JP2004091208A - エレベータの主ロープ交換方法および装置 - Google Patents

エレベータの主ロープ交換方法および装置 Download PDF

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Toshiyuki Tadokoro
田所 俊之
Kiyoshi Naganuma
長沼 清
Satoshi Tanakadate
田中舘 聡
Mizuki Gomi
五味 瑞樹
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Abstract

【課題】機械室レス形式のエレベータのように作業スペースが狭い場合でも、効率よく経済的にロープを交換できるエレベータの主ロープ交換装置の提供。
【解決手段】乗りかご4、つり合いおもり5を昇降路1上部、下部でそれぞれ保持するワイヤ14およびジャッキサポート15と、新ロープ17を送り出すロープ送り出しドラム24と、このドラム24と略同一軸上に連結され、ロープ6を巻き取るロープ巻き取りドラム25と、ロープ6の一端を新ロープ17の一端に接続するロープ接続部18と、ロープ6の中間部に係合するロープ案内具23とを備えた。これにより、ロープ6、17に所定張力を付加しながら、巻上機7の駆動力を使用せず新ロープ17を自重で送り出してロープ6を巻き取る。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗りかごおよびつり合いおもりを駆動する複数本のロープの交換を行なうエレベータのロープ交換方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、機械室を有する2:1ローピング形式のエレベータにあっては、つり合いおもりを昇降路下部で支持体を配置して保持し、乗りかごを昇降路上部で吊り上げ手段により吊り上げた後、ロープ保持装置をつり合いおもりの上方に配置して既設の主ロープを保持し、次いで、このロープの端部をロープ止め金具から切り離して端部にドラムより繰出した新設の主ロープを接続し、かご側の端部をロープ止め金具から切り離して端部をドラムに取り付け、次に、巻上機を低速で作動させて既設の主ロープをドラムに巻き取るとともに、ドラムから新設の主ロープを送り出して順次掛け回した後、新設の主ロープのかご側の端部を既設の主ロープから切り離してロープ止め金具に接続し、新設の主ロープの他端も他のロープ止め金具に接続するエレベータの主ロープ交換方法が提案されている。(特許文献1参照)
また近年、省スペースのニーズから、巻上機が昇降路内の上部または下部に設置される機械室レス形式のエレベータが提案されている。(特許文献2,3参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平2−249885号公報
【0004】
【特許文献2】
特表平10−506871号公報
【0005】
【特許文献3】
特開平11−130365号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のエレベータの主ロープ交換方法では、乗りかごおよびつり合いおもりの荷重がロープにかかっていない状態では新設の主ロープを送り出す駆動力を得られないことから、実際には巻上機のシーブとロープの間で摩擦力を得られるようにロープを押さえ付ける装置を設置しなければならない。
【0007】
また特に、上記の主ロープ交換方法を機械室レス形式のエレベータに適用する場合、この機械室レスエレベータでは狭い昇降路の中で作業を行なう必要があるとともに、シーブの回りにもスペースが必要なことから、その取り付け作業が困難であり、作業効率が悪いだけでなく装置費用がかかることから経済的にも問題がある。なお、機械室があるエレベータでは、ロープ交換の際の作業スペースとして機械室内のスペースが利用できることから、ロープ押さえ付け装置を巻上機に自由に取り付けることができる。