JP2004077816A - 感光性平版印刷版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に、親水層、並びに、o−ナフトキノンジアジド化合物、酸によって退色する染料及び光酸発生剤を含有する感光層とを、この順に有する感光性平版印刷版であって、(1)支持体が、塩酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的な粗面化処理を行った支持体であり、(2)親水層が、少なくとも1個のアミノ基と、カルボキシル基及びその塩の基並びにスルホ基及びその塩の基からなる群から選ばれた少なくとも1個の基とを有する親水性化合物を含有し、(3)光酸発生剤が、実質的に有機溶剤を含まないpH12以上のアルカリ性現像液に溶解する化合物であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポジ型感光性平版印刷版に関する。更に詳しくは、感度、焼き出し性、及び現像残膜が改良されたポジ型感光性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷版は、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施したアルミニウム支持体上に感光性組成物からなる感光層を設けた感光性平版印刷版(いわゆるPS版)を画像露光し、現像して得られる。このような感光性組成物のうち、ポジ型感光性組成物としてo−キノンジアジド化合物、特にo−ナフトキノンジアジド化合物が汎用されており、これは単独又はノボラック型のフェノール樹脂、クレゾール樹脂などのアルカリ可溶性の樹脂と混合され、支持体上に塗設される。感光層を画像露光すると、露光部分はo−キノンジアジド化合物が分解し、アルカリ可溶性に変化するので、アルカリ現像液で容易に除去されて、支持体の親水性表面が露呈され、この部分は水を受け付けインキを反発する。一方、画像として残った未露光部分は親油性でありインキ受容する。通常、このように像露光、現像を行った後、修正、ガム引き工程を施して平版印刷版とされ、これを印刷機に取り付けて印刷する。
【0003】
このようなポジPS版において、感度が高いこと、露光後直ちに良好な可視像が得られること、及び現像後、非画像部の残膜が少なく印刷汚れが出にくいことは、重要な品質性能である。
【0004】
露光後直ちに可視像を得るためには、焼出し剤と呼ばれる露光によって酸を放出する感光性化合物(光酸発生剤)と酸によって塩を形成し変色する有機染料とを感光層に含有させることはよく知られている。この焼出しに用いる光酸発生剤として、種々の化合物が知られているが、特開昭61−151644号には、フェノール性水酸基を有する4、6−ビス(ハロメチル)−s−トリアジンが、良好な焼出し画像を形成し、しかも現像残膜となりにくいことが記載されている。
【0005】
また、非画像部の残膜や汚れを防止するためには、陽極酸化皮膜上に下塗り層又は親水層を施すことが知られている。例えば、特公平6−94234号には、少なくとも1個のアミノ基と、カルボキシル基及びその塩の基並びにスルホ基及びその塩の基からなる群から選ばれた少なくとも1個の基とを有する親水性化合物からなる親水層によって、耐刷性を低下させないで、非画像部の残膜及び印刷における汚れにくさを改善できることが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、感光性平版印刷版の性能がまだ不十分であった。本発明はこの問題を解決することである。すなわち、本発明の課題は、良好な焼き出し性を有し、非画像部の残膜が少なく印刷汚れが出にくく、しかも高感度な感光性平版印刷版を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、詳細な検討の結果、上記課題を達成することができた。すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0008】
1.支持体上に、親水層、並びに、o−ナフトキノンジアジド化合物、酸によって退色する染料及び光酸発生剤を含有する感光層とを、この順に有する感光性平版印刷版であって、(1)支持体が、塩酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的な粗面化処理を行った支持体であり、(2)親水層が、少なくとも1個のアミノ基と、カルボキシル基及びその塩の基並びにスルホ基及びその塩の基からなる群から選ばれた少なくとも1個の基とを有する親水性化合物を含有し、(3)光酸発生剤が、実質的に有機溶剤を含まないpH12以上のアルカリ性現像液に溶解する化合物であることを特徴とする感光性平版印刷版。
【0009】
2.前記支持体が、アルミニウム板の表面を順に、(a)アルカリ水溶液中でエッチング処理し、(b)酸性水溶液中でデスマット処理し、(c)液温15〜45℃の塩酸を主体とする水溶液中で200〜1000C/dm2の電気量で、電流密度25〜120A/dm2の交流又は直流を用いて電気化学的に粗面化処理し、(d)アルカリ水溶液中でエッチング処理し、(e)酸性水溶液中でデスマット処理し、(f)陽極酸化処理して陽極酸化皮膜を形成させて製造した支持体であることを特徴とする前記1記載の感光性平版印刷版。
【0010】
3. 前記塩酸を主体とする酸性水溶液が、塩化水素を1〜20g/l含有する水溶液に塩化アルミニウムを1質量%から飽和の範囲で添加したものであることを特徴とする前記2記載の感光性平版印刷版。
【0011】
4.前記親水層に含有される親水性化合物がβ−アラニンであることを特徴とする請求項1記載の感光性平版印刷版。
【0012】
5.前記光酸発生剤が、フェノール性ヒドロキシル基を1〜3個有する4,6−ビス(ハロメチル)−s−トリアジンであることを特徴とする前記1記載の感光性平版印刷版。
