JP2004092534A - 内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置 - Google Patents

内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】機関冷間時のVVT応答速度大のときVVT制御性を向上させる。
【解決手段】機関の吸気弁のバルブタイミングVTを変化させるVVTの作動を制御するOCRに設けられVTを変更するアクチュエータ、(A)アクチュエータに所定のデューティ比の駆動信号を送りVTが目標値になるように制御する制御手段、OCVを作動する作動油の温度検出手段、VTの目標値が進角方向に変化したときにVTの実際値が目標値を越えた偏差を検出する偏差検出手段、作動油の温度領域毎に偏差検出手段により検出された偏差の最大値を学習する学習手段、学習手段により学習された偏差の最大値で駆動信号の出力時間および休止時間の少なくとも一方を補正してデューティ比を変更(B→C)する補正手段を備える。
【選択図】   図12

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の可変バルブタイミング機構(VVT:Variable Valve Timing)の制御装置に関し、特に、VVTの応答速度が速くなるとき、VVT制御の応答性を向上させる内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関(以下、エンジンと記す)の可変バルブタイミング機構(VVT)は、吸気弁と排気弁の一方または両方のバルブタイミング(開閉弁時期)、開弁期間、バルブリフト量のうち少なくとも1つを含むバルブ作動特性を変化させる機構である。エンジンのシリンダブロックの下部に備えられたオイルパン内には潤滑油が貯留されている。この潤滑油は、エンジンの回転により駆動されるオイルポンプにより汲み出され、エンジンの各部位、オイルコントロールバルブ(OCV:Oil Control Valve:油圧制御弁)、VVT等に供給される。VVTのアクチュエータはオイルポンプにより発生する潤滑油(以下、作動油と記す)の油圧によって駆動される。以下、バルブ作動特性の内バルブタイミングを変化させるVVTについて説明する。
【0003】
VVT制御装置は、一般に、実バルブタイミングがエンジンの運転状態に応じて設定された目標バルブタイミングに収束するように作動油の油圧を制御するOCVに対する制御信号をフィードバック制御するものである。このVVT制御装置は、OCVの製造上のバラツキやドレイン量の相違等に起因して、実バルブタイミングが目標バルブタイミングに対しオーバーシュートしたりアンダーシュートしたりし、制御ハンチングが発生するという問題がある。
【0004】
特開2001−263101公報に記載されたエンジンのバルブタイミング制御装置は、上記オーバーシュートやアンダーシュートが発生した場合、直ちに、フィードバック制御の制御ゲインを最適化し、常に最適なVVTの応答性を確保し制御性を向上させようとしたものである。このVVT制御装置は、オーバーシュートおよびアンダーシュートの少なくとも一方を検出し、検出したオーバーシュート量およびアンダーシュート量の少なくとも一方に基づいてフィードバックの制御ゲインを学習するよう構成されており、この構成により、制御ゲインを適正化して目標バルブタイミングに対する実バルブタイミングの収束性を高めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2001−263101公報に開示のVVT制御装置は、作動油の状態としての油温には無関係に、上記オーバーシュート量およびアンダーシュート量の少なくとも一方を検出し、その検出量に基づいてフィードバックの制御ゲインを学習するものである。したがって、上記制御ゲインの学習値は、低温から高温まで変化する油温に対し一律になされている。
【0006】
ところが、作動油には、機関冷間時などの油温が低いときに、作動油の粘度が高くなり、VVTの応答が速くなる温度領域がある。しかしながら、上記VVT制御装置は、作動油の油温に対し一律に上記制御ゲインの学習値を設定しているので、フィードバック制御が不適正となり、油温が低いとき、実バルブタイミングが目標バルブタイミングに対しオーバーシュートし、その結果、エンジンの排気エミッションを悪化させるという問題を残している。
【0007】
それゆえ、本発明は、機関冷間時に、作動油の粘度が高くなりVVTの応答速度が速くなる作動油の温度領域において、実バルブタイミングが目標バルブタイミングに対しオーバーシュートすることを防止し、VVT制御の応答性を向上させる内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する第一発明による内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置は、内燃機関の吸気弁と排気弁の一方または両方のバルブタイミング、バルブリフト量、開弁期間のうち少なくとも1つを含むバルブ作動特性を変化させる可変バルブタイミング機構の制御装置において、
前記バルブ作動特性が目標値になるように制御する制御手段と、
前記可変バルブタイミング機構の作動を制御する油圧制御弁を作動する作動油の温度検出手段と、
前記バルブ作動特性の目標値(目標バルブタイミング)が或る方向に(進角方向に)変化したときに該バルブ作動特性の実際値(実バルブタイミング)が該目標値を越えた偏差を検出する偏差検出手段と、
前記温度検出手段により検出された前記作動油の温度が所定値より低く、かつ前記偏差検出手段により検出された偏差が所定値を越えたとき、前記制御手段の制御を禁止する手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成する第二発明による内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置は、内燃機関の吸気弁と排気弁の一方または両方のバルブタイミング、バルブリフト量、開弁期間のうち少なくとも1つを含むバルブ作動特性を変化させる可変バルブタイミング機構の制御装置において、
前記バルブ作動特性が目標値になるように制御する制御手段と、
前記可変バルブタイミング機構の作動を制御する油圧制御弁を作動する作動油の温度検出手段と、
前記バルブ作動特性の目標値が或る方向に変化したときに該バルブ作動特性の実際値が該目標値を越えた偏差を検出する偏差検出手段と、
前記温度検出手段により検出された前記作動油の温度領域毎に、前記偏差検出手段により検出された偏差の最大値を学習する学習手段と、
前記学習手段により学習された偏差の最大値で、前記制御手段が制御する前記バルブ作動特性の目標値を補正する補正手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成する第三発明による内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置は、内燃機関の吸気弁と排気弁の一方または両方のバルブタイミング、バルブリフト量、開弁期間のうち少なくとも1つを含むバルブ作動特性を変化させる可変バルブタイミング機構の制御装置において、
前記可変バルブタイミング機構の作動を制御する油圧制御弁(OCV)に設けられ、前記バルブ作動特性を変更するアクチュエータ手段(リニアソレノイド)と、
前記アクチュエータ手段に所定のデューティ比の駆動信号(制御パルス信号)を送り、前記バルブ作動特性が目標値になるように制御する制御手段と、
前記油圧制御弁を作動する作動油の温度検出手段と、
前記バルブ作動特性の目標値が或る方向に変化したときに該バルブ作動特性の実際値が該目標値を越えた偏差を検出する偏差検出手段と、
前記温度検出手段により検出された前記作動油の温度領域毎に、前記偏差検出手段により検出された偏差の最大値を学習する学習手段と、
