JP2004083612A - 樹脂組成物および絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械特性、難燃性、耐熱性、耐寒性および成形加工性に優れるとともに、廃棄の際には、重金属化合物の溶出、多量の煙や腐食性ガスの発生がない樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリエステル系エラストマー、変性スチレン系エラストマー、変性エチレン・プロピレンゴム、およびエチレン系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の第1の樹脂成分2〜40質量%と、第2の樹脂成分としての熱可塑性ポリエステル樹脂60〜98質量%とを含むベースポリマー、および、前記ベースポリマー100質量部に対して、2〜20質量部の割合で配合された有機化クレーを含有することを特徴とする。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物および絶縁電線に係り、特に、自動車、電気・電子機器などに使用される樹脂組成物および絶縁電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、電気・電子機器などに使用される部材や絶縁電線には、機械特性、難燃性、耐熱性、および耐寒性など種々の特性が要求されている。従来から、その材料として、ポリ塩化ビニルコンパウンドや分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン系難燃剤を配合したポリオレフィンコンパウンドが、主として使用されていた。
【0003】
近年、このような材料を用いた製品を適切な処理をせずに廃棄した場合に生じる種々の問題が議論されている。例えば、埋め立て廃棄した場合には、材料に配合されている可塑剤や重金属安定剤が溶出することが懸念され、焼却廃棄した場合には、多量の腐食性ガスが発生するおそれがある。
【0004】
このため、有害な重金属や腐食性のハロゲン系ガスなどが発生するおそれがないノンハロゲン難燃材料が提案され、一部においては実用化されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
提案、実用化されているノンハロゲン難燃材料においては、金属水和物を高充填したポリオレフィン系樹脂が一般的に使用されている。これらの材料は、樹脂に難燃性を付与するために金属水和物を多量に添加する必要があり、そのベースポリマーとしては、金属水和物を配合しやすいエチレン系共重合体が主として用いられている。
【0006】
しかしながら、このようなノンハロゲン難燃材料は、現在使用されているPVCコンパウンドと比較すると、機械特性や耐熱性といった特性が低い。こうした特性を改善するために、エチレン系共重合体をベースポリマーとするノンハロゲン難燃組成材料を、化学架橋法や電子線架橋法により架橋する方法が提案されている。さらに、機械特性、耐熱性に優れるポリプロピレンをベースポリマーに使用する方法も検討されているものの、機械特性、難燃性、耐熱性、および耐寒性といった特性を全て備えた材料は開発されていないのが現状である。
【0007】
また、エチレン系共重合体やポリプロピレンをベースポリマーとして含有するノンハロゲン難燃組成材料で被覆された絶縁電線は、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂などで成形された圧接型コネクタに接続する場合には、端子の圧入時に被覆層に亀裂が発生するおそれがある。さらに、絶縁電線の被覆層の引張強度が低いために、被覆層とコネクタとの間の保持力が低いという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、機械特性、難燃性、耐熱性、耐寒性および成形加工性に優れるとともに、廃棄の際には、重金属化合物の溶出、多量の煙や腐食性ガスの発生がない樹脂組成物、およびこれを用いた絶縁電線を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、ポリエステル系エラストマー、変性スチレン系エラストマー、変性エチレン・プロピレンゴム、およびエチレン系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の第1の樹脂成分2〜40質量%と、第2の樹脂成分としての熱可塑性ポリエステル樹脂60〜98質量%とを含むベースポリマー、および
前記ベースポリマー100質量部に対して、2〜20質量部の割合で配合された有機化クレーを含有することを特徴とする樹脂組成物を提供する。
【0010】
また本発明は、導体と、この導体の周囲を被覆する樹脂層とを有し、前記樹脂層は、前述の樹脂組成物を含むことを特徴とする絶縁電線を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の樹脂組成物においては、ポリエステル系エラストマー、変性スチレン系エラストマー、変性エチレン・プロピレンゴム、およびエチレン系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の第1の樹脂成分と、第2の樹脂成分としての熱可塑性ポリエステル樹脂とを、それぞれ所定の範囲の量で配合したベースポリマーが含有される。
【0013】