【0013】
6.前記光酸発生剤が、下記一般式(I)で示される化合物であることを特徴とする前記1又は前記5記載の感光性平版印刷版。
【0014】
【化2】
【0015】
一般式(I)中、XとYは互いに同じでも異なっていてもよく、塩素原子又は臭素原子を示し、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を示し、Aは核置換ヒドロキシル基を1〜3個有するアリール基を示し、kは0〜3の整数を、m及びnはそれぞれ0〜2の整数を示す。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
[感光層]
本発明の感光層には、o−ナフトキノンジアジド化合物、酸によって退色する染料及び光酸発生剤が含有される。
【0018】
本発明の感光層に用いられるo−ナフトキノンジアジド化合物としては、少なくとも1つのo−ナフトキノンジアジド基を有する様々な公知の化合物が挙げられるが、特に種々のヒドロキシ化合物とo−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルが好適である。前記ヒドロキシ化合物としては、フェノール、レゾルシン、クレゾール、ピロガロール等のフェノール類と、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類又はアセトン等のケトン類を例とするカルボニル基含有化合物との縮合化合物が挙げられる。具体的なo−ナフトキノンジアジド化合物としては、1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロリドと、フェノール類/アルデヒド類又はケトン類との縮合樹脂との反応物が好ましく、ピロガロール/アセトン樹脂との反応物が特に好ましい。具体的には、米国特許第3,635,709号明細書に記載されているピロガロールとアセトンとの縮合物、米国特許第3,046,120号明細書に記載されているフェノール/ホルムアルデヒド樹脂又はクレゾール/ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。その他の有用なo−ナフトキノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され、知られているものが挙げられる。たとえば、特開昭47−5303号、同48−63802号、同48−63803号、同48−96575号、同49−38701号、同48−13354号、特公昭37−18015号、同41−11222号、同45−9610号、同49−17481号公報、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号等の各明細書中に記載されているものを挙げることができる。
【0019】
分子量1,000以下のポリヒドロキシ化合物と1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロリドとの反応により得られるo−ナフトキノンジアジド化合物も使用することができる。このような化合物の具体例は、特開昭51−139402号、同58−150948号、同58−203434号、同59−165053号、同60−121445号、同60−134235号、同60−163043号、同61−118744号、同62−10645号、同62−10646号、同62−153950号、同62−178562号、同64−76047号、米国特許第3,102,809号、同第3,126,281号、同第3,130,047号、同第3,148,983号、同第3,184,310号、同第3,188,210号、同第4,639,406号等の各公報又は明細書に記載されているものを挙げることができる。
【0020】
これらのo−ナフトキノンジアジド化合物を合成する際は、ポリヒドロキシ化合物のヒドロキシル基に対して1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロリドを0.2〜1.2当量反応させることが好ましく、0.3〜1.0当量反応させることがさらに好ましい。1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロリドとしては、1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホン酸クロリド及び1,2−ジアゾナフトキノン−4−スルホン酸クロリドをそれぞれ単独で用いてもよく、又は一定の割合で混合して用いてもよい。本発明の感光層中に占めるこれらのo−ナフトキノンジアジド化合物の量は10〜50質量%が適当であり、より好ましくは15〜40質量%である。
【0021】
本発明の感光層に用いられる光酸発生剤は、実質的に有機溶剤を含まないpH12以上のアルカリ性現像液に溶解する化合物であることを特徴とする。有機溶剤を「実質的に含有しない」とは、現像液成分の不純物として含有されていることはあっても、溶解剤などの目的で意図的に現像液に添加していない、の意であり、一般的に現像液組成物中1質量%以下を意味する。
【0022】
このような光酸発生剤として、フェノール性ヒドロキシル基を1〜3個有する4,6−ビス(ハロメチル)−s−トリアジンを好ましいものとして挙げることができ、さらに下記一般式(I)で表される特定の骨格を有する4,6−ビス(ハロメチル)−s−トリアジンをより好ましものとして挙げることができる。
【0023】
【化3】
【0024】
