JPWO2018092308A1 - エレベータの非常止め装置の検査方法 - Google Patents

エレベータの非常止め装置の検査方法 Download PDF

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Abstract

エレベータの非常止め装置の検査方法においては、釣合おもりを突き下げ、かご及び釣合おもりを吊り下げている懸架体の一部に外力を加えてかごを上昇させ、かごに搭載されている非常止め装置を作動させる。この後、外力を解除して懸架体を緩ませる。そして、巻上機の駆動シーブを回転させる。

Description

この発明は、非常止め装置を作動させた状態で巻上機の駆動シーブが空転することを確認するエレベータの非常止め装置の検査方法に関するものである。
一般に、エレベータのかごには、非常止め装置が搭載されている。非常止め装置は、主ロープの切断等の異常事態が発生したときに、かごを緊急停止させる装置である。
このような非常止め装置に対しては、正常に作動するかどうかを確認するための検査が、適当な期間毎に行われる。従来の検査方法の1つとして、非常止め装置を作動させた後、巻上機の駆動シーブをかごが下降する方向へ低速で回転させる方法がある。
この検査では、非常止め装置が正常に作動していれば、かごは動かず、駆動シーブが主ロープに対して滑ることにより、駆動シーブが空転する。一方、非常止め装置が正常に作動していない場合には、非常止め装置でかごを支えることができず、かごが下降するため、駆動シーブが空転することはない。即ち、駆動シーブの空転を確認することにより、非常止め装置が正常に作動することが確認できる。
また、上記の検査時に駆動シーブを空転させるためには、エレベータの通常運行時に必要なトルクよりも大きなトルクを巻上機が出力する必要がある。このため、非常止め装置の検査のためだけに、大型の巻上機を用いる必要が生じる。
これに対して、従来の非常止め装置の検査方法では、予め釣合おもりの下方にジャッキを配置しておき、非常止め装置を作動させた後に、ジャッキで釣合おもりを持ち上げてロープを緩ませる。これにより、駆動シーブを空転させるために必要なトルクが低下する(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−189430号公報
しかしながら、従来の非常止め装置の検査方法では、釣合おもりを持ち上げるために大きな力が必要であり、大形のジャッキを昇降路のピットに搬入し設置しなければならない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、釣合おもりを持ち上げることなく、駆動シーブを空転させるために必要なトルクを低下させることができるエレベータの非常止め装置の検査方法を得ることを目的とする。
この発明に係るエレベータの非常止め装置の検査方法は、釣合おもりを突き下げ、かご及び釣合おもりを吊り下げている懸架体の一部に外力を加えてかごを上昇させ、かごに搭載されている非常止め装置を作動させ、外力を解除して懸架体を緩ませ、巻上機の駆動シーブを回転させる。
この発明のエレベータの非常止め装置の検査方法は、釣合おもりを突き下げ、懸架体の一部に外力を加えてかごを上昇させ、非常止め装置を作動させ、外力を解除して懸架体を緩ませ、巻上機の駆動シーブを回転させるので、釣合おもりを持ち上げることなく、駆動シーブを空転させるために必要なトルクを低下させることができる。
この発明の実施の形態1によるエレベータを示す構成図である。 実施の形態1の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 図2のジャッキ装置により主ロープを押した状態を示す説明図である。 図3の状態から非常止め装置を作動させた状態を示す説明図である。 図4のジャッキ装置の押し付けを解除した状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態2の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 図6のジャッキ装置により主ロープを押した状態を示す説明図である。 図7の状態から非常止め装置を作動させた状態を示す説明図である。 図8のジャッキ装置の押し付けを解除した状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態3によるエレベータ装置の要部を示す斜視図である。 実施の形態3の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 この発明の実施の形態4の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 図12のジャッキ装置により主ロープを押した状態を示す説明図である。 図13の状態から非常止め装置を作動させた状態を示す説明図である。 図14のジャッキ装置の押し付けを解除した状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態5の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 図16のジャッキ装置により主ロープを押した状態を示す説明図である。 図17の状態から非常止め装置を作動させた状態を示す説明図である。 