JP2004079422A - 有機el素子 - Google Patents

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Masatoshi Takizawa
瀧澤 正利
Koji Yasukawa
安川 浩司
Michio Arai
荒井 三千男
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Abstract

【課題】成膜面側、つまり素子の基板と反対側からのトップ光取り出しを可能とし、優れた光透過性と低抵抗とを両立できる陰極用透明電極を有する有機EL素子を提供する。
【解決手段】陰電極と陽電極とこれらの電極間に設けられた一種以上の有機層とを有し、少なくとも前記有機層の一層は発光機能を有し、前記陰電極は、主成分が酸化物である透明酸化膜材料に10 mol%以下の副成分が含有されている酸化物薄膜層と金属薄膜層とがそれぞれ1層または2層以上積層されている導電性積層構造物であり、少なくとも前記陰電極側から発光を取り出すことが可能な構成の有機EL素子とした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電膜の導電性と光透過性を向上させた導電性積層構造物を有し、有機エレクトロルミネッセンス(以下有機EL)を生じる有機発光材料を用いた有機EL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機の発光材料を用いた有機EL素子は改良が進み、応用範囲が広がると共に基本素子特性も向上している。
【0003】
しかし、これまで開発の対象となってきた素子は、その殆どが基板側から発光を取り出す所謂ボトム取り出しの素子であり、基板と反対側から発光を取り出す所謂トップ取り出しの素子に関しては、それを可能にするための構造的な検討がなされているにすぎない。
【0004】
ところで、近年ディスプレイに対する要求も種々多様になると共に、表示精度や品質に対する要求も高まっている。このため、所謂単純マトリクスタイプの素子では、これらの要求に全て応えることが困難であり、素子開発の動向は単純マトリクスからアクティブマトリクスに移行してきている。
【0005】
アクティブマトリクス型のディスプレイを構成する場合、スイッチング素子として一般にTFTが用いられている。しかし、TFTを用いてボトム取り出し型のEL素子を駆動した場合、TFTの占める領域から発光を取り出すことが困難である上、TFTの駆動に必要な構造物などが全て基板側に配置されるので、これらの回路素子、配線材料に阻まれて画素の開口領域が制限されてしまう。
【0006】
このため、画素の発光量が不足し、表示画面が暗くなってしまうといった問題が生じてしまう。また、これを補うために駆動電圧を高くして駆動電流を増加させると、消費電力が増大し、電源の負担が増大すると共に、耐圧の関係からTFTの設計に制約を受け、EL素子自体の寿命も低下させるといった弊害を生じていた。
【0007】
このような問題を解決するためには、上記のようなトップ取り出しの構造が有効である。また、トップ取り出しとすることにより、今までは基板上に形成していたカラーフィルター等を、基板とは別に封止板等に形成することができ、工程上の制約が少なくすることができる。
【0008】
しかし、トップ取り出しを実現するためには、陰極に透明電極を用いる必要があるが、従来の透明電極は仕事関数が大きい材料を用いており、電子注入性が不足すると共に、抵抗率が高く、駆動電圧が上昇して駆動回路やTFTの設計に制約を受けたり、輝度ムラを生じたり、消費電力が増大するといった問題を有していた。
【0009】
また、抵抗を下げるために透明電極の膜厚を厚くすると透光率が低下したり、波長選択性が生じて表示品質が低下するなどの弊害を生じてしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、成膜面側、つまり素子の基板と反対側からのトップ光取り出しを可能とし、優れた光透過性と低抵抗とを両立できる陰極用透明電極を有する有機EL素子を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち上記目的は、以下の本発明の構成により達成される。
(1) 陰電極と陽電極とこれらの電極間に設けられた一種以上の有機層とを有し、
少なくとも前記有機層の一層は発光機能を有し、
前記陰電極は、主成分が酸化物である透明酸化膜材料に10 mol%以下の副成分が含有されている酸化物薄膜層と、金属薄膜層とがそれぞれ1層または2層以上積層されている導電性積層構造物であり、
少なくとも前記陰電極側から発光を取り出すことが可能な有機EL素子。
(2) 前記導電性積層構造物は、有機層との界面側が酸化物薄膜層となるように積層されている上記(1)の有機EL素子。
(3) さらに、有機層側から第1層目に酸化物薄膜層(A)、第2層目から金属薄膜層−酸化物薄膜層(A)の順での積層を単位構成とし、1単位以上積層されている上記(1)または(2)の有機EL素子。
(4) 前記陰電極は無機電子注入層と組み合わされて用いられる上記(1)〜(3)のいずれかの有機EL素子。
