JP2004088971A - 電動機の駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機への通電を行う複数の出力端子の通電状態を設定する際に、電動機の駆動方向と逆向きのトルクがかかることをなくし、脱調のしにくい構成にする。
【解決手段】複数の電動機への通電を行う複数の出力端子の通電状態を設定する際、最初に、前記複数の電動機に共通に使用できる情報を含む信号を受信するシリアル通信端子で受信した前記信号を用いて前記通電状態の設定(A相コイル電流ILaの向きの切換え)を行い、次いで、各々の電動機の通電状態を設定するための信号を受信するものであって、各々の電動機毎に設けられた複数の端子で受信した前記信号を用いて前記通電状態の設定(デューティ比データの切換え)を行う。
【選択図】 図9
【解決手段】複数の電動機への通電を行う複数の出力端子の通電状態を設定する際、最初に、前記複数の電動機に共通に使用できる情報を含む信号を受信するシリアル通信端子で受信した前記信号を用いて前記通電状態の設定(A相コイル電流ILaの向きの切換え)を行い、次いで、各々の電動機の通電状態を設定するための信号を受信するものであって、各々の電動機毎に設けられた複数の端子で受信した前記信号を用いて前記通電状態の設定(デューティ比データの切換え)を行う。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラ等に具備される電動機の駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラ等における撮影機器のズーム動作、フォーカス動作、絞り値調整動作等には、各々に適したモータを駆動源として用いている。これらモータには、それぞれの仕様に適したドライバICが選定されている。最近では装置全体の小型化を図るために、複数のモータを駆動できるように、複数のドライバを1つのチップに集積したドライバICも作られてきている。
【0003】
しかし、この種の従来のドライバICは単に複数のドライバを1チップ化しただけであって、1チャンネルあたりの制御線数は同じであり、チャンネル数が増えるとパッケージの大きさ等に影響を与えるという欠点があった。だからといってシリアル通信で出力を制御する方法をとると、通信速度に多くの時間を要し、ステッピングモータのマイクロステップ駆動のような高速で出力を切換える制御は難しいものであった。
【0004】
上記の点に鑑み、本願出願人は、ステッピングモータをマイクロステップ駆動する場合、各コイルの電流の向きはシリアル通信で行い、電流量はPWM端子からの信号を直接入力してそのデューティ比で制御するような構成例とすることで、各モータを駆動するための制御線を少なくしつつ、高精度で制御できるドライバIC(駆動装置)を先願している(特願2002−249186号)。なお、この構成の詳細は、後述の図1〜図5を用いて説明するものと同様であり、ここではその詳細は省略する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
デジタルカメラでは絞り値を細かく設定するため、数枚の羽根で構成された絞り羽根が使用される場合があるが、このアクチュエータとしてしばしばステッピングモータが使用される。絞り羽根は一般的に機械的なガタを含んでおり、そのため常に同じ方向から同じように停止させる一制御を行い、メカニカルなヒステリシスやばらつき成分を抑制している。
【0006】
通常、ステッピングモータはシステムを制御する制御部であるマイクロコンピュータ内のタイマ割込み機能を使用して制御される。また、停止位置制御としてより細かく止まれるようにするため、マイクロステップ駆動が行われるが、製品によってはタイマ割込みの時間的制約により分割数を上げられない場合もある。
【0007】
そこで、上記提案のドライバICを用いて(シリアル通信とPWM端子からの信号を直接入力してステッピングモータの駆動を制御行うもの)、上記絞りモータをマイクロステップ駆動することが考えられる。
【0008】
しかしながら、シリアル通信とPWM端子からの信号のデューティ比の設定は同時に行えず、又デューティ比データを設定する時間に比べてシリアル通信のための処理時間が非常に長いため、図10を用いて後述するように、設定するタイミングによっては設定切換え時に進行方向と逆のトルクがかかってしまい、脱調する恐れが出てくるといった問題があった。
【0009】
(発明の目的)
本発明の目的は、電動機への通電を行う複数の出力端子の通電状態を設定する際に、電動機の駆動方向と逆向きのトルクがかかることをなくし、脱調のしにくい電動機の駆動装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の電動機への通電を行う複数の出力端子と、前記複数の電動機の通電状態を設定するための信号であって、前記複数の電動機に共通に使用できる情報を含む信号をシリアル通信で受信するシリアル通信端子と、各々の電動機の通電状態を設定するための信号を受信するものであって、各々の電動機毎に設けられた複数の端子と、前記シリアル通信端子で受信した信号と前記複数の端子で受信した信号とを用いて、前記出力端子の通電状態の設定を行う通電状態設定手段とを有し、前記通電状態設定手段は、前記出力端子の通電状態を設定する際、最初に前記シリアル通信端子で受信した信号を用いて前記通電状態の設定を行い、次いで前記複数の端子で受信した信号を用いて前記通電状態の設定を行う電動機の駆動装置とするものである。
【0011】
同じく上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、電動機への通電を行う出力端子と、前記出力端子を少なくとも、電流を流し込むプッシュ状態、電流を引き込むプル状態、または、電流の流れない状態、のいずれかに電流の向きを設定するための情報を含む信号をシリアル通信で受信するシリアル通信端子と、前記出力端子を流れる電流の大きさを設定する信号を受信するための複数の端子と、前記シリアル通信端子で受信した信号と前記複数の端子で受信した信号とを用いて、前記出力端子の通電状態の設定を行う通電状態設定手段とを有し、前記通電状態設定手段は、最初に前記シリアル通信端子で受信した信号を用いて前記出力端子の電流の向きを設定し、次いで前記複数の端子で受信した信号を用いて前記出力端子を流れる電流の大きさを設定することで、前記出力端子の通電状態を設定する電動機の駆動装置とするものである。