前記学習手段により学習された偏差の最大値で、前記駆動信号の出力時間(tc)および休止時間(tr)の少なくとも一方を補正してデューティ比(DR)を変更する補正手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成する第四発明による内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置は、内燃機関の吸気弁と排気弁の一方または両方のバルブタイミング、バルブリフト量、開弁期間のうち少なくとも1つを含むバルブ作動特性を変化させる可変バルブタイミング機構の制御装置において、
前記可変バルブタイミング機構の作動を制御する油圧制御弁に設けられ、前記バルブ作動特性を変更するアクチュエータ手段と、
前記アクチュエータ手段に所定のデューティ比の駆動信号を送り、前記バルブ作動特性が目標値になるように制御する制御手段と、
前記油圧制御弁を作動する作動油の温度検出手段と、
前記バルブ作動特性の目標値が或る方向に変化したときに該バルブ作動特性の実際値が該目標値を越えた偏差を検出する偏差検出手段と、
前記温度検出手段により検出された前記作動油の温度領域毎に、前記偏差検出手段により検出された偏差の最大値を学習する学習手段と、
前記学習手段により学習された偏差の最大値で、前記駆動信号のデューティ比を決定するゲイン(PIDゲイン:α、β、γ)を補正してデューティ比(DR)を変更する補正手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の詳細を説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置の概略構成図である。図1に示すエンジン(機関)11は、DOHC(ダブルオーバヘッドカムシャフト)型4気筒エンジンであり、クランク軸12の回転動力をタイミングチェーン(図示せず)を介して互いに独立した吸気カム軸13と排気カム軸14に伝達し、吸気カム軸13によって吸気弁15を排気カム軸14によって排気弁16をそれぞれ開閉駆動する構造になっている。吸気カム軸13にはクランク軸12に対する吸気カム軸13の進角量を調整する油圧駆動式の可変バルブタイミング機構(VVT)17が設けられている。本実施形態では吸気カム軸13にVVT17を設ける例を示したが、これに代えてあるいは加えて排気カム軸14に同様なVVTを設けたけ形態でも本発明は適用できる。
【0014】
このVVT17は、作動油としてエンジン11の潤滑油を利用している。エンジン11に連動してオイルポンプ18が駆動され、エンジン11のシリンダブロック11a下部に接続され潤滑油を貯留するオイルパン19から潤滑油がオイルポンプ18で汲み上げられ、作動油として油路20を介してVVT17に供給され、油路20の途中に設けられたオイルコントロールバルブ(OCV:油圧制御弁)21によって油圧をデューティ制御することでその油圧に応じて吸気カム軸13の進角量が制御される。オイルパン19には潤滑油(以下、作動油と記す)の温度を検出する油温センサ22が配設されている。なお、油温センサ22は、油路20やVVT17内に配設してもよい。また、オイルパン19は外気に熱を放散して潤滑油を冷却する役目も果たしている。
【0015】
また、吸気カム軸13の近傍にはカム軸センサ23が設置され、クランク軸12の近傍にはクランク軸センサ24が設置されている。クランク軸センサ24は、クランク軸12の1回転当たりN個のクランク軸位相検出パルス信号を発生するのに対し、カム軸センサ23は、吸気カム軸13の1回転当たり2N個のカム軸位相検出パルス信号を発生する。また、吸気カム軸13の最大進角量をθmax°CAとした場合、N<360/θmaxとなるようにクランク軸位相検出パルス信号数Nが設定されている。これにより、クランク軸センサ24からのクランク軸位相検出パルス信号と、これに続いて発生する吸気カム軸13のカム軸センサ23からのカム軸位相検出パルス信号との間の相対回転角により吸気弁15の実バルブタイミング(吸気カム軸13の実進角量)が算出される。
【0016】
エンジン11のシリンダブロック11aには、ウォータジャケット11b内を流れる冷却水の温度(以下、水温と記す)を検出する水温センサ25が取付けられ、シリンダヘッド11cには、点火プラグ26が気筒毎に取付けられている。
【0017】
一方、吸気管27の最上流部には、エアークリーナ28が設けられ、その下流には、吸気温を検出する吸気温センサ29が設けられている。吸気温センサ29の下流には、スロットルバルブ30が設けられ、スロットルバルブ30の開度がスロットルセンサ31によって検出される。スロットルバルブ30の下流には、吸気管内の圧力を検出する吸気圧センサ32が設けられている。また、各気筒の吸気ポート33の近傍には、燃料噴射弁34が取付けられている。また、エンジン11を搭載した車両には車速センサ35が配設されている。また、油路20のVVT17近傍には、VVT17へ流入する作動油の油圧を検出する油圧センサ36が配設されている。上述した各種センサおよび後述する位置センサ(図2の206)等は、エンジン制御ユニット(ECU)40の入力ポートに接続されており、一方、OCV21、点火プラグ26、燃料噴射弁34等は、ECU40の出力ポートに接続されている。
【0018】
次に、図1に示す実施形態に係る内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置に装備されたエンジン制御ユニット(ECU)40について説明する。ECU40は、一般的なディジタルコンピュータからなり、図示しない双方向性バスを介して相互に接続されたCPU、RAM、ROM、入力ポートおよび出力ポート、ならびに入力ポートに接続されたAD変換器および出力ポートに接続された駆動回路を具備する。入力ポートには、ECU40を搭載する車両の各部に設置された上述した各種センサ等からのアナログ電圧出力がAD変換器を介して入力されるか、あるいは各種センサ等からのディジタル信号が直接入力される。出力ポートからは駆動回路へECU40による制御信号が送られ、図示しないバッテリまたはオルタネータからOCV21、点火プラグ26、燃料噴射弁34、等の電気的負荷に電力が供給される。
【0019】
図2は図1に示す可変バルブタイミング機構の動弁機構の動作説明図である。図2の上部に示す動弁機構200は、下部に示すオイルコントロールバルブ(OCV)21により、VVT17の吸気弁15のバルブタイミングを変化させるためのVVT17の機構であり、次のように動作する。
【0020】
動弁機構200は一つの気筒用に設けられた吸気弁15を開閉弁するためのカム201を有する。カム201の外形は、カム201の回転軸線方向における吸気弁15に対するカム201の相対位置(以下、カム201の相対位置と称す)が変わると吸気弁15の作動特性、すなわち開閉弁特性(例えば、開弁時期、開弁期間、リフト量等)が変更されるような形状となっている。カム201はカム201の回転軸線がカムシャフト202の回転軸線と同軸になるように一つのカムシャフト202に固定される。
【0021】
このようにカム201はカムシャフト202に固定さているため、カムシャフト202がその軸線方向に移動するとカム201もその回転軸線方向に移動し、これによりカム201の相対位置が変わり、吸気弁15の開閉弁特性が変更される。したがって、カムシャフト201をその軸線方向に移動させることによって吸気弁15の開閉弁特性を変更することができる。カム201の相対位置が目標相対位置となるようにカムシャフト202をその軸線方向に移動させることによって吸気弁15の開閉弁特性をその目標開閉弁特性に制御できる。
【0022】