一般式(I)中、XとYは互いに同じでも異なっていてもよく、塩素原子又は臭素原子を示し、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を示し、Aは核置換ヒドロキシル基を1〜3個有するアリール基を示し、kは0〜3の整数を、m及びnはそれぞれ0〜2の整数を示す。以下に、上記酸発生剤の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
本発明の感光層に用いられる酸によって変色する染料は、光酸発生剤の光分解によって生じた酸と反応して、変色又は退色し、露光後可視画像を形成できる染料である。
【0028】
上記の酸によって変色する染料としては、例えばジフェニルメタン、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
【0029】
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボステアリルアミノ−4−p−ジヒドロオキシエチルアミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等が挙げられる。
【0030】
本発明の感光層には、バインダーとしてアルカリ可溶性樹脂を含有させることができる。その際に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール/ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール/ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール/ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、特開昭51−34711号公報に開示されているようなフェノール性水酸基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載のスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂や、ウレタン系の樹脂等、種々のアルカリ可溶性の高分子化合物を含有させることができる。
【0031】
更に、本発明の感光層には、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物又はこれら縮合物のo−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル(例えば特開昭61−243446号に記載のもの)をバインダーと併用して含有させることができる。これらの樹脂の併用は画像の感脂性を向上させる上で好ましい。
【0032】
更に、本発明の感光層には、上記以外に界面活性剤、環状酸無水物、有機酸等を必要に応じて含有させることができる。
【0033】
本発明の感光層に用いられる塗布性を良化するための界面活性剤としては、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素界面活性剤が挙げられる。特に好ましいのはノニオン系フッ素界面活性剤であり、好ましい具体例としては、MEGAFAC F−176 、MEGAFAC F−177 、DEFENSA MCF−312 、DEFENSA MCF−310 、MEGAFAC F−780 F(いずれも大日本インキ化学工業(株) 製)が挙げられる。好ましい添加量は0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0034】
また、本発明の感光層には、現像ラチチュードを広げるため、特開昭62−251740号公報に記載されているように非イオン界面活性剤を含有させることができる。使用する場合の含有量は、0.1〜20質量%が好ましい。
【0035】
本発明の感光層には感度を高めるために環状酸無水物を含有させることができる。その際に用いられる環状酸無水物としては、米国特許第4,115,128号明細書に記載されているように無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−△4 −テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。環状酸無水物の添加量は感光層固形分の1〜15質量%が好ましい。
【0036】
本発明の感光層には現像性向上のために有機酸を含有させることができる。その際に用いられる有機酸としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96756号公報に記載されているような、例えばスルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、ホスフィン酸類、リン酸エステル類、カルボン酸類などを挙げることができる。具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカ酸、アニス酸などが挙げられ、これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。添加量は0.05〜10質量%が好ましい。
【0037】
本発明の感光層は、上記各成分を溶媒に溶解して親水層を設けた支持体上に塗布される。ここで用いられる溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、水、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフルフリルアルコール、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル等が挙げられ、これらの溶媒を単独又は混合して使用することができる。そして、これらの溶媒を用いた感光層塗布液成分中の固形分濃度は、2〜50質量%が好ましい。
【0038】