図18のジャッキ装置の押し付けを解除した状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態6の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 図20のジャッキ装置により主ロープを押した状態を示す説明図である。 図21の状態から非常止め装置を作動させた状態を示す説明図である。 図22のジャッキ装置の押し付けを解除した状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態7の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 図24のジャッキ装置により主ロープを押した状態を示す説明図である。 図25の状態から非常止め装置を作動させた状態を示す説明図である。 図26のジャッキ装置の押し付けを解除した状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態8の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 この発明の実施の形態9の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 この発明の実施の形態10の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 図30の主ロープに外力を加える準備をした状態を示す説明図である。 図31の状態から非常止め装置を作動させ、釣合おもりを下降させた状態を示す説明図である。 図32の状態から主ロープに対する外力を解除した状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態11の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 図34の主ロープの第2の端部を持ち上げた状態を示す説明図である。 図35の非常止め装置を作動させた状態を示す説明図である。 図36の主ロープの第2の端部を下降させた状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態12の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 図38のそらせ車を上昇させた状態を示す説明図である。 図39の非常止め装置14を作動させた状態を示す説明図である。 図40のそらせ車を下降させた状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態13の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。 図42の第2の吊り車を下降させた状態を示す説明図である。 図43の非常止め装置を作動させた状態を示す説明図である。 図44の第2の吊り車を上昇させた状態を示す説明図である。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータを示す構成図である。図において、昇降路1の上部には、機械室2が設けられている。機械室2には、巻上機3、そらせ車4、及び制御装置5が設置されている。巻上機3は、駆動シーブ6、巻上機モータ3a、及び巻上機ブレーキ3bを有している。巻上機モータ3aは、駆動シーブ6を回転させる。巻上機ブレーキ3bは、駆動シーブ6の回転を制動する。
駆動シーブ6及びそらせ車4には、懸架体としての複数本の主ロープ7が巻き掛けられている。主ロープ7の第1の端部には、かご8が接続されている。主ロープ7の第2の端部には、釣合おもり9が接続されている。
かご8及び釣合おもり9は、主ロープ7により昇降路1内に吊り下げられており、駆動シーブ6を回転させることにより昇降路1内を昇降する。制御装置5は、巻上機3を制御することにより、設定した速度でかご8を昇降させる。
昇降路1内には、一対のかごガイドレール10、及び一対の釣合おもりガイドレール11が設置されている。図1では、片側のかごガイドレール10及び片側の釣合おもりガイドレール11のみ示している。かごガイドレール10は、かご8の昇降を案内する。釣合おもりガイドレール11は、釣合おもり9の昇降を案内する。昇降路1の底部には、かご緩衝器12及び釣合おもり緩衝器13が設置されている。
かご8の下部には、非常止め装置14が搭載されている。非常止め装置14は、一対のかごガイドレール10を把持してかご8を非常停止させる。非常止め装置14は、かごガイドレール10を把持する一対の把持部(図示せず)を有している。非常止め装置14には、非常止め装置14を作動させる作動レバー15が設けられている。
機械室2には、調速機16が設けられている。調速機16は、かご8の過大速度での走行の有無を監視する。また、調速機16は、調速機シーブ17、過大速度検出スイッチ(図示せず)及びロープキャッチ(図示せず)等を有している。調速機シーブ17には、調速機ロープ18が巻き掛けられている。
調速機ロープ18は、昇降路1内に環状に敷設され、作動レバー15に接続されている。また、調速機ロープ18は、昇降路1の下部に配置された張り車19に巻き掛けられている。かご8が昇降すると、調速機ロープ18が循環移動し、かご8の走行速度に応じた回転速度で調速機シーブ17が回転する。
