本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板の製造法において、光・熱硬化型樹脂組成物(即ち、第一段硬化を光照射により行い且つ第二段硬化を加熱により行う、二段階硬化性樹脂組成物)としては、下記成分[I]〜[V]を含有するものが挙げられる。
[I]:エポキシ樹脂の不飽和脂肪酸部分付加物。
[II]:(メタ)アクリレート類。
[III]:光架橋剤。
[IV]:エポキシ樹脂。
[V]:潜在性硬化剤。
好ましくは、光・熱硬化型樹脂組成物の具体例としては、特開2003−105061号公報及び特開2004−75967号公報に記載のものが挙げられる。
光・熱硬化型樹脂組成物には成分[I]として、エポキシ樹脂の不飽和脂肪酸部分付加物を含有する。成分[I]の調製原料であるエポキシ樹脂(以下、単に「原料用エポキシ樹脂」ということがある。)のエポキシ価は、例えば130〜400、特に150〜250が好ましい。原料用エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、多官能性フェノールからのエポキシ樹脂、ナフタレン骨格エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、トリアジン骨格エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、脂環式タイプのエポキシ樹脂等が挙げられる。
好ましくは、原料用エポキシ樹脂としては、表1に示す式[化I−E1]〜[化I−E7]で表される各化合物、特にフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。
本願書類を通じ、式中、Gは、明らかに別意に用いられている場合を除き、グリシジル基、即ち次式、
式[化I−E1]〜[化I−E3]中、nは0〜30の整数を表す。式[化I−E4]〜「化I−E6]中、nは1〜30の整数を表す。式[化I−E7]中、nは2〜50の整数を表す。式[化I−E2]中、R1及びR2は、それぞれ独立に、H若しくはCH3を表す。
成分[I]のもう一方の調製原料である不飽和脂肪酸としては、例えば次式[化I−UFA]、
[式中、R
1〜R
3は、それぞれ独立に、H又はCH
3を表す。]
で表されるものが挙げられる。具体的には不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。
成分[I]は、通常の調製法により調製してよい。例えば、原料用エポキシ樹脂の一種以上と不飽和脂肪酸の一種以上[例えばアクリル酸及び/又はメタアクリル酸(以下、単に「(メタ)アクリル酸」ということがある。)]とを、必要に応じ加熱下に、撹拌混合して調製してよい。
成分[I]は、エポキシ樹脂に不飽和脂肪酸が部分的に付加した物である。即ち、エポキシ樹脂の不飽和脂肪酸部分付加物は、不飽和脂肪酸が付加した後のエポキシ樹脂中に少なくとも一個以上のエポキシ基が残存する。具体的には、不飽和脂肪酸は、原料用エポキシ樹脂中のエポキシ基の20〜80%、特に40〜60%に付加するのが好ましい。不飽和脂肪酸の付加量が20%未満のもの(単に、「20%未満不飽和脂肪酸付加物」のように言うことがある。以下、同様。)は、第一段光硬化物に粘着性が残ることがあり、その結果、後述のカバーフィルムを剥離する際に第一段光硬化物がカバーフィルムに付着することがある。逆に80%超過不飽和脂肪酸付加物は、エポキシ基の減少により硬化物の強靭性が損なわれ、クラックが発生しやすくなることがある。
成分[I]としては、例えばノボラック型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加物(具体的には、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とアクリル酸との付加物等)が挙げられ、これらの1種以上を光・熱硬化型樹脂組成物中に含有してよい。
好ましくは、成分[I]としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂のアクリル酸部分付加物、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のアクリル酸部分付加物、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂のアクリル酸部分付加物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂のメタクリル酸部分付加物、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂のメタクリル酸部分付加物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂のクロトン酸部分付加物等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。
光・熱硬化型樹脂組成物には成分[II]として、(メタ)アクリレート類(即ち、アクリレート類及び/又はメタアクリレート類)を含有する。成分[II]において、上記アクリレート類としては、アクリル酸類とヒドロキシ化合物とのエステル化物等が挙げられる。上記メタアクリレート類としては、メタアクリル酸類とヒドロキシ化合物とのエステル化物等が挙げられる。