本発明の感光層の塗布量は用途により異なるが、一般的には固形分として0.5〜3.0g/m2が好ましい。この範囲内で良好な感度及び耐刷性が得られる。
【0039】
上記のようにして設けられた感光層の表面は、真空焼枠を用いた密着露光の際の真空引きの時間を短縮し、かつ焼きボケを防ぐため、マット化することが好ましい。マット化の具体的方法としては、特開昭50−125805号、特公昭57−6582号、同61−28986号の各公報に記載されているようなマット層を設ける方法、特公昭62−62337号公報に記載されているような固体粉末を熱融着させる方法などが挙げられる。
【0040】
[支持体]
本発明に用いられる支持体は、塩酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的な粗面化処理を行った支持体であることを特徴とする。この支持体は、好ましくは、アルミニウム板の表面を、(a)第1化学的エッチング処理、(b) 第1デスマット処理、(c) 塩酸を主体とする水溶液中での電気化学的な粗面化処理、(d)第2化学的エッチング処理、(e)第2デスマット処理、及び(f)陽極酸化処理を、順に施された支持体である。以下、支持体の材質及び(a)〜(f)の表面処理について詳しく説明する。
【0041】
本発明に使用される支持体はアルミニウム板が好ましく、該アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムの中から選ばれる。該アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ガリウムなどがある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下が好ましい。
【0042】
本発明に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精練技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来から公知公用の素材のもの、例えばJIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005、JIS A 3004などを適宜利用することが出来る。本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。
【0043】
(a)第1化学的エッチング処理:第1化学的エッチング処理は、酸性又はアルカリ水溶液中でエッチング処理が行なわれる。この第1化学的エッチング処理は、交流電圧を用いた電気化学的に粗面化処理の前処理として行なわれるもので、圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的としている。かかる化学的エッチング方法の詳細については、米国特許第3834398号明細書などに記載されている。酸性水溶液に用いられる酸としては、特開昭57−16918号公報に記載されているように、弗酸、弗化ジルコン酸、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸等があり、これらを単独又は組み合わせて用いることができる。酸性水溶液の濃度は、0.5〜80質量%が好ましく、特に5〜50質量%が好ましい。酸性水溶液中に溶解しているアルミニウムイオンの濃度は0.5〜5質量%が好ましい。
【0044】
アルカリ水溶液に用いられるアルカリとしては、特開昭57−16918号公報に記載されているように、水酸化カリウム、第3燐酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等がある。これらを単独又は組み合わせて用いることができる。アルカリ水溶液の濃度は、5〜30質量%が好ましく、特に20〜30質量%が好ましい。アルカリ水溶液中に溶解しているアルミニウムイオンの濃度は0.5〜30質量%が好ましい。酸性又はアルカリ水溶液によるエッチングは、液温30〜90℃で1〜120秒処理するのが好ましい。エッチング処理の量は、1〜30g/m2 溶解することが好ましく、1.5〜20g/m2 溶解することがより好ましい。
【0045】
上記第1化学的エッチング処理の中で、アルカリ水溶液中でのエッチング処理が特に好ましい。
【0046】
(b) 第1デスマット処理:前記第1化学的エッチングを、アルカリ性の水溶液を用いて行なった場合には、一般にアルミニウムの表面にスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸又はこれらの内の2以上の酸を含む混酸で処理するデスマット処理を施すことが好ましい。デスマット時間は1〜30秒が好ましい。液温は常温〜70℃で実施される。この電気化学的な粗面化処理のデスマット処理は省略することもできる。また、電気化学的な粗面化処理で用いる電解液のオーバーフロー廃液を使用することもできる。電気化学的な粗面化処理で用いる電解液のオーバーフロー廃液を使用するときは、デスマット処理の後の水洗工程は省略してもよいが、アルミニウム板が乾いてデスマット液中の成分が析出しないように濡れたままの状態でアルミニウム板をハンドリングする必要がある。
【0047】
(c) 塩酸を主体とする水溶液中での電気化学的な粗面化処理:塩酸を主体とする水溶液は、通常の交流又は直流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、塩化水素濃度1〜100g/l、好ましくは1〜20g/lの塩酸水溶液に、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素イオンを有する塩素化合物を1g/l〜飽和まで添加し、アルミニウムイオンを1〜15g/l、より好ましくは4〜11g/l含有させて得られたものを用いることが好ましい。また塩酸を主体とする水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。液温は10〜60℃が好ましく、15〜45℃がさらに好ましい。
