JP2011025383A - 多層基板分割用金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子部品が実装された多層基板を、その品質を損なうことなく分割できるとともに、コスト上昇を招くことなく、耐久性に優れた多層基板分割用金型を提供する。
【解決手段】パンチ1は、側面に逃げ部11が形成され、側面の刃先先端が約45°のV字状に形成されている。ストリッパプレートのパンチ1が挿通するスライド孔の側面には、多層基板100を分割する際のパンチ1との摺動抵抗を低減させるための逃げ部411が0.5°のテーパ角で形成され、ダイプレートには、分割した多層基板100の残滓をスムーズに排除するための逃げ部511が形成される。
【選択図】図2
【解決手段】パンチ1は、側面に逃げ部11が形成され、側面の刃先先端が約45°のV字状に形成されている。ストリッパプレートのパンチ1が挿通するスライド孔の側面には、多層基板100を分割する際のパンチ1との摺動抵抗を低減させるための逃げ部411が0.5°のテーパ角で形成され、ダイプレートには、分割した多層基板100の残滓をスムーズに排除するための逃げ部511が形成される。
【選択図】図2
Description
本発明は、多層基板分割用金型、特に予め電子部品が実装されたプリント配線多層基板を分割するための多層基板分割用金型に関する。
従来、多数個取りのプリント配線多層基板を個々の基板に分割する多層基板分割用金型として、プレス加工により個々の基板を一度で打ち抜くものがあった。図11は、従来の多層基板分割用金型の要部構成を示す断面図である。
図11において、多層基板分割用金型のダイ93は分割ダイを組み合わせてなると共に、分割ダイの間にパンチ孔931を形成して構成されている。ストリッパ91は、スライド孔911の周囲においてプリント配線多層基板200を局部的に押さえ付ける突出押え部912を形成している。パンチ92は、先端外周部923がその内側部分よりも先端側へ突出した形状を有している。
このように構成された多層基板分割用金型において、プリント配線多層基板200をダイ93の上に載置し、突出押え部912によって押さえ付けた後、パンチ92をスライド孔911からパンチ孔931へ向かってスライドさせることにより、プリント配線多層基板200の所定部分を打ち抜いて個片に分割する。
しかしながら、上記従来の多層基板分割用金型においては、パンチ92のアブレッシブ磨耗によって、パンチ92とストリッパ91のスライド孔911、及びパンチ92とダイ93のパンチ孔931の各周縁とのクリアランスが初期設計値より大きくなり、プリント配線多層基板200の切断部分に品質の劣化が発生するという問題点があった。
多層基板分割用金型のアブレッシブ磨耗は、一般に再研磨等のメンテナンスによって防止できるが、切断抵抗の高い多層基板を切断する場合は、メンテナンス回数が増えてしまう。或いは、アブレッシブ磨耗が起こりにくい超硬材を用いて金型を製作すればよいが、コスト高を招いてしまう。
また、プリント配線多層基板200を分割する際の切断応力や、突出押え部912によるプリント配線多層基板200の過大なクランプ力によって、切断部にクラックや剥がれ、欠け及び白化等、品質上の不具合が発生していた。
更に、切断長や厚みが大きい多層基板を切断する際には、大きな切断力が必要となり、それに伴って基板分割装置の能力が大きくなり、コスト上昇を招いてしまう。或いは、切断部を1回で切断するのではなく、複数回で分割する方法を用いればよいが、タクトが増加して作業性が低下する。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、電子部品が実装された多層基板を、その品質を損なうことなく分割できるとともに、コストの上昇を招くことなく、耐久性に優れた多層基板分割用金型を提供することを目的とする。
本発明の多層基板分割用金型は、電子部品が実装された多層基板の所定の分割部分を打ち抜く複数のパンチと、前記パンチが挿通する複数のスライド孔を有し、前記多層基板を押さえ付けるストリッパと、前記パンチが挿通する複数のパンチ孔を有し、前記多層基板を載置するダイプレートと、を備える多層基板分割用金型であって、前記パンチは、側面において、刃先から後方に向かいテーパ面からなる逃げ部が形成されることを特徴とするものである。