【0012】
同じく上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、複数の電動機への通電を行う複数の出力端子と、前記出力端子を少なくとも、電流を流し込むプッシュ状態、電流を引き込むプル状態、または、電流が流れない状態、のいずれかに電流の向きを設定するための情報と、どの電動機の通電状態を設定するかを選択するための選択情報とを含む信号をシリアル通信で受信するシリアル通信端子と、前記出力端子を流れる電流の大きさを設定する信号を受信するための複数の端子と、前記シリアル通信端子で受信した信号と前記複数の端子で受信した信号とを用いて、前記出力端子の通電状態の設定を行う通電状態設定手段とを有し、前記通電状態設定手段は、最初に前記シリアル通信端子で受信した信号を用いてどの電動機の通電状態を設定するかを設定するとともに該設定した電動機への通電を行う前記出力端子の電流の向きを設定し、次いで前記複数の端子で受信した信号を用いて前記出力端子を流れる電流の大きさを設定して、前記出力端子の通電状態を設定する電動機の駆動装置とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、デジタルカメラのズーム動作、フォーカス動作、絞り値調整動作の駆動源としてステッピングモータを用いたモータ駆動装置全体のブロック図である。
【0015】
同図において、1はモータを駆動するシステムを制御する制御部であり、デジタルカメラ内のCPUによって構成されている。2は制御部1からの信号によりモータを駆動する駆動信号を作るドライバICである。
3は複数枚のレンズで構成された撮影光学系のうち、ズームレンズの位置を移動させてズーム動作を行うためのズームモータであり、4は撮影光学系のうち、フォーカスレンズの位置を移動させてフォーカス動作を行うためのフォーカスモータであり、5は絞り羽根の開閉動作を行って、絞り値を調整するための絞りモータである。
【0016】
6,7はそれぞれズームモータ3のA相コイル、B相コイルであり、8,9はそれぞれフォーカスモータ4のA相コイル、B相コイルであり、10,11はそれぞれ絞りモータ5のA相コイル、B相コイルである。
【0017】
制御部1の出力ポートPORT1〜9からは、ドライバIC2に入力される信号S1〜S9が出力される。信号S1がPORT1からドライバIC2のCLK端子に入力され、信号S2がPORT2からドライバIC2のDATA端子に入力され、信号S3がPORT3からドライバIC2のSTB端子に入力される。S1がクロック信号(以下、CLK)、S2がデータ信号(以下、DATA)、S3がデータをラッチするためのストローブ信号(以下、STB)である。
【0018】
PORT4〜9からは信号S4〜S9がドライバIC2のPWM1〜6に入力され、これらの信号はドライバIC2の出力(OUT1A〜OUT6A,OUT1B〜OUT6B)を決定するために直接用いられる。
【0019】
図2は、本発明の実施の一形態におけるドライバIC2の内部構成を示すブロック図である。
【0020】
同図において、201はCLKの立上りに従ってDATAの値(ローレベルL又はハイレベルH)を順次シフトする6ビットシフトレジスタであり、端子D0〜D5を有している。端子D0〜D5から出力される信号を、それぞれP0〜P5とする。202はシフトレジスタ201の端子D4とD5から出力された信号P4とP5をデコードし、それをセレクト信号として出力するデコーダである。
【0021】
203,204,205はデコーダ202からデコードされた信号がH状態のときのみSTB信号を出力するAND回路である。デコーダ202のセレクト信号によって1つのAND回路のみにH信号が送られる。具体的には図4と図2から明らかなように、P5を0、P4を0とすればAND回路203が選択され、P5を0、P4を1とすればAND回路204が選択され、P5を1、P4を0とすればAND回路205が選択される。
【0022】
206,207,208はそれぞれAND回路203,204,205からのSTBの立上りにより、シフトレジスタ201の端子D0〜D3からの出力信号P0〜P3をラッチする4ビットのDフリップフロップ(以下、D−FF)であり、ラッチしたデータQ(3,0)を出力する。209〜214はD−FF206,207,208からの信号とPWM1〜6端子からの信号とにより出力状態を決定するためのドライブ回路である。
【0023】
図3(a)はドライブ回路209〜214の内部ブロックであり、301,302はNAND回路、303,304はAND回路、305はEXOR(排他的論理和)回路、306,308はPch型FET素子、307,309はNch型FET素子、310〜313は制御信号に従ってFET306〜309を駆動するプリドライバである。図3(a)に示す回路構成とすることで、図3(b)の入出力真理値表を得る。
【0024】
この入出力真理値表で入力IN1,IN2,PWMのL,Hの表示はその入力される信号レベルを表しており、出力OUT1,2のL,Hの表示はその端子の状態を表している。OUT1,2は、それぞれLであれば電流を引き込む状態(プル状態)、Hであれば電流を流し込む状態(プッシュ状態)、Zであればハイインピーダンス状態となる。OUT1とOUT2の一方がHで、他方がLのとき、Hの端子からLの端子に向かってコイルに電流が流れる。OUT1とOUT2が共にH、または、共にLであればコイルには緩やかな放電電流が流れ、電流をホールドする効果をもたらす。また、OUT1とOUT2が共にZであればコイルに電流は流れない。
【0025】
