JPH10331612A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置

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JPH10331612A
JPH10331612A JP9140025A JP14002597A JPH10331612A JP H10331612 A JPH10331612 A JP H10331612A JP 9140025 A JP9140025 A JP 9140025A JP 14002597 A JP14002597 A JP 14002597A JP H10331612 A JPH10331612 A JP H10331612A
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F02D41/0002Controlling intake air
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加速時のバルブオーバラップ量急変による空
燃比の乱れを防止する。 【解決手段】 機関に可変バルブタイミング機構10を
設け、機関運転状態に応じてバルブオーバラップ量を制
御する。制御回路10は、実際のバルブオーバラップ量
変化速度を検出し、この変化速度に応じて燃料噴射量の
加速増量値を設定する。これにより、加速増量値がバル
ブオーバラップ量変化時の壁面付着燃料量の変化速度に
応じた適切な値に設定されるため、加速時の空燃比の乱
れが生じることが防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転状態に応じて
内燃機関の吸気弁と排気弁とのバルブオーバラップ量を
調節するバルブ特性制御装置を備えた内燃機関の燃料噴
射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の回転数、負荷等の
運転状態に応じて吸排気弁の開閉タイミング(バルブタ
イミング)やバルブリフトを変更し、各運転状態におけ
る出力や燃費の向上を図るバルブ特性制御装置が知られ
ている。この種のバルブ特性制御装置では、吸気弁と排
気弁との両方が同時に開弁している期間(以下、この期
間の長さを「バルブオーバラップ量」と称する)を最適
な値に設定することにより、各運転状態における機関性
能を向上させている。
【0003】この種のバルブ特性制御装置の例として
は、例えば特開平8−270467号公報に記載された
ものがある。同公報は、機関負荷と回転数に応じてバル
ブタイミングを変更し、バルブオーバラップ量を機関運
転状態に応じて無段階に変更するバルブ特性制御装置を
開示している。また、同公報の装置では、更に、機関の
減速時には強制的にバルブオーバラップ量を最小に設定
する制御を行っている。機関低回転時にバルブオーバラ
ップ量が適正値より大幅に大きくなると、燃焼室から吸
気ポートへの既燃ガスの吹き返しが増大する。このた
め、バルブオーバラップ量が過大な状態では機関低回転
時に失火によるエンジンストール等が生じやすくなる。
上記公報の装置は、機関減速時にバルブオーバラップ特
性制御装置の応答遅れによりバルブオーバラップ量が過
大な状態が生じることを防止するために、機関減速時に
強制的にバルブオーバラップ量を最小値に設定する操作
を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、バルブオーバ
ラップ量を大きく設定すると排気行程時に排気弁と吸気
弁とが同時に開弁する期間が長くなるため、気筒内の既
燃ガスが吸気ポートに逆流する、いわゆる吸気ポートへ
の既燃ガスの吹き返しが増大する。上記吸気ポートへの
既燃ガスの吹き返しが大きいと、吸気ポートに逆流した
既燃ガスが吸気行程時に再度気筒内に吸入されることに
より、気筒に供給される新気の量が低下する問題(内部
EGR量の増大)が生じる他、特に機関温度が低い場合
には吸気ポートに供給された燃料のうち吸気ポート壁面
に付着する燃料(壁面付着燃料)の量が増大するため十
分な量の燃料が気筒に供給されなくなる問題が生じる。
【0005】すなわち、機関温度が低い場合には、吸気
ポートに供給された燃料は気化しにくいため吸気ポート
内に比較的大きな液体燃料粒子を形成している。この状
態で吸気ポートに既燃ガスが逆流すると、吸気ポート内
の燃料粒子が吹き戻されて壁面に付着してしまう。この
壁面付着燃料の量は、他の条件が同一であれば機関温度
が低い程、すなわち燃料の気化状態が悪い程、またバル
ブオーバラップ量が大きい程(すなわち既燃ガスの吹き
返しが大きい程)多くなる。
【0006】一般に、バルブオーバラップ量は機関負荷
が大きくなるほど大きな値に設定される。このため、急
加速時等で負荷が急増するとバルブオーバラップ量も急
激に増大することになり、壁面に付着する燃料の量は短
い時間に急激に増大することになる。このように、壁面
に付着する燃料の量が急激に増大すると、機関に供給さ
れた燃料のうち、壁面に付着する燃料量を増大させるた
めに消費される燃料の量が大きくなり、実際に気筒内に
供給される燃料の量が減少してしまう問題が生じる。こ
のため、バルブオーバラップ量が急激に増大する急加速
時等には機関の燃焼空燃比がオーバーリーンとなる問題
が生じる。
【0007】実際の機関においては、例えば上記加速時
の壁面付着燃料量の増大によるオーバーリーンを防止す
るため、壁面付着燃料量の増大に消費される燃料量に相
当する量だけ機関に供給する燃料量を増大する、いわゆ
る加速増量が行われる。ところが、前述したように壁面
付着燃料量の増大速度はバルブオーバラップ量の増大速
度に応じて変化する。しかも、バルブオーバラップ量の
増大速度、すなわちバルブオーバラップ特性制御装置の
作動速度には製品毎のばらつきがあるのみならず、運転
条件や経年変化等によっても変化する。
【0008】例えば、油圧駆動のバルブ特性制御装置で
は作動油の粘度により装置作動速度が大きく変化するた
め、同じ装置であっても作動油の種類や劣化状態、運転
温度等に応じて作動速度が大きく変化することになる。
このため、上記加速時のオーバーリーンを防止するため
には、バルブ特性制御装置の製品毎のばらつき、経年変
化、運転条件などを考慮して装置作動速度が最も早くな
る場合に合わせて加速増量の値を設定する必要がある。
ところが、このように最もバルブ特性制御装置の作動速
度が速い状態に適合するように加速増量の値を設定して
いると、作動速度が遅いバルブ特性制御装置では燃料の
加速増量が過大となるため加速時に機関空燃比がオーバ
ーリッチとなってしまい、必要以上の燃費悪化や排気性
状の悪化を生じる問題があった。
【0009】本発明は上記問題に鑑み、バルブ特性制御
装置作動速度のばらつきによる加速増量の不適合の問題
を解決し、加速時の機関のオーバーリーンやオーバーリ
ッチが生じることを防止可能な内燃機関のバルブ特性制
御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内燃機関のバルブオーバラップ量を機関運転状
