JPWO2013021493A1 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
内燃機関には、排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に戻して再循環させるEGR装置が取り付けられている。電子制御ユニットは、内燃機関に供給される燃料のセタン価が属するセタン価領域を特定して記憶する処理を実行する。電子制御ユニットは、内燃機関の始動開始直後の実行期間であり且つ低セタン価領域が記憶されている特定状況であるときにおいて(t11〜t12)、アイドル運転時におけるEGR開度(VR)を「0」に設定するとともに、特定状況でないときと比較してアイドル運転時における要求噴射時期(Tst)を遅角側の時期に設定する。
Description
本発明は、内燃機関に供給される燃料のセタン価を推定するとともにその推定したセタン価に応じて機関運転制御を実行する内燃機関の制御装置に関するものである。
自己着火式の内燃機関では、燃料噴射弁によって気筒内に噴射された燃料が、噴射されてから所定の時間(いわゆる着火遅れ)が経過した後に着火される。内燃機関の出力性能やエミッション性能の向上を図るために、そうした着火遅れを考慮した上で、燃料噴射における噴射時期や噴射量などといった機関制御の実行態様を制御する制御装置が広く採用されている。
内燃機関では、使用される燃料のセタン価が低いときほどその着火遅れが長くなる。そのため、例えば内燃機関の出荷時において標準的なセタン価の燃料が用いられる状況を想定して機関制御の実行態様を設定したとしても、冬期燃料等、セタン価が相対的に低い燃料が燃料タンクに補給された場合には燃料の着火時期が遅くなるとともにその燃焼状態が悪化するようになり、場合によっては失火が発生してしまう。
こうした不都合の発生を抑えるためには、気筒内に噴射される燃料の実際のセタン価に基づいて機関制御の実行態様を補正することが望ましい。
例えば特許文献1には、内燃機関の排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に戻して再循環させる排気再循環(EGR)装置を備えた内燃機関において、同内燃機関に供給される燃料のセタン価を推定するとともに、その推定したセタン価に応じてEGR装置によって吸気通路に戻される排気の量(EGR量)を補正することが提案されている。この装置では、推定したセタン価が低いときほどEGR量を減量補正することによって燃料の燃焼状態の改善が図られて、失火発生が抑えられる。
通常、EGR装置は内燃機関の吸気通路と排気通路とを連通するEGR通路や同EGR通路の通路断面積を変更するEGR弁を備える。そしてEGR装置では、EGR弁の作動制御を通じてEGR量が調節される。こうしたEGR装置では、EGR通路の容積や内燃機関の吸気通路におけるEGR通路との接続部分から内燃機関の気筒までの部分の容積などに起因して、EGR弁の開度変化に対するEGR量の変化に遅れが生じることが避けられない。そのため、EGR弁の開度変化に対するEGR量の変化の応答性や安定性が低く、EGR装置によるEGR量の緻密な調節が難しいことから、同EGR装置によるEGR量の調節に際しては調節誤差が生じ易いと云える。
特に、内燃機関の始動開始直後のアイドル運転時においては、吸気量の絶対量が少ないために上記EGR量の調節誤差による機関運転状態への影響が大きくなり易いうえに、内燃機関の気筒内の温度が低いために燃料の燃焼状態が不安定になり易い。そのため、このとき上記調節誤差によってEGR量が過度に多くなると、失火発生を適正に抑えられなくなる可能性が高い。一方、このとき上記調節誤差によってEGR量が少なくなり過ぎると、気筒内における燃料の燃焼温度が高くなるために、その分だけ排気中の窒素酸化物(NOx)の増加を招いてしまう。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低セタン価燃料の使用時における失火発生の抑制と窒素酸化物の排出量の抑制との両立を図ることのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に従う内燃機関の制御装置は、内燃機関の排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に戻して再循環させるEGR装置を備えて、内燃機関に供給される燃料のセタン価を推定する。そして、推定部により推定したセタン価が低いときであり且つ内燃機関の始動開始直後の実行期間であるときには、そうでないときと比較して、アイドル運転時における前記EGR装置によるEGR量が減量される。
これにより、推定部により推定されたセタン価が低い状況で内燃機関の始動開始直後にアイドル運転されたとき、すなわちEGR量の調節誤差による燃料の燃焼状態への影響が大きくなり易く且つ燃料の燃焼状態が不安定になり易いときに、EGR量の絶対量が少なくなる分だけEGR量の調節誤差を小さくすることが可能になる。そのため、EGR量の調節誤差による燃料の燃焼状態への影響を小さく抑えることができる。しかも、そうしたEGR量の減量に合わせて燃料噴射時期が遅角される。そのため、EGR量の調節と比較して高い精度で内燃機関の気筒内における燃料の燃焼状態を設定することの可能な燃料噴射時期の調節を通じて、燃料の燃焼状態を設定することができる。
したがって上記装置によれば、低セタン価燃料の使用時における内燃機関の気筒内における燃料の燃焼状態を適正に設定することができるため、失火発生の抑制と窒素酸化物(NOx)の排出量の抑制との両立を図ることができる。
好ましくは、制御部はEGR装置によるEGR量を「0」にする。こうした装置によれば、EGR量の調節誤差による燃料の燃焼状態への影響を排除することができるために、燃料の燃焼状態をより高い精度で設定することができるようになる。
本発明の一態様では、外気圧が予め定めた判定圧以上であることを条件に、制御部による燃料噴射時期の遅角が実行される。外気圧が低いときには、空気の密度が低いため吸気中に含まれる酸素の量が少ない。そのため、内燃機関の気筒内における燃料の燃焼状態が悪化し易く失火発生を招き易い。上記装置によれば、外気圧が低く失火発生を招き易いときには、燃料噴射時期の遅角側への変更、言い換えれば燃料の燃焼状態を悪化させる側への変更が禁止されるために、失火発生を確実に抑えることができる。しかも、外気圧が高く比較的失火が発生し難いときには、燃料噴射時期の遅角側への変更が許可されるために、NOxの排出量を抑制することができる。
本発明の一態様では、前記実行期間として、内燃機関の始動が開始されてからアクセル操作部材の開操作が開始されるまでの期間が設定される。こうした装置によれば、内燃機関の始動開始直後において同内燃機関の気筒内の温度が低いとき、言い換えれば、気筒内における燃料の燃焼状態の不安定化を招き易い期間に限って、高精度での燃焼状態の設定を実現するためのEGR量の減量と燃料噴射時期の遅角とを実行することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態にかかる内燃機関の制御装置について説明する。
図1に示すように、車両10には、駆動源としての内燃機関11が搭載されている。内燃機関11のクランクシャフト12は、クラッチ機構13、手動変速機14を介して車輪15に連結されている。車両10では乗員によってクラッチ操作部材(例えばクラッチペダル)が操作されると、上記クラッチ機構13がクランクシャフト12と手動変速機14との連結を解除する作動状態になる。
