JP4001258B2 - 感光性平版印刷版 - Google Patents
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Description
本発明はポジ型感光性平版印刷版に関し、特に高感度で硬調な画像形成性を与えるポジ型感光性平版印刷版に関するものである。
【従来の技術】
o−キノンジアジド化合物を含有してなる感光性組成物は、非常に優れたポジ型感光性組成物として平版印刷版の製造やホトレジストとして工業的に用いられてきた。従来このo−キノンジアジド系のポジ型感光性組成物の感度を高める方法について種々の提案がなされてきたが、感度を低下させることなく、硬調な画像形成性を示し、かつ、焼きぼけ、白灯安全性、及び現像許容性等の性質において優れた満足するべきものは得られていない。
一方、o−キノンジアジド化合物よりも高感度を示す系として、米国特許第4494628号、欧州特許第249139号などに記載されているようなアルカリ可溶性基を酸分解基で保護した化学増幅系の感光物が提案され広く用いられている。しかしこのものにおいても、硬調な画像形成性を示し、かつ現像許容性の広い満足すべきものが得られていないのが実状である。
また、o-キノンジアジド化合物と混合して用いる水不溶性、アルカリ性水溶液可溶性の樹脂としては、フェノール類とホルムアルデヒドとを縮合させた樹脂が一般的であるが、それ以外のいわゆるアクリル系樹脂を用いた場合、トンボ抜けが生じ易かった。
【0001】
ここで、画像が硬調であるとはステップウェッジを通して露光し、現像した時に画像が残存し始める段数と完全に膜が残存している段数との差が小さいことを意味する。また焼きぼけとはキノンジアジドの分解により生じた窒素によりリスフィルムが浮き上がり完全な密着露光が出来なくなるために生じるものであり、一般的にクリアー感度を同一にした時、画像が硬調であるほど焼きぼけを解消しやすい。また、白灯安全性とは印刷版を蛍光灯などの白灯下に曝したときに画像の感度の安定性を示すものであり、画像が硬調なものほど白灯安全性が良い。なおステップウェッジとは一段毎に濃度が0.15ずつ変化する短冊形のフィルムであり、露光量と露光後現像した後の感光層残膜量との関係を得る際に用いられる。またクリアー感度とは露光現像後に画像が出来始めるときの感度を意味する。また現像許容性とは現像液の濃度が変化した時に、露光し現像した後の画像感度がどれだけ変動するかをみるものであり、感度の変動が小さいものほど現像許容性が良いという。
また、トンボ抜けとは、原画フイルムを感光性平版印刷版上に重ねて露光する際に位置合わせのために、該印刷版上につけるレジスターマーク(いわゆる「トンボ」でボールペンで描画する)が画像部にかかった時、現像時に感光層ごと脱離する現象をいう。
【0002】
従来から、o−キノンジアジド化合物を含む感光性組成物に非感光性の化合物を添加して、感度を上昇させる技術が提案されているが、種々の欠点を有しているのが現状である。例えば、感度を上昇させるため特開昭52−80022号公報には環状酸無水物の添加が提案されている。しかしこの方法は、感度上昇の効果は認められるが、大きな感度上昇が認められる程度に酸無水物を添加すると画像が軟調となり、白灯安全性、現像許容性が大きく劣化した。
これらの問題点を解決するために界面活性剤を添加する方法がいくつか提示されてきた。例えば、特開昭59−121044号公報には高感度化したポジ型感光性組成物に両性界面活性剤及び有機ホウ素系活性剤を添加することにより現像許容性を広くする方法が示されている。また特開昭62−251740号公報には高感度化したポジ型感光性組成物に非イオン性界面活性剤を添加することにより現像許容性を広くする方法が示されている。しかしながら、いずれの方法もある程度の現像許容性改善の効果はあったが十分なものではなく、十分な効果を得ようとすると感度の低下を招いた。また焼きぼけ、白灯安全性に関しては効果が得られなかった。また、特開昭62−226143、特開平3−172849、特開平8−15858号公報には界面活性剤としてフルオロ脂肪族基、及びポリオキシアルキレン基を有するフッ素系ポリマーが記載されている。しかし、これらのポリマーを用いても焼きぼけ、白灯安全性に関しては効果が得られなかった。
ここで、特開昭50−125806号には、ターシャリーブチルフェノールを例とするアルキルフェノールのアルキル基の炭素数が3から15のフェノール類とホルムアルデヒドとを縮合させた樹脂を用いた感光性平版印刷版が記載されているが、この樹脂は平版印刷版の刷り出し時のインキ着肉性改良剤(感脂化剤)として使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の技術の上記問題点を解決し、感度を低下させることなく、硬調な画像形成性を示し、かつ、焼きぼけ、白灯安全性、及び現像許容性の広い満足するべき、ポジ型感光層を有する感光性平版印刷版を提供しようとすることにある。
また、本発明の他の目的はトンボ抜けが生じにくいポジ型感光性平版印刷版を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、下記感光性平版印刷版により上記の目的を解決するに至った。
すなわち、本発明の上記目的は、陽極酸化を施したアルミニウム板上にポジ型感光層を設けてなるポジ型感光性平版印刷版であって、該ポジ型感光層が(a)o−キノンジアジド化合物、並びに(b)p−イソプロピルフェノール、p−ノルマルプロピルフェノール及びp−エチルフェノールからなる群から選択される少なくとも一種とホルムアルデヒドとを縮合して得られる樹脂を含有することを特徴とする上記ポジ型感光性平版印刷版により達成される。
本発明者らは、ポジ型感光性平版印刷版において、パラ位に炭素数3以下のアルキル基(イソプロピル、ノルマルプロピルまたはエチル基)を有するフェノールの少なくとも一種とホルムアルデヒドとを縮合することにより得られるフェノール樹脂を含有させたo−キノンジアジド化合物を用いるポジ型感光性組成物を用いることにより、感度を低下させることなく、現像許容性が広く、かつ硬調であり、トンボ抜けが生じにくい画像形成性を示す平版印刷版を得ることができることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の目的を達成するためには、(a)o−キノンジアジド、並びに(b)p−イソプロピルフェノール、p−ノルマルプロピルフェノール及びp−エチルフェノールからなる群から選択される少なくとも一種とホルムアルデヒドとを縮合して得られる樹脂を感光層中に含むことが必須である。