(5) 前記酸化物薄膜層が、ZnO、SnO 、ITO、およびTiO から選択される1種または2種以上である上記(1)〜(4)のいずれかの有機EL素子。
(6) 前記金属薄膜が、Au、Ag、Cu、Pd、およびPtから選択される1種または2種以上により形成されている上記(1)〜(5)のいずれかの有機EL素子。
(7) 前記副成分がB、Al、Ga、Ag、Au、Pt、Cu、Ru、Sb、Sn、およびZnなどの単体、またはそれらの酸化物から選択される1種または2種以上である上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子。
(8) 前記酸化物薄膜層の屈折率が1.6〜2.3である上記(1)〜(7)のいずれかの有機EL素子。
(9) 前記導電性積層構造物は、波長400〜700nmの帯域の光透過率が50%以上である上記(1)〜(8)のいずれかの有機EL素子。
(10) 前記陰電極の外側に屈折率1.2〜1.6の透明薄膜層が積層されている上記(1)〜(9)のいずれかの有機EL素子。
(11) 前記酸化物薄膜層の第1層の膜厚が50nm以下である上記(1)〜(10)のいずれかの有機EL素子。
(12) 前記金属薄膜の膜厚が、20nm以下である上記(1)〜(11)のいずれかの有機EL素子。
(13) 前記導電性積層構造物のシート抵抗が10Ω/□以下である上記(1)〜(12)のいずれかの有機EL素子。
(14) TFTにより駆動される上記(1)〜(13)のいずれかの有機EL素子。
(15) 陽極側からも発光を取り出す上記(1)ないし(14)のいずれかの有機EL素子。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の有機EL素子は、陰電極と陽電極とこれらの電極間に設けられた一種以上の有機層とを有し、少なくとも前記有機層の一層は発光機能を有し、前記陰電極は、主成分が酸化物である透明導電性材料に10 mol%以下の副成分が含有されている酸化物薄膜層と金属薄膜層とがそれぞれ1層または2層以上積層されている導電性積層構造物を有し、前記陰電極側から発光を取り出すものである。
【0013】
このように、陰電極に、主成分が酸化物である透明導電性材料に10 mol%以下の副成分が含有された酸化物薄膜層と金属薄膜層とがそれぞれ1層または2層以上積層されている導電性積層構造物を用いることにより、基板と反対側からのトップ取り出しを可能とし、優れた光透過性と低抵抗とを両立できる陰極用透明電極を有する有機EL素子を提供することができる。
【0014】
すなわち、有機EL構造体の陰電極を透明電極とし、この透明電極をZnO等の透明導電性材料にAl等の副成分元素を含有させて抵抗を下げると共に、Au等の金属層を積層することで導電率を向上させることができる。また、これらの積層体は、これらを組み合わせることで、それら単体よりも導電率と光透過率とを格段に向上させることができる。
【0015】
酸化物薄膜層(ZnOAl層)/金属薄膜層(Au層)は、これらの組み合わせであれば一層でも複数層でも良いが、好ましくは3層以上の積層体であって、最外層に酸化物薄膜層を有する構造がよい。最外層に酸化物薄膜層を有することで、Airとの界面での反射の影響を低減させ、光取り出し効率が低下するのを防止することができる。また、有機層側も酸化物薄膜層とすることで、隣接する無機電子注入層等の構成材料からのコンタミネーションを防止することができ、金属薄膜層に対する下地効果も有する。
【0016】
これら酸化物薄膜層、金属薄膜層を積層して得られる導電性積層構造物は、それぞれの構成層が1層以上であればよく、例えば、以下に示すような積層構成が可能である。
(1)酸化物薄膜層/金属薄膜層
(2)酸化物薄膜層/金属薄膜層/酸化物薄膜層
(3)酸化物薄膜層/金属薄膜層/酸化物薄膜層/金属薄膜層
(4)酸化物薄膜層/金属薄膜層/酸化物薄膜層/金属薄膜層/酸化物薄膜層
これらの積層態様は、所望の光透過率、導電率が得られるようなものを必要に応じて選択すればよく、さらに積層数が増加してもよい。また、積層数が増えれば透過光のスペクトル分布を平坦化したり、逆にスペクトル分布の制御を行うことが容易になるが、酸化物薄膜層/金属薄膜層を交互に成膜する工程が増大して、生産効率が低下し、製造コストの増加を招く。
【0017】
導電性積層構造物は、有機層側から第1層目に酸化物薄膜層(A)、第2層目から金属薄膜層−酸化物薄膜層(A)の順での積層を単位構成とし、1単位以上積層されている積層構成が好ましい。すなわち、上記積層構成例の(2)、(4)の構成が好ましい。
【0018】
本発明における陰電極は、所謂トップ取り出しを可能とするため、光透過性を有する。このような光透過性を有する透明陰極とするために、主成分が酸化物である透明導電性材料に10 mol%以下の不純物がドーピングされた酸化物薄膜層と金属薄膜層とがそれぞれ1層または2層以上積層されている導電性積層構造物を用いる。
【0019】
主成分が酸化物である透明導電性材料としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、ZnO、SnO 、In 等が挙げられ、特にZnOが好ましい。これらの酸化物材料は、化学量論組成からある程度偏倚していてもよい。
【0020】
