JP2004084657A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料噴射弁内の燃料が脈動していたとしても、燃料噴射弁から目標量の燃料を噴射させる。
【解決手段】燃料噴射弁1と、燃料噴射弁に供給される燃料を一時的に溜めておくリザーバ2とを具備する。1機関サイクル中に少なくとも2回の燃料噴射が行われ、先の燃料噴射に起因して燃料噴射弁に発生した燃料の脈動がリザーバに伝わってリザーバにて反射し、燃料噴射弁に戻り、戻ってきた脈動の影響で、後の燃料噴射における燃料噴射量が変動する。後の燃料噴射における燃料噴射量に影響するパラメータとして燃料噴射弁の開弁時期と燃料噴射圧とを採用し、脈動に起因する各パラメータの変動量を推定し、推定された各パラメータの変動量に基づいて燃料噴射弁から目標量の燃料が噴射されるように燃料噴射弁の作動に関する制御値を制御する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の1機関サイクル中に燃料噴射弁からの燃料噴射を連続して2回行うようになっている燃料噴射装置が、特許文献1に開示されている。詳細には、当該公報に記載の燃料噴射装置では、内燃機関を駆動するための燃料噴射が実行される直前に、少量の燃料を噴射するいわゆるパイロット噴射が実行されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−18074号公報
【特許文献2】
特開平6−101552号公報
【特許文献3】
特開2001−164976号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料噴射弁から燃料が噴射されると、この燃料噴射に起因して燃料に脈動が発生する。ここで、燃料噴射弁がいわゆるコモンレールのような比較的容量の大きい空間に連通されていると、燃料噴射に起因して発生した脈動はコモンレールに伝わり、このコモンレールにて反射し、再び、燃料噴射弁に戻ってくる。ここで、上記公報に記載の燃料噴射装置のように、1機関サイクル中に燃料噴射を連続して2回行うようになっている場合、1回目の燃料噴射に起因して発生した脈動が再び燃料噴射弁に戻り、これによって、燃料噴射弁内の燃料が脈動している間に、2回目の燃料噴射が行われると、2回目の燃料噴射における燃料噴射量が目標量からずれてしまう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、燃料噴射弁内の燃料が脈動していたとしても、燃料噴射弁から目標量の燃料を噴射させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、1番目の発明では、内燃機関の燃焼室に供給されるべき燃料を噴射するための燃料噴射弁と、該燃料噴射弁に供給される燃料を一時的に溜めておくリザーバとを具備し、内燃機関の1機関サイクル中に少なくとも2回の燃料噴射が行われ、1回目の燃料噴射である先噴射に起因して燃料噴射弁に発生した燃料の脈動がリザーバに伝わって該リザーバにて反射し、燃料噴射弁に戻り、該戻ってきた脈動の影響で、2回目の燃料噴射である後噴射における燃料噴射量が変動する燃料噴射装置において、後噴射における燃料噴射量に影響するパラメータとして燃料噴射弁の開弁時期と燃料噴射弁からの燃料の噴射圧とを採用し、上記脈動に起因する後噴射における各パラメータの変動量を推定し、該推定された後噴射における各パラメータの変動量に基づいて後噴射において燃料噴射弁から目標量の燃料が噴射されるように燃料噴射弁の作動に関する制御値を制御する。
2番目の発明では、1番目の発明において、上記後噴射における各パラメータの変動量が該後噴射における各パラメータの変動に起因する後噴射における燃料噴射量の変動量を代表しており、上記推定された後噴射における各パラメータの変動量に基づいて該後噴射における各パラメータの変動に起因する後噴射における燃料噴射量の変動量が推定され、該推定された後噴射における燃料噴射量の変動量に基づいて後噴射において燃料噴射弁から目標量の燃料が噴射されるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御される。
3番目の発明では、1番目の発明において、後噴射における燃料噴射時間が該後噴射における燃料噴射弁の開弁時期の変動量が零であった場合の燃料噴射時間である基準燃料噴射時間となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御される。
4番目の発明では、1番目の発明において、後噴射における燃料噴射弁の開弁時期が該後噴射における開弁時期の変動量が零であった場合の開弁時期である基準開弁時期となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御される。
5番目の発明では、4番目の発明において、上記後噴射における各パラメータの変動量が先噴射から後噴射までの時間であるインターバル時間を変数とする関数から算出され、後噴射における開弁時期が上記基準開弁時期となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御されたときには上記後噴射における燃料噴射圧の変動量を推定するのに用いられるインターバル時間が燃料噴射弁が基準開弁時期に開弁するものとして算出される。
6番目の発明では、3番目の発明において、後噴射における燃料噴射弁の閉弁時期が後噴射における燃料噴射時間を上記基準燃料噴射時間とする閉弁時期となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御される。
7番目の発明では、1〜6番目の発明のいずれか1つにおいて、上記パラメータに加えて、燃料噴射弁の開弁速度が採用される。
8番目の発明では、1〜7番目の発明のいずれか1つにおいて、後噴射における燃料噴射時間が予め定められた時間よりも短いときには、上記パラメータとして燃料噴射弁の開弁時期のみが採用される。
9番目の発明では、1〜8番目の発明のいずれか1つにおいて、上記燃料噴射弁が燃料を噴射するための噴射孔と、燃料噴射弁内にて往復動し且つ上記噴射孔を閉鎖するニードル弁と、上記噴射孔側のニードル弁の壁面に圧力を加え且つ上記噴射孔から噴射されるべき燃料を溜めておく第1の室と、上記ニードル弁に関して前記第1の室とは反対側に位置し且つ燃料を溜めておく第2の室とを有し、後噴射における開弁時期の変動量が上記第1の室内の燃料の圧力の時間微分値に基づいて推定される。
10番目の発明では、1〜9番目の発明のいずれか1つにおいて、先噴射から後噴射までの時間であるインターバル時間以外の条件を固定した場合の上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係を予め求めておき、該関係に基づいてインターバル時間から上記後噴射における各パラメータの変動量が推定される。
11番目の発明では、10番目の発明において、上記後噴射における各パラメータの変動量が先噴射における燃料噴射時間に応じて異なり、上記インターバル時間以外の条件として先噴射における燃料噴射時間が採用され、基準とする先噴射における燃料噴射時間に関して上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係が求められており、該関係に基づいて推定された後噴射における各パラメータの変動量が先噴射におけるその時の燃料噴射時間に応じて補正される。
12番目の発明では、10または11番目の発明において、上記後噴射における各パラメータの変動量が後噴射における燃料噴射時間に応じて異なり、上記インターバル時間以外の条件として後噴射における燃料噴射時間が採用され、基準とする後噴射における燃料噴射時間に関して上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係が求められており、該関係に基づいて推定された後噴射における各パラメータの変動量が後噴射におけるその時の燃料噴射時間に応じて補正される。
13番目の発明では、10〜12番目の発明のいずれか1つにおいて、上記後射における各パラメータの変動量が燃料の平均圧力および燃料の温度の少なくとも一方に応じて異なり、上記インターバル時間以外の条件として燃料の平均圧力および燃料の温度の少なくとも一方が採用され、基準とする燃料の平均圧力および基準とする燃料の温度に関して上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係が求められており、該関係に基づいて推定された後噴射における各パラメータの変動量がその時の燃料の平均圧力およびその時の燃料の温度の少なくとも一方に応じて補正される。
14番目の発明では、10〜13番目の発明のいずれか1つにおいて、上記後噴射における各パラメータの変動量が燃料中における脈動の伝搬速度に応じて異なり、上記インターバル時間以外の条件として燃料中における脈動の伝搬速度が採用され、基準とする燃料中における脈動の伝搬速度に関して上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係が求められており、該関係に基づいて推定された後噴射における各パラメータの変動量がその時の燃料中における脈動の伝搬速度に応じて補正される。
15番目の発明では、14番目の発明において、その時の燃料中における脈動の伝搬速度が速いほど短いインターバル時間に対応する変動量となるように上記関係に基づいて推定された後噴射における各パラメータの変動量が補正される。16番目の発明では、14または15番目の発明において、上記燃料中における脈動の伝搬速度が燃料の平均圧力および燃料の温度の少なくとも1つを変数とする関数から算出される。
17番目の発明では、14〜16番目の発明のいずれか1つにおいて、燃料の圧力を検出する圧力センサを具備し、該圧力センサの出力値から求まる燃料の圧力変化を利用して燃料中における脈動の伝搬速度が算出される。
18番目の発明では、17番目の発明において、上記伝搬速度の算出が予め定められた条件が成立したときに行われる。
19番目の発明では、18番目の発明において、上記予め定められた条件が燃料の平均圧力の変化度合が予め定められた度合よりも小さいことである。
20番目の発明では、18または19番目の発明において、上記予め定められた条件が燃料の平均圧力が予め定められた圧力にあることであり、該予め定められた圧力が複数個の値である。
21番目の発明では、18〜20番目の発明において、燃料の温度が予め定められた基準温度であって燃料の平均圧力が予め定められた基準圧力であるときの燃料中の脈動の伝搬速度が基準伝搬速度として予め記憶されており、上記予め定められた条件が燃料の温度が上記基準温度であって燃料の平均圧力が上記基準圧力であることであり、該予め定められた条件が成立したときに算出された伝搬速度が上記基準伝搬速度とされる。
22番目の発明では、17〜20番目の発明のいずれか1つにおいて、燃料噴射弁を複数個具備し、上記リザーバからこれら燃料噴射弁に燃料が供給され、上記圧力センサから最も遠い箇所にある燃料噴射弁に関して上記燃料中における脈動の伝搬速度が算出される。
23番目の発明では、10〜22番目の発明のいずれか1つにおいて、上記後噴射における各パラメータの変動量が燃料の平均圧力に応じて異なり、上記インターバル時間以外の条件として燃料の平均圧力が採用され、基準とする燃料の平均圧力に関して上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係が求められており、その時の燃料の平均圧力が基準とした燃料の平均圧力よりも高いときには後噴射における燃料噴射量の変動量がプラスの方向へ大きくなるように上記推定された後噴射における各パラメータの変動量が補正され、その時の燃料の平均圧力が上記基準とした燃料の平均圧力よりも低いときには後噴射における燃料噴射量の変動量がマイナスの方向へ大きくなるように上記推定された後噴射における各パラメータの変動量が補正される。