第1の樹脂成分としてのポリエステル系エラストマーは、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートなどポリエステルから構成される結晶性ハードセグメントと、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなどの脂肪族ポリエーテルから構成される非晶性ソフトセグメントもしくはポリεカプロラクトンやポリブチレンアジペートなどの脂肪族ポリエステルから構成される非晶性ソフトセグメントをブロック共重合させたものである。
【0014】
例えば、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンナフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリブチレンアジペートブロック共重合体、およびポリブチレンテレフタレート・ポリεカプロラクトンブロック共重合体などが挙げられる。
【0015】
具体的には、「ハイトレル」(東レ)、「ペルプレン」(東洋紡)、および「ヌーベラン」(帝人化成)などを用いることができる。
【0016】
変性スチレン系エラストマーは、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体などのスチレン系エラストマーに無水マレイン酸やグリシジルメタクリレートなどの官能基を導入したものである。
【0017】
具体的には、「変性ダイナロン」(JSR)、「タフテックM」(旭化成)および「クレイトンFG1901X」(クレイトンポリマー)などが挙げられる。
【0018】
変性エチレン・プロピレンゴムは、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体に無水マレイン酸などの官能基を導入したものやスチレン・アクリロニトリルをグラフトした重合体である。
【0019】
具体的には、「ROYALTUF」(UNIROYAL)などが挙げられる。
【0020】
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリルゴム、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体、およびエチレン・グリシジルメタクリレート・アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。
【0021】
上述したようなポリエステル系エラストマー、変性スチレン系エラストマー、変性エチレン・プロピレンゴム、およびエチレン系共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の第1の樹脂成分を、第2の樹脂成分としての熱可塑性ポリエステル樹脂とともに用いることによって、樹脂組成物中に含有される有機化クレーの分散性が高められる。その結果、樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層の引張特性(引張伸び)、耐寒性、および難燃性を向上させることが可能となる。
【0022】
樹脂組成物中における有機化クレーの分散性や、樹脂組成物の成形加工性が著しく向上することから、変性スチレン系エラストマー、変性エチレン・プロピレンゴムが第1の樹脂成分として好ましい。
【0023】
上述したような第1の樹脂成分は、単独であるいは2種以上の混合物として使用することができる。ただし、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分とからなるベースポリマー中における第1の樹脂成分の配合量は、2質量%以上40質量%以下に規定される。2質量%未満の場合には、有機化クレーの分散性を向上させるという第1の樹脂成分の効果を得ることができず、一方、40質量%を越えると、樹脂組成物の耐熱性が低下したり、樹脂組成物の成形加工性が低下する。
【0024】
第2の樹脂製分としての熱可塑性ポリエステル樹脂は、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸などのジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成性誘導体)と、炭素数2〜20の脂肪族グリコール、分子量400〜6000の長鎖グリコールなどのジオール(あるいは、そのエステル形成性誘導体)を主成分とする重合原料から縮合反応により得られる重合体あるいは共重合体である。
【0025】
より具体的には、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレンナフタレート、およびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0026】
これらのなかでも、ポリブチレンテレフタレートが好ましく、このポリブチレンテレフタレートにポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、あるいはポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどを混合することによって、機械特性や難燃性をさらに高めることも可能である。
【0027】
第2の樹脂成分である熱可塑性ポリエステル樹脂は、樹脂組成物の機械特性、耐熱性、および成型加工性を担っており、その配合量は、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分とからなるベースポリマー中、60質量%以上98質量%以下に規定される。60質量%未満の場合には、樹脂組成物の機械特性や耐熱性が低下したり、樹脂組成物の成形加工性が低下する。一方、98質量%を越えると、第1の樹脂成分の配合量が2質量%未満となるため、有機化クレーの分散性を向上させるという第1の樹脂成分の効果を得ることができない。