このOUT1とOUT2の一方がHで、他方がLである状態と、OUT1とOUT2が共にH、または、共にLである状態とを、高速で切換えることでコイルに流れる電流のデューティ比を制御することができる。
【0026】
図4を用いてシリアル動作について説明する。
【0027】
図4はシリアル通信のタイムチャートで、CLKの立上りエッジ(立下りエッジもしくは立上りと立下りの各エッジでもよい)と共に信号P0〜P5が順に取り込まれ、STBの立上りエッジで信号P4、P5で指定されるD−FFにて信号P0〜P3がラッチされ、ラッチされたデータがQ(3,0)として出力される。このデータQ(3,0)は指定されたD−FFに接続されるドライブ回路の端子IN1,IN2に入力される。
【0028】
このように、シリアル通信にて入力された信号P4、P5によってドライブ回路が選択され、信号P0〜P3によって、H状態の端子からL状態の端子に向かって電流を流す状態、コイルに放電電流を流す状態、あるいは、コイルに電流を流さない状態、のいずれが設定可能であるかが決定される。
【0029】
次にステッピングモータのマイクロステップ駆動を例にとり、モータの動作を説明する。
【0030】
図5は絞りモータ5の電気角1周を16分割するマイクロステップ正弦波駆動時の各信号のタイムチャートである。シリアル通信では各ステップのデューティ比を設定するだけの制御速度を達成することができないため、各ステップでのデューティ比はシリアル通信による信号とは別のPWM1〜6からの信号によって制御を行う。
【0031】
STBの立上りでA相コイル8、B相コイル9への電流の向きを交互に変更している。このとき、各相のコイルに流れる電流の向きが変更されるまでの期間を8等分した期間を1ステップとして、PWM3,4のデューティ比を変更する。このときのA相コイル、B相コイルに流れる電流はそれぞれILa、ILbとなり、絞りモータ5は電気角1周が16ステップからなるマイクロステップ正弦波駆動を行うことができる。
【0032】
具体的には、例えば、IN1がH、IN2がLのときに、PWMをHとLとで切換える。PWMがHに切換わるとOUT1がプッシュ状態、OUT2がプル状態となり、OUT1からOUT2に向かって電流が流れてコイルを流れる電流量が増える。PWMがLに切換わると、OUT1とOUT2が共にプル状態となり、放電電流が流れてコイルを流れる電流量が減る。これを交互に繰り返すと、PWMをHに設定した時間と、PWMをLに設定した時間との比に応じて、コイルを流れる電流量を略一定にすることができる。PWMをHに設定した時間と、PWMをLに設定した時間との比を、各ステップ毎に変化させることで、図5に示すようなILa,ILbを設定することができる。
【0033】
ここで、それぞれのコイルに流れる電流のデューティ比(PWM3,4からの信号の)が0%となる期間の前にDATA(P0〜P5)を転送し、デューティ比が0%となる期間でSTB信号を入力している。このため、電流の向きを切換える期間中はそのコイルには電流が流れておらず、この電流の向きの切換えによってモータのトルクに影響が出ることはない。したがって、この電流の向きの切換えのタイミングの精度はそれほど高い必要はなく、シリアル通信であるSTB信号でも十分対応できる。
【0034】
上記のように、ステッピングモータをマイクロステップ駆動する場合、各コイルの電流の向きはシリアル通信で行い、電流量はPWM端子からの信号を直接入力してそのデューティ比で制御することにより、各モータを駆動するための制御線を少なくしつつ、高精度で制御できるドライバICとすることができる。
【0035】
以上は、上記本願出願人による先願2002−249186号と同様の構成である。
【0036】
次に、本発明の実施の一形態における絞り位置制御について説明する。
【0037】
絞り羽根は絞り値をマイクロステップ駆動によりその分割数分自由に位置設定できるが、機械的なガタが大きいため、停止時の駆動状態を常に同じにする必要がある。
【0038】
図6は絞り駆動のベクトル変移図であり、T1〜5までのトルクベクトルは絞りモータ5のA相、B相の各コイル電流を変化させることで方向付けられ、絞りモータ5はそのトルクベクトルに従って移動する。ここで電気角1周を64分割するマイクロステップ駆動で、スタート位置をT1、停止位置をT5とし、T1からT2までが3ステップ、T2からT3までが8ステップ、T3からT4までが同じく8ステップ、T4からT5までが同じく8ステップであり、T1とT5間のマイクロステップ駆動でのステップ数は27ステップ分とする。
【0039】
図7はコイル電流を変化させて図6のトルクベクトルを発生させるための各信号のタイムチャートであり、絞りモータ5はT1の位置に励磁されており、その位置から、PWM端子からの信号(以下、PWM)のデューティ比を変化させ、A相コイルの電流方向をシリアル通信で変更する処理を行い、A相、B相の各コイル電流ILa,ILbを変化させ、図6のようなトルクベクトルの変化を実現し、絞りモータ5をアイクロステップ駆動している。
【0040】
上記のように、送りの刻みを8ステップにしているのは、制御部1、つまりCPUのタイマ割込みを速くできないためと、その分刻みを多くして速く動作させるためで、その幅は絞りの機械的なガタ及びヒステリシス等で決定される。最初に3ステップ分移動させているのは、上記8ステップ刻みで移動したときの余りステップ分を最初に移動させておくことで、停止時は必ず刻み幅(8ステップ分)移動して停止させるためである。こうすることにより、常に運動エネルギーを常に同じ状態にして停止動作させるため、機械的ガタがあってもその振動状況も同じになるため、同じ位置に停止する。
【0041】
図8は上記絞りモータ5のマイクロステップ駆動のタイマ割込みによるPWM信号のデューティ、電流方向の切換え(相切換え)を行うフローチャートである。
【0042】
ステップ#101でタイマ割込みがかかるとステップ#102へ進み、CPUは各コイルに流す電流量・向き・PWM信号のデューティ比を演算する。そして、次のステップ#103にて、電流の向きを変更するか否かを判定し、変更するときはステップ#104へ進み、シリアル通信で変更する相の電流方向を変更し、ステップ#105へ進む。変更しないときは直ちにステップ#105へ進む。
