JP2004091213A - 巻上機における軸受けフレームの軸受孔加工方法 - Google Patents

巻上機における軸受けフレームの軸受孔加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ベアリングレスの軸受けフレームであって、負荷連続運転においても、クラックが発生しない軸受けフレームを提供すること。
【解決手段】 軸受けフレームに設ける穴径より小径の抜き部12と穴径と同径扱き部13を有するパンチ11を用い、抜き部12により、穴径より小径の開口部を剪断する工程と、扱き部13により、小径の開口部を拡大し、穴部周緑に圧縮残留応力を誘起する工程と、上記工程により穴あけされたフレームの穴部周緑を熱硬化処理を行う工程からなり、熱硬化処理に併う引張残留応力を穴あけ工程において誘起された圧縮残留応力により打消し、穴部の疲労強度を向上することを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

 本発明は、巻上機のロードシーブ等を軸支する軸受けフレームの軸孔加工方法に関するもので、詳しくは、軸孔加工工程にて圧縮残留応力が付与された穴部に焼入れを行う際に、焼入れによる引張残留応力を軸孔加工工程にて付与された圧縮残留応力により、打消すようにすることにより、軸受けフレームの軸孔の疲労強度の低下を防ぐ巻上機における軸受けフレームの軸孔受加工方法に関する。
 従来より、レバーブロック等の巻上機において、小型化及び低コスト化を図る手段として、フレームの軸受け部を高周波焼入れ等により硬化することによりベアリングレス構造としたものや、図1、図2に示すように、ロードギヤ3をロードシーブ2の軸受部7の外径と同径または小径とし、ピニオン軸6のピニオンギヤ4と噛合する減速ギヤ5aと、該ギヤ5aと同軸にロードギヤ3と噛合する減速ギヤ5bを設けることにより、減速ギヤ5をフレーム1aの中央に設けたロードシーブ軸受部7に連接して設けた減速ギヤ軸受け8にて軸受けするようにした巻上機が開発されている。
 上記した前者の手段として、ロードシーブのチェーン掛止め部の両側に配置された一対の金属プレートによりロードシーブを回転可能に支承するようにしたチェーンホイストにおいて、各金属プレートに軸受孔を形成して該軸受孔によりロードシーブを回転可能に直接支承し、各金属プレートをチェーンの表面硬度よりも低い表面硬度を有する材料から形成すると共に、各金属プレートの軸受孔をチェーンの表面硬度よりも高い表面硬度を有するように硬化加工させたものは知られている。(例えば、特許文献1参照)この特許文献1に記載されたものは、金属プレートをチェーンよりも低い硬度の材料から形成するとともに、金属プレートの軸受孔をチェーンの硬度よりも高い表面硬度を有するように硬化させたことで、チェーンに傷をつけることなく、またメタル軸受けを使用する必要がないので、小型・軽量化及び組立時間の短縮化を計れるという効果を有するものである。
しかしながら、軸受孔をチェーンの硬度よりも高硬度の表面硬度に硬化させると、その硬化部が脆くなり、割れ等の問題が生ずるため、靭性の高い材料の使用や、材料の板厚を厚くするなどの対処を行うことが必要となっていた。
しかし、靭性の高い材料は高価であり、また、板厚を厚くすると、本体の重量が増加し、小型・軽量化及び低コスト化の妨げになっていた。
 また、後者の手段は、減速ギヤの軸間距離を小さくし、ロードギヤの外径をロードシーブの軸受部と同径または小径とすることにより、装置全体を小型、軽量化するとともに、ロードシーブの軸受けと減速ギヤ軸受けを同一軸受けとすることにより、部品点数、加工、組立て工数を削減することができるという効果を有するものであるが、フレームの軸受け部には、負荷方向に変形しようとする応力が働くため、負荷連続運転を考慮した場合に、疲労強度向上や、長寿命化を図るための対策が必要である。また、ベアリングレスにするために、軸受け部に一定の硬度を付与し、耐磨耗性等を良好にする熱処理等の硬化処理を施すと、軸受けの穴部周緑には引張残留応力が誘起され、疲労強度が低下するため、負荷連続運転時において、引張残留応力によるクラックが発生するという課題があった。
特許2845769号公報(請求項1)