態に応じて定まる目標値に調節するバルブ特性変更手段
を有する内燃機関の燃料噴射量を制御する燃料噴射制御
装置であって、前記バルブ特性変更手段によるバルブオ
ーバラップ量変更時のバルブオーバラップ量変化速度を
検出する変化速度検出手段と、機関運転状態に基づい
て、機関への燃料噴射量を設定する燃料噴射量設定手段
と、前記変化速度検出手段により検出されたバルブオー
バラップ量変化速度に基づいて、前記燃料噴射量設定手
段により設定された燃料噴射量を補正する噴射量補正手
段と、を備えた内燃機関の燃料噴射制御装置が提供され
る。
【0011】すなわち、請求項1の発明では、実際のバ
ルブオーバラップ量変化速度を検出し、この変化速度に
応じて燃料噴射量を補正する。このため、例えばバルブ
特性制御装置の作動速度にばらつきがあるような場合で
も実際のバルブオーバラップ量変化速度に基づいて加速
時の加速増量値が設定され、バルブ特性制御装置作動速
度のばらつきによる加速時のオーバーリーンやオーバー
リッチが生じない。
【0012】請求項2に記載の発明によれば、更に、機
関運転状態の所定の条件が成立したときに、前記バルブ
特性変更手段によるバルブオーバラップ量変更時のバル
ブオーバラップ量の変化速度を低下させる変化速度制限
手段を備えた請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置が提供される。すなわち、請求項2の発明では、機
関運転状態の所定の条件が成立したような場合には、バ
ルブオーバラップ量変化速度を強制的に低下させるとと
もに実際のバルブオーバラップ量変化速度に応じて燃料
噴射量を補正する。上記機関運転状態の所定の条件と
は、例えば機関低温時の加速状態のように壁面付着燃料
量の変化が大きい機関運転状態とされる。これにより、
バルブオーバラップ量変化速度が強制的に低減され、壁
面付着燃料量の変化が少なくなるため燃料噴射量の加速
増量値が小さく設定され、しかも、この低減されたバル
ブオーバラップ量変化速度に応じて加速増量値が決定さ
れるようになる。このため、請求項1の作用に加えて更
に燃料噴射量の加速増量そのものを低減することが可能
となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下添付図面を用いて本発明の実
施形態について説明する。図1は本発明の燃料噴射制御
装置をバルブ特性制御装置を有する4サイクル機関に適
用した場合の構成の一例を示す図である。本発明では、
バルブ特性制御装置として、例えば吸排気弁の少なくと
も一方のバルブタイミングを変更することによりバルブ
オーバラップ量を調整可能とする形式のもの、あるいは
吸排気弁の少なくとも一方のバルブリフトを変更するこ
とによりバルブオーバラップ量を調整可能とする形式の
もの等が使用可能である。図1の実施形態では上記のう
ち、吸気弁のバルブタイミングのみを変更することによ
りバルブオーバラップ量を調整可能としたバルブ特性制
御装置、すなわちバルブタイミング制御装置が使用され
ている。
【0014】すなわち、本実施形態においては、吸気弁
と排気弁との駆動用ににそれぞれ別のカムシャフトを有
するダブルオーバヘッドカムシャフト(DOHC)型機
関が使用され、バルブタイミングを変更するための可変
バルブタイミング機構が吸気カムシャフトのみに設けら
れている。つまり、本実施形態では排気弁のバルブタイ
ミング変更は行わず、吸気弁のバルブタイミングのみを
運転条件に応じて変更することにより吸気弁と排気弁と
のバルブオーバラップ量を変更する。
【0015】以下、図1のバルブ特性制御装置の構成に
ついて簡単に説明する。図1において、1はDOHC型
機関の吸気弁(図示せず)を開閉駆動する吸気カムシャ
フト、その全体を10で示すのは吸気カムシャフト端部
に設けられた可変バルブタイミング機構である。可変バ
ルブタイミング機構10は、円筒状スリーブ13を有す
るタイミングプーリ12と、カムシャフト1の端部を覆
うカバー14とを備えており、タイミングプーリ12は
円筒状スリーブ13を介して吸気カムシャフト1の周囲
にカムシャフト1に対して回転可能に装着されている。
また、カバー14はタイミングプーリ12にボルト15
により固定され、プーリ12と一体に回転するようにな
っている。
【0016】カバー14内部にはピストン部材17が設
けられている。ピストン部材17は、円環状のピストン
部19と、ピストン部19から延びる円筒部21とを備
えており、ピストン部19の外周面と内周面とは、カバ
ー14の内周面とプーリ12のスリーブ13の外周面と
にそれぞれ摺接している。また、ピストン部材17の円
筒部21の外周面と内周面とには、それぞれ所定の捩じ
れ角を有するアウターヘリカルギヤ21aとインナーヘ
リカルギヤ21bとが刻設されており、アウターヘリカ
ルギヤ21aはカバー14内周面に形成された内歯ヘリ
カルギヤ22aと、またインナーヘリカルギヤ21bは
カムシャフト1の端面にボルト1a、ピン1bにより一
体に装着されたリング状の外歯ヘリカルギヤ22bとそ
れぞれ噛合している。
【0017】本実施形態の可変バルブタイミング機構1
0では、機関のクランク軸(図示せず)の回転は、タイ
ミングベルト12aを介してタイミングプーリ12に伝
えられる。プーリ12が回転すると、カバー14がプー
リ12と一体に回転し、ヘリカルギヤ22a、21aを
介してカバー14に連結されたピストン部材17がカバ
ー14と一体に回転する。ピストン部材17は、ヘリカ
ルギヤ21b、22bを介して同時にカムシャフト1に
も連結されているため、これによりカムシャフト1がプ
ーリ12と一体に回転する。
【0018】すなわち、本実施形態の可変バルブタイミ
ング機構10では、カムシャフト1の回転駆動力は、ク
ランク軸からタイミングベルト12aを介してタイミン
グプーリ12に伝達され、プーリ12からカバー14、
ヘリカルギヤ22a、21a、ピストン部材17及びヘ
リカルギヤ21b、22bを経てカムシャフト1に伝達
される。
【0019】本実施形態の可変バルブタイミング機構1
0は、ピストン部材17をカムシャフト1軸線方向に移
動させることにより吸気弁のバルブタイミングの変更を
行う。すなわち、ピストン部材17は、互いに噛合す
る、それぞれ所定の捩じれ角のヘリカルギヤ22a、2
1aと21b、22bとによってカバー14およびカム
シャフト1に連結されている。このため、ピストン部材
17がカムシャフト軸線方向に移動すると、ヘリカルギ
ヤ22aと21a及び21b、22bの噛合位置はそれ
ぞれの歯筋に沿って軸線方向に移動する。ところが、そ
れぞれのギヤの歯面は、カムシャフト軸線方向に対して
捩じれ角を有するため、噛合位置が軸線方向に移動する
と、カバー14とピストン部材17、及びピストン部材
17とカムシャフト1とはそれぞれヘリカルギヤの歯筋
に沿って円周方向に相対移動する。このため、ピストン
部材17の軸線方向移動にともなってカバー14とピス
トン部材17、及びピストン部材17とカムシャフト1
とは相対的に回転することになる。従って、機関の運転
中にピストン部材17をカムシャフト1軸線方向に移動