【0028】
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、前述の第1の樹脂成分を含有するものを用いることもできる。
【0029】
有機化クレーは、有機オニウムイオンを層間に導入したクレーであり、有機オニウムイオンとしては、例えば、アンモニウムイオン、スルホニウムイオン、およびホスホニウムイオンなどが挙げられ、これらのなかでも、アンモニウムイオンが好ましい。
【0030】
アンモニウムイオンとしては、例えば、ジアルキル(牛脂)ジメチルアンモニウムイオン、アルキル(牛脂)ジメチルベンジルアンモニウムイオン、アルキル(牛脂)メチルベンジルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、ジヒドロキシエチルアルキル(硬化牛脂)メチルアンモニウムイオン、アルキル(硬化牛脂)ジメチルベンジルアンモニウムイオン、ジアルキル(硬化牛脂)ジメチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアルキル(硬化牛脂)ジメチルアンモニウムイオン、ジアルキル(硬化牛脂)メチルアンモニウムイオン、およびアルキル(牛脂)ジヒドロキシエチルメチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0031】
クレーとしては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトなどのスメクタイト系クレー、バーミキュライト、ハロイサイト、およびマイカなどが挙げられる。これらのなかでも、スメクタイト系クレーのモンモリロナイトを主成分とするものが好ましい。
【0032】
具体的には、「エスベン」(ホージュン)、「Nanomer」(NANOCOR)、および「Cloisite」(SOUTHERN CLAY)などが挙げられる。
【0033】
有機化クレーを添加することによって、樹脂組成物に難燃性を付与することができる。
【0034】
これらの有機化クレーは、単独で用いても2種類以上の混合物として使用してもよい。ただし、有機化クレーの配合量は、前述の第1の樹脂成分と第2の樹脂成分との合計量100質量%に対して2質量部以上20質量部以下に規定される。2質量部より少ない場合には、樹脂組成物に難燃性を付与することができず、一方、20質量部を越えると樹脂組成物の耐寒性が低下する。
【0035】
上述した成分に加えて、一般的に使用されている添加剤(酸化防止剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、分散剤、顔料など)を本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じ適宜配合することができる。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、第1の樹脂成分と、第2の樹脂成分と、有機化クレーとを混練することにより製造することができる。混練には任意の装置を用いることができるが、ベースポリマー中における有機化クレーの分散性が向上することから、2軸押出機を使用することが特に好ましい。
【0037】
こうして得られた樹脂組成物を、通常の電線製造用押出成形機により導体周囲に押出被覆して絶縁層を形成することによって、本発明の絶縁電線が得られる。用いられる導体の径や材質などは特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。また、導体周囲を被覆する絶縁樹脂層の厚さも特に制限されず、通常用いられる程度とすればよい。
【0038】
【実施例】
以下、具体例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0039】
樹脂組成物の調製に用いる成分は、次のとおりである。
【0040】
(01)変性スチレン系エラストマー
無水マレイン酸変性スチレン・エチレンブチレン・スチレン共重合体
「クレイトン FG1901X」(クレイトンポリマー)
(02)変性エチレン・プロピレンゴム
無水マレイン酸変性エチレン・プロピレンゴム
「ROYALTUF 498」(UNIROYAL)
(03)エチレン系共重合体
エチレン・メチルアクリレート・グリシジルメタクリレート共重合体
「LOTADER AX8900」(ATOFINA)
(04)熱可塑性ポリエステル樹脂
ポリブチレンテレフタレート
「トレコン 1401X04」(東レ)
(05)熱可塑性ポリエステル樹脂
ポリブチレンテレフタレート(ポリエステル系エラストマー含有)
「トレコン 5201X10」(東レ)
(06)有機化クレー
「エスベン N400」(ホージュン)
(07)PVCコンパウンド
「SHV9877P」(理研ビニル)
(08)ノンハロゲン難燃コンパウンド
「SNE9952Q」(理研ビニル)
上述した各成分を、下記表1および表2に示す処方にしたがって配合し、2軸押出機で混練して、実施例1〜6および比較例1〜6の樹脂組成物を得た。これを、汎用の電線製造用押出成形機により、導体径0.48mmφ(7/0.16)の軟銅線上に、厚み0.20mmで押出被覆して絶縁樹脂層を形成し、実施例1〜6および比較例1〜6の絶縁電線を作製した。
【0041】
得られた絶縁電線について以下の試験を行ない、その結果を下記表1および2に示す。
【0042】
引張特性:
絶縁樹脂層について、引張強度(MPa)および引張伸び(%)を、標線20mm、引張速度50mm/min.の条件で測定した。
【0043】
耐熱性(加熱変形):