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術における実情に鑑みてなされたもので、その目的は、機械室レス形式のエレベータのように作業スペースが狭い場合でも、効率よく経済的に主ロープ交換を行なうことのできるエレベータの主ロープ交換方法および装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、両端が昇降路上部のロープ固定部にそれぞれ連結されるとともに、中間部がつり合いおもりに設けられるおもりプーリと、乗りかごの下部に設けられるかご下プーリと、巻上機の巻上シーブとに順次掛回される複数本のロープの交換を行なうエレベータの主ロープ交換方法において、前記乗りかごを前記昇降路上部で保持し、前記つり合いおもりを前記昇降路の下部で保持する工程と、前記複数本のロープの内少なくとも2本以上のロープの一端を前記ロープ固定部から離して交換用の新ロープの一端に接続する工程と、前記新ロープを送り出すロープ送り出しドラムと前記ロープの他端側を巻き取るロープ巻き取りドラムとを同一方向に回転するように連結し、前記ロープの他端を前記ロープ固定部から取り外して前記ロープ巻き取りドラムに前記新ロープの前記ロープ送り出しドラムへの巻き付け方向と逆方向に巻くように接続する工程と、前記ロープの中間部に係合するロープ案内具を移動可能に設ける工程と、前記ロープ案内具により前記ロープ送り出しドラムから前記ロープ巻き取りドラム間の前記ロープと新ロープに所定のテンションを付加するとともに、前記新ロープを送り出すことにより回転するロープ送り出しドラムの回転力で前記ロープ巻き取りドラムを回転させて前記ロープの他端側を巻き取ることによって、前記ロープと前記新ロープを交換する工程とを含む構成にしてある。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明の請求項3に係る発明は、両端が昇降路上部のロープ固定部にそれぞれ連結されるとともに、中間部がつり合いおもりに設けられるおもりプーリと、乗りかごの下部に設けられるかご下プーリと、巻上機の巻上シーブとに順次掛回される複数本のロープの交換を行なうエレベータの主ロープ交換装置において、前記乗りかごを前記昇降路の上部で保持する乗りかご保持部と、前記つり合いおもりを前記昇降路の下部で保持するおもり保持部と、交換用の新ロープを送り出すロープ送り出しドラムと、このロープ送り出しドラムと略同一軸上に連結され、前記ロープを巻き取るロープ巻き取りドラムと、前記複数本のロープの内少なくとも2本以上のロープの一端を前記新ロープの一端に接続するロープ接続部と、前記ロープまたは新ロープの中間部に係合する移動可能なロープ案内具とを備えた構成にしてある。
【0011】
このように構成した本発明では、乗りかごおよびつり合いおもりをそれぞれ昇降路の上部と下部で保持し、ロープ接続部を介してロープの一端を新ロープの一端に接続して、巻上機の駆動力を使用せず、新ロープの自重によるロープ送り出しドラムの回転力を利用して既設のロープを巻き取るにより、この既設のロープを移動させながら新ロープに交換する。その際に、これらのロープにロープ案内具で所定のテンションを付加することにより、ロープの緩みを防止する。これによって、巻上機のシーブにロープ押さえ付け装置を取り付ける必要がなくて済むので、機械室レス形式のエレベータのように作業スペースが狭い場合でも、効率よく経済的に主ロープ交換を行なえる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエレベータの主ロープ交換方法および装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係るエレベータの主ロープ交換方法を示すフローチャート、図2は本実施形態に係るエレベータの主ロープ交換装置を示す縦断面図、図3は本実施形態により乗りかごおよびつり合いおもりを保持する工程を示す縦断面図、図4は本実施形態によりロープを新ロープに接続する工程を示す縦断面図、図5は本実施形態の主ロープ交換装置に設けられるロープ接続部の平面図、図6は図5のロープがプーリに巻掛けられた状態を示す説明図、図7は本実施形態の主ロープ交換装置に設けられるドラム体の説明図、図8は本実施形態の主ロープ交換装置に設けられるロープ案内具の説明図である。
【0014】
図2〜図4に示すエレベータは、昇降路1の全行程に渡り立設されるガイドレール2と、このガイドレール2により案内され、昇降路1の階床3a、3n間を昇降する乗りかご4と、この乗りかご4と相対して昇降路1内を昇降するつり合いおもり5と、これらの乗りかご4およびつり合いおもり5を吊り上げるロープ6と、昇降路1の底部1aに設置され、ロープ6を駆動する巻上機7とを備えている。
