶液の漏洩を抑制することのできる色素増感型太陽電池を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、第一、第二の極板を対向させてその間には電解質溶液をシール材を介して封止したものであって、
第一の極板は、光透過性を有する基板と、この基板に積層される透明導電層と、この透明導電層に設けられるn型の半導体層と、この半導体層に付着される色素とを含み、
第二の極板は、光透過性を有する基板と、この基板に積層されて色素に対向する透明導電層とを含み、
シール材は、第一、第二の極板の少なくともいずれか一方に、溶媒により希釈されたシリコーン樹脂が塗布された後に溶媒が揮発されることにより形成され、第一、第二の極板を硬化接着して電解質溶液をシールするものであることを特徴としている。
なお、第一、第二の極板の間に、スペーサを介在させることができる。
また、溶媒揮発後におけるシール材の表面粘着性を、JIS Z 0237に基づく試験を実施した場合にボールナンバーが4〜21の範囲とすることが好ましい。
さらに、溶媒揮発後におけるシール材の可塑度を、ウイリアムス可塑度計で測定した場合に、30〜500の範囲とすることが好ましい。
ここで、特許請求の範囲における第一、第二の極板や基板は、矩形が主ではあるが、円形、楕円形、多角形等に形成することもできる。スペーサは、ボール形等の形状や単数複数を特に問うものではない。また、シール材は、中空形状、リング形、枠形等に形成される。このシール材は、第一の極板に塗布することもできるし、第二の極板に塗布することもでき、さらには第一、第二の極板の対向面にそれぞれ塗布することもできる。
本発明によれば、必要な接着耐久性、耐熱性、耐湿性、耐候性等を得ることができ、第一、第二の極板間の隙間を適切に確保したり、生産性を向上させ、電解質溶液の漏洩を有効に抑制することができるという効果がある。
また、第一、第二の極板の間に、スペーサを介在させれば、第一、第二の極板間の間隔を調整したり、確保することができる。
さらに、溶媒揮発後におけるシール材の表面粘着性を、JIS Z 0237に基づく試験を実施した場合にボールナンバーが4〜21の範囲とすれば、第一、第二の極板に対する粘着性を維持することができ、しかも、接着時に界面に生じた気泡を除去することもできる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における色素増感型太陽電池は、図1に示すように、第一、第二の極板1・1Aを相対向させてその狭い間には電解質溶液10をエンドレスのシール材20を介して充填封止するようにしている。
第一、第二の極板1・1Aの周縁部間には、シール材20に埋没する微小な複数のスペーサボール30が必要に応じて介在され、このスペーサボール30が第一、第二の極板1・1Aの周縁部間のギャップを調整確保するよう機能する。このスペーサボール30としては、例えばアルミナやシリカ粉末等の無機物あるいは高分子化合物からなる球状の粒子が使用される。スペーサボール30の粒径は製品により異なるが、要求されるシール材20の厚さと同じ粒径が好ましく、発電効率を考慮すると50μm以下が最適である。
なお、本発明の目的を損なわない範囲において、スペーサボール30の沈降を防ぐための沈降防止剤等が必要に応じて添加される。
第一の極板1は、正方形あるいは長方形の薄い透明基板2を備え、この透明基板2の内面である対向面に透明導電膜3が積層形成され、この透明導電膜3には、酸化チタン粒子が均一に塗布・加熱されることによりn型半導体層である多孔質膜4が積層形成されており、この多孔質膜4には、第二の極板1Aに対向するハイビスカス等の色素5が多数吸着されている。また、第二の極板1Aは、正方形あるいは長方形の薄い透明基板2を備え、この透明基板2の内面である対向面に透明導電膜3が積層形成されることにより、導電性基板に形成される。
シール材20は、第一、第二の極板1・1Aの少なくともいずれか一方の対向面周縁部に、溶媒により希釈されたシリコーン樹脂が塗布された後に溶媒が揮発されることにより半固形の薄い平面枠形に形成され、接着層として第一、第二の極板1・1Aを硬化接着して電解質溶液10をシールするよう機能する。このシール材20の溶媒揮発後における可塑度は、ウイリアムス可塑度計で測定された場合に、30〜500の範囲とされる。
シール材20の溶媒揮発後における表面粘着性は、JIS Z 0237(球転法)に基づく試験が実施された場合にボールナンバーが4〜21の範囲とされる。これは、ボールナンバーが4未満の場合には、第一、第二の極板1・1Aに対する粘着性を十分に維持することができなくなるからである。また、ボールナンバーが21を超える場合には、接着の際に界面に生じた気泡を除去するのが困難になるからである。
シール材20には、ラジカル反応、白金系触媒によるヒドロシリル化反応、縮合反応、紫外線、電子線硬化等、どのような架橋方法のシリコーンゴム接着剤をも使用することができる。しかしながら、実際には経済的、物理的観点から、ヒドロシリル化反応や縮合反応による硬化体が好ましい。さらに、硬化速度の観点から、ヒドロシリル化反応による硬化体が最適である。このヒドロシリル化反応硬化型のシール材20は概ね以下から構成される。
1)ポリオルガノシロキサン
ヒドロシリル化反応硬化型シリコーン接着剤の組成物の主剤であり、一分子中に平均2個以上のアルケニル基を有することを特徴とする。このアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基が例示され、好ましくはビニル基である。また、本成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくはメチル基である。
本成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝状があげられる。本成分の25℃における粘度は、100,000cSt以上、好ましくは1,000,000cSt以上である。