この構成により、多層基板の分割部分を打ち抜く際のパンチとストリッパ、及びパンチとダイプレート各相互間の摺動抵抗を小さくすることができるので、安価なSKD材を用いても、ハイス鋼等の超鋼材と同等の耐久性を得ることが可能となり、且つ、パンチのアブレッシブ磨耗の発生を遅らせ、或いは低減することができ、パンチを研磨する等のメンテナンスサイクルを長くすることが可能となる。また、パンチとストリッパ間の摺動抵抗を小さくできるので、多層基板をクランプする力を抑制することが可能となる。更に、多層基板を打ち抜いた後のパンチの戻り時に、多層基板の切断面をパンチの側面で引きずることで発生する白化やクラック、剥がれ等を低減することができる。
また本発明は、上記多層基板分割用金型において、前記スライド孔は、前記パンチのストローク逆方向に向かいテーパ面からなる逃げ部が形成され、前記パンチ孔は、前記パンチのストローク方向に向かいテーパ面からなる逃げ部が形成されることを特徴とする。
この構成によれば、パンチとストリッパ間の摺動抵抗をさらに小さくできるので、多層基板をクランプする力を抑制することが可能となる。
この構成によれば、パンチとストリッパ間の摺動抵抗をさらに小さくできるので、多層基板をクランプする力を抑制することが可能となる。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記パンチと、前記スライド孔と、前記パンチ孔の各逃げ部のテーパ面の角度は、0.5°以上であることを特徴とするものである。
この構成により、多層基板の所定の分割部分を打ち抜く際のパンチとストリッパ、パンチとダイプレート、各相互間の摺動抵抗を小さくすることができるので、パンチの耐久性が向上し、パンチを研磨する等のメンテナンスサイクルを長くすることが可能となる。また、多層基板を分割して得られる個片の白化やクラック、剥がれ等を低減することができる。
更に、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記パンチは、側面の刃先先端がV字状に形成されることを特徴とするものである。
この構成により、多層基板の分割部分を打ち抜く際におけるパンチの切断荷重を低減することができるので、多層基板の応力が小さくなり、多層基板の切断部近傍に発生する白化やクラック、剥がれ等の品質上の不具合を抑制することが可能となる。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記V字状の角度は、45°以下であることを特徴とするものである。
この構成により、多層基板の分割部分を打ち抜く際におけるパンチの切断荷重を低減することができるので、多層基板の応力が小さくなり、多層基板の切断部近傍に発生する白化やクラック、剥がれ等の品質上の不具合を抑制することが可能となる。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記パンチは、前記V字状の先端に平面部が形成されることを特徴とするものである。
この構成により、パンチに安価なSKD材を用いても、ハイス鋼等の超鋼材と同等の耐久性を得ることが可能となり、アブレッシブ磨耗の発生を遅らせることができると共に、パンチ刃先の角部に発生するチッピングを抑制でき、金型の寿命を延長させることが可能となる。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記平面部の幅は、30μm以上、若しくは、前記多層基板の厚みの5〜20%であることを特徴とするものである。
この構成により、パンチに安価なSKD材を用いても、ハイス鋼等の超鋼材と同等の耐久性を得ることが可能となり、アブレッシブ磨耗の発生を遅らせることができる。また、パンチを加工する際に発生するチッピング等を防止でき、金型を製作する際の加工時間および歩留まりを向上できる。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記パンチの側面先端は、前記パンチの長手方向に傾斜し、且つ、ジグザグ状に反復して形成されることを特徴とすることを特徴とするものである。
この構成により、多層基板をパンチのストローク方向に時間差を以て切断することができるので、パンチの切断荷重を低減することが可能となり、その結果、多層基板の応力が小さくなり、多層基板の切断部近傍に発生する白化やクラック、剥がれ等の品質上の不具合を抑制することができる。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記パンチの側面先端の傾斜角は、4°以上であることを特徴とするものである。
