JP2004084874A - ベルト式無段変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定シーブの変形を抑制することによりVベルトの芯ずれを低減し、Vベルトの耐久性を高め得るベルト式無段変速装置を提供する。
【解決手段】ベルト式無段変速装置10は、油圧力によって固定シーブ21、31を支持する支持力を各固定シーブの背面に付与する支持力付与手段を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】ベルト式無段変速装置10は、油圧力によって固定シーブ21、31を支持する支持力を各固定シーブの背面に付与する支持力付与手段を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のトランスミッションなどに使用されるベルト式無段変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の自動車用変速装置は、いわゆるCVT(Continuously Variable Transmission)と称されるベルト式無段変速装置が多用されている(例えば、特開平8−219188号公報参照)。
【0003】
一般に、この種の無段変速装置は、入力側プーリおよび出力側プーリが可動シーブおよび固定シーブを有し、一方のプーリの可動シーブおよび固定シーブは、他方のプーリの軸方向反対側となるように配置されている。各可動シーブと固定シーブとの間に形成されたV溝には、Vベルトが嵌め込まれ巻き掛けられている。エンジンの駆動力は、入力側プーリに入力され、Vベルトを介して出力側プーリに伝達され、この出力側プーリから車軸に伝達される。
【0004】
Vベルトは、プーリのシーブ面に接触する側面を有するエレメントを多数重ねて環状に整列配置し、それぞれのエレメントに、ベルト本体として機能する無端状の可撓性リングを巻き掛けることにより構成されている(例えば、特開2000−110892号公報参照)。
【0005】
変速する場合には、推力付与手段により加えられる推力によって各可動シーブを軸方向に移動し、V溝の幅を連続的に変化させ、Vベルトの巻き掛け位置を変化させて各プーリにおけるVベルトの巻き掛け半径を変化させる。これにより、入力側プーリと出力側プーリとの間のプーリ比つまり変速比が無段階に変化し、入力側プーリに入力された回転力は、無段階に変速されて出力側プーリに伝達される。推力付与手段は、例えば、エンジンにより駆動されるオイルポンプから構成され、当該オイルポンプから吐出された作動油を各可動シーブの背面に供給することにより、各可動シーブに推力が加えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ベルト式無段変速装置では、シーブ面が傾斜(例えば、シーブ面角度で11°)していることに起因して、Vベルトの巻き掛け位置によっては、入力側プーリに巻き掛けられているVベルトの中心と、出力側プーリに巻き掛けられているVベルトの中心とが一致せず、幾何学的な芯ずれが生じ得る。設計段階においては、この幾何学的な芯ずれ量(例えば、0.1mm程度)が考慮されている。
【0007】
しかしながら、ベルト式無段変速装置が実稼動している時に、幾何学的な芯ずれ量を超えた芯ずれが生じることがある。これは、可動シーブに加えられた推力がVベルトを介して固定シーブに作用し、固定シーブが若干変形することによるものである。
【0008】
設計段階で許容された量以上の芯ずれが生じると、Vベルトに無理な応力が作用して、エレメントおよび/または可撓性リングの耐久性の低下を招く虞がある。また、固定シーブの強度を高めるために、固定シーブを十分厚肉とすることも考えられるが、それでは重量が大幅増となって、燃費向上面で不利となる。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、軽量でありながら固定シーブの変形を抑制することによりVベルトの芯ずれを低減し、Vベルトの耐久性を高め得るベルト式無段変速装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0011】
固定シーブおよび可動シーブを備える第1プーリと、固定シーブおよび可動シーブを備える第2プーリと、油圧力によって固定シーブに向けて押し付ける推力を各可動シーブに付与する推力付与手段と、を有し、固定シーブと可動シーブとの間の間隔を変化させ、両プーリ間に巻き掛けられたVベルトにより一方のプーリから他方のプーリに回転を伝達するベルト式無段変速装置において、
油圧力によって固定シーブを支持する支持力を各固定シーブの背面に付与する支持力付与手段を有することを特徴とするベルト式無段変速装置である。
【0012】
【発明の効果】
上記のように構成した本発明によれば、油圧力によって固定シーブを支持する支持力が各固定シーブの背面に付与されるため、可動シーブに加えられた推力がVベルトを介して固定シーブに作用しても、固定シーブの変形が抑制され、もって、軽量でありながらVベルトの芯ずれを低減し、Vベルトの耐久性を高め得るベルト式無段変速装置を提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係るベルト式無段変速装置10の概略構成図、図2は、プーリ20、30に掛け渡されるVベルト40を示す横断面図、図3は、入力側プーリ20における固定シーブ21の背面側に区画形成される第1油圧室80を示す図である。
【0015】
図1に示すように、ベルト式無段変速装置10は、トルクコンバータ11およびクラッチ12を介してエンジン13の出力軸14に接続される入力軸15と、車両の車軸に接続される出力軸16と、入力軸15に設けられる入力側プーリ20(第1プーリに相当する)と、出力軸16に設けられる出力側プーリ30(第2プーリに相当する)とを有し、これらプーリ20、30の間にVベルト40が巻き掛けられている。入力側プーリ20は、プーリ比を定める側のプーリとして機能し、出力側プーリ30は、Vベルト40との間の押付力を定める側のプーリとして機能している。
【0016】
入力側プーリ20は、入力軸15と一体となって回転する固定シーブ21と、この固定シーブ21と対向してV溝22を形成する可動シーブ23とを有する。可動シーブ23は、ボールスプライン構造25を介して入力軸15に摺動可能に設けられ、軸線方向に変位可能とされている。可動シーブ23の背面側には、入力側プーリシリンダ室24が設けられている。
【0017】