この成分のポリオルガノシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、式:(CH3)3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるポリオルガノシロキサン、これらのポリオルガノシロキサンのメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基で置換したポリオルガノシロキサン、これらのポリオルガノシロキサンのビニル基の一部又は全部をアリル基、プロペニル基等のアルケニル基で置換したポリオルガノシロキサン、及びこれらのポリオルガノシロキサンの二種以上の混合物があげられる。
2)水素化ポリオルガノシロキサン
この水素ポリオルガノシロキサンは、本組成物の硬化剤として作用するものであり、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有することを特徴とする。本成分中のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくはメチル基である。
本成分の分子構造としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝状が例示される。本成分の25℃における粘度は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜1,000,000cStの範囲内、より好ましくは1〜10,000cStの範囲内である。
この成分のポリオルガノシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリメチルハイドロジェンシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、式:(CH3)2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるポリオルガノシロキサン、これらのポリオルガノシロキサンのメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基で置換したポリオルガノシロキサン、及びこれらのポリオルガノシロキサンの二種以上の混合物が例示され、得られる硬化物の機械的特性、特には伸びが向上することから、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するポリオルガノシロキサンの混合物であることが好ましい。
本組成物において、本成分の含有量は、1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜20の範囲内となる量、好ましくは0.1〜10の範囲内となる量であり、特に好ましくは0.1〜5の範囲内となる量である。これは、本成分の含有量が上記範囲の下限未満である場合には、得られる接着剤が十分に硬化しなくなる傾向があるからである。逆に、上記範囲の上限を超える場合には、得られる接着剤硬化物の機械的特性が低下する傾向があるからである。
本成分として、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するポリオルガノシロキサンの混合物を用いる場合には、前者のポリオルガノシロキサンの含有量は、1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜10の範囲内となる量、好ましくは0.1〜10の範囲内となる量、特には、0.1〜5の範囲内となる量であることが好ましい。
後者のポリオルガノシロキサンの含有量は、1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.5〜20の範囲内となる量、好ましくは0.5〜10の範囲内となる量、特には0.5〜5の範囲内となる量が好ましい。
3)硬化触媒
ヒドロシリル化反応用白金系触媒としては、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金とジケトンの錯体、塩化白金酸とオレフィン類の錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンの錯体、及びこれらをアルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に担持させたものがあげられる。
これらの中でも、塩化白金酸とアルケニルシロキサンの錯体がヒドロシリル化反応触媒としての触媒活性が高いので好ましく、特に特公昭42−22924号公報に開示されているような塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が好ましい。本成分の添加量は、1)成分100万重量部に対し、白金金属原子として1〜1000重量部、好ましくは1〜100重量部である。
4)充填材
充填材は、本組成物の機械的強度を向上させるために添加されるものであり、通常シリコーンゴムの配合に用いられる化合物が用いられる。この成分としては、例えば、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、焼成シリカ、粉砕石英、及びこれらのシリカ粉末をオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物で表面処理した粉末があげられる。特に、得られる接着剤硬化物の機械的強度を十分に向上させるためには、本成分として、BET比表面積が50m2/g以上のシリカ粉末を用いることが好ましい。
本組成物において、本成分の含有量は任意であるが、得られるシリコーンゴム硬化物の機械的強度を向上させるためには、1)成分100重量部に対して1〜1000重量部の範囲内であることが好ましく、さらには1〜400重量部の範囲内が最適である。