【0015】
図3に示すように既設のロープ6は、一端6aが昇降路1の頂部1b付近にロープ固定部9で連結されるとともに、ロープ6の中間部が、乗りかご4の下部に取付けられるかご下プーリ4aと、昇降路1の頂部1b付近の上部ビーム8に設けられる転向プーリ8aと、巻上機7の巻上シーブ7aと、上部ビーム8に設けられる他の転向プーリ8bと、つり合いおもり5の上部に設けられるおもりプーリ5aとに順次掛回されて、ロープ6の他端6bが昇降路1の頂部1b付近に他のロープ固定部10で連結されている。また、昇降路1の底部1a、頂部1bにそれぞれガバナマシン11、ガバナプーリ12が設置され、これらのガバナマシン11およびガバナプーリ12にガバナロープ13が巻き掛けられている。
【0016】
そして、本実施形態の主ロープ交換装置は、図2に示すように、乗りかご4を昇降路1の頂部1b近傍で保持する乗りかご保持部、例えばワイヤ14と、つり合いおもり5を昇降路1の底部1a近傍で保持するおもり保持部、例えばジャッキサポート15と、昇降路1の階床3nに設置されるドラム体16と、複数本のロープ6の内少なくとも2本以上のロープ6の一端6aを交換用の新ロープ17の一端17aに接続するロープ接続部18と、上部ビーム8の両端にそれぞれワイヤ19、20を介して仮設される仮設滑車21、22と、ロープ6の中間部に係合するロープ案内具23とを有している。
【0017】
ドラム体16は、図7に示すように、新ロープ17を送り出すロープ送り出しドラム24と、既設のロープ6を巻き取るロープ巻き取りドラム25とが略同一軸上に連結され、これらのドラム24、25がドラムベース26に設けられる回転軸27により同一方向へ回転可能に支持されている。このドラム体16では、ロープ送り出しドラム24に新ロープ17を全て巻き付けた状態での新ロープ17の外周部の直径(すなわち外径)Daよりも、ロープ巻き取りドラム25のロープ6を巻き付けていない状態での直径Dbのほうが大きく設定されている。
【0018】
図5に示すようにロープ接続部18の直径Dは、ロープ6と新ロープ17の各直径d以上となるとともに、この直径Dは、図6に示すように、かご下プーリ4a、およびおもりプーリ5aのロープ溝28と外れ止め29との隙間δ未満となるように設定されている。
【0019】
図8に示すようにロープ案内具23は、複数本のロープ6がそれぞれ巻掛けられるプーリ30と、これらのプーリ30を回転軸31を介して回転可能に支持するブラケット32と、回転軸31の一端に取付けられ、隣合う他のブラケット32に移動可能に連結される連結部材33と、ブラケット32の下部に設けられ、プーリ30の外側の略回転面内に回転軸31から延設したおもり部材34と、図2、4に示すようにガバナロープ13に係合する係合部材35とから構成されている。これにより、複数のプーリ30がそれぞれ独立して上下可能であり、この状態で各プーリ30を介して複数本のロープ6におもり部材34からの荷重がそれぞれ付与されている。
【0020】
本実施形態の主ロープ交換方法にあっては、図1に示す作業手順にしたがって既設のロープ6を新ロープ17に交換するようになっている。すなわち、まず手順S1として、図3に示すように昇降路1の頂部1b付近で既設のロープ6の端部6a、6bを外す作業と交換後の新ロープ17の固定作業を行なえる位置に乗りかご4の上部4bがくるように乗りかご4を停止させ、その位置でレールブラケット2aよりワイヤ14を介して乗りかご4を保持し、手順S2として、つり合いおもり5の下部にジャッキサポート15を設置し、つり合いおもり5の荷重がロープ6にかからなくなるようにジャッキサポート15でつり合いおもり5を上昇させて保持する。
【0021】
次に手順S3として、図4に示すように、昇降路1の底部1aで巻上機7のシーブ7aからロープ6の掛かりを外してロープ案内具23に掛け替えることにより、複数本のロープ6にそれぞれ所定の張力を付与し、手順S4として、ロープ6の一端6aを昇降路1の頂部1bのロープ固定部9から外して、ロープ送り出しドラム24から新ロープ17の一端17aを取り出し、例えば上部ビーム8よりワイヤ19で吊下げた仮設滑車21を介して掛け回して昇降路1の階床3nに引き出すとともに、この階床3nに設置したドラム体16のロープ送り出しドラム24から新ロープ17の一端17aを取り出してロープ接続部18を介してロープ6の一端6aと接続する。