入力側プーリシリンダ室24は、可動シーブ23の背面側に取り付けられたピストンプレート60と、当該ピストンプレート60を覆うように配置されたシリンダ壁61とによって区画形成されている。シリンダ壁61は、入力軸15に連結された支持プレート62に取り付けられている。シリンダ壁61の径方向外方部位は、可動シーブ23の背面側に向けて折り曲げられ、軸方向と平行に伸びる平坦部が形成されている。シリンダ壁61の径方向内方側の基端部は、可動シーブ23の軸部の外周面に対して摺動する。シリンダ壁61の基端部には、Oリングからなるシールリング63が設けられている。ピストンプレート60の径方向外方部位は、シリンダ壁61の平坦部の内面側で、かつ、当該平坦部に沿うように湾曲している。ピストンプレート60の径方向外方側の先端部は、シリンダ壁61の平坦部の内面に対して摺動する。ピストンプレート60の先端部には、Oリングからなるシールリング64が設けられている。入力側プーリシリンダ室24は、2個のシールリング63、64によりシールされている。
【0018】
入力軸15の中心にはオイル穴65が形成され、このオイル穴65と入力側プーリシリンダ室24とは、入力軸15に形成したポート66および可動シーブ23に形成したポート67を介して連通する。
【0019】
出力側プーリ30は、出力軸16と一体となって回転する固定シーブ31と、この固定シーブ31と対向してV溝32を形成する可動シーブ33とを有する。可動シーブ33は、ボールスプライン構造35を介して出力軸16に摺動可能に設けられ、軸線方向に変位可能とされている。可動シーブ33の背面側には出力側プーリシリンダ室34が設けられている。出力側プーリ30の固定シーブ31および可動シーブ33は、入力側プーリ20の固定シーブ21および可動シーブ23に対し軸方向反対側となるように配置されている。
【0020】
出力側プーリシリンダ室34は、可動シーブ33の背面側に取り付けられたピストンプレート70と、当該ピストンプレート60により覆われるように配置されたシリンダ壁71とによって区画形成されている。ピストンプレート70の径方向外方部位は、折り曲げられ、軸方向と平行に伸びる平坦部が形成されている。シリンダ壁71の径方向内方側の基端部は、出力軸16に圧入され、Cリング72およびCリングホルダ73により固定されている。シリンダ壁71の径方向外方部位は、ピストンプレート70の平坦部に向かうように径方向外方に向けて湾曲し伸びている。シリンダ壁71の径方向外方側の先端部は、ピストンプレート70の平坦部の内面に対して摺動する。シリンダ壁71の先端部には、Oリングからなるシールリング74が設けられている。出力側プーリシリンダ室34は、このシールリング74によりシールされている。
【0021】
出力軸16の中心にはオイル穴75が形成され、このオイル穴75と出力側プーリシリンダ室34とは、出力軸16に形成したポート76および可動シーブ33に形成したポート77を介して連通する。
【0022】
なお、図中符号78は、ピストンプレート70に取り付けられたカバープレートを示し、符号79は、可動シーブ33とシリンダ壁71との間に介装された圧縮スプリングを示している。可動シーブ33は、油圧が作用していない状態でも、圧縮スプリング69の弾発力によって固定シーブ31に向かう方向に付勢されている。
【0023】
図2にも示すように、Vベルト40は、ベルト本体として機能する無端状の可撓性のリング42と、リング42が巻き掛けられる複数の板状のエレメント41と、を有している()。リング42は、金属製の薄い環帯状部材が複数枚積層されて形成されている。エレメント41は、各プーリ20、30のシーブ面21a、23a、31a、33aに接触する側面43(フランク面)を有している。エレメント41は、相互に接触状態となるように多数重ねて環状に整列配置されている。
【0024】
ベルト式無段変速装置10はさらに、油圧力によって各固定シーブ21、31に向けて押し付ける推力を各可動シーブ23、33に付与する推力付与手段を有する。推力付与手段は、エンジン13により駆動されると共に各可動シーブ23、33の背面に作動油を供給するオイルポンプ50から構成されている。
【0025】
出力側プーリシリンダ室34には、オイル穴75およびポート76、77を介して、油圧コントロールユニット51からのライン圧PLが作用し、入力側プーリシリンダ室24には、オイル穴65およびポート66、67を介して、ライン圧PLを変速制御弁52により減圧して得た変速制御圧PSが作用する。変速制御圧PSとライン圧PLとの差圧に応じて、各プーリ20、30に対するVベルト40の巻き掛け半径が無段階に変化し、変速比が無段階に変化する。なお、油圧コントロールユニット51内には、ライン圧PLを調整する図示しないライン圧制御系が設けられている。
【0026】
各プーリ20、30のV溝22、32の幅を変化させる制御は、マイクロコンピュータを主体に構成されたCVTコントロールユニット53によりなされる。このCVTコントロールユニット53には、図示しないエンジン回転センサ、スロットル開度センサ、入力側プーリ回転センサおよび出力側プーリ回転センサの他、油圧コントロールユニット51の変速制御弁52を駆動するソレノイド54などが接続されている。CVTコントロールユニット53はまず、車両の運転状態に基づいて目標変速比を演算し、両プーリ20、30の実際の回転数に基づいて実変速比を求め、エンジン回転数およびスロットル開度の情報から伝達トルクを演算する。次いで、CVTコントロールユニット53は、目標変速比と実変速比との偏差に応じてソレノイド54を駆動する。CVTコントロールユニット53はさらに、目標変速比と伝達トルクとに基づいて演算した必要なプーリ推力が得られるように、油圧コントロールユニット51内のライン圧制御系を制御する。
【0027】
このような制御によって、出力側プーリシリンダ室34および変速制御弁52に供給されるライン圧PLが調整され、変速制御弁52が入力側プーリシリンダ室24への作動油の給排を調整して、変速制御圧PSが目標変速比に対応した値に調圧される。
【0028】
本実施形態のベルト式無段変速装置10はさらに、油圧力によって各固定シーブ21、31を支持する支持力を各固定シーブ21、31の背面に付与する支持力付与手段を有する。支持力付与手段において各固定シーブ21、31に作動油を供給する油圧回路は、推力付与手段において各可動シーブ23、33に作動油を供給する油圧回路に連結されている。つまり、支持力付与手段は、推力付与手段を構成するオイルポンプ50が共通して用いられ、このオイルポンプ50から、各固定シーブ21、31の背面に作動油を供給している。
【0029】
図3にも示すように、入力側プーリ20の固定シーブ21の背面には、油圧力によって固定シーブ21を支持する支持力を得るための第1油圧室80(油圧室に相当する)が設けられている。第1油圧室80は、固定シーブ21の背面側に一体的に設けられ軸線方向に沿って伸びる環状リブ81と、当該環状リブ81により覆われるように配置された円盤状の油圧保持プレート82とによって区画形成されている。油圧保持プレート82の径方向内方側の基端部は、入力軸15に圧入され、Cリング83およびCリングホルダ84により固定されている。油圧保持プレート82の径方向外方側の先端部は、環状リブ81の内面に対して摺動する。油圧保持プレート82の先端部には、Oリングからなるシールリング85が設けられている。第1油圧室80は、このシールリング85によりシールされている。第1油圧室80と入力軸15のオイル穴65とは、入力軸15に形成したポート86を介して連通している。