させることにより、タイミングプーリ12の回転位相、
すなわちクランク軸の回転位相に対するカムシャフト1
の回転位相を進める(或いは遅らせる)ことが可能とな
り、カムシャフト1に駆動される吸気弁の開閉タイミン
グを進角(或いは遅角)させることができる。
【0020】上述のように、本実施形態の可変バルブタ
イミング機構10は吸気カムシャフト1の回転位相のみ
を変化させるものであるため、バルブタイミング変更の
際には吸気弁の開弁時期と閉弁時期とは常に同じ量だけ
変化し、吸気弁の開弁期間自体は一定に維持される。本
実施形態では、機関運転中に、油圧を用いてピストン部
材17を移動させることによって吸気弁のバルブタイミ
ング変更操作を行う。図1に示すように、カムシャフト
1内には2つの油通路2及び3が軸線方向に沿って穿設
されている。油通路2はカムシャフト1の中心に設けら
れ、油通路2の軸端側はボルト1aに穿設されたポート
2aを介してカバー14内面とピストン17の軸端側端
面との間に形成される油圧室5に連通している。また、
油通路2のもう一方の端部はカムシャフト1に半径方向
に穿設されたポート2bを介して後述するリニアソレノ
イドバルブ25に接続されている。一方、油通路3の軸
端側端部は前述のリング状外歯ヘリカルギヤ22bによ
り閉塞されている。また、油通路3は半径方向に穿設さ
れたポート3aを介して、ピストン17端面とタイミン
グプーリ12及びカバー14とで形成される油圧室8に
連通するとともに、別のポート3bを介してリニアソレ
ノイドバルブ25に連通している。
【0021】リニアソレノイドバルブ25は、スプール
26を有するスプール弁であり、前述の油通路2のポー
ト2bに配管を介して接続された油圧ポート26aと、
油通路3のポート3bに配管を介して接続された油圧ポ
ート26b、機関潤滑油ポンプ等の圧力油供給源28に
接続されたポート26c及び2つのドレーンポート26
d、26eを備えている。バルブ25のスプール26は
ポート26aと26bのうちのいずれかをポート26c
に連通し、他方をドレーンポートに接続するように動作
する。
【0022】すなわち、図1においてスプール26が左
方向に移動すると、油圧通路2のポート2bに連通する
ポート26aはポート26cを介して油圧供給源28に
接続され、ドレーンポート26dは閉鎖される。また、
この時同時に油圧通路3のポート3bに接続されたポー
ト26bはドレーンポート26eに連通する。このた
め、可変バルブタイミング機構10の油圧室5には、機
関の潤滑油ポンプ等の油圧供給源28から油圧通路2、
ポート2aを介して潤滑油が流入し、ピストン19を図
1右方向に押動する。また、この時油圧室8内の潤滑油
はポート3aから油通路3、ポート3b、リニアソレノ
イドバルブ25のポート26b等を通ドレーンポート2
6eから排出される。このため、ピストン部材17は図
1右方向に移動する。
【0023】また、図1において逆にスプール26が右
方向に移動すると、ポート26bはポート26cに接続
され、ポート26aはドレーンポート26dに接続され
る。これにより、油圧室8には油通路3を通って潤滑油
が流入し、油圧室5からは油通路2を通ってドレーンポ
ート26dに潤滑油が排出されるため、ピストン部材1
7は図1左方向に移動する。
【0024】なお、本実施形態では、油圧室5に潤滑油
が供給されてピストン部材17が図1右方向に移動する
と吸気弁バルブタイミングは進角側に変更され、油圧室
8に潤滑油が供給されてピストン部材17が図1左方向
に移動すると吸気弁バルブタイミングは遅角側に変更さ
れるようにヘリカルギヤ21a、21b及び22a、2
2bの捩じり角が設定されている。
【0025】また、図1に25bで示すのは、スプール
26を駆動するリニアソレノイドアクチュエータであ
る。リニアソレノイドアクチュエータ25bは後述する
制御回路30からの制御信号を入力し、この制御信号の
大きさに比例する量だけスプール26を移動させること
により、ピストン部材17の位置、すなわち吸気弁のバ
ルブタイミングを変更する。
【0026】図1に30で示すのは、リニアソレノイド
バルブ25の動作を制御する制御回路である。本実施形
態では、制御回路30はリードオンリメモリ(ROM)
32、ランダムアクセスメモリ(RAM)33、マイク
ロプロセッサ(CPU)34、入力ポート35、出力ポ
ート36を相互に双方向性バス31で接続した公知の構
成のマイクロコンピュータとして構成される。また、制
御回路30は、バッテリ等の電源に直結され機関が停止
されても記憶保持が可能なバックアップRAM37を備
えている。本実施形態の制御回路30は、機関運転条件
に応じてリニアソレノイドバルブ25の動作を制御して
吸気弁のバルブタイミングを調節し、吸排気弁のバルブ
オーバラップ量を制御する。この制御のため、制御回路
30の入力ポート35には、機関の吸気通路に設けられ
たエアフローメータ41(例えば熱線式エアフローメー
タ)から機関吸入空気量(重量流量)に比例する電圧信
号と、機関冷却水通路に設けられた水温センサ42から
機関冷却水温度THWに比例する電圧信号、また機関吸
気通路のスロットル弁(図示せず)近傍に配置されたス
ロットル開度センサ40からスロットル弁開度TAを表
す電圧信号とが、それぞれAD変換器43を介して入力
されているほか、機関クランク軸に設けられたクランク
軸回転角センサ44からクランク軸回転角を表すパルス
信号と、カムシャフトに設けられたカム回転角センサ4
5からカムシャフト1の回転角を表すパルス信号とが入
力されている。
【0027】エアフローメータ41で検出した機関吸入
空気量Gは、更に機関回転数NEを用いて機関1回転当
たりの吸気重量流量GN(=G/NE)が一定時間毎に
算出され、制御回路30のRAM33に格納される。ク
ランク軸回転角センサ44からのパルス信号は、クラン
ク軸回転720度毎に発生するクランク軸の基準位置を
示すN1信号と、クランク軸回転30度毎に発生するN
E信号とからなり、カム回転角センサ45からはカムシ
ャフト回転360度毎に、カムシャフトが基準位置に到
達したことを示すCN1パルス信号が発生する。制御回
路30は一定時間毎にNE信号のパルス間隔から機関回
転数NEを計算するとともに、この機関回転数NEを用
いてN1信号とCN1信号との時間間隔からカムシャフ
ト1の実際の回転位相(吸気弁のバルブタイミング)V
Tを演算する。この演算結果はRAM33に格納され
る。また、スロットル弁開度TAと冷却水温度THWと
は一定時間毎にAD変換され同様にRAM33に格納さ
れる。つまり、RAM33に格納されるNE、VT、G
N、TA、THW等の値は一定時間毎に更新され、常時
最新の値がRAM33に格納されている。
【0028】後述するように、機関回転数NEと機関吸
入空気量GNは機関の負荷条件を表すパラメータとして
使用される。また、冷却水温度THWは後述する燃料噴
射量増量値の算出等のために使用される。一方、制御回
路30の出力ポート36は、駆動回路48を介してリニ
アソレノイドバルブ25のアクチュエータ25bに接続
され、制御信号をアクチュエータ25bに供給してい
