JP2004075967A - 光・熱硬化性樹脂組成物、並びに平滑板の製造方法及びその平滑板 - Google Patents

光・熱硬化性樹脂組成物、並びに平滑板の製造方法及びその平滑板 Download PDF

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Abstract

【課題】基板両面の硬化塗膜の表面硬度を同じにでき、両面同時研磨を行う場合に研磨安定性に優れ研磨残りを発生させず、且つ高度な平滑性を与えるような硬化性樹脂組成物並びにその硬化性樹脂組成物を使用して製造した平滑板及びその製造方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】(I)エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸との付加物、(II)(メタ)アクリレート類、(III)光重合開始剤、(IV)結晶性エポキシ樹脂、及び(V)潜在性硬化剤を含有することを特徴とする。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光・熱硬化性樹脂組成物、並びに平滑板の製造方法及びその平滑板に関する。特に、本発明は、プリント配線板等のアンダーコート材等として好適な光・熱硬化性樹脂組成物、並びに表面の凹凸を無くして平滑にしたプリント配線板等の製造方法及びその平滑にしたプリント配線板等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板としては、例えば多層プリント配線板に於ける各層のように、基板(コア材等)の両面に樹脂層がコーティングされ、その両面が平滑化された構造のものが知られる。
【0003】
そのような両面の平滑化は、一般には片面ずつ表面研磨して行われるが、高度な平滑性が要求されない場合は、生産性向上等の観点から両面を同時研磨することがある。
【0004】
ところで、本発明者等は先に、熱硬化性樹脂組成物、及びそれを使用した平滑板(平滑化プリント配線板等)の製造等に係る発明を出願した(特願2001−253678号)。
【0005】
上記出願発明に於ける利点の一つは、上記熱硬化性樹脂組成物を使用することにより、硬化膜表面の研磨が容易となり、高度な平滑面が得られることである。
【0006】
そこで、プリント配線板の両面同時研磨を行うにあたり上記出願発明の熱硬化性樹脂組成物を用いれば、両面が高度に平滑化されたプリント配線板を、高い生産性にて製造することができる。具体的には、先ず基板の上面(先行面)を上記出願発明の熱硬化性樹脂組成物にて塗布し、一次硬化させる。次いで、ひっくり返して、残りの面(後面)を上面にして、同じく上記出願発明の熱硬化性樹脂組成物にて塗布し、これを一次硬化させる。その後、両面の一次硬化膜表面を同時研磨すれば、両面が高度に平滑化されたプリント配線板を、効率よく製造することができる。
【0007】
一方、熱硬化性樹脂組成物を使用する場合、後面を加熱して一次硬化を行う際に先行面の硬化膜も同時に加熱され、先行面の硬化膜の硬度が後面のそれより大きくなる可能性がある。両面同時研磨を行う場合は、先行面と後面の一次硬化膜硬度は同じであるのが、より好ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、上記出願発明を更に改良・発展させ、基板両面の硬化塗膜の表面硬度を同じにでき、両面同時研磨を行う場合に研磨安定性に優れ研磨残りを発生させず、且つ高度な平滑性を与えるような硬化性樹脂組成物並びにその硬化性樹脂組成物を使用して製造した平滑板及びその製造方法等を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者等が鋭意検討したところ、ラジカル重合開始剤の替わりに光重合開始剤を使用すれば、優れた功を奏することを見出し、本発明を成すに到った。
【0010】
即ち本発明は、(I)エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸との付加物、(II)(メタ)アクリレート類、(III)光重合開始剤、(IV)結晶性エポキシ樹脂、及び(V)潜在性硬化剤を含有する光・熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0011】
又、本発明は、上記光・熱硬化性樹脂組成物を基板の一方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、次いで、上記光・熱硬化性樹脂組成物を基板の他方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、その後、両方の一次硬化膜を表面研磨し、更に加熱して二次硬化を行う平滑板の製造方法を提供する。
更に、本発明は、上記製造方法にて製造された平滑板を提供する。
【0012】
特に、本発明の一態様として、上記光・熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板の一方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、次いで、上記光・熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板の他方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、その後、両方の一次硬化膜を表面研磨し、更に加熱して二次硬化を行う平滑化プリント配線板の製造方法を提供する。
【0013】
そして、本発明は、上記製造方法にて製造された平滑化プリント配線板を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光・熱硬化性樹脂組成物には成分(I)として、エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸との付加物を含有する。