内燃機関11の気筒16には吸気通路17が接続されている。内燃機関11の気筒16内には吸気通路17を介して空気が吸入される。また、この内燃機関11としては複数(本実施の形態では四つ[♯1〜♯4])の気筒16を有するものが採用されている。内燃機関11には、気筒16毎に、同気筒16内に燃料を直接噴射する直噴タイプの燃料噴射弁20が取り付けられている。この燃料噴射弁20の開弁駆動によって噴射された燃料は内燃機関11の気筒16内において圧縮加熱された吸入空気に触れて着火および燃焼する。そして内燃機関11では、気筒16内における燃料の燃焼に伴い発生するエネルギによってピストン18が押し下げられてクランクシャフト12が強制回転されるようになる。内燃機関11の気筒16において燃焼した燃焼ガスは排気として内燃機関11の排気通路19に排出される。
内燃機関11には、排気通路19内を流れる排気の一部を吸気通路17に戻して再循環させる排気再循環(EGR)装置50が取り付けられている。EGR装置50は、内燃機関11の吸気通路17および排気通路19を連通するEGR通路51と、EGR通路51に取り付けられて同EGR通路51の通路断面積を調節するEGR弁52とを備えている。このEGR装置50では、EGR弁52の開度の変更を通じて、排気通路19から吸気通路17に戻される排気(EGRガス)の量、いわゆるEGR量が調節される。
各燃料噴射弁20は分岐通路31aを介してコモンレール34に各別に接続されており、同コモンレール34は供給通路31bを介して燃料タンク32に接続されている。この供給通路31bには、燃料を圧送する燃料ポンプ33が設けられている。本実施の形態では、燃料ポンプ33による圧送によって昇圧された燃料がコモンレール34に蓄えられるとともに各燃料噴射弁20の内部に供給される。また、各燃料噴射弁20にはリターン通路35が接続されており、同リターン通路35はそれぞれ燃料タンク32に接続されている。このリターン通路35を介して燃料噴射弁20内部の燃料の一部が燃料タンク32に戻される。
以下、燃料噴射弁20の内部構造について説明する。
図2に示すように、燃料噴射弁20のハウジング21の内部にはニードル弁22が設けられている。このニードル弁22はハウジング21内において往復移動(同図の上下方向に移動)することの可能な状態で設けられている。ハウジング21の内部には上記ニードル弁22を噴射孔23側(同図の下方側)に常時付勢するスプリング24が設けられている。またハウジング21の内部には、上記ニードル弁22を間に挟んで一方側(同図の下方側)の位置にノズル室25が形成されており、他方側(同図の上方側)の位置に圧力室26が形成されている。
ノズル室25には、その内部とハウジング21の外部とを連通する複数の噴射孔23が形成されており、導入通路27を介して上記分岐通路31a(コモンレール34)から燃料が供給されている。圧力室26には連通路28を介して上記ノズル室25および分岐通路31a(コモンレール34)が接続されている。また圧力室26は排出路30を介してリターン通路35(燃料タンク32)に接続されている。
上記燃料噴射弁20としては電気駆動式のものが採用されており、そのハウジング21の内部には駆動信号の入力によって伸縮する複数の圧電素子(例えばピエゾ素子)が積層された圧電アクチュエータ29が設けられている。この圧電アクチュエータ29には弁体29aが取り付けられており、同弁体29aは圧力室26の内部に設けられている。そして、圧電アクチュエータ29の作動による弁体29aの移動を通じて、連通路28(ノズル室25)と排出路30(リターン通路35)とのうちの一方が選択的に圧力室26に連通されるようになっている。
この燃料噴射弁20では、圧電アクチュエータ29に閉弁信号が入力されると、圧電アクチュエータ29が収縮して弁体29aが移動し、連通路28と圧力室26とが連通された状態になるとともに、リターン通路35と圧力室26との連通が遮断された状態になる。これにより、圧力室26内の燃料のリターン通路35(燃料タンク32)への排出が禁止された状態で、ノズル室25と圧力室26とが連通されるようになる。そのため、ノズル室25と圧力室26との圧力差がごく小さくなり、ニードル弁22がスプリング24の付勢力によって噴射孔23を塞ぐ位置に移動して、このとき燃料噴射弁20は燃料が噴射されない状態(閉弁状態)になる。
一方、圧電アクチュエータ29に開弁信号が入力されると、圧電アクチュエータ29が伸長して弁体29aが移動し、連通路28と圧力室26との連通が遮断された状態になるとともに、リターン通路35と圧力室26とが連通された状態になる。これにより、ノズル室25から圧力室26への燃料の流出が禁止された状態で、圧力室26内の燃料の一部がリターン通路35を介して燃料タンク32に戻されるようになる。そのため圧力室26内の燃料の圧力が低下して同圧力室26とノズル室25との圧力差が大きくなり、この圧力差によってニードル弁22がスプリング24の付勢力に抗して移動して噴射孔23から離れて、このとき燃料噴射弁20は燃料が噴射される状態(開弁状態)になる。
燃料噴射弁20には、上記導入通路27の内部の燃料圧力PQに応じた信号を出力する圧力センサ41が一体に取り付けられている。そのため、例えばコモンレール34(図1参照)内の燃料圧力などの燃料噴射弁20から離れた位置の燃料圧力が検出される装置と比較して、燃料噴射弁20の噴射孔23に近い部位の燃料圧力を検出することができ、燃料噴射弁20の開弁に伴う同燃料噴射弁20の内部の燃料圧力の変化を精度良く検出することができる。なお上記圧力センサ41は各燃料噴射弁20に一つずつ、すなわち内燃機関11の気筒16毎に設けられている。
図1に示すように、内燃機関11には、その周辺機器として、運転状態を検出するための各種センサ類が設けられている。それらセンサ類としては、上記圧力センサ41の他、例えばクランクシャフト12の回転位相および回転速度(機関回転速度NE)を検出するためのクランクセンサ42や、アクセル操作部材(例えばアクセルペダル)の操作量(アクセル操作量ACC)を検出するためのアクセルセンサ43が設けられている。また、内燃機関11の外気の圧力(外気圧)を検出するための外気圧センサ44や、吸気通路17を通過する吸入空気の量(通路吸気量GA)を検出するための吸気量センサ45、吸気通路17内の圧力(吸気圧PM)を検出するための吸気圧センサ46が設けられている。その他、EGR弁52の開度(EGR開度VR)を検出するための開度センサ47や、内燃機関11の運転開始に際してオン操作されるとともに運転停止に際してオフ操作される運転スイッチ48なども設けられている。
また内燃機関11の周辺機器としては、例えばマイクロコンピュータを備えて構成された電子制御ユニット40なども設けられている。この電子制御ユニット40は推定部および制御部として機能し、各種センサの出力信号を取り込むとともにそれら出力信号をもとに各種の演算を行い、その演算結果に応じてEGR弁52の作動制御(EGR制御)や燃料噴射弁20の駆動制御(燃料噴射制御)などの内燃機関11の運転にかかる各種制御を実行する。
本実施の形態のEGR制御は、基本的には、以下のように実行される。
先ず、機関回転速度NE、通路吸気量GAおよび吸気圧PMに基づいて、内燃機関11の気筒16内に吸入されるガスの量のうちのEGR量が占める割合(EGR率)についての推定値(実EGR率Regr)が算出される。なお、実際のEGR率は、次のような考えのもとに推定することが可能である。吸気圧PMおよび機関回転速度NEに基づいて内燃機関11の気筒16内に吸入されるガス(新気とEGRガスとを含むガス)の量を推定することができる。また、通路吸気量GAと機関回転速度NEとに基づいてクランクシャフト12が一回転する間に各気筒16内に吸入される空気の量(新気量)を推定することができる。そして、上記ガスの量から新気量を減じた量(=ガスの量−新気量)を実際のEGR量に相当する量として求めることができ、同量とガスの量とから実際のEGR率(=「ガスの量−新気量」/ガスの量)を推定することができる。