【0043】
ステップ#105では、A相コイルへのPWM信号のデューティ比を決定するCPU内のレジスタに先に演算したデューティ比データをセットし、続くステップ#106にて、B相コイルへのPWM信号のデューティ比を決定するCPU内のレジスタに先に演算したデューティ比データをセットして、ステップ#107でタイマ割込み処理を終わる。
【0044】
この図8のフローチャートをもとに、図7でのシリアル通信による電流方向切換え時を拡大したタイムチャートを図9に示す。
【0045】
まず、各相コイルへの電流演算処理時間を要し、次にシリアル通信処理時間中のSTB信号によりA相コイルの電流方向が切換えられ、A相コイルのPWMデューティ比設定時間を経てA相コイルの電流量は切換えられ、次にB相コイルのPWMデューティ比設定時間を経てB相コイルの電流量が切換えられる。このとき、図9に示すように、シリアル通信処理時間はPWM信号デューティ比設定時間より長くなる。
【0046】
したがって、図9に示すように、最初にPWM信号による各相コイルの電流量の切換え(デューティ比データの設定)を行い、次いでシリアル通信による電流方向の切換えを行うことで、トルクベクトルの進み方向は、図9の▲1▼〜▲4▼のように進行方向と同じ方向に推移していき、脱調しにくくなる。
【0047】
つまり、従来例で述べたようにシリアル通信とPWM信号のデューティ比の設定は同時に行えず、上記のようにデューティ比データを設定する時間に比べてシリアル通信のための処理時間が非常に長いため、シリアル通信で受信した信号とPWM信号を用いてステッピングモータへの通電状態を設定する際、最初にシリアル通信による電流方向の切換えを行い、次いでPWM信号による各相コイル電流量の切換えを行うと、図10に示すように、電流方向の切換えが行われないうちにデューティ比データの設定切換えが行われる事態が生じ、進行方向と逆のトルクがかかってしまい、脱調する恐れが出てくる虞があった。
【0048】
そこで、上記のように、最初にPWM信号による各相コイルの電流量の切換え(デューティ比データの設定)を行い、次いでシリアル通信による電流方向の切換えを行うようにして、トルクベクトルの進み方向が図9の▲1▼〜▲4▼のように進行方向と同じ方向に推移するようすることで、脱調しにくくなる構成にしている。これにより、従来のようにデューティ比データの設定するタイミングによっては設定切換え時に進行方向と逆向きのトルクがかかってしまうといったことがなくなり、ステッピングモータのマイクロステップ駆動を適正に行うことが可能となる。
【0049】
なお、図9において、▲3▼でのトルクベクトルは▲2▼に比べてトルクが増え、トルクリップルを与えるが、進行方向が同じでPWM信号のデータ設定時間は短いために余り影響を与えない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電動機への通電を行う複数の出力端子の通電状態を設定する際に、電動機の駆動方向と逆向きのトルクがかかることをなくし、脱調のしにくい電動機の駆動装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るデジタルカメラの駆動系の回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るドライバIC内部を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係るドライバ209〜214の内部構成を示すブロック図である
【図4】本発明の実施の一形態に係るシリアル通信のタイムチャートである。
【図5】本発明の実施の一形態に係るマイクロステップ駆動のタイムチャートである。
【図6】本発明の実施の一形態に係る絞り駆動によるトルクベクトル変移図である。
【図7】本発明の実施の一形態に係る絞り駆動のタイムチャートである。
【図8】本発明の実施の一形態に係る絞り駆動の相電流切換えのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の一形態に係る相切換え時の時間軸を拡大したタイムチャートである。
【図10】従来の相切換え時の時間軸を拡大したタイムチャートである。
【符号の説明】
1 制御部
2 ドライバIC
5 絞りモータ
201 シフトレジスタ
209〜214 ドライブ部
CLK クロック信号(シリアル通信端子)
DATA データ信号(シリアル通信端子)
STB ストローブ信号(シリアル通信端子)
OUT1A〜OUT6B 出力端子
PWM1〜PWM6 PWM信号(複数の端子)
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラ等に具備される電動機の駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラ等における撮影機器のズーム動作、フォーカス動作、絞り値調整動作等には、各々に適したモータを駆動源として用いている。これらモータには、それぞれの仕様に適したドライバICが選定されている。最近では装置全体の小型化を図るために、複数のモータを駆動できるように、複数のドライバを1つのチップに集積したドライバICも作られてきている。
【0003】
しかし、この種の従来のドライバICは単に複数のドライバを1チップ化しただけであって、1チャンネルあたりの制御線数は同じであり、チャンネル数が増えるとパッケージの大きさ等に影響を与えるという欠点があった。だからといってシリアル通信で出力を制御する方法をとると、通信速度に多くの時間を要し、ステッピングモータのマイクロステップ駆動のような高速で出力を切換える制御は難しいものであった。
【0004】
