JP2004083607A - 樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低粘度で(メタ)アクリル系樹脂との相溶性、柔軟性に優れ、加熱溶融した後でもブリード等のないエステル化合物とそれを配合した(メタ)アクリル系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いてなる成形品を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系樹脂組成物が、ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸より得られるエステル化合物を含有することを特徴とする。該エステル化合物を構成するポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルは、下記一般式[1]で表される。
R−P−O−(A−O−)n−H 一般式[1]
(式中、Pはフェニル基、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Aは炭素数2〜3のアルキレン基、nは1〜10の整数を表す)。
【選択図】 なし
【解決手段】(メタ)アクリル系樹脂組成物が、ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸より得られるエステル化合物を含有することを特徴とする。該エステル化合物を構成するポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルは、下記一般式[1]で表される。
R−P−O−(A−O−)n−H 一般式[1]
(式中、Pはフェニル基、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Aは炭素数2〜3のアルキレン基、nは1〜10の整数を表す)。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル樹脂系プラスチゾル組成物に代わる新規にして有用なる樹脂組成物であり、低粘度で、相溶性、柔軟性(特に、低温柔軟性)、耐ブリード性に優れたエステル化合物を配合してなる(メタ)アクリル樹脂系プラスチゾル組成物に関する。更に詳しくは、例えば、シート、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング等の分野で広く利用可能な(メタ)アクリル樹脂系プラスチゾル組成物、及び該樹脂組成物を用いてなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチゾル組成物は、塩化ビニル樹脂系のものが知られており、シート、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング等の分野で広く利用されてきたが、こうした分野でも、近年環境問題から非ハロゲン系樹脂への転換が求められてきている。このため、アクリル系樹脂粉末に可塑剤を配合し、更に必要に応じて充填剤やその他添加剤を配合したアクリル樹脂系プラスチゾル組成物として成形、加工する方法も提案されてきた。
【0003】
プラスチゾルに配合する可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、燐酸エステル、ポリエステル等(特公昭58−22043号公報、特公昭63−66861号公報、特開平8−165398号公報、特開2001−2878号公報)、ベンジルオクチルフタレート(特公平4−24378号公報)、ベンジルブチルフタレート(特開昭52−42590号公報)、フタル酸混基エステル(特開平7−207100号公報)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記提案のフタル酸エステル系可塑剤では、結合アルキル基の炭素数が少ないもの(例えば、フタル酸ジブチル(DBP))では、初期粘度が低く、アクリル系樹脂との相溶性は良いが、柔軟性が極めて悪く、特に低温時の柔軟性を付与する性能に乏しい。また、結合アルキル基の炭素数が多いもの(例えば、フタル酸ジオクチル(DOP))は、アクリル系樹脂との相溶性が極めて悪く、必要性能を得るのに十分の量を配合できない。
【0005】
また、燐酸エステルでは、例えば、トリアルキルエステルの場合、結合アルキル基の炭素数が小さいトリアルキルエステルは初期粘度が低く、アクリル系樹脂との相溶性は良いが、十分な柔軟性を得ることができず、必要性能を得ることが困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低粘度で(メタ)アクリル系樹脂との相溶性、柔軟性に優れ、加熱溶融した後でもブリード等のないエステル化合物とそれを配合した(メタ)アクリル系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いてなる成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸より得られるエステル化合物を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を用いることにより、初期粘度が低く、相溶性、柔軟性(特に低温柔軟性が良好)、耐ブリード性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸より得られるエステル化合物を含有することを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、前記(メタ)アクリル系樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施するにあたり、必要な事項を詳しく述べる。
【0011】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸より得られるエステル化合物を含有することを特徴とする。
【0012】
該エステル化合物を構成するポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルとしては、下記一般式[1]で表される。