調速機16では、かご8の走行速度が過大速度に達したことが機械的に検出される。調速機16が検出する過大速度としては、定格速度Vrよりも高い第1の過大速度Vos、及び第1の過大速度よりも高い第2の過大速度Vtrが設定されている。
かご8の走行速度が第1の過大速度Vosに達すると、過大速度検出スイッチが操作される。これにより、巻上機3への給電が遮断され、巻上機ブレーキ3bが作動して、かご8が急停止する。
かご8の下降速度が第2の過大速度Vtrに達すると、ロープキャッチにより調速機ロープ18が把持され、調速機ロープ18の循環が停止される。これにより、作動レバー15が操作されて非常止め装置14が作動し、かご8が非常停止する。
次に、実施の形態1の非常止め装置14の検査方法について説明する。実施の形態1の検査方法では、まず釣合おもり9を突き下げる。この後、主ロープ7の一部に外力を加えてかご8を上昇させる。続いて、非常止め装置14を作動させる。この後、外力を解除して主ロープ7を緩ませる。そして、この状態で、駆動シーブ6を回転させる。
ここで、釣合おもり9を突き下げるとは、例えば以下の動作である。即ち、釣合おもり9を下降させ、釣合おもり9と釣合おもり緩衝機13とを直接接触させて、釣合おもり緩衝器13を圧縮する動作である。又は、釣合おもり緩衝器13を覆うカバー又は台を設置し、釣合おもり9を下降させ、カバー又は台に釣合おもり9を接触させる動作、即ちカバー又は台に釣合おもり9を載せる動作である。
図2〜5は実施の形態1の非常止め装置14の検査方法を示す説明図である。非常止め装置14の検査を行う場合、図2に示すように、巻上機3によりかご8を上昇させるとともに釣合おもり9を突き下げる。
また、機械室2内にジャッキ装置21を設置する。ジャッキ装置21は、例えば巻上機3を支持する巻上機台(図示せず)に対して支持具(図示せず)を介して支持され固定される。また、ジャッキ装置21は、主ロープ7の駆動シーブ6とそらせ車4の間の部分である渡り部7aに対して直角に配置される。
さらに、ジャッキ装置21は、ジャッキ本体22と、主ロープ7と同数のジャッキ用滑車23とを有している。各ジャッキ用滑車23は、ジャッキ本体22の先端に回転可能に設けられており、それぞれ対応する主ロープ7の渡り部7aの中間部に接している。ジャッキ用滑車23は、ジャッキ本体22により渡り部7aに対して直角の方向へ移動可能になっている。
ジャッキ装置21は、各ジャッキ用滑車23を別々のジャッキ本体22により移動させる構成としても、2個以上のジャッキ用滑車23を1個のジャッキ本体22により移動させる構成としてもよい。ジャッキ本体22としては、例えば機械式ジャッキ又は油圧ジャッキを用いることができる。また、ジャッキ装置21は、通常運転の妨げにならなければ、常設としてもよい。
この後、巻上機ブレーキ3bを解放し、図3に示すように、ジャッキ装置21により渡り部7aを斜め下方へ押す。これにより、渡り部7aの中間部が折り曲げられ、渡り部7aの経路長が長くなる。このとき、かご8は、無負荷状態であり釣合おもり9よりも軽く、かつ、巻上機ブレーキ3bが解放されているため、釣合おもり9の突き下げ状態が維持され、かご8が、渡り部7aの経路長の変化分だけ吊り上げられる。
続いて、図4に示すように、非常止め装置14を作動させる。そして、図5に示すように、ジャッキ装置21による渡り部7aへの押し付けを解除する。これにより、曲げられていた渡り部7aが直線状に戻る分だけ、主ロープ7が緩むことになる。なお、図5は理解を容易にするためにやや誇張して描いているが、実際には駆動シーブ6のロープ溝から主ロープ7が外れるほどは緩まない。
この状態で、巻上機モータ3aにより、かご8を下降させる方向へ駆動シーブ6を回転させる。そして、駆動シーブ6が主ロープ7に対して滑って空転するかどうかを確認する。
このような非常止め装置14の検査方法によれば、主ロープ7が緩み、主ロープ7の張力が低下するため、釣合おもり9を持ち上げることなく、駆動シーブ6を空転させるために必要な巻上機モータ3aのトルクを低下させることができる。これにより、巻上機モータ3a、及び巻上機モータ3aを駆動するためのインバータを小型化することができる。
また、主ロープ7を直角の方向へ押すことによりかご8を吊り上げるので、ジャッキ装置21に求められる力は、単に釣合おもり9を真上に持ち上げる場合に比べて小さく、例えば1/4程度である。このため、ジャッキ装置21を小型化することができ、ジャッキ装置21の搬入、搬出、設置及び撤去が容易である。
さらに、主ロープ7の渡り部7aを押すので、検査作業を機械室2内だけで行うことができる。
ここで、主ロープ7の張力をF、トラクション能力をΓ、主ロープ7の断面の直径をDとすると、駆動シーブ6の空転に必要なトルクTは次式で表される。
T=(1−1/Γ)F×D/2
よって、実施の形態1の検査方法による主ロープ7の張力変化をΔFとすると、駆動シーブ6の空転に必要なトルクの低下量、即ち差分ΔTは、次式で表される。
ΔT=(1−1/Γ)DΔF/2
また、渡り部7aの長さを2a、渡り部7aの押し込み長さをb、主ロープ7のヤング率をE、主ロープ7の断面積をS、主ロープ7の全長をLとすると、渡り部7aに対する押し込みを解除したときの経路長の変化Δl、張力変化ΔF、必要なトルクの低下量ΔTは、それぞれ以下の式で表される。
Figure 2018092308
Figure 2018092308
Figure 2018092308
実施の形態2.
