JP2004087130A - 有機電界発光素子及びその製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子及びその製造方法 Download PDF

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佐合 拓己
Hiroshi Nakamura
中村 寛
Tetsuzo Miki
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Abstract

【課題】高い発光効率を有し、しかも色純度も高い赤色光を発光することが可能な有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】透明電極24と金属電極36の間に4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンよりなる正孔注入層26と、有機薄膜よりなる赤色発光層30とを少なくとも有し、前記透明電極と前記金属電極の間に電圧を印加して前記赤色発光層に電流を流すことにより発光させて、発光光を外部に取り出す。これにより、高い発光効率を有し、しかも色純度も高い赤色光を発光する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤色を発光する有機電界発光素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機電界発光素子の陽極側の正孔注入にかかわる構成としては特許2851185号に記載されたものが知られている。図5は従来の有機電界発光素子の一例を示す構成図である。
図示するように、この有機電界素子は、例えば透明なガラス板よりなる透明基板2を有する。そして、この透明基板2上に、陽極となる透明電極4、正孔注入層6、正孔輸送層8、発光層10、電子注入・輸送層12及び陰極となる金属電極14が順次積層して形成されている。
ここで上記正孔注入層6として例えば銅フタロシアニンが用いられ、正孔輸送層8として例えばN,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジンが用いられ、これらの各層6、8が透明電極4と発光層10との間に形成された構成となっている。
【0003】
上記銅フタロシアニン以外の正孔注入層6の材料としては、特許3016896号に記載された、スタ−バ−スト型のトリフェニルアミン化合物が知られている。しかし、上述したような有機化合物の薄膜を構成中に有する有機電界発光素子が高温環境下や発熱環境下において使用される場合には、有機化合物の薄膜が劣化して製品の寿命が短くなるという問題点があり、環境安定性が求められていた。
そして、この問題を解決した正孔注入層6の材料として、化1に示すような4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンが、安全性に不安がなく、かつ環境安定性に優れた性能を発揮することから提案されている(特開2001−213851号)。
【0004】
【化1】
Figure 2004087130
【0005】
また、上記問題を解決した正孔輸送層8の材料として、化2に示すようなN,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジンなどの一般式[化3]で表されるベンジジン2量体が、環境安定性に優れた性能を発揮することから提案されている(特許3194657号)。
【0006】
【化2】
Figure 2004087130
【0007】
【化3】
Figure 2004087130
【0008】
ただし、R 、R 、R は水素原子、低級アルキル基、または低級アルコキシ基、R は水素原子、メチル基、メトキシ基、またはクロル原子を表す。またXは以下の化4に示す構造を有する置換基を表す。
【0009】
【化4】
Figure 2004087130
【0010】
このうち、R は水素原子、メチル基、メトキシ基、またはクロル原子を表す。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、有機電界発光素子においては、環境安定性が良く素子寿命が長いことが求められている。特に、赤色を発光する有機電界発光素子においては、他の緑色、青色に比較して効率が一般的に低く、また従来の素子より発生する赤色の色純度は低く、本来の赤色が得られないといった問題がある。このため、赤色の発光をする素子においては、併せて高い発光効率と高い色純度が要求されている。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものであり、その目的は、高い発光効率を有し、しかも色純度も高い赤色光を発光することが可能な有機電界発光素子及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明電極と金属電極の間に4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンよりなる正孔注入層と、有機薄膜よりなる赤色発光層とを少なくとも有し、前記透明電極と前記金属電極の間に電圧を印加して前記赤色発光層に電流を流すことにより発光させて、発光光を外部に取り出すことを特徴とする有機電界発光素子である。