また、機関回転速度NEおよび燃料噴射量(詳しくは、後述する要求噴射量TAU)に基づいて、EGR率についての制御目標値(目標EGR率Tegr)が設定される。その後、この目標EGR率Tegrに基づいてEGR開度VRについての制御目標値(目標EGR開度Tvr)が設定される。
そして、目標EGR開度Tvr、目標EGR率Tegr、および実EGR率Regrに基づいてEGR弁52の作動制御が実行される。詳しくはEGR弁52の作動制御として、目標EGR開度Tvrを見込み制御量とする見込み制御と、目標EGR率Tegrおよび実EGR率Regrの偏差に基づくフィードバック制御とが実行される。
また、本実施の形態の燃料噴射制御は、基本的には、以下のように実行される。
先ず、アクセル操作量ACCや機関回転速度NEなどに基づいて、内燃機関11の運転のための燃料噴射量についての制御目標値(要求噴射量TAU)が算出される。その後、要求噴射量TAUおよび機関回転速度NEに基づいて燃料噴射時期の制御目標値(要求噴射時期Tst)や燃料噴射時間の制御目標値(要求噴射時間Ttm)が算出される。そして、それら要求噴射時期Tstおよび要求噴射時間Ttmに基づいて各燃料噴射弁20の開弁駆動が実行される。これにより、そのときどきの内燃機関11の運転状態に見合う量の燃料が各燃料噴射弁20から噴射されて内燃機関11の各気筒16内に供給されるようになる。
なお本実施の形態の燃料噴射制御では、アクセル操作部材の操作解除(アクセル操作量ACC=「0」)による車両10の走行速度および機関回転速度NEの減速中において同機関回転速度NEが所定の速度範囲内になると、内燃機関11の運転のための燃料噴射を一時的に停止させる制御(いわゆる燃料カット制御)が実行される。
また本実施の形態の燃料噴射制御では、燃料のセタン価が低い領域(低セタン価領域)と中程度の領域(中セタン価領域)と高い領域(高セタン価領域)との三つの領域が設定されるとともに、それら領域毎に異なる実行態様で燃料噴射制御が実行される。例えば要求噴射時期Tstがセタン価の低い側の領域ほど進角側の時期に設定される。具体的には、三つのセタン価領域毎に、要求噴射量TAUおよび機関回転速度NEにより定まる機関運転状態とセタン価領域に見合う要求噴射時期Tstとの関係が各種の実験やシミュレーションの結果をもとに予め求められるとともに、同関係が演算マップ(ML,MM,MH)として電子制御ユニット40に記憶されている。そして、そのときどきの要求噴射量TAUおよび機関回転速度NEに基づいて、低セタン価領域であるときには演算マップMLから、中セタン価領域であるときには演算マップMMから、高セタン価領域であるときには演算マップMHから、それぞれ要求噴射時期Tstが算出される。
このようにして燃料噴射弁20からの燃料噴射を実行する場合、同燃料噴射弁20の初期個体差や経時変化などに起因して、その実行時期や噴射量に誤差が生じることがある。そうした誤差は、内燃機関11の出力トルクを変化させるため好ましくない。そのため本実施の形態では、各燃料噴射弁20からの燃料噴射を内燃機関11の運転状態に応じたかたちで適正に実行するために、圧力センサ41により検出される燃料圧力PQをもとに燃料噴射率の検出時間波形を形成するとともに同検出時間波形に基づいて要求噴射時期Tstおよび要求噴射時間Ttmを補正する補正処理が実行される。この補正処理は、内燃機関11の各気筒16について各別に実行される。
燃料噴射弁20内部の燃料圧力は、燃料噴射弁20の開弁に伴って低下するとともにその後における同燃料噴射弁20の閉弁に伴って上昇するといったように、燃料噴射弁20の開閉動作に伴い変動する。そのため、燃料噴射の実行時における燃料噴射弁20内部の燃料圧力の変動波形を監視することにより、同燃料噴射弁20の実動作特性(例えば、実際の燃料噴射量や、開弁動作が開始される時期、閉弁動作が開始される時期など)を精度良く把握することができる。したがって、そうした燃料噴射弁20の実作動特性に基づいて要求噴射時期Tstや要求噴射時間Ttmを補正することにより、燃料噴射時期や燃料噴射量を内燃機関11の運転状態に応じたかたちで精度よく設定することができるようになる。
以下、そうした補正処理について詳しく説明する。
ここでは先ず、燃料噴射の実行時における燃料圧力の変動態様(本実施の形態では、燃料噴射率の検出時間波形)を形成する手順について説明する。
図3に、燃料圧力PQの推移と燃料噴射率の検出時間波形との関係を示す。
同図3に示すように、本実施の形態では、燃料噴射弁20の開弁動作(詳しくはニードル弁22の開弁側への移動)が開始される時期(開弁動作開始時期Tos)、燃料噴射率が最大になる時期(最大噴射率到達時期Toe)、燃料噴射率の降下が開始される時期(噴射率降下開始時期Tcs)、燃料噴射弁20の閉弁動作(詳しくはニードル弁22の閉弁側への移動)が完了する時期(閉弁動作完了時期Tce)がそれぞれ検出される。
先ず、燃料噴射弁20の開弁動作が開始される直前の所定期間T1における燃料圧力PQの平均値が算出されるとともに、同平均値が基準圧力Pbsとして記憶される。この基準圧力Pbsは、閉弁時における燃料噴射弁20内部の燃料圧力に相当する圧力として用いられる。
次に、この基準圧力Pbsから所定圧力P1を減算した値が動作圧力Pac(=Pbse−P1)として算出される。この所定圧力P1は、燃料噴射弁20の開弁駆動あるいは閉弁駆動に際してニードル弁22が閉弁位置にある状態であるにも関わらず燃料圧力PQが変化する分、すなわちニードル弁22の移動に寄与しない燃料圧力PQの変化分に相当する圧力である。
その後、燃料噴射の実行開始直後において燃料圧力PQが降下する期間における同燃料圧力PQの時間による一階微分値d(PQ)/dtが算出される。そして、この一階微分値が最小になる点つまり燃料圧力PQの下向きの傾きが最も大きくなる点における燃料圧力PQの時間波形の接線L1が求められるとともに同接線L1と上記動作圧力Pacとの交点Aが算出される。この交点Aを燃料圧力PQの下記の検出遅れ分だけ過去の時期に戻した点AAに対応する時期が開弁動作開始時期Tosとして特定される。なお上記検出遅れ分は、燃料噴射弁20のノズル室25(図2参照)の圧力変化タイミングに対する燃料圧力PQの変化タイミングの遅れに相当する期間であり、ノズル室25と圧力センサ41との距離などに起因して生じる遅れ分である。
また、燃料噴射の実行開始直後において燃料圧力PQが一旦降下した後に上昇する期間における同燃料圧力PQの一階微分値が算出される。そして、この一階微分値が最大になる点つまり燃料圧力PQの上向きの傾きが最も大きくなる点における燃料圧力PQの時間波形の接線L2が求められるとともに同接線L2と上記動作圧力Pacとの交点Bが算出される。この交点Bを検出遅れ分だけ過去の時期に戻した点BBに対応する時期が閉弁動作完了時期Tceとして特定される。
さらに、接線L1と接線L2との交点Cが算出されるとともに同交点Cにおける燃料圧力PQと動作圧力Pacとの差(仮想圧力低下分ΔP[=Pac−PQ])が求められる。また、この仮想圧力低下分ΔPに要求噴射量TAUに基づき設定されるゲインG1を乗算した値が仮想最大燃料噴射率VRt(=ΔP×G1)として算出される。さらに、この仮想最大燃料噴射率VRtに要求噴射量TAUに基づき設定されるゲインG2を乗算した値が最大噴射率Rt(=VRt×G2)として算出される。