上記の点に鑑み、本願出願人は、ステッピングモータをマイクロステップ駆動する場合、各コイルの電流の向きはシリアル通信で行い、電流量はPWM端子からの信号を直接入力してそのデューティ比で制御するような構成例とすることで、各モータを駆動するための制御線を少なくしつつ、高精度で制御できるドライバIC(駆動装置)を先願している(特願2002−249186号)。なお、この構成の詳細は、後述の図1〜図5を用いて説明するものと同様であり、ここではその詳細は省略する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
デジタルカメラでは絞り値を細かく設定するため、数枚の羽根で構成された絞り羽根が使用される場合があるが、このアクチュエータとしてしばしばステッピングモータが使用される。絞り羽根は一般的に機械的なガタを含んでおり、そのため常に同じ方向から同じように停止させる一制御を行い、メカニカルなヒステリシスやばらつき成分を抑制している。
【0006】
通常、ステッピングモータはシステムを制御する制御部であるマイクロコンピュータ内のタイマ割込み機能を使用して制御される。また、停止位置制御としてより細かく止まれるようにするため、マイクロステップ駆動が行われるが、製品によってはタイマ割込みの時間的制約により分割数を上げられない場合もある。
【0007】
そこで、上記提案のドライバICを用いて(シリアル通信とPWM端子からの信号を直接入力してステッピングモータの駆動を制御行うもの)、上記絞りモータをマイクロステップ駆動することが考えられる。
【0008】
しかしながら、シリアル通信とPWM端子からの信号のデューティ比の設定は同時に行えず、又デューティ比データを設定する時間に比べてシリアル通信のための処理時間が非常に長いため、図10を用いて後述するように、設定するタイミングによっては設定切換え時に進行方向と逆のトルクがかかってしまい、脱調する恐れが出てくるといった問題があった。
【0009】
(発明の目的)
本発明の目的は、電動機への通電を行う複数の出力端子の通電状態を設定する際に、電動機の駆動方向と逆向きのトルクがかかることをなくし、脱調のしにくい電動機の駆動装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の電動機への通電を行う複数の出力端子と、前記複数の電動機の通電状態を設定するための信号であって、前記複数の電動機に共通に使用できる情報を含む信号をシリアル通信で受信するシリアル通信端子と、各々の電動機の通電状態を設定するための信号を受信するものであって、各々の電動機毎に設けられた複数の端子と、前記シリアル通信端子で受信した信号と前記複数の端子で受信した信号とを用いて、前記出力端子の通電状態の設定を行う通電状態設定手段とを有し、前記通電状態設定手段は、前記出力端子の通電状態を設定する際、最初に前記シリアル通信端子で受信した信号を用いて前記通電状態の設定を行い、次いで前記複数の端子で受信した信号を用いて前記通電状態の設定を行う電動機の駆動装置とするものである。
【0011】
同じく上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、電動機への通電を行う出力端子と、前記出力端子を少なくとも、電流を流し込むプッシュ状態、電流を引き込むプル状態、または、電流の流れない状態、のいずれかに電流の向きを設定するための情報を含む信号をシリアル通信で受信するシリアル通信端子と、前記出力端子を流れる電流の大きさを設定する信号を受信するための複数の端子と、前記シリアル通信端子で受信した信号と前記複数の端子で受信した信号とを用いて、前記出力端子の通電状態の設定を行う通電状態設定手段とを有し、前記通電状態設定手段は、最初に前記シリアル通信端子で受信した信号を用いて前記出力端子の電流の向きを設定し、次いで前記複数の端子で受信した信号を用いて前記出力端子を流れる電流の大きさを設定することで、前記出力端子の通電状態を設定する電動機の駆動装置とするものである。
【0012】
同じく上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、複数の電動機への通電を行う複数の出力端子と、前記出力端子を少なくとも、電流を流し込むプッシュ状態、電流を引き込むプル状態、または、電流が流れない状態、のいずれかに電流の向きを設定するための情報と、どの電動機の通電状態を設定するかを選択するための選択情報とを含む信号をシリアル通信で受信するシリアル通信端子と、前記出力端子を流れる電流の大きさを設定する信号を受信するための複数の端子と、前記シリアル通信端子で受信した信号と前記複数の端子で受信した信号とを用いて、前記出力端子の通電状態の設定を行う通電状態設定手段とを有し、前記通電状態設定手段は、最初に前記シリアル通信端子で受信した信号を用いてどの電動機の通電状態を設定するかを設定するとともに該設定した電動機への通電を行う前記出力端子の電流の向きを設定し、次いで前記複数の端子で受信した信号を用いて前記出力端子を流れる電流の大きさを設定して、前記出力端子の通電状態を設定する電動機の駆動装置とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、デジタルカメラのズーム動作、フォーカス動作、絞り値調整動作の駆動源としてステッピングモータを用いたモータ駆動装置全体のブロック図である。
【0015】
同図において、1はモータを駆動するシステムを制御する制御部であり、デジタルカメラ内のCPUによって構成されている。2は制御部1からの信号によりモータを駆動する駆動信号を作るドライバICである。
3は複数枚のレンズで構成された撮影光学系のうち、ズームレンズの位置を移動させてズーム動作を行うためのズームモータであり、4は撮影光学系のうち、フォーカスレンズの位置を移動させてフォーカス動作を行うためのフォーカスモータであり、5は絞り羽根の開閉動作を行って、絞り値を調整するための絞りモータである。
【0016】
6,7はそれぞれズームモータ3のA相コイル、B相コイルであり、8,9はそれぞれフォーカスモータ4のA相コイル、B相コイルであり、10,11はそれぞれ絞りモータ5のA相コイル、B相コイルである。
【0017】