【0022】
次に手順S5として、図2に示すように、ロープ6の他端6bを昇降路1の頂部1bのロープ固定部10から外し、例えば上部ビーム8にワイヤ20で吊下げた仮設滑車22を介して掛け回して昇降路1の階床3nに引き出すとともに、ロープ6の他端6bをドラム体16のロープ巻き取りドラム25に接続する。その際に、このロープ巻き取りドラム25に、新ロープ17のロープ送り出しドラム24への巻き付け方向と逆方向にロープ6の一端6bを巻くように接続する。
【0023】
次いで手順S6として、新ロープ17の自重によりロープ送り出しドラム24に回転力が加わると、この回転力が回転軸27を介してロープ巻き取りドラム25に伝達され、このロープ巻き取りドラム25がロープ送り出しドラム24と同方向に回転させられる。この回転力を利用して新ロープ17をロープ送り出しドラム24から送り出しながら、既設のロープ6をロープ巻き取りドラム25に巻き取ることにより、ロープ6が通るかご下プーリ4a、転向プーリ8a、シーブ7a近傍に設けたロープ案内具23のプーリ30、転向プーリ8b、およびおもりプーリ5aを介する全ての部分において新ロープ17に置換えるようになっている。
【0024】
このとき、ロープ送り出しドラム24にはあらかじめ新ロープ17が必要長さ分巻き付けられているため、ロープ送り出しドラム24が1回転で送り出される新ロープ17の長さ(La)は、ロープ送り出しドラム24に新ロープ17を全て巻き付けた状態での新ロープ17の外周部の直径をDaとすると、La=Da×円周率となる。一方、ロープ巻き取りドラム25には既設のロープ6がまだ巻かれていないため、ロープ巻き取りドラム25が1回転で巻き取れるロープ6の長さ(Lb)は、ロープ巻き取りドラム25の直径をDbとすると、Lb=Db×円周率となる。また、ロープ巻き取りドラム25の直径Dbは、ロープ送り出しドラム24に巻き付けた状態での新ロープ17の外周部の直径Daよりも大きくしていることから、ロープ巻き取りドラム25が1回転で巻き取れるロープ6の長さLbがロープ送り出しドラム24が1回転で送り出される新ロープ17の長さLaより大きくなり(Lb>La)、新ロープ17の送り出し速度よりもロープ6の巻き取り速度のほうが速くなっている。その結果、ロープ送り出しドラム24からエレベータの各部のプーリを通ってロープ巻き取りドラム25まで戻ってくる間のロープ長さがドラムの回転と共に短くなり、図2に示すように、その分ロープ案内具23が当初の位置よりも上昇する。
【0025】
次いで手順S7として、既設のロープ6を全てロープ巻き取りドラム25に巻取った時点で、新ロープ17の一端17aをロープ接続部18から切離し、昇降路1の頂部1bのロープ固定部10に端末処理をして連結する。このとき、ロープ案内具23は巻上機7のシーブ7aから離れた位置まで上昇しているため、ロープ送り出しドラム24に巻かれている残りの新ロープ17をロープ送り出しドラム24を回転させながら送り出し、ロープ案内具23を下降させる。その後、手順S8として、昇降路1の底部1aにてロープ案内具23から巻上機7のシーブ7aに新ロープ17を掛け替え、ロープ案内具23を取外した後、手順S9として、新ロープ17を所定長さに切断、端末処理して昇降路1の頂部1bのロープ固定部9に連結し、手順S10として、乗りかご4およびつり合いおもり5の保持状態を解除することで交換作業を完了する。
【0026】
このように構成した本実施形態では、ロープ6を交換するときのロープ移動の抵抗となる巻上機7のシーブ7a部分に、抵抗の少ない簡単な構造のロープ案内具23を別に設け、巻上機7の駆動力を使用せず、既設のロープ6を移動させながら新ロープ17に交換するので、巻上機7のシーブ7aにロープ押さえ付け装置を取り付ける必要がなく、機械室レスエレベータのように作業スペースが狭い場合でも、効率よく経済的に主ロープ交換を行なえる。
【0027】