本発明の酸化物薄膜層には、上記透明導電性材料に、10 mol%以下、好ましくは0.1〜8 mol%、特に0.1〜6 mol%の副成分が含有されている。この副成分は、通常不純物としてドーピングされている。副成分量が上記範囲より多いと、酸化物薄膜層の光透過率が低下したり、高抵抗化したりする。一方、少なすぎると低抵抗化の効果を発揮することが困難となる。
【0021】
ドーピングされる不純物としては、B、Al、Ga、Ag、Au、Pt、Cu、Ru、Sb、Sn、Znなどの単体、またはそれらの酸化物の1種または2種以上を挙げることができ、特にAl,Ga,B等が好ましい。これらのなかでもn型ドーパントとして一般に用いられるIII族元素、例えばB,Al,Ga等は、Zn,Sn,In等の金属元素と置換して、O以外のサイトに入る。また、場合によってはある程度の割合で格子間に存在する場合もある。
【0022】
ドーパントをドーピングさせる方法としては、スパッタ法を用いて成膜する場合、ターゲット中に混合してもよいし、ターゲット上にドーパントの材料片を置いてもよいし、成膜時にドーパントガスを導入する等してもよい。
【0023】
酸化物薄膜層の膜厚としては、組み合わせる金属薄膜層の種類や膜厚にもよるが、少なくとも有機層と接する第1層膜厚が好ましくは50nm以下、より好ましくは40〜5nm、特に30〜5nmである。第1層は、金属の島状成長抑制や、反射防止等下地層としての機能を有する。また、第2層以降の膜厚としては、特に最上層となる場合には、金属薄膜の腐食防止など保護膜としての機能と反射防止の機能を有することが求められるため、少なくとも5nm以上の膜厚を有することが望ましい。第1層目の膜厚が薄くなるに従って(50nm〜10nm)シート抵抗が減少してくる。また、同時に薄くすることにより、透過率の改善効果も得られる。
【0024】
金属薄膜層は、上記酸化物薄膜層の導電率を改善し、積層体の透過スペクトルを変化させ、透過光スペクトルを調整する機能を有する。金属薄膜層の材料としては、Au,Ag,Cu,PdおよびPt等を挙げることができ、これらのなかでもAu,Ag,Cu等が好ましい。
【0025】
金属薄膜層の膜厚としては、組み合わせる酸化物薄膜層の種類や膜厚にもよるが、好ましくは20nm以下、より好ましくは3〜15nmである。膜厚が薄すぎると導電率の改善効果が薄れ、厚すぎると光透過率が低下してくる。また、金属薄膜層と酸化物薄膜層を合わせた積層体の総膜厚は、好ましくは10〜500nm、より好ましくは10〜200nmである。
【0026】
導電性積層構造物のシート抵抗としては、作製するディスプレイの大きさ、分解能、表示階調などの仕様や、TFTの性能、電源の能力などにより必要とされるシート抵抗値以下となっていればよい。具体的には、縦横比1:4、対角3.2インチ、16階調のディスプレイの場合、好ましくは10Ω/□以下、より好ましくは8.0Ω/□以下、特に7.0Ω/□以下であり、その下限としては、特に制限はない。
【0027】
導電性積層構造物の可視光線透過率、すなわち波長400〜700nmにおける光透過率は好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。その上限としては特に規制されるものでないが90%程度である。本発明の導電性積層構造物は、特に上記シート抵抗値の範囲内で、上記光透過率が得られるという優れた特徴を有する。
【0028】
導電性積層構造物の陰電極は、この陰電極の外側、つまり有機層側と反対側に屈折率1.2〜1.6の透明薄膜層が積層されているとよい。このように、陰極より屈折率が低い材料を使用することにより、例えば酸化物薄膜層であるZnOAlの屈折率は約1.8程度と空気の1.0と比較して差が大きいため、SiOx などの比較的空気の屈折率に近い材料を最終層に用いることにより、空気との界面での反射を防止することができる。このような低屈折率透明薄膜層としては、Al (n=1.62)で代表されるAlO 、MgF (n=1.38)、LiF(n=1.36〜1.37)で代表されるRF (R=Li,Na,K,Rb,Cs,Frのアルカリ金属元素、またはBe,Mg,Ca,Sr,BaおよびRaのアルカリ土類金属元素)、SiO (n=1.46)で代表されるSiO (ただし、x=1.0〜2.0の整数)等を挙げることができ、特にSiO が好ましい。
【0029】
本発明の導電性積層構造物は、それ自体陰極として用いることもできるが、無機電子注入層と組み合わせて陰極、もしくは陰極および無機電子注入層として用いることが好ましい。無機電子注入層は有機の電子注入輸送層等との組み合わせにおいては電子注入性を有するものとして必要に応じて下記のものを用いることができる。例えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体、または安定性を向上させるためにそれらを含む2成分、3成分の合金系、例えばAg・Mg(Ag:0.1〜50at%)、Al・Li(Li:0.01〜14at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:0.01〜20at%)等が挙げられる。
【0030】