【0015】
成分(I)の調製原料であるエポキシ樹脂(以下、単に「原料用エポキシ樹脂」ということがある。)のエポキシ価は、例えば130〜400、特に150〜250が好ましい。エポキシ価が130未満だと得られる光・熱硬化性樹脂組成物の粘度が低くなり過ぎて塗布性が悪化することがある。逆に、エポキシ価が400を超過すると、硬化膜の架橋密度が下がり耐熱性が悪化することがある。
【0016】
更に、原料用エポキシ樹脂中のエポキシ基数は、少なくとも二個以上が好ましく、通常は少なくとも三個以上である。エポキシ基数が一個の場合、後述の一次硬化反応に消費され、二次硬化反応に関与できないことがある。その結果、十分な架橋密度の硬化膜が得られず、硬化膜の耐熱性が十分でなくなる場合がある。
【0017】
原料用エポキシ樹脂としては、例えば多官能性フェノールからのエポキシ樹脂、ナフタレン骨格エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、トリアジン骨格エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、脂環式タイプのエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0018】
多官能性フェノールからのエポキシ樹脂としては、オルソクレゾールノボラック型、ビスフェノール(DPP)ノボラック型、3官能型(トリスヒドロキシフェニルメタン型等)、アルキル置換3官能型、4官能型(テトラフェニロールエタン型等)、ジシクロペンタジエンフェノール型等、及びその他のエポキシ樹脂が挙げられる。具体的には、表1〜表4に示す化学式(化−1)〜(化−25)で表されるもの等が挙げられる。
【0019】
【表1】
Figure 2004075967
【0020】
【表2】
Figure 2004075967
【0021】
【表3】
Figure 2004075967
【0022】
【表4】
Figure 2004075967
【0023】
化学式(化−1)、(化−2)、(化−3)、(化−7)、(化−15)、(化−20)、及び(化−21)中、nはそれぞれ0〜30の整数を表す。化学式(化−16)中、nは0〜20の整数を表す。化学式(化−18)中、nは0〜2の整数を表す。化学式(化−25)中、nは1〜30の整数を表す。化学式(化−2)中、R及びRは、それぞれ独立にH若しくはCHを表す。化学式(化−4)中、Rはt−C、RはCHを表す。更に、表2〜表4中、Gはグリシジル基を表す。
【0024】
好ましくは、化学式(化−1)、(化−2)、(化−3)、及び(化−7)で表されるもの等である。
【0025】
ナフタレン骨格エポキシ樹脂としては、例えばナフタレン系アラルキル型等のエポキシ樹脂組成物が挙げられる。具体的には、表5に示す化学式(化−26)〜(化−32)で表されるもの等が挙げられる。
【0026】
【表5】
Figure 2004075967
【0027】
化学式(化−27)、(化−30)、及び(化−31)中、nはそれぞれ1〜30の整数を表す。化学式(化−29)中、nは2〜30の整数を表す。更に、表5中、Gはグリシジル基を表す。好ましくは、(化−27)及び(化−31)で表されるもの等である。
【0028】
グリシジルアミン系エポキシ樹脂としては、例えばポリ(例えばトリ若しくはテトラ等)グリシジルアミン系のものが挙げられる。具体的には表6に示す化学式(化−33)〜(化−36)で表されるもの等が挙げられる。
【0029】
【表6】
Figure 2004075967
【0030】
トリアジン骨格エポキシ樹脂としては、具体的には[化1]に示すものが挙げられる。
【0031】
【化1】
Figure 2004075967
【0032】
グリシジルエステル系エポキシ樹脂としては、例えばダイマー酸ジグリシジルエステル等のダイマー酸系のもの、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のフタル酸系のもの、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート等が挙げられる。
【0033】
脂環式タイプのエポキシ樹脂としては、例えばシクロヘキセンオキシド系のものが挙げられる。具体的には、表7に示す化学式(化−37)〜(化−41)で表されるもの等が挙げられる。化学式(化−41)中、Mは2〜50の整数を表す。好ましくは、化学式(化−41)で表されるもの等が挙げられる。
【0034】
【表7】
Figure 2004075967
【0035】
成分(I)のもう一方の調製原料である不飽和脂肪酸としては、例えば次式[化2]、
【0036】
【化2】
Figure 2004075967
【0037】
[式中、R〜Rは、それぞれ独立にH又はCHを表す。]で表されるものが挙げられる。具体的には不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。
【0038】
成分(I)は、通常の調製法により調製してよい。例えば、原料用エポキシ樹脂の一種以上と不飽和脂肪酸の一種以上[例えばアクリル酸及び/又はメタアクリル酸(以下、単に「(メタ)アクリル酸」ということがある。)]とを、必要に応じ加熱下に、撹拌混合して調製してよい。
【0039】
不飽和脂肪酸は、原料用エポキシ樹脂中のエポキシ基の20〜80%、特に40〜60%に付加するのが好ましい。不飽和脂肪酸の付加量が20%未満のもの(単に、「20%未満不飽和脂肪酸付加物」のように言うことがある。以下、同様。)は、光・熱硬化性樹脂組成物に粘着性が生じ、基板に塗布したときに余分の樹脂をうまく除去できない場合がある。逆に80%超過不飽和脂肪酸付加物は、一次硬化膜が硬くなり、後述の研磨が困難となることがある。
【0040】