このように、本発明は、赤色発光を素子の外部へとりだす光路上にある正孔注入層の材料を、従来の赤色に吸収を有する材料から吸収を有さない材料に変更して、赤色の波長に対して吸収が小さい正孔注入層を形成するように構成したものである。
【0013】
これにより、素子寿命が長く、高い発光効率をもち、色純度がより高い、赤色発光の有機電界発光素子が得られる。
従来の正孔注入層の材料である銅フタロシアニンは、赤色の波長である500から700nmの波長域に吸収を有する。このため発光層で600nmから630nmの波長で赤色発光した光を吸収してしまう。本発明者等は正孔注入層における赤色光の吸収を重視して、可視域の光に対してほとんど吸収のない正孔注入層の材料を用いて、有機電界発光素子を構成することを鋭意検討した。
その結果、特開2001−213851号に記載された4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンを、赤色発光用の素子の正孔注入層に用いることにより、高い発光効率をもち、色純度がより高くなり、素子寿命の長い有機電界発光素子が得られる事を知見して本発明を完成させた。
【0014】
本発明では、4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンよりなる正孔注入層が、赤色の波長に対して吸収が小さいことによって、赤色発光層において発光した赤色光に影響を与えないで素子の外部にとりだすことが可能になるという作用を有する。
また、正孔輸送層を設ける場合には、この正孔輸送層の材料としては、4,4’,4’’−トリス{N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリ フェニルアミンより仕事関数が低い化合物が好ましく、特に特許公報3194657に記載されているように、一般式として前記[化3]で表されるベンジジン2量体を使用する事がより好ましい。
【0015】
本発明に好適なベンジジン2量体の具体例として、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン[化2]、N,N’−ビス{N−フェニル−N−(p−t ert−ブチルフェニル)−4’−アミノ−4−ビフェニリル}−N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ビス(4−ジフェニルアミノ−4’−ビフェニル)−N,N’−ジフェニル−9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどを挙げる事ができる。
本発明の構成の素子によって、環境安定性に優れた、素子寿命の長い電界発光素子を実現することができる
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る有機電界発光素子及びその製造方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る有機電界発光素子を示す構成図である。
図示するように、この有機電界素子20は、透明基板22を有する。そして、この透明基板22上に、陽極となる透明電極24、正孔注入層26、正孔輸送層28、赤色光を発する赤色発光層30、電子輸送層32、電子注入層34及び陰極となる金属電極36がこの順序で順次積層して形成されている。
【0017】
ここで、正孔注入層26、正孔輸送層28、赤色発光層30及び電子輸送層32は、それぞれ有機物よりなる有機薄膜層よりなる。上記赤色発光層32には、赤色を発光する一種類の発光成分が含まれている。上記透明基板22の代表的な材料として、ガラス板、ポリカーボネイト、ポリメタクリレート、ポリエステルなどの合成樹脂、石英、透明セラミック、これらを組み合わせたものがある。本発明ではガラス板を透明基板として使用している。また、透明基板22のガスバリア性が低いと外気からの影響により素子の劣化につながるため、ガスバリア性の高い材料の使用、もしくは緻密なシリコン酸化膜やシリコン窒化膜をガスバリア層として表面に設けることは効果的である。
【0018】
上記透明電極24は、この上層の有機薄膜層へ正孔を注入する働きをするものである。この透明電極24の材料としては、通常は仕事関数の高い金属、金属酸化物、もしくは導電性高分子が使用され、例えばカーボンブラック、金、銀、ニッケル、コバルト、バナジウム等及びそれらの合金、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等が挙げられる。本発明ではインジウム・スズ・酸化物(ITO)を使用している。上記透明電極24の形成法は特に限定されるわけではなく、通常、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法によって行われる。また導電性の微粒子を用いる場合には、適当な樹脂にこの微粒子を分散して塗布を行ったり、導電性高分子であれば電解重合や塗布によって形成することも可能である。
【0019】