以下、(b)の樹脂について詳述する。
本発明において使用される樹脂は、p−イソプロピルフェノール、p−ノルマルプロピルフェノール及びp−エチルフェノールからなる群から選択される少なくとも一つのフェノールとホルムアルデヒドとを重縮合して得られる樹脂であり、ノボラック樹脂またはレゾール樹脂のどちらでも良い。該樹脂の作製において使用されるアルキルフェノールは、パラ置換の炭素数3以下のアルキルフェノールであることが必要である。メタ置換又はオルト置換アルキルフェノールを使用した場合には硬調性及び現像許容性が十分ではない。また、炭素数が4以上のアルキルフェノールは感度が十分ではなく好ましくない。樹脂の種類としては、フェノール核をメチレン結合で結合したいわゆるノボラック樹脂、ジメチレンエーテル結合で結合した化学構造を有するいわゆるレゾール樹脂のどちらでも良い。それぞれの合成は既知の方法で合成できる。
【0006】
ノボラック樹脂の合成方法としては特に限定されるものではなく、例えば、特開平2−29750号公報に記載される公知の方法を適宜適用することができる。
すなわち、例えば、該樹脂は酸性触媒を用いて反応溶媒中で縮合反応により合成してもよい。酸性触媒としては、しゅう酸、塩酸、硫酸などの有機酸又は無機酸が挙げられ、反応溶媒としては、メタノール、エタノール、水、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、又はジオキサン等が挙げられる。反応条件としては、20〜120℃において1〜24時間行うことが好ましい。
また、合成終了後、残存する未反応のフェノール類を、減圧、加熱などの除去方法により、残存モノマーを2重量%以下にして用いることもできる。
【0007】
レゾール樹脂の合成法としては、例えば、特開昭61−217034号に記載されているように合成することができる。すなわち、反応系を中性ないし弱酸性とするための触媒として、ナフテン酸鉛、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛などのナフテン酸金属塩や酢酸鉛、酢酸亜鉛などの酢酸金属塩、さらにはほう酸鉛、ほう酸亜鉛、ほう酸マグネシウムなどのほう酸金属塩等を用いる。これらの触媒は、通常触媒として使用される塩酸、硫酸などの無機酸や安息香酸、サリチル酸、しゅう酸、マレイン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸と併用することも可能である。
【0008】
本発明における上記樹脂の添加量は、全感光性組成物の全固形分(重量)に対して0.3〜30重量%、好ましくは、1.5〜15重量%である。樹脂の添加量が0.3重量%より少ないと本発明の効果は少なく、また、30重量%より多くなると感度低下が大きくなり好ましくない。本発明の樹脂の分子量は、特に限定されないが、GPC(ポリスチレン標準)でMW;400〜20,000、好ましくは800〜10,000であり、Mn;300〜10,000、好ましくは500〜6,000である。
【0009】
次に本発明においておいて使用される(a)o−キノンジアジド化合物について説明する。o−キノンジアジド化合物は、少なくとも一つのo−キノンジアジド基を有する化合物で活性光線によりアルカリ水溶液に対する溶解性を増すものが好ましい。
この様なものとしては、種々の構造のものが知られており、例えば、J.KOSAR 著「Light-Sensitive Systems 」(John Wiley & Sons, Inc., 1695年発行)p336〜p352に詳細に記載されている。
ポジ型感光性組成物としては、特に種々のヒドロキシル化合物とo−ベンゾキノンジアジドあるいはo−ナフトキノンジアジドのスルホン酸エステルが好適である。
【0010】
上記のようなo−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール・ホルムアルデヒド樹脂又はクレゾール・ホルムアルデヒド樹脂とのエステル;米国特許第3, 635, 709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール・アセトン樹脂とのエステル: 特公昭63−13,528号公報に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとレゾルシン−ベンズアルデヒド樹脂とのエステル;特公昭62−44,257号に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとレゾルシン−ピロガロール・アセトン共縮合樹脂とのエステル; 特公昭56−45,127号公報に記載されている末端にヒドロキシル基を有するポリエステルに1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドをエステル化させたもの: 特公昭50−24,641号公報に記載されているN−(4−ヒドロキシフェニル) メタクリルアミドのホモポリマーまたは他の共重合しうるモノマーとの共重合体に1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドをエステル化させたもの; 特公昭54−29,922号公報に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとビスフェノール・ホルムアルデヒド樹脂とのエステル:52−36,043号公報に記載されているp −ヒドロキシスチレンのホモポリマーまたは他の共重合しうるモノノマーとの共重合体に1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドをエステル化させたもの;1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとポリヒドロキシベンゾフェノンとのエステルがある。