【0030】
図1を参照して、出力側プーリ30の固定シーブ31の背面にも、同様に、油圧力によって固定シーブ31を支持する支持力を得るための第2油圧室90(油圧室に相当する)が設けられている。第2油圧室90は、固定シーブ31の背面側に一体的に設けられ軸線方向に沿って伸びる環状リブ91と、当該環状リブ91により覆われるように配置された円盤状の油圧保持プレート92とによって区画形成されている。油圧保持プレート92の径方向内方側の基端部は、出力軸16に圧入され、Cリング93およびCリングホルダ94により固定されている。油圧保持プレート92の径方向外方側の先端部は、環状リブ91の内面に対して摺動する。油圧保持プレート92の先端部には、Oリングからなるシールリング95が設けられている。第2油圧室90は、このシールリング95によりシールされている。第2油圧室90と出力軸16のオイル穴75とは、出力軸16に形成したポート96を介して連通している。
【0031】
第1、第2油圧室80、90に作動油を供給した場合、固定シーブ21、31の環状リブ81、91が径方向に拡開する変形量が最も大きいが、油圧保持プレート82、92に設けたシールリング85、95が保証している0.3mm程度の変形よりもはるかに小さいので(例えば、0.04mm)、第1、第2油圧室80、90のシール性が損なわれることはない。
【0032】
実施形態の作用を説明する。
【0033】
ベルト式無段変速装置10の稼動中にあっては、入力側プーリシリンダ室24には入力軸15のオイル穴65およびポート66、67を介して作動油が供給され、油圧力による推力が可動シーブ23の背面に作用している。さらに、第1油圧室80にはポート86を介して作動油が供給され、油圧力による支持力が固定シーブ21の背面に作用している。入力側プーリシリンダ室24および第1油圧室80にはオイル穴65を経由して作動油が供給されるため、可動シーブ23に作用する油圧力と同等の油圧力が固定シーブ21の背面に作用している。
【0034】
同様に、出力側プーリシリンダ室34には出力軸16のオイル穴75およびポート76、77を介して作動油が供給され、油圧力による推力が可動シーブ33の背面に作用している。さらに、第2油圧室90にはポート96を介して作動油が供給され、油圧力による支持力が固定シーブ31の背面に作用している。出力側プーリシリンダ室34および第2油圧室90にはオイル穴75を経由して作動油が供給されるため、可動シーブ33に作用する油圧力と同等の油圧力が固定シーブ31の背面に作用している。
【0035】
可動シーブ23、33に加えられた推力がVベルト40を介して固定シーブ21、31に作用しても、固定シーブ21、31を支持する支持力が当該固定シーブ21、31の背面に付与されることから、固定シーブ21、31の変形を抑制することができる。これにより、固定シーブ21、31の変形によるVベルト40の芯ずれを低減でき、設計段階で許容された芯ずれ量の範囲内に抑えることができる。したがって、Vベルト40に無理な応力が作用せず、エレメントおよび/または可撓性リングの破損を招く虞がなくなり、Vベルト40の耐久性を高めることができる。
【0036】
また、可動シーブ23、33の背面に作用する油圧力と固定シーブ21、31の背面に作用する油圧力とを同等にすることにより、Vベルト40を保持する力がVベルト40の両側面で対称になる。これにより、Vベルト40の挙動が安定し、この観点からも、Vベルト40の耐久性を高めることができる。
【0037】
また、支持力付与手段および推力付与手段は、オイルポンプ50および入出力軸15、16のオイル穴65、75などを共通して用いていることから、支持力付与手段のための油圧回路を比較的簡単な構造で増設でき、費用の増加を可及的に低減できる。
【0038】
また、第1、第2油圧室80、90を区画形成するために固定シーブ21、31の背面に設けた環状リブ81、91により、固定シーブ21、31自体の剛性が高められ、固定シーブ21、31の変形をより一層抑制して、Vベルト40の耐久性をより高めることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、油圧力によって固定シーブ21、31を支持する支持力を各固定シーブ21、31の背面に付与する支持力付与手段を有するので、可動シーブ23、33に加えられた推力がVベルト40を介して固定シーブ21、31に作用しても、固定シーブ21、31の変形が抑制され、もって、軽量でありながらVベルト40の芯ずれを低減し、Vベルト40の耐久性を高め得るベルト式無段変速装置を提供できる。
【0040】
また、支持力付与手段において各固定シーブ21、31に作動油を供給する油圧回路は、推力付与手段において各可動シーブ23、33に作動油を供給する油圧回路に連結されているので、可動シーブ23、33の背面に作用する油圧力と固定シーブ21、31の背面に作用する油圧力とが同等になり、Vベルト40の挙動が安定し、この観点からも、Vベルト40の耐久性を高めることができる。さらに、支持力付与手段のための油圧回路を比較的簡単な構造で増設でき、費用の増加を可及的に低減できる。
【0041】
また、各固定シーブ21、31は、背面側に第1、第2油圧室80、90を区画形成するための環状リブ81、91が軸線方向に沿って伸びているので、固定シーブ21、31自体の剛性が高められ、固定シーブ21、31の変形をより一層抑制して、Vベルト40の耐久性をより高めることができる。
【0042】
次に、本発明の効果の確認のためのシミュレーション解析結果を説明する。
【0043】
図4(A)〜(C)は、作成したシミュレーションモデルを示す図であり、図4(A)は、固定シーブ100に環状リブを設けず、かつ、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与しない場合のモデル図、図4(B)は、固定シーブ100に環状リブ101を設け、かつ、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与した場合のモデル図である。シミュレーションモデル条件は図4(C)に示され、変速比を2.326(LOW)、支持力としての油圧を4.6MPa、Vベルトから受ける力を66kNとした。寸法諸元は図4(C)に示すとおりである。
【0044】