成分(I)としては、例えばノボラック型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加物(具体的には、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とアクリル酸との付加物等)が挙げられ、これらの1種以上を光・熱硬化性組成物中に含有してよい。
【0041】
本発明の光・熱硬化性樹脂組成物には成分(II)として、(メタ)アクリレート類(即ち、アクリレート類及び/又はメタアクリレート類)を含有する。
【0042】
成分(II)に於いて、上記アクリレート類としてはアクリル酸類とヒドロキシ化合物とのエステル化物等が挙げられる。又、上記メタアクリレート類としてはメタアクリル酸類とヒドロキシ化合物とのエステル化物等が挙げられる。
【0043】
上記アクリル酸類及びメタクリル酸類としては、前記化学式[化2]により表される不飽和脂肪酸等が挙げられる。具体的には、アクリル酸類及びメタクリル酸類としては、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。
【0044】
上記ヒドロキシ化合物としては、アルコール類、(ヘミ)アセタール若しくは(ヘミ)ケタール、ヒドロキシ酸エステル等が挙げられる。
【0045】
アルコール類としては、例えば低級アルコール、環系アルコール、多価アルコール類、芳香族アルコール等が挙げられる。
【0046】
アルコール類に於いて、低級アルコールとしては、例えばC1〜C10のものが挙げられる。具体的には、低級アルコールとしては、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキシルアルコール等が挙げられる。
【0047】
アルコール類に於いて、環系アルコールとしては、例えば単環系若しくは多環系(二環系、三環系等)のアルキル又はアルケニルアルコールが挙げられる。具体的には、環系アルコールとしては、ジシクロペンタニルアルコール、ジシクロペンテニルアルコール、イソボニルアルコール、フルフリルアルコール等が挙げられる。
【0048】
アルコール類に於いて、多価アルコール類としては、多価アルコール、及びその誘導体、例えば多価アルコールの部分エーテル、多価アルコールのエチレンオキシド(EO)付加体、多価アルコールの部分エステル等が挙げられる。
【0049】
多価アルコール類に於いて、多価アルコールとしては、例えばC2〜C8のアルカンジオール若しくはシクロアルカンジオール、グリコール類、ビスフェノールA類、エリスリトール類等が挙げられる。
【0050】
具体的には、多価アルコールとしては、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ジシクロペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0051】
多価アルコール類に於いて、その部分エーテルとしては、例えば上記多価アルコールの部分アリールエーテル(部分フェニル若しくはクレジルエーテル等)、部分アルキル(「アルキル」としてはC1〜C4のもの等)若しくはアルケニル(「アルケニル」としてはC1〜C4のもの等)エーテル(部分ブチルエーテル、部分アリルエーテル等)で表されるもの等が挙げられる。
【0052】
多価アルコール類に於いて、そのEO付加体としては、例えば上記多価アルコールのモノEO付加体、POE(EO重合度2〜6等)エーテル変性物等が挙げられる。この場合、多価アルコールの水酸基の一部若しくは総てにEOが付加していてもよい。
【0053】
多価アルコール類に於いて、その部分エステルとしては、例えば上記多価アルコールの炭素環カルボン酸エステル(安息香酸エステル等)、ヒドロキシ酸エステル(ヒドロキシヒバリン酸等)で表されるもの等が挙げられる。
【0054】
アルコール類に於いて、芳香族アルコールとしては、具体的にはベンジルアルコール等が挙げられる。
【0055】
ヒドロキシ化合物に於いて、(ヘミ)アセタール若しくは(ヘミ)ケタールとしては、上記アルコール類(例えば環系アルコール、多価アルコール等)とホルムアルデヒド、ヒドロキシアルデヒドの縮合物等が挙げられる。具体的には、ホルムアルデヒド・ジシクロペンテニル・ヘミアセタール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0056】
ヒドロキシ化合物に於いて、ヒドロキシ酸エステルとしては、具体的にはフルフリルアルコールのカプロラクトン開環付加体、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
【0057】
成分(II)としては、その単独硬化物のTg(℃)が80〜180、特に120〜150のものが好ましい。Tgが80未満だと一次硬化膜が粘着性を有するようになることがある。逆に180を超過する、一次硬化膜が硬くなり過ぎることがある。
【0058】
尚、成分(II)に於いて、カルボキシル基、水酸基等の親水性基を含有しないときは、光・熱硬化性樹脂組成物の吸湿性を低く抑えることができる。その結果、硬化物の耐湿性を高くすることができる。
【0059】
成分(II)としては、具体的には表8〜表11に示す化学式(化−42)〜(化−72)で表されるもの等が挙げられ、これらの1種以上含有してよい。
【0060】
好ましくは成分(II)としては、化学式(化−47)、(化−48)、(化−49)、(化−50)、(化−64)、(化−65)、(化−67)、(化−68)、及び(化−69)で表されるもの等が挙げられ、これらの1種以上含有してよい。化学式(化−46)中、nは1若しくは2を表す。
【0061】
【表8】
Figure 2004075967
【0062】
【表9】
Figure 2004075967
【0063】
【表10】
Figure 2004075967
【0064】
【表11】
Figure 2004075967
【0065】
本発明の光・熱硬化性樹脂組成物には成分(III)として、一次硬化反応のための光重合開始剤を含む。そのような成分(III)としては、例えば最大吸収波長200〜800nmのものが挙げられる。
【0066】
