JP2004084782A - ラジアル玉軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】玉5の転動面に付着して保持器6に掻き取られた後、遠心力により外輪4aの内周面に振り飛ばされたグリースを、外輪軌道3に向け効率良く導く。
【解決手段】上記外輪4aの内周面でこの外輪軌道3の両側に位置する部分を、この外輪軌道3に近づく程内径が大きくなる方向に傾斜した傾斜面14、14とする。又は、保持器の形状を工夫して、この保持器に付着したグリースを、この保持器の外周面中央部に導く。上記グリースが、これら各傾斜面14、14或は保持器の表面に導かれて上記外輪軌道3に集められる為、グリースを過剰に充填せずに、転がり接触部の潤滑を効果的に行なえる。この為、回転トルクが低く且つ安定し、しかも優れた耐久性を有するラジアル玉軸受を実現できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種回転機械装置に使用される転がり軸受を構成するラジアル玉軸受の改良に関し、内部空間に充填するグリースの量を過剰にする事なく、各玉の転動面と各軌道との転がり接触部の潤滑性を十分に確保できる構造を実現するものである。これにより、ラジアル玉軸受の回転抵抗を低く且つ安定させると共に、運転時に発生する振動と騒音とを低減し、しかも上記ラジアル玉軸受の耐久性を十分に確保する事を意図したものである。
【0002】
【従来の技術】
各種回転機械装置の軸受部等、各種回転部分を支持する為のラジアル玉軸受として、例えば図8に示す様な構造のものが広く使用されている。この玉軸受は、外周面に深溝型の内輪軌道1を有する内輪2と内周面に深溝型の外輪軌道3を有する外輪4とを互いに同心に配置し、上記内輪軌道1と外輪軌道3との間に複数個の玉5、5を転動自在に設けて成る。これら各玉5、5は、保持器6に設けたポケット7内に、転動自在に保持している。
【0003】
上記図8に示したラジアル玉軸受を構成する保持器6は、冠型保持器と呼ばれるもので、合成樹脂を射出成形する事により、図9に示す様な形状に造られている。即ち、上記保持器6は、円環状のリム部8の軸方向片側面に複数の弾性片9、9を、円周方向に関して互いに間隔をあけ、軸方向に突出する状態で形成して成る。そして、円周方向に隣り合う1対ずつの弾性片9、9の円周方向に関して互いに対向する面と、上記リム部8の軸方向片面でこれら両弾性片9、9により挟まれた部分とにより囲まれた部分を、それぞれポケット7、7としている。これら各ポケット7、7の内面は、上記各玉5、5の転動面の曲率半径よりも僅かに大きな曲率半径を有する、部分球面状の凹面としている。
【0004】
玉軸受を組み立てる場合には上記各玉5、5を、各ポケット7、7を構成する1対ずつの弾性片9、9の先端縁同士の間隔を弾性的に押し広げつつ、これら1対の弾性片9、9の間に押し込む。上記保持器6は、この様にして上記各ポケット7、7内に玉5、5を抱き込む事により、これら各玉5、5を、前記内輪軌道1と外輪軌道3(図8)との間に、図8及び図10に示す様に、転動自在に保持する。
【0005】
玉軸受の使用時には、上記複数個の玉5、5の転動に伴って、上記内輪2と外輪4との相対回転を自在とする。この際に上記複数の玉5、5は、自転しつつ上記内輪2の周囲を公転する。又、上記保持器6は、これら各玉5、5に押されて、これら各玉5、5の公転速度と同じ速度で、上記内輪2の周囲を回転する。
【0006】
上記内輪2の外周面と外輪4の内周面との間で上記各玉5、5を設置した内部空間10には、グリースを充填して、上記相対回転が円滑に行なわれる様にする。そして、玉軸受に振動や騒音が生じない様にすると共に、焼き付き等の故障を防止する。この為に、上記外輪4の両端部内周面にシールド板11、11の外周縁を係止すると共に、これら両シールド板11、11の内周縁を上記内輪2の両端部外周面に近接対向させている。この構成により上記内部空間10の両端開口を塞ぎ、この内部空間10からグリースが漏洩したり、或はこの内部空間10内に塵芥等の異物が進入するのを防止する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様に構成し作用するラジアル玉軸受の場合、従来は、回転抵抗を低く且つ安定させると同時に、運転時に発生する振動と騒音とを低減し、しかもこのラジアル玉軸受の耐久性を十分に確保する事が難しかった。この理由に就いて、図8〜10に図11〜12を加えて説明する。