本組成物には、その他の任意成分として、例えばヒュームド酸化チタン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ケイ藻土、酸化鉄、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、銀、金、ニッケル等の無機質充填材、金又は銀メッキを施した無機及び有機充填材;これらの充填材の表面を上記有機ケイ素化合物で処理した充填材を含有しても良い。
5)接着性付与成分
この接着性付与成分は、本ヒドロシリル化反応硬化型シリコーン接着剤を接着剤として機能させるためにその接着性を賦与、向上させるという特徴を有する。これには、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のシランカップリング剤及びこれらの部分加水分解物;エポキシ基、酸無水物基、α‐シアノアクリル基を有する有機化合物及びこれらの基を含有するシロキサン化合物、あるいはこれらの基とアルコキシシリル基を併有する有機化合物若しくはシロキサン化合物;テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンエチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート等のチタン化合物;エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウム化合物;ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート等のジルコニウム化合物を含有しても良い。
これらの接着付与剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは1)成分100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲内である。さらに、本組成物には、その硬化性を調整するため、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等の1分子中にビニル基を5重量%以上持つオルガノシロキサン化合物;ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類、ヒドラジン類等の硬化抑制剤を含有することが好ましい。
これらの硬化抑制剤の含有量は、特に限定されるものではないが、1)成分100重量部に対して0.001〜5重量部の範囲内が良い。
6)溶媒
溶媒は特に限定されるものではなく、有機高分子を溶解する有機溶媒を使用すれば良い。この有機高分子を溶解する有機溶媒としては、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素系、n−へキサン、リグロイン、ケロシン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素系、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環式炭化水素系、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトロヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチル等の酢酸エステル類やマロン酸エステル類、コハク酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類等のエステル系の溶媒があげられる。
溶媒の配合量については、1)オルガノポリシロキサン100重量部に対して10〜2000重量部が良い。これは、溶媒の配合量が10重量未満の場合には、シール材20の粘度が高くなり、塗工が不可能になるからである。逆に、2000重量部を超える場合には、シール材20の粘度が低くなり、溶媒の揮発に長時間を要することから、塗工物が流動して作業性の低下を招くという理由に基づく。
上記によれば、シール材20が溶液化されたシリコーン樹脂なので、必要な接着耐久性、耐熱性、耐湿性、耐候性等を得ることができ、しかも、シートと比較して良好なハンドリング性を得ることができる。また、対向する第一、第二の極板1・1Aの接着の際、シール材20が液状ではなく、半固形なので、潰れて食み出すことがなく、第一、第二の極板1・1A間の隙間を適度に維持することができる。
また、食み出したシール材20を除去したり、清掃する必要がないので、生産性の著しい向上が大いに期待できる。また、揮発により一度定型化してから硬化接着するので、第一、第二の極板1・1Aの自重やその他の応力により、電解質溶液10が漏れ出るおそれもない。さらに、シール材20を薄層化して第一、第二の極板1・1A間を50μm以下にすることができるので、良好な発電効率が期待できる。
以下、本発明に係る色素増感型太陽電池の実施例を説明する。
ヒドロシリル化反応硬化型のシール材の調製
先ず、混練り器(ニーダー)中で珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基(ビニル基)の割合が0.44モル%の無色透明流動性固体両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサン共重合体(粘度2000万mPa・s、ウィリアムス可塑度90)100重量部と、表面がジメチルジクロロシランで処理された乾式シリカ(日本アエロジル製、エロジルR972)30重量部、及び両末端ジメチルヒドロキシシリル基封鎖の重合度が約10のジメチルポリシロキサン2重量部を均一に混合し、窒素通気雰囲気下で150℃/1時間加熱しながら混合し、冷却した。
混合・冷却作業が終了したら、ミキシングロールを使用して冷却状態にて、上記混練物100重量部に対して、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(メチルハイドロジェンシロキサンの量は、0.7モル/100g)1.72重量部、塩化白金酸溶液(塩化白金酸5重量部を2−エチルヘキサノールに希釈したもの)0.27重量部、ビニルトリエトキシシラン1重量部、及び3−メチル−1−ブチン−3−オール0.05重量部を均一に混練し、組成物を調製した。