次に、図6〜9はこの発明の実施の形態2の非常止め装置14の検査方法を示す説明図であり、エレベータ装置の構成は実施の形態1と同様である。実施の形態2では、実施の形態1とは逆方向から渡り部7aを押す。他の検査方法は、実施の形態1と同様である。
このように、渡り部7aを逆方向から押しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
次に、図10はこの発明の実施の形態3によるエレベータ装置の要部を示す斜視図である。実施の形態3では、3本の主ロープ7が駆動シーブ6及びそらせ車4にフルラップ方式で巻かれている。各主ロープ7は、駆動シーブ6及びそらせ車4に1周半巻かれている。このため、各主ロープ7は、駆動シーブ6とそらせ車との間に、第1の渡り部7b、第2の渡り部7c、及び第3の渡り部7dを有している。
第1の渡り部7bは、主ロープ7のかご8と駆動シーブ6との間の部分に繋がる部分である。第3の渡り部7dは、主ロープ7の釣合おもり9とそらせ車4との間の部分に繋がる部分である。第2の渡り部7cは、主ロープ7の第1の渡り部7bと第3の渡り部7dとの間に位置する部分である。
第1及び第3の渡り部7b,7dは、駆動シーブ6及びそらせ車4の上側に配置されている。第2の渡り部7cは、駆動シーブ6及びそらせ車4の下側に配置されている。エレベータ装置の他の構成は、実施の形態1と同様である。
次に、非常止め装置14の検査方法について説明する。検査方法の基本的な手順は、実施の形態1と同様であるが、フルラップ方式の場合、第1ないし第3の渡り部7b〜7dのどこを押すかで、例えば以下の3通りの方法がある。
第1の方法は、第1の渡り部7bと第3の渡り部7dとを押す方法である。この場合、第1及び第3の渡り部7b,7dに対する押し込みを解除したときの経路長の変化Δlは、実施の形態1のΔlを表す式の2倍となる。
第2の方法は、3本の主ロープ7の第3の渡り部7dのみを押す方法である。この場合、第1及び第3の渡り部7b,7dに対する押し込みを解除したときの経路長の変化Δlは、実施の形態1のΔlを表す式と同様である。
第3の方法は、第1ないし第3の渡り部7b〜7dの全てを押す方法である。例えば、図11に示すように、ジャッキ本体22の両側にジャッキ用滑車23が設けられているジャッキ装置21を駆動シーブ6とそらせ車4との間に配置して、第1及び第3の渡り部7b,7dと第2の渡り部7cとを、それらの間隔を拡げるように押すことができる。この場合、第1及び第3の渡り部7b,7dに対する押し込みを解除したときの経路長の変化Δlは、実施の形態1のΔlを表す式の3倍となる。
なお、張力変化ΔF、及び必要なトルクの低下量ΔTを表す式は、実施の形態1と同様である。
このようなフルラップ方式のエレベータ装置でも、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、第1及び第3の方法によれば、少ない押し込み量で十分な張力変化を得ることができる。
実施の形態4.
次に、図12〜15はこの発明の実施の形態4の非常止め装置14の検査方法を示す説明図であり、エレベータ装置の構成は実施の形態1と同様である。実施の形態4では、ジャッキ装置21により、主ロープ7のかご8と駆動シーブ6との間の部分を、主ロープ7に対して直角の方向に押す。他の検査方法は、実施の形態1と同様である。
このように、主ロープ7のかご8と駆動シーブ6との間の部分を押しても、釣合おもり9を持ち上げることなく、駆動シーブ6を空転させるために必要な巻上機モータ3aのトルクを低下させることができる。
実施の形態5.
次に、図16〜19はこの発明の実施の形態5の非常止め装置14の検査方法を示す説明図である。実施の形態5では、ジャッキ装置21により押し付けられていない状態で、主ロープ7のかご8と駆動シーブ6との間の部分に接する追加滑車24が設置されている。追加滑車24は、機械室2又は昇降路1の駆動シーブ6の真下に設置される。また、追加滑車24は、非常止め装置14の検査時に設置されるが、可能であれば常設としてもよい。
実施の形態5の上部滑車は、駆動シーブ6である。エレベータ装置の他の構成は、実施の形態1と同様である。また、非常止め装置14の検査方法は、実施の形態4と同様である。
このような非常止め装置14の検査方法では、実施の形態4と同様の効果に加えて、ジャッキ装置21により主ロープ7を押したときにかご8に水平方向の荷重が加わるのを防止することができる。
なお、実施の形態4、5では、主ロープ7のかご8と駆動シーブ6との間の部分を押したが、主ロープ7の釣合おもり9とそらせ車4との間の部分を押してもよい。この場合、上部滑車はそらせ車4であり、追加滑車24は、そらせ車4の真下に設置すればよい。
実施の形態6.