【0011】
その他、本発明に使用できる公知のo−キノンジアジド化合物としては、特開昭63−80,254号、特開昭58−5,737号、特開昭57−111,530号、特開昭57−111,531号、特開昭57−114,138号、特開昭57−142,635号、特開昭51−36,129号、特公昭62−3,411号、特公昭62−51,459号、特公昭51−483号などの各明細書中に記載されているものなどを挙げることができる。前記のoーキノンジアジド化合物の含有量は,感光性組成物の全固形分に対して,通常5〜60重量%で,より好ましくは10〜40重量%である。
【0012】
本発明の感光性組成物中には、上述した樹脂の他に、水不要でアルカリ性水溶液に可溶の合成樹脂(以下アルカリ可溶性樹脂という)を用いることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール/ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール/ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール/ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のクレゾール/ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール/ホルムアルデヒド共縮合樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、ハイドロキノンメタクリレート共重合体の他、特開平7−28244号記載のスルホニルイミド系ポリマー、特開平7−36184号公報記載のカルボキシル基含有ポリマーなどが挙げられる。その他特開昭51−34711号公報に開示されているようなフェノール性水酸基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号に記載のスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂や、ウレタン系の樹脂、等種々のアルカリ可溶性の高分子化合物も用いることができる。これらのアルカリ可溶性高分子化合物は、重量平均分子量が500〜20,000で数平均分子量が200〜60,000のものが好ましい。
【0013】
かかるアルカリ可溶性の高分子化合物は1種類あるいは2種類以上を組合せて使用してもよく、全組成物の80重量%以下の添加量で用いられる。更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物を併用することは画像の感脂性を向上させる上で好ましい。かかる樹脂は、通常、組成物全重量の10重量%以下の添加量で用いられる。
【0014】
感光性組成物中には、更に必要に応じて、感度を高めるための環状酸無水物、露光後直ちに可視像を得るための焼き出し剤、画像着色剤としての染料、その他のフィラーなどを加えることができる。
本発明における感光性組成物中には、感度を高めるために環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加することが好ましい。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されているように無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等がある。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシ−トリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
【0015】
有機酸類としては、特願昭60−88942号公報、特願平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、ホスフィン酸類、リン酸エステル類、カルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキセン−2,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類の感光性組成物中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは、0.1〜5重量%である。
【0016】
露光後、直ちに可視像を得るための焼き出し剤としては、露光によって酸を放出する感光性化合物と、酸と塩を形成して色調を変える有機染料との組み合わせを挙げることができる。
露光によって酸を放出する感光性化合物としては、例えば、特開昭50−36,209号公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニド;特開昭53−36,223号公報に記載されているトリハロメチル−2−ビロンやトリハロメチル−s−トリアジン;特開昭55−62,444号公報に記載されている種々のo−ナフトキノンジアジド化合物;特開昭55−77,742号公報に記載されている2−トリハロメチル−5−アリール−1,3,4−オキサジアゾール化合物;ジアゾニウム塩などを挙げることができる。これらの化合物は、単独または混合して使用することができ、その添加量は、組成物全重量に対し、0.3〜15重量%の範囲が好ましい。
【0017】