【0048】
交流又は直流を用いた電気化学的粗面化処理において、印加される電圧は1〜50Vが好ましく、5〜30Vがさらに好ましい。電流密度(ピーク値)は20〜200A/dm2が好ましく、25〜120A/dm2がさらに好ましい。電気量は、全処理工程を合計して10〜2000C/dm2が好ましく、200〜1000C/dm2がさらに好ましい。周波数は10〜200Hzが好ましく、40〜150Hzがさらに好ましい。電解に使用する電流波形は、正弦波、矩形波、台形波、鋸歯状歯等、求める粗面化形状により適宜選択されるが、正弦波又は矩形波が好ましい。
【0049】
(d)第2化学的エッチング処理:第2化学的エッチング処理は、塩酸を主体とする水溶液中で、交流を用いた電気化学的な粗面化で生成したスマット成分を速やかに除去する目的で行われる。エッチング量は0.5〜10g/m2 が好ましい。エッチングに用いる水溶液の組成、温度、処理時間などは、第1化学的エッチング処理に記載した範囲から選択される。なかでも、アルカリ水溶液中でのエッチング処理が好ましい。
【0050】
(e)第2デスマット処理:アルミニウム板表面の軽度なエッチングを行った場合、その表面に不溶解物すなわちスマットが生成する。このスマットは、燐酸、硫酸、硝酸、クロム酸及びこれらの混合物で洗浄することにより除去することができる。第2デスマット処理の条件は、第1デスマット処理に記した条件から選ぶことができる。とくに硫酸を主体とする水溶液を用い、液温25〜70℃で処理することが好ましい。
【0051】
(f)陽極酸化処理:さらに表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならば、いかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲にあれば適当である。
【0052】
硫酸法は通常直流電流で処理が行われるが、交流を用いることも可能である。硫酸の濃度は5〜30質量%で使用され、20〜60℃の温度範囲で5〜250秒間電解処理される。この電解液には、アルミニウムイオンが含まれている方が好ましい。さらにこのときの電流密度は1〜20A/dm2 が好ましい。リン酸法の場合には、5〜50質量%の濃度、30〜60℃の温度で、10〜300秒間、1〜15A/dm2 の電流密度で処理される。
【0053】
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2 以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2 の範囲である。この範囲内で、実用上満足できる非画像部の耐傷性が得られる。
【0054】
[親水層]
上記の処理を施して生成したアルミニウム板の陽極酸化皮膜上に、本発明の親水層が設けられる。本発明の親水層は、(1)少なくとも1個のアミノ基と、(2)カルボキシル基及びその塩の基並びにスルホ基及びその塩の基からなる群から選ばれた少なくとも1個の基とを有する親水性化合物を含有することを特徴とする。
【0055】
この親水性化合物は、上記(1)及び(2)の基以外の親水基、例えばヒドロキシル基、イミノ基などを有してもよく、分子量1,000以下の化合物が適当である。その具体的な化合物としては、例えば、アミノ酢酸、アラニン、β−アラニン等のモノアミノモノカルボン酸;例えばセリン、スレオニン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)グリシン等のオキシアミノ酸;例えばシステイン、シスチン等の硫黄を含むアミノ酸;例えばアスパラギン酸、グルタミン酸等のモノアミノジカルボン酸;例えばリシン等のジアミノモノカルボン酸;例えばN−(p−ヒドロキシフエニル)グリシン、N−フエニルアラニン、アントラニル酸等の芳香族核をもつアミノ酸;例えばトリプトフアン、プロリン等の複素環をもつアミノ酸;例えばスルフアミン酸、シクロヘキシルスルフアミン酸等の脂肪族アミノスルホン酸;例えばエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)−イミノ二酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン二酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸等の(ポリ)アミノポリ酢酸;及びこれらの化合物の酸基の1部又は全部がナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩となつているものが挙げられる。これらの中でも、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)グリシン、β―アラニン、N−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン三酢酸、及びN−(2−ヒドロキシエチル)−イミノ二酢酸が最も好ましい。これらの化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0056】
本発明の親水層は、上記化合物を、水、メタノール、エタノール、アセトン等の単独溶媒又は混合溶媒に溶解した溶液を、塗布、乾燥して得られる。この塗布液は、濃度0.001〜10質量%、pH1〜13の範囲にあれば適当である。親水層の塗布方法としては、浸漬塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテンコート等のいずれを用いてもよい。塗布量は、乾燥後の被覆量で1〜100mg/m2が好適であるが、より好ましくは5〜50mg/m2である。この範囲内で、感光層と支持体との密着性が劣化し耐刷力を低下させることなく、良好な、非画像部の残膜低減及び汚れ防止効果が得られる。