次に、図20〜23はこの発明の実施の形態6の非常止め装置14の検査方法を示す説明図である。実施の形態1〜5では1:1ローピング方式のエレベータ装置について説明したが、実施の形態6では、2:1ローピング方式のエレベータ装置について説明する。
かご8の下部には、第1及び第2のかご吊り車25a,25bが設けられている。釣合おもり9の上部には、釣合おもり吊り車26が設けられている。昇降路1の上部には、第1の綱止め27及び第2の綱止め28が設けられている。また、そらせ車4は用いられていない。
主ロープ7の第1の端部は、第1の綱止め27に接続されている。主ロープ7の第2の端部は、第2の綱止め28に接続されている。主ロープ7は、第1の端部側から順に、第1のかご吊り車25a、第2のかご吊り車25b、駆動シーブ6、釣合おもり吊り車26に巻き掛けられている。
ジャッキ装置21は、かご8に搭載されている。ジャッキ用滑車23は、主ロープ7の第1のかご吊り車25aと第2のかご吊り車25bとの間の部分に接している。ジャッキ装置21は、かご8に常設としても、非常止め装置14の検査時に設置してもよい。図ではジャッキ装置21が第1及び第2のかご吊り車25a,25bと干渉しているが、実際には干渉しない。エレベータ装置の他の構成は、実施の形態1と同様である。
実施の形態6では、ジャッキ装置21により、主ロープ7の第1のかご吊り車25aと第2のかご吊り車25bとの間の部分を、主ロープ7に対して直角の方向に押す。これにより、かご8が上昇する。他の検査方法は、実施の形態1と同様である。
実施の形態6の検査方法によっても、釣合おもり9を持ち上げることなく、駆動シーブ6を空転させるために必要な巻上機モータ3aのトルクを低下させることができる。
なお、2:1ローピング方式のエレベータ装置について、例えば実施の形態4、5に示したように、主ロープ7の第2のかご吊り車25bと駆動シーブ6との間の部分、又は釣合おもり吊り車26と駆動シーブ6との間の部分を押してもよい。この場合、実施の形態5に示したように、追加滑車24を用いてもよい。
実施の形態7.
次に、図24〜27はこの発明の実施の形態7の非常止め装置14の検査方法を示す説明図である。実施の形態7では、ジャッキ装置21により、主ロープ7の釣合おもり吊り車26と第2の綱止め28との間の部分を、主ロープ7に対して直角の方向に押す。これにより、かご8が上昇する。
また、第2の綱止め28の下方に、追加滑車24を設置している。ジャッキ装置21及び追加滑車24は、非常止め装置14の検査時に設置されるが、可能であれば常時設置としてもよい。エレベータ装置の他の構成、及び他の検査方法は実施の形態6と同様である。
このような非常止め装置14の検査方法では、実施の形態6と同様の効果に加えて、ジャッキ装置21により主ロープ7を押したときに釣合おもり9に水平方向の荷重が加わるのを防止することができる。
なお、主ロープ7の第1のかご吊り車25aと第1の綱止め27との間の部分を押してもよい。この場合も、追加滑車24を設置することで、かご8に水平方向の荷重が加わるのを防止できる。
また、追加滑車24は必ずしも用いなくてもよい。
さらに、実施の形態6、7では、巻上機3が昇降路1の上部に設置されている2:1ローピング方式のエレベータ装置を示したが、この発明は、巻上機3が昇降路1の下部に設置されている2:1ローピング方式のエレベータ装置にも適用できる。
実施の形態8.
次に、図28はこの発明の実施の形態8の非常止め装置14の検査方法を示す説明図である。実施の形態1〜7では、ジャッキ装置21により主ロープ7の一部に外力を加えたが、実施の形態8では、隣のエレベータを利用して主ロープ7の一部に外力を加え、かご8を上昇させる。
隣のエレベータは、非常止め装置14の検査を行うエレベータと同様に、駆動シーブ6A、そらせ車4A、主ロープ7A、かご8A、及び釣合おもり9A等を有している。隣のエレベータの釣合おもり9Aの真上には、ガイド滑車29が設置されている。ガイド滑車29は、非常止め装置14の検査時に設置されるが、可能であれば常設としてもよい。
渡り部7aには、補助滑車30が接している。補助滑車30には、可撓性の接続部材としてのワイヤ31の第1の端部が接続されている。ワイヤ31の中間部は、ガイド滑車29に巻き掛けられている。ワイヤ31の第2の端部は、隣のエレベータの釣合おもり9Aに接続されている。
この状態で、隣のエレベータで釣合おもり9Aを下降させることにより、ワイヤ31を介して補助滑車30が引っ張られ、渡り部7aに外力が加えられる。他の検査方法は、実施の形態1と同様である。
このように、隣のエレベータを利用して主ロープ7の一部に外力を加えてもよく、釣合おもり9を持ち上げることなく、駆動シーブ6を空転させるために必要な巻上機モータ3aのトルクを低下させることができる。また、ジャッキ装置21等の専用の駆動源を用いずに済む。
なお、実施の形態8では、渡り部7aに外力を加えたが、ガイド滑車29の数及び位置を変更することにより、例えば実施の形態2〜5に示したように、主ロープ7の他の部分に外力を加えたり、外力を加える方向を変化させたりすることもできる。
実施の形態9.