また、本実施形態では、ロープ送り出しドラム24からエレベータの各部のプーリを通ってロープ巻き取りドラム25まで戻ってくる間のロープ長さがドラムの回転と共に短くなり、その分ロープ案内具23が当初の位置よりも上昇することにより、ロープ長さの変化を吸収できるとともに、常にロープ6および新ロープ17に一定のテンションがかかった状態を保つことができ、ロープ交換作業を容易に行なえる。なお、もしロープ巻き取りドラム25の直径Dbがロープ送り出しドラム24に巻き付けた状態での新ロープ17の外周部の直径Daよりも小さく設定されている場合には、ロープ送り出し速度のほうがロープ巻き取り速度よりも大きいため、余分な新ロープ17が送出されてロープ6が弛んでしまうこととなり、ロープ交換作業が非常に煩雑なものとなってしまう。
【0028】
また、本実施形態では、複数本のロープ6を同時に交換する場合にドラム体16への各ロープ6、17の巻き付け誤差が発生するが、ロープ案内具23がロープ毎に独立して移動可能な構成としていることから、ロープテンションをロープ毎に均一にかけることができ、その結果、複数本のロープ6の同時交換を容易に行なえる。
【0029】
また、本実施形態では、ロープ接続部18の直径Dを、おもりプーリ5aおよびかご下プーリ4aのロープ溝28とロープ外れ止め29との隙間δ以下となるように接続してあることから、ロープ6と新ロープ17は各プーリ4a,5aにおいてロープ外れ止め29を取外すことなく通過することができる。さらに、ロープ接続部21の直径Dはロープ6と新ロープ17の直径d以上となるように接続してあることから、ロープ溝28から外れることなくロープ交換が可能である。
【0030】
なお、上記実施形態では、乗りかご4をレールブラケット2aよりワイヤ14で吊り下げ保持する構成で述べたが、他の構成であっても乗りかご4を昇降路1の頂部1bに保持できればよく、例えば乗りかご4の非常止め装置等を使用して保持した場合でも同様の効果がある。
【0031】
さらに、上記実施形態では、つり合いおもり5をジャッキサポート15にて保持する構成についても、同様に他の構成であってもつり合いおもり5を昇降路1の底部1aに保持してロープ6のテンションを緩ませることができればよく、例えばチェーンブロック等の揚重機にてレールブラケット等に吊り下げて保持する構成としても同様の効果がある。
【0032】
さらに、上記実施形態では、3本のロープ6の交換を同時に行なう場合に用いられるドラム体16およびロープ案内具23を例として示したが、ロープの本数は3本に限定するものではなく、他のロープ本数であっても本発明の一実施形態と同様の効果があることは明白である。
【0033】
さらに、上記実施形態では、ロープ案内具23の水平方向の位置規制手段としてガバナロープ13に係合する係合部材35を設ける構成としたが、乗りかご4のガイドレール2またはつり合いおもり5のガイドレール(図示せず)に係合する係合部材でも同様の効果があり、本発明に含まれる。
【0034】
さらに、上記実施形態では、ロープ交換時のロープ6の移動方向が乗りかご4のかご下プーリ4aから入り、つり合いおもり5のおもりプーリ5aから引き出すように説明したが、逆方向に行なう場合においても同様の効果があり本発明に含まれる。
【0035】
さらに、上記実施形態では、ドラム体16を上部の階床3nに設置した場合で説明したが、乗りかご4の上部4bにドラム体16を配置する場合であっても同様の効果があり、本発明に含まれる。
【0036】
次に、上述の図8に示すロープ案内具とは異なるロープ案内具を図に基づいて説明する。
【0037】
図9は図8に示すロープ案内具とは異なるロープ案内具を示す説明図、図10は図9のA−A断面図、図11は図9に示すロープ案内具からおもり部材を取り外した状態を示す説明図である。
【0038】
上述のロープ案内具23と異なるロープ案内具23Aは、図9に示すように、複数本のロープ6がそれぞれ巻掛けられるプーリ30と、これらのプーリ30を回転軸31を介して回転可能に支持するブラケット32と、回転軸31の一端に取付けられ、隣合う他のブラケット32に移動可能に連結される連結部材33と、ブラケット32の下部に設けられ、プーリ30の外側の略回転面内に回転軸31から延設したおもり部材34と、図2、4に示すようにガバナロープ13に係合する係合部材35とから構成されている。このロープ案内具23Aの構成は、上述のロープ案内具23と同様であり、したがって、複数のプーリ30がそれぞれ独立して上下可能であり、この状態で各プーリ30を介して複数本のロープ6におもり部材34からの荷重がそれぞれ付与されている。
【0039】