上記金属電極36はこの下層の有機薄膜層に電子を注入する働きをする。この金属電極36の材料としては、通常、下層の有機薄膜層への電子の注入を容易にするために、仕事関数の低い材料が使用される。また金属電極36の耐久性、付着性を向上させるために合金を使用するのも効果的である。この材料としては、例えばリチウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、アルミニウム、銀、リチウム・アルミニウム合金、リチウム・インジウム合金、マグネシウム・銀合金、マグネシウム・インジウム合金等が挙げられる。本発明ではアルミニウムを使用している。この金属電極36の形成法は特に限定されるものではないが、通常、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などによって形成される。
【0020】
上記透明電極24と金属電極36との間に介在される有機薄膜層は、特性、機能に合わせて多層化され、上述のようにそれぞれの層の機能によって正孔注入層26、正孔輸送層28、赤色発光層30、電子輸送層32、電子注入層34などに分けられる。これらの有機薄膜層の形成方法は特に限定されるものではなく、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法によって形成される。
上記正孔注入層26は透明電極24からの正孔の注入を容易にする働きを持つ。このような働きをするために透明電極24とのエネルギー差が小さくなるようにイオン化ポテンシャルの低い材料を使用することが好ましい。上記正孔輸送層28は正孔を輸送する機能を有する化合物を含有し、正孔を運ぶ働きをする。上記正孔注入層26と正孔輸送層28はそれぞれ別々に形成しても良く、また、正孔注入層26に正孔輸送層28の機能も併せ持たせることによって、一つの層で両機能を果たすようにしてもよい。代表的な材料としてはフタロシアニン誘導体、トリアリールアミン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体などがある。本発明では正孔注入層26に4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンを使用し、正孔輸送層28にN,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジンを使用している。
【0021】
上記赤色発光層30は正孔および電子の注入、輸送能があり正孔と電子が再結合し励起子が形成され発光が起きる層である。これは一つの材料から構成されても良く、またはその他の発光機能を有する材料を分散させることで効果的に発光が得ることも可能である。代表的な材料としてアルミキノリン3量体のような有機金属錯体、スチルベン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体などが挙げられる。本発明の赤色発光層30は、赤色に発光する層であり、アルミキノリン3量体と4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルユ−ロリジル−9−エニル)−4H−ピランから構成されている。
【0022】
上記電子輸送層32は電子を輸送する機能を有する化合物を含有する材料を含有した層である。そのような材料として電子親和力の大きな材料が好ましい。また、電子注入層34は陰極である金属電極36からの電子の注入を容易にする層である。この電子輸送層32と電子注入層34はそれぞれ別々に設けても良く、また一つの層で両機能を果たすようにしてもよい。代表的なものとして、アルミキノリン3量体のような有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、キノリン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体などが挙げられる。ここでは、電子輸送層32としてアルミキノリン3量体を用いている。電子注入層34においては、仕事関数の低い金属を含有する金属塩のような無機材料を適当な膜厚で使用することが効果的であることが知れられており、本発明では電子注入層34としてフッ化リチウムを使用している。
【0023】
なお、上記説明では赤色発光層30および電子輸送層32をそれぞれアルミキノリン3量体で形成し、電子注入層34および金属電極36をそれぞれフッ化リチウムと、アルミニウムで形成した場合を例にとって説明したが、その他の材料に一部置き換えてもよいし、あるいはこれらの材料を組み合わせて用いてもよい。
これらの有機材料薄膜のガラス転移温度(Tg)が、高いほど有機ELの輝度変化が小さく寿命が長いことが言われている。とくに正孔輸送層の材料についての相関は、有機エレクトロニクス材料研究会編  「有機LED素子の残された重要課題と実用化戦略」(1999年7月刊)の17ページに詳述されている。正孔注入 材料についても、ガラス転移温度が高いほうが望ましい。
【0024】
<実施例>
次に、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
まず、膜厚が150nmのITO透明電極を有するガラス製の透明基板24を、2−プロパノール、純水を用いて超音波洗浄し、その透明基板22に窒素ガスをブローして乾燥し酸素プラズマ照射処理を行った。
この酸素プラズマ処理は、真空装置中に10Paの真空度になるように酸素を導入し、高周波電場を印可してプラズマを発生させることによって行った。
【0025】