本発明における、感光性組成物中には、光分解して酸性物質を発生する化合物の光分解生成物と相互作用することによってその色調を変える有機染料が少なくとも一種類以上用いられる。このような有機染料としては、ジフェニルメタン系、トリアリールメタン系、チアジン系、オキサジン系、フェナジン系、キサンテン系、アントラキノン系、イミノナフトキノン系、アゾメチン系の色素を用いることができる。具体的には次のようなものである。ブリリアントグリーン、エオシン、エチルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、フェノールフタレイン、1,3−ジフェニルトリアジン、アリザリンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチオカルバゾン、2,7−ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、フエナセタリン、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、オイルブルー#603〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルピンク#312〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルレッド5B〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルスカーレット#308〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルレッドOG〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルレッドRR〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルグリーン#502〔オリエント化学工業(株)製〕、スピロンレッドBEHスペシャル〔保土谷化学工業(株)製〕、ビクトリアピュアーブルーBOH〔保土谷化学工業(株)製〕、パテントピュアーブルー〔住友三国化学工業(株)製〕、スーダンブルーII〔BASF社製〕、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、ファーストアッシドバイオレットR、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボステアリルアミノ−4−p−ジヒドロオキシエチル−アミノ−フェニルイミノナフトキノン、p−メトキシベンゾイル−p′−ジエチルアミノ−o′−メチルフェニルイミノアセトアニリド、シアノ−p−ジエチルアミノフェニルイミノアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等。
【0018】
特に好ましい有機染料は、トリアリールメタン系染料である。トリアリールメタン系染料では、特開昭62−2932471号公報、特願平4−112844号明細書に示されているような対アニオンとしてスルホン酸化合物を有するものが特に有用である。これらの染料は単独又は混合して使用することができ、添加量は感光性組成物の総重量に対して0.3〜15重量%が好ましい。また必要に応じて他の染料、顔料と併用でき、その使用量は染料及び顔料の総重量に対して70重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
【0019】
その他本発明の組成物中には、画像のインキ着肉性を向上させるための、疎水基を有する各種樹脂、例えばオクチルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、t−ブチルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、t−ブチルフェノール・ベンズアルデヒド樹脂、ロジン変性ノボラック樹脂、及びこれら変性ノボラック樹脂のo−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル等;塗膜の可撓性を改良するための可塑剤、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、ブチルグリコレート、リン酸トリクレジル、アジピン酸ジオクチル等、種々の目的に応じて各種添加剤を加えることができる。これらの添加量は組成物全重量に対して、0.01〜30重量%の範囲が好ましい。
【0020】
更にこれらの組成物中には、皮膜の耐摩耗性を更に向上させるための公知の樹脂を添加できる。これらの樹脂としては、例えばポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等があり、単独または混合して使用することができる。添加量は組成物全重量に対して、2〜40重量%の範囲が好ましい。
【0021】
また、本発明における感光性組成物中には、現像のラチチュードを広げるために、特開昭62−251740号公報や、特開平4−68355号公報に記載されているような非イオン性界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。非イオン性界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどが挙げられ、両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、アモーゲンK(商品名、第一工業(株)製、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型)、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、レボン15(商品名、三洋化成(株)製、アルキルイミダゾリン系)などが挙げられる。上記非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤の感光性組成物中に占める割合は0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは、0.1〜5重量%である。
【0022】
塗布面質の向上のための本発明における感光性組成物中には、塗布面質を向上するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全感光性組成物の0.001〜1.0重量%であり、更に好ましくは0.005〜0.5重量%である。
また、上記フッ素系界面活性剤の他に、特開平10−142778号で開示されている、フッ素原子含有ポリマー、特願平10−124884号のフッ素原子含有ポリマーを画像の硬調性を高める目的で、本発明の感光性組成物中に添加してもよい。
【0023】