この構成により、多層基板をパンチのストローク方向に時間差を以て切断することができるので、パンチの切断荷重を低減することが可能となり、その結果、多層基板の応力が小さくなり、多層基板の切断部近傍に発生する白化やクラック、剥がれ等の品質上の不具合を抑制することができる。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記ストリッパは、前記スライド孔の隅部に逃げ部が形成されることを特徴とするものである。
この構成により、多層基板の所定の分割部分を打ち抜く際におけるパンチとストリッパ相互間の摺動抵抗を小さくすることができるので、パンチに安価なSKD材を用いても、ハイス鋼等の超鋼材と同等の耐久性を得ることが可能となり、アブレッシブ磨耗の発生を遅らせて、再研磨等のメンテナンスサイクルを長くすることができる。また、パンチとストリッパ相互間の摺動抵抗を小さくできることで、多層基板を押さえつける力を抑制することが可能となる。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記ストリッパは、複数の前記スライド孔を連通する通気孔が形成されることを特徴とするものである。
この構成により、通気孔を介して空気圧により押し出しすることで、ストリッパのスライド孔近傍に発生した多層基板の切断屑やバリ等を強制的に除去することができ、多層基板を分割した個片の品質が向上する。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記ストリッパは、前記スライド孔の周縁に、前記多層基板の分割すべき個片の隅部を押さえ付けてクランプする基板クランプ部が突出形成され、前記ダイプレートは、前記クランプ部に対向し、前記多層基板の分割すべき個片の隅部を支持する基板支持部が突出形成されることを特徴とするものである。
この構成により、多層基板の所定の分割部分を打ち抜く際に、多層基板を適切に挟持することができるので、多層基板の応力が小さくなり、多層基板の切断部近傍に発生する白化やクラック、剥がれ等の品質上の不具合を抑制することが可能となる。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記ストリッパと前記ダイプレートが対向する位置に、前記多層基板をクランプする力を制限するクランプストッパが突出形成されることを特徴とするものである。
この構成により、多層基板の所定の分割部分を打ち抜く際に、多層基板を過大な力によってクランプすることを回避でき、多層基板の応力が小さくなって、多層基板の切断部近傍に発生する白化やクラック、剥がれ等の品質上の不具合を抑制することが可能となる。また、多層基板のクランプエリアにかかるクランプ力を均一にすることができるので、多層基板を分割した個片の品質バラツキを低減することが可能となる。
また、本発明は、上記の多層基板分割用金型において、前記多層基板をクランプする力は、前記多層基板の圧縮限界値以下であることを特徴とするものである。
この構成により、多層基板の所定の分割部分を打ち抜く際に、多層基板を適切な力で挟持することができるので、多層基板の応力が小さくなり、多層基板の切断部近傍に発生する白化やクラック、剥がれ等の品質上の不具合を抑制することが可能となる。また、多層基板のクランプエリアにかかるクランプ力を均一にすることができるので、多層基板を分割した個片の品質バラツキを低減することが可能となる。
本発明によれば、電子部品が実装された多層基板を、その品質を損なうことなく分割できるとともに、コストの上昇を招くことなく、耐久性に優れた多層基板分割用金型を提供できる。
以下、本発明の実施形態に係る多層基板分割用金型について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る多層基板分割用金型の概略構成を示す断面図、図2は、本発明の実施形態に係る多層基板分割用金型の要部構成を動作状態と共に示す断面図である。
図1において、本実施形態の多層基板分割用金型は、板状に形成された複数のパンチ1と、これらパンチ1を取り付けるパンチプレート2と、パンチ1が挿通されるパンチ孔51を有し、多層基板100を所定の部分で打ち抜いて個片に分割するダイプレート5から構成される。そして、パンチプレート2はパンチベースプレート3に、ダイプレート5はダイベースプレート6にそれぞれ固定される。