る。また、制御回路30の出力ポート36は、燃料噴射
回路50を介して機関の燃料噴射弁51に接続され、機
関への燃料噴射量を制御している。
【0029】次に、本実施形態の吸気弁のバルブタイミ
ング設定について図2を用いて説明する。図2は吸気弁
と排気弁との一般的な開閉時期を模式的に示す図であ
る。図2ににおいて、TDCはピストン行程上死点、B
DCは下死点を示し、IO、ICはそれぞれ吸気弁の開
弁時期と閉弁時期、EO、ECはそれぞれ排気弁の開弁
時期と閉弁時期とを表している。図2に示すように、吸
気弁は排気行程上死点(TDC)前から開弁し、吸気行
程下死点(BDC)後に閉弁する。また、排気弁は爆発
行程下死点(BDC)前から開弁し、排気行程上死点
(TDC)後に閉弁する。図2に示すように、排気行程
では排気弁が閉じる(EC)前に吸気弁が開く(IO)
ようにバルブタイミングが設定されるため、吸気弁と排
気弁との両方が開弁している期間(図2にOL)で示す
期間が存在する。本実施形態では期間OLの長さ(角
度)をバルブオーバラップ量と称する。本実施形態で
は、後述するように、吸気弁バルブタイミング(開弁時
期)は図2にIO0 で示したタイミング(最遅角タイミ
ング)からIO1 で示したタイミング(最進角タイミン
グ)まで調整することができる。また、本実施形態では
バルブタイミング最遅角位置(IO0 )から現在の位置
(IO)までのクランク軸回転角をバルブタイミング値
VTと定義している。図2から判るように、本実施形態
では排気弁の閉弁時期は固定されているため、バルブタ
イミング値VTとバルブオーバラップ量OLとは一対一
に対応する。すなわち、VTが大きい(吸気弁の開弁時
期IOが早い)ことはバルブオーバラップ量OLもそれ
に応じて大きくなっていることを意味し、VTが小さい
(吸気弁の開弁時期IOが遅い)ことは、バルブオーバ
ラップ量OLもそれに応じて小さくなっていることを意
味している。
【0030】一般に、吸排気弁のバルブオーバラップ量
OL(吸気弁バルブタイミングVT)の設定が機関性能
に及ぼす影響は以下の通りである。(1)VTを増大さ
せてバルブオーバラップ量OLを大きく設定すると、既
燃ガスの吸気ポートへの吹き返しが大きくなる。これに
より、吸気ポートに吹き返した既燃ガスが燃焼室内に再
吸入される、いわゆる内部EGR効果が増大する。この
既燃ガスの吹き返しは、吸気管圧力低い時(低負荷運転
時)には大きく、吸気管圧力が高い高負荷運転時等には
小さくなる。
【0031】(2)VTを減少させて(吸気弁開弁時期
を遅らせて)バルブオーバラップ量OLを小さく設定す
ると、吸気弁の閉弁時期(図2、IC)が遅くなるた
め、圧縮行程時(BDC後)に吸気弁が開弁している期
間が長くなる。このため、低中速回転領域では気筒内に
吸入された新気が圧縮行程初期に気筒から吸気ポートに
押し戻されるようになり、気筒の新気充填効率が低下す
る。従って、バルブオーバラップ量OLを小さく設定す
ると、気筒の実圧縮比が低下する。
【0032】一方、高回転領域では吸気の流速が早くな
るため吸気慣性効果が生じ、閉弁時期を遅くするほど充
填効率が向上して実圧縮比が増大する。このため、機関
高回転領域では、バルブオーバラップOLを小さく設定
すると、気筒の実圧縮比は増大する。本実施形態では、
上記の機関性能に対するバルブタイミング値の影響を考
慮して、以下に説明するように機関の各運転領域におけ
る吸気弁バルブタイミングを設定している。
【0033】図3は、本実施形態における暖機完了後の
運転時のバルブタイミング値VTの設定値の一例を示し
ている。以下、この標準状態における、バルブタイミン
グ設定値を基本バルブタイミング値(tVVT)と称す
る。図3においてtVVTの値は最遅角状態のバルブタ
イミング位置(図2,IO0 )からの進角量(クランク
軸回転角CA)で表わしている。前述のように、本実施
形態では、基本バルブタイミングtVVTの値はバルブ
オーバラップ量OLと1対1の関係を有する。
【0034】図3の表中、縦軸は機関負荷を表すパラメ
ータとして使用する機関1回転当たりの吸入空気重量G
N(グラム/回転)、横軸は機関回転数NE(RPM)
をそれぞれ表している。図3に示すように、基本バルブ
タイミング値tVVTは、機関の中回転中負荷運転領域
(図3においてNE≒2400〜3200RPM、GN
≒1.0〜1.25グラム/回転付近の領域)で最大値
をとり(すなわち、バルブオーバラップOLも最大とな
り)、この中回転中負荷領域から回転数または負荷が離
れるほど小さな値になり、バルブオーバラップ量OLも
小さくなる。
【0035】すなわち、本実施形態では低負荷領域(例
えば、GN<1.00)では、負荷が低いほど基本バル
ブタイミングtVVTを小さく(すなわち、バルブオー
バラップ量OLを小さく)設定して、既燃ガスの吹き返
しによる内部EGRの低減による燃焼の安定を図ってい
る。また、中負荷領域では、内部EGR量を大幅に増大
することによりエミッションの改善とポンピングロスの
低減を図ることができるためバルブオーバラップ量OL
は低負荷または高負荷時より全般的に大きく設定され
る。しかし、中負荷領域においても、低速領域でバルブ
オーバラップ量OLをあまり大きく設定すると燃焼不安
定が生じやすくなるため、また高速中負荷領域ではOL
を大きく設定する吸気慣性を利用できなくなり逆に充填
効率が低下するため、低速領域と高速領域ではOLは比
較的小さい値に設定される。このため本実施形態では、
中速中負荷領域でバルブオーバラップOLが最大となる
ように基本バルブタイミングtVVTの値が設定されて
いる。
【0036】また、高負荷領域では、内部EGRを低減
して出力を増大する必要があるためVTは全般的に小さ
く設定される。特に高速領域ではVTを小さくするほど
吸気慣性による新気充填効率の向上効果が大きいため、
低、中速領域よりもVTが小さく設定されている。この
ため、本実施形態では、高負荷領域(GN>1.25の
領域)では、負荷が大きくなるほどバルブオーバラップ
量OLは小さくなり、更に同一負荷では低速領域(NE
<1600RPM)より高速領域(NE>3200RP
M)でバルブオーバラップOLが小さくなるように基本
バルブタイミングtVVTの値が設定されている。
【0037】次に、機関低温時のバルブオーバラップ量
OLの設定について説明する。上述したように、図3に
示したバルブタイミングtVVTは、機関が十分に暖機
された後の状態におけるものである。ところが、機関温
度が低い状態では燃料の気化状態が悪いため、吸気ポー
トへの既燃ガスの吹き返しが大きいと、吸気ポートに供
給された気化しないままの燃料粒子が既燃ガスの吹き返
しにより吸気ポート壁面に付着してしまう問題がある。
そこで、本実施形態では、機関冷却水温度THWに基づ
いて図3の基本バルブタイミングtVVTを補正し、機
関温度(機関冷却水温度THW)が低いほど実際のバル
ブオーバラップが小さくなるようにして、機関低温時の
壁面付着燃料量の増大を防止している。
【0038】図4は、冷却水温度THWと、THWに基
づくバルブタイミング温度補正量tVTHWとの関係を