具体的には成分(III)としては、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシケトン類、2−メチル−1[(4−メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1等のアミノケトン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン等のベンゾフェノン類、2−エチルアントラキノン等のアントラキノン類、2,2‘−ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’,−テトラフェニル−1,2’ビイミダゾール等のビイミダゾール類、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン類、ベンジル類、イルガキュアー784として市販されているチタノセン化合物類、トリアリルスルフォニウム−6フッ化リン(または6−フッ化アンチモン)類等が挙げられ、これらの一種以上を含有してよい。
【0067】
本発明の光・熱硬化性樹脂組成物には成分(IV)として、結晶性エポキシ樹脂を含有する。成分(IV)としては、融点が常温より高いもの、例えば80〜150℃、特に90〜130℃が好ましい。融点が常温より低い場合、加温していっても光・熱硬化性樹脂組成物の粘度が急激に低下せず又は全く低下しないことがある。その結果、基板に塗布した樹脂中の脱泡が十分でない場合がある。
【0068】
又、成分(IV)としては、粘度(mPa・s)が、融点〜融点+20℃に於いて50以下、特に0.1〜20が好ましい。融解後の粘度が高過ぎると、基板に塗布した樹脂中の脱泡が十分でない場合がある。
【0069】
更に、成分(IV)としては、光・熱硬化性樹脂組成物中に於いて難溶性のものが好ましい。成分(IV)が易溶性のものである場合、加温していっても光・熱硬化性樹脂組成物の粘度が急激には低下しないことがある。その結果、基板に塗布した樹脂中の脱泡が十分でない場合がある。
【0070】
成分(IV)としては、例えばトリグリシジルイソシアヌレート型、ビフェニル型、ジフェニル型、ハイドロキノン型、ビフェニルノボラック型、及びフルオレイン型等の結晶性エポキシ樹脂が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。具体的には、トリグリシジルイソシアヌレート型としては、融点が101〜106℃のβ体が好ましい。ビフェニル型結晶性エポキシ樹脂としては、次式[化3]、
【0071】
【化3】
Figure 2004075967
【0072】
[式中、RはH若しくはCHを表す。]で表されるものが挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
ジフェニル型結晶性エポキシ樹脂としては、例えば次式[化4]
【0073】
【化4】
Figure 2004075967
【0074】
[式中、XはO若しくはSを表し、並びにR及びRは同一でも異なっていてもよいH、CH若しくはt−ブチルを表す。]で表されるものが挙げられ、これらの一種以上含有してよい。具体的には、ジフェニル型結晶性エポキシ樹脂としては、表12に洗わされる化学式(化−73)〜(化−77)で表されるもの等が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
【0075】
【表12】
Figure 2004075967
【0076】
ハイドロキノン型結晶性エポキシ樹脂としては、具体的には次式[化5]、
【0077】
【化5】
Figure 2004075967
【0078】
[式中、nは0、1若しくは2を表す。]で表されるものが挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
ビフェニルノボラック型結晶性エポキシ樹脂としては、具体的には次式[化6]、
【0079】
【化6】
Figure 2004075967
【0080】
[式中、nは1若しくは2を表す。]で表されるものが挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
フルオレイン型結晶性エポキシ樹脂としては、具体的には次式[化7]、
【0081】
【化7】
Figure 2004075967
【0082】
で表されるものが挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には成分(V)として、潜在性硬化剤を含有する。成分(V)は、加熱により二次硬化反応を起こさせるものである。成分(V)としては、二次硬化反応開始温度が後述の加熱脱泡温度より高いものが好ましい。二次硬化反応開始温度が低過ぎると、二次硬化反応が加熱脱泡の際に起きてしまい、後述の基板表面の研磨が困難となる場合がある。逆に、二次硬化反応開始温度が余りに高過ぎると、プリント配線板自体を熱損傷してしまうことがある。成分(V)としては、例えば二次硬化反応開始温度が150〜220℃、特に170〜200℃となるものが好ましい。
【0083】
成分(V)としては、例えばジシアンジアミド(DICY)類、イミダゾール類、BF−アミン錯体、アミンアダクト型硬化剤、アミン−酸無水物(ポリアミド)アダクト型硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、アミン系硬化剤のカルボン酸塩、オニウム塩等が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
【0084】
成分(V)に於いて、アミンアダクト型硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等)若しくはアミン系硬化剤(ジエチルアミン等)とエポキシ化合物、尿素若しくはイソシアネート化合物とのアダクト物等が挙げられる。
【0085】