 本発明は、上記した課題を解決するもので、請求項1に係る発明は、チェーンの裏面硬度より低い表面硬度を有するロードシーブ軸承用軸受けフレームに、軸受孔と同径の抜き部を有するパンチを用いて軸受孔を剪断し、軸受孔周縁に圧縮残留応力を誘起する穴あけ工程と、前記工程により剪断された軸受孔周縁をチェーンの裏面硬度より高い表面硬度に熱硬化処理を行う工程からなり、熱硬化処理に併う引張残留応力を穴あけ工程において誘起された圧縮残留応力により打消すようにしたことを特徴とする巻上機における軸受けフレームの軸受孔加工方法である。請求項2に係る発明は、穴あけ工程はファインブランキングであることを特徴とするものである。
 また、請求項3に係る発明は、チェーンの表面硬度より低い表面硬度を有するロードシーブ軸承用軸受けフレームに、軸受孔より小径の抜き部と、軸受孔と同径の扱き部を有するパンチを用い、抜き部により、軸受孔より小径の開口部を剪断する工程と、扱き部により、前記開口部を拡大し、開口周緑に圧縮残留応力を誘起する工程と、前記工程により穴あけされた軸受孔周緑をチェーンの表面硬度より高い表面硬度に熱硬化処理を行う工程からなり、熱硬化処理に併う引張残留応力を、穴あけ工程において誘起された圧縮残留応力により打消すようにしたことを特徴とする巻上機における軸受けフレームの軸受孔加工方法である。
 上記した請求項1及び3に係る発明によると、穴あけ工程において、穴の周方向に誘起される圧縮残留応力により、熱処理にて誘起される引張残留応力を打消し、引張残留応力に起因する穴の周緑部のクラックの発生を防止でき、かつ疲労強度の低下を防ぐことができるため、チェーンの表面硬度より低い表面硬度を有するフレームを用いる場合であっても、靭性の高い高価な材料の使用が不要で、かつ板厚の増加も抑制できるので、低コストで、小型軽量化できるとともに、チェーンに傷をつけることなく、またメタル軸受けを使用する必要がないので、より小型・軽量化及び組立時間の短縮化を計れることができ、さらに、連続使用時の割れなどの問題が発生しない長寿命の巻上機を提供することができる。
 さらに、請求項2及び3に係る発明によると、軸受孔をファインブランキング、または、抜き扱き加工をすることで、軸受け面が鏡面になり、これにより軸受け面の面圧が低下し、強度的にも有利になるので、さらに長寿命の巻上機を提供できる。また、前記した強度的な余裕分を板厚の減少に繋げた場合は、さらに小型・軽量な巻上機を提供できる。
 本発明によると、チェーンの表面硬度より低い表面硬度を有するフレームの軸孔加工方法において、穴あけ工程において、穴の周方向に誘起される圧縮残留応力により、熱処理にて誘起される引張残留応力を打消すことにより、引張残留応力に起因する穴の周縁部のクラックの発生を防止でき、かつ疲労強度の低下を防ぐことができるため、靭性の高い高価な材料の使用が不要で、かつ板厚の増加も抑制できるので、低コストで、小型軽量化できるとともに、チェーンに傷をつけることなく、またメタル軸受けを使用する必要がないので、より小型・軽量化及び組立時間の短縮化を計れ、さらに、連続使用時の割れなどの問題が発生しない長寿命の巻上機を提供することができるという効果を有する。さらに、軸受孔をファインブランキング、または、抜き扱き加工をすることで、軸受け面が鏡面になり、これにより軸受け面の面圧が低下し、強度的にも有利になるので、さらに長寿命の巻上機を提供でき、また、前記した強度的な余裕分を板厚の減少に繋げた場合は、さらに小型・軽量な巻上機を提供できるという効果を有する。
 以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
〔実施の形態1〕
 図3は本発明の実施の形態1におけるファインブランキングによる軸受けフレームの穴あけ工程を示す概要図であり、(a)は剪断直前の状態、(b)は剪断加工により穴部が形成された状態を示す。
 図において、9は軸受けフレームを形成する金属板からなる被加工物で、金属板はチェーンの損傷を防止するため、チェーンの表面硬度よりも低い表面硬度を有する材料から形成されている。10はダイ、19は上パンチ、20は下パンチ、21はストリッパーである。上パンチ19は、被加工物9に剪断手段により設けられる穴の開口部の直径Dと同径である直径d1を有する抜き部19aを備えている。下パンチ20は、被加工物9に剪断手段により設けられる穴の開口部の直径Dと同径である直径d2を有する押さえ部20aを備えている。