24番目の発明では、1〜23番目の発明のいずれか1つにおいて、内燃機関の1機関サイクル中に少なくとも3回の燃料噴射が実行され、1回目の燃料噴射に起因して発生する脈動に起因する3回目の燃料噴射における各パラメータの変動量と2回目の燃料噴射に起因して発生する脈動に起因する3回目の燃料噴射における各パラメータの変動量とを合わせた量が3回目の燃料噴射における各パラメータの変動量とされる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施形態を参照して本発明を説明する。図1は燃料噴射装置を示している。この燃料噴射装置は、内燃機関の燃焼室(図示せず)に供給されるべき燃料を噴射するための燃料噴射弁1と、この燃料噴射弁1に供給される燃料を一時的に溜めておくためのリザーバ、いわゆるコモンレール2とを具備する。燃料噴射弁1とコモンレール2とは燃料供給通路3を介して互いに連通されている。また、コモンレール2は燃料供給通路4を介して燃料タンク5に連通されている。コモンレール2と燃料タンク5との間の燃料供給通路4には燃料ポンプPが配置されている。
【0008】
また、コモンレール2には、コモンレール2内の燃料の圧力(以下「燃料の圧力」を「燃圧」と称し、「コモンレール内の燃料の圧力」を「レール圧」と称す)を検出するための圧力センサ6と、コモンレール2内の燃料の温度(以下「燃料の温度」を「燃温」と称し、「コモンレール内の燃料の温度」を「レール温」と称す)を検出するための温度センサ7とが取り付けられている。
【0009】
燃料噴射弁1はその中で往復動するニードル弁8を有する。また、燃料噴射弁1の先端には、複数の燃料噴射孔9が形成されている。ニードル弁8はコイルバネ10によって燃料噴射孔9に向かって付勢されている。ニードル弁8よりも燃料噴射孔9側には、ノズル室11が形成されており、その反対側には、制御室12が形成されている。これらノズル室11および制御室12には燃料供給通路14を介して燃料が供給される。詳細には、ノズル室11には燃料供給通路14を介して燃料が直接供給されるが、制御室12には燃料供給通路14から分岐した燃料枝通路15を介して燃料が供給される。また、燃料枝通路15には絞り16aが設けられている。また、制御室12にはそこから燃料を排出するための燃料排出通路17が接続されている。制御室12に隣接した燃料排出通路17にも絞り16bが設けられている。また、燃料排出通路17の出口は、通常、電磁ソレノイド弁(または、ピエゾ素子を利用して開閉弁するタイプの弁でもよい)18によって閉鎖されており、燃料噴射弁1から燃料を噴射するときに開放される。すなわち、電磁ソレノイド弁18は、通常、閉弁されており、燃料噴射弁1から燃料を噴射するときに開弁せしめられる。
【0010】
電磁ソレノイド弁18によって燃料排出通路17の出口が閉鎖されているときには、ノズル室11側においては、ニードル弁8の径の小さい部分(いわゆるシート径Rに対応する部分)8aを除いたニードル弁8の径の大きい部分8bの壁面8cに、ノズル室11内の燃圧(以下「ノズル室圧」と称す)がかかっている。一方、制御室12側においては、ニードル弁8の径の大きい部分8bの壁面8dに、制御室12内の燃圧(以下「制御室圧」と称す)とコイルバネ10の付勢力とがかかっている。この場合、ニードル弁8を燃料噴射孔9に向かって移動させる力(すなわち、壁面8dにかかる燃圧とコイルバネ10の付勢力との総和)が、ニードル弁8を燃料噴射孔9から離れるように移動させる力(すなわち、壁面8cにかかる燃圧)よりも大きいので、燃料噴射孔9はニードル弁8によって閉鎖されており、したがって、燃料噴射弁1からは燃料は噴射されない。
【0011】
すなわち、ニードル弁8の径の小さい部分8aの断面積をAsとし、ニードル弁8の径の大きい部分8bの壁面8dの面積をAnとし、ノズル室圧をPsとし、制御室圧をPnとし、コイルバネ10の付勢力をFsとした場合、ニードル弁8の径の大きい部分8bの壁面8dにかかる力(すなわち、ニードル弁8を燃料噴射孔9に向かって移動させようとする力)Fdnは、次式(1)から得られる。
Fdn=Pn*An+Fs …(1)
【0012】
また、ニードル弁8の径の大きい部分8bの壁面8cにかかる力(すなわち、ニードル弁8を燃料噴射孔9から離れるように移動させようとする力)Fupは、次式(2)から得られる。
Fup=Ps*(An−As) …(2)
【0013】
そして、電磁ソレノイド弁18が閉弁しているときには、ノズル室圧Psと制御室圧Pnとが等しく、このときの圧力をP0とすると、上記式(1)および(2)から以下の関係式(3)が得られる。
Fdn−Fup=Fs+P0*As …(3)
すなわち、ニードル弁8を燃料噴射孔9に向かって移動させようとする力Fdnは、ニードル弁8を燃料噴射孔9から離れるように移動させようとする力Fupよりも、Fs+P0*Asだけ大きい。したがって、この場合、ニードル弁8は燃料噴射孔9を閉鎖しており、燃料噴射弁1からは燃料は噴射されない。
【0014】
一方、図2に示したように、電磁ソレノイド弁18が開弁して燃料排出通路17の出口が開放されると、制御室12内の燃料が燃料排出通路17を介して制御室12から排出される。ここで、本実施形態では、燃料枝通路15に設けられた絞り16aと燃料排出通路17に設けられた絞り16bとは、燃料排出通路17を介して制御室12から排出された燃料の量に見合うだけの燃料は即座には制御室12には流入しないように形成されている。したがって、電磁ソレノイド弁18が開弁せしめられると、制御室圧は低下する。また、このとき、燃料排出通路17に設けられている絞り16bによって、制御室圧の低下速度は或る一定の速度に制限される。すなわち、絞り16bによって制御室圧の低下速度が極端に速くならないようになっている。
【0015】
こうして制御室圧が徐々に低下し、或る時間が経過すると、ニードル弁8を燃料噴射孔9に向かって移動させる力よりも、ニードル弁8を燃料噴射孔9から離れるように移動させる力のほうが大きくなる。このため、ニードル弁8が燃料噴射孔9から離れるように移動せしめられ、燃料噴射孔9から燃料が噴射される。すなわち、電磁ソレノイド弁18が開弁することによって、ニードル弁8を燃料噴射孔9に向かって移動させようとする力Fdnが上述した値Fs+P0*As以上に小さくなると、ニードル弁8は燃料噴射孔9を開放し、燃料噴射弁1から燃料が噴射される。
【0016】
ところで、本実施形態では、内燃機関の1機関サイクル中、すなわち、吸気行程から次の吸気行程までの間に、燃料噴射弁1から2回の燃料噴射が連続して行われる。すなわち、図3に示したように、圧縮行程末期に少量の燃料を噴射するための噴射(いわゆるパイロット噴射)が行われ、その直後に内燃機関を駆動するための燃料を噴射するための噴射(いわゆる主噴射)が行われる。これらパイロット噴射および主噴射が行われるタイミングは、内燃機関に対する要求に応じて変えられる。なお、図3において、「吸」は吸気行程を意味し、「圧」は圧縮行程を意味し、「膨」は膨張行程を意味し、「排」は排気行程を意味する。また、「ON」は燃料噴射弁1から燃料を噴射するための制御信号が発せられていることを意味し、「OFF」はこの制御信号が発せられていないことを意味する。
【0017】
このように、1機関サイクル中に2回の燃料噴射が連続して行われると、1回目の燃料噴射(パイロット噴射)が行われたときに、ノズル室圧が一時的に低下し、ノズル室11内の燃料に脈動が発生する。この脈動はコモンレール2にて反射して再び燃料噴射弁1に戻り、この戻ってきた脈動によって燃料噴射弁1内の燃料(特に、ノズル室11内の燃料)が脈動する。このようにノズル室11内の燃料が脈動している間に、2回目の燃料噴射(主噴射)が行われると、2回目の燃料噴射によって噴射される燃料の量が目標量からずれてしまうことがある。
【0018】
例えば、コモンレール2にて反射して燃料噴射弁1に戻ってきた脈動は、ノズル室11内の燃料には即座に影響するが、制御室12内の燃料には若干遅れを伴って影響する。すなわち、制御室12への燃料経路に絞り16aが設けられていることから、脈動はノズル室11内の燃料に影響を与えるよりも遅れて制御室12内の燃料に影響する。したがって、ノズル室11内の燃料および制御室12内の燃料に脈動の影響が及んだとき、ノズル室圧への脈動の影響の程度と制御室圧への脈動の影響の程度とは多くの場合異なっている。
【0019】
ここで、燃料噴射弁1は、ノズル室圧によってニードル弁8を上方に押し上げる力が制御室圧によってニードル弁8を押し下げる力にコイルバネ10の付勢力を加えた力よりも相対的に大きくなった所定の時期に開弁する。このため、上述したように脈動の影響の程度の違いによってノズル室圧と制御室圧との差が上記所定の値とは異なっていると、燃料噴射弁1の開弁時期(以下、単に「開弁時期」と称す)は所定の時期からずれることになる。したがって、燃料噴射弁1(すなわち、ニードル弁8)を開弁させるための制御信号が発せられてから、実際に、燃料噴射弁1が開弁するまでにかかる時間は、例えば、ノズル室圧が制御室圧よりも上記所定の値以上に大きいと短くなる。したがって、開弁時期は、ノズル室圧が制御室圧よりも上記所定の値以上に大きいと早くなる。このように、ノズル室11内の燃料が脈動していると、これに起因して開弁時期が変動する。
【0020】
このように開弁時期が変動すると、その影響で燃料噴射量も変動する。例えば、燃料噴射弁1のニードル弁8のリフト量Lを時間Tで表した図4に示した例を参照すると、開弁時期が早い場合のリフト曲線L4に沿って燃料噴射弁1が開弁したときには、開弁時期が遅い場合のリフト曲線L3に沿って燃料噴射弁1が開弁したときに比べて、早い段階でニードル弁8が最大リフト量に到達するので、領域Yで示した分だけ燃料噴射量が多くなる。
【0021】
そして、このように開弁時期の変動の影響で燃料噴射量が変動する場合、開弁時期の変動量とそれに起因する燃料噴射量の変動量との間には、一定の相関関係がある。すなわち、ノズル室11内の燃料の脈動に起因した開弁時期の変動量から、それに起因する燃料噴射量の変動量を推定することができる。
【0022】
また、ノズル室11内の燃料の脈動に起因して燃料噴射弁1からの燃料の噴射圧も変動する。このように燃料噴射圧が変動すると、その影響で燃料噴射量も変動する。そして、この場合、燃料噴射圧の変動量と、それに起因する燃料噴射量の変動量との間には一定の相関関係がある。すなわち、ノズル室11内の燃料の脈動に起因した燃料噴射圧の変動量から、それに起因する燃料噴射量の変動量を推定することができる。
【0023】
また、燃料噴射弁1の開弁速度(すなわち、ニードル弁8の開弁速度。以下「ニードル速度」と称す)は、ノズル室圧と制御室圧との差が所定の値であるときに所定の速度になる。このため、上述したように脈動の影響の程度の違いによってノズル室圧と制御室圧との差が上記所定の値とは異なっていると、ニードル速度は所定の速度からずれる。例えば、ニードル速度は、ノズル室圧が制御室圧よりも高いほど速くなる。したがって、ノズル室11内の燃料が脈動していると、これに起因してニードル速度も変動する。
【0024】
このようにニードル速度が変動すると、その影響で燃料噴射量も変動する。例えば、ニードル弁8のリフト量Lを時間Tで表した図5に示した例を参照すると、ニードル速度が速い場合のリフト曲線L2に沿って燃料噴射弁1が開弁したときには、ニードル速度が遅い場合のリフト曲線L1に沿って燃料噴射弁1が開弁したときに比べて、早い段階でニードル弁8が最大リフト量に到達するので、領域Xで示した分だけ燃料噴射量が多くなる。
【0025】
そして、このようにニードル速度の変動の影響で燃料噴射量が変動する場合、ニードル速度の変動量と、それに起因する燃料噴射量の変動量との間には、一定の相関関係がある。すなわち、ノズル室11内の燃料の脈動に起因したニードル速度の変動量から、それに起因する燃料噴射量の変動量を推定することができる。
【0026】