【0008】
上記ラジアル玉軸受を、外輪4を静止させたまま、内輪2を図11の反時計方向に回転させる場合に就いて説明する。この場合に複数の玉5は、上記内輪2の外周面に設けた内輪軌道1との転がり接触に基づいて、同図の時計方向に回転する。この際、この内輪軌道1及び上記外輪4の内周面に設けた外輪軌道3部分に存在するグリース12が、上記各玉5の転動面に付着して、これら各玉5の転動に伴って移動する。
【0009】
ところで、上記各玉5を保持した各ポケット7の内面の曲率半径は、前述した様に、これら各玉5の転動面の曲率半径よりも僅かに大きな曲率半径を有する部分球面状であり、この転動面と上記各ポケット7の内面との間の隙間は小さい。この為、上記各玉5の転動面に付着したグリース12のうちの多くの部分が、上記各ポケット7の開口縁部で掻き取られ、図11に示す様に、保持器6の内外両周面でこの開口縁部近傍部分に溜まり、この部分で成長する。このうちの外周面部分に溜まったグリース12は、遠心力により周囲に振り飛ばされて、上記各ポケット7の周囲部分に存在する上記外輪軌道3に付着する。そして、再び上記各軌道1、3と上記各玉5の転動面との転がり接触部の潤滑に供される。
【0010】
これに対して、上記保持器6の内周面に付着してこの内周面で成長したグリース12は、この保持器6の幅方向両側縁(図8、10、12の左右両側縁)からはみ出しつつ、この保持器6の回転に伴う遠心力によって径方向外方に送られる(振り飛ばされる)。但し、この様にして上記保持器6の幅方向両側縁から径方向外方に送られたグリース12は、そのまま上記外輪軌道3には達せず、この外輪軌道3の両側に存在する円筒面部13、13に付着し、これら各円筒面部13、13部分で成長する。特に、上記保持器6のリム部8の軸方向他面側(図12の右側)から径方向外方に送られたグリース12は、このリム部8の周囲に存在する円筒面部13のうちで上記外輪軌道3から離れた部分に付着する傾向になる。
【0011】
何れにしても、上記各円筒面部13、13に付着したグリース12は、そのままでは上記各軌道1、3と上記各玉5の転動面との転がり接触部の潤滑に使用されなくなる。この様に上記各円筒面部13、13に潤滑に利用されないグリース12が付着した状態でも、上記転がり接触部に十分なグリース12を供給する為に、ラジアル玉軸受の内部空間10内に充填するグリース12の全体量を多くする事が考えられる。但し、この様にグリース12の全体量を多くした場合には、前記内輪2と外輪4との相対回転時に於けるグリースの攪拌抵抗の増大により、ラジアル玉軸受の回転抵抗が大きく且つ不安定になる為、好ましくない。
本発明のラジアル玉軸受は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のラジアル玉軸受は何れも、外輪と、内輪と、複数個の玉と、密封板とを備える。
このうちの外輪は、内周面に断面円弧形の外輪軌道を有する。
又、上記内輪は、外周面に断面円弧形の内輪軌道を有する。
又、上記各玉は、上記外輪軌道と内輪軌道との間に、保持器に保持された状態で転動自在に設けられている。
又、上記密封板は、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面との間でこれら各玉を設置すると共にグリースを充填した内部空間の両端開口部を塞ぐ。
【0013】
更に、請求項2〜3に記載したラジアル玉軸受の場合には、上記保持器は、リム部と、複数の弾性片と、複数のポケットとを備えた冠型である。