 次に、図3の穴あけ加工工程について説明する。まず、図3(a)に示すように、上パンチ19が下降し、下パンチ20が上昇し、前記したそれぞれのパンチが被加工物9に接触した後、被加工物9が上パンチ19と下パンチ20間で圧接された状態で、上パンチ19と下パンチ20を同時に加工させ、上パンチの抜き部19aが食い込み始めると、被加工物9には引張応力と圧縮応力が生じ、上パンチ19の刃先部分が食い込んだ被加工物9は、塑性変形を開始する。この塑性変形時に、ダイ10と上パンチ19の抜き部19aの隙間部分に食い込まれた被加工物9には、剪断力が発生し、材料は曲げ変形する。次に、パンチ19、20がさらに下降すると、被加工物9は大きな引張ひずみを受けて硬化し、ひずみが限界値に達すると、材料にはクラックが発生し、クラック部に応力が集中して、クラックは成長して材料は剪断され、図3(b)に示すように、被加工物9に、直径Dの穴が形成される。ファインブランキングであるこの穴あけ加工工程は、被加工物9の材料の流れを上パンチ19と下パンチ20とで圧接して抑性するので、剪断された穴の切り口の形状は、鏡面仕上げとなる。
 次に、上記穴あけ工程によって穴あけされた被加工物9の穴部に硬化層を形成し、耐磨耗性等を付与するため熱処理が行われる。熱処理方法としては、必要個所のみに硬化層を形成できる高周波焼入れや、高輝焼入れ等が適宜選択される。軸受けフレームを熱処理することによって、穴部に硬化層を形成し、耐磨耗性が大きくなるため、軸受け機能は向上するが、熱処理により穴部周縁部に穴方向に引張残留応力が残るため、長時間使用時において、穴の周縁部に引張残留応力によるクラックが生じ、疲労強度が低下する。そのため本実施の形態は、焼入れ工程で誘起される引張残留応力による影響を解消するため、穴あけ工程において、引張残留応力を打消す方向に作用する圧縮残留応力を予め与えている。
 本実施の形態によると、チェーンの表面硬度より低い表面硬度を有するフレームの軸受孔に穴あけ工程で圧縮残留応力を付与し、軸受孔の熱硬化処理における引張り残留応力を緩和することで、割れの発生を抑制できるため、靭性の高い高価な材料の使用が不要となり、かつ板厚の増加も抑制できるので、低コストで、小型軽量化できるとともに、チェーンに傷をつけることなく、また、メタル軸受けを使用する必要がないので、さらに、小型・軽量化及び組立時間の短縮化を計ることができ、さらに、連続使用時における割れなどが発生する問題が発生しない長寿命の巻上機を提供することができる。
 また、さらに、軸受孔をファインブランキング加工をすることで、軸受け面が鏡面になり、これにより軸受け面の面圧が低下し、強度的にも有利になるので、さらに長寿命の巻上機を提供でき、また、前記した強度的な余裕分を板厚の減少に繋げた場合は、さらに小型・軽量な巻上機を提供できる。
〔実施の形態2〕
 図4は本発明の実施の形態2における軸受けフレームの穴あけ工程を示す概要図であり、(a)は剪断直前の状態、(b)は剪断加工により穴部が形成された状態、(c)は穴部を扱き部によりさらに拡大する状態を示す。
 図において、9は軸受けフレームを形成する金属板からなる被加工物で、金属板は実施の形態1と同様にチェーンの損傷を防止するためチェーンの表面硬度よりも低い表面硬度を有する材料から形成されている。10はダイ、11はパンチ、12はパンチ11の先端部の抜き部、13は抜き部より径の大きい扱き部、14は材料押さえ、15は加圧部材である。パンチ11は、被加工物9に剪断手段により設けられる穴の開口部の直径Dより小径である直径d1を有する抜き部12と、開口部の直径Dと略同じ直径d2を有する扱き部13を備えている。
 次に、図4の穴あけ加工工程について説明する。まず、図4(a)に示すように、パンチ11が下降し、被加工物9に接触し、食い込み始めると、被加工物9には引張応力と圧縮応力が生じ、パンチ11の刃先部分が食い込んだ被加工物9は、塑性変形を開始する。この塑性変形時に、ダイ10とパンチ11の抜き部12の隙間部分に食い込まれた被加工物9には、剪断力が発生し、材料は曲げ変形する。次に、パンチ11がさらに下降すると、被加工物9は大きな引張ひずみを受けて硬化し、ひずみが限界値に達すると、材料にはクラックが発生し、クラック部に応力が集中して、クラックは成長して材料は剪断され、図4(b)に示すように、被加工物9に、直径d1の穴が形成される。この穴あけ加工工程において、剪断された穴の切り口の形状は、図5に示すように、パンチ11が材料9に食い込む動作時に変形するだれ16、パンチ11による剪断ひずみを受け、パンチ11の側面でこすられて光沢のある部分を形成する剪断面17、及びクラックを生じ破断した、微小凹凸のある破断面18からなる。