また、カムシャフト202の一方の端部にはカムシャフト202をその軸線方向に移動させるための油圧式カムシャフト駆動装置203が設けられ、この油圧式カムシャフト駆動装置203は吸気弁15の開閉弁特性を変更するための変更手段として機能する。油圧式カムシャフト駆動装置203は油圧シリンダ204とOCV21とを具備する。油圧シリンダ204は図2に示すように、カムシャフト202の一方の端部に取付けられたピストン205を収容し、このピストン205を油圧シリンダ204内で摺動させることによってカムシャフト202をその軸線方向に移動させる。
【0023】
この油圧シリンダ204内でのピストン205の位置は位置センサ206によって検出され、この位置センサ206の出力はECU40内の対応するA/D変換器を介して入力ポートに入力される。この位置センサ206の出力に基づいてカムシャフト202の位置、すなわちカム201相対位置が検出される。一方、油圧シリンダ204内でのピストン205の作動、すなわちカムシャフト202の軸線方向の移動は、OCV21のアクチュエータ207に送信する制御パルス信号のオン/オフデューティ比(信号がオンになっている時間とオフになっている時間との合計に占める信号オン時間の割合)を変化させることにより制御される。
【0024】
すなわち、OCV21のアクチュエータ207に送信する制御パルス信号のデューティ比を基準デューティ比よりも大きくすると、カムシャフト202がその軸線方向において一方の方向に移動してカム201の相対位置が一方の方向に移動する。これにより吸気弁15の開閉弁特性が或る方向に変化する。なお、吸気弁15の開閉弁特性が或る方向に変化するとは、例えば開弁時期が早くなったり、開弁期間が長くなったり、リフト量が大きくなったりすることを意味する。
【0025】
逆に、OCV21のアクチュエータ207に送信する制御パルス信号のデューティ比を基準デューティ比よりも小さくすると、カムシャフト202がその軸線方向おいて上記一方の方向とは反対方向に移動してカム201の相対位置が上記一方の方向とは反対方向に移動する。これにより吸気弁15の開閉弁特性が上記或る方向とは反対方向に変化する。なお、吸気弁15の開閉弁特性が上記或る方向とは反対方向に変化するとは、例えば開弁時期が遅くなったり、開弁期間が短くなったり、リフト量が小さくなったりすることを意味する。
【0026】
また、デューティ比を基準デューティ比との偏差が大きくなるようにすればするほど、単位時間当たりにカム201の相対位置が移動する距離が大きくなり、よって単位時間当たりに吸気弁15の開閉弁特性が変化する程度も大きくなる。ここで、基準デューティ比とは、油圧シリンダ204のピストン205を作動させることのないデューティ比であり、すなわちカム201の相対位置が変化せずに吸気弁15の開閉弁特性が変化しないデューティ比である。この基準デューティ比は作動油の油圧や油温に応じて油圧式カムシャフト駆動装置203毎に定まるデューティ比である。
【0027】
次に、オイルパン19からOCV21を介してVVT17の動弁機構200へ供給されOCV21を介してオイルパン19に戻る作動油の流れについて以下に説明する。吸気弁15の開閉弁特性を或る方向に変化させたいとき、例えばバルブタイミングを早くしたいときは、OCV21により動弁機構200のピストン205を第1方向211に動作させ、油路20から圧送された作動油をOCV21および油路212を経由して動弁機構200に設けられた油圧シリンダ204の2つの油圧室の内の第1油圧室(押出戻油圧室)213に送り、油圧シリンダ204の第2油圧室(押出油圧室)214の作動油を油路215、OCV21および油路216を経由してオイルパン19に戻す。
【0028】
一方、吸気弁15の開閉弁特性を或る方向に変化させたいとき、例えばバルブタイミングを遅くしたいときは、OCV21により動弁機構200のピストン205を第1方向211とは逆の第2方向217に動作させ、油路20から圧送される作動油をOCV21および油路215を経由してVVT17の油圧シリンダ204の第2油圧室214に送り、油圧シリンダ204の第1油圧室213の作動油を油路212、OCV21および油路218を経由してオイルパン19に戻す。吸気弁15のバルブタイミングを現在の位置に固定したいときは、OCV21により動弁機構200を作動してOCV21のシリンダ220内のスプール221a、221b、221cがシリンダ220内を中立の位置になるように移動し、OCV21と動弁機構200との間の油路215、212のシリンダ220のポート222a、222bをスプール221a、221bで閉じる。なお、排気カム軸14に同様なVVTが設けられた他の実施形態の場合も同様な動弁機構が設けられる。
【0029】
本発明によるVVTの制御装置は、エンジン制御ユニットECU40とVVT17のバルブ作動特性を変更するアクチュエータ、すなわち図2に示す動弁機構200と、ECU40により油圧をデューティ制御することでその油圧に応じて動弁機構200を作動しバルブ作動特性を調節するOCV21とを備える。本実施形態では、バルブ作動特性の内、バルブタイミングを変更する例を示すが、本発明はこれに限定されるものでなく、バルブ開弁期間またはバルブリフト量を変更するVVTにも適用できる。これより、本発明によるECU40のVVT制御について詳細に説明する。
【0030】
本実施形態のECU40は、機関運転条件に最適な吸気弁のバルブタイミングを設定するため、機関運転条件に応じてOCV21のアクチュエータ(リニアソレノイド)207への制御パルス信号のデューティ比DRを変えるフィードバック制御を用いて、あるいはデューティ比DRを固定して制御パルス信号(OCV21のアクチュエータ207の駆動信号)のオン(保持)時間を可変するインチング制御を用いて、VVT制御、すなわち吸気弁15のバルブタイミングの調節を行なう。インチング制御については、後で概略説明するが、詳しくは本願と同一出願人、同一発明者により平成14年2月27日に出願された「内燃機関のバルブ制御装置」と題する特許出願番号2002−051439の明細書および図面に記載されている。
【0031】
まず、フィードバック制御について説明する。フィードバック制御ではECU40は一定時間毎に機関の運転状態で定まる目標バルブタイミングと実際の実バルブタイミングとの偏差DVTを算出するとともに、下式(1)を用いてOCV21のアクチュエータ207に供給する駆動信号(制御パルス信号)のデューティ比DRを算出する。
【0032】
DR=SDR+α×DVT+β×(DVT−DVTi−1)+γ×ΣDVT…(1)
ここで、上式(1)において、SDRは基準デューティ比で油圧シリンダ204のピストン205を作動させることのないデューティ比であり、すなわちカム201の相対位置が変化せずに吸気弁15のバルブタイミングが変化しないデューティ比である。また、この基準デューティ比は作動油の油圧や油温に応じて油圧式カムシャフト駆動装置203毎に定まるデューティ比である。DVTは今回算出した目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差、DVTi−1は前回のDR算出時における偏差である。また、ΣDVTは偏差DVTの積算値である。上式(1)において、α×DVTはPID制御におけるP(比例)項、γ×ΣDVTはI(積分)項、β×(DVT−DVTi−1)はD(微分)項に相当し、α、γ、βはそれぞれP、I、D項のゲインに相当する係数である。
【0033】
上記のように、目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差に基づくフィードバック制御を行う場合には、ゲイン係数を適宜に選定することにより応答性を犠牲にすることなく安定したバルブタイミング制御を行うことが可能となる。
【0034】
次に、インチング制御について説明する。フィードバック制御では、機関低温始動時などで作動油の油温が低く粘度が高くなっている状態や作動油が劣化している状態では、制御に不安定を生じたり応答性が大幅に低下したりする問題がある。これは、デューティ比DRに対する応答性に差が生じること、すなわちOCV21のアクチュエータ207に供給する駆動信号のデューティ比DRの値が同一であっても作動油の粘度に応じてバルブ作動特性変化の応答速度が異なってくることに起因している。