制御部1の出力ポートPORT1〜9からは、ドライバIC2に入力される信号S1〜S9が出力される。信号S1がPORT1からドライバIC2のCLK端子に入力され、信号S2がPORT2からドライバIC2のDATA端子に入力され、信号S3がPORT3からドライバIC2のSTB端子に入力される。S1がクロック信号(以下、CLK)、S2がデータ信号(以下、DATA)、S3がデータをラッチするためのストローブ信号(以下、STB)である。
【0018】
PORT4〜9からは信号S4〜S9がドライバIC2のPWM1〜6に入力され、これらの信号はドライバIC2の出力(OUT1A〜OUT6A,OUT1B〜OUT6B)を決定するために直接用いられる。
【0019】
図2は、本発明の実施の一形態におけるドライバIC2の内部構成を示すブロック図である。
【0020】
同図において、201はCLKの立上りに従ってDATAの値(ローレベルL又はハイレベルH)を順次シフトする6ビットシフトレジスタであり、端子D0〜D5を有している。端子D0〜D5から出力される信号を、それぞれP0〜P5とする。202はシフトレジスタ201の端子D4とD5から出力された信号P4とP5をデコードし、それをセレクト信号として出力するデコーダである。
【0021】
203,204,205はデコーダ202からデコードされた信号がH状態のときのみSTB信号を出力するAND回路である。デコーダ202のセレクト信号によって1つのAND回路のみにH信号が送られる。具体的には図4と図2から明らかなように、P5を0、P4を0とすればAND回路203が選択され、P5を0、P4を1とすればAND回路204が選択され、P5を1、P4を0とすればAND回路205が選択される。
【0022】
206,207,208はそれぞれAND回路203,204,205からのSTBの立上りにより、シフトレジスタ201の端子D0〜D3からの出力信号P0〜P3をラッチする4ビットのDフリップフロップ(以下、D−FF)であり、ラッチしたデータQ(3,0)を出力する。209〜214はD−FF206,207,208からの信号とPWM1〜6端子からの信号とにより出力状態を決定するためのドライブ回路である。
【0023】
図3(a)はドライブ回路209〜214の内部ブロックであり、301,302はNAND回路、303,304はAND回路、305はEXOR(排他的論理和)回路、306,308はPch型FET素子、307,309はNch型FET素子、310〜313は制御信号に従ってFET306〜309を駆動するプリドライバである。図3(a)に示す回路構成とすることで、図3(b)の入出力真理値表を得る。
【0024】
この入出力真理値表で入力IN1,IN2,PWMのL,Hの表示はその入力される信号レベルを表しており、出力OUT1,2のL,Hの表示はその端子の状態を表している。OUT1,2は、それぞれLであれば電流を引き込む状態(プル状態)、Hであれば電流を流し込む状態(プッシュ状態)、Zであればハイインピーダンス状態となる。OUT1とOUT2の一方がHで、他方がLのとき、Hの端子からLの端子に向かってコイルに電流が流れる。OUT1とOUT2が共にH、または、共にLであればコイルには緩やかな放電電流が流れ、電流をホールドする効果をもたらす。また、OUT1とOUT2が共にZであればコイルに電流は流れない。
【0025】
このOUT1とOUT2の一方がHで、他方がLである状態と、OUT1とOUT2が共にH、または、共にLである状態とを、高速で切換えることでコイルに流れる電流のデューティ比を制御することができる。
【0026】
図4を用いてシリアル動作について説明する。
【0027】
図4はシリアル通信のタイムチャートで、CLKの立上りエッジ(立下りエッジもしくは立上りと立下りの各エッジでもよい)と共に信号P0〜P5が順に取り込まれ、STBの立上りエッジで信号P4、P5で指定されるD−FFにて信号P0〜P3がラッチされ、ラッチされたデータがQ(3,0)として出力される。このデータQ(3,0)は指定されたD−FFに接続されるドライブ回路の端子IN1,IN2に入力される。
【0028】
このように、シリアル通信にて入力された信号P4、P5によってドライブ回路が選択され、信号P0〜P3によって、H状態の端子からL状態の端子に向かって電流を流す状態、コイルに放電電流を流す状態、あるいは、コイルに電流を流さない状態、のいずれが設定可能であるかが決定される。
【0029】
次にステッピングモータのマイクロステップ駆動を例にとり、モータの動作を説明する。
【0030】
図5は絞りモータ5の電気角1周を16分割するマイクロステップ正弦波駆動時の各信号のタイムチャートである。シリアル通信では各ステップのデューティ比を設定するだけの制御速度を達成することができないため、各ステップでのデューティ比はシリアル通信による信号とは別のPWM1〜6からの信号によって制御を行う。
【0031】
STBの立上りでA相コイル8、B相コイル9への電流の向きを交互に変更している。このとき、各相のコイルに流れる電流の向きが変更されるまでの期間を8等分した期間を1ステップとして、PWM3,4のデューティ比を変更する。このときのA相コイル、B相コイルに流れる電流はそれぞれILa、ILbとなり、絞りモータ5は電気角1周が16ステップからなるマイクロステップ正弦波駆動を行うことができる。
【0032】
具体的には、例えば、IN1がH、IN2がLのときに、PWMをHとLとで切換える。PWMがHに切換わるとOUT1がプッシュ状態、OUT2がプル状態となり、OUT1からOUT2に向かって電流が流れてコイルを流れる電流量が増える。PWMがLに切換わると、OUT1とOUT2が共にプル状態となり、放電電流が流れてコイルを流れる電流量が減る。これを交互に繰り返すと、PWMをHに設定した時間と、PWMをLに設定した時間との比に応じて、コイルを流れる電流量を略一定にすることができる。PWMをHに設定した時間と、PWMをLに設定した時間との比を、各ステップ毎に変化させることで、図5に示すようなILa,ILbを設定することができる。
【0033】