R−P−O−(A−O−)n−H 一般式[1]
(式中、Pはフェニル基、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Aは炭素数2〜3のアルキレン基、nは1〜10の整数を表す)
【0013】
該エステル化合物を構成するポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンドデシルフェニルエーテル等が挙げられ、また、これらは単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
該エステル化合物を構成する脂肪族モノカルボン酸は、例えば、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸等を挙げることができる。これらの脂肪族モノカルボン酸は、単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0015】
本発明で使用するエステル化合物は、例えば、ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸とエステル化反応触媒を用いて、一般公知のエステル化反応によって容易に合成できる。通常用いられるエステル化反応触媒としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、燐酸などの酸触媒、あるいは、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、塩化亜鉛などの金属触媒などが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0016】
本発明において、前記エステル化合物を添加する(メタ)アクリル系樹脂とは、好ましくは、メタクリル酸メチルを50重量%以上含有する共重合体である。かかる共重合体は、メタクリル酸メチルを主成分としたポリマーであって、メタクリル酸メチル単量体の単独重合体、又はメタクリル酸メチル単量体に酢酸ビニル等のビニルエステル、スチレン等の芳香族ビニル、アクリロニトリル等のシアン化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル等のアクリル酸やメタクリル酸及びそのアルキルエステル、ジアクリル酸エタン、ジメタクリル酸ブタン、ジメタクリル酸ヘキサン等のジアクリル酸エステル又はジメタクリル酸エステル、等の不飽和化合物を共重合成分としたものである。
【0017】
該(メタ)アクリル系樹脂の重合方法は、乳化重合法でも懸濁重合法でも、また、ホモジナイザーの如き強力な分散力を併用して合成されたものでもよく、特に限定はしない。
【0018】
本発明で使用する(メタ)アクリル系樹脂の分子量は、相溶性に影響するので、好ましくは重量平均分子量で30万以上であり、より好ましくは50万〜300万の範囲である。(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量がかかる範囲であれば、加工性に優れ、高温でのエステル化合物との融解速度が低下せず生産性が低下することもなく、好ましい。
【0019】
本発明で使用する(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは平均粒子径1mm以下の微粒子、より好ましくは0.1〜5μmの一次粒子が凝集してできた10〜100μmの(メタ)アクリル系樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の平均粒子径がかかる範囲であれば、エステル化合物を均一に分散し易く、高温にしてもエステル化合物の溶融速度が低下せず生産性が低下することもなく、好ましい。
【0020】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対して、エステル化合物を好ましくは30〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部配合される。
【0021】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物には、耐ブリード性を損なわない範囲で可塑剤を併用してもよい。併用する可塑剤としては、例えば、燐酸エステル系、アジピン酸エステル系、エポキシ化エステル系、ポリエステル系などの可塑剤が挙げられる。また、必要に応じて、充填剤、顔料、加工助剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、その他の添加剤等を配合することができる。
【0022】
本発明は、エステル化合物と(メタ)アクリル系樹脂の相溶性が優れ、柔軟性があり、加熱溶融した後でもブリード等のない(メタ)アクリル系樹脂組成物を得ることができる。
【0023】
本発明の成形品は、前記の本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物を用いてなり、例えば、柔軟性(特に低温柔軟性)、耐ブリード性に優れる。
【0024】
本発明の成形品としては、例えば、シート、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング、自動車内装材等、多岐にわたる
【0025】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、以下において、部及び%は特に断わりのない限り全て重量基準であるものとする。また、各種物性値は以下の方法に従い測定した。
【0026】
[実施例1]
ポリオキシエチレンフェニルエーテル(BLAUNON PH−4:青木油脂工業(株)製)806g及びオクタン酸540g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.404gを温度計、撹拌機、還流冷却器及びデカンターを付した内容積2リットルの4ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で撹拌しながら加熱し、反応液温度を240℃まで昇温し、240℃で保持し、酸価を測定して反応の終点を確認後、過剰のオクタン酸を減圧留去して、酸価0.18mgKOH/g、水酸基価2.2mgKOH/g、粘度30mPa・sのエステル化合物Aを得た。得られたエステル化合物Aについて、性能評価を行うために、重量平均分子量が100万であって平均粒子径が1μmであるメタクリル酸メチル重合体樹脂100重量部に対して、エステル化合物A100重量部を配合した本発明の(メタ)アクリル樹脂系プラスチゾル組成物について、初期粘度測定、シート化試験、相溶性試験、及び低温柔軟性試験を行い、その結果を表1に示した。