こうした事情を考慮し、本実施形態では、2回目の燃料噴射(以下「主噴射」と称す)によって噴射される燃料の量(以下「主噴射量」と称す)に影響するパラメータとして、主噴射における燃料噴射弁1の開弁時期(以下「主噴射時期」と称す)と、主噴射における燃料噴射圧(以下「主噴射圧」と称す)と、主噴射におけるニードル速度(以下「主噴射ニードル速度」と称す)とを採用し、燃料の脈動に起因したこれらパラメータの変動量を推定する。そして、この推定された各パラメータの変動量からそれに起因する主噴射量の変動量をそれぞれ推定する。そして、これら推定された主噴射量の変動量を合計して、主噴射量のトータルの変動量を算出し、この主噴射量のトータルの変動量に基づいて、主噴射において燃料噴射弁1から目標量の燃料が噴射されるように、主噴射における燃料噴射弁1の作動に関する制御値(例えば、燃料噴射弁1の開弁時間)を制御する。
【0027】
より具体的には、主噴射量のトータルの変動量がプラスであって主噴射量が多くなると予想される場合には、この主噴射量のトータルの変動量分だけ少ない量の燃料が噴射されるように主噴射における燃料噴射弁1の開弁時間(以下「主噴射時間」と称す)が短くなるように燃料噴射弁1の作動に関する制御値を補正する。逆に、主噴射量のトータルの変動量がマイナスであって主噴射量が少なくなると予想される場合には、この主噴射量のトータルの変動量分だけ多い量の燃料が噴射されるように主噴射時間が長くなるように燃料噴射弁1の作動に関する制御値を補正する。これによれば、燃料噴射弁1内の燃料が脈動している間に、主噴射が行われたとしても、当初の目標量の燃料を燃料噴射弁1から噴射させることができる。
【0028】
次に、上述した3つのパラメータの変動に起因する主噴射量の変動量の算出方法について説明する。ノズル室11内の燃料が脈動しているとき、ノズル室圧は時間の経過と共に変化する。このため、ノズル室11内の燃料の脈動に起因する主噴射時期の変動量は、パイロット噴射が開始されてから主噴射が開始されるまでの時間(以下「インターバル時間」とも称す)によって異なり、したがって、主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量も、インターバル時間によって異なる。ここで、これらインターバル時間と主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量との関係は、図6に示したようになる。このように図6に示した関係が予め分かっていれば、この関係とインターバル時間Tiとから、主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(To)が分かることになる。
【0029】
そこで、本実施形態では、図6に示したような関係を予め実験等によって求めてマップの形で記憶しておき、このマップと各機関サイクルにおけるインターバル時間Tiとに基づいて、主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(To)を推定する。なお、この主噴射量の変動量ΔQ(To)は、1回目の燃料噴射時間(以下「パイロット噴射時間」と称す)、燃料中における脈動の伝搬速度(以下、単に「脈動の伝搬速度」と称す)、および、平均燃圧(脈動が全くないとした場合の燃圧)が変われば変わってしまう。したがって、図6に示したマップは、パイロット噴射時間が或る一定の時間(以下「第1基準時間」と称す)であり、脈動の伝搬速度が或る一定の速度(以下「基準速度」と称す)であり、そして、平均燃圧が或る一定の圧力(以下「基準圧力」と称す)であるときのインターバル時間と主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量との関係のマップ(以下「基準マップ」とも称す)として求められたものである。そして、パイロット噴射時間が第1基準時間からずれたとき、或いは、脈動の伝搬速度が基準速度からずれたとき、或いは、平均燃圧が基準圧力からずれたときには、後述するように、このずれ量に応じて、基準マップを補正するか、或いは、基準マップから算出された主噴射量の変動量を補正する。
【0030】
同様に、ノズル室11内の燃料の脈動に起因する燃料噴射圧の変動量も、インターバル時間によって異なる。したがって、燃料噴射圧の変動に起因する主噴射量の変動量も、インターバル時間によって異なる。ここで、これらインターバル時間と燃料噴射圧の変動に起因する主噴射量の変動量との関係は、図7に示したようになるが、このように図7に示した関係が予め分かっていれば、この関係とインターバル時間Tiとから、主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Pi)が分かることになる。
【0031】
そこで、本実施形態では、図7に示したような関係を予め実験等によって求めてマップの形で記憶しておき、このマップとインターバル時間Tiとに基づいて、燃料噴射圧の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Pi)を推定する。なお、この主噴射量の変動量ΔQ(Pi)は、パイロット噴射時間、主噴射時間、脈動の伝搬速度、および、平均燃圧が変われば変わってしまう。したがって、図7に示したマップは、パイロット噴射時間が第1基準時間であり、主噴射時間が或る一定の時間(以下「第2基準時間」と称す)であり、脈動の伝搬速度が基準速度であり、そして、平均燃圧が基準圧力であるときのインターバル時間と燃料噴射圧の変動に起因する主噴射量の変動量との関係のマップ(以下「基準マップ」とも称す)として求められたものである。そして、パイロット噴射時間が第1基準時間からずれたとき、或いは、主噴射時間が第2基準時間からずれたとき、或いは、脈動の伝搬速度が基準速度からずれたとき、或いは、平均燃圧が基準圧力からずれたときには、後述するように、このずれ量に応じて、基準マップを補正するか、或いは、基準マップから算出された主噴射量の変動量を補正する。
【0032】
同様に、ノズル室11内の燃料の脈動に起因する主噴射ニードル速度も、インターバル時間によって異なり、したがって、主噴射ニードル速度の変動に起因する主噴射量の変動量も、インターバル時間によって異なる。ここで、これらインターバル時間と主噴射ニードル速度の変動に起因する主噴射量の変動量との関係は、図8に示したようになるが、このように図8に示した関係が予め分かっていれば、この関係とインターバル時間Tiとから、主噴射ニードル速度の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Vn)が分かることになる。
【0033】
そこで、本実施形態では、図8に示したような関係を予め実験等によって求めてマップの形で記憶しておき、このマップと各機関サイクルにおけるインターバル時間Tiとに基づいて、主噴射ニードル速度の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Vn)を推定する。なお、この主噴射量の変動量ΔQ(Vn)も、パイロット噴射時間、主噴射時間、脈動の伝搬速度、および、平均燃圧が変われば変わってしまう。したがって、図8に示したマップは、パイロット噴射時間が第1基準時間であり、主噴射時間が第2基準時間であり、脈動の伝搬速度が基準速度であり、そして、平均燃圧が基準圧力であるときのインターバル時間と主噴射ニードル速度の変動に起因する主噴射量の変動量との関係のマップ(以下「基準マップ」とも称す)として求められたものである。そして、パイロット噴射時間が第1基準時間からずれたとき、或いは、主噴射時間が第2基準時間からずれたとき、或いは、脈動の伝搬速度が基準速度からずれたとき、或いは、平均燃圧が基準圧力からずれたときには、後述するように、このずれ量に応じて、基準マップを補正するか、或いは、基準マップから算出された主噴射量の変動量を補正する。
【0034】
ところで、主噴射時期とノズル室11内の燃料の圧力の時間微分値との間には、図9に示されているような一定の相対関係がある。すなわち、図9(A)は、インターバル時間Tiと主噴射時期の変化量ΔToとの関係を示す。図9(B)は、インターバル時間Tiとノズル室圧の時間微分値dPnとの関係を示す。これら図9(A)および図9(B)から明らかなように、インターバル時間Tiに対する主噴射時期の変動量ΔToの推移とノズル室圧の時間微分値dPnの推移とは同じ挙動を示す。したがって、ノズル室圧の時間微分値と主噴射時期の変動量との間の相関関係が予め分かっていれば、ノズル室圧を検出し、この検出された圧力値を微分し、この時間微分値と上述した相関関係とから、主噴射時期の変動量が求まることになる。そして、さらに、主噴射時期の変動量とこれに起因する主噴射量の変動量との間の相関関係が予め分かっていれば、この関係と上述したようにして求められた主噴射時期の変動量とから、主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量が求まることになる。
【0035】
そこで、上述した実施形態において、ノズル室圧の時間微分値と主噴射時期の変動量との間の相関関係を第1の相関関係として予め求めておくと共に、主噴射時期の変動量とこれに起因する主噴射量の変動量との間の相関関係を第2の相関関係として予め求めておく。そして燃料噴射弁1を開弁させるための制御信号が発せられたときのノズル室圧を微分し、この時間微分値と上述した第1の相関関係とから主噴射時期の変動量を算出する。そして、この算出された主噴射時期の変動量と上述した第2の相関関係とから主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量を算出するようにしてもよい。
【0036】
次に、パイロット噴射時間が第1基準時間からずれたとき、或いは、主噴射時間が第2基準時間からずれたとき(主噴射時期の変動に関しては、この主噴射時間は関係がない)、或いは、脈動の伝搬速度が基準速度からずれたとき、或いは、平均燃圧が基準圧力からずれたときの基準マップの補正方法または基準マップから算出された主噴射量の変動量の補正方法について説明する。
【0037】
まず、パイロット噴射時間が第1基準時間からずれたときの基準マップの補正方法または基準マップから算出された主噴射量の変動量の補正方法について説明する。上述したように、図6〜図8に示した関係はパイロット噴射時間が第1基準時間であるときの関係である。そして、パイロット噴射時間が第1基準時間よりも長い場合には、図6〜図8に示した曲線は振幅が大きくて周波数が小さい曲線となり、パイロット噴射時間が第1基準時間よりも短い場合には、図6〜図8に示した曲線は振幅が小さくて周波数が大きい曲線となる。
【0038】
したがって、図6〜図8の基準マップから正確な主噴射量の変動量を算出するためには、図6〜図8の基準マップからインターバル時間に基づいて算出された各パラメータの変動に起因する主噴射量の変動量を、第1基準時間に対するパイロット噴射時間のずれ量に応じて補正すべきである。そこで、上述した実施形態では、パイロット噴射時間が第1基準時間よりも長くなるほど、実際のインターバル時間よりも長いインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を、図6〜図8の基準マップから算出する。そして、この算出された変動量がプラスである場合には、この算出された変動量を予め定められた割合(この割合は任意に決定されればよい)で大きくする。一方、算出された変動量がマイナスである場合には、この算出された変動量を予め定められた割合(この割合も任意に決定されればよく、上述した割合に等しくても上述した割合とは異なっていてもよい)で小さくする。また、上述した実施形態では、パイロット噴射時間が第1基準時間よりも短くなるほど、実際のインターバル時間よりも短いインターバル時間に対応した燃料噴射量を、図6〜図8の基準マップから算出する。そして、この算出された変動量がプラスである場合には、この算出された変動量を予め定められた割合(この割合も任意に決定されればよく、上述した割合に等しくても上述した割合とは異なっていてもよい)で小さくする。一方、算出された変動量がマイナスである場合には、この算出された変動量を予め定められた割合(この割合も任意に決定されればよく、上述した割合に等しくても上述した割合とは異なっていてもよい)で大きくする。
【0039】