ここで、それぞれのコイルに流れる電流のデューティ比(PWM3,4からの信号の)が0%となる期間の前にDATA(P0〜P5)を転送し、デューティ比が0%となる期間でSTB信号を入力している。このため、電流の向きを切換える期間中はそのコイルには電流が流れておらず、この電流の向きの切換えによってモータのトルクに影響が出ることはない。したがって、この電流の向きの切換えのタイミングの精度はそれほど高い必要はなく、シリアル通信であるSTB信号でも十分対応できる。
【0034】
上記のように、ステッピングモータをマイクロステップ駆動する場合、各コイルの電流の向きはシリアル通信で行い、電流量はPWM端子からの信号を直接入力してそのデューティ比で制御することにより、各モータを駆動するための制御線を少なくしつつ、高精度で制御できるドライバICとすることができる。
【0035】
以上は、上記本願出願人による先願2002−249186号と同様の構成である。
【0036】
次に、本発明の実施の一形態における絞り位置制御について説明する。
【0037】
絞り羽根は絞り値をマイクロステップ駆動によりその分割数分自由に位置設定できるが、機械的なガタが大きいため、停止時の駆動状態を常に同じにする必要がある。
【0038】
図6は絞り駆動のベクトル変移図であり、T1〜5までのトルクベクトルは絞りモータ5のA相、B相の各コイル電流を変化させることで方向付けられ、絞りモータ5はそのトルクベクトルに従って移動する。ここで電気角1周を64分割するマイクロステップ駆動で、スタート位置をT1、停止位置をT5とし、T1からT2までが3ステップ、T2からT3までが8ステップ、T3からT4までが同じく8ステップ、T4からT5までが同じく8ステップであり、T1とT5間のマイクロステップ駆動でのステップ数は27ステップ分とする。
【0039】
図7はコイル電流を変化させて図6のトルクベクトルを発生させるための各信号のタイムチャートであり、絞りモータ5はT1の位置に励磁されており、その位置から、PWM端子からの信号(以下、PWM)のデューティ比を変化させ、A相コイルの電流方向をシリアル通信で変更する処理を行い、A相、B相の各コイル電流ILa,ILbを変化させ、図6のようなトルクベクトルの変化を実現し、絞りモータ5をアイクロステップ駆動している。
【0040】
上記のように、送りの刻みを8ステップにしているのは、制御部1、つまりCPUのタイマ割込みを速くできないためと、その分刻みを多くして速く動作させるためで、その幅は絞りの機械的なガタ及びヒステリシス等で決定される。最初に3ステップ分移動させているのは、上記8ステップ刻みで移動したときの余りステップ分を最初に移動させておくことで、停止時は必ず刻み幅(8ステップ分)移動して停止させるためである。こうすることにより、常に運動エネルギーを常に同じ状態にして停止動作させるため、機械的ガタがあってもその振動状況も同じになるため、同じ位置に停止する。
【0041】
図8は上記絞りモータ5のマイクロステップ駆動のタイマ割込みによるPWM信号のデューティ、電流方向の切換え(相切換え)を行うフローチャートである。
【0042】
ステップ#101でタイマ割込みがかかるとステップ#102へ進み、CPUは各コイルに流す電流量・向き・PWM信号のデューティ比を演算する。そして、次のステップ#103にて、電流の向きを変更するか否かを判定し、変更するときはステップ#104へ進み、シリアル通信で変更する相の電流方向を変更し、ステップ#105へ進む。変更しないときは直ちにステップ#105へ進む。
【0043】
ステップ#105では、A相コイルへのPWM信号のデューティ比を決定するCPU内のレジスタに先に演算したデューティ比データをセットし、続くステップ#106にて、B相コイルへのPWM信号のデューティ比を決定するCPU内のレジスタに先に演算したデューティ比データをセットして、ステップ#107でタイマ割込み処理を終わる。
【0044】
この図8のフローチャートをもとに、図7でのシリアル通信による電流方向切換え時を拡大したタイムチャートを図9に示す。
【0045】
まず、各相コイルへの電流演算処理時間を要し、次にシリアル通信処理時間中のSTB信号によりA相コイルの電流方向が切換えられ、A相コイルのPWMデューティ比設定時間を経てA相コイルの電流量は切換えられ、次にB相コイルのPWMデューティ比設定時間を経てB相コイルの電流量が切換えられる。このとき、図9に示すように、シリアル通信処理時間はPWM信号デューティ比設定時間より長くなる。
【0046】
したがって、図9に示すように、最初にPWM信号による各相コイルの電流量の切換え(デューティ比データの設定)を行い、次いでシリアル通信による電流方向の切換えを行うことで、トルクベクトルの進み方向は、図9の▲1▼〜▲4▼のように進行方向と同じ方向に推移していき、脱調しにくくなる。
【0047】
つまり、従来例で述べたようにシリアル通信とPWM信号のデューティ比の設定は同時に行えず、上記のようにデューティ比データを設定する時間に比べてシリアル通信のための処理時間が非常に長いため、シリアル通信で受信した信号とPWM信号を用いてステッピングモータへの通電状態を設定する際、最初にシリアル通信による電流方向の切換えを行い、次いでPWM信号による各相コイル電流量の切換えを行うと、図10に示すように、電流方向の切換えが行われないうちにデューティ比データの設定切換えが行われる事態が生じ、進行方向と逆のトルクがかかってしまい、脱調する恐れが出てくる虞があった。
【0048】
そこで、上記のように、最初にPWM信号による各相コイルの電流量の切換え(デューティ比データの設定)を行い、次いでシリアル通信による電流方向の切換えを行うようにして、トルクベクトルの進み方向が図9の▲1▼〜▲4▼のように進行方向と同じ方向に推移するようすることで、脱調しにくくなる構成にしている。これにより、従来のようにデューティ比データの設定するタイミングによっては設定切換え時に進行方向と逆向きのトルクがかかってしまうといったことがなくなり、ステッピングモータのマイクロステップ駆動を適正に行うことが可能となる。
【0049】