【0035】
インチング制御では、上記問題を解決するため、以下に説明するように、偏差に応じてデューティ比DRの大きさを変化させるのではなく、デューティ比DRの値は比較的大きな値(必ずバルブ作動特性が変化する充分に大きな値、例えば0パーセントまたは100パーセント)に固定し、この大きさの信号の持続時間を制御している。
【0036】
図3はバルブ作動特性のインチング制御の基本原理を説明する図であり、図3(A)は目標バルブタイミングVVTがステップ状に変化(進角)したときの実バルブタイミングVVTの変化を、図3(B)はその場合のOCV21の駆動デューティ比DRの変化を、それぞれ示す図である。
【0037】
インチング制御では、バルブ作動特性の目標値と実際値との差が予め定めた判定値より大きい場合には、偏差の大きさにかかわりなく駆動信号のデューティ比DRを図3(B)に示すように強制駆動用信号値DRCに所定の保持時間tcの間だけ保持する操作を所定の休止時間trの間隔で繰返す強制駆動操作を行う。
【0038】
ここで、DRC(強制駆動用信号値)の大きさは、図3(B)の例では一定値とされているが、DRCの大きさは必ずしも一定値である必要はなく、作動油粘度が最も高い場合(最も温度が低い場合)でも必ずバルブ作動特性が変化する値であればよい。保持時間tcおよび休止時間trも一定値に設定されるが、作動油の粘度が高い場合、後述するように変更してもよい。
【0039】
このように、デューティ比DRCで比較的短い一定時間tcずつ繰返しアクチュエータを駆動することにより、1回の保持時間tc中のバルブ作動特性の変化量は同一になる。すなわち、デューティ比DRCで一回につき保持時間tcだけアクチュエータを駆動することにより、毎回同じ量だけバルブ作動特性を変化させることができる。このように、この保持時間tcの駆動操作(以下「インチング」と呼ぶ)を繰返すことにより一定幅の作動特性変化量が得られるため、インチングの繰返し回数でバルブ作動特性の合計の変化幅が決定されるようになる。このため、インチング制御では、図3(A)に示すように、オーバーシュートやアンダーシュートを生じることなく作動油粘度にかかわらず正確に実際のバルブ作動特性を目標値に収束させることが可能となる。
【0040】
また、1回のインチングによるバルブ作動特性の変化量は保持時間tcにより定まる。従って、制御開始時の偏差の大きさに応じて保持時間tcを調節すれば目標作動特性に到達するまでのインチングの回数を制御することができるため、例えば偏差が大きい場合には一回の保持時間tcを長く設定することにより短時間で実際の作動特性を目標作動特性に到達させることができる。すなわち、保持時間tcを調節することにより制御応答性を調整することができる。
【0041】
なお、インチングの間の休止時間tr内は作動特性が変化しないことが好ましい。したがって、毎回のインチング実行後の休止時間tr中、デューティ比DRは、基準デューティ比(SDR)に設定することが好ましい。なお、インチング実行後の休止時間開始時に駆動信号のデューティ比が例えば基準デューティ比にセットされると、OCV21のスプール221a〜221cは中立位置に向けて移動を開始し、ある程度の時間経過後に中立位置に到達する。従って、休止時間trをある程度短く設定するとスプール221a〜221cが中立位置に戻る前に次のインチングが開始されるようになる。従って、休止時間trを制御することにより、各回のインチング開始時のスプール位置をも制御することができ、制御の自由度が増大する。
【0042】
以上説明したように、インチング制御では基本的にインチング操作を繰返すことによりバルブ作動特性を目標値に収束させる。すなわち、フィードバック制御では駆動信号のデューティ比DRの大きさを変えることにより作動特性変化の応答性を制御していたのに対して、インチング制御ではデューティ比DRの値はDRCに設定してその大きさを偏差に応じて制御することはせず、その代りに保持時間tcと休止時間trとにより作動特性の変化応答性を制御する点がフィードバック制御と大きく相違している。
【0043】
図4は本発明の一実施形態によるバルブタイミング制御ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンはECU40により一定時間毎に実行される。
【0044】
まずステップ401では、本ルーチンの実行を禁止するか否かを示すVVT制御禁止フラグFPVVTの値が0にリセットされているか否かを判定し、FPVVT=0であればステップ402に進み、FPVVT=1であればステップ428に進み、ステップ428で、デューティ比DRを基準デューティ比(SDR)に設定する。この禁止フラグは、機関冷間時のように作動油の粘度が高いときで可変バルブタイミング機構の応答が速くなる作動油の温度領域においてVVT制御を実行すると実バルブタイミングが目標バルブタイミングに対しオーバーシュートする恐れがあるのでこれを防止するために設定したフラグである。
【0045】
ステップ402は、以下に説明するインチングによる制御を実行すべき条件が成立しているか否かを判定し、条件が成立していない場合にはステップ427に進み、通常の制御(例えば目標値と実際値との偏差に基づくPIDフィードバック制御)を実行する。すなわち、ステップ402で所定の条件が成立しない場合(すなわち、逆の言い方をすれば所定の禁止条件が成立した場合)には、ステップ403以下のインチングによる可変バルブタイミング制御は実行しない。ここで、ステップ402で判定される実行条件について説明する。
【0046】
インチング制御の実行条件として判定すべきものの例としては、例えば、
(a)目標値と実際値とのバルブタイミング偏差DVTの大きさ
(b)油温
(c)保持デューティ比(休止値)の学習終了の有無
等がある。
【0047】
上記条件(a)で偏差DVTの大きさを判定するのは、インチングはバルブタイミングが確実に変化するように比較大きなデューティ比DRでの駆動を行うものであるため、偏差DVTがあまり小さい状態でインチングを行うと、逆にオーバーシュートが生じる可能性があるためである。そこで、偏差DVTの大きさがある程度小さくなったら、許容偏差DVT以下になっていなくてもインチングを禁止し、通常のフィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0048】
また上記条件(b)は、油温が高く作動油粘度が充分に低い場合には通常のフィードバック制御を実行しても何ら問題は生じないため設けた条件である。インチングではOCV21は短い間隔で全開状態(DRが0または100パーセント)と全閉状態(DRが50パーセント)との間で切換えられる。このため、長時間インチングを行うとOCV21の部材の摩耗などが増大する可能性がある。そこで、油温(または機関冷却水温度でもよい)が所定値以上になった場合にはインチングを禁止してOCV21の信頼性が低下することを防止するようにしてもよい。
【0049】
更に、上記条件(c)は誤制御を防止するために設けた条件である。インチングでは、デューティ比DRを強制駆動用信号値に保持した後、所定の休止時間trの間DRを休止値に保持することが必要となる。一方、OCV21の特性は長期間の使用により徐々に変化する場合がある。通常、ECU40は運転中にデューティ比DRが変化してもバルブタイミングが変化しない不感帯域を検出し、不感帯域の変化に応じて中立位置の補正を行う保持デューティ値の学習を行っている。しかし、バッテリの交換などによりこの保持デューティ値の学習結果が失われた状態でインチングを行うと、休止時間tr中にもバルブタイミングが変化することとなり、インチングを行ったために逆にオーバーシュートが生じる可能性がある。そこで、例えばステップ402で現在までに少なくとも休止値の学習が1度は行われているか否かを判断し、学習が1度も行われていない場合には、インチングによるバルブタイミング制御を禁止するようにしてもよい。