その後、上記交点Cを検出遅れ分だけ過去の時期に戻した時期CCが算出されるとともに、同時期CCにおいて仮想最大燃料噴射率VRtになる点Dが特定される。そして、この点Dおよび開弁動作開始時期Tos(詳しくは、同時期Tosにおいて燃料噴射率が「0」になる点)を繋ぐ直線L3と前記最大噴射率Rtとの交点Eに対応する時期が最大噴射率到達時期Toeとして特定される。
また、上記点Dおよび閉弁動作完了時期Tce(詳しくは、同時期Tceにおいて燃料噴射率が「0」になる点)を繋ぐ直線L4と最大噴射率Rtとの交点Fに対応する時期が噴射率降下開始時期Tcsとして特定される。
さらに、開弁動作開始時期Tos、最大噴射率到達時期Toe、噴射率降下開始時期Tcs、閉弁動作完了時期Tceおよび最大噴射率Rtによって形成される台形形状の時間波形が燃料噴射における燃料噴射率についての検出時間波形として用いられる。
次に、図4および図5を参照しつつ、そうした検出時間波形に基づいて燃料噴射制御の各種制御目標値を補正する処理(補正処理)の処理手順について詳細に説明する。
なお図4は上記補正処理の具体的な処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、補正処理の実行手順を概念的に示したものであり、実際の処理は所定周期毎の割り込み処理として電子制御ユニット40により実行される。また、図5は、検出時間波形と下記の基本時間波形との関係の一例を示している。
図4に示すように、この補正処理では先ず、上述したように燃料圧力PQに基づいて燃料噴射の実行時における検出時間波形が形成される(ステップS101)。また、アクセル操作量ACCおよび機関回転速度NEなどといった内燃機関11の運転状態に基づいて、燃料噴射の実行時における燃料噴射率の時間波形についての基本値(基本時間波形)が設定される(ステップS102)。本実施の形態では、内燃機関11の運転状態と同運転状態に適した基本時間波形との関係が実験やシミュレーションの結果に基づき予め求められて電子制御ユニット40に記憶されている。ステップS102の処理では、そのときどきの内燃機関11の運転状態に基づいて上記関係から基本時間波形が設定される。
図5に示すように、上記基本時間波形(一点鎖線)としては、開弁動作開始時期Tosb、最大噴射率到達時期Toeb、噴射率降下開始時期Tcsb、閉弁動作完了時期Tceb、最大噴射率により規定される台形の時間波形が設定される。
そして、そうした基本時間波形と前記検出時間波形(実線)とが比較されるとともに、その比較結果に基づいて燃料噴射の開始時期の制御目標値(前記要求噴射時期Tst)を補正するための補正項K1と同燃料噴射の実行時間の制御目標値(要求噴射時間Ttm)を補正するための補正項K2とがそれぞれ算出される。具体的には、基本時間波形における開弁動作開始時期Tosbと検出時間波形における開弁動作開始時期Tosとの差ΔTos(=Tosb−Tos)が算出されるとともに同差ΔTosが補正項K1として記憶される(図4のステップS103)。また、基本時間波形における噴射率降下開始時期Tcsb(図5)と検出時間波形における噴射率降下開始時期Tcsとの差ΔTcs(=Tcsb−Tcs)が算出されるとともに、同差ΔTcsが補正項K2として記憶される(図4のステップS104)。
このようにして各補正項K1,K2が算出された後、本処理は一旦終了される。
燃料噴射制御の実行に際しては、要求噴射時期Tstを補正項K1によって補正した値(本実施の形態では、要求噴射時期Tstに補正項K1を加算した値)が最終的な要求噴射時期Tstとして算出される。このようにして要求噴射時期Tstを算出することにより、基本時間波形における開弁動作開始時期Tosbと検出時間波形における開弁動作開始時期Tosとの間のずれが小さく抑えられるようになるため、燃料噴射の開始時期が内燃機関11の運転状態に応じたかたちで精度よく設定されるようになる。
また、要求噴射時間Ttmを上記補正項K2によって補正した値(本実施の形態では、要求噴射時間Ttmに補正項K2を加算した値)が最終的な要求噴射時間Ttmとして算出される。このようにして要求噴射時間Ttmを算出することにより、基本時間波形における噴射率降下開始時期Tcsbと検出時間波形における噴射率降下開始時期Tcsとの間のずれが小さく抑えられるようになるために、燃料噴射において燃料噴射率が低下し始める時期が内燃機関11の運転状態に応じたかたちで精度よく設定されるようになる。
このように本実施の形態では、燃料噴射弁20の実動作特性(詳しくは、検出時間波形)と予め定められた基本動作特性(詳しくは、基本時間波形)との差に基づいて要求噴射時期Tstや要求噴射時間Ttmが補正されるために、燃料噴射弁20の実動作特性と基本動作特性(標準的な特性を有する燃料噴射弁の動作特性)とのずれが抑えられる。そのため各燃料噴射弁20からの燃料噴射における噴射時期や噴射量がそれぞれ内燃機関11の運転状態に見合うように適正に設定されるようになる。
本実施の形態では、内燃機関11での燃焼に供される燃料のセタン価指標値を検出する制御(指標値検出処理)が実行される。以下、この指標値検出処理の概要を説明する。
この指標値検出処理では、前述の燃料カット制御が実行されているとの条件(後述する[条件1])を含む実行条件が設定されている。そして、この実行条件の成立時に、予め定められた少量の所定量FQ(例えば、数立方ミリメートル)での内燃機関11への燃料噴射が実行されるとともに、その燃料噴射の実行に伴い発生する内燃機関11の出力トルクの指標値(後述する回転変動量ΣΔNE)が燃料のセタン価指標値として検出される。なお上記回転変動量ΣΔNEとしては、内燃機関11において大きな出力トルクが発生したときほど大きい値が検出される。
内燃機関11に供給される燃料のセタン価が高いときほど、燃料が着火し易く同燃料の燃え残りが少なくなるために、燃料の燃焼に伴って発生する機関トルクが大きくなる。本実施の形態の推定制御では、そうした燃料のセタン価と内燃機関11の出力トルクとの関係をもとに同燃料のセタン価指標値が検出される。
以下、指標値検出処理の実行手順について詳細に説明する。
図6は、上記指標値検出処理の具体的な実行手順を示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示される一連の処理は、指標値検出処理の実行手順を概念的に示したものであり、実際の処理は所定周期毎の割り込み処理として電子制御ユニット40により実行される。
図6に示すように、この処理では先ず、実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS201)。ここでは、以下の[条件1]〜[条件3]が全て満たされることをもって実行条件が成立していると判断される。
[条件1]前記燃料カット制御が実行されていること。
[条件2]クラッチ機構13がクランクシャフト12と手動変速機14との連結を解除する作動状態になっていること。具体的には、クラッチ操作部材が操作されていること。
[条件3]補正処理が適正に実行されていること。具体的には、補正処理において算出されている各補正項K1,K2が上限値にも下限値にもなっていないこと。
[条件1]前記燃料カット制御が実行されていること。
[条件2]クラッチ機構13がクランクシャフト12と手動変速機14との連結を解除する作動状態になっていること。具体的には、クラッチ操作部材が操作されていること。