上記アクリル酸類及びメタクリル酸類としては、前記式[化I−UFA]により表される不飽和脂肪酸等が挙げられる。具体的には、アクリル酸類及びメタクリル酸類としては、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。
上記ヒドロキシ化合物としては、アルコール類、(ヘミ)アセタール若しくは(ヘミ)ケタール、ヒドロキシ酸エステル等が挙げられる。アルコール類としては、例えば低級アルコール、環系アルコール、多価アルコール類、芳香族アルコール等が挙げられる。ヒドロキシ化合物において、(ヘミ)アセタール若しくは(ヘミ)ケタールとしては、上記アルコール類(例えば環系アルコール、多価アルコール等)とホルムアルデヒド、ヒドロキシアルデヒドの縮合物等が挙げられる。ヒドロキシ化合物において、ヒドロキシ酸エステルとしては、具体的にはフルフリルアルコールのカプロラクトン開環付加体、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
好ましくは、成分[II]としては、表2に示す式[化II−1]〜[化II−9]で表される各化合物、特にイソボロニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、クロトン酸イソボロニル等が挙げられ、これらの1種以上含有してよい。
光・熱硬化型樹脂組成物には成分[III]として、光架橋剤を含有する。成分[III]としては、光、例えば波長200〜400nmの紫外線等の照射により第一段硬化反応を開始させるものが挙げられる。
具体的には、成分[III]としては、ヒドロキシケトン類、ベンジルメチルケタール類、アシルホスフィンオキサイド類、アミノケトン類、ベンゾインエーテル類、ベンゾイル化合物類、チオキサントン類、ビイミダゾール類、ジメチルアミノ安息香酸エステル類、スルホニウム塩類、アントラキノン類、アクリドン類、アクリジン類、カルバゾール類、チタン錯体、及びこれらの一種以上含有してよい。
好ましくは、成分[III]としては、表3に示す式[化III−1]及び[化III−2]で表される各化合物等が挙げられ、これらの1種以上含有してよい。
光・熱硬化型樹脂組成物には成分[IV]として、エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂としては、結晶性エポキシ樹脂及び/又は液状エポキシ樹脂が挙げられる。成分[IV]において、結晶性エポキシ樹脂としては、例えば80〜110℃、特に90〜105℃が好ましい。更に、結晶性エポキシ樹脂としては、粘度(mPa・s)が、融点〜融点+20(℃)において50以下、特に0.1〜20が好ましい。更に、結晶性エポキシ樹脂としては、光・熱硬化型樹脂組成物中において難溶性のものが好ましい。
結晶性エポキシ樹脂としては、例えばビフェニル型、ジフェニル型、ハイドロキノン型、ビフェニルノボラック型、及びフルオレイン型等の結晶性エポキシ樹脂が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
ビフェニル型結晶性エポキシ樹脂としては、例えば、次式[化IVc−1]、
[式中、RはH若しくはCH
3を表す。]
で表されるものが挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
ジフェニル型結晶性エポキシ樹脂としては、例えば、次式[化IVc−2]、
[式中、XはO若しくはSを表し、並びにR
1及びR
2は、それぞれ独立に、H、CH
3若しくはt−ブチルを表す。]
で表されるものが挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
ハイドロキノン型結晶性エポキシ樹脂としては、例えば、次式[化IVc−3]、
[式中、nは0、1若しくは2を表す。]
で表されるものが挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
ビフェニルノボラック型結晶性エポキシ樹脂としては、例えば、次式[化IVc−4]、
[式中、nは1若しくは2を表す。]
で表されるものが挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
フルオレイン型結晶性エポキシ樹脂としては、例えば、次式[化IVc−5]、
好ましくは、結晶性エポキシ樹脂としては、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジ−(p−グリシジルフェニル)エーテル等が挙げられ、これらの1種以上含有してよい。
成分[IV]において、液状エポキシ樹脂とは、常温で液状又は半固体状態のエポキシ樹脂をいい、例えば、常温で流動性をもつエポキシ樹脂が挙げられる。そのような液状エポキシ樹脂としては、例えば粘度(室温、mPa・s)が20000以下、特に1000〜10000が好ましい。
具体的には、液状エポキシ樹脂としては、次式[化IVl−1]、
[式中、nは0若しくは1を表す。]
で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
更に、液状エポキシ樹脂の具体例としては、次式[化IVl−2]、
[式中、nは0若しくは1を表す。]