図5(A)〜(C)は、シミュレーション解析によるVベルト102の芯ずれを比較して示す図であり、図5(A)は、固定シーブ100に環状リブを設けず、かつ、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与しない場合のシミュレーション解析結果、図5(B)は、固定シーブ100に環状リブ101を設けたが、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与しない場合のシミュレーション解析結果、図5(C)は、固定シーブ100に環状リブ101を設け、かつ、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与した場合のシミュレーション解析結果を示している。なお、シミュレーション解析では、シーブ面が傾斜していることによる幾何学的な芯ずれはゼロと仮定し、固定シーブ100の変形による芯ずれ量のみを求めた。
【0045】
図5(A)に示すように、本発明を適用する前の一般的な構造の場合には、ベルト102の芯ずれ量は0.17mmであった。なお、0.17mmの芯ずれは変速比に換算すると0.08であり、誤差範囲内の影響しか与えないため、シミュレーション解析では、固定シーブ100の変形に伴なう変速比の変化は無視した。
【0046】
図5(B)に示すように、固定シーブ100に環状リブ101を設けたが、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与しない構造の場合には、ベルト102の芯ずれ量は0.16mmであった。環状リブ101を設けることにより、固定シーブ100の変形を抑制してVベルト102の芯ずれを低減するという効果が若干ではあるが得られた。
【0047】
図5(C)に示すように、本発明を適用して、固定シーブ100に環状リブ101を設け、かつ、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与した構造の場合には、ベルト102の芯ずれ量は0.06mmであった。また、環状リブ101が径方向に拡開する変形量は0.04mmであった。この変形量は、前述したように、油圧保持プレート82、92に設けたシールリング85、95が保証している0.3mm程度の変形よりもはるかに小さいので、第1、第2油圧室80、90のシール性が損なわれることはない。
【0048】
以上の解析結果より、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与する構造によれば、固定シーブ100の変形を抑制してVベルト102の芯ずれ抑制に大きな効果があることがわかった。
【0049】
さらに、実験によれば、Vベルトのリング応力が最大となる変速比LOWにおいて、Vベルトの芯ずれを0.15mm低減すると、Vベルトの耐久時間が約4倍になった結果が得られた。
【0050】
したがって、本発明によれば、固定シーブの変形を抑制し、Vベルトの芯ずれを低減し、Vベルトの耐久性の向上に大きく貢献できることが確認できた。
【0051】
(変形例)
図6(A)(B)は、固定シーブの背面側に区画形成される第1油圧室80の変形例に係る要部を示す断面図である。
【0052】
図6(A)に示す第1油圧室80にあっては、油圧保持プレート82の径方向外方部位は、固定シーブ21の環状リブ81の内面側で、かつ、当該環状リブ81に沿うように折り曲げてある。油圧保持プレート82の径方向外方側の先端部は、環状リブ81の内面に対して摺動する。油圧保持プレート82の先端部には、Oリングからなるシールリング85が設けられている。かかる構成によれば、第1油圧室80内の油圧によって油圧保持プレート82の先端部が環状リブ81の内面に押圧されるため、第1油圧室80のシール性が高められる。第2油圧室90についても同様の変形が可能である。
【0053】
図6(B)に示す第1油圧室80にあっては、固定シーブ110の背面には環状リブが設けられておらず、油圧保持プレート82の径方向外方部位は、固定シーブ110に向けて折り曲げられ、軸方向と平行に伸びる平坦部が形成されている。固定シーブ110の外周縁は、油圧保持プレート82の平坦部の内面に対して摺動する。固定シーブ110の外周縁には、Oリングからなるシールリング111が設けられている。かかる構成によれば、固定シーブ110の背面に環状リブを設けないので、従前の固定シーブを流用して第1油圧室80を形成することができる。第2油圧室90についても同様の変形が可能である。
【0054】
なお、本発明に係るベルト式無段変速装置を自動車用変速装置に適用した実施形態について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。本発明は、加工機などに組み込まれる無段変速装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るベルト式無段変速装置の概略構成図である。
【図2】プーリに掛け渡されるVベルトを示す横断面図である。
【図3】入力側プーリにおける固定シーブの背面側に区画形成される第1油圧室を示す図である。
【図4】図4(A)〜(C)は、作成したシミュレーションモデルを示す図であり、図4(A)は、固定シーブに環状リブを設けず、かつ、固定シーブを支持する支持力を当該固定シーブの背面に付与しない場合のモデル図、図4(B)は、固定シーブに環状リブを設け、かつ、固定シーブを支持する支持力を当該固定シーブの背面に付与した場合のモデル図、図4(C)は、シミュレーションモデル条件を示す図である。
【図5】図5(A)〜(C)は、シミュレーション解析によるVベルトの芯ずれを比較して示す図であり、図5(A)は、固定シーブに環状リブを設けず、かつ、固定シーブを支持する支持力を当該固定シーブの背面に付与しない場合のシミュレーション解析結果、図5(B)は、固定シーブに環状リブを設けたが、固定シーブを支持する支持力を当該固定シーブの背面に付与しない場合のシミュレーション解析結果、図5(C)は、固定シーブに環状リブを設け、かつ、固定シーブを支持する支持力を当該固定シーブの背面に付与した場合のシミュレーション解析結果を示している。
【図6】図6(A)(B)は、固定シーブの背面側に区画形成される油圧室の変形例に係る要部を示す断面図である。
【符号の説明】
10…ベルト式無段変速装置
20…入力側プーリ(第1プーリ)
21…固定シーブ
23…可動シーブ
21a、23a…シーブ面
30…出力側プーリ(第2プーリ)
31…固定シーブ
33…可動シーブ
31a、33a…シーブ面
40…Vベルト
41…エレメント
42…リング
50…オイルポンプ(推力付与手段、支持力付与手段)
80、90…第1、第2油圧室
81、91…環状リブ
82、92…油圧保持プレート
85、95…シールリング
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のトランスミッションなどに使用されるベルト式無段変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の自動車用変速装置は、いわゆるCVT(Continuously Variable Transmission)と称されるベルト式無段変速装置が多用されている(例えば、特開平8−219188号公報参照)。
【0003】