【0050】
ステップ402では、上記(a)から(c)の条件の少なくとも1つを判断し、何れかに当てはまる場合にはインチング制御を禁止するようにしている。
【0051】
ステップ402で条件が成立した場合には、次にステップ403では現在の目標バルブタイミングと実際のバルブタイミングとの偏差DVT(DVT=目標バルブタイミング−実バルブタイミング)の絶対値が所定の許容値DVTを越えているか否かが判定される。なお、目標バルブタイミングは別途ECU40により実行されるバルブタイミング設定操作により機関運転状態(例えば吸気管圧力PMと機関回転数NE)とに応じて設定され、偏差DVTは目標バルブタイミングと別途カム位相から算出される実バルブタイミングとの差として算出される。また、本実施形態では、許容値DVTは機関運転上許容できる目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの誤差の大きさに設定される。すなわち、ステップ403で実際の偏差DVTの絶対値が許容偏差DVTより小さい場合には実際上バルブタイミングが目標バルブタイミングに収束していると考えられる。このため、ステップ403でDVT≦DVTであった場合には、ステップ423に進み、OCV21の駆動信号のデューティ比DRを保持デューティ(休止値)DR3に設定する。保持デューティーDR3は、現在のバルブタイミングを保持するための中立状態デューティ比であり、本実施形態ではデューティ比50パーセントに設定されている。これにより、バルブタイミングが目標値に収束した場合には、バルブタイミングは目標値に保持されるようになる。
【0052】
ステップ403で偏差DVTの絶対値が許容偏差DVTより大きかった場合には、次にステップ405でインチング操作実行フラグFINCの値が1(実行)にセットされているか否かを判定する。フラグFINCは現在インチングを実行中であるか否かを示すフラグである。現在インチング実行中でない場合(FINC≠1)、すなわち今まで一度もインチング操作が実行されていないか、或は現在前回のインチングサイクルが終了した直後である場合には、次にステップ407に進み、インチング時間カウンタCTの値を0にリセットするとともに、現在の偏差DVTの絶対値の大きさに応じて保持時間tcと休止時間trを設定する。本実施形態では、予め実際の機関を用いて油温、機関回転数などを変えて実験を行い各条件下で最適な応答を得ることのできる偏差DVTとtc、trの関係を求めてあり、ECU40のROMに格納してある。
【0053】
ステップ407では偏差DVTに基づいてこのデータから保持時間tcと休止時間trとを決定する。保持時間tcと休止時間trとを決定後、ステップ409でインチング操作実行フラグFINCの値を1(実行)にセットした後今回の操作は終了する。
【0054】
本操作が次に実行されると、FINCの値は1にセットされているためステップ405の次にステップ411が実行され、カウンタCTの値が本操作の実行間隔に等しい値ΔTだけ増大される。これにより、CTの値はステップ405でFINC=1になってからの時間、すなわちインチングが開始されてからの経過時間を表すようになる。
【0055】
次いで、ステップ413では、インチングを開始してからの経過時間CTがステップ407で設定した保持時間tcに到達したか否かを判定し、保持時間tcに到達していない場合には、偏差DVTの正負に応じて(ステップ415)デューティ比DRを予め定めた強制駆動用信号値DR1またはDR2にセットする。強制駆動用信号値DR1、DR2は、それぞれバルブタイミングがプラス方向に必ず変化する値(DR1)と、マイナス方向に必ず変化する値(DR2)である。DR1とDR2とは、できるだけ100パーセントと0パーセントに近い値とされ、例えば本実施形態ではDR1=100パーセント、DR2=0パーセントに設定されている。
【0056】
すなわち、ステップ413から417の操作により、インチング開始時から保持時間tcが経過するまで駆動信号のデューティ比DRは強制駆動用信号値(DR1またはDR2)に保持される。
【0057】
一方、ステップ413でインチング開始後保持時間tcが経過した場合には、次にステップ421に進み、保持時間tcが経過した後さらに休止時間trが経過しているか否かが判断される。ステップ421で保持時間tc経過後、まだ休止時間trが経過していない場合にはステップ423に進み、デューティ比DRは保持デューティ比(休止値)DR3(本実施形態では50パーセント)にセットされる。これにより、インチング操作ではまずデューティ比DRはまず保持時間tcの間強制駆動用信号値(DR1またはDR2)に保持され、その後保持時間tc経過後は休止時間trの間保持デューティ比(休止値)DR3に保持されるようになる。
【0058】
また、ステップ421で、休止時間trが経過するとステップ425でフラグFINCの値は0にセットされる。これにより、次回本操作が実行されるとステップ405の次にステップ407、408が実行され、ステップ403でバルブタイミングが目標値に収束するまでインチング操作が繰返されるようになる。
【0059】
ステップ429ではステップ417、419、423または427で算出されたデューティ比DRをOCV21のアクチュエータ207に送信する。
【0060】
上述のように、本実施形態ではインチング操作を繰返すことにより、油温が低く油粘度が高い場合にもバルブタイミング制御の安定性を損うことなく制御の応答性を良好に維持することが可能となる。
【0061】
図5は機関冷間始動時に図4に示すバルブタイミング制御ルーチンを実行するか否かを決定する処理のフローチャートであり、図6は作動油の油温とVVTの応答速度との関係を示す図であり、図7は図5に示すフローチャートの補足説明図である。このVVT制御ルーチンは所定の周期、例えば0.1秒毎に実行される。
【0062】
まず、ステップ501では、クランク軸センサ24で検出した信号を読取りエンジン回転数NEを算出する。
【0063】
ステップ502では、吸気圧センサ32により検出された吸気管圧力PM、油温センサ22により検出された油温OTおよび油圧センサ36により検出された油圧OPを読取る。なお、油温OTは、油温センサ22により検出する代わりに、水温センサ25により検出した水温、エンジン回転数NE、吸気温センサ29により検出された吸気温、エアーフローメータ(図示せず)により検出されたエンジン気筒への吸入空気量、あるいはECU40による燃料噴射制御で算出された燃料噴射量に基づき推定した油温推定値を用いてもよい。
【0064】
ステップ503では、ステップ501で算出したエンジン回転数NEとステップ502で検出した吸気管圧力(負荷)PMに基づき予めROMに格納したマップ(図示せず)を参照して現在のエンジンの運転状態に応じた吸気弁15の目標バルブタイミング(吸気カムシャフト202の目標進角量)を算出する。
【0065】
ステップ504では、クランク軸センサ24からのクランク軸位相検出パルス信号と吸気カム軸13のカム軸センサ23からのカム軸位相検出パルス信号とを読取る。
【0066】
ステップ505では、ステップ504で読取ったクランク軸位相検出パルス信号とカム軸位相検出パルス信号との間の相対回転角により吸気弁15の実バルブタイミング(吸気カム軸13の実進角量)を算出する。
【0067】
ステップ506では、ステップ505で算出した吸気弁15の実バルブタイミングがステップ503で算出した目標バルブタイミングとなるようにOCV21のアクチュエータ207のデューティ制御を行ない、吸気弁15のバルブタイミングを調整する。
【0068】