次に、上記ITO透明電極付きの透明基板22を蒸着装置に移動し、蒸着槽を拡散ポンプを用いて約1.0×10−3Pa以下になるまで減圧した。減圧後、4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tertブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンを分子が加熱分解しないように、約180℃の蒸着源温度で脱ガスを行い、その後、約220℃まで上昇させて蒸着速度が0.1nm/secとなるように蒸着源温度を制御しながら20nmの膜厚まで蒸着を行い、この時形成した薄膜を、正孔注入層26とした。次いで、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジンを蒸着速度が0.1nm/secとなるように蒸着源温度を制御しながら蒸着を行い、厚さが60nmの正孔輸送層28を形成した。さらに赤色発光層30の形成としてアルミキノリン3量体と4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルユ−ロリジル−9−エニル)−4H−ピランを、それぞれ別々のボートを用いて二元蒸着を行った。それぞれ蒸着速度をモニターしながら、アルミキノリン3量体は蒸着速度が0.1nm/secに、4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルユ−ロリジル−9−エニル)−4H−ピランはアルミキノリン3量体の50分の1の蒸着速度となるように蒸着源温度を制御しながら蒸着を行い、膜厚が35nmの赤色発光層30を形成した。その上にアルミキノリン3量体を蒸着速度が0.1nm/secとなるように蒸着源温度を制御しながら蒸着を行い、厚さが35nmの電子輸送層32を形成した。その上に電子注入層34としてフッ化リチウムを厚さが1nmとなるように成膜し、陰極の金属電極36としてアルミニウムを200nmの厚さに積層した。その時の蒸着速度はそれぞれフッ化リチウムが0.03nm/sec,アルミニウムが1.0nm/secとした。これらの成膜は、すべて同一真空蒸着装置のなかで連続して行った。蒸着時の真空度は、1.0×10−3Pa以下を維持した。この有機電界発光素子は赤色に発光した。この有機電界発光素子の色度を図2に示す。
【0026】
(実施例2)
実施例1の正孔輸送層28を、厚さが60nmのN,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジンに替えて有機電界発光素子を作製した。正孔輸送層以外の材料及び構造は実施例1と同一である。この有機電界発光素子は赤色に発光した。この有機電界発光素子の色度を図2に示す。
【0027】
(比較例1)
実施例1の4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンよりなる正孔注入層26を、厚さが20nmの銅フタロシアニンに替えて有機電界発光素子を作製した。正孔輸送層以外の材料及び構造は実施例1と同一である。この有機電界発光素子は赤色に発光した。この有機電界発光素子の色度を図2に示す。
(比較例2)
比較例1の正孔輸送層を、厚さが60nmのN,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジンに替えて有機電界発光素子を作製した。正孔輸送層以外の材料及び構造は比較例1と同一である。この有機電界発光素子は赤色に発光した。この有機電界発光素子の色度を図2に示す。
【0028】
<電子注入層の吸収スペクトルの比較>
ここで銅フタロシアニン蒸着膜の透過率を図3に示し、4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミン蒸着膜の可視吸収スペクトルを図4に示す。図3に示すように、銅フタロシアニン蒸着膜は波長が600〜630nmの範囲では透過率が大きく低下して吸収が大きいことを示している。また、図4に示す場合には波長が増加するに従って吸収濃度は低下しており、特に450nm以上では少しずつ低下していることを示している。
【0029】
<色度の比較>
ここで上記各実施例1、2と比較例1、2で作製した有機電界発光素子の発光時の色度を、表1に示す。また、上述のようにこの時の色度座標を図2に示す。
【0030】
Figure 2004087130
【0031】
XYZ表色系における最も彩度の高い純粋な赤の色度は、X値0.73、Y値0.27である。実施例1、2の有機電界発光素子は、銅フタロシアニンを用いた比較例1、2の有機電界発光素子に比較して、色純度の高い赤色に発光した。図3に示すように、これは銅フタロシアニンが赤色の波長域である600nmから630nmで吸収帯を持つのに対して、図4に示すように4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンは上記波長域で大きな吸収帯を持たないため、相対的に赤色に相当する波長の光が多く取り出されたことによる。
【0032】
<発光効率の比較>
実施例1と比較例1で作製した各有機電界発光素子の10mA/cm通電時 の発光効率(lm/W)を表2にそれぞれ示した。
【0033】
Figure 2004087130
【0034】