【0027】
[実施例2]
実施例1において、ポリオキシエチレンフェニルエーテルをポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(BLAUNON NK−8055:青木油脂工業(株)製)に換えた以外は実施例1と同様にして得た酸価0.36mgKOH/g、水酸基価0.36mgKOH/g、粘度121mPa・sのエステル化合物Bの評価を行い、その結果を表1に示した。
【0028】
[比較例1]
比較例1として市販のフタル酸ジブチル(DBP)を使用して、評価を行い、その結果を表1に示した。
【0029】
[比較例2]
比較例2として市販のフタル酸ジオクチル(DOP)を使用して、評価を行い、その結果を表1に示した。
【0030】
実施例、比較例の試験方法は、以下の通りである。
[初期粘度の測定方法]
実施例又は比較例に記載のエステル化合物とポリメタクリル酸メチル樹脂を、室温で10分間攪拌混練してアクリル樹脂系プラスチゾル組成物を調製し、25℃恒温室に放置2時間後、BM型粘度計で初期粘度を測定した。
【0031】
[シート化試験方法]
プラスチゾル組成物をガラス板上に1mmの厚さに流延し、150℃で10分間の条件で溶融ゲル化させてシートを形成させ、冷却後、得られたシートをガラス板より取り外し、その透明性を以下の基準に従い目視で評価した。
○:透明感のある良好なシートが得られた。
△:シートは得られたが、透明感が不充分であった。
×:シートが得られたが、脆く割れやすく、透明感が不十分であった。
【0032】
[相溶性の試験方法]
シート化試験で作成したシートの一部を20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室に放置し、15日後にシート表面へのブリードの程度を目視観察により、以下の基準に従い評価した。
○:ブリードしていなかった。
△:僅かにブリードしていた。
×:著しくブリードしていた。
【0033】
[低温柔軟性の試験方法]
シート化試験で作成したシートを、ダンベル2号(JIS−K7113)の形状に切り出し、−20℃の条件下で引張試験を実施し、低温時の伸び率を測定した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明により、低粘度で(メタ)アクリル系樹脂との相溶性、低温柔軟性に優れ、加熱溶融した後でもブリード等のないエステル化合物とそれを配合した(メタ)アクリル系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いて成形品が得られる。該成形品としては、例えば、シート、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング等が挙げられる。これらは塩化ビニル樹脂を使用しないので、近年、問題となっている環境問題にも適応するものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル樹脂系プラスチゾル組成物に代わる新規にして有用なる樹脂組成物であり、低粘度で、相溶性、柔軟性(特に、低温柔軟性)、耐ブリード性に優れたエステル化合物を配合してなる(メタ)アクリル樹脂系プラスチゾル組成物に関する。更に詳しくは、例えば、シート、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング等の分野で広く利用可能な(メタ)アクリル樹脂系プラスチゾル組成物、及び該樹脂組成物を用いてなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチゾル組成物は、塩化ビニル樹脂系のものが知られており、シート、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング等の分野で広く利用されてきたが、こうした分野でも、近年環境問題から非ハロゲン系樹脂への転換が求められてきている。このため、アクリル系樹脂粉末に可塑剤を配合し、更に必要に応じて充填剤やその他添加剤を配合したアクリル樹脂系プラスチゾル組成物として成形、加工する方法も提案されてきた。
【0003】
プラスチゾルに配合する可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、燐酸エステル、ポリエステル等(特公昭58−22043号公報、特公昭63−66861号公報、特開平8−165398号公報、特開2001−2878号公報)、ベンジルオクチルフタレート(特公平4−24378号公報)、ベンジルブチルフタレート(特開昭52−42590号公報)、フタル酸混基エステル(特開平7−207100号公報)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記提案のフタル酸エステル系可塑剤では、結合アルキル基の炭素数が少ないもの(例えば、フタル酸ジブチル(DBP))では、初期粘度が低く、アクリル系樹脂との相溶性は良いが、柔軟性が極めて悪く、特に低温時の柔軟性を付与する性能に乏しい。また、結合アルキル基の炭素数が多いもの(例えば、フタル酸ジオクチル(DOP))は、アクリル系樹脂との相溶性が極めて悪く、必要性能を得るのに十分の量を配合できない。
【0005】