【0057】
このような親水層を設ける前又は後に、陽極酸化されたアルミニウム板を米国特許第3,181,461号に記載されているように、アルカリ金属シリケート(例えば珪酸ソーダ)の水溶液で処理することができる。
【0058】
[平版印刷版の作製]
このようにして得られた感光性平版印刷版を、カーボンアーク灯、キセノン灯、水銀灯、タングステン灯、メタルハライドランプなどの活性光線を含む光源によって画像露光し、現像して平版印刷版を得ることができる。
【0059】
本発明の感光性平版印刷版の現像液は特に限定されないが、特に好ましいのは実質的に有機溶媒を含まないアルカリ性の水性溶液である。好ましい有機溶剤含有量は1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは全く含有しない態様である。現像液に用いるアルカリ剤として好ましくはケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。これらの中でもケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸アルカリを含有する現像液は現像階調性が良好なため最も好ましく、ケイ酸アルカリの組成がモル比で〔SiO2〕/〔M〕=0.5〜1.5(ここに〔SiO2〕、〔M〕はそれぞれSiO2 のモル濃度と総アルカリ金属のモル濃度を示す。)であり、かつSiO2 を0.8〜8質量%含有する現像液が好ましく用いられる。さらに該ケイ酸アルカリのアルカリ金属として全アルカリ金属中、カリウムを20モル%以上含むことが、現像液中の不溶物発生が少ないため好ましく、より好ましくはカリウムを90モル%以上含むことであり、最も好ましくはカリウムが100モル%の場合である。本発明に係わる現像液のpH(25℃)は12以上であり、好ましくは、12.5〜14である。また、該現像液中には、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸マグネシウムなどの水溶性亜硫酸塩を添加することができる。亜硫酸塩の現像液組成物における好ましい含有量は、0.05〜4重量%で、より好ましくは0.1〜1重量%である。
【0060】
また、該現像液中に特開昭50−51324号公報に記載されているような、アニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤、特開昭59−75255号公報、同60−111246号公報に記載されているような非イオン性界面活性剤のうち少なくとも一つ含有させることにより、または特開昭55−95946号公報、同56−142528号公報に記されるように高分子電解質を含有させることにより、現像液の感光性組成物への濡れ性を高めたり、階調性をさらに高めることができ好ましく用いられる。かかる界面活性剤の添加量は特に制限はないが、0.003〜3重量%が好ましく、特に0.006〜1重量%の濃度が好ましい。さらに、本発明に使用される現像液には消泡剤を含有させることができる。好適な消泡剤には有機シラン化合物が挙げられる。
【0061】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
実施例1〜2、比較例1〜6
[支持体の製造例(1)]
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温60℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗し、10g/l硝酸で中和洗浄後、水洗した。これを印加電圧Va=20Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、塩化水素濃度15g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温30℃の水溶液中で、500C/dm2の電気量で電気化学的な粗面化処理を行い、水洗した。次に、苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温40℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した。次に、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中でデスマット処理を行い、水洗した。さらに、液温20℃の10質量%硫酸水溶液中、直流にて電流密度6A/dm2の条件下で、陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理し、その後、水洗を行い、支持体(I)を作製した。支持体(I)の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.55μmであった。
【0063】
[支持体の製造例(2)]