ここで、作動油の油温とVVTの応答速度との関係を説明する。図6に示すように、機関冷間始動時には、油温が低く、また油温がT1からT2の温度領域ではVVTの応答速度が油温の増加に反比例し、油温の増加とともにVVTの応答速度が減少する。このような温度領域では、VVTの応答速度が速くなってなっており、実バルブタイミングが目標バルブタイミングに対しオーバ−シュートする恐れがある。そこで、本発明では、以下のステップ507〜516によりこのような場合に、VVT制御を禁止するようにする。
【0069】
ステップ507では、油温と冷間温度を判定する所定値とを比較し、油温<所定値のときはステップ508に進み、油温≧所定値のときはステップ509に進み、VVT制御実行可能と判定して、図4に示すバルブタイミング制御ルーチンの実行の禁止を示すフラグFPVVTを0にリセットする。
【0070】
ステップ508では、今回の目標バルブタイミングTVVTが前回の目標バルブタイミングTVVTi−1より所定°CAだけ大きいか否かを判定し、その判定結果がYESのときは、すなわち目標バルブタイミングが大きく増大したときは、ステップ510に進み、その判定結果がNOのときはステップ509に進む。
【0071】
ステップ510では、下式(2)を算出する。
【0072】
VVT偏差=VVT目標バルブタイミング−VVT実バルブタイミング…(2)
ステップ511〜516では、図7(a)に示すようにVVT実変位がVVT目標変位に対しオーバーシュートするような場合、図(b)に示すようにVVT偏差を偏差判定値と比較し(ステップ511)、図(c)に示すようにVVT偏差>偏差判定値なるVVT偏差がt秒間継続したとき、オーバーシュートによるVVT異常と判定し(ステップ512)、図(d)に示すようにその判定回数をカウントするカウンタCOSのカウント値が冷間時VVT制御禁止判定値より大となったとき(ステップ515)、図(e)に示すように冷間時にVVT制御を禁止するため、VVT制御実行禁止フラグFPVVTを1にセットする(ステップ516)。以下に、ステップ511〜516を詳しく記す。
【0073】
ステップ511では、ステップ510で算出したVVT偏差と偏差判定値(固定値)と比較し、VVT偏差>偏差判定値のときは、オーバーシュートによるVVT異常と判定しステップ512に進み、VVT偏差≦偏差判定値のときは、VVT正常と判定しステップ513に進む。
【0074】
ステップ512では、ステップ511のVVT異常判定がt秒間継続したか否かを判定し、その判定結果がYESのときは、すなわちVVTのオーバーシュートによるVVT異常と判定された後所定時間t秒以上経過したときは、ステップ514に進み、その判定結果がNOのときはステップ509に進む。
【0075】
ステップ513では、オーバーシュートによるVVT異常判定の回数をカウントするカウンタCOSを0にリセットし、509に進む。
【0076】
ステップ514では、カウンタCOSに1を加算する。
【0077】
ステップ515では、カウンタCOSのカウント値がオーバーシュート判定値、例えば1回(図7(d)の例)を越えたか否かを判定し、その判定結果がYESのときはステップ516に進み、その判定結果がNOのときはステップ509に進む。
【0078】
ステップ516では、VVT制御実行不可能と判定してVVT制御禁止フラグFPVVTを1にセットする。
【0079】
以上の処理により、図4のステップ401でVVT制御禁止フラグFPVVTが1のとき、すなわち機関冷間時のように作動油の粘度が高いとき、可変バルブタイミング機構の応答が速くなる作動油の温度領域において、図4のVVT制御を禁止するので、実バルブタイミングが目標バルブタイミングに対しオーバーシュートすることを防止できる。
【0080】
図8はVVT偏差に基づくオーバーシュート学習ルーチンのフローチャートである。この学習ルーチンは所定の周期で、例えば0.1秒毎に実行される。
【0081】
ステップ801〜805は、それぞれ図5に示すステップ501〜505と同じであるので、説明を省略する。
【0082】
この学習ルーチンでは、機関冷間始動時には、油温が低く、VVTの応答速度が速くなってなっている温度領域があり、実バルブタイミングが目標バルブタイミングに対しオーバ−シュートする恐れがある。そこで、本発明では、以下のステップ807〜813によりこのような場合に、目標バルブタイミングをオーバーシュート学習値で補正する。
【0083】
ステップ807では、油温と冷間温度を判定する所定値とを比較し、油温<所定値のときはステップ808に進み、油温≧所定値のときは本ルーチンを終了する。
【0084】
ステップ808では、今回の目標バルブタイミングTVVTが前回の目標バルブタイミングTVVTi−1より所定°CAだけ大きいか否かを判定し、その判定結果がYESのときは、すなわち目標バルブタイミングが大きく増大したときは、ステップ809に進み、その判定結果がNOのときは本ルーチンを終了する。
【0085】
図9は図8に示すフローチャートの補足説明図であり、図10は作動油の油温とオーバーシュート学習値との関係を示す図である。図9において、(a)はVVT実変位がVVT目標変位に対しオーバーシュートする様子を示す図であり、(b)はVVT偏差と偏差許容値との比較を示す図であり、(c)はVVT偏差>許容判定値なるVVT偏差のオーバーシュート学習値を示す図であり、(d)はオーバーシュート学習値による補正後のVVT目標変位を示す図である。
【0086】
ステップ809では、図9(a)に示すように、VVT実変位がVVT目標変位より大となりオーバーシュートするか否かを判定するため、下式(2)を算出する。
【0087】
VVT偏差=VVT目標バルブタイミング−VVT実バルブタイミング…(2)
ステップ810では、図9(b)に示すように、ステップ809で算出したVVT偏差が許容値より大か否かを判定し、その判定結果がYESのときはステップ811に進み、その判定結果がNOのときは本ルーチンを終了する。
【0088】
ステップ811では、図9(c)に示すように、VVT偏差の最大値をオーバーシュート学習値として算出する。図10に示すように、この学習値を所定の油温領域T0〜T1、T1〜T2、T2〜T3、T3〜T4毎に学習する。
【0089】
ステップ812では、ステップ812で算出した所定の油温領域T0〜T1、T1〜T2、T2〜T3、T3〜T4毎のオーバーシュート学習値をRAMに記憶する。
【0090】
ステップ813では、ステップ803で算出した目標バルブタイミングからステップ812でRAMに記憶したオーバーシュート学習値を減算して、目標バルブタイミングを補正する。
【0091】
ステップ814では、図9(d)に示すように、ステップ805で算出した吸気弁15の実バルブタイミングがステップ813で補正した目標バルブタイミングとなるようにOCV21のアクチュエータ207のデューティ制御を行ない、吸気弁15のバルブタイミングを調整する。これにより、機関冷間始動時のVVTのオーバーシュートが回避可能となる。
【0092】
次に、オーバーシュート量を学習し、学習値を上述したVVT制御に反映させる制御についてついて説明する。
【0093】
図11は本発明によるオーバーシュート量を学習するインチング制御ルーチンのフローチャートである。本ルーチンは所定の周期で、例えば0.1秒毎に実行される。まずステップ1101では、本ルーチンの実行を禁止するか否かを示すVVT制御禁止フラグFPVVTの値が0にリセットされているか否かを判定し、FPVVT=0であればステップ1103に進み、FPVVT=1であればステップ1102に進み、ステップ1102でデューティ比DRを基準デューティ比(SDR)に設定する。
【0094】
ステップ1103では、上述したインチングによる制御を実行すべき条件が成立しているか否かを判定し、条件が成立している場合にはステップ1105に進み、上述したインチングによる可変バルブタイミング制御を実行し、条件が成立していない場合にはステップ1107に進み、通常の制御(例えば目標値と実際値との偏差に基づくPIDフィードバック制御)を実行する。
【0095】
ステップ1109では、OCVを駆動するデューティ制御信号のデューティ比DRを以下に説明する学習値で補正する。