また、基準マップを補正する場合には、パイロット噴射時間が第1基準時間よりも長いほど、図6〜図8に示した関係を振幅を大きく且つ周波数が小さくなるように補正し、この補正された関係に基づいて実際のインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を算出する。一方、パイロット噴射時間が第1基準時間よりも短いほど、図6〜図8に示した関係を振幅を小さく且つ周波数が大きくなるように補正し、この補正された関係に基づいて実際のインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を算出する。
【0040】
このように、第1基準時間に対する実際のパイロット噴射時間のずれ量に応じて基準マップを補正してもよいし、基準マップから算出された主噴射量の変動量を補正してもよい。このことから、パイロット噴射時間に基づいた補正について、一般的に表現すれば、図6〜図8に示した関係から算出された主噴射量の変動量がその時のパイロット噴射時間に応じて補正されるとも言える。
【0041】
いずれにしても、これによれば、実際のパイロット噴射時間が第1基準時間からずれていたとしても、主噴射量の変動量を正確に算出することができる。
【0042】
次に、主噴射時間が第2基準時間からずれたときの基準マップの補正方法または基準マップから算出された主噴射量の変動量の補正方法について説明する。上述したように、図7および図8に示した関係は主噴射時間が第2基準時間であるときの関係である。したがって、主噴射時間が第2基準時間からずれると、燃料噴射量の真の変動量は、図7および図8の基準マップから算出された主噴射量の変動量からずれる。例えば、燃料噴射量が増える方向に変動する時間帯でのみ主噴射が行われる場合、主噴射時間が長くなるほど燃料噴射量の真の変動量はプラス方向に多くなる。逆に、燃料噴射量が減る方向に変動する時間帯でのみ主噴射が行われる場合、主噴射時間が長くなるほど燃料噴射量の真の変動量はマイナス方向に大きくなる。もちろん、燃料噴射量が増える方向に変動する時間帯と燃料噴射量が減る方向へ変動する時間帯を跨いで主噴射が行われる場合もあるので、主噴射時間の長さに応じて一概に主噴射量の変動量はプラス方向に大きくなるともマイナス方向に大きくなるとも言えない。しかし、いずれにしても、主噴射時間に応じて主噴射量の変動量が変わると言える(もちろん、主噴射時間によっては、偶然にも、主噴射量の変動量が零であることもありうる)。
【0043】
したがって、図7および図8の基準マップから正確な主噴射量の変動量を算出するためには、図7および図8の基準マップからインターバル時間に基づいて算出された各パラメータの変動に起因する主噴射量の変動量を、第2基準時間に対する主噴射時間のずれ量に応じて補正すべきである。そこで、上述した実施形態では、主噴射が行われる期間が、燃料噴射量が増える方向に変動する時間帯と燃料噴射量が減る方向に変動する時間帯とのいずれの時間帯にどの程度重なっているかに応じて、図7および図8から算出された主噴射量の変動量を補正する。
【0044】
もちろん、主噴射が行われる期間が、燃料噴射量が増える方向に変動する時間帯と燃料噴射量が減る方向に変動する時間帯とのいずれの時間帯にどの程度重なっているかに応じて、図7および図8の基準マップを補正してもよい。
【0045】
このように、第2基準時間に対する実際の主噴射時間のずれ量に応じて基準マップを補正してもよいし、基準マップから算出された主噴射量の変動量を補正してもよい。このことから、主噴射時間に基づいた補正について一般的に表現すれば、図7および図8に示した関係から算出された主噴射量の変動量がその時の主噴射時間に応じて補正されるとも言える。
【0046】
次に、脈動の伝搬速度が基準速度からずれたときの基準マップの補正方法または基準マップから算出された主噴射量の変動量の補正方法について説明する。上述したように、図6〜図8に示した関係は脈動の伝搬速度が基準速度であるときの関係である。そして、実際の脈動の伝搬速度が基準速度よりも速くなっている場合には、図6〜図8に示した曲線は全体的に左側に圧縮された形となり、実際の脈動の伝搬速度が基準速度よりも遅くなっている場合には、図6〜図8に示されている曲線は全体的に右側に伸張した形となる。
【0047】
したがって、図6〜図8の基準マップから正確な主噴射量の変動量を算出するためには、図6〜図8の基準マップからインターバル時間に基づいて算出された各パラメータの変動に起因する主噴射量の変動量を、基準速度に対する実際の脈動の伝搬速度のずれ量に応じて補正すべきである。そこで、上述した実施形態では、実際の脈動の伝搬速度が基準速度よりも速くなるほど、実際のインターバル時間よりも短いインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を、図6〜図8の基準マップから算出する。一方、実際の脈動の伝搬速度が基準速度よりも遅くなるほど、実際のインターバル時間よりも長いインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を、図6〜図8の基準マップから算出する。
【0048】
また、基準マップを補正する場合には、実際の脈動の伝搬速度が基準速度よりも速いほど、図6〜図8に示した関係を左側に圧縮した形に補正し、この補正された関係に基づいて実際のインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を算出する。一方、実際の脈動の伝搬速度が基準速度よりも遅いほど、図6〜図8に示した関係を右側に伸張した形に補正し、この補正された関係に基づいて実際のインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を算出する。
【0049】
このように、基準速度に対する実際の脈動の伝搬速度のずれ量に応じて基準マップを補正してもよいし、基準マップから算出された主噴射量の変動量を補正してもよい。このことから、脈動の伝搬速度に基づいた補正について一般的に表現すれば、図6〜図8に示した関係から算出された主噴射量の変動量がその時の脈動の伝搬速度に応じて補正されるとも言える。
【0050】
いずれにしても、これによれば、実際の脈動の伝搬速度が基準速度からずれていたとしても、主噴射量の変動量を正確に算出することができる。
【0051】
なお、脈動の伝搬速度は、一般的に、燃圧と燃温とに応じて変化し、燃圧が高いほど速くなり且つ燃温が高いほど遅くなる。そこで、上述した実施形態において、平均燃圧が基準燃圧よりも高いほど或いは燃温が基準燃温よりも低いほど、実際のインターバル時間よりも短いインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を、図6〜図8に示した関係から算出する。一方、平均燃圧が基準燃圧よりも低いほど或いは燃温が基準燃温よりも高いほど、実際のインターバル時間よりも長いインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を、図6〜図8に示した関係から算出するようにしてもよい。
【0052】
また、基準マップを補正する場合には、平均燃圧が基準燃圧よりも高いほど或いは燃温が基準燃温よりも低いほど、図6〜図8に示した関係を左側に圧縮した形に補正する。そして、この補正された関係に基づいて実際のインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を算出する。一方、平均燃圧が基準燃圧よりも低いほど或いは燃温が基準燃温よりも高いほど、図6〜図8に示した関係を右側に伸張した形に補正する。そして、この補正された関係に基づいて実際のインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を算出するようにしてもよい。
【0053】
また、場合によっては、上述した実施形態において、基準圧力に対する平均燃圧のずれ量と基準温度に対する燃温のずれ量とのいずれか一方に基づいて、実際のインターバル時間よりも短い或いは長いインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を、図6〜図8に示した関係から算出してもよい。また、図6〜図8に示した関係を補正し、この補正された関係に基づいて実際のインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を算出するようにしてもよい。
【0054】
このように、基準圧力に対する平均燃圧のずれ量および基準温度に対する燃圧のずれ量の両方またはいずれか一方に応じて、基準マップを補正してもよいし、基準マップから算出された主噴射量の変動量を補正してもよい。このため、平均燃圧および燃温に基づいた補正について一般的に表現すれば、図6〜図8に示した関係から算出された主噴射量の変動量がその時の平均燃圧および燃温の少なくとも一方に応じて補正されるとも言える。
【0055】
次に、平均燃圧が基準圧力からずれたときの基準マップの補正方法または基準マップから算出された主噴射量の変動量の補正方法について説明する。主噴射における燃料噴射量はノズル室11内の平均燃圧(これはコモンレール2内の平均燃圧でもよい。以下「平均ノズル室圧」と称す)に応じて変わり、平均ノズル室圧が高くなるほど主噴射における燃料噴射量は全体的に多くなる。したがって、図6〜図8の基準マップから算出された主噴射量の変動量がプラスである場合において、平均ノズル室圧が基準圧力よりも高いときには、主噴射量の変動量は平均ノズル室圧が基準圧力よりも高い分だけ大きくなる。逆に、平均ノズル室圧が基準圧力よりも低いときには、主噴射量の変動量は平均ノズル室圧が基準圧力よりも低い分だけ小さくなる。一方、図6〜図8の基準マップから算出された主噴射量の変動量がマイナスである場合において、平均ノズル室圧が基準圧力よりも高いときには、主噴射量の変動量は平均ノズル室圧が基準圧力よりも高い分だけ小さくなる。逆に、平均ノズル室圧が基準圧力よりも低いときには、主噴射量の変動量は平均ノズル室圧が基準圧力よりも低い分だけ大きくなる。
【0056】
したがって、図6〜図8の基準マップに基づいて正確な主噴射量の変動量を算出するためには、図6〜図8の基準マップからインターバル時間に基づいて算出された各パラメータの変動に起因する主噴射量の変動量を、基準圧力に対する実際の平均ノズル室圧のずれ量に応じて補正すべきである。そこで、上述した実施形態では、図6〜図8の基準マップから算出された主噴射量の変動量がプラスである場合には、平均ノズル室圧が基準圧力よりも高い分だけ算出された主噴射量の変動量を大きくする。或いは、平均ノズル室圧が基準圧力よりも低い分だけ算出された主噴射量の変動量を小さくする。一方、算出された主噴射量の変動量がマイナスである場合には、平均ノズル室圧が基準圧力よりも高い分だけ算出された主噴射量の変動量を小さくし、或いは、平均ノズル室圧が基準圧力よりも低い分だけ算出された主噴射量の変動量を大きくする。
【0057】
また、基準マップを補正する場合には、平均ノズル室圧が基準圧力よりも高いほど、図6〜図8に示した関係を上側に移動した形に補正し、この補正された関係に基づいて実際のインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を算出する。一方、平均ノズル室圧が基準圧力よりも低いほど、図6〜図8に示した関係を下側に移動した形に補正し、この補正された関係に基づいて実際のインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を算出する。
【0058】
また、例えば、ノズル室11内の平均燃圧をコモンレール2内の平均燃圧(平均レール圧)から推定するようにした場合において、平均レール圧と、この平均レール圧の変動に起因する主噴射量の変動量との関係が図10に示したような関係になることが分かっていれば、図10に示したような関係をマップの形で予め記憶しておき、このマップと平均レール圧Pcrとから、平均レール圧の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Pcr)を算出する。そして、図6〜図8に示されている関係から推定された主噴射量の変動量にこの変動量ΔQ(Pcr)を加える補正を行うようにしてもよい。