さらに、アルカリ金属またはアルカリ士類金属のハロゲン化物も好ましく、例えば、アルカリ金属では、LiF、LiCl、LiBr、LiI、CsF、CsCl、CsBf、CsI、また、アルカリ土類金属ではMgF 、MgCl 、MgBr 、MgI 等がある。取扱の簡易さと、抵抗率の低さから好ましくはCsI、CsCl、LiFが選択される。
【0031】
無機電子注入層の膜厚としては、好ましくは、0.1nm〜5.0nm、より好ましくは0.5〜1.0nmが好ましい。膜厚はこれより薄いと効果が十分ではなくなり、これより厚いと駆動電圧の上昇が顕著になる為である。前記無機電子注入層の屈折率は、好ましくは1.6〜2.6である。
【0032】
上記無機電子注入層の作製方法はスパッタ法、EB蒸着法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等が考えられるが、有機EL素子に与えるダメージを考慮して、抵抗加熱蒸着法を用いた蒸着や、多元蒸着源による共蒸着が好ましい。
【0033】
次ぎに、図を参照しつつ、本発明の有機EL素子についてより詳細に説明する。図1は、本発明の有機EL素子の基本構成を示す概略断面図である。図において、有機EL素子は基板1上に、透明電極である陽極2と、有機ホール注入輸送層3と、第1の発光層4と、第2の発光層5と、有機電子注入輸送層6と、無機電子注入層7と、透明電極である陰極8とが順次積層されている。また、必要により、陰電極上に透明薄膜層9を設けてもよいし、基板と陽極との間に反射層を設けてもよい。なお、発光層4,5は単層であってもよい。
【0034】
本発明において、有機EL構造体を形成する基板としては、非晶質基板(例えばガラス、石英など)、結晶基板(例えば、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InPなど)、あるいは透明プラスチックなどの樹脂が挙げられ、また、これらの結晶基板に結晶質、非晶質あるいは金属のバッファ層を形成した基板も用いることができる。また、金属基板としては、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pdなどを用いることができ、好ましくはガラス基板が用いられる。
【0035】
陽極は、導電性を有する電極材料であれば特に限定されるものではないが、ホール注入性を有し、素子設計上要求される仕事関数等を最適化できる材料が好ましい。このような陽極材料としては、具体的には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、ZnO、SnO、Inなどの透明電極を用いることが好ましい。本来、陽極側から光を取り出すものではないが、上記特性を有する材料である点からこれらの材料が好ましく、特に上記屈折率の関係からは、ITO、IZO等が好ましい。また、これらの材料を用いることにより、陰極側、陽極側双方から光り取り出しが可能な、所謂シースルー表示素子を実現することもできる。
【0036】
また、陽極の厚さは10〜500nm程度とすることが好ましい。素子の信頼性を向上させるために駆動電圧が低いことが必要であるが、好ましいシート抵抗のものとして、20〜60Ω/□(膜厚50〜300nm)のITOが挙げられる。実際に使用する場合には、ITO等の陽電極界面での反射による干渉効果が、光取り出し効率や色純度を十分に満足するように、電極の膜厚や光学定数を設定すればよい。
【0037】
本発明において、有機発光層は、単層もしくは2層以上の積層体により構成され、好ましくは各発光層からの発光光の合成スペクトルが白色発光になるように調製される。なお、本発明における白色とは、CIE色座標において、x=0.29〜0.37、y=0.30〜0.45、好ましくはx=0.32〜0.36、y=0.30〜0.40で表される範囲のものであり、400〜700nmの波長帯域でブロードな発光スペクトルを有するものである。また、複数の発光ピークを有する発光層からの合成光であるため、上記波長帯域内において完全にフラットな特性とはならず、ある程度のピークが数カ所に点在したスペクトルとなる。
【0038】
白色発光を得るための具体的な発光層としては、例えば450nm〜500nmの青色、及び560nm〜600nmの黄色の2層構造とするとよい。
【0039】
発光層は、正孔輸送性化合物もしくは電子輸送性化合物またはこれらの混合物であるホスト物質を含み、正孔および電子の注入機能、正孔および電子の輸送機能ならびに正孔および電子の再結合により、励起子を生成させる機能を有しており、電子的に比較的ニュートラルな化合物を含んでいることが好ましい。
【0040】
有機発光層のホスト物質として用いられる正孔輸送性化合物としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ビラゾリン誘導体、ビラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体が挙げられ、さらに、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく使用できる。
【0041】
トリフェニルジアミン誘導体の例としては、テトラアリールべンジシン化合物(トリアリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TPD)がとくに好ましい。
【0042】