この表2によれば、実施例1の有機電界発光素子は比較例1の有機電界発光素子に比較して、高い発光効率を示すことが判明した。
【0035】
<素子寿命の比較>
前述したように、有機薄膜材料のガラス転移温度(Tg)が、高いほど有機ELの輝度変化が小さく寿命が長いことが言われている。今回、ホール注入材料、ホール輸送材料として使用した4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tertブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンとN,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジンのガラス転移温度(Tg)は、それぞれ140℃と142℃と高い値を有する。そのため素子の長寿命化が期待できる。
実施例1と比較例1で作製した有機電界発光素子を1/80Duty駆動した際の初期輝度80cd/m発光時の発光減衰率を表3にそれぞれ示した。
【0036】
Figure 2004087130
【0037】
これによれば、実施例1の有機電界発光素子は比較例1の有機電界発光素子に比較して、長い素子寿命を示すことが判明した。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、赤色発光層において発光した赤色光に影響を与えないでこの赤色光を有機電界発光素子の外部に取り出すことができ、高い発光効率をもち、色純度の高い有機電界発光素子を得屡ことができる。また有機電界発光素子の寿命においても4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンのガラス転移温度が140℃と高いことから、安定した長い寿命を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機電界発光素子を示す構成図である。
【図2】有機電界発光素子の赤色光の色度座標を示す図である。
【図3】銅フタロシアニン蒸着膜の透過率を示すグラフである。
【図4】4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミン蒸着膜の可視吸収スペクトルを示すグラフである。
【図5】従来の有機電界発光素子の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
20…有機電界発光素子、22…透明基板、24…透明電極(陽極)、26…正孔注入層、28…正孔輸送層、30…赤色発光層、32…電子輸送層、34…電子注入層、36…金属電極(陰極)。

Claims (5)

  1. 透明電極と金属電極の間に4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンよりなる正孔注入層と、有機薄膜よりなる赤色発光層とを少なくとも有し、前記透明電極と前記金属電極の間に電圧を印加して前記赤色発光層に電流を流すことにより発光させて、発光光を外部に取り出すことを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記正孔注入層と前記赤色発光層との間にベンジジン2量体よりなる正孔輸送層が設けられており、前記正孔注入層の片面が前記透明電極に接しており、前記正孔注入層の他の片面が前記正孔輸送層に接していることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子。
  3. 前記したべンジジン2量体は、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジンであることを特徴とする請求項2記載の有機電界発光素子。
  4. 前記正孔注入層と前記赤色発光層との間にN,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジンよりなる正孔輸送層が設けられており、前記正孔注入層の片面が前記透明電極に接しており、前記正孔注入層の他の片面が前記正孔輸送層に接していることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子。
  5. 陽極である透明電極上に真空蒸着法により4,4’,4’’−トリス{N,N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ}トリフェニルアミンよりなる正孔注入層、正孔輸送層、赤色発光層を、同一真空装置中において順次連続して形成する工程を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008287996A (ja) * 2007-05-16 2008-11-27 Soken:Kk 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造装置
WO2016006673A1 (ja) * 2014-07-11 2016-01-14 日産化学工業株式会社 電荷輸送性ワニス
WO2021161941A1 (ja) * 2020-02-13 2021-08-19 富士フイルム株式会社 光検出素子およびイメージセンサ

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