また、燐酸エステルでは、例えば、トリアルキルエステルの場合、結合アルキル基の炭素数が小さいトリアルキルエステルは初期粘度が低く、アクリル系樹脂との相溶性は良いが、十分な柔軟性を得ることができず、必要性能を得ることが困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低粘度で(メタ)アクリル系樹脂との相溶性、柔軟性に優れ、加熱溶融した後でもブリード等のないエステル化合物とそれを配合した(メタ)アクリル系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いてなる成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸より得られるエステル化合物を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を用いることにより、初期粘度が低く、相溶性、柔軟性(特に低温柔軟性が良好)、耐ブリード性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸より得られるエステル化合物を含有することを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、前記(メタ)アクリル系樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施するにあたり、必要な事項を詳しく述べる。
【0011】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸より得られるエステル化合物を含有することを特徴とする。
【0012】
該エステル化合物を構成するポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルとしては、下記一般式[1]で表される。
R−P−O−(A−O−)n−H 一般式[1]
(式中、Pはフェニル基、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Aは炭素数2〜3のアルキレン基、nは1〜10の整数を表す)
【0013】
該エステル化合物を構成するポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンドデシルフェニルエーテル等が挙げられ、また、これらは単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
該エステル化合物を構成する脂肪族モノカルボン酸は、例えば、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸等を挙げることができる。これらの脂肪族モノカルボン酸は、単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0015】
本発明で使用するエステル化合物は、例えば、ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸とエステル化反応触媒を用いて、一般公知のエステル化反応によって容易に合成できる。通常用いられるエステル化反応触媒としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、燐酸などの酸触媒、あるいは、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、塩化亜鉛などの金属触媒などが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0016】
本発明において、前記エステル化合物を添加する(メタ)アクリル系樹脂とは、好ましくは、メタクリル酸メチルを50重量%以上含有する共重合体である。かかる共重合体は、メタクリル酸メチルを主成分としたポリマーであって、メタクリル酸メチル単量体の単独重合体、又はメタクリル酸メチル単量体に酢酸ビニル等のビニルエステル、スチレン等の芳香族ビニル、アクリロニトリル等のシアン化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル等のアクリル酸やメタクリル酸及びそのアルキルエステル、ジアクリル酸エタン、ジメタクリル酸ブタン、ジメタクリル酸ヘキサン等のジアクリル酸エステル又はジメタクリル酸エステル、等の不飽和化合物を共重合成分としたものである。
【0017】
該(メタ)アクリル系樹脂の重合方法は、乳化重合法でも懸濁重合法でも、また、ホモジナイザーの如き強力な分散力を併用して合成されたものでもよく、特に限定はしない。
【0018】
本発明で使用する(メタ)アクリル系樹脂の分子量は、相溶性に影響するので、好ましくは重量平均分子量で30万以上であり、より好ましくは50万〜300万の範囲である。(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量がかかる範囲であれば、加工性に優れ、高温でのエステル化合物との融解速度が低下せず生産性が低下することもなく、好ましい。
【0019】
本発明で使用する(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは平均粒子径1mm以下の微粒子、より好ましくは0.1〜5μmの一次粒子が凝集してできた10〜100μmの(メタ)アクリル系樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の平均粒子径がかかる範囲であれば、エステル化合物を均一に分散し易く、高温にしてもエステル化合物の溶融速度が低下せず生産性が低下することもなく、好ましい。
【0020】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対して、エステル化合物を好ましくは30〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部配合される。
【0021】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物には、耐ブリード性を損なわない範囲で可塑剤を併用してもよい。併用する可塑剤としては、例えば、燐酸エステル系、アジピン酸エステル系、エポキシ化エステル系、ポリエステル系などの可塑剤が挙げられる。また、必要に応じて、充填剤、顔料、加工助剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、その他の添加剤等を配合することができる。
【0022】