また、本発明における感光性組成物中には、以下の黄色系塗料を添加することができる。
一般式〔I〕、〔II〕あるいは〔III〕で表わされ、417nmの吸光度が436nmの吸光度の70%以上である黄色系塗料
【0024】
【化1】
【0025】
式〔I〕中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基又はアルケニル基を示す。またR1とR2は環を形成してもよい。R3、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を示す。G1、G2はそれぞれ独立にアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はフルオロアルキルスルホニル基を示す。またG1とG2は環を形成してもよい。さらにR1、R2、R3、R4、R5、G1、G2のうち1つ以上に1つ以上のスルホン酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、イミド基、N−スルホニルアミド基、フェノール性水酸基、スルホンイミド基、又はその金属塩、無機又は有機アンモニウム塩を有する。YはO、S、NR(Rは水素原子もしくはアルキル基又はアリール基)、Se、−C(CH3)2−、−CH=CH−より選ばれる2価原子団を示し、n1は0、1を示す。
【0026】
【化2】
【0027】
〔式中、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリル基又は置換アリル基を表わし、また、R6とR7とは共にそれが結合している炭素原子と共に環を形成しても良い。n2は、0、1又は2を表わす。G3及びG4はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換アリールオキシカルボニル基、アシル基、置換アシル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、フルオロアルキルスルホニル基を表わす。ただし、G3とG4が同時に水素原子となることはない。また、G3とG4とはそれが結合している炭素原子と共に非金属原子から成る環を形成しても良い。〕
さらにR6、R7、G3、G4のうち1つ以上に1つ以上のスルホン酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、イミド基、N−スルホニルアミド基、フェノール性水酸基、スルホンイミド基、又はその金属塩、無機又は有機アンモニウム塩を有する。
【0028】
【化3】
【0029】
R8、R9、R10、R11、R12、R13はそれぞれ同じでも異なっていてもよく水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、アシル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ニトロ基、カルボキシル基、クロル基、ブロモ基を表わす。
【0030】
本発明の樹脂を含む感光性平版印刷版は、適当な支持体上に設けられる。本発明の樹脂を含む感光性平版印刷版用感光性組成物は、下記の有機溶剤の単独あるいは混合したものに溶解または分散され、支持体に塗布され乾燥される。
有機溶剤としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、沸点40℃〜200℃、特に60℃〜160℃の範囲のものが、乾燥の際における有利さから選択される。勿論、本発明の樹脂を含む感光性平版印刷版用感光性組成物が溶解するものを選択するのが良い。
【0031】
有機溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−またはイソ−プロピルアルコール、n−またはイソ−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセチルアセトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メトキシベンゼン等の炭化水素類、エチルアセテート、n−またはイソプロピルアセテート、n−またはイソ−ブチルアセテート、エチルブチルアセテート、ヘキシルアセテート等の酢酸エステル類、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、モノクロルベンゼン等のハロゲン化物、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレングリコール、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、ジエチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール等の多価アルコールとその誘導体、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の特殊溶剤などが単独あるいは混合して好適に使用される。そして、塗布する組成物中の固形分の濃度は、2〜50重量%とするのが適当である。
【0032】
本発明の組成物の塗布方法としては、例えばロールコーティング、ディップコーティング、エアナイフコーティング、グラビアコーティング、グラビアオフセットコーティング、ホッパーコーティング、ブレードコーティング、ワイヤドクターコーティング、スプレーコーティング等の方法が用いられ、乾燥後の重量にして0.3〜4.0g/m2が好ましい。塗布量が小さくなるにつれて画像を得るための露光量は小さくて済むが、膜強度は低下する。塗布量が大きくなるにつれ、露光量を必要とするが感光膜は強くなり、例えば、印刷版として用いた場合、印刷可能枚数の高い(高耐刷の)印刷版が得られる。
【0033】
支持体上に塗布された感光性組成物の乾燥は、通常加熱された空気によって行われる。加熱は30℃〜200℃、特に、40℃〜140℃の範囲が好適である。乾燥の温度は乾燥中一定に保たれる方法だけでなく段階的に上昇させる方法も実施し得る。
また、乾燥風は除湿することによって好結果が得られる場合もある。加熱された空気は、塗布面に対し0.1m/秒〜30m/秒、特に0.5m/秒〜20m/秒の割合で供給するのが好適である。