有機発光層のホスト物質として用いられる電子輸送性化合物としては、下記に示すようなジスチリルアリーレン誘導体を好ましく使用することがでる。また、フェニルアントラセン誘導体やテトラアリールエテン誘導体も、電子輸送性化合物として使用することができる。
【0043】
【化1】
Figure 2004079422
【0044】
本発明において、有機発光層は、正孔輸送性化合物もしくは電子輸送性化合物またはこれらの混合物であるホスト物質に、蛍光物質であるドーバントがドープされた構造を有していることが好ましい。
【0045】
また、本発明にかかる有機EL素子は、好ましくは、互いに積層された2層以上の有機発光層を備えている。2層以上の有機発光層を形成する場合には、それぞれに、異なった発光波長を有する蛍光物質をドーピングすることによって、広い発光波長帯域を確保し、また、発光色の色彩の自由度を向上させることができる。
【0046】
本発明において、ドーバントとして含有させる蛍光物質としては、たとえば、特開昭63−264692号公報に開示された化合物、具体的には、ルブレン系化合物、クマリン系化合物、キナクリドン系化合物、ジシアノメチルビラン系化合物などの化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物が好ましく使用できる。
【0047】
本発明に好ましく使用できる蛍光物質の例を挙げると、以下のとおりである。
【0048】
【化2】
Figure 2004079422
【0049】
【化3】
Figure 2004079422
【0050】
【化4】
Figure 2004079422
【0051】
【化5】
Figure 2004079422
【0052】
さらに、本発明においては、特開2000−26334号公報および特開2000−26337号公報に記載されているナフタセン系化合物も、ドーバントとして含有させる蛍光物質として、好ましく使用することができ、ルブレン系化合物、クマリン系化合物、キナクリドン系化合物、ジシアノメチルピラン系化合物などと併用することによって、有機EL素子の寿命を飛澤的に向上させることができる。
【0053】
2層以上の有機発光層を設ける場合、各有機発光層が、2種以上のこれらの蛍光物質を含み、2種以上の蛍光物質が、異なった発光波長を有していることが好ましい。
【0054】
本発明において、有機発光層におけるドーバントの含有量は、0.01〜20質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜15質量%である。
【0055】
本発明において、有機発光層の厚さはとくに限定されるものではなく、その好ましい厚さは、形成方法によっても異なるが、通常、5〜500nm、さらに好ましくは、10〜300nmである。
【0056】
本発明において、2層以上の有機発光層を形成する場合、各有機発光層の厚さは、分子層一層分に相当する厚さから、有機発光層全体の厚さ未満の範囲にあり、具体的には、1〜85nm、好ましくは5〜60nm、さらに好ましくは5〜50nmである。
【0057】
本発明において、好ましくは、有機発光層は蒸着によって形成される。
【0058】
本発明において、好ましくは、有機発光層は、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の混合物を含んでいる。
【0059】
有機発光層が、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の混合物を含んでいる場合には,キャリアのホッピング伝導パスが形成されるため、各キャリアは極性的に優勢な物質中を移動し、逆の極性のキャリア注入が起こり難くなり、したがって、有機発光層に含まれた化合物がダメージを受けることが防止されるので、素子の寿命を向上させることができるという利点がある。
【0060】
さらに、蛍光物質からなるドーバントを、正孔輸送性化合物および電子注入輸送性化合物の混合物を含んだ有機発光層に含有させることによって、有機発光層自体が有する発光波長特性を変化させることができ、発光波長を長波長側に移行させるとともに、発光強度を向上させ、さらには、有機EL素子の安定性を向上させることが可能になる。
【0061】
有機発光層が、正孔輸送性化合物および電子注入輸送性化合物の混合物を含んでいる場合、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の混合比は、それぞれのキャリア移動度とキャリア濃度にしたがって決定されるが、一般的には、質量比で、1/99〜99/1、好ましくは、10/90〜90/10、さらに好ましくは、20/80〜80/20、最も好ましくは、40/60〜60/40が選ばれる。
【0062】
正孔輸送性化合物および電子注入輸送性化合物の混合物を含む有機発光層を形成する場合には、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物を、異なる蒸着源に入れて、蒸発させ、共蒸著することが好ましいが、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の蒸気圧が同程度あるいは非常に近い場合には、あらかじめ同じ蒸着源内で混合させておき、蒸著することもできる。