一般に、この種の無段変速装置は、入力側プーリおよび出力側プーリが可動シーブおよび固定シーブを有し、一方のプーリの可動シーブおよび固定シーブは、他方のプーリの軸方向反対側となるように配置されている。各可動シーブと固定シーブとの間に形成されたV溝には、Vベルトが嵌め込まれ巻き掛けられている。エンジンの駆動力は、入力側プーリに入力され、Vベルトを介して出力側プーリに伝達され、この出力側プーリから車軸に伝達される。
【0004】
Vベルトは、プーリのシーブ面に接触する側面を有するエレメントを多数重ねて環状に整列配置し、それぞれのエレメントに、ベルト本体として機能する無端状の可撓性リングを巻き掛けることにより構成されている(例えば、特開2000−110892号公報参照)。
【0005】
変速する場合には、推力付与手段により加えられる推力によって各可動シーブを軸方向に移動し、V溝の幅を連続的に変化させ、Vベルトの巻き掛け位置を変化させて各プーリにおけるVベルトの巻き掛け半径を変化させる。これにより、入力側プーリと出力側プーリとの間のプーリ比つまり変速比が無段階に変化し、入力側プーリに入力された回転力は、無段階に変速されて出力側プーリに伝達される。推力付与手段は、例えば、エンジンにより駆動されるオイルポンプから構成され、当該オイルポンプから吐出された作動油を各可動シーブの背面に供給することにより、各可動シーブに推力が加えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ベルト式無段変速装置では、シーブ面が傾斜(例えば、シーブ面角度で11°)していることに起因して、Vベルトの巻き掛け位置によっては、入力側プーリに巻き掛けられているVベルトの中心と、出力側プーリに巻き掛けられているVベルトの中心とが一致せず、幾何学的な芯ずれが生じ得る。設計段階においては、この幾何学的な芯ずれ量(例えば、0.1mm程度)が考慮されている。
【0007】
しかしながら、ベルト式無段変速装置が実稼動している時に、幾何学的な芯ずれ量を超えた芯ずれが生じることがある。これは、可動シーブに加えられた推力がVベルトを介して固定シーブに作用し、固定シーブが若干変形することによるものである。
【0008】
設計段階で許容された量以上の芯ずれが生じると、Vベルトに無理な応力が作用して、エレメントおよび/または可撓性リングの耐久性の低下を招く虞がある。また、固定シーブの強度を高めるために、固定シーブを十分厚肉とすることも考えられるが、それでは重量が大幅増となって、燃費向上面で不利となる。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、軽量でありながら固定シーブの変形を抑制することによりVベルトの芯ずれを低減し、Vベルトの耐久性を高め得るベルト式無段変速装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0011】
固定シーブおよび可動シーブを備える第1プーリと、固定シーブおよび可動シーブを備える第2プーリと、油圧力によって固定シーブに向けて押し付ける推力を各可動シーブに付与する推力付与手段と、を有し、固定シーブと可動シーブとの間の間隔を変化させ、両プーリ間に巻き掛けられたVベルトにより一方のプーリから他方のプーリに回転を伝達するベルト式無段変速装置において、
油圧力によって固定シーブを支持する支持力を各固定シーブの背面に付与する支持力付与手段を有することを特徴とするベルト式無段変速装置である。
【0012】
【発明の効果】
上記のように構成した本発明によれば、油圧力によって固定シーブを支持する支持力が各固定シーブの背面に付与されるため、可動シーブに加えられた推力がVベルトを介して固定シーブに作用しても、固定シーブの変形が抑制され、もって、軽量でありながらVベルトの芯ずれを低減し、Vベルトの耐久性を高め得るベルト式無段変速装置を提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係るベルト式無段変速装置10の概略構成図、図2は、プーリ20、30に掛け渡されるVベルト40を示す横断面図、図3は、入力側プーリ20における固定シーブ21の背面側に区画形成される第1油圧室80を示す図である。
【0015】
図1に示すように、ベルト式無段変速装置10は、トルクコンバータ11およびクラッチ12を介してエンジン13の出力軸14に接続される入力軸15と、車両の車軸に接続される出力軸16と、入力軸15に設けられる入力側プーリ20(第1プーリに相当する)と、出力軸16に設けられる出力側プーリ30(第2プーリに相当する)とを有し、これらプーリ20、30の間にVベルト40が巻き掛けられている。入力側プーリ20は、プーリ比を定める側のプーリとして機能し、出力側プーリ30は、Vベルト40との間の押付力を定める側のプーリとして機能している。
【0016】
入力側プーリ20は、入力軸15と一体となって回転する固定シーブ21と、この固定シーブ21と対向してV溝22を形成する可動シーブ23とを有する。可動シーブ23は、ボールスプライン構造25を介して入力軸15に摺動可能に設けられ、軸線方向に変位可能とされている。可動シーブ23の背面側には、入力側プーリシリンダ室24が設けられている。
【0017】
入力側プーリシリンダ室24は、可動シーブ23の背面側に取り付けられたピストンプレート60と、当該ピストンプレート60を覆うように配置されたシリンダ壁61とによって区画形成されている。シリンダ壁61は、入力軸15に連結された支持プレート62に取り付けられている。シリンダ壁61の径方向外方部位は、可動シーブ23の背面側に向けて折り曲げられ、軸方向と平行に伸びる平坦部が形成されている。シリンダ壁61の径方向内方側の基端部は、可動シーブ23の軸部の外周面に対して摺動する。シリンダ壁61の基端部には、Oリングからなるシールリング63が設けられている。ピストンプレート60の径方向外方部位は、シリンダ壁61の平坦部の内面側で、かつ、当該平坦部に沿うように湾曲している。ピストンプレート60の径方向外方側の先端部は、シリンダ壁61の平坦部の内面に対して摺動する。ピストンプレート60の先端部には、Oリングからなるシールリング64が設けられている。入力側プーリシリンダ室24は、2個のシールリング63、64によりシールされている。
【0018】
入力軸15の中心にはオイル穴65が形成され、このオイル穴65と入力側プーリシリンダ室24とは、入力軸15に形成したポート66および可動シーブ23に形成したポート67を介して連通する。
【0019】
出力側プーリ30は、出力軸16と一体となって回転する固定シーブ31と、この固定シーブ31と対向してV溝32を形成する可動シーブ33とを有する。可動シーブ33は、ボールスプライン構造35を介して出力軸16に摺動可能に設けられ、軸線方向に変位可能とされている。可動シーブ33の背面側には出力側プーリシリンダ室34が設けられている。出力側プーリ30の固定シーブ31および可動シーブ33は、入力側プーリ20の固定シーブ21および可動シーブ23に対し軸方向反対側となるように配置されている。