パンチ1には、図2(a)に示すように、その側面部に約 1°のテーパからなる側面逃げ部11が形成される。なお、この側面逃げ部11の範囲は、パンチ1のストローク長さと、多層基板100の厚みとの和以上に設定する。
このように、側面逃げ部11を設けることで、摺動抵抗の歪を、例えば図9(a)に示す従来の最大800μS(マイクロストレイン)から、図9(b)に示す本実施形態における250μS程度までに減少させることができた。
また、側面逃げ部11を設けることにより、多層基板100を分割した後のパンチ1のストローク下死点近傍において、多層基板100の残滓、並びに分割時に発生する細かな基板屑やバリを空気圧で強制的に排除するための空隙を形成することができる。
また、パンチ1は、図2(a)に示すように、両側面の刃先12が約45°のV字状に形成され、その先端に約30μm幅の平面部が形成される。これにより、例えば図9(a)に示す従来の初期切断歪1300μSを、図9(b)に示す本実施形態では900μS程度まで約30%減らすことができた。同時に、多層基板100の切断部近傍における白化やクラックの発生を抑制することが可能になると共に、パンチ1刃先のチッピングも低減できた。
更に、パンチ1の刃先12先端は、その長手方向に、例えば図5(a)に示すように、約4°の傾斜角を有する傾斜部13が形成される。この傾斜部13は、長手方向にジグザグ状に複数形成されていてもよい。11は側面逃げ部、12は刃先である。このように傾斜部13を設けることにより、多層基板100をパンチ1の長手方向に複数の個片に分割する際に、多層基板100に対して水平方向の力が作用しないようにすることができ、切断荷重を減少させることが可能となる。例えば、従来の切断荷重10tから本実施形態では3.5tに約65%減少させることができた。このように、切断荷重が減少することで、切断荷重が小さい低能力の基板分割装置を用いて、1回のストロークでより多くの基板が分割できるようになった。
パンチベースプレート3には、多層基板100をパンチ1により打ち抜いた後、パンチ1が上昇する際に、多層基板100をパンチ1から引き離すためのストリッパプレート4が、圧縮コイルばね7を介して取り付けられる。
図3は、ストリッパプレート4の概略構成を示す平面図である。ストリッパプレート4は、4隅に逃げ部412が形成されたスライド孔41と、ガイドポスト8を挿通するためのガイドポスト挿通孔44と、多層基板100に搭載された実装部品120との干渉を防止するための実装部品逃げ孔45と、位置決めピン51を挿通する位置決めピン孔46を有する構成である。
ストリッパプレート4には、パンチ1が挿通するスライド孔41が形成されるとともに、後述する基板支持部53と対向する位置に、図2(a)に示すように、基板支持部53との間で多層基板100を個片ごとに挟持する幅が約110μmの基板クランプ部42が形成される。
また、ストリッパプレート4には、分割した多層基板100の残滓や細かな基板屑等を空気圧で強制的に排除するための内径が約1mmの通気孔43が連通して形成され、不図示の集塵機とパイプで連結されている。
更に、ストリッパプレート4のスライド孔41には、多層基板100を分割する際のパンチ1との摺動抵抗を低減させるための側面逃げ部411が0.5°のテーパで形成されている。また、図3に示すように、スライド孔41の4隅には、多層基板100を分割する際のパンチ1との摺動抵抗を低減させるための半径が約0.5mmの円弧状からなる逃げ部412が形成されている。
これらにより、ストリッパプレート4とパンチ1との摺動抵抗が減少し、減少した分を多層基板100の分割するための荷重に割り振ることが可能となり、装置の荷重に対するマージンを確保することができる。
図4は、ダイプレート5の概略構成を示す平面図である。ダイプレート5は、パンチ1が挿通するパンチ孔51と、ガイドポスト8を挿通するためのガイドポスト挿通孔55がを有する構成である。また、ダイプレート5の4隅には、後述する基板支持部53が形成される。
ダイプレート5には、多層基板100の載置位置を決めるための位置決めピン52が突設されている。また、ダイプレート5の隅部には、多層基板100の過度のクランプを防止するため、及びクランプエリアのバラツキを抑制するためのクランプストッパ54が形成されている。