JIS C3005の加熱変形試験装置を用い、試験温度200℃×10分、試験荷重29.4N×1分の条件で変形率を調べた。
【0044】
耐寒性(低温巻付):
低温槽内で1.30mmφのマンドレルに6ターン巻き付け、(破壊個数)/(試験個数)が0/5となる最低温度を10℃間隔で調べた。
【0045】
難燃性:
JIS C3005に規定される水平試験を行なって、30秒以内に炎が消えたものを○とした。
【0046】
耐摩耗性:
JASO D611に規定されるブレード往復法による耐摩耗性の評価を行なった。荷重500gfで摩耗回数を測定し、150回以上のものを○とした。
【0047】
圧接加工性:
コネクタの端子間が2mmピッチの配列で、端子数が10極のAMP CTコネクタ(タイコエレクトロニクスアンプ製)、MiIIコネクタ(日本モレックス製)、KRコネクタ(日本圧着端子製)の3種類のコネクタを使用した。AMPCTコネクタ、およびMiIIコネクタは、専用の空圧式卓上圧接機を用いて圧接を行ない、KRコネクタは専用のハンドプレス圧接機を用いて圧接を行なって、加工性を評価した。
【0048】
コネクタに圧接された電線を目視により観察し、端子刃部分で導体が露出せず、ストレインリリーフ部分で変形がほとんど生じていないものを○とした。一方、端子刃部分で被覆層に亀裂が発生したもの、導体が露出したもの、あるいはストレインリリーフ部分で変形が激しく、使用上問題があると考えられたものを×とした。
【0049】
保持力(絶縁電線−コネクタ):
コネクタに圧接された電線を1本ずつ25〜100mm/min.の範囲内の一定速度で引っ張りに供した。電線が破断したもの、あるいはコネクタから抜ける時の力が1kgf以上のものを○とした。
【0050】
【表1】
Figure 2004083612
【0051】
【表2】
Figure 2004083612
【0052】
表1に示されるように、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分とを所定の割合で含むベースポリマーに、所定量の有機化クレーが配合された樹脂組成物で被覆してなる本発明の絶縁電線(実施例1〜6)は、いずれも優れた機械特性、難燃性、耐熱性、および耐寒性を有している。さらにこれらの絶縁電線は、耐摩耗性、圧接加工性および保持力といった特性も良好である。
【0053】
これに対し、比較例1〜6の絶縁電線では、上述したような特性を全て満足することはできないことが、表2の結果から明らかである。
【0054】
比較例1の樹脂組成物では、第1の樹脂成分および有機化クレーが含有されていないために難燃性が劣っており、比較例2では、ベースポリマー中に第1の樹脂成分が含有されていないことから、耐寒性は−10℃にとどまっている。また、これらの樹脂組成物は、いずれも使用に耐え得る圧接加工性や保持力を有していない。
【0055】
比較例3の樹脂組成物は、ベースポリマー中における第1の樹脂成分の含有量が多いことから耐摩耗性や圧接加工性が悪く、比較例4では、樹脂組成物中に有機化クレーを含有していないことから難燃性が得られない。
【0056】
比較例5は従来のPVC電線であり、比較例6は従来のノンハロゲン難燃電線である。こうした従来の電線は、引張強度や耐熱性が劣っており、比較例6のノンハロゲン難燃電線は、さらに耐摩耗性、圧接加工性および絶縁体−コネクタ間保持力も乏しい。
【0057】
本発明の絶縁電線を圧接型コネクタに接続した場合には、端子を圧入する際に被覆層に亀裂が発生することはなく、絶縁電線とコネクタとの間の保持力を高めることができる。このため、絶縁電線とコネクタとからなる部品においては、絶縁電線とコネクタとの一体型のリユース性に優れたものが得られる。
【0058】
さらに、熱可塑性ポリエステル樹脂で成形されたコネクタを使用する場合には、コネクタの材料と本発明の樹脂組成物との相溶性が優れるため、絶縁電線とコネクタとを分離することなく、リサイクル(サーマル、マテリアル)が可能となる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、機械特性、難燃性、耐熱性、耐寒性および成形加工性に優れるとともに、廃棄の際には、重金属化合物の溶出、多量の煙や腐食性ガスの発生がない樹脂組成物、およびこれを用いた絶縁電線が提供される。
【0060】
本発明は、自動車、電気・電子機器などに使用される部材や絶縁電線に特に好適に用いられる。さらに、絶縁電線とコネクタからなる部品に使用された場合には、リユース性が優れ、熱可塑性ポリエステル樹脂で成形されたコネクタに使用される場合はリサイクル性に優れた絶縁電線が得られ、その工業的価値は絶大である。

Claims (2)

  1. ポリエステル系エラストマー、変性スチレン系エラストマー、変性エチレン・プロピレンゴム、およびエチレン系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の第1の樹脂成分2〜40質量%と、第2の樹脂成分としての熱可塑性ポリエステル樹脂60〜98質量%とを含むベースポリマー、および
    前記ベースポリマー100質量部に対して、2〜20質量部の割合で配合された有機化クレーを含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 導体と、この導体の周囲を被覆する樹脂層とを有し、前記樹脂層は、請求項1記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする絶縁電線。
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