特に、ロープ案内具23Aでは、図9〜11に示すように、おもり部材34がブラケット32に着脱可能に設けてある。すなわち、ブラケット32の下部に、おもり部材34を載置する載置部32bを設けてあり、この載置部32bに上方に向かって突出する柱状の保持部32aを設けてあるとともに、おもり部材34の下面に保持部32aを挿入する穴34aを設けてある。これにより、おもり部材34は、穴34aに保持部32aが挿入された状態で、載置部32bに載置されて、ブラケット32に保持されるようになっている。
【0040】
このように構成されたロープ案内具23Aでは、巻上機7のシーブ7aから他のロープ案内具23Aへのロープ6の掛け替えを、次のようにして行なう。
【0041】
はじめに、図10に示すようにおもり部材34をブラケット32から取り外した状態のロープ案内具23Aの各プーリ30に、巻上シーブ7aから取り外した複数本のロープ6のそれぞれを巻掛ける。このとき、連結部材33がブラケット32に係合するようにはめ込みながら各ロープ6を各プーリ30に巻掛けるようにする。そして、各おもり部材34を、各ブラケット32の保持部32aに挿入しつつ、載置部32bに載置する。
【0042】
このようにロープ案内具23Aは、巻上機7のシーブ7aからロープ案内具23Aへのロープ6の掛け替えを行なう際、おもり部材34をブラケット32から取り外した状態、すなわち、ロープ案内具23Aをおもり部材34分軽くした状態で扱えるので、巻上機7のシーブ7aからロープ案内具23Aへのロープ6の掛け替えを容易に行なうことができる。
【0043】
なお、ロープ案内具23Aでは、着脱ブラケット32の下部に設けた載置部32bおよび柱状の保持部32aと、おもり部材34に設けた穴34aとによって、おもり部材34をブラケット32に対して着脱可能する構造を構成してあるが、おもり部材34をブラケット32に対して着脱可能する構造はこれに限定するものではない。例えば、ブラケット32にフック状の部分を設けて、このフック状の部分におもり部材34を吊り下げる構造にしてもよい。
【0044】
また、ロープ案内具23Aでは、複数のおもり部材34のすべてをブラケット32に対して着脱可能してあるが、複数のおもり部材34の一部を着脱可能にしてもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、新ロープの自重によるロープ送り出しドラムの回転力を利用してロープを巻き取ることにより、巻上機の駆動力を使用せず、既設のロープを移動させながら新ロープに交換するので、巻上機のシーブにロープ押さえ付け装置を取り付ける必要がなくて済み、機械室レス形式のエレベータのように作業スペースが狭い場合においても効率よく経済的に主ロープ交換を行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るエレベータの主ロープ交換方法を示すフローチャートである。
【図2】本実施形態に係るエレベータの主ロープ交換装置を示す縦断面図である。
【図3】本実施形態により乗りかごおよびつり合いおもりを保持する工程を示す縦断面図である。
【図4】本実施形態によりロープを新ロープに接続する工程を示す縦断面図である。
【図5】本実施形態の主ロープ交換装置に設けられるロープ接続部の平面図である。
【図6】図5のロープがプーリに巻掛けられた状態を示す説明図である。
【図7】本実施形態の主ロープ交換装置に設けられるドラム体の説明図である。
【図8】本実施形態の主ロープ交換装置に設けられるロープ案内具の説明図である。
【図9】図8に示すロープ案内具とは異なるロープ案内具を示す説明図である。
【図10】図9のA−A断面図である。
【図11】図9に示すロープ案内具からおもり部材を取り外した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 昇降路
2 ガイドレール
4 乗りかご
4a かご下プーリ
5 つり合いおもり
5a おもりプーリ
6 ロープ
7 巻上機
7a 巻上シーブ
9、10 ロープ固定部
13 ガバナロープ(索状体)
14 ワイヤ(乗かご保持部)
15 ジャッキサポート(おもり保持部)
16 ドラム体
17 新ロープ
18 ロープ接続部
23 ロープ案内具
24 ロープ送り出しドラム
25 ロープ巻き取りドラム
30 プーリ
31 回転軸
32 ブラケット