成分(V)に於いて、ヒドラジド系硬化剤としては、具体的にはアジピン酸ジヒドラジド(ADH)、セバチン酸ジヒドラジド(SDH)等が挙げられる。
【0086】
成分(V)に於いて、アミン系硬化剤のカルボン酸塩としては、例えばナイロン塩やATU(3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)・アジピン酸塩等が挙げられる。
【0087】
成分(V)に於いて、オニウム塩としては、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
【0088】
具体的には、成分(V)としては、表13〜表15で示される化学式(化−78)〜(化−95)で表されるもの等が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。好ましくは、化学式(化−78)、(化−79)、(化−80)で表されるものである。尚、化学式(化−83)中、nは0〜3の整数を表す。
【0089】
【表13】
Figure 2004075967
【0090】
【表14】
Figure 2004075967
【0091】
【表15】
Figure 2004075967
【0092】
更に、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じ、種々の添加剤を添加してよい。添加剤としては、例えば光増感剤、充填剤、有機・無機着色剤、難燃剤、消泡剤等が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
【0093】
光増感剤としては、ミヒラーズケトンやチオキサントン類等が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
【0094】
充填剤としては、硫酸バリウム、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラスビーズ、クレー等が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
【0095】
有機・無機着色剤としては、酸化チタン、カーボンブラック、フタロシアニンブルー等が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
【0096】
尚、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物に於いては、成分(II)をマトリックス成分としてのみならず、溶剤を兼ねて含有させることができる。その場合、溶剤は添加しなくてもよい。溶剤を含有しない場合は、耐半田性等が更に優れた硬化膜を形成することができる。
【0097】
本発明の光・熱硬化性樹脂組成物の組成に於いて、成分(I)が100重量部に対し、成分(II)は50〜300重量部(特に150〜250重量部)、成分(III)は0.1〜50重量部(特に1〜10重量部)、成分(IV)は50〜200重量部(特に60〜120重量部)、成分(V)は5〜30重量部(特に10〜20重量部)が好ましい。
【0098】
成分(II)が50重量部未満だと、基板への塗布性が悪化することがある。逆に、300重量部を超過すると、アンダーコートの耐熱性が低下することがある。
【0099】
成分(III)が0.1重量部未満だと、一次硬化反応が不十分で、塗膜に粘着性が発生し、研磨が行えなくなることがある。成分(III)が50重量部を超過しても、一次硬化反応はあまり促進されないことがある。
【0100】
成分(IV)が50重量部未満だと、加熱脱泡の際に光・熱硬化性樹脂組成物が十分に粘度低下を起こさず、基板に塗布した樹脂中に気泡が残存することがある。逆に、200重量部を超過すると、一次硬化膜の表面がべた付き、後の研磨工程に支障を来たすことがある。
【0101】
成分(V)が5重量部未満だと、二次硬化反応が十分行われず、アンダーコートの耐熱性、耐湿性等が十分でない場合がある。逆に、30重量部を超過しても、二次硬化反応はあまり促進されないことがある。
【0102】
本発明の光・熱硬化性樹脂組成物の調製は、例えば各成分(I)〜(V)及び必要に応じ添加剤を混合し、均一に分散した後、真空脱泡して行ってよい。各配合成分の添加順序等は特に限定されず、各配合成分を順次に加え、若しくは全配合成分を一度に加えてもよい。
【0103】
上記のようにして調製される本発明の光・熱硬化性樹脂組成物は、基板への塗布性等を考慮すると、樹脂粘度(Pa・S、室温)10〜50、特に15〜30が好ましい。
【0104】
以下、本発明の平滑板の製造方法を説明する。本発明の平滑板の製造方法に於いては、上記本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を基板の一方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、次いで、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を基板の他方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、その後、両方の一次硬化膜を表面研磨し、更に加熱して二次硬化を行うことを特徴とする。
【0105】
本発明の平滑化方法は、基板表面上のあらゆる凹部の平滑化に適用することができる。例えば、配線板表面上の回路間の凹部、ビアの凹部、及び部品埋め込み用の凹部等、種々の凹部の平滑化に本発明の製造方法を適用することができる。
【0106】
本明細書に於いて「基板」とは、光・熱硬化性樹脂組成物が塗布される板状物をいう。基板には、単層基板及び積層基板等を含む。更に、基板には、各種部品(電子部品等)が搭載されているもの、及び搭載されていないもの等を含む。具体的には、基板としては、例えばプリント配線板、プリント回路板、絶縁基板、コア材等の電子材料用基板等が挙げられる。
【0107】
本明細書に於いて「平滑板」とは、基板表面の少なくとも一部が上記平滑化処理されている板状物をいう。