で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
更に、液状エポキシ樹脂の具体例としては、ナフタレン型のもの、ジフェニルチオエーテル(スルフィド)型のもの、トリチル型のもの、脂環式タイプのもの、下記アルコール類から調製されるもの、ジアリルビスA型のもの、メチルレゾルシノール型のもの、ビスフェノールAD型のもの、及びN,N,O−トリス(グリシジル)−p−アミノフェノール等が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
好ましくは、液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、N,N,O−トリス(グリシジル)−p−アミノフェノール、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの1種以上含有してよい。
光・熱硬化型樹脂組成物には成分[V]として、潜在性硬化剤を含有する。成分[V]は、加熱により第二段硬化反応を起こさせるものである。成分[V]としては、例えば第二段硬化反応開始温度が150〜300℃、特に150〜200℃となるものが好ましい。
具体的には、成分[V]としては、ジシアンジアミド(DICY)類、イミダゾール類、BF3−アミン錯体、アミンアダクト型硬化剤、アミン−酸無水物(ポリアミド)アダクト型硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、アミン系硬化剤のカルボン酸塩、オニウム塩等が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
具体的には、成分[V]において、アミンアダクト型硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤[2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1H))−エチル−S−トリアジン等]若しくはアミン系硬化剤(ジエチルアミン等)とエポキシ化合物、尿素若しくはイソシアネート化合物とのアダクト物等が挙げられる。ヒドラジド系硬化剤としては、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、セバチン酸ジヒドラジド(SDH)等が挙げられる。アミン系硬化剤のカルボン酸塩としては、例えばナイロン塩やATU(3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)・アジピン酸塩等が挙げられる。オニウム塩としては、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
好ましくは、成分[V]としては、表4に示す式[化V−1]〜[化V−3]で表される各化合物等が挙げられ、これらの1種以上含有してよい。
光・熱硬化型樹脂組成物には、必要に応じ、種々の添加剤を添加してよい。添加剤としては、例えば充填剤、有機・無機着色剤、難燃剤、消泡剤等が挙げられ、これらの一種以上含有してよい。
光・熱硬化型樹脂組成物の組成において、成分[I]100重量部に対し、成分[II]は100〜300重量部(特に150〜250重量部)、成分[III]は1〜50重量部(特に5〜15重量部)、成分[IV]は50〜200重量部(特に60〜120重量部)、成分[V]は1〜50重量部(特に5〜20重量部)、充填剤は200〜500重量部(特に250〜350重量部)が好ましい。
光・熱硬化型樹脂組成物の調製は、例えば各成分[I]〜[V]、並びに必要に応じ添加剤を混合し、均一に分散した後、真空脱泡して行ってよい。各配合成分の添加順序等は特に限定されず、各配合成分を順次に加え、若しくは全配合成分を一度に加えてもよい。
上記のようにして調製される光・熱硬化型樹脂組成物は、プリント配線板への塗布性等を考慮すると、樹脂粘度(Pa・S、室温)10〜50、特に15〜30が好ましい。
以下、本発明を、図面を用いて詳述する。
本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板の製造法において、素材となるプリント配線板としては、貫通穴[図1A、103]を有するプリント配線板を使用する。貫通穴としては、プリント配線板中を貫通する、あらゆる種類の穴が含まれる。具体的には、貫通穴としては、貫通バイアホール、部品穴、その他スルーホール等が挙げられる。プリント配線板の種類としては、両面プリント配線板が挙げられる。両面プリント配線板は、リジッドプリント配線板、フレキシブルプリント配線板、リジッド・フレックスプリント配線板等が挙げられる。
尚、貫通穴を有するプリント配線板は、導電層と樹脂層との密着性向上等のために、導電層表面[図1A、102]が粗化処理されているものが好ましい。導電層としては、導体金属層、特に回路層、貫通穴(スルーホール等)内壁のめっき金属層、金属箔層等が挙げられる。粗化処理としては、黒化処理、所謂「CZ(メックエッチボンド社製の化学粗化処理剤)処理」、黒化還元処理、針状合金めっき、物理的処理(サンドブラスト、ショットブラスト、バフ研磨等)が挙げられる。
本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板の製造法において、先ず、光・熱硬化型樹脂組成物を、貫通穴を有するプリント配線板の一方の表面及び貫通穴に塗布する。