示すグラフである。図4に示すように、温度補正量tV
THWの値は、暖機完了後(冷却水温度THWが所定値
THW1 以上)では0に設定され、THW<THW1
温度範囲では冷却水温度が低いほど大きな値に設定さ
れ、さらに冷却水温度が所定値THW0 以下の領域では
一定の大きな値に設定される。後述するように、制御回
路30は冷却水温度TWHに基づいて、温度補正量tV
THWの値を図4から決定する。そして、機関回転数と
負荷とから決定される基本バルブタイミングtVVTを
温度補正量tVTHWを用いて補正し、実際の可変バル
ブタイミング機構10のバルブタイミング制御目標値V
VTIを、VVTI=tVVT−tVTHW(但しVV
T≧0)として算出する。
【0039】ところで、上記のように機関温度に応じて
バルブタイミング制御目標値VVTIを補正することに
より定常運転時のバルブオーバラップ量は機関温度に応
じた値に補正される。ところが、機関温度が比較的低い
場合にはバルブオーバラップ量が急激に変化する加速等
の過渡運転時には上記のような温度補正をしても問題が
生じる場合がある。図5は、機関低温時に加速等のよう
にバルブオーバラップ量が増大する運転が行われた場合
を例にとって、バルブオーバラップ変化量、壁面付着燃
料量等の時間変化を示したタイミング図である。図5に
おいて(A) は機関負荷、(B) はバルブオーバラップ量O
L、(C) は壁面付着燃料量、(D) は機関の要求燃料量、
(E) は燃料噴射量を(D) の要求燃料量のみに設定した場
合に実際に燃焼室に供給される燃料量(実燃料量)、
(F) は機関の燃焼空燃比、のそれぞれ加速時の変化を示
している。
【0040】また、図(B) 、(C) 、(E) 、(F) におい
て、実線はバルブオーバラップ量の変化速度が速く、制
御目標値VVTの変化に実際のバルブオーバラップ量が
追従している場合を、点線はバルブオーバラップ量の変
化速度が遅い場合を示している。図5(A) に示すように
加速期間中に負荷が増大すると、加速中の各時点におい
て図3、図4により目標バルブオーバラップ量VVTが
設定され、可変バルブタイミング機構10は目標バルブ
オーバラップ量を得る位置に動作する。この場合、可変
バルブタイミング機構の作動速度が十分に速く目標バル
ブオーバラップ量VVTの加速中の変化に追従できる場
合には、実際のバルブオーバラップ量VTは図5(B) に
実線に示したように比較的急激に変化する。
【0041】ところが、この場合にはバルブオーバラッ
プ量の急激な増大に応じて既燃ガスの吹き返し量も急激
に増大するため、機関低温時には図5(C) に示すように
壁面付着燃料量が急激に増大する。一方、図5(D) は加
速時に機関を理論空燃比に維持するために必要とされる
燃料量の変化を示している。いま、図5(D) に示した加
速中に必要とされるだけの量の燃料を加速期間中に機関
に供給した場合について考えると、このうち実際に燃焼
室に供給される燃料の量は図5(E) のようになる。すな
わち、実際に燃焼室に供給される燃料量は、供給された
燃料量(図5(D) )から壁面付着燃料量(図5(C) )の
増加量を差し引いた量になる。このため、図5(B) 実線
のようにバルブオーバラップ量OLの変化速度が速く、
壁面付着量が急激に増大する場合(図5(C) 実線)に
は、実際に加速中に燃焼室に供給される燃料量(図5
(E) 実線)は機関が必要とする燃料量(図5(D) )より
大幅に少なくなってしまう。このため、機関燃焼空燃比
は図5(F) に示すように加速中大幅にリーンとなる。こ
のため、加速中にも空燃比を理論空燃比に維持するため
には、機関が必要とする燃料量(図5(D) )を供給する
のみでは足りず、図5(E) に斜線で示した量、すなわち
要求燃料量(図5(D) )と実際に燃焼室に供給される燃
料量との差に相当する量だけ燃料噴射量を増量する必要
がある。この加速増量は壁面付着燃料量の増加速度が大
きい程、すなわちバルブオーバラップ量の変化速度が大
きいほど大きく増量する必要がある。
【0042】ところが前述のように、実際にはバルブ特
性制御装置の作動速度は製品毎、あるいは同一の装置で
あっても経年変化や運転条件により大きくばらついてい
る。このため、上記加速増量値はあらゆる条件を考慮し
てバルブ特性制御装置の作動速度が最も速くなる場合に
合致するような最大値に設定する必要がある。一方、図
5(A) から(D) の各ダイアグラムに点線で示したのはバ
ルブ特性制御装置の作動速度が遅い場合の変化である。
このように、装置作動速度が遅い場合には、バルブオー
バラップ量変化速度も小さくなり、既燃ガスの吹き返し
量が増大する速度も遅くなることから壁面付着燃料量は
図5(C) に点線で示すように緩やかに増大するようにな
る。このため、実際に燃焼室に到達する燃料量は図5
(E) 点線のように要求燃料量(図5(D) )に近い値にな
り、機関空燃比も理論空燃比から僅かにリーン側に変化
する程度にとどまる。このため、燃料の加速増量値を図
5(E) の斜線部のように最も装置作動速度が速い場合に
基づいて決定していると、装置作動速度が遅い場合には
加速時に真に必要とされる量以上の燃料が燃焼室に供給
されることになり、加速時に機関空燃比がオーバーリッ
チになる問題が生じるのである。
【0043】本実施形態では、上記の問題を解決するた
め実際のバルブオーバラップ量変化速度を検出し、実際
のバルブオーバラップ量変化速度に基づいて燃料噴射量
の加速増量値を補正することにより、バルブ特性制御装
置の作動速度のばらつきにかかわらず加速時に真に必要
とされる量の燃料が燃焼室に供給されるようにしてい
る。
【0044】次に、図6から図10を用いて本実施形態
の上記燃料噴射制御操作の実際について説明する。本実
施形態では、制御回路30は、機関運転条件に応じて
バルブタイミングVTを調節し(図6)、次に実際の
バルブオーバラップ量変化速度を検出し、回転数補正を
加えて燃料増量補正係数KVTを算出するための標準バ
ルブオーバラップ量変化速度ΔVTNEを算出する(図
7)。そして、上記バルブオーバラップ量変化速度に基
づいて機関低温時の燃料噴射量増量係数FWLの補正
(図8)及び加速増量係数KGNの補正(図9)を行
い、FWL,KGNを用いて最終的な燃料噴射量を演
算する(図10)。
【0045】以下、上記からの操作について順に説
明する。図6は、バルブタイミング制御操作を示すフロ
ーチャートである。本操作は、制御回路30により一定
時間毎に実行されるルーチンとして行われる。図6にお
いてルーチンがスタートすると、ステップ601では、
機関1回転当たりの吸気重量流量GNと機関回転数N
E、及び現在の実際のバルブタイミング(バルブオーバ
ラップ量)VTが読み込まれる。次いでステップ603
では、このGNとNEとの値を用いて図3から基本バル
ブタイミングtVVTが読みだされる。図3の関係は、
予めGNとNEとを用いた数値マップとして制御回路3
0のROM32に格納されている。
【0046】基本バルブタイミングtVVT算出後、ス
テップ605では、現在の冷却水温度THWが読み込ま
れ、ステップ607では、読み込んだ冷却水温度THW