次に、図29はこの発明の実施の形態9の非常止め装置の検査方法を示す説明図である。実施の形態8では1:1ローピング方式のエレベータ装置を示したが、2:1ローピング方式のエレベータ装置においても、隣のエレベータを利用して主ロープ7の一部に外力を加えることができる。図29では、図28と同様に、隣のエレベータの機器に符号「A」を付している。
かご8の真下には、第1のガイド滑車32が設置されている。また、隣のエレベータの釣合おもり9Aの真上に第2のガイド滑車33が設置されている。補助滑車30は、主ロープ7の第1のかご吊り車25aと第2のかご吊り車25bとの間の部分に接している。
この状態で、隣のエレベータで釣合おもり9Aを下降させることにより、ワイヤ31を介して補助滑車30が引っ張られ、主ロープ7に外力が加えられる。これにより、かご8が上昇する。他の検査方法は、実施の形態1と同様である。
このように、2:1ローピング方式のエレベータ装置についても、隣のエレベータを利用して主ロープ7の一部に外力を加えることができ、釣合おもり9を持ち上げることなく、駆動シーブ6を空転させるために必要な巻上機モータ3aのトルクを低下させることができる。また、ジャッキ装置21等の専用の駆動源を用いずに済む。
なお、実施の形態9では、主ロープ7のかご8の下を通る部分に外力を加えたが、ガイド滑車29の数及び位置を変更することにより、例えば実施の形態7に示したように、主ロープ7の他の部分に外力を加えたり、外力を加える方向を変化させたりすることもできる。
また、実施の形態8、9では、ワイヤ31の第2の端部を釣合おもり9Aに接続したが、ガイド滑車29の数及び位置を変更することにより、ワイヤ31を隣のエレベータのかご8A側に接続してもよい。この場合も、ワイヤ31は、かご8A及び主ロープ7Aを介して釣合おもり9Aに接続されている。
実施の形態10.
次に、図30〜33はこの発明の実施の形態10の非常止め装置14の検査方法を示す説明図である。実施の形態10では、かご8の重量と釣合おもり9の重量とのアンバランスを利用して主ロープ7の一部に外力を加える。
非常止め装置14の検査を行う場合、まず図30に示すように、釣合おもり9の突き下げ位置から、主ロープ7の押し込み量に応じた距離hだけ上方の位置に移動させる。
この状態で、図31に示すように、主ロープ7の釣合おもり吊り車26と第2の綱止め28との間の部分に接する上部滑車34を設置する。また、上部滑車の下方に、主ロープ7に接する下部滑車35を設置する。
さらに、上部滑車34と下部滑車35との間に、ガイド滑車36を設置する。これら上部滑車34、下部滑車35及びガイド滑車36の回転軸は、昇降路1内に固定される。
また、主ロープ7の上部滑車34と下部滑車35との間の部分に接するように、補助滑車30を配置する。補助滑車30は、滑車ガイド(図示せず)を介して昇降路1内に支持されており、水平方向へ移動可能になっている。
さらに、ワイヤ31の中間部をガイド滑車36に掛ける。そして、ワイヤ31の第1の端部を補助滑車30に接続し、ワイヤ31の第2の端部を釣合おもり9に接続する。
この後、図32に示すように、巻上機ブレーキ3bを解放し、釣合おもり9を下降させる。これにより、ワイヤ31及び補助滑車30を介して主ロープ7の一部に外力が加えられるとともに、かご8が上昇する。
この後、非常止め装置14を作動させる。そして、図33に示すように、ワイヤ31を釣合おもり9から取り外し、補助滑車30を元の位置に戻す。これにより、補助滑車30からの外力が解除され、主ロープ7が緩む。
この状態で、巻上機モータ3aにより、かご8を下降させる方向へ駆動シーブ6を回転させる。そして、駆動シーブ6が主ロープ7に対して滑って空転するかどうかを確認する。
このように、かご8の重量と釣合おもり9の重量とのアンバランスを利用することによっても、主ロープ7の一部に外力を加えることができ、釣合おもり9を持ち上げることなく、駆動シーブ6を空転させるために必要な巻上機モータ3aのトルクを低下させることができる。また、ジャッキ装置21等の専用の駆動源を用いずに済む。
なお、実施の形態8〜10の接続部材はワイヤ31に限定されるものではなく、例えばロープ又はベルトであってもよい。
実施の形態11.