【0096】
ステップ1111では、ステップ1109で補正されたデューティ比DRをOCV21のアクチュエータ207に送信する。
【0097】
次に、ステップ1109におけるデューティ制御信号のデューティ比DRを補正するインチング制御における学習値について以下に説明する。
【0098】
図12はオーバーシュート量を学習するインチング制御の効果の説明図であり、(A)は学習無しのインチング制御結果を示す図であり、(B)は学習無しのOCV駆動デューティ制御信号を示す図であり、(C)は学習有りのOCV駆動デューティ制御信号を示す図であり、(D)は学習有りのインチング制御結果を示す図である。図12の(A)〜(D)において横軸は時間を示し、(A)および(D)において縦軸はバルブタイミングを示し、(B)および(C)において縦軸はデューティ比を示す。図12の(A)に示すように、VVTの目標バルブタイミングがステップ状にバルブタイミングを進角方向に変化させる方向に変化したとき、学習無しのインチング制御では、実バルブタイミングはオーバーシュートすることが判る。本発明では、このオーバーシュート量を次のように学習する。
【0099】
図13はインチング制御の学習値の説明図であり、(A)はオーバーシュート量に対する制御パルス出力時間(tc)の補正値との関係を示す図であり、(B)は制御パルス出力時間の補正演算式を示す図であり、(C)はOCVの駆動デューティ制御信号の補正前(実線)と補正後(破線)との相違を示す図である。図13の(A)に示すように、オーバーシュート発生時にはVVTの応答速度を遅くするため、オーバーシュート量に応じて、OCV駆動デューティ制御信号のオン時間、すなわち制御パルス出力時間(tc)を減少するように補正するように、例えばオーバーシュート量の最大値を補正値に設定する。図13の(B)に示すように、補正後のパルス出力時間は、補正前のパルス出力時間からオーバーシュート量に応じた補正値を減じた値となる。OCVの駆動デューティ制御信号は学習補正前後で図13の(C)に示すようになり、補正後の制御パルス出力時間(tc)は補正前より減少しているが、パルス間隔時間(tr)は補正前後で不変である。この結果の駆動デューティ制御信号が図12の(B)および(C)に示されている。図12の(D)に示すように、VVTの目標バルブタイミングがステップ状にバルブタイミングを進角方向に変化させる方向に変化したとき、学習有りのインチング制御では、実バルブタイミングはオーバーシュートしていないことが判る。
【0100】
以上図11〜図13を用いて説明したオーバーシュート量を学習するインチング制御において、学習値を作動油の温度領域毎に学習することにより、油温に対するVVT応答速度の変化により対応する学習が可能となり、VVTの制御性を向上できる。
【0101】
また、上述の学習値として、制御パルス出力時間(tc)を用いたが、これに代えてパルス間隔時間(tr)を用いても、同様な効果が得られる。
【0102】
図14は本発明によるオーバーシュート量を学習するフィードバック制御ルーチンのフローチャートである。本ルーチンは所定の周期で、例えば0.1秒毎に実行される。まずステップ1401では、本ルーチンの実行を禁止するか否かを示すVVT制御禁止フラグFPVVTの値が0にリセットされているか否かを判定し、FPVVT=0であればステップ1403に進み、FPVVT=1であればステップ1402に進み、ステップ1402でデューティ比DRを基準デューティ比(SDR)に設定する。
【0103】
ステップ1403では、上述したインチングによる制御を実行すべき条件が成立しているか否かを判定し、条件が成立している場合にはステップ1405に進み、上述したインチングによる可変バルブタイミング制御を実行し、条件が成立していない場合にはステップ1407に進み、通常の制御(例えば目標値と実際値との偏差に基づくPIDフィードバック制御)を実行する。
【0104】
ステップ1409では、OCVを駆動するデューティ制御信号のデューティ比DRを以下に説明する学習値で補正する。
【0105】
ステップ1411では、ステップ1409で補正されたデューティ比DRをOCV21のアクチュエータ207に送信する。
【0106】
次に、ステップ1409におけるデューティ制御信号のデューティ比DRを補正するフィードバック制御における学習値について以下に説明する。
【0107】
図15はオーバーシュート量を学習するフィードバック制御の効果の説明図であり、(A)は学習無しのフィードバック制御結果を示す図であり、(B)はOCVの駆動デューティ比の補正前と補正後との相違を示す図であり、(C)は学習有りのフィードバック制御結果を示す図である。図15の(A)〜(C)において横軸は時間を示し、(A)および(C)において縦軸はバルブタイミングを示し、(B)において縦軸はデューティ比を示す。図15の(A)に示すように、VVTの目標バルブタイミングがステップ状にバルブタイミングを進角方向に変化させる方向に変化したとき、学習無しのフィードバック制御では、実バルブタイミングはオーバーシュートすることが判る。本発明では、このオーバーシュート量を次のように学習する。
【0108】
図16はインチング制御の学習値の説明図であり、(A)はオーバーシュート量に対するVVTのフィードバック(PID)ゲインの補正値との関係を示す図であり、(B)はOCVの駆動デューティ比の補正演算式を示す図であり、(C)は偏差に対するフィードバック(PID)ゲインの補正前(実線)と補正後(破線)との相違を示す図である。
【0109】
図16の(A)に示すように、オーバーシュート発生時にはVVTの応答速度を遅くするため、オーバーシュート量に応じて、VVTのフィードバック制御における(PID)ゲインの補正値(≦1.0)を設定する。この補正値はオーバーシュート量の最大値に基づき、最大値が大きくなる程ゲインが小さくなるように設定する。これにより、オーバーシュート量の増加に伴いゲインが下がり、VVTの応答速度が遅くなる。
【0110】
図16の(B)に示すように、補正後のOCV駆動デューティ比は、補正前のOCV駆動デューティ比にオーバーシュート量に応じたフィードバック(PID)ゲインの補正値を乗算した値となる。OCVの駆動デューティ制御信号のデューティ比を算出するためのフィードバックゲインは学習補正前後で図16の(C)に示すようになり、補正後のフィードバックゲインは補正前より減少している。この結果の駆動デューティ比が、図15の(B)に補正前を細い実線で補正後を太い実線で示されている。図15の(B)に示すように、補正後の方が補正前よりゲインが下がっており、VVTの応答速度を遅くしていることが判る。また、図15の(C)に示すように、VVTの目標バルブタイミングがステップ状にバルブタイミングを進角方向に変化させる方向に変化したとき、学習有りのフィードバック制御では、実バルブタイミングはオーバーシュートしていないことが判る。
【0111】
以上図14〜図16を用いて説明したオーバーシュート量を学習するフィードバック制御において、学習値を作動油の温度領域毎に学習することにより、油温に対するVVT応答速度の変化により対応する学習が可能となり、VVTの制御性を向上できる。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、機関冷間時に、作動油の粘度が高くなりVVTの応答速度が速くなる作動油の温度領域において、実バルブタイミングが目標バルブタイミングに対しオーバーシュートすることを防止し、VVT制御の応答性を向上させる内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す可変バルブタイミング機構の動弁機構の動作説明図である。
