JP2004083497A - 2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、例えば、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用な2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より種々のテトラカルボン酸二無水物が、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として用いられている。このようなポリイミド樹脂やエポキシ樹脂は、重合性、透明性、耐熱性、機械特性および電気特性等の物理的、化学的特性に優れており、電気光学装置、液晶表示装置等の分野で素材として使用されている。
【0003】
近年、このようなポリイミド樹脂やエポキシ樹脂は、より過酷な条件下での使用に耐え得るような物理的、化学的特性に加え、より優れた光学特性までも要求されている。これらの諸特性はテトラカルボン酸二無水物の構造と密接に関連していることが知られている。
【0004】
例えば、光学特性を向上させるには、分子中に硫黄原子を含有したテトラカルボン酸二無水物が有用であると知られている。このような化合物としては、例えば、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルチオ)エタン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルチオ)プロパン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルチオ)ブタン二無水物、1,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルチオ)ヘキサン二無水物等が挙げられる(特開平5−117234号公報)。しかしながら、これらの化合物はいずれも融点が190℃以上と非常に高く、エポキシ樹脂の硬化剤として使用した際に、エポキシ樹脂中に均一に分散しないため、均一な硬化物が得られないという問題がある。
【0005】
したがって、融点が160℃以下の、新規な構造を有するテトラカルボン酸二無水物の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用な新規化合物およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物が、分子中に鎖状スルフィドを有しているため、融点が160℃以下となり、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用であることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記式(1);
【0009】
【化5】
【0010】
で表される2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物に関する。
【0011】
また、本発明は、下記一般式(2);
【0012】
【化6】
(式中、Xはハロゲン原子を示す。)
【0013】
で表される4−ハロゲノ無水フタル酸と、下記式(3);
【0014】
【化7】
【0015】
で表される2,2’−チオジエタンチオールとを、極性溶媒中、アルカリ金属フッ化物の存在下に反応させることを特徴とする、下記式(1);
【0016】
【化8】
【0017】
で表される2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物の製造方法に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物は、下記式(1);
【0019】
【化9】
【0020】
で表される化合物である。
【0021】
本発明の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物は、分子中に鎖状スルフィドを有しているため、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用な化合物である。
【0022】
上記2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物は、4−ハロゲノ無水フタル酸と2,2’−チオジエタンチオールとを、極性溶媒中、アルカリ金属フッ化物の存在下に反応させることにより製造することができる。
【0023】
本発明に用いられる4−ハロゲノ無水フタル酸は、下記一般式(2);
【0024】
【化10】
【0025】
で表される化合物である。
【0026】
式中、Xはハロゲン原子を示す。
【0027】
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0028】
上記4−ハロゲノ無水フタル酸の具体例としては、4−フルオロ無水フタル酸、4−クロロ無水フタル酸、4−ブロモ無水フタル酸、4−ヨード無水フタル酸等が挙げられる。これらの中でも、後述するアルカリ金属フッ化物の使用量が低減できる観点から、4−フルオロ無水フタル酸が好適に用いられる。
【0029】
上記4−ハロゲノ無水フタル酸の使用量は、2,2’−チオジエタンチオール1モルに対して、2〜4モル、好ましくは2〜3モルであることが望ましい。4−ハロゲノ無水フタル酸の使用量が2モル未満の場合、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、4−ハロゲノ無水フタル酸の使用量が4モルを超える場合、使用量に見合う効果が得られず、経済的でない。
【0030】
ここで、上記4−ハロゲノ無水フタル酸のうち、4−フルオロ無水フタル酸以外の4−ハロゲノ無水フタル酸を用いた場合、反応液中で、後述するアルカリ金属フッ化物と反応して4−フルオロ無水フタル酸となり、次いで、2,2’−チオジエタンチオールと反応する。
【0031】
本発明に用いられるアルカリ金属フッ化物としては、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられる。これらの中でも、反応が効率的に進行しやすい観点からフッ化カリウムが好適に用いられる。
【0032】
上記アルカリ金属フッ化物の使用量は、4−ハロゲノ無水フタル酸1モルに対して、0.5〜4モル、好ましくは1〜3モルである。アルカリ金属フッ化物の使用量が0.5モル未満の場合、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、アルカリ金属フッ化物の使用量が4モルを超える場合、使用量に見合う効果が得られず、経済的でない。
【0033】
本発明に用いられる極性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トリグライム、スルホラン等が挙げられる。これらの中でも、反応が効率的に進行しやすい観点からN,N−ジメチルホルムアミドが好適に用いられる。
【0034】