[条件3]補正処理が適正に実行されていること。具体的には、補正処理において算出されている各補正項K1,K2が上限値にも下限値にもなっていないこと。
上記実行条件が成立していない場合には(ステップS201:NO)、以下の処理、すなわち燃料のセタン価指標値を検出する処理を実行することなく、本処理は一旦終了される。
その後、本処理が繰り返し実行されて上記実行条件が成立すると(ステップS201:YES)、燃料のセタン価指標値を検出する処理の実行が開始される。
具体的には先ず、予め定められた燃料噴射時期の制御目標値(目標噴射時期TQst)と燃料噴射時間の制御目標値(目標噴射時間TQtm)とが図4と図5で前述した補正処理により算出されている補正項K1,K2によって補正される(図6のステップS202)。詳しくは、補正項K1を目標噴射時期TQstに加算した値が新たな目標噴射時期TQstとして設定されるとともに、補正項K2を目標噴射時間TQtmに加算した値が新たな目標噴射時間TQtmとして設定される。
そして、目標噴射時期TQstおよび目標噴射時間TQtmに基づく燃料噴射弁20の駆動制御が実行されて、同燃料噴射弁20からの燃料噴射が実行される(ステップS203)。こうした燃料噴射弁20の駆動制御を通じて、回転変動量ΣΔNEのばらつきが抑えられるタイミングで所定量FQの燃料が燃料噴射弁20から噴射されるようになる。なお本実施の形態では、ステップS203の処理における燃料噴射が複数の燃料噴射弁20のうちの予め定めたもの(本実施の形態では、気筒16[♯1]に取り付けられた燃料噴射弁20)を用いて実行される。また、本処理において用いられる補正項K1,K2についても同様に、燃料噴射弁20のうちの予め定めたもの(本実施の形態では、気筒16[♯1]に取り付けられた燃料噴射弁20)に対応して算出された値が用いられる。
その後、上記所定量FQでの燃料噴射に伴い発生した内燃機関11の出力トルクの指標値として前記回転変動量ΣΔNEが検出されて記憶された後(ステップS204)、本処理は一旦終了される。この回転変動量ΣΔNEの検出は具体的には次のように行われる。図7に示すように、本実施の形態にかかる装置では、所定時間おきに機関回転速度NEが検出されるとともに、その検出の度に同機関回転速度NEと複数回前(本実施の形態では、三回前)に検出された機関回転速度NEiとの差ΔNE(=NE−NEi)が算出される。そして、上記燃料噴射の実行に伴う上記差ΔNEの変化分についての積算値(同図7中に斜線で示す部分の面積に相当する値)が算出されるとともに、この積算値が上記回転変動量ΣΔNEとして記憶される。なお図7に示す機関回転速度NEや差ΔNEの推移は、回転変動量ΣΔNEの算出方法の理解を容易にするべく簡略化して示しているため実際の推移とは若干異なる。
本実施の形態では、基本的に、指標値検出処理を通じて検出された回転変動量ΣΔNEに基づいて低セタン価領域、中セタン価領域および高セタン価領域のいずれの領域であるかが特定されるとともに、特定された領域が電子制御ユニット40に記憶される。詳しくは、回転変動量ΣΔNEが所定値PL未満である場合(ΣΔNE<PL)には低セタン価領域であると判断され、所定値PL以上所定値PH未満である場合(PL≦ΣΔNE<PH)には中セタン価領域であると判断され、所定値PH以上である場合(ΣΔNE≧PH)には高セタン価領域であると判断される。そして、そのように特定されたセタン価領域に見合う実行態様で燃料噴射制御が実行される。
ここで、内燃機関11に供給される燃料のセタン価が低いときには、着火遅れが長くなるために燃料の燃焼状態の悪化を招き易い。また内燃機関11の始動開始直後のアイドル運転時においては、気筒16内に噴射される燃料の量が少ないうえに同気筒16内の温度が低いために燃料の燃焼状態の悪化を招き易い。そのため本実施の形態の装置では特に、内燃機関11の始動開始直後におけるアイドル運転時であり且つ低セタン価領域であると判断されているときにおいて燃料の燃焼状態が悪化し易く、失火発生を招き易いと云える。
この点をふまえて本実施の形態では、内燃機関11の始動開始直後における実行期間であり且つ低セタン価領域が記憶されているとき(特定状況)において、アイドル運転時における目標EGR率Tegrを「0」に設定してEGR装置50によるEGR量を「0」に設定するようにしている。これにより、低セタン価領域が記憶されている状況で内燃機関11の始動開始直後においてアイドル運転されたとき、すなわちEGR量の調節誤差による燃料の燃焼状態への影響が大きくなり易く且つ燃料の燃焼状態が不安定になり易いときに、EGRガスの再循環が停止される分だけ内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼状態を良くすることができるために、失火発生を抑えることが可能になる。
なお、そうした特定状況においてアイドル運転時における燃料の燃焼状態を良くするためには、アイドル運転時のEGR量を「0」にすることに限らず、特定状況でないときと比較してEGR量を減量することも考えられる。上記EGR装置50では、EGR通路51の容積や吸気通路17におけるEGR通路51との接続部分から内燃機関11の気筒16までの部分の容積に起因して、EGR弁52の開度変化に対するEGR量の変化に遅れが生じることが避けられない。そのため、EGR弁52の開度変化に対するEGR量の変化の応答性や安定性が低く、EGR装置50によるEGR量の緻密な調節が難しいことから、同EGR装置50によるEGR量の調節に際しては調節誤差が生じ易いと云える。そして上記調節誤差によってEGR量が過度に多くなると、燃料の燃焼状態の悪化を招くおそれがある。また、上記調節誤差によってEGR量が少なくなり過ぎると、気筒16内における燃料の燃焼温度が高くなって排気中の窒素酸化物(NOx)の増加を招くおそれがある。
この点、本実施の形態では、特定状況、すなわちEGR量の調節誤差による燃料の燃焼状態への影響が大きくなり易く且つ燃料の燃焼状態が不安定になり易いときに、同EGR量の調節誤差そのものが無くなるために、その調節誤差による燃料の燃焼状態への影響を排除することができるようになる。
上述のように、特定状況でのアイドル運転時におけるEGR量を「0」に設定することにより、内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼状態が良くなるために、失火発生を抑えることが可能になる。しかしながら、単にEGR量を「0」にすると、内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼温度がごく高くなるために、排気中のNOx量の大幅な増加を招くおそれがある。
この点をふまえて本実施の形態では、特定状況において、アイドル運転時におけるEGR量を「0」に設定することに合わせて、アイドル運転時における燃料噴射時期を特定状況でないときと比較して遅角側の時期に設定するようにしている。なお、本実施の形態において特定状況でないときとは、中セタン価領域が記憶されているときや、高セタン価領域が記憶されているとき、あるいは内燃機関11の始動開始後において実行期間が経過したときである。
燃料噴射時期として遅角側の時期を設定することにより、内燃機関11の気筒16内における燃料の着火時期が遅くなるために、その分だけ燃料の燃焼温度が低くなって排気中のNOx量が少なくなる。本実施の形態では、燃料噴射制御を通じて、燃焼状態の悪化抑制とNOx排出量の抑制との両立が図られる燃料噴射時期(詳しくは、要求噴射時期Tst)が設定される。