【0059】
以上説明したように、基準圧力に対する実際の平均燃圧のずれ量に応じて基準マップを補正してもよいし、基準マップから算出された主噴射量の変動量を補正してもよい。このことから、平均燃圧に基づいた補正について一般的に表現すれば、図6〜図8に示した関係から算出された主噴射量の変動量がその時の平均燃圧に応じて補正されるとも言える。
【0060】
いずれにしても、これによれば、実際の平均燃圧が基準圧力からずれていたとしても、主噴射量の変動量を正確に算出することができる。
【0061】
なお、図10に示した関係では、主噴射量の変動量ΔQ(Pcr)は、平均レール圧Pcrが基準となる圧力にあるときには零であり、平均レール圧Pcrが基準圧力Pcrrよりも高くなるほど多くなる。一方、平均レール圧Pcrが基準圧力Pcrrよりも低くなると平均レール圧Pcrが一定の圧力以下となるまでは略零であるが、それ以上に平均レール圧Pcrが低くなると徐々に少なくなる。
【0062】
また、上述したように、脈動はコモンレール2にて反射して燃料噴射弁1に戻ってくるのであるから、図6〜図8に示した関係は、ノズル室11からコモンレール2までの燃料が流れる経路(以下、単に「燃料経路」と称す)の距離に応じて変動する。燃料経路の距離が長くなるほど図6〜図8に示した曲線は全体的に右側に移動した形となる。云い換えれば、主噴射量の変動量が同じ値となるインターバル時間について考えてみると、ノズル室11からコモンレール2までの燃料経路の距離が長くなるほど、同じ主噴射量の変動量に対応するインターバル時間は長くなる。したがって、上述した実施形態において、図6〜図8に示した関係は、ノズル室11からコモンレール2までの燃料経路の距離が考慮された関係となっている。
【0063】
次に、脈動の伝搬速度の算出方法または検出方法について説明する。上述したように、脈動の伝搬速度は燃圧と燃温とに応じて変わる。そこで、上述した実施形態では、例えば、燃圧と燃温とに基づいて脈動の伝搬速度を求める式を予め求めて記憶しておき、この式から燃圧(ここで用いられる燃圧は脈動に起因する燃圧の変動が零であるときの燃圧、すなわち、平均燃圧である)および燃温に基づいて脈動の伝搬速度が算出される。
【0064】
また、パイロット噴射を行わせるための制御信号を燃料噴射弁1に発してから圧力センサ6によって圧力変動が検出されるまでの時間(あるいは、実際にパイロット噴射が行われてから圧力センサ6によって圧力変動が検出されるまでの時間)と、ノズル室11から圧力センサ6までの燃料経路の距離とから、脈動の伝搬速度を算出するようにしてもよい。
【0065】
なお、この場合、圧力センサ6により圧力変動が検出されたタイミングから、その圧力変動がどの燃料噴射弁にて発生した圧力変動かを判別することができる。上述したように圧力センサ6により検出される圧力変動から脈動の伝搬速度を算出する場合、各燃料噴射弁に対応して脈動の伝搬速度をそれぞれ算出するようにしてもよい。しかしながら、脈動の伝搬速度は各燃料噴射弁に関してほとんど同じであるという認識の下に、脈動の伝搬速度を算出する負荷(いわゆる計算負荷)を軽減するという観点から、燃料噴射弁の1つに関してのみ(例えば、ノズル室11から圧力センサ6までの燃料経路の距離が最も長い燃料噴射弁に関してのみ)、脈動の伝搬速度を算出するようにしてもよい。
【0066】
また、ノズル室11から圧力センサ6までの燃料経路の距離が最も長い燃料噴射弁に関して脈動の伝搬速度を算出した場合、より正確な伝搬速度が算出されるという利点がある。すなわち、脈動の伝搬速度をVとし、ノズル室11から圧力センサ6までの燃料経路の距離をLとし、パイロット噴射を行わせるための制御信号を燃料噴射弁1に発してから圧力センサ6によって圧力変動が検出されるまでの時間をTとし、圧力センサ6から得られる時間Tに対する誤差を±ΔTとした場合、脈動の伝搬速度は、次式(4)から求められる。
V=L/(T±ΔT)  …(4)
【0067】
この式(4)を参照すると、時間Tが大きいほど、この時間Tに対する誤差±ΔTの影響度合が小さくなり、上記式(4)から、より正確な脈動の伝搬速度Vが得られることが分かる。すなわち、ノズル室11から圧力センサ6までの燃料経路の距離が最も長い燃料噴射弁に関して脈動の伝搬速度を算出する場合には、他の燃料噴射弁に関して脈動の伝搬速度を算出する場合に比べて、上記時間Tが大きくなるので、より正確な脈動の伝搬速度が得られることになる。
【0068】
また、各燃料噴射弁1にて発生した脈動がコモンレール2内にて複雑に重なり合ってしまって脈動の伝搬速度を正確に算出することができない場合がある。この場合の脈動伝搬速度を算出する方法を以下に説明する。図11に示すように、アクセルペダルの踏込量が零となって要求負荷が極めて小さくなったときに開弁してコモンレール2内の燃料をそこから燃料タンクへと戻してコモンレール2内の圧力を低下させるための減圧弁13を、圧力センサ6とは反対側のコモンレール2の部位に設ける。そして、アクセルペダルの踏込量が零となって減圧弁13が開弁したときに、減圧弁13が開弁してから減圧弁13の開弁に起因する圧力変動が圧力センサ6によって検出されるまでの時間と、減圧弁13から圧力センサ6までの距離とから、脈動の伝搬速度を算出する。そして、この算出された脈動の伝搬速度が基準速度よりも大きいほど、実際のインターバル時間よりも短いインターバル時間に対応した主噴射量の変動量を、図6〜図8に示されている関係から算出するようにしてもよい。
【0069】
これによれば、各燃料噴射弁1にて発生した脈動がコモンレール2内にて複雑に重なり合ってしまって脈動の伝搬速度を正確に算出することができない場合においても、脈動の伝搬速度を正確に算出することができる。したがって、目標量の燃料を確実に燃料噴射弁1から噴射させることができる。
【0070】
ところで、上述した脈動の伝搬速度の算出を絶え間なく行ってもよい。しかしながら、脈動の伝搬速度を算出する負荷(計算負荷)を軽減するために、例えば、内燃機関が始動されたときに脈動の伝搬速度の算出を1回行い、その後、所定の時間間隔が経過する毎に脈動の伝搬速度の算出を行うようにしてもよい。
【0071】
また、単位時間当たりの燃温の変化率が大きいと、単位時間当たりの脈動の伝搬速度の変化率も大きいので、主噴射量の変動量を正確に算出するという観点では、できるだけ多く、脈動の伝搬速度を算出することが好ましい。そこで、上述した実施形態において、単位時間当たりの燃温の変化率が大きいほど脈動の伝搬速度の算出を行うタイミングを決定する上記所定の時間間隔を短くする。逆に、単位時間当たりの燃温の変化率が小さいほど上記所定の時間間隔を長くするようにしてもよい。これによれば、燃温が大きく変化しているときにおいても、主噴射量の変動量が正確に算出される。
【0072】
ところで、上述では、単位時間当たりの燃温の変化率が大きいときには、単位時間当たりの変化率も大きいので、できるだけ多く、脈動の伝搬速度の算出を行うことが好ましいと説明した。ここで、単位時間当たりの平均燃圧の変化率が大きいときにも、単位時間当たりの脈動の伝搬速度の変化率も大きい。このため、主噴射量の変動量を正確に算出するという観点では、単位時間当たりの平均燃圧の変化率が大きいときに、脈動の伝搬速度を算出することが好ましいとも考えられる。しかしながら、燃温は一定の方向(高くなる方向または低くなる方向)に変化するのみで、短時間に大きく上下することはほとんどない反面、平均燃圧は比較的大きく増減する場合があり、この場合には、脈動の伝搬速度を正確に算出することはできない。したがって、主噴射量の変動量を正確に算出するという観点では、単位時間当たりの平均燃圧の変化率が小さいときに、脈動の伝搬速度を算出するほうが好ましい。そこで、上述した実施形態において、単位時間当たりの平均燃圧の変化率が予め定められた変化率よりも小さいとき(すなわち、平均燃圧の変化度合が予め定められた度合よりも小さいとき)に、脈動の伝搬速度を算出するようにしてもよい。
【0073】
ところで、上述した実施形態において、例えば、内燃機関の減速時のように平均燃圧を強制的に変化させても運転手に対する違和感が少ないときに、平均燃圧を強制的に変化させて複数個の異なる値とし、各平均燃圧において圧力センサからの実測値を用いて実際の脈動の伝搬速度を検出する。そして、これら検出値を基に、平均燃圧と脈動の伝搬速度との関係を求めるようにしてもよい。これによれば、こうして求めた関係に基づいて脈動の伝搬速度を算出することができる。
【0074】
以上説明した脈動の伝搬速度の算出について、一般的に表現すれば、予め定められた条件が成立したときに脈動の伝搬速度の算出が行われると言える。
【0075】
ところで、上述した実施形態では、平均燃圧が基準圧力であって且つ燃温が基準温度であるときに脈動の伝搬速度が基準速度になることを前提にしている。しかしながら、燃料の性状が予定していた性状とは異なる場合、平均燃圧が基準圧力であって且つ燃温が基準温度であったとしても脈動の伝搬速度が基準速度になるとは限らない。したがって、平均燃圧と燃温とに基づいて算出される脈動の伝搬速度と基準速度とのずれ量とに基づいて、基準マップを補正し、或いは、基準マップから算出された主噴射量の変動量を補正するようにしている場合において、燃料の性状が予定していた性状とは異なっていると、主噴射量の変動量を正確に算出できるとは限らない。
【0076】
そこで、上述した実施形態において、平均燃圧が基準圧力であって且つ燃温が基準温度であるときに、平均燃圧と燃温とに基づいて脈動の伝搬速度を算出するといった方法以外の方法によって脈動の伝搬速度を算出し、この算出された脈動の伝搬速度を基準速度として更新するようにしてもよい。これによれば、燃料の性状が予定していた性状とは異なる場合においても、主噴射量の変動量を正確に算出することができる。
【0077】
ところで、上述した実施形態では、圧力センサ6はコモンレール2に取り付けられているが、燃料供給通路3またはノズル室11に取り付けられていてもよい。また、上述した実施形態では、温度センサ7はコモンレール2に取り付けられているが、燃料ポンプPに取り付けられていてもよい。
【0078】
また、上述した実施形態において、脈動の伝搬速度を算出するために圧力センサ6により検出される圧力変動を利用する場合、コモンレール2の両端、または、コモンレール2と燃料噴射弁1、または、燃料噴射弁1のノズル室11近傍の部位と燃料供給通路3が接続された燃料噴射弁1の部位、または、コモンレール2と燃料供給通路3、または、燃料噴射弁1と燃料供給通路3とに、それぞれ、圧力センサを取り付け、これら2つの圧力センサそれぞれによって圧力変動が検出されるまでの時間の差と、これら2つの圧力センサ間の燃料経路の距離とから、脈動の伝搬速度を算出するようにしてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態において、脈動の伝搬速度を算出するために温度センサにより検出される燃温を利用する場合、この温度センサに機関本体1から放出される熱の影響が及んでしまうと、温度センサによって正確な燃温を検出することができない。したがって、正確な脈動の伝搬速度を算出することができないので、温度センサを断熱材等によって機関本体1から放出される熱から断熱するようにしてもよい。
【0080】
ところで、上述した実施形態は、内燃機関の1機関サイクル中に3回以上の燃料噴射が連続して行われるようになっている場合において、各燃料噴射において燃料噴射弁1から目標量の燃料を噴射させるためにも利用することができる。例えば、内燃機関の1機関サイクル中に3回の燃料噴射が連続して行われるようになっている場合には、以下のようにして、燃料噴射弁1から目標量の燃料が噴射されるように、燃料噴射弁1の作動に関する制御値を制御すればよい。すなわち、1回目の燃料噴射と2回目の燃料噴射との間のインターバル時間に基づいて、1回目の燃料噴射に起因して発生する脈動に起因する上記パラメータの変動に起因する2回目の燃料噴射における燃料噴射量の変動量を、図6〜図8の基準マップから推定する。そして、この変動量に基づいて、2回目の燃料噴射において燃料噴射弁1から目標量の燃料が噴射されるように、燃料噴射弁1の作動に関する制御値を制御する。