 次に、さらにパンチが降下すると、直径d1、の穴にこれより径の大きい扱き部13が挿通されているため、穴の直径d1、は扱き部の直径d2に拡大される。この扱き部13の扱き作用により、切り口の剪断面17は被加工物9の板厚方向に押し延ばされるため、切り口の破断面18を減少させ、切り口面は光沢のある鏡面状態である剪断面で形成される。レバーブロック等の巻上、牽引機では、軸受面の面圧を低下させ、強度上有利とするために、切り口面に90%以上の鏡面である剪断面を有することが好適である。
 また、パンチ11の表面粗度を0.05μm(Ra)以下とすることによって、剪断面粗度を0.05μm以下の鏡面仕上げとすることができるとともに、パンチ11と被加工物9との摩擦が少ないので、パンチの寿命を向上することができる。上記した扱き部13による扱き作用によって、穴の直径は拡大されるが、穴の径が拡大される際に、穴の周緑部は周方向に引っ張られるとともに、半径方向に圧縮されるため、パンチを穴から抜いた後の穴の径は、扱き部13の径より僅か小さくなり、その結果穴の周縁部ではでは周方向に圧縮応力が誘起され、穴部の疲労強度は上昇する。
 以上の工程により、被加工物9に所望の穴が形成され、穴あけ加工工程は終了する。穴あけ工程において、穴の切り口面の形状は、被加工物9の材質やダイ10とパンチ11のクリアランスにより変化する。クリアランスが小さい程、剪断面が増加し、剪断力も増加する。一方クリアランスが大きくなると、剪断面が減少し、だれ、破断面が増大し、必要な剪断面が得られない。また、穴あけ加工前に加圧部材15により初圧を与えることで、被加工物9のソリの発生を防止することができる。
 クリアランスは、パンチ11の扱き部13の径d2と抜き部12の径d1の差によって規定される。本実施の形態において、抜き部径d1/扱き部径d2により、パンチ径差率を求め、パンチ径差率と剪断面及びパンチ寿命の関係について試験を行い評価を行った。
 評価結果を表1に示す。なお、上記試験において、刃先R付と表示したものは、抜き部12の刃先12aにパンチ先端による剪断を遅らせるため半径0.2mmから0.3mmのRを設けたケースを示す。また、剪断面の評価は、切り口に占める剪断面の比が90%以上を○として評価した。表1に示すとおり、パンチ径差率が99.5〜99.7では、クリアランスが大きいため、破断面が大きくなり、必要な剪断面が得られない。また、パンチ径差率が99.7〜99.9では、刃先12aにRを設けていない場合は、必要な剪断面が得られず、刃先12aにRを設けた場合には、必要な剪断面が得られ、また、パンチ寿命においても良好な結果が得られた。また、パンチ径差率が99.9〜99.95では、扱き部13とダイ10のクリアランスが小さくなるため、パンチに過大な負荷が加わり、パンチ寿命が短くなる。
 以上の試験結果に示すように、パンチ径差率が99.7〜99.9で、パンチ先端12aに半径0.2mm〜0.3mmのRを設けた場合に剪断面及びパンチ寿命において良好な結果が得られた。
 次に、上記穴あけ工程によって穴あけされた被加工物9の穴部に硬化層を形成し、耐磨耗性等を付与するため熱処理が行われる。熱処理方法としては、必要個所のみ硬化層を形成でき、高周波焼入れや、高輝焼入れ等が適宜選択される。軸受けフレームを熱処理することによって、穴部に硬化層を形成し、耐磨耗性が大きくなるため、軸受け機能は向上するが、熱処理により穴部周縁部に穴方向に引張残留応力が残るため、長時間使用時において、穴の周縁部に引張残留応力によるクラックが生じ、疲労強度が低下する。そのため本実施の形態は、焼入れ工程で誘起される引張残留応力による影響を解消するため、穴あけ工程において、引張残留応力を打消す方向に作用する圧縮残留応力を予め与えている。穴あけ工程における圧縮残留応力は、パンチ径差率が99.7〜99.9の範囲で引張残留応力に応じて適宜定められる。