光・熱硬化型樹脂組成物の塗布は、例えばスクリーン印刷(ポリエステルスクリーン若しくはステンレススクリーン等によるマスク印刷等)、メタルマスク印刷、ロールコート印刷等により行ってよい。
尚、真空印刷機を使用すれば、塗布樹脂中における気泡の発生を防ぐことができる。更に、塗布樹脂を加熱し(例えば80〜120℃、10〜60分)、樹脂粘度を低下させることにより、樹脂の脱泡を行うことができる。
本発明においては、上述の塗布により、プリント配線板の表面全体が樹脂層[図1B、105]にて被覆されるが、特にプリント配線板表面上の凹部(回路間の凹部等)[図1B、104]及び貫通穴も、塗布樹脂にて充填(穴埋め)されることを特徴とする[図1B]。従来、プリント配線板の回路間の凹部は、樹脂にて予め充填されることなしに、レジスト、プリプレグ、半硬化樹脂、接着シートその他層間材料が被覆されていた。
しかし、回路間の凹部を予め充填していない場合、その後に、たとえ真空プレスにて層間材料を回路間の凹部に充填しようとしても、充填が難しく不完全になりやすい。特に、高密度回路ではラインとスペースが狭く、層間材料による回路間の凹部の充填は困難である。そのため、回路間の凹部に僅かながら間隙が生じ、この間隙中に空気が残存することがある。その結果、後工程における部品実装の際のリフロー等で高い温度(例えば200〜300℃)がプリント配線板にかかった場合、この残存空気が膨張し、塗膜表面のふくれ(所謂、ポップコーン現象)が発生することがある[図6E、625、及び図7C、725]。
一方、回路間のスペースが大きい場合、完全に充填し得るが、完全に充填されたときは、この回路間の大きなスペース体積分の層間材料が充填用に使われることとなる結果、その分だけ被覆樹脂層表面に窪みが発生することがある[図6E、626、及び図7C、726]。以上の塗膜面の膨らみ及び窪みは、何れもプリント配線板の平坦性を著しく損なう。
それ故、プリント配線板の高い平坦性を達成するためには、プリント配線板の貫通穴のみならず、プリント配線板表面上の凹部(回路間の凹部等)にも、光・熱硬化型樹脂を充填することが重要である。
本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板の製造法において、上述の光・熱硬化型樹脂組成物を塗布充填した後、下記工程1)及び2)を順次、行う。即ち、
1)塗布樹脂表面をステンレススチール製加圧ロールにより0.1〜1MPaにて加圧し平坦化する工程。
2)塗布樹脂を光硬化させる工程。
具体的には工程1)は、先ず上記塗布充填済みプリント配線板を2枚のカバーフィルム[図1C、106]の間に挟む。カバーフィルムは、後述の第一段光硬化後にプリント配線板から剥離可能なものであり、好ましくは良好に照射光を透過するものである。具体的には、そのようなカバーフィルムとしては、PETフィルム、PENフィルム、PPフィルム、PEフィルム等が挙げられる。カバーフィルムの膜厚は、例えば10〜200(典型的には25〜100)μmであってよい。
その後、上記カバーフィルムにて被覆されたプリント配線板を、ステンレススチール製の加圧ロールにかける。加圧ロールは、例えばラミネータ等により行うことができる。即ち、先ず、上記カバーフィルムにて被覆されたプリント配線板を2本のローラー[図1D、107]の間に挟む。
この際、ローラーとローラーとの間隔は、プリント配線板の回路上における塗布樹脂の層厚[図1I、111]が樹脂硬化後に0.1〜10(特に0.1〜5)μmとなるように調節するのが好ましい。更に、プリント配線板の絶縁基板上の塗布樹脂層厚[図1I、112]は、樹脂硬化後に、回路銅箔の厚さ+0.1〜+10(特に+0.1〜+5)μmが好ましい。硬化樹脂の層厚が薄過ぎると、粗化された銅箔を充分に覆うことができなくなることがある。逆に、硬化樹脂の層厚が厚過ぎると、その後に硬化樹脂層を研磨して銅箔表面を露出させる必要が生じた場合、或いは後述の開口部を設ける必要が生じた場合、研磨作業或いは開口作業が容易でなくなることがある。その結果、プリント配線板の寸法変化が生じ、開口部に樹脂が残存し、或いはインピーダンスの設計値と実際の値の誤差が大きくなる、等の問題が発生することがある。
その後、プリント配線板の両面に被覆された、それぞれのカバーフィルム面上を、2本のローラーが上記ローラー間隔を維持しつつ全面に亘って移動[図1D、108]する。
ラミネート条件において、ラミネート圧力は0.1〜1MPaである。また、ラミネート速度0.1〜10(典型的には0.3〜3)m/分、ラミネート温度室温〜150(典型的には25〜100)℃、であってよい。
本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板の製造法において、工程1)を行った後、工程2)を行う。工程2)において、光照射は、プリント配線板の両側から行うのが好ましい。この場合、プリント配線板の両側(表側及び裏側)から同時に光照射してもよいし、片側から、順次に光照射してもよい。塗布樹脂はカバーフィルムを介して光照射され、その結果、塗布樹脂の第一段光硬化が起こる[図1E、109]。