しかも本実施の形態では、特定状況でのアイドル運転時において、内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼状態の設定を、EGR量の調節による設定と比較して高精度で行うことの可能な燃料噴射時期の調節による設定を通じて行うことができる。このように本実施の形態によれば、低セタン価燃料の使用時における内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼状態を適正に設定することができるため、失火発生の抑制とNOx排出量の抑制とを両立させることができる。
以下、特定状況においてEGR量を「0」にするための処理と燃料噴射時期を遅角するための処理とを詳細に説明する。
ここでは先ず、特定状況でのアイドル運転時におけるEGR量を「0」にするための処理について図8を参照して説明する。
図8は、EGR制御にかかる処理(EGR制御処理)の実行手順を示している。同図のフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の割り込み処理として、電子制御ユニット40により実行される。
図8に示すように、この処理では先ず、以下の[条件4]および[条件5]が共に満たされているか否かが判断される(ステップS301)。
[条件4]低セタン価領域が特定されて電子制御ユニット40に記憶されていること。
[条件5]内燃機関11の始動が開始されてからアクセル操作部材の開操作(アクセル操作量ACCを「0」よりも大きくする操作)が開始されるまでの実行期間であること。具体的には、内燃機関11の運転を開始するべく運転スイッチ48が操作された後においてアクセル操作量ACCが「0」の状態が継続されていること。
[条件4]低セタン価領域が特定されて電子制御ユニット40に記憶されていること。
[条件5]内燃機関11の始動が開始されてからアクセル操作部材の開操作(アクセル操作量ACCを「0」よりも大きくする操作)が開始されるまでの実行期間であること。具体的には、内燃機関11の運転を開始するべく運転スイッチ48が操作された後においてアクセル操作量ACCが「0」の状態が継続されていること。
そして、[条件4]および[条件5]が共に満たされるときには(ステップS301:YES)、このときEGR量の調節誤差による燃料の燃焼状態への影響が大きくなり易く且つ燃料の燃焼状態が不安定になり易いとして、目標EGR率Tegrとして「0」が設定されてEGR量が「0」に設定される(ステップS302)。
一方、[条件4]や[条件5]が満たされないときには(ステップS301:NO)、EGR制御処理として通常制御(詳しくは、機関回転速度NEおよび要求噴射量TAUに基づき設定される目標EGR率Tegrに応じたEGR弁52の作動制御)が実行される(ステップS303)。具体的には、[条件4]が満たされない場合には、このとき中セタン価領域または高セタン価領域が特定されて電子制御ユニット40に記憶されているために燃料の燃焼状態が過度に悪化する可能性は低いとして、EGR制御処理として通常制御が実行される。また[条件5]が満たされない場合には、始動後における機関運転の継続に伴って内燃機関11の気筒16内の温度が高くなっているために燃料の燃焼状態が過度に悪化する可能性は低いとして、EGR制御処理として通常制御が実行される。
次に、燃料噴射時期を遅角するための処理(噴射時期遅角処理)について図9を参照して説明する。
図9は、噴射時期遅角処理の実行手順を示している。同図のフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の割り込み処理として、電子制御ユニット40により実行される。
図9に示すように、この処理では先ず、EGR開度VRが所定開度(例えば、閉弁時の開度より若干大きい開度)以下であるか否かが判断される(ステップS401)。また、この処理では、機関回転速度NEが所定速度(例えば、アイドル運転時における機関回転速度NEの上限に相当する速度[1300回転/分])以下であるか否かが判断されるとともに(ステップS402)、要求噴射量TAUが所定量(例えば、アイドル運転時における燃料噴射量の上限に相当する量)以下であるか否かが判断される(ステップS403)。
そして、EGR開度VRが所定開度以下であることをもって(ステップS401:YES)、このときEGR量が「0」に設定されていると判断される。また、機関回転速度NEが所定速度以下であり(ステップS402:YES)且つ要求噴射量TAUが所定量以下であることをもって(ステップS403:YES)、内燃機関11がアイドル運転状態であると判断される。したがって、これらステップS401〜ステップS403の判断が全て肯定であることにより、EGR制御処理(図8参照)において前記[条件4]および[条件5]が共に満たされてEGR量が「0」に設定されていると判断される。すなわち、このとき低セタン価領域が記憶されており且つ内燃機関11の始動が開始されてからアクセル操作部材の開操作が開始されるまでの実行期間であるために、燃料の燃焼状態を改善して失火発生を抑えるべくEGR量が「0」に設定されていると判断される。
この場合には(ステップS401〜ステップS403の全てが「YES」)、さらに外気圧が判定圧(例えば、80kPa)より高いか否かが判断される(ステップS404)。そして、外気圧が判定圧以上である場合には(ステップS404:YES)、燃料噴射時期として遅角側の時期が設定される実行態様での燃料噴射制御(遅角制御)が実行される(ステップS405)。
本実施の形態では、要求噴射時期Tstの設定に用いる演算マップとして、前述した演算マップML,MM,MHに加えて、特定状況でのアイドル運転時においてEGR量が「0」に設定された状況に見合う演算マップであって比較的遅角側の時期が設定される演算マップMLFが設定されている。詳しくは、要求噴射量TAUおよび機関回転速度NEにより定まる機関運転状態と特定状況でのアイドル運転時においてEGR量が「0」に設定された状況に見合う要求噴射時期Tstとの関係が各種の実験やシミュレーションの結果をもとに予め求められるとともに、同関係が演算マップMLFとして電子制御ユニット40に記憶されている。
ステップS405の処理では、詳しくは、それら演算マップのうちの演算マップMLFが選択される。そして、以後における燃料噴射制御では、この演算マップMLFをもとに要求噴射量TAUおよび機関回転速度NEに基づいて要求噴射時期Tstが設定される。
一方、EGR開度VRが所定開度より大きい場合には(ステップS401:NO)、このときEGR量が「0」に設定されていないとして、燃料噴射時期として進角側の時期が設定される実行態様での燃料噴射制御(通常制御)が実行される(ステップS406)。この通常制御では詳しくは、このとき記憶されているセタン価領域に対応する演算マップ、すなわち演算マップML,MM,MHのいずれかが選択されて、以後においてその選択された演算マップをもとに要求噴射量TAUおよび機関回転速度NEに基づいて要求噴射時期Tstが設定される。また、機関回転速度NEが所定速度より高いときや(ステップS402:NO)、要求噴射量TAUが所定量より多いときには(ステップS403:NO)、内燃機関11がアイドル運転状態ではないとして、通常制御が実行される(ステップS406)。
このように本実施の形態によれば、EGR量を「0」に設定する処理(図8のステップS302の処理)と、燃料噴射時期として遅角側の時期を設定する処理(図9のステップS405の処理)とが、内燃機関11の始動が開始されてからアクセル操作部材の開操作が開始されるまでの実行期間に限って実行される。そのため、始動開始直後において内燃機関11の気筒16内の温度が低いとき、言い換えれば、気筒16内における燃料の燃焼状態の不安定化を招き易い期間に限って、高精度での燃料の燃焼状態の設定を実現するための処理(EGR量を「0」に設定する処理、および燃料噴射時期として遅角側の時期を設定する処理)を実行することができる。