【0081】
そして、さらに、1回目の燃料噴射と3回目の燃料噴射との間のインターバル時間に基づいて、1回目の燃料噴射に起因する脈動に起因する上記パラメータの変動に起因する3回目の燃料噴射における燃料噴射量の変動量を、図6〜図8の基準マップから推定する。さらに、2回目の燃料噴射と3回目の燃料噴射との間のインターバル時間に基づいて、2回目の燃料噴射に起因する脈動に起因する上記パラメータの変動に起因する3回目の燃料噴射における燃料噴射量の変動量を、図6〜図8の基準マップから推定する。そして、これら推定された燃料噴射量の変動量を加算した値を3回目の燃料噴射における燃料噴射量の変動量とし、この変動量に基づいて、3回目の燃料噴射において燃料噴射弁1から目標量の燃料が噴射されるように、燃料噴射弁1の作動に関する制御値を制御する。これによれば、燃料噴射弁1内の燃料が脈動している間に、1機関サイクル中に後で複数回燃料噴射が行われたとしても、各燃料噴射において目標量の燃料を燃料噴射弁1から噴射させることができる。
【0082】
次に、上述した実施形態に従った主噴射量の変動量の算出方法の一例について図12〜図20を参照して説明する。図12は、燃料の脈動に起因する主噴射量の変動量を算出するためのルーチンのフローチャートである。図12のルーチンでは、始めに、ステップ10において、図13に示したルーチンに従って、インターバル時間Tiが算出される。次いで、ステップ11において、図15に示したルーチンに従って、燃料の脈動に起因する主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(To)が算出される。次いで、ステップ12において、図17に示したルーチンに従って、燃料の脈動に起因する燃料噴射圧の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Pi)が算出される。次いで、ステップ13において、図19に示したルーチンに従って、燃料の脈動に起因する主噴射ニードル速度の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Vn)が算出される。
【0083】
次いで、ステップ14において、ステップ11〜ステップ13で算出された各主噴射量の変動量を合計することによって、トータルの主噴射量の変動量ΔQtotalが算出される。次いで、ステップ15において、ステップ14で算出されたトータルの変動量ΔQtotalがコモンレール2内の平均燃圧(平均レール圧)に基づいて補正される。
【0084】
図13は、インターバル時間を算出するためのルーチンのフローチャートである。このルーチンは、図12のステップ10において実行されるルーチンである。図13のルーチンでは、始めに、ステップ20において、インターバル時間Tiが検出される。次いで、ステップ21において、平均レール圧Pcrが検出される。次いで、ステップ22において、平均レール圧Pcrに基づいて図14(A)のマップからゲイン係数Kgが算出される。ここで、図14(A)のマップにおいては、平均レール圧Pcrが基準となる圧力であるときにゲイン係数Kgが1.0となっている。
【0085】
そして、ステップ23において、平均レール圧Pcrに基づいて図14(B)のマップからオフセット係数Koが算出される。ここで、図14(B)のマップにおいては、平均レール圧Pcrが基準圧力であるときにオフセット係数Koが0となっている。そして、ステップ24において、インターバル時間Tiがゲイン係数Kgとオフセット係数Koとに基づいて補正される。詳細には、インターバル時間Tiにゲイン係数Kgを乗じた後にオフセット係数Koを加えることによって、インターバル時間Tiが補正される。
【0086】
図15は、燃料の脈動に起因する主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量を算出するためのルーチンのフローチャートである。このルーチンは図12のステップ11において実行されるルーチンである。図15のルーチンでは、始めに、ステップ30において、インターバル時間Tiに基づいて図16のマップから主噴射時期の変動量ΔToが算出される。次いで、ステップ35において、ステップ30で算出された主噴射時期の変動量ΔToに基づいて、主噴射時期の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(To)が算出される。
【0087】
図17は、燃料の脈動に起因する燃料噴射圧の変動に起因する主噴射量の変動量を算出するためのルーチンのフローチャートである。このルーチンは図12のステップ12において実行されるルーチンである。図17のルーチンでは、始めに、ステップ40において、インターバル時間Tiに基づいて図18(A)のマップから燃料噴射圧の変動量ΔPiが算出される。次いで、ステップ41において、主噴射量Qが検出される。次いで、ステップ42において、平均レール圧Pcrが検出される。
【0088】
次いで、ステップ43において、平均レール圧Pcrと主噴射量Qとに基づいて図18(B)のマップから補正係数K2が算出される。ここで、図18(A)のマップは、平均レール圧Pcrが基準圧力であって且つ主噴射量Qが或る基準量であるときにインターバル時間Tiと燃料噴射圧の変動量ΔPiとの間に成り立つ関係を示したマップである。したがって、平均レール圧Pcrが基準圧力とは異なったり主噴射量Qが基準量とは異なったりした場合に、正確な燃料噴射圧の変動量ΔPiを得るためには、実際の平均レール圧Pcrや実際の主噴射量Qに応じて、図18(A)のマップから算出された燃料噴射圧の変動量ΔPiを補正すべきである。ステップ43において算出される補正係数K2は、こうした事情に鑑み、正確な燃料噴射圧の変動量ΔPiを得るために、算出され利用される係数である。
【0089】
次いで、ステップ44において、燃料噴射圧の変動量ΔPiが補正係数K2に基づいて補正される。詳細には、燃料噴射圧の変動量ΔPiに補正係数K2を乗じることによって燃料噴射圧の変動量ΔPiが補正される。最後に、ステップ45において、ステップ44で補正された燃料噴射圧の変動量ΔPiに基づいて、燃料噴射圧の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Pi)が算出される。
【0090】
図19は、燃料の脈動に起因する主噴射ニードル速度の変動に起因する主噴射量の変動量を算出するためのルーチンのフローチャートである。このルーチンは図12のステップ13において実行されるルーチンである。図19のルーチンでは、始めに、ステップ50において、インターバル時間Tiに基づいて図20(A)のマップから主噴射ニードル速度の変動量ΔVnが算出される。次いで、ステップ51において、主噴射量Qが検出される。次いで、ステップ52において、平均レール圧Pcrが検出される。
【0091】
次いで、ステップ53において、平均レール圧Pcrと主噴射量Qとに基づいて図20(B)のマップから補正係数K3が算出される。ここで、図20(A)のマップは、平均レール圧Pcrが基準圧力であって且つ主噴射量Qが基準量であるときにインターバル時間Tiと主噴射ニードル速度の変動量ΔVnとの間で成り立つ関係を示したマップである。したがって、平均レール圧Pcrが基準圧力とは異なったり主噴射量Qが基準量とは異なったりした場合に、正確な主噴射ニードル速度の変動量ΔVnを得るためには、実際の平均レール圧Pcrや実際の主噴射量Qに応じて、図20(A)のマップから算出された主噴射ニードル速度の変動量ΔVnを補正すべきである。ステップ53において算出される補正係数K3は、こうした事情に鑑み、正確な主噴射ニードル速度の変動量ΔVnを得るために、算出され利用される係数である。
【0092】
次いで、ステップ54において、主噴射ニードル速度の変動量ΔVnが補正係数K3に基づいて補正される。詳細には、主噴射ニードル速度の変動量ΔVnに補正係数K3を乗じることによって主噴射ニードル速度の変動量ΔVnが補正される。最後に、ステップ55において、ステップ54で補正された主噴射ニードル速度の変動量ΔVnに基づいて、主噴射ニードル速度の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Vn)が算出される。
【0093】
ところで、上述した実施形態では、燃料の脈動に起因する主噴射量の変動量を算出するために3つのパラメータを採用している。しかしながら、或る特定の条件が成立している場合、これら3つのパラメータのうち、燃料噴射量に対する影響が極めて小さくなるパラメータがある。この場合、燃料噴射量に対する影響が極めて小さいパラメータを採用しないほうが、主噴射量の変動量を算出する負荷(いわゆる計算負荷)が小さくなる。場合によっては、計算負荷が小さくなる分、燃料噴射弁1の作動に関する制御値の補正速度が速くなるので、却って、燃料噴射量をより正確に目標量とすることができることもある。
【0094】
例えば、主噴射時間が比較的短い場合、燃料噴射圧や主噴射ニードル速度の変動は燃料噴射量にさほど影響しないことが分かっている。そこで、上述した実施形態において、主噴射時間が比較的短いという条件が成立している場合には、主噴射時期のみをパラメータとして採用するようにしてもよい。これによれば、主噴射量の変動量を算出する負荷(計算負荷)が小さくなり、場合によっては、燃料噴射量をより正確に目標量とすることができる。
【0095】
ところで、上述した実施形態では、開弁時期の変動に起因する主噴射量の変動量を算出し、この変動量に基づいて、燃料噴射弁1の作動に関する制御値(以下「作動制御値」と称す)を制御するようにしている。しかしながら、開弁時期の変動量に基づいて、直接、作動制御値を制御するようにしてもよい。例えば、主噴射における開弁時期がその変動量が零であった場合の時期(以下「基準時期」と称す)となるように、作動制御値を制御するようにしてもよい。この場合の制御の実施形態について、図21および図22を参照して詳細に説明する。
【0096】
図21(A)の(a)は燃料噴射弁1を開弁させるために燃料噴射弁1に送信される指令信号(以下単に「開弁指令信号」と称す)の推移を示し、(b)は脈動の影響がない場合におけるニードル弁8のリフト量(以下単に「リフト量」と称す)の推移を示し、(c)は脈動の影響で主噴射における開弁時期が早くなった場合におけるリフト量の推移を示している。また、図21(B)の(a)は作動制御値が補正された場合における開弁指令信号の推移を示し、(b)は(a)に示したように作動制御値が補正された場合におけるリフト量の推移を示している。
【0097】
図21(A)の(a)に示したように、時刻t2にて開弁指令信号が発信され、脈動の影響がない場合、図21(A)の(b)に示したように、ニードル弁8は一定の遅れ時間Δτdorだけ遅れた時刻t4にて開弁し始める。そして、時刻t7にて開弁指令信号の発信が停止されると、ニードル弁8は一定の遅れ時間Δτdcだけ遅れた時刻t8にて閉弁し始める。
【0098】
一方、脈動の影響で主噴射における開弁時期が早くなる場合、図21(A)の(c)に示したように、ニードル弁8は一定の遅れ時間Δτdorよりも時間Δτddだけ短い時間Δτds(=Δτdor−Δτdd)だけ遅れた時刻t3にて開弁し始める。すなわち、開弁時期が時間Δτddだけ早まることになる。そして、時刻t7にて開弁指令信号の発信が停止されると、ニードル弁8は脈動の影響がない場合の遅れ時間と同じ遅れ時間Δτdcだけ遅れた時刻t8にて閉弁し始める。この場合、燃料噴射弁1の開弁時間は脈動の影響がない場合に比べて長くなるので、燃料噴射量が目標量よりも多くなってしまう。
【0099】