【0020】
出力側プーリシリンダ室34は、可動シーブ33の背面側に取り付けられたピストンプレート70と、当該ピストンプレート60により覆われるように配置されたシリンダ壁71とによって区画形成されている。ピストンプレート70の径方向外方部位は、折り曲げられ、軸方向と平行に伸びる平坦部が形成されている。シリンダ壁71の径方向内方側の基端部は、出力軸16に圧入され、Cリング72およびCリングホルダ73により固定されている。シリンダ壁71の径方向外方部位は、ピストンプレート70の平坦部に向かうように径方向外方に向けて湾曲し伸びている。シリンダ壁71の径方向外方側の先端部は、ピストンプレート70の平坦部の内面に対して摺動する。シリンダ壁71の先端部には、Oリングからなるシールリング74が設けられている。出力側プーリシリンダ室34は、このシールリング74によりシールされている。
【0021】
出力軸16の中心にはオイル穴75が形成され、このオイル穴75と出力側プーリシリンダ室34とは、出力軸16に形成したポート76および可動シーブ33に形成したポート77を介して連通する。
【0022】
なお、図中符号78は、ピストンプレート70に取り付けられたカバープレートを示し、符号79は、可動シーブ33とシリンダ壁71との間に介装された圧縮スプリングを示している。可動シーブ33は、油圧が作用していない状態でも、圧縮スプリング69の弾発力によって固定シーブ31に向かう方向に付勢されている。
【0023】
図2にも示すように、Vベルト40は、ベルト本体として機能する無端状の可撓性のリング42と、リング42が巻き掛けられる複数の板状のエレメント41と、を有している()。リング42は、金属製の薄い環帯状部材が複数枚積層されて形成されている。エレメント41は、各プーリ20、30のシーブ面21a、23a、31a、33aに接触する側面43(フランク面)を有している。エレメント41は、相互に接触状態となるように多数重ねて環状に整列配置されている。
【0024】
ベルト式無段変速装置10はさらに、油圧力によって各固定シーブ21、31に向けて押し付ける推力を各可動シーブ23、33に付与する推力付与手段を有する。推力付与手段は、エンジン13により駆動されると共に各可動シーブ23、33の背面に作動油を供給するオイルポンプ50から構成されている。
【0025】
出力側プーリシリンダ室34には、オイル穴75およびポート76、77を介して、油圧コントロールユニット51からのライン圧PLが作用し、入力側プーリシリンダ室24には、オイル穴65およびポート66、67を介して、ライン圧PLを変速制御弁52により減圧して得た変速制御圧PSが作用する。変速制御圧PSとライン圧PLとの差圧に応じて、各プーリ20、30に対するVベルト40の巻き掛け半径が無段階に変化し、変速比が無段階に変化する。なお、油圧コントロールユニット51内には、ライン圧PLを調整する図示しないライン圧制御系が設けられている。
【0026】
各プーリ20、30のV溝22、32の幅を変化させる制御は、マイクロコンピュータを主体に構成されたCVTコントロールユニット53によりなされる。このCVTコントロールユニット53には、図示しないエンジン回転センサ、スロットル開度センサ、入力側プーリ回転センサおよび出力側プーリ回転センサの他、油圧コントロールユニット51の変速制御弁52を駆動するソレノイド54などが接続されている。CVTコントロールユニット53はまず、車両の運転状態に基づいて目標変速比を演算し、両プーリ20、30の実際の回転数に基づいて実変速比を求め、エンジン回転数およびスロットル開度の情報から伝達トルクを演算する。次いで、CVTコントロールユニット53は、目標変速比と実変速比との偏差に応じてソレノイド54を駆動する。CVTコントロールユニット53はさらに、目標変速比と伝達トルクとに基づいて演算した必要なプーリ推力が得られるように、油圧コントロールユニット51内のライン圧制御系を制御する。
【0027】
このような制御によって、出力側プーリシリンダ室34および変速制御弁52に供給されるライン圧PLが調整され、変速制御弁52が入力側プーリシリンダ室24への作動油の給排を調整して、変速制御圧PSが目標変速比に対応した値に調圧される。
【0028】
本実施形態のベルト式無段変速装置10はさらに、油圧力によって各固定シーブ21、31を支持する支持力を各固定シーブ21、31の背面に付与する支持力付与手段を有する。支持力付与手段において各固定シーブ21、31に作動油を供給する油圧回路は、推力付与手段において各可動シーブ23、33に作動油を供給する油圧回路に連結されている。つまり、支持力付与手段は、推力付与手段を構成するオイルポンプ50が共通して用いられ、このオイルポンプ50から、各固定シーブ21、31の背面に作動油を供給している。
【0029】
図3にも示すように、入力側プーリ20の固定シーブ21の背面には、油圧力によって固定シーブ21を支持する支持力を得るための第1油圧室80(油圧室に相当する)が設けられている。第1油圧室80は、固定シーブ21の背面側に一体的に設けられ軸線方向に沿って伸びる環状リブ81と、当該環状リブ81により覆われるように配置された円盤状の油圧保持プレート82とによって区画形成されている。油圧保持プレート82の径方向内方側の基端部は、入力軸15に圧入され、Cリング83およびCリングホルダ84により固定されている。油圧保持プレート82の径方向外方側の先端部は、環状リブ81の内面に対して摺動する。油圧保持プレート82の先端部には、Oリングからなるシールリング85が設けられている。第1油圧室80は、このシールリング85によりシールされている。第1油圧室80と入力軸15のオイル穴65とは、入力軸15に形成したポート86を介して連通している。
【0030】
図1を参照して、出力側プーリ30の固定シーブ31の背面にも、同様に、油圧力によって固定シーブ31を支持する支持力を得るための第2油圧室90(油圧室に相当する)が設けられている。第2油圧室90は、固定シーブ31の背面側に一体的に設けられ軸線方向に沿って伸びる環状リブ91と、当該環状リブ91により覆われるように配置された円盤状の油圧保持プレート92とによって区画形成されている。油圧保持プレート92の径方向内方側の基端部は、出力軸16に圧入され、Cリング93およびCリングホルダ94により固定されている。油圧保持プレート92の径方向外方側の先端部は、環状リブ91の内面に対して摺動する。油圧保持プレート92の先端部には、Oリングからなるシールリング95が設けられている。第2油圧室90は、このシールリング95によりシールされている。第2油圧室90と出力軸16のオイル穴75とは、出力軸16に形成したポート96を介して連通している。
【0031】