次に、図34〜37はこの発明の実施の形態11の非常止め装置14の検査方法を示す説明図である。実施の形態11では、主ロープ7の一部は、主ロープ7の第2の端部である。即ち、主ロープ7の第2の端部を持ち上げることにより、主ロープ7の一部に外力を加える。また、外力を解除する際には、主ロープ7の第2の端部を元の位置に下降させる。
第2の綱止め28には、主ロープ7の第2の端部を上下動させる可動機構37が設けられている。可動機構37としては、例えばジャッキ装置が用いられる。また、可動機構37は、非常止め装置14の検査時に設置しても、常設としてもよい。
非常止め装置14の検査を行う場合、図34に示すように、巻上機3によりかご8を上昇させるとともに釣合おもり9を突き下げる。
この後、図35に示すように、巻上機ブレーキ3bを解放し、可動機構37により主ロープ7の第2の端部を持ち上げる。これにより、かご8が上昇する。
続いて、図36に示すように、非常止め装置14を作動させる。そして、図37に示すように、可動機構37による持ち上げ力を解除し、主ロープ7の第2の端部を元の位置まで下降させる。これにより、主ロープ7の第2の端部を持ち上げていた分だけ、主ロープ7が緩むことになる。
この状態で、巻上機モータ3aにより、かご8を下降させる方向へ駆動シーブ6を回転させる。そして、駆動シーブ6が主ロープ7に対して滑って空転するかどうかを確認する。
このような方法によっても、釣合おもり9を持ち上げることなく、駆動シーブ6を空転させるために必要な巻上機モータ3aのトルクを低下させることができる。
実施の形態12.
次に、図38〜41はこの発明の実施の形態12の非常止め装置14の検査方法を示す説明図である。実施の形態12では、そらせ車4が上下動可能になっている。そして、そらせ車4を上昇させることにより、主ロープ7の一部、即ちそらせ車4に接している部分に外力を加える。また、外力を解除する際には、そらせ車4を元の位置に下降させる。
非常止め装置14の検査を行う場合、図38に示すように、巻上機3によりかご8を上昇させるとともに釣合おもり9を突き下げる。
この後、図39に示すように、巻上機ブレーキ3bを解放し、そらせ車4を上昇させる。即ち、そらせ車4を主ロープ7に押し付ける。これにより、かご8が上昇する。
続いて、図40に示すように、非常止め装置14を作動させる。そして、図41に示すように、そらせ車4を元の位置まで下降させる。即ち、そらせ車4による主ロープ7への押し付け力を解除する。これにより、主ロープ7が緩むことになる。
この状態で、巻上機モータ3aにより、かご8を下降させる方向へ駆動シーブ6を回転させる。そして、駆動シーブ6が主ロープ7に対して滑って空転するかどうかを確認する。
このような方法によっても、釣合おもり9を持ち上げることなく、駆動シーブ6を空転させるために必要な巻上機モータ3aのトルクを低下させることができる。
実施の形態13.