【0034】
マット層;上記のようにして設けられた感光層の表面には、真空焼き枠を用いた密着露光の際の真空引きの時間を短縮し、且つ焼きボケを防ぐため、マット層を設けることが好ましい。具体的には、特開昭50−125805号、特公昭57−6582号、同61−28986号の各公報に記載されているようなマット層を設ける方法、特公昭62−62337号公報に記載されているような固体粉末を熱融着させる方法などが挙げられる。
【0035】
本発明の感光性平版印刷版等に使用される支持体は、寸度的に安定な板状物であり、これ迄印刷版の支持体として使用されたものが含まれ、好適に使用することができるが特にアルミニウム板が好ましい。アルミニウム板には純アルミニウム板及びアルミニウム合金板が含まれる。アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、例えばけい素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とアルミニウムの合金が用いられる。これらの組成物は、いくらかの鉄およびチタンに加えてその他無視し得る程度の量の不純物をも含むものである。
【0036】
アルミニウム板は、必要に応じて表面に親水化処理が施されることが好ましい。すなわち、砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。また、米国特許第2,714,066号明細書に記載されているように、砂目立てしたのち珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理したアルミニウム板、米国特許第3,181,461号明細書に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理を行った後にアルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものも好適に使用される。上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、若しくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはこれらの塩の水溶液又は非水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
【0037】
また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とする為に施される以外に、その上に設けられる感光性組成物との有害な反応を防ぐ為や、感光層との密着性を向上させる為に施されるものである。アルミニウム板を砂目立てするに先立って、必要に応じて表面の圧延油を除去すること及び清浄なアルミニウム面を表出させるためにその表面の前処理を施しても良い。前者のためには、トリクレン等の溶剤、界面活性剤等が用いられている。又後者のためには水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ・エッチング剤を用いる方法が広く行われている。
【0038】
砂目立て方法としては、機械的、化学的および電気化学的な方法のいずれの方法も有効である。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラスト研磨法、軽石のような研磨剤の水分散スラリーをナイロンブラシで擦りつけるブラシ研磨法などがあり、化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適しており、電気化学的方法としては塩酸、硝酸またはこれらの組合せのような酸性電解液中で交流電解する方法が好ましい。このような粗面化方法の内、特に特開昭55−137993号公報に記載されているような機械的粗面化と電気化学的粗面化を組合せた粗面化方法は、感脂性画像の支持体への接着力が強いので好ましい。上記の如き方法による砂目立ては、アルミニウム板の表面の中心線表面粗さ(Ha)が0.3〜1.0μとなるような範囲で施されることが好ましい。このようにして砂目立てされたアルミニウム板は必要に応じて水洗および化学的にエッチングされる。
【0039】
エッチング処理液は、通常アルミニウムを溶解する塩基あるいは酸の水溶液より選ばれる。この場合、エッチングされた表面に、エッチング液成分から誘導されるアルミニウムと異なる被膜が形成されないものでなければならない。好ましいエッチング剤を例示すれば、塩基性物質としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム等;酸性物質としては硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸及びその塩等であるが、アルミニウムよりイオン化傾向の低い金属例えば亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、銅等の塩はエッチング表面に不必要な被膜を形成するから好ましくない。これ等のエッチング剤は、使用濃度、温度の設定において、使用するアルミニウムあるいは合金の溶解速度が浸漬時間1分あたり0.3グラムから40g/m2になる様に行なわれるのが最も好ましいが、これを上回るあるいは下回るものであっても差支えない。
【0040】
エッチングは上記エッチング液にアルミニウム板を浸漬したり、該アルミニウム板にエッチング液を塗布すること等により行われ、エッチング量が0.5〜10g/m2の範囲となるように処理されることが好ましい。上記エッチング剤としては、そのエッチング速度が早いという特長から塩基の水溶液を使用することが望ましい。この場合、スマットが生成するので、通常デスマット処理される。デスマット処理に使用される酸は、硝酸、硫酸、りん酸、クロム酸、ふっ酸、ほうふっ化水素酸等が用いられる。エッチング処理されたアルミニウム板は、必要により水洗及び陽極酸化される。陽極酸化は、この分野で従来より行なわれている方法で行なうことができる。具体的には、硫酸、りん酸、クロム酸、蓚酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはそれらの二種類以上を組み合せた水溶液又は非水溶液中でアルミニウムに直流または交流の電流を流すと、アルミニウム支持体表面に陽極酸化被膜を形成させることができる。