第1、第2油圧室80、90に作動油を供給した場合、固定シーブ21、31の環状リブ81、91が径方向に拡開する変形量が最も大きいが、油圧保持プレート82、92に設けたシールリング85、95が保証している0.3mm程度の変形よりもはるかに小さいので(例えば、0.04mm)、第1、第2油圧室80、90のシール性が損なわれることはない。
【0032】
実施形態の作用を説明する。
【0033】
ベルト式無段変速装置10の稼動中にあっては、入力側プーリシリンダ室24には入力軸15のオイル穴65およびポート66、67を介して作動油が供給され、油圧力による推力が可動シーブ23の背面に作用している。さらに、第1油圧室80にはポート86を介して作動油が供給され、油圧力による支持力が固定シーブ21の背面に作用している。入力側プーリシリンダ室24および第1油圧室80にはオイル穴65を経由して作動油が供給されるため、可動シーブ23に作用する油圧力と同等の油圧力が固定シーブ21の背面に作用している。
【0034】
同様に、出力側プーリシリンダ室34には出力軸16のオイル穴75およびポート76、77を介して作動油が供給され、油圧力による推力が可動シーブ33の背面に作用している。さらに、第2油圧室90にはポート96を介して作動油が供給され、油圧力による支持力が固定シーブ31の背面に作用している。出力側プーリシリンダ室34および第2油圧室90にはオイル穴75を経由して作動油が供給されるため、可動シーブ33に作用する油圧力と同等の油圧力が固定シーブ31の背面に作用している。
【0035】
可動シーブ23、33に加えられた推力がVベルト40を介して固定シーブ21、31に作用しても、固定シーブ21、31を支持する支持力が当該固定シーブ21、31の背面に付与されることから、固定シーブ21、31の変形を抑制することができる。これにより、固定シーブ21、31の変形によるVベルト40の芯ずれを低減でき、設計段階で許容された芯ずれ量の範囲内に抑えることができる。したがって、Vベルト40に無理な応力が作用せず、エレメントおよび/または可撓性リングの破損を招く虞がなくなり、Vベルト40の耐久性を高めることができる。
【0036】
また、可動シーブ23、33の背面に作用する油圧力と固定シーブ21、31の背面に作用する油圧力とを同等にすることにより、Vベルト40を保持する力がVベルト40の両側面で対称になる。これにより、Vベルト40の挙動が安定し、この観点からも、Vベルト40の耐久性を高めることができる。
【0037】
また、支持力付与手段および推力付与手段は、オイルポンプ50および入出力軸15、16のオイル穴65、75などを共通して用いていることから、支持力付与手段のための油圧回路を比較的簡単な構造で増設でき、費用の増加を可及的に低減できる。
【0038】
また、第1、第2油圧室80、90を区画形成するために固定シーブ21、31の背面に設けた環状リブ81、91により、固定シーブ21、31自体の剛性が高められ、固定シーブ21、31の変形をより一層抑制して、Vベルト40の耐久性をより高めることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、油圧力によって固定シーブ21、31を支持する支持力を各固定シーブ21、31の背面に付与する支持力付与手段を有するので、可動シーブ23、33に加えられた推力がVベルト40を介して固定シーブ21、31に作用しても、固定シーブ21、31の変形が抑制され、もって、軽量でありながらVベルト40の芯ずれを低減し、Vベルト40の耐久性を高め得るベルト式無段変速装置を提供できる。
【0040】
また、支持力付与手段において各固定シーブ21、31に作動油を供給する油圧回路は、推力付与手段において各可動シーブ23、33に作動油を供給する油圧回路に連結されているので、可動シーブ23、33の背面に作用する油圧力と固定シーブ21、31の背面に作用する油圧力とが同等になり、Vベルト40の挙動が安定し、この観点からも、Vベルト40の耐久性を高めることができる。さらに、支持力付与手段のための油圧回路を比較的簡単な構造で増設でき、費用の増加を可及的に低減できる。
【0041】
また、各固定シーブ21、31は、背面側に第1、第2油圧室80、90を区画形成するための環状リブ81、91が軸線方向に沿って伸びているので、固定シーブ21、31自体の剛性が高められ、固定シーブ21、31の変形をより一層抑制して、Vベルト40の耐久性をより高めることができる。
【0042】
次に、本発明の効果の確認のためのシミュレーション解析結果を説明する。
【0043】
図4(A)〜(C)は、作成したシミュレーションモデルを示す図であり、図4(A)は、固定シーブ100に環状リブを設けず、かつ、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与しない場合のモデル図、図4(B)は、固定シーブ100に環状リブ101を設け、かつ、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与した場合のモデル図である。シミュレーションモデル条件は図4(C)に示され、変速比を2.326(LOW)、支持力としての油圧を4.6MPa、Vベルトから受ける力を66kNとした。寸法諸元は図4(C)に示すとおりである。
【0044】
図5(A)〜(C)は、シミュレーション解析によるVベルト102の芯ずれを比較して示す図であり、図5(A)は、固定シーブ100に環状リブを設けず、かつ、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与しない場合のシミュレーション解析結果、図5(B)は、固定シーブ100に環状リブ101を設けたが、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与しない場合のシミュレーション解析結果、図5(C)は、固定シーブ100に環状リブ101を設け、かつ、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与した場合のシミュレーション解析結果を示している。なお、シミュレーション解析では、シーブ面が傾斜していることによる幾何学的な芯ずれはゼロと仮定し、固定シーブ100の変形による芯ずれ量のみを求めた。
【0045】
図5(A)に示すように、本発明を適用する前の一般的な構造の場合には、ベルト102の芯ずれ量は0.17mmであった。なお、0.17mmの芯ずれは変速比に換算すると0.08であり、誤差範囲内の影響しか与えないため、シミュレーション解析では、固定シーブ100の変形に伴なう変速比の変化は無視した。
【0046】
図5(B)に示すように、固定シーブ100に環状リブ101を設けたが、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与しない構造の場合には、ベルト102の芯ずれ量は0.16mmであった。環状リブ101を設けることにより、固定シーブ100の変形を抑制してVベルト102の芯ずれを低減するという効果が若干ではあるが得られた。