光照射は、例えば、成分[III]の特性吸収波長領域の光、具体的には波長200〜400nmの紫外線を、0.5〜10J/cm2の光照射量にて、−20〜80℃で、行ってよい。尚、光硬化は、特開平9−6010号公報及び特開平10−29247号公報に記載された液中露光装置を使用して行ってもよい。
上記光硬化を行った後、プリント配線板の両面にそれぞれ被覆された各カバーフィルムを剥がして除去する。
本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板の製造法において、上記のようにして工程1)及び2)が完了した後、プリント配線板の他方の表面に対しても、光・熱硬化型樹脂組成物[図1F、105]を塗布する。塗布は、前記プリント配線板の一方の表面を塗布したと同様に行ってよい。
その後、前記と同様にして、工程1)[図1G、図1H]及び2)を、順次に行う。本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板の製造法において、その後、下記工程3)を行う。
3)光硬化樹脂を熱硬化させる工程。
工程3)により、前記工程2)にて第一段光硬化した塗布樹脂を第二段熱硬化して、完全硬化させる[図1I、110]。この完全硬化により、優れた、耐熱性、耐半田性、更には硬化樹脂とプリント配線板との密着性等が得られる。
工程3)における加熱条件としては、光・熱硬化型樹脂組成物の成分[V]の反応開始温度(第二段熱硬化開始温度)以上、具体的には120〜300(特に140〜200)℃にて、30〜200分間、加熱するのが好ましい。
上述の通り、本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板の製造法においては、熱プレスを行う必要がない(即ち、加熱と加圧とを同時に行う必要がない)ので、樹脂の変形を防ぐことができ、プリント配線板の平坦性低下を防ぐことができる。
上記のようにして得られる本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板は、一般に表面の凹凸高低差の最大値は3(典型的には1)μm以下である。
上述のようにして製造される本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板[図1I]は、プリント配線板の凹部(特に回路間の凹部等)及び貫通穴が硬化樹脂にて充填されており、且つ表面が極めて平坦で均一な硬化樹脂層(膜)にて被覆されている。
それ故、本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板は、回路の密集度に係わらずプリント配線板全体(全領域)に亘ってその厚さが均一で、かつ導電回路層(回路銅箔)上の塗布樹脂層の厚さが一定である。
上記本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板を素材として使用して、多層プリント配線板の内層用材料等として有用な多層プリント配線板(特に4層プリント配線板)を製造することができる。
即ち、本発明の多層プリント配線板は、先ず、光・熱硬化型樹脂組成物を、貫通穴を有するプリント配線板の一方の表面及び貫通穴に塗布し、工程1)及び2)を順次に行い、次いで光・熱硬化型樹脂組成物をプリント配線板の他方の表面に塗布し、工程1)及び2)を順次に行った後、下記工程Aを行う。
A)工程3)を行い、次いでプリント配線板を圧着材料で挟んで積層プレスして圧着材料を圧着する工程。
上記工程A)において、工程3)を完了した段階で、前述の通り、先ず、上記本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板が得られる。
その後、この本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板を圧着材料[図2A、213]で挟んで、積層プレスすることにより、圧着材料を圧着する。圧着材料としては、プリプレグ、樹脂付き銅箔、半硬化樹脂膜、接着シート、ドライフィルム、レジスト等が挙げられるが、典型的にはプリプレグである。圧着材料の厚さは、例えば50〜100μmであってよい。圧着材料は必要に応じ複数枚使用しても良い。
積層プレスは、圧着材料が半熱硬化樹脂である場合は、加熱下に行うのが好ましい。尚、加熱を、前記光・熱硬化型樹脂組成物の第二段熱硬化温度以上(特に、成分[V]の反応開始温度以上)にて行う場合は、前述の平坦化樹脂被覆プリント配線板の製造法において工程3)を省略することができる。
即ち、この場合は、先ず、光・熱硬化型樹脂組成物を、貫通穴を有するプリント配線板の一方の表面及び貫通穴に塗布し、工程1)及び2)を順次に行い、次いで光・熱硬化型樹脂組成物をプリント配線板の他方の表面に塗布し、工程1)及び2)を順次に行った後、下記工程Bを行う。
B)プリント配線板を圧着材料で挟んで光硬化樹脂の熱硬化温度以上にて積層プレスして圧着材料の圧着と工程3)とを同時に行う工程。
上記工程B)において、熱硬化温度以上にて積層プレスすることにより、圧着材料の圧着(及び完全熱硬化)と光硬化樹脂の第二段熱硬化[即ち、工程3)]とが同時に行われる。
工程A)又はB)において、積層プレス条件としては、例えば120〜200(特に135〜180)℃、30〜180(特に60〜150)分、圧力10〜100(特に15〜40)kgf/cm2が好ましい。