【0041】
陽極酸化の処理条件は使用される電解液によって種々変化するので一般には決定され得ないが一般的には電解液の濃度が1〜80重量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100V、電解時間30秒〜50分の範囲が適当である。これらの陽極酸化処理の内でも、とくに英国特許第1,412,768号明細書に記載されている硫酸中で高電流密度で陽極酸化する方法および米国特許第3,511,661号明細書に記載されている燐酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。上記のように粗面化され、さらに陽極酸化されたアルミニウム板は、必要に応じて親水化処理しても良く、その好ましい例としては米国特許第2,714,066号及び同第3,181,461号に開示されているようなアルカリ金属シリケート、例えば珪酸ナトリウム水溶液または特公昭36−22063号公報に開示されている弗化ジルコニウム酸カリウムおよび米国特許第4,153,461号明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法がある。
【0042】
有機下塗層;本発明の感光性平版印刷版には感光層を塗設する前に有機下塗層を設けることが非画像部の感光層残りを減らす上で好ましい。かかる有機下塗層に用いられる有機化合物としては例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩などから選ばれるが、二種以上混合して用いてもよい。
【0043】
その他ポリ(p−ビニル安息香酸)など下記一般式〔IV〕で示される構造単位を分子中に有する高分子化合物群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることができる。
【0044】
【化4】
【0045】
前記一般式〔IV〕において、R14は水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基を表すが、好ましくは、水素原子、塩素原子、または炭素数1〜4個のアルキル基を表す。特に好ましくは水素原子またはメチル基を表す。R15とR16は各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香族基、置換芳香族基、−R17、−COOR18、−CONHR19、−COR20もしくは−CNを表すか、またはR15とR16が結合して環を形成しても良い。ここでR17〜R20は各々アルキル基または芳香族基を表す。より好ましいR15とR16は、各々独立して、水素原子、水酸基、塩素原子、炭素数1〜4個のアルキル基、フェニル基、−R17、−COOR18、−CONHR19、−COR20、−CNであり、ここでR17〜R20は炭素数1〜4個のアルキル基またはフェニル基である。特に好ましいR15とR16は、各々独立して、水素原子、水酸基、メチル基またはメトキシ基である。
【0046】
Xは水素原子、金属原子、NR21R22R23R24を表し、ここで、R21〜R24は、各々独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香族基、置換芳香族基を表すか、またはR21とR22が結合して環を形成しても良い。より好ましいXは、水素原子、一価の金属原子、NR21R22R23R24であり、ここで、R21〜R24は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基またはフェニル基である。特に好ましいXは、水素原子、ナトリウム、カリウムまたはNR21R22R23R24を表し、ここで、R21〜R24は、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表す、nは1〜3の整数を表すが、好ましくは1または2を表し、より好ましくは1を表す。
【0047】
この有機下塗層は次のような方法で設けることが出来る。即ち、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記有機化合物を吸着させ、しかる後、水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。
【0048】
これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1〜12の範囲で使用することもできる。また、感光性平版印刷版の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2より少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
【0049】
バックコート;支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4 、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4、などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
【0050】
【実施例】
次に、本発明の実施例を示し、詳細に説明する。なお、下記実施例におけるパーセントは、他に指定のない限り、すべて重量%である。
(実施例1〜3、比較例1〜5)