このうちのリム部は、円環状である。
又、上記各弾性片は、上記リム部の軸方向片側面に円周方向に関して互いに間隔をあけ、軸方向に突出する状態で形成している。
又、上記各ポケットは、円周方向に隣り合う1対ずつの弾性片の互いに対向する面と上記リム部の軸方向片面でこれら両弾性片により挟まれた部分とにより囲まれた部分であって、それぞれの内面を部分球面状の凹面としている。
【0014】
特に、請求項1に記載したラジアル玉軸受に於いては、上記外輪の内周面で上記外輪軌道の両側に位置する部分を、この外輪軌道に近づくに従って内径が大きくなる方向に傾斜した、部分円すい凹面状の傾斜面としている。
【0015】
又、請求項2に記載したラジアル玉軸受に於いては、上記保持器は、上記リム部の内周面に全周に亙って形成された突条と、外周面と内周面とのうちの少なくとも一方の周面に形成された周面側凸部とを備える。そして、この周面側凸部の円周方向両側縁のうち、少なくとも回転方向前側の側縁は、上記各弾性片の先端側に向かう程回転方向後方に位置する方向に傾斜している。
尚、請求項2に記載したラジアル玉軸受の場合、上記周面側凸部に加えて、上記リム部の軸方向他側面に、少なくとも回転方向前側の側縁が上記リム部の径方向外側に向かう程回転方向後方に位置する方向に傾斜した側面側凸部を設ける事もできる。
【0016】
更に、請求項3に記載したラジアル玉軸受に於いては、上記保持器の外周面と内周面とのうちの少なくとも一方の周面は、上記リム部の軸方向他側面から離れるに従って径が大きくなる方向に傾斜している。
【0017】
【作用】
上述の様に構成する本発明のラジアル玉軸受の場合には、何れの構造の場合も、内部空間に充填したグリースを外輪軌道に向け効率良く導ける。
先ず、請求項1に記載したラジアル玉軸受の場合には、保持器から遠心力により振り飛ばされて外輪の内周面で外輪軌道から外れた部分に付着したグリースが、重力により(内輪回転の場合)或は遠心力により(外輪回転の場合)、傾斜面に案内されて上記外輪軌道に導かれる。
【0018】
又、請求項2に記載したラジアル玉軸受の場合には、保持器に付着したグリースが、周面側凸部の回転方向前側の側縁に案内されつつ、上記保持器の外周面の中央部に移動する。そして、遠心力により振り飛ばされて、この中央部の周囲に存在する外輪軌道に付着する。又、突条は、保持器の内周面に付着したグリースがリム部の軸方向他側面側に流れるのを防止して、このグリースが上記外輪軌道から離れた部分に送られない様にする。
【0019】
更に、請求項3に記載したラジアル玉軸受の場合には、保持器に付着したグリースが、この保持器の周面に沿って、リム部の軸方向他側面から離れる方向、即ち、複数の弾性片を設けた側の幅方向端縁部に向けて移動する。上記保持器の両側縁のうち、これら各弾性片を設けた側の幅方向端縁部は、外輪軌道に対向している為、この端縁部に達して遠心力により周囲に振り飛ばされたグリースは、上記外輪軌道に付着する。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、保持器6に付着したグリースを外輪軌道3に対し効率良く導く為の構造にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図8〜12に示した従来構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合には、外輪4aの内周面で外輪軌道3の両側に位置する部分を、この外輪軌道3に近づくに従って内径が大きくなる方向に傾斜した部分円すい凹面状の傾斜面14、14としている。
【0021】
この様に構成する本例のラジアル玉軸受の場合には、保持器6に付着し、この保持器6の回転に伴う遠心力により振り飛ばされて上記外輪4aの内周面で上記外輪軌道3から外れた部分に付着したグリースが、上記各傾斜面14、14に案内されてこの外輪軌道3に導かれる。即ち、ラジアル玉軸受を、上記外輪4aを静止させて内輪2を回転させる状態で使用する、所謂内輪回転で使用する場合には、重力により上記各傾斜面14、14に沿って円周方向下側に移動したグリースが、更にこれら各傾斜面14、14を上記外輪軌道3に向けて移動する。これに対して、上記内輪2を静止させて上記外輪4aを回転させる状態で使用する、所謂外輪回転で使用する場合には、上記各傾斜面14、14に付着したグリースが、遠心力により上記外輪軌道3に向けて移動する。