積層プレスは、例えば開放式積層装置、真空式積層装置等にて行うことができる。更に、これらの積層装置は、例えば油圧プレス、オートクレーブ・プレス等であってよい。更に、真空式油圧プレスは、枠タイプ、ボックスタイプ等であってよい。
多層プリント配線板の製造法において、上記工程A)又はB)を行った後、圧着材料表面から導体層(例えば回路層)に到るまで穴あけを行い、ブラインドホールのマイクロビア[図2B、214]を形成する。このマイクロビアは、後工程にて形成される回路層との層間接続用コンフォーマルビアとして利用される。穴あけは、例えばレーザ(UVレーザ、CO2レーザ、エキシマレーザ、Nd:YAGレーザ等)又はプラズマを用いる方法により行うことができる。マイクロビアの直径は、例えば10〜200(特に20〜70)μmが好ましい。
次いで、本発明の多層プリント配線板の製造法において、全面めっき[図2C、215]を施す。全面めっきは、両面行うのが好ましい。この全面めっきにより、全露出表面(圧着材料表面、マイクロビア内壁面、マイクロビアにより開口した導体層露出面等)がめっき層にて被覆される。このめっき層は、層間接続及び後工程の回路形成等に使用される。
全面めっきは、先ず無電解めっきをして、所謂、下地作りを行い、その後、更に電解めっきを行うのが好ましい。無電解めっき及び電解めっきにおける「めっき」としては、例えば銅めっき、ニッケルめっき、金めっき、ニッケル−金めっき、はんだめっき等が挙げられ、同一めっきであっても二種組み合わせてもよい。無電解めっきの層厚は0.1〜10(特に0.5〜5)μm、電解めっきの層厚は10〜50(特に15〜30)μmが、それぞれ好ましい。
次いで、本発明の多層プリント配線板の製造法において、上記全面めっき層より回路[図2D、216]を形成する。回路形成は、例えばサブトラクティブ法又はアディティブ法等によって行うことができる。
次いで、本発明の多層プリント配線板の製造法において、表面をレジスト[図2E、217]にて被覆する。レジストとしては、ソルダーレジスト、ポリイミドレジスト、ポリイミドフィルム等が挙げられるが、典型的にはソルダーレジストである。
レジストの被覆は、例えば感光性レジストインク若しくはドライフィルムを用いて露光・現像する写真法、並びにレジストインクを用いる印刷法等によって行うことができる。
レジストは、必要に応じ、開口部を設けていてもよい。この場合、開口部を有するレジストパターンが得られるように、露光・現像又はインク印刷が行われる。レジストの開口部は、具体的には、多層プリント配線板にパッド[図2E、218]及び/又は端子部[図2E、219]を設けるためのものであってよい。この場合、多層プリント配線板は、パッド及び/又は端子部以外がレジストマスクにて被覆される。
レジストの開口部により露出しているパッド表面及び/又は端子部表面は、耐摩擦性を向上するために、更にパッドめっき[図2F、220]及び/又は端子めっき[図2F、221]を施してよい。パッドめっき及び/又は端子めっきは、例えば先ずニッケルめっきを行い、その後、更に金めっきを行って、形成してもよい。めっきの層厚は、0.1〜20(特に0.5〜10)μmが好ましい。
上記のようにして製造される本発明の多層プリント配線板[図2F]は、コア部分(即ち、素材として使用した本発明の前記平坦化樹脂被覆プリント配線板に相当する部分)の回路の密集度に係わらず、表面に膨れや窪みが全く存在せず、極めて優れた平坦性が達成されており、かつコア部分の導電回路層(回路銅箔)上の絶縁層(硬化樹脂層及び圧着材料層)の厚さも極めて一定である。
本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板を素材として使用して、多層プリント配線板の外層用材料等として有用なプリント配線板(特に両面プリント配線板)を製造することができる。即ち、本発明のプリント配線板の製造法において、光・熱硬化型樹脂組成物を、貫通穴を有するプリント配線板の一方の表面及び貫通穴に塗布し、工程1)及び2)を順次に行い、次いで光・熱硬化型樹脂組成物をプリント配線板の他方の表面に塗布し、工程1)〜3)を順次に行って、本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板を先ず、得る[図3A]。
次いで、この平坦化樹脂被覆プリント配線板の被覆樹脂(硬化樹脂)層に開口部を設ける。この態様においては、被覆樹脂層がレジストとして機能する[図3B]。
被覆樹脂層の開口部は、前述と同様、例えばレーザ(UVレーザ、CO2レーザ、エキシマレーザ、Nd:YAGレーザ等)又はプラズマを用いる方法等によって形成してよい。被覆樹脂層の開口部は、具体的には、プリント配線板にパッド[図3B、318]及び/又は端子部[図3B、319]を設けるためのものであってよい。更に、パッド表面及び/又は端子部表面は、パッドめっき[図3C、320]及び/又は端子めっき[図3C、321]を施してよい。
上記のようにして製造される本発明のプリント配線板[図3C]は、その表面に膨れや窪みが全く無く、極めて高い平坦性が達成されている。それ故、微小部品の高密度実装時の位置精度に優れ、回路の密集度に係わらずプリント配線板全体に亘ってその厚さが均一で、且つ平坦な樹脂層(特にソルダーレジスト膜)にて被覆されている。その結果、狭ピッチBGA(ボール・グリッド・アレイ)、例えばバンプのピッチが100μm以下のBGA等を実装した際のアンダーフィルの入り込み性にも優れる。