他方、外気圧が判定圧以下である場合には(ステップS404:NO)、通常制御が実行される(ステップS406)。ここで外気圧が低いときには、空気の密度が低いため吸気中に含まれる酸素の量が少ない。そのため、内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼状態が悪化し易く、失火発生を招き易い。本実施の形態によれば、外気圧が低いために失火発生を招き易いときには、演算マップMLFを選択して要求噴射時期Tstを遅角側の時期に設定すること、言い換えれば燃料の燃焼状態を悪化させる側への要求噴射時期Tstの変更を禁止することができるため、失火発生を確実に抑えることができる。なお、外気圧が判定圧より高いとき(ステップS404:YES)、言い換えれば比較的失火が発生し難いときには、演算マップMLFをもとに要求噴射時期Tstとして遅角側の時期が設定されるためにNOxの排出量を好適に抑制することができる。なお本実施の形態では、各種の実験やシミュレーションの結果をもとに特定状況でのアイドル運転時における失火発生が確実に抑えられるようになる判定圧が予め求められて、電子制御ユニット40に記憶されている。
以下、前記特定状況でのアイドル運転時においてEGR量を「0」にするための処理と燃料噴射時期を遅角するための処理との実行態様について図10を参照して説明する。
図10は、それら処理の実行態様の一例を示している。なお同図において、実線は本実施の形態にかかる装置における各処理の実行態様を示しており、一点鎖線はEGR量を「0」にせず且つ燃料噴射時期を遅角しない比較例の装置における各処理の実行態様を示している。また同図における二点鎖線は、EGR量を「0」とし且つ燃料噴射時期を遅角しない場合におけるNOx排出量の推移を示している。
図10に示す例では、時刻t11において、運転スイッチ48がオン操作されて内燃機関11の始動が開始される。このとき低セタン価領域が記憶されており且つアクセル操作部材が開操作されていないために(アクセル操作量ACC=「0」)、目標EGR率Tegrとして「0」が設定されて、EGR開度VRが閉弁状態に相当する開度(VR=「0」)になる。また、このとき要求噴射時期Tstとして、演算マップMLFをもとに、機関始動直後の実行期間でないときと比較して図中に白抜きの矢印で示す分だけ遅角側の時期が設定される。
このとき、図中に一点鎖線で示す比較例の装置では、NOx排出量がごく少なく抑えられるものの、内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼状態の悪化を招くために、失火やスモークの発生を招いてしまう。一方、図中に二点鎖線で示す装置では、内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼状態が十分に良くなって失火やスモークの発生が回避されるものの、燃料の燃焼温度がごく高くなるためにNOx排出量の大幅な増加を招いてしまう。
これに対して、本実施の形態にかかる装置では、時刻t11〜t12において、EGR量が「0」に設定されるとともに燃料噴射時期として遅角側の時期が設定されるために、二点鎖線で示す装置のようにNOx排出量の大幅な増加を招くことがなく、一点鎖線で示す比較例の装置のように失火やスモークの発生を招くこともない。このように本実施の形態によれば、低セタン価燃料の使用時において、内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼状態を適正に設定することができるため、失火発生の抑制とNOxの排出量の抑制とを両立させることができる。
本例では、時刻t12においてアクセル操作部材の開操作が開始されると、以後においては、EGR量を「0」にするための処理と燃料噴射時期を遅角するための処理との実行が停止される。そして、このときには機関回転速度NEおよび要求噴射量TAUに基づき設定される目標EGR率Tegrに応じてEGR弁52の作動制御が実行され、アクセル操作量ACCおよび機関回転速度NEに基づき演算マップML,MM,MHのいずれかをもとに設定される要求噴射時期Tstに応じて燃料噴射弁20の駆動制御が実行される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)内燃機関11の始動開始直後の実行期間であり且つ低セタン価領域が記憶されている特定状況において、アイドル運転時におけるEGR量を「0」に設定するとともに、特定状況でないときと比較してアイドル運転時における要求点火時期Tstを遅角側の時期に設定するようにした。そのため、低セタン価燃料の使用時において内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼状態を適正に設定することができ、失火発生の抑制とNOxの排出量の抑制とを両立させることができる。
(2)特定状況でのアイドル運転時におけるEGR量を「0」にするようにしたために、EGR量の調節誤差による燃料の燃焼状態への影響を排除することができ、燃料の燃焼状態をより高い精度で設定することができるようになる。
(3)外気圧が判定圧以上であることを条件に、燃料噴射時期として進角側の時期を設定する処理(図9のステップS405の処理)を実行するようにした。そのため、外気圧が低く失火発生を招き易いときにおける燃料の燃焼状態を悪化させる側への要求噴射時期Tstの変更を禁止することができ、失火発生を確実に抑えることができる。しかも、外気圧が高いために比較的失火が発生し難いときには、要求噴射時期Tstの遅角側への変更が許可されるために、NOxの排出量を好適に抑制することができる。
(4)EGR量を「0」に設定する処理(図8のステップS302の処理)と燃料噴射時期として遅角側の時期を設定する処理(図9のステップS405の処理)とを、内燃機関11の始動が開始されてからアクセル操作部材の開操作が開始されるまでの実行期間に限って実行するようにした。そのため、内燃機関11の気筒16内における燃料の燃焼状態の不安定化を招き易い期間に限って、高精度での燃料の燃焼状態の設定を実現するための処理を実行することができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・ステップS401〜ステップS403の処理に代えて、前記[条件4]および[条件5]が共に満たされるか否かを判断する処理を実行するようにしてもよい。こうした装置によっても、内燃機関11の始動開始直後の実行期間であり且つ低セタン価領域が記憶されている特定状況において、特定状況でないときと比較してアイドル運転時における要求点火時期Tstを遅角側の時期に設定することができる。
・要求噴射時期Tstの設定を、演算マップを用いて実行することに限らず、演算式を用いて実行するようにしてもよい。
・特定状況でのアイドル運転時における要求噴射時期Tstの設定を次のように実行するようにしてもよい。すなわち、機関回転速度NEおよび要求噴射量TAUに基づいて演算マップMLから要求噴射時期Tstを設定するとともに、機関回転速度NEおよび要求噴射量TAUに基づいて遅角補正項を算出し、要求噴射時期Tstを遅角補正項によって補正した値を最終的な要求噴射時期Tstとして設定する。
・図9のステップS404の処理を省略してもよい。すなわち、外気圧によることなく、要求噴射時期Tstとして遅角側の時期を設定する処理(図9のステップS405の処理)を実行するようにしてもよい。