そこで、この場合、本実施形態では、開弁指令信号を発信する時期を、開弁時期が早まる分(上述した時間Δτdd)だけ遅らせ、図21(B)の(a)に示したように、時刻t3とする。この場合、ニードル弁8は、図21(B)の(b)に示したように、時間Δτds(=Δτdor−Δτdd)だけ遅れた時刻t4にて開弁し始める。すなわち、開弁時期が脈動の影響がない場合の開弁時期と同じになる。そして、時刻(脈動の影響がない場合における開弁指令信号の発信停止時刻と同じ時刻)t7にて開弁指令信号の発信が停止されると、ニードル弁8は脈動の影響がない場合の閉弁時期と同じ時刻t8にて閉弁し始める。これによれば、燃料噴射弁1の開弁時間は脈動の影響がない場合と同じになるので、燃料噴射量が目標量となる。
【0100】
脈動の影響で主噴射における開弁時期が遅れる場合も、同様にして作動制御値が制御される。すなわち、図22(A)の(a)は開弁指令信号の推移を示し、(b)は脈動の影響がない場合におけるリフト量の推移を示し、(c)は脈動の影響で主噴射における開弁時期が遅くなった場合におけるリフト量の推移を示している。また、図22(B)の(a)は作動制御値が補正された場合における開弁指令信号の推移を示し、(b)は(a)に示したように作動制御値が補正された場合におけるリフト量の推移を示している。
【0101】
図22(A)の(a)に示したように、時刻t2にて開弁指令信号が発信され、脈動の影響がない場合、図22(A)の(b)に示したように、ニードル弁8は一定の遅れ時間Δτdorだけ遅れた時刻t4にて開弁し始める。そして、時刻t7にて開弁指令信号の発信が停止されると、ニードル弁8は一定の遅れ時間Δτdcだけ遅れた時刻t8にて開弁し始める。
【0102】
一方、脈動の影響で主噴射における開弁時期が遅くなる場合、図21(A)の(c)に示したように、ニードル弁8は一定の遅れ時間Δτdorよりも時刻Δτdiだけ長い時間Δτdl(=Δτdor+Δτdi)だけ遅れた時刻t5に開弁し始める。すなわち、開弁時期が時間Δτdiだけ遅くなることになる。そして、時刻t7にて開弁指令信号の発信が停止されると、ニードル弁8は脈動の影響がない場合の遅れ時間と同じ遅れ時間Δτdcだけ遅れた時刻t8にて閉弁し始める。この場合、燃料噴射弁1の開弁時間は脈動の影響がない場合に比べて短くなるので、燃料噴射量が目標量よりも少なくなってしまう。
【0103】
そこで、この場合、本実施形態では、開弁指令信号を発信する時期を、開弁時期が遅くなる分(上述した時間Δτdi)だけ早め、図22(B)の(a)に示したように、時刻t1とする。この場合、ニードル弁8は、図22(B)の(b)に示したように、時間Δτdl(=Δτdor+Δτdi)だけ早い時刻t4にて開弁し始める。すなわち、開弁時期が脈動の影響がない場合の開弁時期と同じになる。そして、時刻(脈動の影響がない場合における開弁指令信号の発信停止時刻と同じ時刻)t7にて開弁指令信号の発信が停止されると、ニードル弁8は脈動の影響がない場合の閉弁時期と同じ時刻t8にて閉弁し始める。これによれば、燃料噴射弁1の開弁時間は脈動の影響がない場合と同じになるので、燃料噴射量が目標量となる。
【0104】
なお、本実施形態を一般的に表現すれば、主噴射における燃料噴射時間(1回の主噴射において燃料噴射弁が開弁している時間であり、したがって、1回の主噴射において燃料噴射弁から燃料が噴射されている時間)が該主噴射における開弁時期の変動量が零であった場合の開弁時期である基準開弁時期となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御されると言える。また、上述した本実施形態の場合、インターバル時間が変わってくるので、燃料噴射圧および主噴射ニードル速度の変動に起因する主噴射量の変動量を算出するときに用いるインターバル時間は補正後の開弁時期に基づいて算出される。
【0105】
さらに、例えば、主噴射における開弁時期が変わったとしても、主噴射時間が主噴射における開弁時期の変動量が零であった場合の時間(基準時間)となるように、作動制御値を制御するようにしてもよい。この場合の制御の実施形態について、図23および図24を参照して詳細に説明する。
【0106】
図23(A)の(a)〜(c)は図21(A)の(a)〜(c)それぞれと同じである。そして、図23(B)の(a)は作動制御値が補正された場合における開弁指令信号の推移を示し、(b)は(a)に示したように作動制御値が補正された場合におけるリフト量の推移を示している。
【0107】
図23(A)は図21(A)と同じであるので、詳細な説明は省略するが、簡単に言えば、脈動の影響で開弁時期が早くなる場合(図23(A)の(c))には、燃料噴射弁1の開弁時間は脈動の影響がない場合(図23(A)の(b))に比べて長くなるので、燃料噴射量が目標量よりも多くなってしまう。
【0108】
そこで、この場合、本実施形態では、開弁指令信号の発信を開始する時期を補正することなく、開弁指令信号の発信を停止する時期を、開弁時期が早まる分(上述した時間Δτdd)だけ早め、図23(B)の(a)に示したように、時刻t6とする。この場合、燃料噴射弁1は、図23(B)の(b)に示したように、時刻t3にて開弁し始め、時刻t6よりも時間Δτdcだけ遅れた時刻t7にて閉弁し始める。これによれば、燃料噴射弁1の開弁時間が脈動の影響がない場合の開弁時間と同じになるので、燃料噴射量が目標量となる。
【0109】
脈動の影響で主噴射における開弁時期が遅れる場合も、同様にして作動制御値が制御される。すなわち、図24(A)の(a)〜(c)は図22(A)の(a)〜(c)それぞれと同じである。また、図24(B)の(a)は作動制御値が補正された場合における開弁指令信号の推移を示し、(b)は(a)に示したように作動制御値が補正された場合におけるリフト量の推移を示している。
【0110】
図24(A)は図22(A)と同じであるので、詳細な説明は省略するが、簡単に言えば、脈動の影響で開弁時期が遅くなる場合(図24(A)の(c))には、燃料噴射弁1の開弁時間は脈動の影響がない場合(図24(A)の(b))に比べて短くなるので、燃料噴射量が目標量よりも少なくなってしまう。
【0111】
そこで、この場合、本実施形態では、開弁指令信号の発信を開始する時期を補正することなく、開弁指令信号の発信を停止する時期を、開弁時期が遅くなる分(上述した時間Δτdi)だけ遅らせ、図24(B)の(a)に示したように、時刻t8とする。この場合、燃料噴射弁1は、図24(B)の(b)に示したように、時刻t5にて開弁し始め、時刻t8よりも時間Δτdcだけ遅れた時刻t9にて閉弁し始める。これによれば、燃料噴射弁1の開弁時間が脈動の影響がない場合の開弁時間と同じになるので、燃料噴射量が目標量となる。
【0112】
なお、本実施形態を一般的に表現すれば、主噴射における燃料噴射弁の閉弁時間が主噴射における燃料噴射時間(1回の主噴射において燃料噴射弁が開弁している時間であり、したがって、1回の主噴射において燃料噴射弁から燃料が噴射されている時間)を基準燃料噴射時間(主噴射における開弁時期の変動量が零であった場合における燃料噴射時間)とする閉弁時期となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御されると言える。
【0113】
また、図21および図22を参照して説明した実施形態では、結果として、燃料噴射弁の開弁時期のみを制御し、図23および図24を参照して説明した実施形態では、結果として、燃料噴射弁の閉弁時期のみを制御しているが、これら制御を組み合わせてもよい。すなわち、結果として、燃料噴射時間が基準燃料噴射時間となるように、燃料噴射弁の開弁時期および閉弁時期を制御してもよい。したがって、上述した実施形態を一般的に表現すれば、主噴射における燃料噴射時間が該主噴射における燃料噴射弁の開弁時期の変動量が零であった場合の燃料噴射時間である基準燃料噴射時間となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御されると言える。
【0114】
また、このように、主噴射における開弁時期の変動量に基づいて、直接、燃料噴射弁1の作動に関する制御値を制御してもよいことから、上述した実施形態に関して一般的に表現すると、脈動に起因する主噴射における各パラメータの変動量を推定し、この推定された主噴射における各パラメータの変動量に基づいて主噴射において燃料噴射弁から目標量の燃料が噴射されるように燃料噴射弁の作動に関する制御値を制御するとも言える。
【0115】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料噴射弁内の燃料の脈動に起因する各パラメータの変動量に応じて燃料噴射弁から目標量の燃料が噴射されるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御されるので、燃料噴射弁内の燃料が脈動しているとしても、燃料噴射弁からは目標量の燃料が噴射されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料噴射装置を示す図である。
【図2】燃料を噴射している燃料噴射弁を示す図である。
【図3】内燃機関の1機関サイクル中に燃料を複数回(2回)噴射させるために燃料噴射弁に送られる制御信号を示す図である。
【図4】燃料噴射弁の開弁時期と燃料噴射量との関係を説明するためのニードル弁のリフト波形を示す図である。
【図5】燃料噴射弁の開弁速度と燃料噴射量との関係を説明するためのニードル弁のリフト波形を示す図である。
【図6】インターバル時間Tiと、燃料噴射弁の開弁時期の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(To)との関係を示す図である。
【図7】インターバル時間Tiと、燃料噴射圧の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Pi)との関係を示す図である。
【図8】インターバル時間Tiと、燃料噴射弁の開弁速度の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Vn)との関係を示す図である。
【図9】(A)はインターバル時間Tiと燃料噴射弁の開弁時期の変動量ΔToとの関係を示し、(B)はインターバル時間Tiとノズル室圧の時間微分値dPnとの関係を示す。
【図10】レール圧Pcrと、レール圧の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Pcr)との関係を示す図である。
【図11】1つの実施形態のコモンレールを示す図である。
【図12】主噴射量の変動量を算出するためのルーチンのフローチャートである。
【図13】インターバル時間Tiを算出するためのルーチンのフローチャートである。
【図14】図13のルーチンにて用いられるマップを示す図であり、(A)はレール圧Pcrとゲイン係数Kgとの関係を示し、(B)はレール圧Pcrとオフセット係数Koとの関係を示す。
【図15】燃料噴射弁の開弁時期の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(To)を算出するためのルーチンのフローチャートである。
【図16】図15のルーチンにて用いられるマップを示す図であって、インターバル時間Tiと燃料噴射弁の開弁時期の変動量ΔToとの関係を示す図である。
【図17】燃料噴射圧の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Pi)を算出するためのルーチンのフローチャートである。
【図18】図17のルーチンにて用いられるマップを示す図であり、(A)はインターバル時間Tiと燃料噴射圧の変動量ΔPiとの関係を示し、(B)はレール圧Pcrとトータルの燃料噴射量Qとの関係を示す。
【図19】燃料噴射弁の開弁速度の変動に起因する主噴射量の変動量ΔQ(Vn)を算出するためのルーチンのフローチャートである。
【図20】図19のルーチンにて用いられるマップを示す図であり、(A)はインターバル時間Tiと燃料噴射弁の開弁速度の変動量ΔVnとの関係を示し、(B)はレール圧Pcrとトータルの燃料噴射量Qとの関係を示す。
【図21】脈動の影響で開弁時期が早くなる場合において、開弁時期を補正する制御の例を示す図である。
【図22】脈動の影響で開弁時期が遅くなる場合において、開弁時期を補正する制御の例を示す図である。