【0063】
正孔輸送性化合物および電子注入輸送性化合物の混合物を含む有機発光層を形成する場合、有機発光層内で、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物とが均一に混合していることが好ましいが、均一に混合していることは必ずしも必要でない。
【0064】
本発明において、有機物層は、好ましくは、少なくとも一層の有機発光層に加えて、正孔を安定的に輸送する機能を有する正孔輸送層、ならびに、電子を安定的に輸送する機能を有する電子輸送層を備えている。これらの層を備えることによって、有機発光層に注入される正孔や電子を増大させるとともに、有機発光層内に閉じ込めさせ、再結合領域を最適化させ、発光効率を向上させることが可能になる。
【0065】
本発明において、正孔輸送層に、好ましく使用することができる化合物としては、例えば、テトラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体」イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフェンなどを挙げることができる。これらのうち、テトラアリールべンジシン化合物(トリアリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TPD)、WO/98/30071号に記載されているトリアリールアミン多量体(ATP)が、とくに好ましく使用することができる。
【0066】
トリアリールアミン多量体(ATP)の好ましい具体例は、以下のとおりである。
【0067】
【化6】
Figure 2004079422
【0068】
【化7】
Figure 2004079422
【0069】
【化8】
Figure 2004079422
【0070】
本発明において、さらには、特開昭63−295695号公報、特開平2−191694号公報、特開平3−792号公報、特開平5−234681号公報、特開平5−239455号公報、特開平5−299174号公報、特開平7−126225号公報、特開平7−126226号公報、特開平8−100172号公報、EPO650955Alなどに記載されている各種有機化合物も、正孔注入輸送層、正孔注入層および正孔輸送層に使用することができる。
【0071】
本発明において、2種以上のこれらの化合物を併用してもよく、2種以上のこれらの化合物を併用する場合には、一層中に混合しても、また、2以上の層として、積層してもよい。
【0072】
本発明において、正孔輸送層は、前記化合物を蒸着することによって形成することができる。蒸着によって、素子化する場合には、均一で、ピンホールのない1〜10nm程度の薄膜を形成することができるため、正孔注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視波長の光を吸収する化合物を用いても、発光色の色調変化や再吸収による発光効率の低下を防止することができる。
【0073】
本発明において、電子輸送層に、好ましく使用することができる化合物としては、たとえば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などの8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体などを挙げることができる。
【0074】
本発明において、電子輸送層は、前記化合物を蒸着することによって形成することができる。
【0075】
本発明において、有機発光層、正孔注入輸送層あるいは正孔注入層および正孔輸送層、ならびに、電子注入輸送層あるいは電子注入層および電子輸送層の各層を、蒸着によって形成する条件はとくに限定されるものではないが、1×10−4パスカル以下で、蒸着速度を0.01〜1nm/秒程度とすることが好ましい。各層は、1×10−4パスカル以下の減圧下で、連続して、形成されることが好ましい。1×10−4パスカル以下の減圧下で、連続して、各層を形成することによって、各層の界面に不純物が吸着されることを防止することができるから、高特性の有機EL素子を得ることが可能になるとともに、有機EL素子の駆動電圧を低下させ、ダークスポットが発生し、成長することを抑制することができる。
【0076】
さらに、素子の有機層や電極の劣化を防ぐために、素子上を封止板等により封止することが好ましい。封止板は、湿気の浸入を防ぐために、接着性樹脂層を用いて、封止板を接着し密封する。封止ガスは、Ar、He、N2 等の不活性ガス等が好ましい。また、この封止ガスの水分含有量は、100ppm 以下、より好ましくは10ppm 以下、特には1ppm 以下であることが好ましい。この水分含有量に下限値は特にないが、通常0.1ppm 程度である。
【0077】
さらに、本発明の素子を、平面上に多数並べてもよい。平面上に並べられたそれぞれの素子の発光色を変えて、カラーのディスプレーにすることができる。
【0078】
素子基板または封止基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。
【0079】
【実施例】
〔実験例1〕