多層基板100を分割する際は、ダイプレート5とストリッパプレート4とで多層基板100を挟持し、圧縮コイルばね7の反撥力でクランプするが、ストリッパプレート4の厚み(強度)が装置の制約上十分に確保することができない場合は、圧縮コイルばね7の反撥力によってストリッパプレート4が外側から凸状に撓むことがある。
このストリッパプレート4の撓みは、多層基板100のクランプ荷重をばらつかせる原因となり、分割した後の個片に白化やクラック等を発生させる。しかしながら、本実施形態では上述したクランプストッパ54を設けることで、ストリッパプレート4の撓みを防止し、分割した多層基板100個片の切断部近傍に従来発生していたクラックを本実施形態では0%にすることができた。
ここで、クランプストッパ54は、図8に示すグラフに基づいて0.095mmに設定し、多層基板100の厚みより少ない領域で、且つ、ストリッパプレート4の撓みがない領域、及び基板の圧縮限界値以下に定めた。これらにより、多層基板100の切断荷重がストリッパプレート4の当たり具合などによって多層基板100の圧縮限界を越す領域に達するのを防止することができる。
また、ダイプレート5には、図2(a)に示すように、分割する多層基板100の個片隅部で実装された電子部品が干渉しない最大幅141μmを有し、前述した基板クランプ部42との間で多層基板100を所定のクランプ荷重で挟持する基板支持部53が形成される。
なお、基板支持部53の幅が基板クランプ部42のそれより大きいのは、多層基板100をクランプした際の荷重を基板クランプ部42で受け、多層基板100を切断する際の荷重を基板支持部53で受けるようにすることで、多層基板100個片の両面にバランスよく荷重を分散させ、切断部近傍における白化やクラックの発生を防ぐためである。
図7は、基板支持部53の幅と切断時荷重の関係を示す図である。従来、基板支持部53は基板クランプ部42より幅が細くなるよう設定されており、切断荷重が25kg/mm2を超えると、白化やクラック、剥がれ、欠けが発生していた。本実施形態では、基板支持部53の幅を、基板クランプ部42のそれよりも大きくすることにより、基板切断時の荷重を約20kg/mm2まで低減することができ、白化やクラック、剥がれ、欠けの発生を抑制することが可能となった。
ここで、図6を参照しながら、クランプ荷重について説明する。
クランプ荷重とは、多層基板100が圧縮コイルばね7によって基板支持部53と基板クランプ部42との間で挟まれる時の荷重のことをいい、実験の結果からクランプ荷重は、分割した多層基板100の個片に白化やクラックが発生しない20kg/mm2以下に設定する必要がある。
また、パンチ1が磨耗した場合は、クランプ荷重が不足することによって、多層基板100のストリッパプレート4の側に白化やクラックが発生するため、7〜10kg/mm2以上にする必要がある。これらのことから、本実施形態ではクランプ荷重を多層基板100の圧縮限界値の凡そ30〜50%に相当する値とした。
更に、ダイプレート5には、分割した多層基板100の残滓をスムーズに排除するための側面逃げ部511が形成されている。この側面逃げ部511はパンチ1のストローク方向に対して0.5°のテーパを有し、これによって従来は切断した基板の残滓が全数近くダイプレート5に残っていたのを本実施形態では0%にすることができた。
次に、このように構成された本実施形態に係る多層基板分割用金型の動作を、図2(a)、(b)を用いて説明する。図2(a)は多層基板の分割開始時、同(b)は多層基板の分割終了後のそれぞれの状態を示す要部拡大図である。
本実施形態の多層基板分割用金型を用いて分割する多層基板100は、例えば、厚みが0.5mmの4層ビルドアップ基板であり、中央のコア層は2層、表面のプリプレグ層は表裏の2層で構成されるものである。
図5(a)はここで用いられるパンチを示す斜視図、図5(b)はこのパンチによって切断される多層基板を示す説明図である。
多層基板100は、多層基板分割用金型により6つの 個片に分割される。分割される個片には、図5(b)に示すように、長穴形状の基板スリット101が形成されており、1枚当たりの切断長を短くすることで、切断荷重を減少させることができる。また、分割後の基板個片の剛性を確保することも考慮に入れ、基板スリット101と切断部102とは10:8の比で設定してある。