33 連結部材
34 おもり部材
35 係合部材

Claims (8)

  1. 両端が昇降路上部のロープ固定部にそれぞれ連結されるとともに、中間部がつり合いおもりに設けられるおもりプーリと、乗りかごの下部に設けられるかご下プーリと、巻上機の巻上シーブとに順次掛回される複数本のロープの交換を行なうエレベータの主ロープ交換方法において、
    前記乗りかごを前記昇降路上部で保持し、前記つり合いおもりを前記昇降路の下部で保持する工程と、前記複数本のロープの内少なくとも2本以上のロープの一端を前記ロープ固定部から離して交換用の新ロープの一端に接続する工程と、前記新ロープを送り出すロープ送り出しドラムと前記ロープの他端側を巻き取るロープ巻き取りドラムとを同一方向に回転するように連結し、前記ロープの他端を前記ロープ固定部から取り外して前記ロープ巻き取りドラムに前記新ロープの前記ロープ送り出しドラムへの巻き付け方向と逆方向に巻くように接続する工程と、前記ロープの中間部に係合するロープ案内具を移動可能に設ける工程と、前記ロープ案内具により前記ロープ送り出しドラムから前記ロープ巻き取りドラム間の前記ロープと新ロープに所定のテンションを付加するとともに、前記新ロープを送り出すことにより回転するロープ送り出しドラムの回転力で前記ロープ巻き取りドラムを回転させて前記ロープの他端側を巻き取ることによって、前記ロープと前記新ロープを交換する工程とを含むことを特徴とするエレベータの主ロープ交換方法。
  2. 前記巻上機のシーブから前記ロープの中間部を取り外した後、この取り外したロープの中間部に前記ロープ案内具を係合させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの主ロープ交換方法。
  3. 両端が昇降路上部のロープ固定部にそれぞれ連結されるとともに、中間部がつり合いおもりに設けられるおもりプーリと、乗りかごの下部に設けられるかご下プーリと、巻上機の巻上シーブとに順次掛回される複数本のロープの交換を行なうエレベータの主ロープ交換装置において、
    前記乗りかごを前記昇降路の上部で保持する乗りかご保持部と、前記つり合いおもりを前記昇降路の下部で保持するおもり保持部と、交換用の新ロープを送り出すロープ送り出しドラムと、このロープ送り出しドラムと略同一軸上に連結され、前記ロープを巻き取るロープ巻き取りドラムと、前記複数本のロープの内少なくとも2本以上のロープの一端を前記新ロープの一端に接続するロープ接続部と、前記ロープまたは新ロープの中間部に係合する移動可能なロープ案内具とを備えたことを特徴とするエレベータの主ロープ交換装置。
  4. 前記ロープ送り出しドラムの外径を、前記ロープ巻き取りドラムの外径より小さく設定したことを特徴とする請求項3に記載のエレベータの主ロープ交換装置。
  5. 前記ロープ案内具を、前記複数本のロープ毎にそれぞれ独立して移動可能に設けたことを特徴とする請求項3または4に記載のエレベータの主ロープ交換装置。
  6. 前記ロープ案内具は、前記ロープまたは前記新ロープを案内するプーリと、このプーリを回転可能に支持する回転軸と、前記プーリの外側の略回転面内に前記回転軸から延設したおもり部材とを有することを特徴とする請求項3、4、5のいずれかに記載のエレベータの主ロープ交換装置。
  7. 前記ロープ案内具は、前記昇降路内に敷設された索状体またはガイドレールと係合する係合部材を有することを特徴とする請求項6に記載のエレベータの主ロープ交換装置。
  8. 前記ロープ案内具に前記おもり部材を着脱可能に設けたことを特徴とする請求項6または7記載のエレベータの主ロープ交換装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1591406A3 (en) * 2004-04-29 2008-05-28 Kone Corporation Method and apparatus for changing the rope of a traction sheave elevator
CN104477734A (zh) * 2014-12-11 2015-04-01 中国矿业大学 一种超深立井罐道钢丝绳张紧装置及张紧方法

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