ガラス基板上に、下記の表1に示すように、各材料毎に単層膜あるいは積層膜を成膜し、それぞれのシート抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
Figure 2004079422
【0081】
さらに、得られた薄膜のうち、Al薄膜の400〜800nmにおける光透過率およびシート抵抗を図2に、同様にAg薄膜の光透過率およびシート抵抗を図3に、同様にAuおよびZnOAl(Al:2 mol%)/Au積層膜の光透過率およびシート抵抗を図4に示す。
【0082】
表1および図2〜4から明らかなように、Al単独膜ではシート抵抗は良好なものの、膜厚5nmを超えると光透過率が極端に低下してくる。また、Ag単独膜では、シート抵抗値は若干高めではあるが、膜厚5nm以下では波長選択性を有するものの光透過率がかなり良好な領域があることがわかる。さらに、Au:30nmでは、ZnOAlとの組み合わせでも透過率改善効果は認められないが、Au:10nmでは短波長側の透過率がかなり改善されていることがわかる。
【0083】
〔実験例2〕
実験例1において、図5に示すようにZnOAl(Al:2 mol%)/Auの各種積層膜を作製し、同様にして光透過率を評価した。結果を図5に示す。
【0084】
図5から明らかなように、ZnOAl/Au/ZnOAl積層膜では、10Ω/□以下のシート抵抗で、波長400〜700nmにおいて60%以上の光透過率が得られることがわかる。
【0085】
〔実施例1〕
大きさ360×460mmのガラス基板上に反射層としてTiNをスパッタ法により、膜厚40nmに成膜した。このとき、反射層の波長400〜700nmにおける反射率は50%であった。
【0086】
次いで、厚さ100nmにITO透明電極(陽極)を、前記TiN反射層上に成膜した。このガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、チャンバー内を10−4 Pa以下の減圧状態とした。
【0087】
次に、ホール注入層として、減圧状態を保ったまま、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル(4−アミノフェニル)]−1,1’−ビフェニル−4,4′−ジアミンを蒸音速度0.1nm/secで40nmの厚さに形成した。
【0088】
次いで、減圧状態を保ったまま、ホール輸送層として、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ジフェニル−4.4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/sec で10nmの厚さに形成した。
【0089】
さらに、減圧状態を保ったまま、下部発光属として下記の化合物1と化合物2を、100:3の体積比率、蒸着速度0.1nm/sec で共蒸着し、10nmの厚さに形成した。これら、ホール注入層、ホール輸送層、下部発光層のうち、ホール輸送層の膜厚を変えることで、総膜厚が表1に示す各サンプルの膜厚となるように形成した。なお、これらの有機層の屈折率n3=1.7であった。
【0090】
【化9】
Figure 2004079422
【0091】
【化10】
Figure 2004079422
【0092】
さらに、減圧状態を保ったまま、発光属として下記の化合物3と化合物4を、100:3の体積比率、蒸着速度0.1nm/sec で共蒸着し、30nmの厚さに形成した。
【0093】
【化11】
Figure 2004079422
【0094】
【化12】
Figure 2004079422
【0095】
次に、電子注入層として、上記IDE120を蒸着速度0.1nm/sec で30nmの厚さに形成した。これら、上部発光層、有機の電子注入層のうち、電子注入層の膜厚を変えることで、総膜厚が表1に示す各サンプルの膜厚となるように形成した。なお、これらの有機層の屈折率n4=1.7であった。
【0096】
次に、減圧状態を保ったまま、無機電子注入層としてLiFを蒸着速度0.01nm/sec で0.7nmの厚さに形成し、さらにMgAgを蒸着速度0.01nm/sec で3nmの厚さに形成した。その後、ZnOにAlを2 mol%ドープした透明電極を、スパッタ法にて50nmの厚さに形成し、Auを蒸着法にて蒸着速度2nm/secで8nmの厚さに成膜し、さらにZnOにAlを2 mol%混合したものをスパッタ法にて50nmの厚さに形成した。
【0097】
最後にガラス封止を行い有機EL素子を得た。
【0098】
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、駆動電圧12V、100mA/cm2 の電流密度で、初期輝度3000cd/m 、CIE色座標でx=0.35、y=0.38の発光が得られた。また、輝度半減時間は、1000時間であった。
【0099】
この結果から、EL素子のトップ光取り出しが可能であり、しかも極めて効率よく発光が取り出せることがわかる。
【0100】
〔実施例2〕
実施例1において、陰電極上にさらにSiO 層(屈折率1.46)を膜厚80nmに成膜した以外は実施例1と同様にして素子を得、評価した。
【0101】