次に、図42〜45はこの発明の実施の形態13の非常止め装置14の検査方法を示す説明図である。実施の形態13では、第2のかご吊り車25bが上下動可能になっている。即ち、第2のかご吊り車25bは、可動吊り車である。
そして、第2のかご吊り車25bをかご8から離れる方向へ変位、即ち下降させることにより、主ロープ7の一部、即ち第2のかご吊り車25bに接している部分に外力を加える。また、外力を解除する際には、第2のかご吊り車25bをかご8に近付く方向へ戻す、即ち上昇させる。
非常止め装置14の検査を行う場合、図42に示すように、巻上機3によりかご8を上昇させるとともに釣合おもり9を突き下げる。
この後、図43に示すように、巻上機ブレーキ3bを解放し、第2のかご吊り車25bを下降させる。即ち、第2のかご吊り車25bを主ロープ7に押し付ける。これにより、かご8が上昇する。
続いて、図44に示すように、非常止め装置14を作動させる。そして、図45に示すように、第2のかご吊り車25bを元の位置まで上昇させる。即ち、第2のかご吊り車25bによる主ロープ7への押し付け力を解除する。これにより、主ロープ7が緩むことになる。
この状態で、巻上機モータ3aにより、かご8を下降させる方向へ駆動シーブ6を回転させる。そして、駆動シーブ6が主ロープ7に対して滑って空転するかどうかを確認する。
このような方法によっても、釣合おもり9を持ち上げることなく、駆動シーブ6を空転させるために必要な巻上機モータ3aのトルクを低下させることができる。
なお、第1のかご吊り車25aを可動吊り車としてもよい。
また、実施の形態1〜13では、懸架体として主ロープ7を示したが、懸架体はこれに限定されず、例えばベルトであってもよい。
さらに、この発明は、機械室レスエレベータ、ダブルデッキエレベータ、ワンシャフトマルチカー方式のエレベータなど、種々のタイプのエレベータに適用できる。
3 巻上機、4 そらせ車(上部滑車)、6 駆動シーブ(上部滑車)、7 主ロープ(懸架体)、8 かご、9 釣合おもり、9A 隣のエレベータの釣合おもり、13 釣合おもり緩衝器、14 非常止め装置、21 ジャッキ装置、23 ジャッキ用滑車、24 追加滑車、25a 第1のかご吊り車、25b 第2のかご吊り車(可動吊り車)、27 第1の綱止め、28 第2の綱止め、31 ワイヤ(接続部材)。

Claims (11)

  1. 釣合おもりを突き下げ、
    かご及び前記釣合おもりを吊り下げている懸架体の一部に外力を加えて前記かごを上昇させ、
    前記かごに搭載されている非常止め装置を作動させ、
    前記外力を解除して前記懸架体を緩ませ、
    巻上機の駆動シーブを回転させるエレベータの非常止め装置の検査方法。
  2. 前記懸架体の一部は、前記懸架体の前記駆動シーブとそらせ車との間の部分である請求項1記載のエレベータの非常止め装置の検査方法。
  3. 前記懸架体の一部は、前記駆動シーブ及びそらせ車のいずれか一方である上部滑車と、前記上部滑車の真下で前記懸架体に接するように設置された追加滑車との間の部分である請求項1記載のエレベータの非常止め装置の検査方法。
  4. 前記懸架体の一部は、前記かごに搭載されている第1のかご吊り車と第2のかご吊り車との間の部分である請求項1記載のエレベータの非常止め装置の検査方法。
  5. 前記懸架体の一部は、前記懸架体の端部が接続されている綱止めと、前記綱止めの真下で前記懸架体に接するように設置された追加滑車との間の部分である請求項1記載のエレベータの非常止め装置の検査方法。
  6. 前記懸架体に接するジャッキ用滑車を有するジャッキ装置により、前記懸架体の一部に外力を加える請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のエレベータの非常止め装置の検査方法。
  7. 隣のエレベータの釣合おもりと前記懸架体の一部とを、可撓性の接続部材を介して接続し、前記隣のエレベータの釣合おもりを下降させることにより前記懸架体の一部に外力を加える請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のエレベータの非常止め装置の検査方法。
  8. 前記懸架体の一部と前記釣合おもりとを可撓性の接続部材を用いて接続し、前記釣合おもりを突き下げることにより、前記釣合おもり緩衝器を圧縮するとともに、前記接続部材を介して前記懸架体の一部に外力を加える請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のエレベータの非常止め装置の検査方法。
  9. 前記懸架体の一部は、前記懸架体の端部であり、
    前記懸架体の端部を持ち上げることにより前記懸架体の一部に外力を加え、前記外力を解除する際には、前記懸架体の端部を下降させる請求項1記載のエレベータの非常止め装置の検査方法。
  10. 前記懸架体の一部は、前記懸架体のそらせ車に接している部分であり、
    前記そらせ車を上昇させることにより前記懸架体の一部に外力を加え、前記外力を解除する際には、前記そらせ車を下降させる請求項1記載のエレベータの非常止め装置の検査方法。
  11. 前記かごには、第1及び第2のかご吊り車が搭載されており、
    前記懸架体の一部は、前記第1及び第2のかご吊り車のいずれか一方である可動吊り車に接している部分であり、
    前記可動吊り車を前記かごから離れる方向へ変位させることにより、前記懸架体の一部に外力を加え、前記外力を解除する際には、前記可動吊り車を前記かごに近付く方向へ戻す請求項1記載のエレベータの非常止め装置の検査方法。
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