【0108】
次に、本発明の製造方法の一態様を、基板両面に於ける回路間の凹部を平滑化したプリント配線板の製造を例示して説明する。即ち、両面を平滑化したプリント配線板は、先ず、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板の一方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、次いで、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板の他方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、その後、両方の一次硬化膜を表面研磨し、更に加熱して二次硬化を行うことにより、製造される。
【0109】
以下、上記各工程について、より詳しく説明する。先ず、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板の一方の片面上の導体回路間に形成された凹部に塗布する。塗布方法としては、例えばスクリーン印刷法、ロールコート法等が挙げられる。
【0110】
次いで、この未硬化樹脂塗膜を加熱することにより、未硬化樹脂塗膜中に存する気泡を除去(即ち脱泡)する。加熱温度としては、例えば100〜150℃であってよい。加熱温度が余りに低過ぎると、成分(IV)が十分に溶解せず、その結果塗膜中に気泡が残存することがある。逆に加熱温度が余りに高過ぎると、後述の二次硬化反応が起こることがある。
【0111】
加熱脱泡時間としては、例えば30〜120分であってよい。加熱脱泡時間が余りに短すぎると、成分(IV)が十分に溶解せず、その結果塗膜中に気泡が残存したままとなることがある。逆に加熱脱泡時間が余りに長過ぎると、作業効率が低下することがある。
【0112】
次いで、未硬化樹脂塗膜を光照射して一次硬化を行い、一次硬化膜を形成する。光線種としては、成分(III)を活性化する光、例えば紫外線等が好ましい。具体的には光源としては、高圧ハロゲンランプ、高圧水銀ランプ等が挙げられる。照射量としては、特に限定されないが例えば100〜5000mJ/cmであってよい。
【0113】
プリント配線板の他方の片面についても、上記と同様にして、塗布、加熱脱泡、光照射を行い、この面上に一次硬化膜を形成する。尚、光照射する際は、必要に応じ、先に形成された一次硬化膜表面を光遮蔽膜等にて覆っていてもよい。これにより、この光照射の影響を完全に無くすことができる。
【0114】
その後、前記一方の片面上に形成された一次硬化膜の表面及び上記他方の片面上に形成された一次硬化膜の表面を研磨して、平滑化する。尚、研磨は、製造効率等の観点から、両面同時研磨が好ましい。研磨方法としては、機械研磨(ベルトサンダー、バフ研磨、サンドブラスト、スクラブ研磨等)等が挙げられる。本発明に於いては、通常、両面同時研磨後の表面は、段差が5μ以下となる。
【0115】
その後、研磨した両方の一次硬化膜を加熱して二次硬化を行い、それぞれ二次硬化膜(即ち完全硬化膜)とする。二次硬化温度としては、例えば150〜200℃であってよい。二次硬化温度が余りに低過ぎると、エポキシ基の係わる硬化反応が十分に進行せず、硬化膜の耐熱性、耐湿性が低下することがある。逆に二次硬化温度が余りに高過ぎると、基板自体が熱損傷を受けることがある。
【0116】
二次硬化時間としては、例えば30〜180分であってよい。二次硬化時間が余りに短すぎると、硬化膜の耐熱性及び耐湿性等が十分でない場合がある。逆に、二次硬化時間が余りに長過ぎると、作業効率が低下することがある。
【0117】
尚、必要に応じ、絶縁層、保護層等の各種層を設けてもよい。例えば、前記研磨表面上に絶縁層及び/又は保護層等を積層してよい。この場合は、これら各種層をラミネートした後に二次硬化を行ってよい。例えば、前記研磨表面上に絶縁層材料及び/又は保護層材料を被覆した後、加熱及び/又は光照射により上記材料を硬化させ、絶縁層及び/又は保護層を形成する。その後、昇温して二次硬化を行ってよい。
【0118】
又は、絶縁層、保護層等の各種層の形成と二次硬化とを同時に行ってもよい。例えば、前記研磨表面上に絶縁層材料及び/又は保護層材料を被覆した後、必要に応じ光照射を行いながら、二次硬化を起こす温度まで加熱して硬化を行ってよい。
【0119】
絶縁層材料としては、樹脂付き銅箔(RCC)、層間絶縁剤(エポキシ樹脂組成物等)、プリプレグ等が挙げられる。保護層材料としては、感光性ソルダーマスク等が挙げられる。
【0120】
更に、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を用いて、ビアの凹部を平滑化したプリント配線板を製造することもできる。即ち、平滑化多層プリント配線板は、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を多層プリント配線板用基板表面にあるビアに塗布し、加熱脱泡し、光硬化を行い、表面研磨をし、導体回路を形成し、絶縁層及び/又は保護層を被覆し、その後熱硬化を行うことにより製造される。
【0121】
以下、上記各工程について、より詳しく説明する。先ず、導体箔(銅箔、ニッケル箔等)にて被覆された基板表面のビアに、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を上記と同様にして塗布する。この塗布により、ビアの凹部が樹脂にて充填・埋められる。
【0122】
次いで、前記平滑化プリント配線板の製造法と同様にして、加熱脱泡し、光硬化を行い、表面研磨する。本発明に於いては、研磨後の表面は、通常、段差が3μ以下となる。
【0123】
その後、この基板表面上に導体パターンを形成させる。即ち、研磨した表面に対し、エッチングレジスト加工を行い、次いでエッチングを行い、その後エッチングレジストを除去して、導体パターンを形成させる。
【0124】