【0022】
何れにしても、上記保持器6から外輪4aの内周面に移ったグリースの多くが上記外輪軌道3に導かれる為、ラジアル玉軸受の内部空間10内に充填するグリースの量を過剰にしなくても、内輪軌道1及び外輪軌道3と各玉5の転動面との転がり接触部を十分に潤滑できる。従って、耐久性を確保しつつ、上記内輪2と外輪4aとの相対回転時に於けるグリースの攪拌抵抗が小さく、回転抵抗が小さく且つ安定したラジアル玉軸受を得られる。
【0023】
次に、図2〜6は、請求項2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の特徴も、保持器6aに付着したグリースを内輪軌道3(図1、8、11、12参照)に対し効率良く導く為の構造にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図8〜12に示した従来構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0024】
本例のラジアル玉軸受に組み込む上記保持器6aは、リム部8aに、1本の突条15と、それぞれ複数ずつの、外周面側、内周面側、側面側各凸部16〜18を設けている。このうちの突条15は、上記リム部8aの内周面のうちで弾性片9、9と反対側の端部に、全周に亙って土手状に形成されている。この様な突条15は、上記リム部8aの内周面に付着したグリースが、このリム部8aの内周面の端縁のうち、上記各弾性片9、9と反対側端縁から流失するのを阻止する役目を有する。
【0025】
一方、上記各外周面側凸部16、16は、上記リム部8aの外周面で円周方向に隣り合うポケット7、7同士の間部分に設けられたもので、径方向から見た形状が等脚台形である。この様な各外周面側凸部16、16は、円周方向に関する幅が、上記リム部8aの基端面、即ち、上記各弾性片9、9と反対側の端面(軸方向他側面)から離れるに従って小さくなる。
【0026】
従って、上記各外周面側凸部16、16の円周方向両側縁は、上記保持器6aが何れの方向に回転する場合でも、回転方向前側の側縁が上記各弾性片9、9の先端側に向かう程回転方向後方に位置する方向に傾斜している。又、上記各外周面側凸部16、16の先端縁、即ち、最も円周方向の幅が狭くなった部分は、上記保持器6aの軸方向に関して、上記各ポケット7、7のほぼ中心部に見合う位置に存在する。この様な各外周面側凸部16、16は、上記保持器6aの外周面に付着したグリースを、この保持器6aの軸方向に関して、上記各ポケット7、7の中心に見合う部分に移動させる役目を有する。尚、上記各ポケット7、7の縁部で掻き取られて上記保持器6aの外周面に付着したグリースがそのまま遠心力により周囲に振り飛ばされた場合に、このグリースはそのうちの多くの部分が、外輪軌道3に付着する。従って、上記各外周面側凸部16、16は省略しても良い。
【0027】
又、前記各内周面側凸部17、17は、上記リム部8aの内周面で円周方向に隣り合うポケット7、7同士の間部分、即ち、上記各外周面側凸部16、16の内径側に位置する部分に設けられたもので、これら各外周面側凸部16、16と相似形で、方向も同じである。従って、上記各内周面側凸部17、17の円周方向両側縁も、上記保持器6aが何れの方向に回転する場合でも、回転方向前側の側縁が上記各弾性片9、9の先端側に向かう程回転方向後方に位置する方向に傾斜している。又、上記各内周面側凸部17、17の先端縁も上記保持器6aの軸方向に関して、上記各ポケット7、7のほぼ中心部に見合う位置に存在する。この様な各内周面側凸部17、17は、上記保持器6aの内周面に付着したグリースを、この保持器6aの軸方向に関して、上記各ポケット7、7の中心に見合う部分に移動させる役目を有する。