 本実施の形態は、実施の形態1と同様に、チェーンの表面硬度より低い表面硬度を有するフレームの軸受孔に穴あけ工程で圧縮残留応力を付与し、軸受孔の熱硬化処理における引張り残留応力を緩和することで、割れの発生を抑制できるため、靭性の高い高価な材料の使用が不要となり、かつ板厚の増加も抑制できるので、低コストで、小型軽量化できるとともに、チェーンに傷をつけることなく、また、メタル軸受けを使用する必要がないので、さらに、小型・軽量化・組立時間の短縮化を計ることができ、さらに、連続使用時における割れなどが発生する問題が生じない長寿命の巻上機を提供することができる。
  また、さらに、軸受孔を抜き扱き加工をすることで、軸受け面が鏡面になり、これにより軸受け面の面圧が低下し、強度的にも有利になるので、さらに長寿命の巻上機を提供できる。また、前記した強度的な余裕分を板厚の減少に繋げた場合は、さらに小型・軽量な巻上機を提供できる。
 本発明の巻上機における軸孔加工方法は、チェーンの表面硬度より低い表面硬度を有する軸受けフレームの穴あけ工程において穴の周方向に誘起される圧縮残留応力により、熱処理にて誘起される引張残留応力を打消し、引張残留応力に起因する穴の周緑部のクラックの発生を防止できるため、疲労強度の低下を防ぐことができ、ベアリングレスの軸受けに用いることにより、小型化、低コスト化でき、さらに、減速ギヤを軸受けに連設して設けた減速ギヤを軸受けにて軸受けする軸受けフレームに用いることにより、負荷連続運転においても、クラックが発生せず、長寿命が可能な軸受けフレームを提供できる効果を有し、さらに、上記した軸受けフレームをチェーンよりも低い硬度の材料とし、焼入れにより軸受孔をチェーンの硬度より高硬度とした軸受けフレームの軸孔加工方法に用いることにより、割れ等の発生を防止できるため、靭性の高い材料を用いたり、材料の板厚を厚くする必要がない軸孔加工方法として特に好適である。
巻上機の縦断面図である。 図1に示す巻上機に用いられる軸受フレームの平面図で、(a)は減速ギヤ側、(b)はメカニカルブレーキ側である。 本発明の実施の形態1に示す穴あけ加工工程の工程図である。 本発明の実施の形態2に示す穴あけ加工工程の工程図である。 図4(b)における穴の切り口面の形状を示す断面図である。
符号の説明
 1a  ロードシーブ、減速ギヤ軸受用フレーム
 1b  ロードシーブ軸受用フレーム
 2   ロードシーブ
 3   ロードギヤ
 4   ピニオンギヤ
 5a,5b 減速ギヤ
 6   ピニオン軸
 7   ロードシーブ軸受
 8   減速ギヤ軸受
 9   被加工物
 10  ダイ
 11  パンチ
 12  抜き部
 12a 抜き部センタ
 13  扱き部
 14  材料押え
 15  加圧部材
 16  だれ
 17  剪断面
 18  破断面
 19  上パンチ
 19a 抜き部
 20  下パンチ
 20a 押え部

Claims (3)

  1.  チェーンの裏面硬度より低い表面硬度を有するロードシーブ軸承用軸受けフレームに、軸受孔と同径の抜き部を有するパンチを用いて軸受孔を形成し、軸受孔周縁に圧縮残留応力を誘起する穴あけ工程と、前記工程により剪断された軸受孔周縁をチェーンの表面硬度より高い表面硬度に熱硬化処理を行う工程からなり、熱硬化処理に併う引張残留応力を穴あけ工程において誘起された圧縮残留応力により打消し、軸受孔の疲労強度の低下を防ぐようにしたことを特徴とする巻上機における軸受けフレームの軸受孔加工方法。
  2. 穴あけ工程はファインブランキングであることを特徴とする請求項1記載の巻上機における軸受けフレームの穴あけ加工方法。
  3.  チェーンの裏面硬度より低い表面硬度を有するロードシーブ軸承用軸受けフレームに、軸受孔より小径の抜き部と、軸受孔と同径の扱き部を有するパンチを用い、抜き部により、軸受孔より小径の開口部を剪断する工程と、扱き部により、前記開口部を拡大し、開口周緑に圧縮残留応力を誘起する工程と、前記工程により穴あけされた軸受孔周緑をチェーンの裏面硬度より高い表面硬度に熱硬化処理を行う工程からなり、熱硬化処理に併う引張残留応力を、穴あけ工程において誘起された圧縮残留応力により打消し、軸受孔の疲労強度の低下を防ぐようにしたことを特徴とする巻上機における軸受けフレームの軸受孔加工方法。
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