【図23】脈動の影響で開弁時期が早くなる場合において、燃料噴射弁を開弁させるための指令信号の発信の停止時期を補正する制御の例を示す図である。
【図24】脈動の影響で開弁時期が遅くなる場合において、燃料噴射弁を開弁させるための指令信号の発信の停止時期を補正する制御の例を示す図である。
【符号の説明】
1…燃料噴射弁
2…コモンレール(リザーバ)
6…圧力センサ
7…温度センサ
8…ニードル弁
9…燃料噴射孔
11…ノズル室(第1の室)
12…制御室(第2の室)

Claims (24)

  1. 内燃機関の燃焼室に供給されるべき燃料を噴射するための燃料噴射弁と、該燃料噴射弁に供給される燃料を一時的に溜めておくリザーバとを具備し、内燃機関の1機関サイクル中に少なくとも2回の燃料噴射が行われ、1回目の燃料噴射である先噴射に起因して燃料噴射弁に発生した燃料の脈動がリザーバに伝わって該リザーバにて反射し、燃料噴射弁に戻り、該戻ってきた脈動の影響で、2回目の燃料噴射である後噴射における燃料噴射量が変動する燃料噴射装置において、後噴射における燃料噴射量に影響するパラメータとして燃料噴射弁の開弁時期と燃料噴射弁からの燃料の噴射圧とを採用し、上記脈動に起因する後噴射における各パラメータの変動量を推定し、該推定された後噴射における各パラメータの変動量に基づいて後噴射において燃料噴射弁から目標量の燃料が噴射されるように燃料噴射弁の作動に関する制御値を制御することを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
  2. 上記後噴射における各パラメータの変動量が該後噴射における各パラメータの変動に起因する後噴射における燃料噴射量の変動量を代表しており、上記推定された後噴射における各パラメータの変動量に基づいて該後噴射における各パラメータの変動に起因する後噴射における燃料噴射量の変動量が推定され、該推定された後噴射における燃料噴射量の変動量に基づいて後噴射において燃料噴射弁から目標量の燃料が噴射されるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  3. 後噴射における燃料噴射時間が該後噴射における燃料噴射弁の開弁時期の変動量が零であった場合の燃料噴射時間である基準燃料噴射時間となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  4. 後噴射における燃料噴射弁の開弁時期が該後噴射における開弁時期の変動量が零であった場合の開弁時期である基準開弁時期となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御されることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  5. 上記後噴射における各パラメータの変動量が先噴射から後噴射までの時間であるインターバル時間を変数とする関数から算出され、後噴射における開弁時期が上記基準開弁時期となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御されたときには上記後噴射における燃料噴射圧の変動量を推定するのに用いられるインターバル時間が燃料噴射弁が基準開弁時期に開弁するものとして算出されることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  6. 後噴射における燃料噴射弁の閉弁時期が後噴射における燃料噴射時間を上記基準燃料噴射時間とする閉弁時期となるように燃料噴射弁の作動に関する制御値が制御されることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  7. 上記パラメータに加えて、燃料噴射弁の開弁速度が採用されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  8. 後噴射における燃料噴射時間が予め定められた時間よりも短いときには、上記パラメータとして燃料噴射弁の開弁時期のみが採用されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  9. 上記燃料噴射弁が燃料を噴射するための噴射孔と、燃料噴射弁内にて往復動し且つ上記噴射孔を閉鎖するニードル弁と、上記噴射孔側のニードル弁の壁面に圧力を加え且つ上記噴射孔から噴射されるべき燃料を溜めておく第1の室と、上記ニードル弁に関して前記第1の室とは反対側に位置し且つ燃料を溜めておく第2の室とを有し、後噴射における開弁時期の変動量が上記第1の室内の燃料の圧力の時間微分値に基づいて推定されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  10. 先噴射から後噴射までの時間であるインターバル時間以外の条件を固定した場合の上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係を予め求めておき、該関係に基づいてインターバル時間から上記後噴射における各パラメータの変動量が推定されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  11. 上記後噴射における各パラメータの変動量が先噴射における燃料噴射時間に応じて異なり、上記インターバル時間以外の条件として先噴射における燃料噴射時間が採用され、基準とする先噴射における燃料噴射時間に関して上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係が求められており、該関係に基づいて推定された後噴射における各パラメータの変動量が先噴射におけるその時の燃料噴射時間に応じて補正されることを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  12. 上記後噴射における各パラメータの変動量が後噴射における燃料噴射時間に応じて異なり、上記インターバル時間以外の条件として後噴射における燃料噴射時間が採用され、基準とする後噴射における燃料噴射時間に関して上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係が求められており、該関係に基づいて推定された後噴射における各パラメータの変動量が後噴射におけるその時の燃料噴射時間に応じて補正されることを特徴とする請求項10または11に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  13. 上記後噴射における各パラメータの変動量が燃料の平均圧力および燃料の温度の少なくとも一方に応じて異なり、上記インターバル時間以外の条件として燃料の平均圧力および燃料の温度の少なくとも一方が採用され、基準とする燃料の平均圧力および基準とする燃料の温度に関して上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係が求められており、該関係に基づいて推定された後噴射における各パラメータの変動量がその時の燃料の平均圧力およびその時の燃料の温度の少なくとも一方に応じて補正されることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  14. 上記後噴射における各パラメータの変動量が燃料中における脈動の伝搬速度に応じて異なり、上記インターバル時間以外の条件として燃料中における脈動の伝搬速度が採用され、基準とする燃料中における脈動の伝搬速度に関して上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係が求められており、該関係に基づいて推定された後噴射における各パラメータの変動量がその時の燃料中における脈動の伝搬速度に応じて補正されることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  15. その時の燃料中における脈動の伝搬速度が速いほど短いインターバル時間に対応する変動量となるように上記関係に基づいて推定された後噴射における各パラメータの変動量が補正されることを特徴とする請求項14に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  16. 上記燃料中における脈動の伝搬速度が燃料の平均圧力および燃料の温度の少なくとも1つを変数とする関数から算出されることを特徴とする請求項14または15に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  17. 燃料の圧力を検出する圧力センサを具備し、該圧力センサの出力値から求まる燃料の圧力変化を利用して燃料中における脈動の伝搬速度が算出されることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  18. 上記伝搬速度の算出が予め定められた条件が成立したときに行われることを特徴とする請求項17に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  19. 上記予め定められた条件が燃料の平均圧力の変化度合が予め定められた度合よりも小さいことであることを特徴とする請求項18に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  20. 上記予め定められた条件が燃料の平均圧力が予め定められた圧力にあることであり、該予め定められた圧力が複数個の値であることを特徴とする請求項18または19に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  21. 燃料の温度が予め定められた基準温度であって燃料の平均圧力が予め定められた基準圧力であるときの燃料中の脈動の伝搬速度が基準伝搬速度として予め記憶されており、上記予め定められた条件が燃料の温度が上記基準温度であって燃料の平均圧力が上記基準圧力であることであり、該予め定められた条件が成立したときに算出された伝搬速度が上記基準伝搬速度とされることを特徴とする請求項18〜20のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  22. 燃料噴射弁を複数個具備し、上記リザーバからこれら燃料噴射弁に燃料が供給され、上記圧力センサから最も遠い箇所にある燃料噴射弁に関して上記燃料中における脈動の伝搬速度が算出されることを特徴とする請求項17〜20のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  23. 上記後噴射における各パラメータの変動量が燃料の平均圧力に応じて異なり、上記インターバル時間以外の条件として燃料の平均圧力が採用され、基準とする燃料の平均圧力に関して上記後噴射における各パラメータの変動量とインターバル時間との関係が求められており、その時の燃料の平均圧力が基準とした燃料の平均圧力よりも高いときには後噴射における燃料噴射量の変動量がプラスの方向へ大きくなるように上記推定された後噴射における各パラメータの変動量が補正され、その時の燃料の平均圧力が上記基準とした燃料の平均圧力よりも低いときには後噴射における燃料噴射量の変動量がマイナスの方向へ大きくなるように上記推定された後噴射における各パラメータの変動量が補正されることを特徴とする請求項10〜22のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  24. 内燃機関の1機関サイクル中に少なくとも3回の燃料噴射が実行され、1回目の燃料噴射に起因して発生する脈動に起因する3回目の燃料噴射における各パラメータの変動量と2回目の燃料噴射に起因して発生する脈動に起因する3回目の燃料噴射における各パラメータの変動量とを合わせた量が3回目の燃料噴射における各パラメータの変動量とされることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射装置。
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