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を平均粒径約2.1μmのパミストンと水の懸濁液をアルミニウム板の表面に供給しながら、以下に示す回転ナイロンブラシにより、ブラシグレイニング処理した。第1ブラシは毛長100mm、毛径は0.95mm、植毛密度70本/cm2であり、第2ブラシは毛長80mm、毛径は0.295mm、植毛密度670本/cm2であった。ブラシロールの回転はいずれも250rpmであった。ブラシグレイニングに引き続きよく水洗した後、液温60℃の10質量%苛性ソーダ水溶液に25秒間浸漬してエッチングし、さらに流水で水洗後、20%硝酸で中和洗浄、水洗した。これをVa=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、11%硝酸水溶液中で160C/dm2の電気量で電気化学的な粗面化処理を行い、水洗した。その中心線平均粗さ(Ra)を測定したところ、0.55μmであった。引き続いて、1%水酸化ナトリウム水溶液に液温40℃で30秒間浸漬後、30%の硫酸水溶液中に60℃で40秒間浸漬してデスマット処理した後、20%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2の条件下で、陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理し、水洗して支持体(II)を作製した。
【0064】
[親水層の塗布]
このようにして得た支持体(I)、(II)の表面に下記親水層塗布液(I)を塗布し、80℃、30秒間乾燥した。乾燥塗布量は10mg/m2であった。
【0065】
(親水層塗布液(I))
β−アラニン 0.05g
メタノール 40g
水 60g
【0066】
[感光性平版印刷版の作製]
次に、第1表及び第2表に示す感光液を塗布し、120℃で1分間乾燥した。感光層の乾燥後の塗布量は1.7g/m2であった。さらに真空密着時間を短縮するため、特公昭61−28986号公報記載のようにしてマット層を形成させて、感光性平版印刷版を得た。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
[感光性平版印刷版の評価]
このように作製した感光性平版印刷版を以下の方法で評価した。
「感度」は、富士写真フイルム(株)製ステップウェッジ(各段の濃度差が0.15)を通して、1mの距離から3kWのメタルハライドランプにより1分間画像露光し、富士写真フイルム(株)製PSプロセサー900Vを用いて、30℃12秒間、SiO2/K2Oのモル比1.16、SiO2濃度1.4%の水溶液で現像し、クリアー段差で表した。段差が高いほど感度が高いことを示す。
【0070】
「残膜」は現像後の平版印刷版における非画像部(支持体表面が露出した部分)の反射光学濃度から,感光層を設ける前のアルミニウム支持体表面の反射光学濃度を差し引いた値で示され、この値が小さいほど残膜が少なく好ましい。特に多量の現像を行った疲労現像液で現像した場合に残膜が多くなる傾向にある。そこで、感度の評価に用いた上記現像液で実施例1の感光性平版印刷版を2m2/l処理して生成した疲労現像液を用い、感度評価の場合と同様な現像方法で処理したものについて評価を行った。
【0071】
また「焼き出し性」は、感光層における未露光部の反射光学濃度と露光部の反射光学濃度の差で示され、この差の大きい方が好ましい。感度の評価と同じ条件で露光した部分と未露光部の反射濃度をマクベス濃度計を用いて測定した。これらの結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
上記結果から、(1)塩酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的な粗面化処理を行った支持体、(2)少なくとも1個のアミノ基と、カルボキシル基及びその塩の基並びにスルホ基及びその塩の基からなる群から選ばれた少なくとも1個の基とを有する親水性化合物を含有する親水層、及び(3)実質的に有機溶剤を含まないpH12以上のアルカリ性現像液に溶解する光酸発生剤の組み合わせであることを特徴とする本発明の感光性平版印刷版が、良好な焼き出し性、少ない残膜、しかも高感度を有することが分かる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な焼き出し性を有し、非画像部の残膜が少なく、しかも高感度な感光性平版印刷版を提供できる。
Claims (6)
- 支持体上に、親水層、並びに、o−ナフトキノンジアジド化合物、酸によって退色する染料及び光酸発生剤を含有する感光層とを、この順に有する感光性平版印刷版であって、(1)支持体が、塩酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的な粗面化処理を行った支持体であり、(2)親水層が、少なくとも1個のアミノ基と、カルボキシル基及びその塩の基並びにスルホ基及びその塩の基からなる群から選ばれた少なくとも1個の基とを有する親水性化合物を含有し、(3)光酸発生剤が、実質的に有機溶剤を含まないpH12以上のアルカリ性現像液に溶解する化合物であることを特徴とする感光性平版印刷版。
- 前記支持体が、アルミニウム板の表面を順に、(a)アルカリ水溶液中でエッチング処理し、(b)酸性水溶液中でデスマット処理し、(c)液温15〜45℃の塩酸を主体とする水溶液中で200〜1000C/dm2の電気量で、電流密度25〜120A/dm2の交流又は直流を用いて電気化学的に粗面化処理し、(d)アルカリ水溶液中でエッチング処理し、(e)酸性水溶液中でデスマット処理し、(f)陽極酸化処理して陽極酸化皮膜を形成させて製造した支持体であることを特徴とする請求項1記載の感光性平版印刷版。
- 前記塩酸を主体とする酸性水溶液が、塩化水素を1〜20g/l含有する水溶液に塩化アルミニウムを1質量%から飽和の範囲で添加したものであることを特徴とする請求項2記載の感光性平版印刷版。
- 前記親水層に含有される親水性化合物がβ−アラニンであることを特徴とする請求項1記載の感光性平版印刷版。
- 前記光酸発生剤が、フェノール性ヒドロキシル基を1〜3個有する4,6−ビス(ハロメチル)−s−トリアジンであることを特徴とする請求項1記載の感光性平版印刷版。
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