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、駆動電圧12V、100mA/cm の電流密度で、初期輝度3200cd/m 、CIE色座標でx=0.36、y=0.39の発光が得られた。また、輝度半減時間は、1000時間であった。
【0102】
〔実施例3〕
実施例1において、透明電極を表2に示すように形成した以外は実施例1と同様にして素子を得、評価した。なお、サンプルBのZnOAl:50nmは最外層側の膜厚を厚くしたものであり、サンプルCのZnOAl:50nmは有機層側の膜厚を厚くしたものである。得られた素子の発光スペクトルを図6に、50mA/cm の電流密度における駆動電圧および発光輝度を表2に示す。
【0103】
【表2】
Figure 2004079422
【0104】
図6、表2から明らかなように、サンプルCが最も発光光取り出し効率に優れていることがわかる。ただし、駆動電圧を最も低くできるのはサンプルBであった。
【0105】
〔実施例4〕
実施例1において、反射層を形成することなくガラス基板上に直接ITO透明電極を形成し、それ以外は実施例1と同様にして陰極側、陽極側双方からの光取り出しが可能な素子を得た。
【0106】
得られた素子を50mA/cm の電流密度で駆動したときの陰極側及び陽極側からの発光スペクトルを図7に示す。図7から明らかなように、陰極側からも陽極側からも略同等な発光の取り出しが可能なことがわかる。
【0107】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、成膜面側、つまり素子の基板と反対側からのトップ光取り出しを可能とし、優れた光透過性と低抵抗とを両立できる陰極用透明電極を有する有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のEL素子の基本構成を示す概略断面図である。
【図2】Al薄膜の400〜800nmにおける光透過率を示したグラフである。
【図3】にAg薄膜の400〜800nmにおける光透過率を示したグラフである。
【図4】AuおよびZnOAl(Al:2 mol%)/Au積層膜の400〜800nmにおける光透過率を示したグラフである。
【図5】ZnOAl(Al:2 mol%)/Au/ZnOAl積層膜の400〜800nmにおける光透過率を示したグラフである。
【図6】実施例3の積層構成の異なる透明電極を有するサンプルの発光スペクトルを示したグラフである。
【図7】実施例4の陰極側と陽極側からの発光スペクトルを示したグラフである。
【符号の説明】
1  基板
2  陽極(ホール注入電極)
3  ホール注入輸送層
4  第1の発光層
5  第2の発光層
6  電子輸送層
7  無機電子注入層
8  陰極(電子注入電極)
9  透明薄膜層

Claims (15)

  1. 陰電極と陽電極とこれらの電極間に設けられた一種以上の有機層とを有し、
    少なくとも前記有機層の一層は発光機能を有し、
    前記陰電極は、主成分が酸化物である透明酸化膜材料に10 mol%以下の副成分が含有されている酸化物薄膜層と、金属薄膜層とがそれぞれ1層または2層以上積層されている導電性積層構造物であり、
    少なくとも前記陰電極側から発光を取り出すことが可能な有機EL素子。
  2. 前記導電性積層構造物は、有機層との界面側が酸化物薄膜層となるように積層されている請求項1の有機EL素子。
  3. さらに、有機層側から第1層目に酸化物薄膜層(A)、第2層目から金属薄膜層−酸化物薄膜層(A)の順での積層を単位構成とし、1単位以上積層されている請求項1または2の有機EL素子。
  4. 前記陰電極は無機電子注入層と組み合わされて用いられる請求項1〜3のいずれかの有機EL素子。
  5. 前記酸化物薄膜層が、ZnO、SnO 、ITO、およびTiO から選択される1種または2種以上である請求項1〜4のいずれかの有機EL素子。
  6. 前記金属薄膜が、Au、Ag、Cu、Pd、およびPtから選択される1種または2種以上により形成されている請求項1〜5のいずれかの有機EL素子。
  7. 前記副成分がB、Al、Ga、Ag、Au、Pt、Cu、Ru、Sb、Sn、およびZnなどの単体、またはそれらの酸化物から選択される1種または2種以上である請求項1〜6のいずれかの有機EL素子。
  8. 前記酸化物薄膜層の屈折率が1.6〜2.3である請求項1〜7のいずれかの有機EL素子。
  9. 前記導電性積層構造物は、波長400〜700nmの帯域の光透過率が50%以上である請求項1〜8のいずれかの有機EL素子。
  10. 前記陰電極の外側に屈折率1.2〜1.6の透明薄膜層が積層されている請求項1〜9のいずれかの有機EL素子。
  11. 前記酸化物薄膜層の第1層の膜厚が50nm以下である請求項1〜10のいずれかの有機EL素子。
  12. 前記金属薄膜の膜厚が、20nm以下である請求項1〜11のいずれかの有機EL素子。
  13. 前記導電性積層構造物のシート抵抗が10Ω/□以下である請求項1〜12のいずれかの有機EL素子。
  14. TFTにより駆動される請求項1〜13のいずれかの有機EL素子。
  15. 陽極側からも発光を取り出す請求項1ないし14のいずれかの有機EL素子。
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