・特定状況において、アイドル運転時におけるEGR量を「0」に設定することに限らず、EGR弁52を若干開弁させて少量のEGRガスを再循環させるようにしてもよい。要は、特定状況でのアイドル運転時におけるEGR量を、特定状況でないときのEGR量と比較して減量することができればよい。こうした装置によっても、特定状況でのアイドル運転時、すなわちEGR量の調節誤差による燃料の燃焼状態への影響が大きくなり易く且つ燃料の燃焼状態が不安定になり易いときに、EGR量の絶対量が少なくなる分だけEGR量の調節誤差を小さくすることが可能になる。そのため、EGR量の調節誤差による燃料の燃焼状態への影響を小さく抑えることができる。
・内燃機関11の始動が開始されてからアクセル操作部材の開操作が開始されるまでの実行期間に限って、EGR量を「0」に設定する処理(図8のステップS302の処理)と燃料噴射時期として遅角側の時期を設定する処理(図9のステップS405の処理)とを実行するようにした。これに代えて、それら処理を、内燃機関11の始動が開始されてから予め定められた一定期間が経過するまでの実行期間に限って実行するようにしてもよい。一定期間としては、例えば一定の時間(例えば数秒〜数十秒)や、燃料噴射量の積算値が所定値に達するまでの期間、吸気量の積算値が所定値に達するまでの期間などを挙げることができる。要は、内燃機関11の気筒16内の温度が十分に高くなって燃料の燃焼状態が良好になるまでの実行期間において、EGR量を「0」に設定する処理と燃料噴射時期として遅角側の時期を設定する処理とを実行することができればよい。
・燃料噴射弁20の初期個体差や経時変化などに起因する燃料噴射時期や燃料噴射量の誤差が適正に抑えられるのであれば、目標噴射時期TQstと目標噴射時間TQtmとを補正項K1,K2によって補正する処理(図6のステップS202)を省略してもよい。
・上記実施の形態にかかる制御装置は、燃料のセタン価の指標値(回転変動量ΣΔNE)によって区切られた二つの領域のいずれの領域であるかを判断する装置や四つ以上の領域のいずれの領域であるかを判断する装置にも、その構成を適宜変更したうえで適用することができる。
・上記実施の形態にかかる制御装置は、電子制御ユニット40に記憶されている回転変動量ΣΔNEに基づきセタン価領域を特定することなく同回転変動量ΣΔNEを内燃機関11に供給される燃料のセタン価に相当する値(詳しくは、セタン価指標値)として用いる装置にも、その構成を適宜変更したうえで適用することができる。こうした装置では、回転変動量ΣΔNEが予め定められた所定値より小さいときに、内燃機関11に供給される燃料のセタン価が低いと判断して、特定状況でのアイドル運転時におけるEGR量を「0」に設定する処理と燃料噴射時期として遅角側の時期を設定する処理とを実行すればよい。
・回転変動量ΣΔNE以外の値を内燃機関11の出力トルクの指標値として算出するようにしてもよい。例えば指標値検出処理の実行中において燃料噴射の実行時における機関回転速度NEと同燃料噴射の実行直前における機関回転速度NEとをそれぞれ検出するとともにそれら速度の差を算出して、同差を上記指標値として用いることができる。
・圧力センサ41の取り付け態様は、燃料噴射弁20の内部(詳しくは、ノズル室25内)の燃料圧力の指標となる圧力、言い換えれば同燃料圧力の変化に伴って変化する燃料圧力を適正に検出することができるのであれば、燃料噴射弁20に直接取り付けられる態様に限らず、任意に変更することができる。具体的には、圧力センサを分岐通路31aやコモンレール34に取り付けるようにしてもよい。
・圧電アクチュエータ29により駆動されるタイプの燃料噴射弁20に代えて、例えばソレノイドコイルなどを備えた電磁アクチュエータによって駆動されるタイプの燃料噴射弁を採用することもできる。
・上記実施の形態にかかる制御装置は、クラッチ機構13と手動変速機14とが搭載された車両10に限らず、トルクコンバータと自動変速機とが搭載された車両にも適用することができる。こうした車両では、例えば[条件1]および[条件3]が満たされるときに燃料のセタン価の推定のための燃料噴射を実行するようにすればよい。なお、トルクコンバータとしてロックアップクラッチ内蔵のものが採用される車両においては、ロックアップクラッチが係合状態になっていないこととの[条件6]を新たに設定するとともに同[条件6]が満たされることを条件に燃料のセタン価指標値の検出のための燃料噴射を実行するようにすればよい。
・本発明は、内燃機関に供給される燃料のセタン価を推定するための燃料噴射が実行される装置に限らず、同燃料のセタン価を推定する処理が実行される装置であれば適用することができる。そうした装置としては、例えば次のような装置を挙げることができる。すなわち先ず、内燃機関の運転のための燃料噴射の実行時において筒内圧センサによって同内燃機関の気筒内の圧力(筒内圧)を検出する。そして、この筒内圧に基づいて実際に燃料が着火した時期を算出するとともに、同時期に基づいて着火遅れ時間を算出する。その後、この算出した着火遅れ時間に基づいてセタン価指標値を算出する。
・四つの気筒を有する内燃機関に限らず、単気筒の内燃機関や、二つの気筒を有する内燃機関、三つの気筒を有する内燃機関、あるいは五つ以上の気筒を有する内燃機関にも、本発明は適用することができる。
10…車両、11…内燃機関、12…クランクシャフト、13…クラッチ機構、14…手動変速機、15…車輪、16…気筒、17…吸気通路、18…ピストン、19…排気通路、20…燃料噴射弁、21…ハウジング、22…ニードル弁、23…噴射孔、24…スプリング、25…ノズル室、26…圧力室、27…導入通路、28…連通路、29…圧電アクチュエータ、29a…弁体、30…排出路、31a…分岐通路、31b…供給通路、32…燃料タンク、33…燃料ポンプ、34…コモンレール、35…リターン通路、40…電子制御ユニット、41…圧力センサ、42…クランクセンサ、43…アクセルセンサ、44…外気圧センサ、45…吸気量センサ、46…吸気圧センサ、47…開度センサ、48…運転スイッチ、50…EGR装置、51…EGR通路、52…EGR弁。
Claims (4)
- 内燃機関の排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に戻して再循環させるEGR装置と、
前記内燃機関に供給される燃料のセタン価を推定する推定部と、
前記推定部により推定したセタン価が低いときであり且つ前記内燃機関の始動開始直後の実行期間であるときには、そうでないときと比較して、アイドル運転時における前記EGR装置によるEGR量を減量するとともに燃料噴射時期を遅角する制御部と
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
前記制御部は前記EGR量を「0」にする
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置において、
前記制御部は、外気圧が予め定めた判定圧以上であることを条件に、前記燃料噴射時期の遅角を実行する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記実行期間は、前記内燃機関の始動が開始されてからアクセル操作部材の開操作が開始されるまでの期間である
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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