【0047】
図5(C)に示すように、本発明を適用して、固定シーブ100に環状リブ101を設け、かつ、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与した構造の場合には、ベルト102の芯ずれ量は0.06mmであった。また、環状リブ101が径方向に拡開する変形量は0.04mmであった。この変形量は、前述したように、油圧保持プレート82、92に設けたシールリング85、95が保証している0.3mm程度の変形よりもはるかに小さいので、第1、第2油圧室80、90のシール性が損なわれることはない。
【0048】
以上の解析結果より、固定シーブ100を支持する支持力を当該固定シーブ100の背面に付与する構造によれば、固定シーブ100の変形を抑制してVベルト102の芯ずれ抑制に大きな効果があることがわかった。
【0049】
さらに、実験によれば、Vベルトのリング応力が最大となる変速比LOWにおいて、Vベルトの芯ずれを0.15mm低減すると、Vベルトの耐久時間が約4倍になった結果が得られた。
【0050】
したがって、本発明によれば、固定シーブの変形を抑制し、Vベルトの芯ずれを低減し、Vベルトの耐久性の向上に大きく貢献できることが確認できた。
【0051】
(変形例)
図6(A)(B)は、固定シーブの背面側に区画形成される第1油圧室80の変形例に係る要部を示す断面図である。
【0052】
図6(A)に示す第1油圧室80にあっては、油圧保持プレート82の径方向外方部位は、固定シーブ21の環状リブ81の内面側で、かつ、当該環状リブ81に沿うように折り曲げてある。油圧保持プレート82の径方向外方側の先端部は、環状リブ81の内面に対して摺動する。油圧保持プレート82の先端部には、Oリングからなるシールリング85が設けられている。かかる構成によれば、第1油圧室80内の油圧によって油圧保持プレート82の先端部が環状リブ81の内面に押圧されるため、第1油圧室80のシール性が高められる。第2油圧室90についても同様の変形が可能である。
【0053】
図6(B)に示す第1油圧室80にあっては、固定シーブ110の背面には環状リブが設けられておらず、油圧保持プレート82の径方向外方部位は、固定シーブ110に向けて折り曲げられ、軸方向と平行に伸びる平坦部が形成されている。固定シーブ110の外周縁は、油圧保持プレート82の平坦部の内面に対して摺動する。固定シーブ110の外周縁には、Oリングからなるシールリング111が設けられている。かかる構成によれば、固定シーブ110の背面に環状リブを設けないので、従前の固定シーブを流用して第1油圧室80を形成することができる。第2油圧室90についても同様の変形が可能である。
【0054】
なお、本発明に係るベルト式無段変速装置を自動車用変速装置に適用した実施形態について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。本発明は、加工機などに組み込まれる無段変速装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るベルト式無段変速装置の概略構成図である。
【図2】プーリに掛け渡されるVベルトを示す横断面図である。
【図3】入力側プーリにおける固定シーブの背面側に区画形成される第1油圧室を示す図である。
【図4】図4(A)〜(C)は、作成したシミュレーションモデルを示す図であり、図4(A)は、固定シーブに環状リブを設けず、かつ、固定シーブを支持する支持力を当該固定シーブの背面に付与しない場合のモデル図、図4(B)は、固定シーブに環状リブを設け、かつ、固定シーブを支持する支持力を当該固定シーブの背面に付与した場合のモデル図、図4(C)は、シミュレーションモデル条件を示す図である。
【図5】図5(A)〜(C)は、シミュレーション解析によるVベルトの芯ずれを比較して示す図であり、図5(A)は、固定シーブに環状リブを設けず、かつ、固定シーブを支持する支持力を当該固定シーブの背面に付与しない場合のシミュレーション解析結果、図5(B)は、固定シーブに環状リブを設けたが、固定シーブを支持する支持力を当該固定シーブの背面に付与しない場合のシミュレーション解析結果、図5(C)は、固定シーブに環状リブを設け、かつ、固定シーブを支持する支持力を当該固定シーブの背面に付与した場合のシミュレーション解析結果を示している。
【図6】図6(A)(B)は、固定シーブの背面側に区画形成される油圧室の変形例に係る要部を示す断面図である。
【符号の説明】
10…ベルト式無段変速装置
20…入力側プーリ(第1プーリ)
21…固定シーブ
23…可動シーブ
21a、23a…シーブ面
30…出力側プーリ(第2プーリ)
31…固定シーブ
33…可動シーブ
31a、33a…シーブ面
40…Vベルト
41…エレメント
42…リング
50…オイルポンプ(推力付与手段、支持力付与手段)
80、90…第1、第2油圧室
81、91…環状リブ
82、92…油圧保持プレート
85、95…シールリング
Claims (3)
- 固定シーブおよび可動シーブを備える第1プーリと、固定シーブおよび可動シーブを備える第2プーリと、油圧力によって固定シーブに向けて押し付ける推力を各可動シーブに付与する推力付与手段と、を有し、固定シーブと可動シーブとの間の間隔を変化させ、両プーリ間に巻き掛けられたVベルトにより一方のプーリから他方のプーリに回転を伝達するベルト式無段変速装置において、
油圧力によって固定シーブを支持する支持力を各固定シーブの背面に付与する支持力付与手段を有することを特徴とするベルト式無段変速装置。 - 前記支持力付与手段において各固定シーブに作動油を供給する油圧回路は、前記推力付与手段において各可動シーブに作動油を供給する油圧回路に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速装置。
- 各固定シーブは、背面側に油圧室を区画形成するための環状リブが軸線方向に沿って伸びていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のベルト式無段変速装置。
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JP2002249036A JP2004084874A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | ベルト式無段変速装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2002
- 2002-08-28 JP JP2002249036A patent/JP2004084874A/ja not_active Withdrawn
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