【図3】バルブ作動特性のインチング制御の基本原理を説明する図であり、(A)は目標バルブタイミングVVTがステップ状に変化(進角)したときの実バルブタイミングVVTの変化を示す図であり、(B)はその場合のOCV21の駆動デューティ比DRの変化を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるバルブタイミング制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】機関冷間始動時に図4に示すバルブタイミング制御ルーチンを実行するか否かを決定する処理のフローチャートである。
【図6】作動油の油温とVVTの応答速度との関係を示す図である。
【図7】図5に示すフローチャートの補足説明図であり、(a)はVVT実変位がVVT目標変位に対しオーバーシュートする様子を示す図であり、(b)はVVT偏差と偏差判定値との比較を示す図であり、(c)はVVT偏差>偏差判定値なるVVT偏差の継続時間のカウント値の時間変化を示す図であり、(d)は冷間時のVVT制御禁止判定値の説明図であり、(e)は冷間時のVVT制御禁止フラグのオン/オフ状態を示す図である。
【図8】VVT偏差に基づくオーバーシュート学習ルーチンのフローチャートである。
【図9】図8に示すフローチャートの補足説明図であり、(a)はVVT実変位がVVT目標変位に対しオーバーシュートする様子を示す図であり、(b)はVVT偏差と偏差許容値との比較を示す図であり、(c)はVVT偏差>許容判定値なるVVT偏差のオーバーシュート学習値を示す図であり、(d)はオーバーシュート学習値による補正後のVVT目標変位を示す図である。
【図10】作動油の油温とオーバーシュート学習値との関係を示す図である。
【図11】本発明によるオーバーシュート量を学習するインチング制御ルーチンのフローチャートである。
【図12】オーバーシュート量を学習するインチング制御の効果の説明図であり、(A)は学習無しのインチング制御結果を示す図であり、(B)は学習無しのOCV駆動デューティ制御信号を示す図であり、(C)は学習有りのOCV駆動デューティ制御信号を示す図であり、(D)は学習有りのインチング制御結果を示す図である。
【図13】インチング制御の学習値の説明図であり、(A)はオーバーシュート量に対する制御パルス出力時間の補正値との関係を示す図であり、(B)は制御パルス出力時間の補正演算式を示す図であり、(C)はOCVの駆動デューティ制御信号の補正前と補正後との相違を示す図である。
【図14】本発明によるオーバーシュート量を学習するフィードバック制御ルーチンのフローチャートである。
【図15】オーバーシュート量を学習するフィードバック制御の効果の説明図であり、(A)は学習無しのフィードバック制御結果を示す図であり、(B)はOCVの駆動デューティ比の補正前と補正後との相違を示す図であり、(C)は学習有りのフィードバック制御結果を示す図である。
【図16】インチング制御の学習値の説明図であり、(A)はオーバーシュート量に対するVVTのフィードバック(PID)ゲインの補正値との関係を示す図であり、(B)はOCVの駆動デューティ比の補正演算式を示す図であり、(C)は偏差に対するフィードバック(PID)ゲインの補正前と補正後との相違を示す図である。
【符号の説明】
11…エンジン
12…クランク軸
13…吸気カム軸
14…排気カム軸
15…吸気弁
16…排気弁
17…可変バルブタイミング機構(VVT)
18…オイルポンプ
19…オイルパン
21…オイルコントロールバルブ(OCV)
22…油温センサ
23…カム軸センサ
24…クランク軸センサ
25…水温センサ
29…吸気温センサ
32…吸気圧センサ
36…油圧センサ
40…エンジン制御ユニット(ECU)
207…アクチュエータ(リニアソレノイド)

Claims (4)

  1. 内燃機関の吸気弁と排気弁の一方または両方のバルブタイミング、バルブリフト量、開弁期間のうち少なくとも1つを含むバルブ作動特性を変化させる可変バルブタイミング機構の制御装置において、
    前記バルブ作動特性が目標値になるように制御する制御手段と、
    前記可変バルブタイミング機構の作動を制御する油圧制御弁を作動する作動油の温度検出手段と、
    前記バルブ作動特性の目標値が或る方向に変化したときに該バルブ作動特性の実際値が該目標値を越えた偏差を検出する偏差検出手段と、
    前記温度検出手段により検出された前記作動油の温度が所定値より低く、かつ前記偏差検出手段により検出された偏差が所定値を越えたとき、前記制御手段の制御を禁止する手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置。
  2. 内燃機関の吸気弁と排気弁の一方または両方のバルブタイミング、バルブリフト量、開弁期間のうち少なくとも1つを含むバルブ作動特性を変化させる可変バルブタイミング機構の制御装置において、
    前記バルブ作動特性が目標値になるように制御する制御手段と、
    前記可変バルブタイミング機構の作動を制御する油圧制御弁を作動する作動油の温度検出手段と、
    前記バルブ作動特性の目標値が或る方向に変化したときに該バルブ作動特性の実際値が該目標値を越えた偏差を検出する偏差検出手段と、
    前記温度検出手段により検出された前記作動油の温度領域毎に、前記偏差検出手段により検出された偏差の最大値を学習する学習手段と、
    前記学習手段により学習された偏差の最大値で、前記制御手段が制御する前記バルブ作動特性の目標値を補正する補正手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置。
  3. 内燃機関の吸気弁と排気弁の一方または両方のバルブタイミング、バルブリフト量、開弁期間のうち少なくとも1つを含むバルブ作動特性を変化させる可変バルブタイミング機構の制御装置において、
    前記可変バルブタイミング機構の作動を制御する油圧制御弁に設けられ、前記バルブ作動特性を変更するアクチュエータ手段と、
    前記アクチュエータ手段に所定のデューティ比の駆動信号を送り、前記バルブ作動特性が目標値になるように制御する制御手段と、
    前記油圧制御弁を作動する作動油の温度検出手段と、
    前記バルブ作動特性の目標値が或る方向に変化したときに該バルブ作動特性の実際値が該目標値を越えた偏差を検出する偏差検出手段と、
    前記温度検出手段により検出された前記作動油の温度領域毎に、前記偏差検出手段により検出された偏差の最大値を学習する学習手段と、
    前記学習手段により学習された偏差の最大値で、前記駆動信号の出力時間および休止時間の少なくとも一方を補正してデューティ比を変更する補正手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置。
  4. 内燃機関の吸気弁と排気弁の一方または両方のバルブタイミング、バルブリフト量、開弁期間のうち少なくとも1つを含むバルブ作動特性を変化させる可変バルブタイミング機構の制御装置において、
    前記可変バルブタイミング機構の作動を制御する油圧制御弁に設けられ、前記バルブ作動特性を変更するアクチュエータ手段と、
    前記アクチュエータ手段に所定のデューティ比の駆動信号を送り、前記バルブ作動特性が目標値になるように制御する制御手段と、
    前記油圧制御弁を作動する作動油の温度検出手段と、
    前記バルブ作動特性の目標値が或る方向に変化したときに該バルブ作動特性の実際値が該目標値を越えた偏差を検出する偏差検出手段と、
    前記温度検出手段により検出された前記作動油の温度領域毎に、前記偏差検出手段により検出された偏差の最大値を学習する学習手段と、
    前記学習手段により学習された偏差の最大値で、前記駆動信号のデューティ比を決定するゲインを補正してデューティ比を変更する補正手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング機構の制御装置。
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