に基づいて図4の関係から温度補正量tVTHWを決定
する。そして、ステップ609で基本バルブタイミング
tVVTを温度補正量tVTHWを用いて補正し、バル
ブタイミングの目標値VVTIを、VVTI=tVVT
−tVTHWとして算出する。また、ステップ611か
ら6115では上記により算出されたVVTIが下限値
0でガードされた後バルブタイミング制御目標値VVT
として設定される。さらに、ステップ2717では、こ
の制御目標値VVTと実際のバルブタイミングVTとの
偏差ΔVVTを算出し、ステップ2719では偏差ΔV
VTに基づいて、リニアソレノイドバルブ25のソレノ
イドアクチュエータ25bに出力する駆動信号のデュー
ティ比CDUTYの値を設定する。
【0047】本実施形態ではデューティ比CDUTYが
0.5の時ソレノイドアクチュエータ25bはリニアソ
レノイドバルブ25のスプール26を中立の位置に維持
し、バルブタイミングは一定値に維持される。また、デ
ューティ比CDUTYが0.5より大きい値のとき、ア
クチュエータ25bはスプールを図1の左方向に移動さ
せる。これにより、ポート26aを通じて可変バルブタ
イミング機構10の油圧通路2に作動油が供給され、可
変バルブタイミング機構10のピストン17は駆動信号
のデューティ比CDUTYに応じた速度で図1の右方向
に移動し、バルブタイミングVTはデューティ比CDU
TYが大きくなるにつれて大きな速度で進角する。ま
た、デューティ比CDUTYが0.5より小さい時には
アクチュエータ25bはスプール26をCDUTYが小
さくなるほど図1左方向に移動させるため、バルブタイ
ミングVTはCDUTYの値が小さいほど速く遅角す
る。本実施形態では、ΔVVTが正の大きな値をとるほ
どCDUTYの値は、CDUTY>0.5の範囲で大き
く設定される。また、ΔVVTが負の大きな値を取るほ
どCDUTYは、CDUTY<0.5の範囲で小さく設
定される。すなわち、本実施形態では偏差|ΔVVT|
が大きくなるほど可変バルブタイミング機構10の作動
速度は速くなり、バルブオーバーラップ量の変化速度も
速くなる。
【0048】図7は、バルブタイミングVTの変化速度
(バルブオーバラップ量の変化速度)検出操作を示すフ
ローチャートである。本操作は制御回路30により一定
時間毎に実行されるルーチンとして行われる。図7にお
いてルーチンがスタートすると、ステップ701では、
図6の操作で算出された、制御目標値VVTIと実バル
ブタイミングVTとの偏差ΔVVTが読み込まれ、ステ
ップ703では偏差ΔVVTが一定値Aより大きいか否
かが判定される。また、ΔVVT≦Aであった場合に
は、ステップ715に進み、バルブオーバラップ量変化
速度に基づく燃料増量値の補正係数KVTの値を1.0
にセットしてルーチンを終了する。後述するように、補
正係数KVTの値が1.0にセットされると実質的に燃
料増量値の補正は行われない。ここで、一定値Aは十分
に小さなバルブタイミング変化速度に相当する値であ
る。すなわち、本実施形態では、前述したように可変バ
ルブタイミング機構10の作動速度はΔVVTが小さく
なるほど小さくなる。このため、ΔVVTが十分に小さ
い値(すなわちΔVVT≦A)の場合には可変バルブタ
イミング機構10の作動速度が小さく、バルブオーバラ
ップ量変化速度も小さいため燃料増量値の補正を行う必
要がない。そこで、本実施形態では、ΔVVTの値が小
さい場合には補正係数KVTの値を1.0に設定して燃
料増量値の補正を行わないようにしている。
【0049】一方、ステップ703でΔVVT≧Aであ
った場合にはステップ705に進み、現在のバルブタイ
ミングVTと前回ルーチン実行時にRAM33に記憶し
たバルブタイミングVT(i-1) を読み込み、ステップ7
07でVTの前回ルーチン実行時からの変化量ΔVT
を、ΔVT=VT−VT(i-1) として算出する。本ルー
チンは一定時間毎に実行されるため、ΔVTはバルブタ
イミング変化速度、すなわちバルブオーバラップ量変化
速度に比例する値となる。そして、ステップ709では
機関回転数NEを読み込み、ステップ701ではバルブ
オーバラップ量変化速度の回転数補正係数KNEを回転
数NEに基づいて算出する。図11は、回転数NEと補
正係数KNEとの関係を示す図である。図11に示すよ
うに、補正係数KNEの値は回転数NEが所定値NE0
(例えばNE0 =2000RPM程度の一定値)のとき
に1.0となり、NE<NE0 の領域ではKNE>1.
0、NE>NE0 の領域ではKNE<1.0の範囲でそ
れぞれ回転数に比例した値となる。
【0050】そして、ステップ713では、補正後のバ
ルブオーバラップ量変化速度ΔVTNEが、ΔVTNE
=ΔVT×KNEとして算出される。本実施形態のよう
に油圧駆動の可変バルブタイミング機構を使用する場
合、油圧源であるオイルポンプは機関クランク軸により
駆動される。このため、実際には可変バルブタイミング
機構に供給される油圧は機関回転数が高くなる程大きく
なり可変バルブタイミング機構の作動速度、すなわちバ
ルブオーバラップ量変化速度は機関回転数が高い程大き
くなる。また、本実施形態では後述する燃料噴射量の増
量値の補正係数KVT、(図13)、KGN(図14)
は一定の機関回転数(例えばNE=NE0 )に基づいて
設定されている。そこで、本実施形態では実際に検出し
たバルブオーバラップ量変化速度を、標準回転数(NE
0 )の状態の速度ΔVTNEに換算し、この換算後の変
化速度ΔVTNEに基づいて補正係数KVT、KGNを
算出するようにしている。なお、各回転数毎に補正係数
KVT、KGNの図13、図14と同様なマップを予め
用意し、回転数に応じて異なるマップを用いて実際の変
化速度VTに基づいて補正係数KVT、KGNを算出す
るようにしても良い。
【0051】図8は機関低温時の燃料増量係数FWLの
算出操作を示すフローチャートである。本操作は制御回
路30により一定時間毎に実行されるルーチンとして行
われる。図8において、ステップ801では機関冷却水
温度THWが読み込まれ、ステップ803では低温増量
係数FWLの値が図12の関係に基づいて設定される。
低温増量値FWLは機関低温時の壁面付着燃料増大のた
めに実際に燃焼室に供給される燃料量が低下することを
補償するための増量値である。低温増量値FWLは、加
速時に限らず機関が低温の間は燃料噴射量を常時増大さ
せるように作用する。低温増量値FWLは、図12に示
すように冷却水温度THWが低い程大きな値に設定さ
れ、冷却水温度THWが高くなるにつれて1.0に近づ
く。
【0052】次いで、ステップ805では図7の操作で
算出された回転数補正後の変化速度ΔVTNEが読み込
まれ、ステップ807では図13に示した関係に基づい
て補正係数KVTが算出される。図13に示すように、
補正係数KVTは、変化速度が大きいほど大きなKVT
≧1.0の値に設定される。また、ステップ809で
は、低温増量係数FWLが補正係数KVTを用いて補正
され、FWL=FWL×KVTとして算出される。これ
により、補正後の低温増量係数FWLはバルブオーバラ