多層基板100は、多層基板分割用金型により6つの 個片に分割される。分割される個片には、図5(b)に示すように、長穴形状の基板スリット101が形成されており、1枚当たりの切断長を短くすることで、切断荷重を減少させることができる。また、分割後の基板個片の剛性を確保することも考慮に入れ、基板スリット101と切断部102とは10:8の比で設定してある。
このように構成される多層基板100をダイプレート5の所定の位置にセットし、ダイプレート5をダイベースプレート6に固定した後、不図示のプレス装置を作動させ、パンチベースプレート3を降下させる。すると先ず、ストリッパプレート4が多層基板100に当接して、図2(a)に示すように、ストリッパプレート4の基板クランプ部42とダイプレート5の基板支持部53とで多層基板100を挟持する。
そして、さらにパンチベースプレート4が降下すると、圧縮コイルばね7が圧縮されて多層基板100をクランプする。これにより、多層基板100に実装された電子部品に切断持における応力が伝播しにくくなる。
更に、パンチベースプレート(3)が降下すると、図2(b)に示すように、パンチ1の両側面の刃先12が図5に示した多層基板100の切断部102を切断する。パンチ1により打ち抜かれた多層基板100の切断かす110は、パンチ1によりダイプレート5のパンチ孔51を通って押し出され、ダイベースプレート6の下方に落下して、不図示のシュートを介し空気圧により排出される。
このようにして多層基板100の分割が完了すると、パンチベースプレート(3)が上昇を開始する。その際、パンチ1が上昇を開始しても、ストリッパプレート(4)は圧縮コイルばね7の反撥力により分割された多層基板100の個片を押えつけている。そして、パンチ1が多層基板100から離れ、圧縮コイルばね7の自由長になるまでストリッパプレート(4)が多層基板100を押圧した後、ストリッパプレート(4)もパンチベースプレート(3)と共に上昇する。従って、多層基板100の分割された個片がパンチ1と共に持ち上げられることはない。
以上説明したように、このような本発明の実施形態に係る多層基板分割用金型によれば、板状パンチの側面と、ストリッパプレートのスライド孔と、ダイプレートのパンチ孔それぞれにテーパ面からなる逃げ部が形成されることで、多層基板を多数の個片に分割する際のパンチとストリッパプレート、及びパンチとダイ各相互間の摺動抵抗を小さくすることができ、安価なSKD材を用いても超鋼材と同等の耐久性を得ることが可能となり、パンチの再研磨等メンテナンスサイクルを長くすることができる。
また、パンチとストリッパプレート間の摺動抵抗を小さくできることで、多層基板のクランプ力が軽減されて切断荷重が小さくなり、分割後の基板個片に白化やクラック、剥がれ、欠け等が発生することを抑制できる。更に、多層基板を打ち抜いた後のパンチの戻り時に、多層基板の切断面をパンチの側面で引きずることで発生する白化やクラック、剥がれ等を低減することができる。
図10は、分割した多層基板の個片を示す図であり、(a)は従来の多層基板分割用金型によって分割した多層基板の個片、(b)は本実施形態の多層基板分割用金型によって分割した多層基板の個片である。図10(a)では切断部近傍にクラックが見られるのに対し、図10(b)ではクラック等の瑕疵がなく、所期の品質を保持できていることが分かる。
1 パンチ
11 パンチ側面逃げ部
12 パンチ刃先先端部
13 パンチ刃先傾斜部
4 ストリッパプレート
41 スライド孔
411 スライド孔側面逃げ部
412 スライド孔隅部逃げ部
42 基板クランプ部
43 通気孔
5 ダイプレート
51 パンチ孔
53 基板支持部
54 クランプストッパ
7 圧縮コイルばね
100 多層基板
11 パンチ側面逃げ部
12 パンチ刃先先端部
13 パンチ刃先傾斜部
4 ストリッパプレート
41 スライド孔
411 スライド孔側面逃げ部
412 スライド孔隅部逃げ部
42 基板クランプ部
43 通気孔
5 ダイプレート
51 パンチ孔
53 基板支持部
54 クランプストッパ
7 圧縮コイルばね
100 多層基板
Claims (14)
- 電子部品が実装された多層基板の所定の分割部分を打ち抜く複数のパンチと、前記パンチが挿通する複数のスライド孔を有し、前記多層基板を押圧するストリッパと、前記パンチが挿通する複数のパンチ孔を有し、前記多層基板を載置するダイプレートと、を備える多層基板分割用金型であって、
前記パンチは、