上記極性溶媒の使用量は、2,2’−チオジエタンチオール1モルに対して、500〜2000g、好ましくは1000〜1600gであることが望ましい。極性溶媒の使用量が500g未満である場合、反応が円滑に進行しにくくなるおそれがある。また、極性溶媒の使用量が2000gを超える場合、容積効率が悪化するおそれがある。
【0035】
反応温度は、使用する極性溶媒により異なるが、80〜220℃、好ましくは100〜140℃であることが望ましい。反応温度が80℃未満の場合、反応速度が遅く反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が220℃を超える場合、副生成物が生成しやすくなり、収率が低下するおそれがある。反応時間は、反応温度により異なるが、通常、1〜10時間である。
【0036】
反応終了後、反応液を0〜25℃に冷却し、不純物を析出させる。析出した不純物を濾過等の方法により除去した後、ろ液を濃縮乾固する。次いで、無水酢酸、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル等の有機溶媒を添加して、加熱溶解する。その後、冷却して、目的物である2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を析出させる。析出した結晶をろ取し、洗浄後、乾燥することにより、黄色結晶の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を純度良く得ることができる。
【0037】
本発明の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物は、分子中に鎖状スルフィドを有しているため、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用な化合物である。
【0038】
上記ポリイミド樹脂は、本発明の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物と芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン等のジアミン化合物を有機溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0039】
また、上記エポキシ樹脂は、単官能グリシジルエーテル化合物、多官能グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、脂環式エポキシ化合物、単官能エピチオ化合物、多官能エピチオ化合物、脂環式エピチオ化合物等のエポキシ化合物に、本発明の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を添加して熱硬化することにより製造することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0041】
実施例1
攪拌機、冷却器、温度計を備え付けた500mL容の四つ口フラスコに、2,2’−チオジエタンチオール15.4g(0.10モル)、4−フルオロ無水フタル酸33.2g(0.20モル)、フッ化カリウム12.8g(0.22モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド150gを仕込み、窒素ガスを緩やかに通じながら、120℃で2時間反応させた。
【0042】
反応終了後、反応液を10℃に冷却して、不純物を析出させた。析出した不純物を濾過して除去し、濾液を得た。得られた濾液を濃縮乾固し、次いで、無水酢酸200gを添加して、100℃で加熱溶解した。その後、10℃まで冷却して、目的物である2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を析出させた。析出した2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を濾取し、トルエン50gで洗浄後、乾燥して、黄色結晶の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物30.4g(0.068モル)を得た。2,2’−チオジエタンチオールに対する収率は68%であった。純度は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した結果97.4%であった。
【0043】
得られた2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物は、下記の物性を有することから同定することができた。
【0044】
MS:m/e 446
融点:148〜150℃
IR(KBr):1849、1765、1605、1589、1473、1431、1327、1269、1201、1180、897、876、733(cm−1)
【0045】
実施例2
攪拌機、冷却器、温度計を備え付けた500mL容の四つ口フラスコに、2,2’−チオジエタンチオール15.4g(0.10モル)、4−ブロモ無水フタル酸45.4g(0.20モル)、フッ化カリウム27.9g(0.48モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド150gを仕込み、窒素ガスを緩やかに通じながら、120℃で2時間反応させた。
【0046】
反応終了後、反応液を10℃に冷却して、不純物を析出させた。析出した不純物を濾過して除去し、濾液を得た。得られた濾液を濃縮乾固し、次いで、無水酢酸200gを添加して、100℃で加熱溶解した。その後、10℃まで冷却して、目的物である2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を析出させた。析出した2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を濾取し、トルエン50gで洗浄後、乾燥して、黄色結晶の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物29.0g(0.065モル)を得た。2,2’−チオジエタンチオールに対する収率は65%であった。純度は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した結果97.0%であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明によると、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用な新規化合物およびその製造方法を提供することができる。
【発明が属する技術分野】
本発明は、2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、例えば、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用な2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より種々のテトラカルボン酸二無水物が、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として用いられている。このようなポリイミド樹脂やエポキシ樹脂は、重合性、透明性、耐熱性、機械特性および電気特性等の物理的、化学的特性に優れており、電気光学装置、液晶表示装置等の分野で素材として使用されている。