本発明は、エステル化合物と(メタ)アクリル系樹脂の相溶性が優れ、柔軟性があり、加熱溶融した後でもブリード等のない(メタ)アクリル系樹脂組成物を得ることができる。
【0023】
本発明の成形品は、前記の本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物を用いてなり、例えば、柔軟性(特に低温柔軟性)、耐ブリード性に優れる。
【0024】
本発明の成形品としては、例えば、シート、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング、自動車内装材等、多岐にわたる
【0025】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、以下において、部及び%は特に断わりのない限り全て重量基準であるものとする。また、各種物性値は以下の方法に従い測定した。
【0026】
[実施例1]
ポリオキシエチレンフェニルエーテル(BLAUNON PH−4:青木油脂工業(株)製)806g及びオクタン酸540g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.404gを温度計、撹拌機、還流冷却器及びデカンターを付した内容積2リットルの4ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で撹拌しながら加熱し、反応液温度を240℃まで昇温し、240℃で保持し、酸価を測定して反応の終点を確認後、過剰のオクタン酸を減圧留去して、酸価0.18mgKOH/g、水酸基価2.2mgKOH/g、粘度30mPa・sのエステル化合物Aを得た。得られたエステル化合物Aについて、性能評価を行うために、重量平均分子量が100万であって平均粒子径が1μmであるメタクリル酸メチル重合体樹脂100重量部に対して、エステル化合物A100重量部を配合した本発明の(メタ)アクリル樹脂系プラスチゾル組成物について、初期粘度測定、シート化試験、相溶性試験、及び低温柔軟性試験を行い、その結果を表1に示した。
【0027】
[実施例2]
実施例1において、ポリオキシエチレンフェニルエーテルをポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(BLAUNON NK−8055:青木油脂工業(株)製)に換えた以外は実施例1と同様にして得た酸価0.36mgKOH/g、水酸基価0.36mgKOH/g、粘度121mPa・sのエステル化合物Bの評価を行い、その結果を表1に示した。
【0028】
[比較例1]
比較例1として市販のフタル酸ジブチル(DBP)を使用して、評価を行い、その結果を表1に示した。
【0029】
[比較例2]
比較例2として市販のフタル酸ジオクチル(DOP)を使用して、評価を行い、その結果を表1に示した。
【0030】
実施例、比較例の試験方法は、以下の通りである。
[初期粘度の測定方法]
実施例又は比較例に記載のエステル化合物とポリメタクリル酸メチル樹脂を、室温で10分間攪拌混練してアクリル樹脂系プラスチゾル組成物を調製し、25℃恒温室に放置2時間後、BM型粘度計で初期粘度を測定した。
【0031】
[シート化試験方法]
プラスチゾル組成物をガラス板上に1mmの厚さに流延し、150℃で10分間の条件で溶融ゲル化させてシートを形成させ、冷却後、得られたシートをガラス板より取り外し、その透明性を以下の基準に従い目視で評価した。
○:透明感のある良好なシートが得られた。
△:シートは得られたが、透明感が不充分であった。
×:シートが得られたが、脆く割れやすく、透明感が不十分であった。
【0032】
[相溶性の試験方法]
シート化試験で作成したシートの一部を20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室に放置し、15日後にシート表面へのブリードの程度を目視観察により、以下の基準に従い評価した。
○:ブリードしていなかった。
△:僅かにブリードしていた。
×:著しくブリードしていた。
【0033】
[低温柔軟性の試験方法]
シート化試験で作成したシートを、ダンベル2号(JIS−K7113)の形状に切り出し、−20℃の条件下で引張試験を実施し、低温時の伸び率を測定した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明により、低粘度で(メタ)アクリル系樹脂との相溶性、低温柔軟性に優れ、加熱溶融した後でもブリード等のないエステル化合物とそれを配合した(メタ)アクリル系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いて成形品が得られる。該成形品としては、例えば、シート、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング等が挙げられる。これらは塩化ビニル樹脂を使用しないので、近年、問題となっている環境問題にも適応するものである。
Claims (2)
- ポリオキシアルキレン(アルキル)フェニルエーテルと脂肪族モノカルボン酸より得られるエステル化合物を含有することを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 請求項1記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
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JP2002238046A JP2004083607A (ja) | 2002-06-24 | 2002-08-19 | 樹脂組成物 |
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JP2002182788 | 2002-06-24 | ||
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2002
- 2002-08-19 JP JP2002238046A patent/JP2004083607A/ja active Pending
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