厚さ0.24mmのJIS A1050アルミニウム板を、平均粒径約2.1μのパミストンと水の懸濁液をアルミニウム表面に供給しながら、以下に示す回転ナイロンブラシにより、ブラシグレイニング処理した。第1ブラシは毛長100mm、毛径0.95mm、植毛密度70本/cm2であり、第2ブラシは毛長80mm、毛径0.295mm、植毛密度670本/cm2であった。ブラシロールの回転はいずれも250rpmであった。ブラシグレイニングに引き続きよく水洗した後、10%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングし、さらに流水で水洗後20%硝酸で中和洗浄、水洗した。これらを、VA =12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、11%硝酸水溶液中で160クローン/dm2 の陽極時電気量で電解素面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.50μ(Ra表示)であった。引き続いて、1%水酸化ナトリウム水溶液に40℃、30秒間浸漬後、30%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において1.6g/m2の酸化皮膜量になるように直流で陽極酸化し、水洗して支持体を調整した。
このように処理した支持体の表面に下記組成の下塗り液(I)を塗布し80℃、30秒間乾燥して、支持体[A]を作製した。乾燥後の被覆量は5mg/m2 であった。
【0051】
(下塗り液(I))
β−アラニン 0.05g
トリエタノールアミン塩酸塩 0.05g
メタノール 40g
水 60g
次にこの支持体[A]上に第1表に示す感光液をロッドコーティングで12ml/m2塗設し、100℃で1分間乾燥して感光性平版印刷版を得た。乾燥後の塗布量は1.15g/m2であった。さらに真空密着時間を短縮させるため、特公昭61−28986号公報記載のようにしてマット層を形成させた。
【0052】
【表1】
第1表(感光液)
【0053】
このように作成した感光性平版印刷版を以下の方法で評価した。
感度は、富士写真フイルム(株)製ステップウェッジ(各段の濃度差が0.15)を通して、1mの距離から3kWのメタルハライドランプにより1分間画像露光し、富士写真フィルム(株)製PSプロセッサー900Uを用いて、30℃12秒間、SiO2/K2Oのモル比が1.16、SiO2濃度が1.4%の水溶液で現像し、クリアーの段数で表した。段数が高いほど感度が高いことを示す。階調は、上述の感度評価したサンプルのクリアー段数とベタ段差の差を表した。この値が低い程硬調であることを示す。現像許容性は、上述の現像液を基準にして、pHを上下に0.2増減させた液を用いた以外は上述の感度と同一な露光、現像を行い、pHによるベタ段数の変化を表した。この値が小さい程現像許容性は良好であることを示す。これらの結果を第2表に示す。
【0054】
【表2】
第2表
*1第1表のクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂を使用した(合計1.2 g使用)
【0055】
第2表からわかるように、パラ位にイソまたはノルマルプロピル又はエチル基を置換基として有するフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を使用した本発明の感光性平版印刷版は、感度の低下もなく、硬調性及び現像許容性において良好な結果を示した(実施例1〜3)。これに対し、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を使用しない場合には、硬調性及び現像許容性において劣る結果であった(比較例5)。メタ位又はオルト位にイソプロピルが置換したフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を使用した場合には、硬調性及び現像許容性において劣る結果であった(比較例1及び2)。また、パラ−ターシャリーオクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはパラ−ターシャリーブチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(本樹脂は特開昭50−125806号の実施例に記載の樹脂に相当する)を使用した場合には十分な感度が得られなかった(比較例3及び比較例4)。
【0056】
(実施例4〜6、比較例6〜7)
実施例1〜3、比較例1〜5で使用した支持体[A]上に第3表に示す感光液及びマット層を実施例1〜3と同様に塗布して感光性平版印刷版を得た。
【0057】
【表3】
第3表
【0058】
このようにして作成した感光性平版印刷版を以下の方法で評価した。
各感光性平版印刷版に青色のボールペン(ペリカン(株)製)を用い、大日本スクリーン(株)製トンボ描画機にて、レジスターマークを入れた。ベタ部、すなわち光が当たらない部分にレジスターマークが入るように原画フィルムを各感光性平版印刷版に重ね、富士フイルムPSライト(東芝メタルハライドランプMU2000−2−OLK型3Kw)で、真空密着後1分間照射した後、富士写真フイルム(株)製自動現像機1300VSにて現像した。現像液は富士写真フイルム(株)製現像液;DP−4を水で9倍に希釈したものを用いた。
トンボ抜けの評価は目視で行い、感光層がほとんどとれているものを×、とれていないものを○で示した。結果を第4表に示す。
【0059】
【表4】
第4表
*1)第3表のクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂を使用した(合計0.5g使用)
【0060】
第4表に示したように本発明はトンボ抜けに対して、顕著な効果があることがわかる。
【発明の効果】
以上述べたように、o−キノンジアジド化合物及び、特定のフェノール樹脂を含む感光性組成物を用いることにより、現像許容性が広く、感度が高く、かつ焼きぼけや白灯安全性及びトンボ抜けに関して優れた性質を示す感光性平版印刷版が得られる。
Claims (1)
- 陽極酸化を施したアルミニウム板上にポジ型感光層を設けてなるポジ型感光性平版印刷版であって、該ポジ型感光層が(a)o−キノンジアジド化合物、並びに(b)p−イソプロピルフェノール、p−ノルマルプロピルフェノール及びp−エチルフェノールからなる群から選択される少なくとも一種とホルムアルデヒドとを縮合して得られる樹脂を含有することを特徴とする上記ポジ型感光性平版印刷版。
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