ップ量変化速度ΔVT(ΔVTNE)が大きいほど大き
な値となり、低温燃料増量値は大きくなる。
【0053】図9は、加速増量係数KGNの算出操作を
示すフローチャートである。本操作は、制御回路30に
より一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図9において、ステップ901では現在の機関一回転当
たりの吸入空気量GNと、RAM33に記憶した前回ル
ーチン実行時の吸入空気量GN(i-1) が読み込まれ、ス
テップ903では前回ルーチン実行時からのGNの変化
量ΔGNが、ΔGN=GN−GN(i-1) として算出され
る。機関一回転当たりの吸入空気量GNは、機関負荷を
表わすパラメータとして使用される。また、本ルーチン
は一定時間毎に実行されるため、ΔGNは負荷の増加速
度、すなわち加速の程度を表す値となる。
【0054】ステップ905では、上記により算出した
ΔGNに基づいて、図14の関係から加速増量係数KG
Nの値が算出される。図14に示すように、加速増量係
数KGNは、ΔGNが大きい程、すなわち急加速ほど大
きいKGN≧1.0の値に設定される。また、ステップ
907とステップ909とでは、図8ステップ805、
807と同様に、ΔVTNEの値から補正係数KVTが
算出され、ステップ911では、算出した補正係数KV
Tを用いて加速増量係数KGNが、KGN=KGN×K
VTとして算出される。これにより、補正後の加速増量
係数KGNの値はバルブオーバラップ量変化速度ΔVT
(ΔVTNE)が大きいほど大きな値となる。すなわ
ち、上記により本実施形態では加速時のバルブオーバラ
ップ量変化速度が大きく、壁面付着燃料の増大速度が大
きくなるほど燃料の加速増量値が増大され、壁面付着燃
料量の増大により実際に燃焼室に供給される燃料量が低
下することが防止される。
【0055】図10は、本実施形態の燃料噴射量演算操
作を示すフローチャートである。本操作は、制御回路3
0により機関クランク軸一定回転角度毎に実行されるル
ーチンにより行われる。図10において、ステップ10
01では機関一回転当たりの吸入空気量GN、及び図
8、図9で算出されたそれぞれ補正後の低温増量係数F
WLと加速増量係数KGNとが読み込まれる。そして、
ステップ1003では、基本燃料噴射量TAUPが吸入
空気量GNを用いて、TAUP=GN×KS(KSは一
定値)として算出される。基本燃料噴射量TAUPは、
機関燃焼空燃比を理論空燃比にするために必要とされる
燃料量である。
【0056】そして、ステップ1005では、実際の燃
料噴射量TAUが、TAU=TAUP×FWL×KGN
として算出される。すなわち、実際の燃料噴射量TAU
は、機関低温時(FWL)及び加速時(KGN)にはそ
れぞれ増量されるが、本実施形態ではこれらの増量値は
他の条件が同一であれば実際のバルブオーバラップ量変
化速度ΔVTが大きいほど大きな値に設定されるように
なり、実際のバルブオーバラップ量変化速度に応じた適
切な値となる。
【0057】次に、本発明の別の実施形態について説明
する。上述の実施形態では、バルブオーバラップ量変化
速度に応じて燃料増量値を設定することにより、機関低
温時の加速等のように壁面付着燃料量の変化が大きい場
合に空燃比がオーバーリーンになったりオーバーリッチ
になることを防止している。しかし、上述の実施形態で
は空燃比のオーバーリーンやオーバーリッチが生じるこ
とは防止できるものの、実際にバルブオーバラップ量変
化速度が大きい場合には、それに応じて燃料増量値も大
きく設定され機関の燃料消費率が増大する場合が生じ
る。そこで、以下の実施形態では上述の実施形態と同様
にバルブオーバラップ量変化速度に応じて燃料増量値を
設定するのに加えて、機関が壁面付着燃料量が増大する
ような条件下で運転されているような場合には、バルブ
オーバラップ量変化速度そのものを低下させるようにし
ている。これにより、前述の図5の各ダイアグラムに点
線で示したように、壁面付着燃料量の増大速度が抑制さ
れるため、加速中に実際に燃焼室に到達する燃料量が増
大する(図5(E) )。このため、本実施形態によれば、
加速時等の空燃比のオーバーリーンやオーバーリッチが
生じることを防止しつつ、更に燃料増量値を低く設定し
て燃料消費率の増大を抑制することが可能となる。
【0058】図15、図16は本実施形態のバルブタイ
ミング制御操作を示すフローチャートである。本実施形
態では、前述の実施形態の図6の操作に代えて図15、
図16の操作を行う。また、本実施形態においても、図
7から図10に示した実際のバルブオーバラップ量変化
速度に応じた燃料増量値の設定が行われる。図15、図
16の操作は制御回路30により一定時間毎に実行され
るルーチンとして行われる。
【0059】図15においてルーチンがスタートする
と、ステップ1501からステップ1509では、温度
補正後のバルブタイミング制御目標値VVTIが算出さ
れる。ステップ1501から1509の各ステップは、
図6ステップ601から609と同一の操作であるの
で、ここでは説明を省略する。上記によりVVTI算出
後、本実施形態では、次にステップ1511で機関冷却
水温度THWが所定値THWAより高いか否かが判定さ
れ、THW>THWAであった場合には図16ステップ
1525に進み、後述するフラグXVVT1の値を0に
設定し、ステップ1527では上記温度補正後の目標値
VVTIを実際の目標値VVT0 として設定し、ステッ
プ1529に進む。ステップ1529以下については後
述する。
【0060】すなわち、本実施形態では、冷却水温度T
HWが所定値THWAより高い場合には、壁面付着燃料
の量は少なくバルブオーバラップ量が急激に変化しても
吹き返しによる壁面付着燃料量の増大は小さいため、ス
テップ1513以下のバルブオーバラップ量変化速度の
制限を実行しない。上記所定値THWAは、機関の形式
等により異なってくるため実際には実験等により決定す
ることが好ましい。
【0061】ステップ1511で冷却水温度THWが所
定値THWA以下であった場合には、次に、図15ステ
ップ1513で上記により求めた温度補正後の目標値V
VTIと現在の実バルブタイミング値VTとの偏差ΔV
VTが算出される。そして、図16ステップ1515で
は、上記偏差ΔVVTが正の値の所定値Bより大きいか
否かが判定される。また、ステップ1515でΔVVT
≦Bであった場合には、前述のステップ1525以下を
実行する。ΔVVTは前述のようにバルブタイミングの
目標値と現在の値との偏差を表している。従って、偏差
ΔVVTが大きい場合には可変バルブタイミング機構の
単位時間当たりの作動量(目標作動速度)が大きく設定
され、バルブオーバラップ量の変化速度も大きくなる。
一方、偏差ΔVVTが小さい場合には機構自体の作動速
度がいくら速くてもバルブオーバラップ量の変化速度は
小さくなる。そこで、本実施形態では、上記偏差ΔVV
Tが所定値Bより小さい場合には、バルブオーバラップ
変化量の変化速度は小さいと判断してバルブオーバラッ
プ量変化速度の制限を行わないようにしている。
【0062】一方、ステップ1515でΔVVT>Bで