以上、本発明について説明したが、当業者であれば本発明を更に改変・拡張することは容易である。例えば、本発明の多層プリント配線板の製造法において、「全面めっきを施し、めっき層より回路を形成」する替わりに、「めっきレジスト[図4A、422]を形成し、めっきレジストで覆われていない部分にめっき[図4B、415]を施し、回路[図4C、416]を形成」してもよい。
更に、本発明の多層プリント配線板の製造法における各製造工程を繰り返すことにより、所望の層数の多層プリント配線板を製造することができる。
更に、本発明の多層プリント配線板の製造法において、「圧着材料」として「樹脂付き銅箔」[図5A、523及び524]を使用してもよい。この場合は、後工程の「全面めっき」を省略することもできる。[図5]
更に、本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板、多層プリント配線板、及びプリント配線板を、内層材又は外層材として適宜、複数枚、組み合わせ、これらを積層プレスすれば、層数がより多く且つ層構造がより複雑な所望の穴埋め多層プリント配線板を製造することができる。
更に、本発明の如何なる製造法においても、プリプレグの替わりに、他の接着シートその他層間材料又は樹脂付き銅箔を使用することができ、その結果、所望の層構造の穴埋め多層プリント配線板を製造することができる。
更に、本発明の製造法において、工程1)を、カバーフィルムを用い加圧ロールにより行う場合を説明したが、フィルム以外の他のもの(型、板、シートその他)を使用してよい。
以下本発明を図を用い、実施例にて更に具体的に説明する。
<光・熱硬化型樹脂組成物の調製>
・調製例1
下記に示す各配合成分を撹拌混合した。次いで、3本ロールミルにて均一に分散させた。得られた均一分散物を真空脱泡して、光・熱硬化型樹脂組成物(調製例1)を調製した。
光・熱硬化型樹脂組成物(重量部):
ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂の40%メタクリル酸付加物(100)、ジシクロペンタニルメタクリレート(30)、トリメチロールプロパントリアクリレート(70)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(80)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(10)、ジエチルチオキサントン(1)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1)(80)、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂(20)、ジシアンジアミド(10)、シリカ(250)、表面処理コロイダルシリカ(6)、ポリジメチルシロキサン(3)。
1):前記式「化IVl−1]において、n=0のもの(86重量%)とn=1のもの(14重量%)との混合物、平均分子量380。
<熱・熱硬化型樹脂組成物の調製>
・調製例2
下記に示す各配合成分を撹拌混合した。次いで、3本ロールミルにて均一に分散させた。得られた均一分散物を真空脱泡して、熱・熱硬化型樹脂組成物(調製例2)を調製した。
熱・熱硬化型樹脂組成物(重量部):
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(19)、N,N,O−トリス(グリシジル)−p−アミノフェノール(28)、ジシアンジアミド(2)、エポキシ樹脂アミンアダクト(1)、水酸化アルミニウム(49)、ベントナイト(0.5)、ポリジメチルシロキサン(0.5)。
<プリント配線板の製造>
・実施例1
両面プリント配線板として、絶縁基板[厚さ0.930mm、図1A、101]の両面に回路層[図1A、102]を備え、且つスルーホール[図1A、103]の内壁が銅張されたもの[銅回路厚が40μm、ライン/スペース(L/S)=20μm/40μm、スルーホール径がめっき後で100μm]を使用した。尚、導電層表面(回路及びスルーホール内壁の銅張部分)が、「メックエッチボンドCZ−8101」(メック社製、化学粗化薬品)にて予め粗化処理されているものを使用した。
光・熱硬化型樹脂組成物(調製例1)[図1B、105]を、下記表5に示す印刷条件にてスクリーン印刷を行い、上記プリント配線板の一方の片面(先行面)に全面塗布し、スルーホール及び回路間の凹部[図1B、104]を充填、穴埋めした。
次いで、このプリント配線板を水平ラックに載せ、BOX乾燥機で80℃、30分間加熱し、粘度を低下させ、塗布樹脂中の気泡を除去した。尚、この光・熱硬化型樹脂組成物(調製例1)を50倍の顕微鏡により調べ、回路間に気泡は存在しないことを確認した。
次いで、このプリント配線板を、膜厚100μmのPETフィルム[図1C、106]で挟んで、ラミネータにかけた。即ち、このフィルム被覆プリント配線板を、2本のステンレススチール製ローラー[図1D、107]の間に挟み(ラミネート圧力0.1MPa、ラミネート速度0.5m/min、ラミネート温度100℃)、ローラーをフィルム上にて移動させた[図1D、108]。こうして、プリント配線板の表面上の塗布樹脂層を平坦・薄膜化させた[図1D]。
次いで、上記プリント配線板を、高圧水銀ランプを用いて、露光量1200mj/cm2にて光照射して、第一段光硬化物[図1E、109]を形成した後、上記両面のPETフィルムを剥がして除去した[図1E]。