次いで、組成物を、密閉可能な万能攪拌器により100重量部に対してトルエンを400重量部配合し、均一に溶解するまで混練した。この溶解物の粘度をB型粘度計により測定したところ、100ポイズであった。
また、上記組成物を60℃で20分間かけて溶媒を十分に揮発させ、ウィリアムス可塑度を25℃において平行板可塑度計(ウイリアムスプラストメータ)を使用してJIS K 6249「未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法」に規定する測定方法に準じて測定した。その結果、ウィリアムス可塑度は183であった。
測定の方法としては、溶媒を十分に揮発させた上記記載の組成物2gを円筒状の試験片とし、この試験片をセロハン紙に挟んでダイヤルゲージの付いた平行板可塑度計(上島製作所製;ウイリアムスプラストメータ)中にセットし、5kgの荷重を加えて3分間放置した後、ダイヤルゲージの目盛りをミリメートルまで読み取り、試験片の厚さを記録してその数値を100倍してウイリアムス可塑度とした。
次いで、上記組成物を乾燥後の厚さが1.0mmとなるよう、厚さ125μmPETフィルム上にアプリケーターで塗工し、60℃で20分間乾燥して溶媒であるトルエンを全て揮発させ、15×400×1.0mmの試料片を作製した。こうして試料片を作製したら、この試料片を用いてJIS Z 0237に基づき、表面タックを測定したところ、ボールナンバーは8であった。
色素増感型太陽電池の作製
先ず、チタニア基板の作製のため、日本エアロゾル社製の超微粒子チタニア(P−25)1重量部を、界面活性剤(和光純薬工業社製Trinton X−100)を0.5重量%含む水20重量部に分散させた。超微粒子チタニアを分散させたら、この分散液を、フッ素をドープした酸化スズ透明電極付きガラス基板(50×50mm)にバーコーターで塗布し、100℃で1時間乾燥させた後、450℃で1時間焼成した。
これに上記と同じ塗布、乾燥、焼成をもう一度繰り返して厚さ10μmの多孔質の基板とし、この基板を濃度1重量%の四塩化チタン水溶液に一晩浸漬し、水洗して100℃で1時間乾燥させた後、450℃で1時間焼成して多孔質チタニア基板を作製した。多孔質チタニア基板を作製したら、増感色素(シス−ジシアネート−ビス(2,2'−ビピリジル−4,4'−ジカルボキシレート)ルテニウム(II))を0.3ミリモル含むエタノール溶液に上記チタニア基板を浸漬し、溶液の沸点まで加熱して2時間還流条件で色素を付着させ、増感色素付きチタニア基板を得た。
次いで、表面被覆処理した色素付きチタニア基板を一方の電極とし、対向電極としてドープした酸化スズ透明電極付きガラス基板に白金をスパッタによりコートしたものを用いた。そして、チタニア基板の表面に、作製したヒドロシリル化反応シリコーンシール材をスクリーン印刷にて電極の周囲にシール幅2mmで印刷し、さらに60℃×20分間加熱し、溶媒のトルエンを全て揮発させた。
なお、溶媒揮発後の未硬化ヒドロシリル化反応シリコーンシール材の厚みは10μmであった。
そして、シール材の内側に電解質溶液を注入するとともに、対極を貼り合わせ、120℃で10分間硬化接着させ、その後、電極にリード線を接続して色素増感型太陽電池を作製した。電解質溶液としては、体積比が1:4であるメトキシプロピオニトリル/エチレンカーボネートの混合溶媒にヨウ化テトラプロピルアンモニウムとヨウ素とをそれぞれの濃度が0.46モル/リットル、0.06モル/リットルとなるよう溶解した溶液を用いた。
太陽電池セルの発電性能及び寿命試験
先ず、キセノンランプを光源とし、UVカットフィルターとAM1.5フィルターを通して500W/m2 の強度の疑似太陽光を太陽電池セルに照射することにより、発電性能を測定した。測定の結果、開回路状態の電圧(VOC)が0.66V、短絡電流(ISC)が7.0mA/cm2 、曲線因子(FF)が0.63、変換効率が5.8%であり、太陽電池として有用であることが確認された。
また、寿命試験として、セルを0℃で4時間、100℃で4時間放置するサイクルを50サイクル繰り返した後の電解質溶液の状態を確認した。測定の結果、シール材からの漏れは一切発生せず、良好な接着耐久性能を確認した。
本発明に係る色素増感型太陽電池の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
符号の説明
1 第一の極板
1A 第二の極板
2 透明基板(基板)
3 透明導電膜
4 多孔質膜(半導体層)
5 色素
10 電解質溶液
20 シール材
30 スペーサボール

Claims (4)

  1. 第一、第二の極板を対向させてその間には電解質溶液をシール材を介して封止した色素増感型太陽電池であって、
    第一の極板は、光透過性を有する基板と、この基板に積層される透明導電層と、この透明導電層に設けられるn型の半導体層と、この半導体層に付着される色素とを含み、
    第二の極板は、光透過性を有する基板と、この基板に積層されて色素に対向する透明導電層とを含み、
    シール材は、第一、第二の極板の少なくともいずれか一方に、溶媒により希釈されたシリコーン樹脂が塗布された後に溶媒が揮発されることにより形成され、第一、第二の極板を硬化接着して電解質溶液をシールするものであることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 第一、第二の極板の間に、スペーサを介在させた請求項1記載の色素増感型太陽電池。
  3. 溶媒揮発後におけるシール材の表面粘着性を、JIS Z 0237に基づく試験を実施した場合にボールナンバーが4〜21の範囲とした請求項1又は2記載の色素増感型太陽電池。
  4. 溶媒揮発後におけるシール材の可塑度を、ウイリアムス可塑度計で測定した場合に、30〜500の範囲とした請求項1、2、又は3記載の色素増感型太陽電池。


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