なお、図9において、▲3▼でのトルクベクトルは▲2▼に比べてトルクが増え、トルクリップルを与えるが、進行方向が同じでPWM信号のデータ設定時間は短いために余り影響を与えない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電動機への通電を行う複数の出力端子の通電状態を設定する際に、電動機の駆動方向と逆向きのトルクがかかることをなくし、脱調のしにくい電動機の駆動装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るデジタルカメラの駆動系の回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るドライバIC内部を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係るドライバ209〜214の内部構成を示すブロック図である
【図4】本発明の実施の一形態に係るシリアル通信のタイムチャートである。
【図5】本発明の実施の一形態に係るマイクロステップ駆動のタイムチャートである。
【図6】本発明の実施の一形態に係る絞り駆動によるトルクベクトル変移図である。
【図7】本発明の実施の一形態に係る絞り駆動のタイムチャートである。
【図8】本発明の実施の一形態に係る絞り駆動の相電流切換えのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の一形態に係る相切換え時の時間軸を拡大したタイムチャートである。
【図10】従来の相切換え時の時間軸を拡大したタイムチャートである。
【符号の説明】
1 制御部
2 ドライバIC
5 絞りモータ
201 シフトレジスタ
209〜214 ドライブ部
CLK クロック信号(シリアル通信端子)
DATA データ信号(シリアル通信端子)
STB ストローブ信号(シリアル通信端子)
OUT1A〜OUT6B 出力端子
PWM1〜PWM6 PWM信号(複数の端子)
Claims (5)
- 複数の電動機への通電を行う複数の出力端子と、前記複数の電動機の通電状態を設定するための信号であって、前記複数の電動機に共通に使用できる情報を含む信号をシリアル通信で受信するシリアル通信端子と、各々の電動機の通電状態を設定するための信号を受信するものであって、各々の電動機毎に設けられた複数の端子と、前記シリアル通信端子で受信した信号と前記複数の端子で受信した信号とを用いて、前記出力端子の通電状態の設定を行う通電状態設定手段とを有し、
前記通電状態設定手段は、前記出力端子の通電状態を設定する際、最初に前記シリアル通信端子で受信した信号を用いて前記通電状態の設定を行い、次いで前記複数の端子で受信した信号を用いて前記通電状態の設定を行うことを特徴とする電動機の駆動装置。 - 前記シリアル通信端子で受信する信号は、データ信号と、該データ信号をクロックの立上りエッジ又は立下りエッジ又はその両エッジで読み取るためのクロック信号と、データの確定を行うストローブ信号とにより構成されており、
前記通電状態設定手段は、最初に前記ストローブ信号でデータ確定をして前記通電状態の出力状態を設定し、次いで前記複数の端子で受信した信号を用いて前記通電状態の設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の電動機の駆動装置。 - 電動機への通電を行う出力端子と、前記出力端子を少なくとも、電流を流し込むプッシュ状態、電流を引き込むプル状態、または、電流の流れない状態、のいずれかに電流の向きを設定するための情報を含む信号をシリアル通信で受信するシリアル通信端子と、前記出力端子を流れる電流の大きさを設定する信号を受信するための複数の端子と、前記シリアル通信端子で受信した信号と前記複数の端子で受信した信号とを用いて、前記出力端子の通電状態の設定を行う通電状態設定手段とを有し、
前記通電状態設定手段は、最初に前記シリアル通信端子で受信した信号を用いて前記出力端子の電流の向きを設定し、次いで前記複数の端子で受信した信号を用いて前記出力端子を流れる電流の大きさを設定することで、前記出力端子の通電状態を設定することを特徴とする電動機の駆動装置。 - 複数の電動機への通電を行う複数の出力端子と、前記出力端子を少なくとも、電流を流し込むプッシュ状態、電流を引き込むプル状態、または、電流が流れない状態、のいずれかに電流の向きを設定するための情報と、どの電動機の通電状態を設定するかを選択するための選択情報とを含む信号をシリアル通信で受信するシリアル通信端子と、前記出力端子を流れる電流の大きさを設定する信号を受信するための複数の端子と、前記シリアル通信端子で受信した信号と前記複数の端子で受信した信号とを用いて、前記出力端子の通電状態の設定を行う通電状態設定手段とを有し、
前記通電状態設定手段は、最初に前記シリアル通信端子で受信した信号を用いてどの電動機の通電状態を設定するかを設定するとともに該設定した電動機への通電を行う前記出力端子の電流の向きを設定し、次いで前記複数の端子で受信した信号を用いて前記出力端子を流れる電流の大きさを設定して、前記出力端子の通電状態を設定することを特徴とする電動機の駆動装置。 - 前記通電状態設定手段は、一定時間毎の割込み処理により前記出力端子の通電状態の設定を行うものであることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の電動機の駆動装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007221974A (ja) * | 2006-02-20 | 2007-08-30 | Rohm Co Ltd | ステッピングモータ駆動装置および方法ならびにそれらを用いた電子機器 |
-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002249914A patent/JP2004088971A/ja active Pending
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