【0003】
近年、このようなポリイミド樹脂やエポキシ樹脂は、より過酷な条件下での使用に耐え得るような物理的、化学的特性に加え、より優れた光学特性までも要求されている。これらの諸特性はテトラカルボン酸二無水物の構造と密接に関連していることが知られている。
【0004】
例えば、光学特性を向上させるには、分子中に硫黄原子を含有したテトラカルボン酸二無水物が有用であると知られている。このような化合物としては、例えば、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルチオ)エタン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルチオ)プロパン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルチオ)ブタン二無水物、1,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルチオ)ヘキサン二無水物等が挙げられる(特開平5−117234号公報)。しかしながら、これらの化合物はいずれも融点が190℃以上と非常に高く、エポキシ樹脂の硬化剤として使用した際に、エポキシ樹脂中に均一に分散しないため、均一な硬化物が得られないという問題がある。
【0005】
したがって、融点が160℃以下の、新規な構造を有するテトラカルボン酸二無水物の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用な新規化合物およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物が、分子中に鎖状スルフィドを有しているため、融点が160℃以下となり、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用であることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記式(1);
【0009】
【化5】
【0010】
で表される2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物に関する。
【0011】
また、本発明は、下記一般式(2);
【0012】
【化6】
(式中、Xはハロゲン原子を示す。)
【0013】
で表される4−ハロゲノ無水フタル酸と、下記式(3);
【0014】
【化7】
【0015】
で表される2,2’−チオジエタンチオールとを、極性溶媒中、アルカリ金属フッ化物の存在下に反応させることを特徴とする、下記式(1);
【0016】
【化8】
【0017】
で表される2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物の製造方法に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物は、下記式(1);
【0019】
【化9】
【0020】
で表される化合物である。
【0021】
本発明の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物は、分子中に鎖状スルフィドを有しているため、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用な化合物である。
【0022】
上記2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物は、4−ハロゲノ無水フタル酸と2,2’−チオジエタンチオールとを、極性溶媒中、アルカリ金属フッ化物の存在下に反応させることにより製造することができる。
【0023】
本発明に用いられる4−ハロゲノ無水フタル酸は、下記一般式(2);
【0024】
【化10】
【0025】
で表される化合物である。
【0026】
式中、Xはハロゲン原子を示す。
【0027】
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0028】
上記4−ハロゲノ無水フタル酸の具体例としては、4−フルオロ無水フタル酸、4−クロロ無水フタル酸、4−ブロモ無水フタル酸、4−ヨード無水フタル酸等が挙げられる。これらの中でも、後述するアルカリ金属フッ化物の使用量が低減できる観点から、4−フルオロ無水フタル酸が好適に用いられる。
【0029】
上記4−ハロゲノ無水フタル酸の使用量は、2,2’−チオジエタンチオール1モルに対して、2〜4モル、好ましくは2〜3モルであることが望ましい。4−ハロゲノ無水フタル酸の使用量が2モル未満の場合、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、4−ハロゲノ無水フタル酸の使用量が4モルを超える場合、使用量に見合う効果が得られず、経済的でない。
【0030】
ここで、上記4−ハロゲノ無水フタル酸のうち、4−フルオロ無水フタル酸以外の4−ハロゲノ無水フタル酸を用いた場合、反応液中で、後述するアルカリ金属フッ化物と反応して4−フルオロ無水フタル酸となり、次いで、2,2’−チオジエタンチオールと反応する。
【0031】
本発明に用いられるアルカリ金属フッ化物としては、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられる。これらの中でも、反応が効率的に進行しやすい観点からフッ化カリウムが好適に用いられる。
【0032】
上記アルカリ金属フッ化物の使用量は、4−ハロゲノ無水フタル酸1モルに対して、0.5〜4モル、好ましくは1〜3モルである。アルカリ金属フッ化物の使用量が0.5モル未満の場合、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、アルカリ金属フッ化物の使用量が4モルを超える場合、使用量に見合う効果が得られず、経済的でない。
【0033】
本発明に用いられる極性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トリグライム、スルホラン等が挙げられる。これらの中でも、反応が効率的に進行しやすい観点からN,N−ジメチルホルムアミドが好適に用いられる。
【0034】
上記極性溶媒の使用量は、2,2’−チオジエタンチオール1モルに対して、500〜2000g、好ましくは1000〜1600gであることが望ましい。極性溶媒の使用量が500g未満である場合、反応が円滑に進行しにくくなるおそれがある。また、極性溶媒の使用量が2000gを超える場合、容積効率が悪化するおそれがある。
【0035】
反応温度は、使用する極性溶媒により異なるが、80〜220℃、好ましくは100〜140℃であることが望ましい。反応温度が80℃未満の場合、反応速度が遅く反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が220℃を超える場合、副生成物が生成しやすくなり、収率が低下するおそれがある。反応時間は、反応温度により異なるが、通常、1〜10時間である。