エッチングレジスト加工としては、例えばドライフィルムを被覆した後、パターンマスクを介して露光・硬化してレジストを形成するドライフィルム(ラミネート)法、導体箔の不要部を予め有機レジストで被覆した後に、導体パターン部を電着により金属レジストにて被覆し、その後有機レジストのみを除去する電着法等が挙げられる。
【0125】
エッチングに於いて、エッチャントとしては、例えば塩化第二鉄エッチング液、塩化第二銅エッチング液、アルカリエッチャント、過酸化水素/硫酸等が挙げられる。これらは、上記エッチングレジスト加工の種類に応じ、適宜選択してよい。
【0126】
エッチングレジストの除去は、例えば水酸化ナトリウム水溶液等のレジスト剥離液をスプレーノズル等からパネル表面へ噴射して、レジストを洗い流すことにより行ってよい。
【0127】
その後、前記平滑化プリント配線板の製造法と同様にして、必要に応じ更に絶縁層、保護層等の各種層を設けた後、又は各種層の形成と同時に、二次硬化を行い、ビアの凹部を平滑化したプリント配線板が製造される。
【0128】
尚、エッチングレジストを除去した後、前記の回路間の凹部を平滑化したプリント配線板の製造方法に従って、更に処理してよい。この場合、回路間の凹部及びビアの凹部の両方を平滑化したプリント配線板を製造することができる。
【0129】
上記のようにして製造される本発明の平滑板は、優れた耐半田性、耐湿性等を有する。例えば、保護層をラミネートした平滑化プリント配線板等は、一般に260℃の溶融半田に60秒間浸漬しても、クラック、膨れ・剥れ等が発生することはない。
【0130】
本発明の光・熱硬化性樹脂組成物に於ける加熱脱泡機構については、以下の通りであると考えられる。即ち、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を加熱すると、成分(IV)が融解する。その際、樹脂粘度が著しく低下する。その結果、樹脂中の気泡が(実質的に)総て抜けるという現象が起こるのである。そのため、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を使用した場合、硬化膜中には(実質的に)全く気泡が残存せず、非常に耐熱性、耐湿性等の優れた硬化膜が得られる。
【0131】
本発明の光・熱硬化性樹脂組成物の硬化に於いては、樹脂中の全重合性基を一度に全硬化させるものではなく、一次硬化と二次硬化の二段階硬化を行わせる。そのため、一次硬化膜は、全硬化膜に比し架橋密度が低く、硬くなり過ぎない。それで、硬化膜(一次硬化膜)表面の研磨が容易になり微細な研磨が可能となるので、非常に平滑な表面とすることができる。
【0132】
更に、本発明に於いては、一次硬化反応を光照射により行う。これにより、一方の片面のみを選択的に一次硬化させることが可能である。即ち、後の光照射の際に、先に形成された一次硬化膜が同時に光照射されることはないので、正味として、先の一次硬化時間と後の一次硬化時間とを正確に同じにすることができ、両面の硬化塗膜の表面硬度を同じにすることができる。その結果、両面同時研磨が容易なり且つ研磨残りが生じない
【0133】
【実施例】
以下本発明を、図1を用い、実施例にて更に具体的に説明する。
(光・熱硬化性樹脂組成物の調製)
・実施例1〜10及び比較例1
成分(I)と成分(II)との混合物、成分(III)、成分(IV)、成分(V)、並びに他の配合成分を順次加え、撹拌混合した。次いで、3本ロールミルにて均一に分散させた。得られた均一分散物を真空脱泡して、光・熱硬化性樹脂組成物(各実施例1〜10及び比較例1)を調製した。表16及び表17に、各配合成分及び配合量(kg)を示す。
【0134】
【表16】
Figure 2004075967
【0135】
【表17】
Figure 2004075967
【0136】
(回路間の凹部を平滑化したプリント配線板の製造)
・実施例11〜17
厚みが1.6mmの両面プリント配線板[絶縁基板(1)と両面の銅回路(2)から成り、銅回路厚が40μ、L/S=100μm]を基板として使用した(図1A)。即ち、光・熱硬化性樹脂組成物(各実施例1〜7)(4)を、250メッシュのポリエステルスクリーンを用いてマスク印刷して、上記基板の一方の片面(先行面)に塗布した。(図1B)
【0137】
図1Bに示すように、塗布した樹脂中の気泡(3)を30倍の顕微鏡により調べた。結果を、表18及び表19に示す。
【0138】
次いで、この基板を加熱炉により100℃まで加熱し、この温度下、20分間、脱泡を行った(図1C)。
この加熱脱泡後、基板全面に高圧水銀ランプにて光照射(500mJ/cm)して、一次硬化膜を形成した。
【0139】
その後、基板裏面(後面)についても先行面と同様に処理して、一次硬化膜を形成した(図1D)。両面(即ち先行面と後面)の一次硬化膜中の気泡の有無について30倍の顕微鏡により調べた。更に、両面の一次硬化膜の表面硬度を鉛筆硬度法(JISK−5400)により調べた。結果を、表18及び表19に示す。
【0140】
その後、両面同時研磨機(一対の400番のベルトサンダーと4対の600番のバフにより構成されている)により、両面の一次硬化膜表面を研磨した。
【0141】
その結果、研磨残りは無く、両面とも良好に研磨できた。又、基板両面について、導体回路間の凹凸の段差を表面荒さ計にて調べた。結果を表18及び表19に示す。図1Eに、両面研磨後のプリント配線板の断面図を示す。
【0142】
最後に、研磨した両面の一次硬化膜表面上にRCC[樹脂層(5)及び銅箔(6)から成る。]をラミネートした。そして、真空プレスにより180℃まで加熱し、この温度下、90分間、二次硬化を行って、本発明の基板両面の回路間の凹部を平滑化したプリント配線板(各実施例11〜17)を製造した。図1Fに、その断面構造を示す。
【0143】
得られたプリント配線板の耐半田性を、以下のようにして調べた。即ち、プリント配線板を260℃の溶融半田中に60秒間浸漬して、その後クラック、及び膨れ・剥れの有無を調べた。結果を表18及び表19に示す。
【0144】