側面において、刃先から後方に向かいテーパ面からなる逃げ部が形成された多層基板分割用金型。 - 請求項1に記載の多層基板分割用金型であって、
前記スライド孔は、
前記パンチのストローク逆方向に向かいテーパ面からなる逃げ部が形成され、
前記パンチ孔は、
前記パンチのストローク方向に向かいテーパ面からなる逃げ部が形成された多層基板分割用金型。 - 請求項1または2に記載の多層基板分割用金型であって、
前記パンチと、前記スライド孔と、前記パンチ孔の各逃げ部のテーパ面の角度は、
0.5°以上である
多層基板分割用金型。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の多層基板分割用金型であって、
前記パンチは、
側面の刃先先端がV字状に形成された多層基板分割用金型。 - 請求項4に記載の多層基板分割用金型であって、
前記V字状の角度は、
45°以下である多層基板分割用金型。 - 請求項4又は5に記載の多層基板分割用金型であって、
前記パンチは、
前記V字状の先端に平面部が形成された多層基板分割用金型。 - 請求項6に記載の多層基板分割用金型であって、
前記平面部の幅は、
30μm以上、若しくは、前記多層基板の厚みの5〜20%である多層基板分割用金型。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の多層基板分割用金型であって、
前記パンチの側面先端は、
前記パンチの長手方向に傾斜し、且つ、ジグザグ状に反復して形成される
ことを特徴とする多層基板分割用金型。 - 請求項8に記載の多層基板分割用金型であって、
前記パンチの側面先端の傾斜角は、
4°以上である多層基板分割用金型。 - 請求項1乃至9のいずれかに記載の多層基板分割用金型であって、
前記ストリッパは、
前記スライド孔の隅部に逃げ部が形成される多層基板分割用金型。 - 請求項1乃至10のいずれかに記載の多層基板分割用金型であって、
前記ストリッパは、
複数の前記スライド孔を連通する通気孔が形成される多層基板分割用金型。 - 請求項1乃至11のいずれかに記載の多層基板分割用金型であって、
前記ストリッパは、
前記スライド孔の周縁に、前記多層基板の分割すべき個片の隅部を押さえ付けてクランプする基板クランプ部が突出形成され、
前記ダイプレートは、
前記クランプ部に対向し、前記多層基板の分割すべき個片の隅部を支持する基板支持部が突出形成される多層基板分割用金型。 - 請求項1乃至12のいずれかに記載の多層基板分割用金型であって、
前記ストリッパと前記ダイプレートが対向する位置に、
前記多層基板をクランプする力を制限するクランプストッパが形成される多層基板分割用金型。 - 請求項12又は13に記載の多層基板分割用金型であって、
前記多層基板をクランプする力は、
前記多層基板の圧縮限界値以下である多層基板分割用金型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009175330A JP2011025383A (ja) | 2009-07-28 | 2009-07-28 | 多層基板分割用金型 |
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JP2009175330A JP2011025383A (ja) | 2009-07-28 | 2009-07-28 | 多層基板分割用金型 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105881648A (zh) * | 2016-04-09 | 2016-08-24 | 中山市晶艺光电科技有限公司 | 一种线路板自动分板设备及方法 |
CN112060200A (zh) * | 2020-08-27 | 2020-12-11 | 韶关市华思迅飞信息科技有限公司 | 一种柔性电路板结构及其冲切装置 |
JPWO2020013295A1 (ja) * | 2018-07-13 | 2021-07-15 | 日立造船株式会社 | 全固体二次電池の製造設備 |
-
2009
- 2009-07-28 JP JP2009175330A patent/JP2011025383A/ja not_active Withdrawn
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