【0036】
反応終了後、反応液を0〜25℃に冷却し、不純物を析出させる。析出した不純物を濾過等の方法により除去した後、ろ液を濃縮乾固する。次いで、無水酢酸、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル等の有機溶媒を添加して、加熱溶解する。その後、冷却して、目的物である2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を析出させる。析出した結晶をろ取し、洗浄後、乾燥することにより、黄色結晶の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を純度良く得ることができる。
【0037】
本発明の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物は、分子中に鎖状スルフィドを有しているため、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用な化合物である。
【0038】
上記ポリイミド樹脂は、本発明の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物と芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン等のジアミン化合物を有機溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0039】
また、上記エポキシ樹脂は、単官能グリシジルエーテル化合物、多官能グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、脂環式エポキシ化合物、単官能エピチオ化合物、多官能エピチオ化合物、脂環式エピチオ化合物等のエポキシ化合物に、本発明の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を添加して熱硬化することにより製造することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0041】
実施例1
攪拌機、冷却器、温度計を備え付けた500mL容の四つ口フラスコに、2,2’−チオジエタンチオール15.4g(0.10モル)、4−フルオロ無水フタル酸33.2g(0.20モル)、フッ化カリウム12.8g(0.22モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド150gを仕込み、窒素ガスを緩やかに通じながら、120℃で2時間反応させた。
【0042】
反応終了後、反応液を10℃に冷却して、不純物を析出させた。析出した不純物を濾過して除去し、濾液を得た。得られた濾液を濃縮乾固し、次いで、無水酢酸200gを添加して、100℃で加熱溶解した。その後、10℃まで冷却して、目的物である2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を析出させた。析出した2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を濾取し、トルエン50gで洗浄後、乾燥して、黄色結晶の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物30.4g(0.068モル)を得た。2,2’−チオジエタンチオールに対する収率は68%であった。純度は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した結果97.4%であった。
【0043】
得られた2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物は、下記の物性を有することから同定することができた。
【0044】
MS:m/e 446
融点:148〜150℃
IR(KBr):1849、1765、1605、1589、1473、1431、1327、1269、1201、1180、897、876、733(cm−1)
【0045】
実施例2
攪拌機、冷却器、温度計を備え付けた500mL容の四つ口フラスコに、2,2’−チオジエタンチオール15.4g(0.10モル)、4−ブロモ無水フタル酸45.4g(0.20モル)、フッ化カリウム27.9g(0.48モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド150gを仕込み、窒素ガスを緩やかに通じながら、120℃で2時間反応させた。
【0046】
反応終了後、反応液を10℃に冷却して、不純物を析出させた。析出した不純物を濾過して除去し、濾液を得た。得られた濾液を濃縮乾固し、次いで、無水酢酸200gを添加して、100℃で加熱溶解した。その後、10℃まで冷却して、目的物である2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を析出させた。析出した2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物を濾取し、トルエン50gで洗浄後、乾燥して、黄色結晶の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物29.0g(0.065モル)を得た。2,2’−チオジエタンチオールに対する収率は65%であった。純度は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した結果97.0%であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明によると、ポリイミド樹脂の原料、エポキシ樹脂の硬化剤等として有用な新規化合物およびその製造方法を提供することができる。
Claims (4)
- 極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミドである請求項2に記載の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物の製造方法。
- 4−ハロゲノ無水フタル酸が、4−フルオロ無水フタル酸である請求項2に記載の2,2’−チオジエタン(3,4−ジカルボキシチオベンゼン)二無水物の製造方法。
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WO2020202777A1 (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 堺化学工業株式会社 | エポキシ硬化用化合物及びエポキシ樹脂組成物 |
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2002
- 2002-08-28 JP JP2002247908A patent/JP2004083497A/ja active Pending
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