更に、得られたプリント配線板の耐湿性を、以下のようにして調べた。即ち、先ずプリント配線板を85℃、85%RHの環境下にて168時間放置した。次いで、25℃、60%RHの環境下にて24時間保存した。その後、このプリント配線板を260℃の溶融半田中に60秒間浸漬して、クラック、及び膨れ・剥れの有無を調べた。結果を表18及び表19に示す。
【0145】
・比較例2
上記実施例11〜17と同様にして、基板の先行面に比較例1の熱硬化性樹脂組成物を塗布した。塗布した樹脂中の気泡を30倍の顕微鏡により調べた。結果を、表19に示す。
【0146】
次いで、この基板を加熱炉により150℃まで加熱し、この温度下、60分間、一次硬化を行った。
その後、基板裏面(後面)についても先行面と同様に処理して、一次硬化膜を形成した。
【0147】
両面(即ち先行面と後面)の一次硬化膜中の気泡の有無について30倍の顕微鏡により調べた。更に、両面の一次硬化膜の表面硬度を鉛筆硬度法(JISK−5400)により調べた。結果を、表19に示す。
【0148】
その後、両面同時研磨機(一対の400番のベルトサンダーと4対の600番のバフにより構成されている)により、両面の一次硬化膜表面を研磨した。
【0149】
その結果、先行面にのみ僅かに研磨残りが発生した。後面については、研磨残りは無く、良好に研磨できた。後面について、導体回路間の凹凸の段差を表面荒さ計にて調べた。結果を表19に示す。
【0150】
その後、研磨した両面の一次硬化膜表面上にRCCをラミネートした。そして、真空プレスにより180℃まで加熱し、この温度下、90分間、二次硬化を行って、基板両面の回路間の凹部を平滑化したプリント配線板を製造した。
【0151】
得られたプリント配線板の耐半田性及び耐湿性を、実施例11〜17と同様にして調べた。結果を表19に示す。
【0152】
【表18】
Figure 2004075967
【0153】
【表19】
Figure 2004075967
【0154】
上記表18、19から明らかなように、熱により一次硬化を行って製造した平滑化プリント配線板(比較例2)は、耐半田性及び耐湿性共に優れているが、先行面と後面との一次硬化膜の硬度が多少、異なっているため、同時研磨したときに先行面に僅かに研磨残りが発生した。
【0155】
一方、光により一次硬化を行って製造した平滑化プリント配線板(実施例11〜20)は、耐半田性及び耐湿性共に優れているのみならず、先行面と後面との一次硬化膜の硬度が同じ(2H)であり、同時研磨が容易であり、そのため全く研磨残りが発生していなかった。
【0156】
以上、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を使用すれば、同時研磨を行う場合でも優れた研磨性を示すものであり、従って片面ずつ研磨を行う場合は更に優れた研磨性を示すことは言うまでも無い。
【0157】
【発明の効果】
本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を使用することにより、両面同時研磨を行う場合に研磨安定性に優れ、研磨残りの発生を防ぐことができる。
本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を使用することにより、硬化膜の研磨が容易となり、高度な平滑板を製造することができる。
更に、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を使用することにより、硬化膜中に気泡等を残存させなくすることができる。
従って、本発明の光・熱硬化性樹脂組成物を用いて製造される平滑板は、耐半田性、耐湿性等に特に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1A〜図1Fは、基板両面上の導体回路間の凹部を平滑化した本発明に係るプリント配線板の製造工程を示すための断面工程図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 銅回路
3 塗布した樹脂中の気泡
4 光・熱硬化性樹脂組成物
5 RCCの樹脂層
6 RCCの銅箔

Claims (5)

  1. (I)エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸との付加物、(II)(メタ)アクリレート類、(III)光重合開始剤、(IV)結晶性エポキシ樹脂、及び(V)潜在性硬化剤を含有することを特徴とする光・熱硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の光・熱硬化性樹脂組成物を基板の一方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、次いで、請求項1記載の光・熱硬化性樹脂組成物を基板の他方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、その後、両方の一次硬化膜を表面研磨し、更に加熱して二次硬化を行うことを特徴とする平滑板の製造方法。
  3. 請求項2記載の製造方法にて製造された平滑板。
  4. 請求項1記載の光・熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板の一方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、次いで、請求項1記載の光・熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板の他方の片面上の凹部に塗布し、この塗膜を加熱脱泡し、更に光照射して一次硬化を行い、その後、両方の一次硬化膜を表面研磨し、更に加熱して二次硬化を行うことを特徴とする平滑化プリント配線板の製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法にて製造された平滑化プリント配線板。
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