あった場合(すなわち、バルブオーバラップ量の増大速
度が大きい場合)には、ステップ1517からステップ
1523でバルブオーバラップ量変化速度の制限が実行
される。ステップ1517からステップ1523では、
まず、前回ルーチン実行時のバルブタイミングの目標値
VVTI(i-1) に一定値Cを加えた値を今回のバルブタ
イミング目標値VVT0 として設定する。そして、ステ
ップ1515が成立する限り以後のルーチンではステッ
プ1523でこのバルブタイミング目標値を一定量Cだ
け増大させるようにする。また、図3に示したように、
本実施形態ではバルブタイミング値VTは常に正になる
ように設定されているため、ステップ1539では、上
記温度補正後のバルブタイミング目標値VVTIに基づ
いてステップ1517から1523で算出されたバルブ
タイミング目標値VVT0 が負の値にならないようにガ
ードされる(ステップ1529、ステップ1531)。
そして、実際のバルブタイミング制御目標値VVTは、
上記ガード後のVVT0 に設定される。なお、ステップ
1517、1519のXVVT1は、ステップ1515
が成立した後にステップ1521が1回だけ実行される
ようにするためのフラグである。
【0063】そして、ステップ1535では、上記によ
り設定したバルブタイミング制御目標値VVTと実際の
バルブタイミングVTとの偏差ΔVVT1が算出され、
ステップ1537では、この偏差ΔVVT1に基づいて
リニアソレノイドバルブ25のアクチュエータ25bに
出力する駆動信号のデューティ比CDUTYを設定する
のは図6の実施形態と同様である。
【0064】本実施形態では、図16ステップ1517
から1523により、バルブオーバラップ量が急激に増
大する運転条件下でも、バルブオーバラップ量はルーチ
ン実行毎に一定量C(C>0)だけしか増加せず、バル
ブオーバラップ量変化速度は一定の低い速度に制限され
るようになる。図17は、上記ステップ1517から1
523によるバルブオーバラップ量増大速度制限を説明
するタイミングダイアグラムである。図17の横軸は時
間、数字0から5はバルブタイミングが変化を開始して
からのルーチン実行回数を示している。すなわち、ルー
チン実行回数0回目から1回目では、バルブタイミング
目標値VVTIはVVTI(0) からVVTI(1) に急激
に増大する。この場合、上記制御によりバルブタイミン
グの制御目標値VVTは、1回目のルーチン実行時には
VVT(1) =VVTI(0) +Cに、2回目のルーチン実
行時にはVVT(2 ) =VVT(1) +Cに、3回目のルー
チン実行時には、VVT(3) =VVT(2)+Cのよう
に、ルーチン実行毎に一定量Cずつ緩やかに増大する。
そして、図17の例では、5回目のルーチン実行時にΔ
VVT≦Bとなり、VVT(5) =VVTIとなって、目
標値VVTIと制御目標値VVT0 とが一致する。
【0065】上述のように、本実施形態によれば、機関
低温時等壁面付着燃料量が急激に変化しやすい条件下で
は、実際のバルブ特性制御装置作動速度とは無関係にバ
ルブオーバラップ量の変化速度が一定の低い値に制限さ
れるため、壁面付着燃料量の変化が少なくなる。これに
より、本実施形態では燃料の加速増量を小さく設定する
ことが可能となる。さらに、本実施形態では、図7から
図10の操作により、上記制限後のバルブオーバラップ
量変化速度に応じて加速増量等の燃料増量値が設定され
るため、加速時にバルブ特性制御装置作動速度のばらつ
きによる空燃比オーバーリーンやオーバーリッチが生じ
ることが防止される。
【0066】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、バルブ
特性制御装置作動速度のばらつきによる加速増量の不適
合の問題を解決し、加速時の機関のオーバーリーンやオ
ーバーリッチが生じることを防止することが可能となる
共通の効果が得られる。また、請求項2に記載の発明に
よれば、上記共通の効果に加えて、燃料の加速増量値を
低減し機関燃料消費率の増大を抑制することが可能とな
る効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料噴射制御装置の一実施形態の概略
構成を示す断面図である。
【図2】機関バルブタイミング設定の一例を説明する図
である。
【図3】各運転条件における基本バルブタイミングの設
定例を説明する図である。
【図4】基本バルブタイミングの温度補正量を示す図で
ある。
【図5】バルブオーバラップ量の急増による空燃比オー
バーリーン発生を説明するタイミングダイアグラムであ
る。
【図6】バルブタイミング制御操作の一実施形態を示す
フローチャートである。
【図7】バルブオーバラップ量変化速度検出操作の一実
施形態を示すフローチャートである。
【図8】燃料噴射量の低温時増量係数の演算操作を示す
フローチャートである。
【図9】燃料噴射量の加速時増量係数の演算操作を示す
フローチャートである。
【図10】燃料噴射量演算操作を示すフローチャートで
ある。
【図11】図7の操作に用いる補正係数の設定を示す図
である。
【図12】図8の操作に用いる係数の設定を示す図であ
る。
【図13】図8、図9の操作に用いる補正係数の設定を
示す図である。
【図14】図9の操作に用いる係数の設定を示す図であ
る。
【図15】本発明の別の実施形態におけるバルブタイミ
ング制御操作を示すフローチャートの一部である。
【図16】本発明の別の実施形態におけるバルブタイミ
ング制御操作を示すフローチャートの一部である。
【図17】図15、図16の操作によるバルブタイミン
グ変化を説明するタイミングダイアグラムである。
【符号の説明】
1…カムシャフト 10…可変バルブタイミング機構 30…制御回路 51…燃料噴射弁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のバルブオーバラップ量を機関
    運転状態に応じて定まる目標値に調節するバルブ特性変
    更手段を有する内燃機関の燃料噴射量を制御する燃料噴
    射制御装置であって、 前記バルブ特性変更手段によるバルブオーバラップ量変
    更時のバルブオーバラップ量変化速度を検出する変化速
    度検出手段と、 機関運転状態に基づいて、機関への燃料噴射量を設定す
    る燃料噴射量設定手段と、 前記変化速度検出手段により検出されたバルブオーバラ
    ップ量変化速度に基づいて、前記燃料噴射量設定手段に
    より設定された燃料噴射量を補正する噴射量補正手段
    と、 を備えた内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 【請求項2】 更に、機関運転状態の所定の条件が成立
    したときに、前記バルブ特性変更手段によるバルブオー
    バラップ量変更時のバルブオーバラップ量の変化速度を
    低下させる変化速度制限手段を備えた請求項1に記載の
    内燃機関の燃料噴射制御装置。
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