【0028】
更に、前記各側面側凸部18、18は、上記リム部8aの基端面で円周方向に関する位相が上記各ポケット7、7と一致する部分に設けられたもので、軸方向から見た形状が等脚台形である。この様な各側面側凸部18、18は、円周方向に関する幅が、上記リム部8aの外径側に向かうに従って小さくなる。
【0029】
従って、上記各側面側凸部18、18の円周方向両側縁は、上記保持器6aが何れの方向に回転する場合でも、回転方向前側の側縁が上記リム部8aの径方向外側に向かう程回転方向後方に位置する方向に傾斜している。又、このリム部8aの径方向に関して外端部に位置する、上記各側面側凸部18、18の先端縁は、円周方向に隣り合う外周面側凸部16、16同士の間に位置する。この様な各側面側凸部18、18は、上記保持器6aの基端面に付着したグリースを、この保持器6aの外径側に移動させ、円周方向に隣り合う上記外周面側凸部16、16同士の間に移動させる役目を有する。尚、前記突条15及び各内周面側凸部17、17の存在により、上記保持器6aの基端面へのグリースの付着は極く限られたものとなるので、上記各側面側凸部18、18は省略しても良い。
【0030】
上述の様な保持器6aを組み込んで成る本例のラジアル玉軸受の場合には、上記保持器6aに付着したグリースが、外周面側凸部16、16、内周面側凸部17、17、側面側凸部18、18の回転方向前側の側縁に案内されつつ、上記保持器6aの外周面の中央部に移動する。そして、遠心力により振り飛ばされて、この中央部の周囲に存在する外輪軌道3(図1、7、8、11、12参照)に付着する。この為、前述した第1例の場合と同様に、内輪と外輪との相対回転時に於けるグリースの攪拌抵抗が小さく、回転抵抗が小さく且つ安定したラジアル玉軸受を得られる。
【0031】
次に、図7は、請求項2、3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、保持器6b全体を部分円すい筒状に形成している。従って、この保持器6bの外周面及び内周面が、リム部8bの基端面(軸方向他側面)から離れるに従って径が大きくなる方向に傾斜している。
【0032】
上述の様な保持器6bを組み込んで成る本例のラジアル玉軸受の場合には、この保持器6bに付着したグリースが、この保持器6bの回転に伴う遠心力に基づき、この保持器6bの外周面及び内周面に沿って、リム部8bの軸方向他側面から離れる方向、即ち、複数の弾性片9を設けた側の幅方向端縁部に向けて移動する。上記保持器6bの両側縁のうち、上記各弾性片9を設けた側の幅方向端縁部は、外輪軌道3に対向している為、この端縁部に達して遠心力により周囲に振り飛ばされたグリースは、上記外輪軌道3に付着する。その他の部分の構成及び作用は、上述の第2例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
【0033】
尚、請求項1〜3に係る発明は、単独で実施する他、互いに組み合わせて実施する事もできる。組み合わせも、実施の形態の第3例の様に、請求項2、3を組み合わせる場合に限らず、請求項1〜3に記載された発明を自由に(2発明に限らず3発明でも)組み合わせて実施できる。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用する為、回転抵抗が小さく且つ安定したラジアル玉軸受を得て、ラジアル玉軸受を組み込んだ各種機械装置の耐久性を確保しつつ省エネルギ化を図れる等、各種性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す部分断面図。
【図2】同第2例に組み込む保持器の部分斜視図。
【図3】図2のA矢視図。
【図4】図3の拡大B−B断面図。
【図5】図3の上方から見た図。
【図6】図4のC矢視図。
【図7】本発明の実施の形態の第3例を示す部分断面図。
【図8】従来から知られているラジアル玉軸受の1例を示す断面図。
【図9】このラジアル玉軸受に組み込まれている保持器の1例を示す斜視図。
【図10】この保持器に玉を保持した状態を示す平面図。
【図11】図8のD−D断面図。
【図12】外輪の内周面の一部にグリースが集中する状態を示す部分断面図。
【符号の説明】
1  内輪軌道
2  内輪
3  外輪軌道
4、4a 外輪
5  玉
6、6a、6b 保持器
7  ポケット
8、8a、8b リム部
9  弾性片
10  内部空間
11  シールド板
12  グリース
13  円筒面部
14  傾斜面
15  突条
16  外周面側凸部
17  内周面側凸部
18  側面側凸部

Claims (3)

  1. 内周面に断面円弧形の外輪軌道を有する外輪と、外周面に断面円弧形の内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に、保持器に保持された状態で転動自在に設けられた複数個の玉と、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面との間でこれら各玉を設置すると共にグリースを充填した内部空間の両端開口部を塞ぐ密封板とを備えたラジアル玉軸受に於いて、上記外輪の内周面で上記外輪軌道の両側に位置する部分を、この外輪軌道に近づくに従って内径が大きくなる方向に傾斜した部分円すい凹面状の傾斜面とした事を特徴とするラジアル玉軸受。
  2. 内周面に断面円弧形の外輪軌道を有する外輪と、外周面に断面円弧形の内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に、保持器に保持された状態で転動自在に設けられた複数個の玉と、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面との間でこれら各玉を設置すると共にグリースを充填した内部空間の両端開口部を塞ぐ密封板とを備え、上記保持器は、円環状のリム部と、このリム部の軸方向片側面に円周方向に関して互いに間隔をあけ、軸方向に突出する状態で形成された複数の弾性片と、円周方向に隣り合う1対ずつの弾性片の互いに対向する面と上記リム部の軸方向片面でこれら両弾性片により挟まれた部分とにより囲まれた部分であって、それぞれの内面を部分球面状の凹面とした複数のポケットとを備えた冠型であるラジアル玉軸受に於いて、上記保持器は、上記リム部の内周面に全周に亙って形成された突条と、外周面と内周面とのうちの少なくとも一方の周面に形成された周面側凸部とを備え、この周面側凸部の円周方向両側縁のうち、少なくとも回転方向前側の側縁は、上記各弾性片の先端側に向かう程回転方向後方に位置する方向に傾斜している事を特徴とするラジアル玉軸受。
  3. 内周面に断面円弧形の外輪軌道を有する外輪と、外周面に断面円弧形の内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に、保持器に保持された状態で転動自在に設けられた複数個の玉と、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面との間でこれら各玉を設置すると共にグリースを充填した内部空間の両端開口部を塞ぐ密封板とを備え、上記保持器は、円環状のリム部と、このリム部の軸方向片側面に円周方向に関して互いに間隔をあけ、軸方向に突出する状態で形成された複数の弾性片と、円周方向に隣り合う1対ずつの弾性片の互いに対向する面と上記リム部の軸方向片面でこれら両弾性片により挟まれた部分とにより囲まれた部分であって、それぞれの内面を部分球面状の凹面とした複数のポケットとを備えた冠型であるラジアル玉軸受に於いて、上記保持器の外周面と内周面とのうちの少なくとも一方の周面は、上記リム部の軸方向他側面から離れるに従って径が大きくなる方向に傾斜している事を特徴とするラジアル玉軸受。
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