次いで、上記プリント配線板の裏面(後行面)についても先行面と同様に処理した。即ち、光・熱硬化型樹脂組成物(調製例1)[図1F、105]を、表5に示す印刷条件にてスクリーン印刷を行い、上記配線板の他方の片面(後行面)に全面塗布し、回路間の凹部[図1F、104]を充填した[図1F]。
次いで、このプリント配線板を水平ラックに載せ、BOX乾燥機で80℃30分間加熱し、粘度を低下させ、塗布樹脂中の気泡を除去した。尚、この光・熱硬化型樹脂組成物(調製例1)を50倍の顕微鏡により調べ、回路間に気泡は存在しないことを確認した。
次いで、このプリント配線板を、膜厚100μmのPETフィルム[図1G、106]で挟んだ。このフィルム被覆プリント配線板を、2本のステンレススチール製ローラー[図1G、107]に挟み(ラミネート圧力0.1MPa、ラミネート速度0.5m/min、ラミネート温度100℃)、ローラーをフィルム上にて移動させた[図1G、108]。こうして、プリント配線板の表面上の塗布樹脂層を平坦・薄膜化させた[図1H]。
次いで、上記プリント配線板を、高圧水銀ランプを用いて、露光量1200mj/cm2にて光照射して、第一段光硬化物を形成した後、上記両面のPETフィルムを剥がして除去した。
その後、このプリント配線板を150℃、30分間加熱して光硬化樹脂の第二段熱硬化[図1I、110]を行って、全厚が1.018mmの本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板(実施例1)を製造した[図1I]。
・実施例2
両面プリント配線板として、厚さ0.930mmの絶縁基板の両面に回路層を備え、且つスルーホールの内壁が銅張されたもの[銅回路厚が40μm、L/S=20μm/40μm、スルーホール径がめっき後で100μm]を使用した。尚、導電層表面(回路及びスルーホール内壁の銅張部分)を、メックエッチボンドCZ−8101にて予め粗化処理したものを使用した。
光・熱硬化型樹脂組成物(調製例1)を、真空印刷機を用いて、表5に示す印刷条件にてスクリーン印刷を行い、上記配線基板の一方の片面(先行面)に全面塗布し、スルーホール及び回路間の凹部を充填・穴埋めした。
次いで、このプリント配線板を、膜厚100μmのPETフィルムで挟んで、ラミネータにかけた。即ち、このフィルム被覆プリント配線板を2本のステンレススチール製ローラーの間に挟み(ラミネート圧力0.1MPa、ラミネート速度0.5m/min、ラミネート温度室温)、ローラーをフィルム上にて移動させた。こうして、プリント配線板の表面上の塗布樹脂層を平坦・薄膜化させた。
次いで、上記プリント配線板を、高圧水銀ランプを用いて、露光量1200mj/cm2にて光照射し、第一段光硬化物を形成した後、上記両面のPETフィルムを剥がして除去した。
次いで、上記プリント配線板の裏面(後行面)についても先行面と同様に処理した。即ち、光・熱硬化型樹脂組成物(調製例1)を、真空印刷機を用いて、表5に示す印刷条件にてスクリーン印刷を行い、上記配線基板の他方の片面(後行面)に前面塗布し、回路間の凹部を充填した。
次いで、このプリント配線板を、膜厚100μmのPETフィルムで挟んだ。このフィルム被覆プリント配線板を、2本のステンレススチール製ローラーの間に挟み、(ラミネート圧力0.1MPa、ラミネート速度0.5m/min、ラミネート温度室温)、ローラーをフィルム上にて移動させた。こうして、プリント配線板の表面上の塗布樹脂層を平坦・薄膜化させた。
次いで、上記プリント配線板を、高圧水銀ランプを用いて、露光量1200mj/cm2にて光照射して、第一段光硬化物を形成した後、上記両面のPETフィルムを剥がして除去した。
その後、このプリント配線板を150℃、30分間加熱して光硬化樹脂の第二段熱硬化を行って、全厚が1.030mmの本発明の平坦化樹脂被覆プリント配線板(実施例2)を製造した。
・実施例3
上記プリント配線板(実施例1)を素材として使用して、4層プリント配線板を製造した。即ち、先ず上記プリント配線板(実施例1)の両表面上に、厚さ0.1mmのプリプレグ[図2A、213]を被覆して挟んだ。
次いで、表6のプレス条件に従って、上記プリント配線板を加熱真空プレスし、プリプレグを圧着した。
次いで、上記プリント配線板のプリプレグ表面からレーザ照射し、回路層[図2B、202]を露出させ、マイクロビア(ビア径70μm)[図2B、214]を形成した[図2B]。
次いで、上記プリント配線板の両表面上及びマイクロビア内壁表面に、銅めっき(始めに無電解銅めっき、続けて電解銅めっき)を行い[図2C、215]、ビアとプリプレグの表面を銅箔で覆い、両面銅張積層板を形成した。尚、めっき厚は、無電解銅めっき1μm、電解めっき14μmであった。
次いで、上記両面銅張積層板の両表面上に以下のようにして回路[図2D、216]を形成させた。先ず、ドライフィルム(ラミネート)法にて、エッチングレジストを形成した。即ち、ドライフィルムを上記両面銅張積層板の両表面にラミネートし、ネガ型フィルム(パターンマスク)を重ね合わせ、超高圧水銀灯にて、露光・硬化した。
次いで、ドライフィルムのキャリアフィルムを剥離し、露出したレジスト面へ現像液(1%炭酸ナトリウム溶液)をスプレーノズルから吹き付け現像し、その後水洗して、レジストパターンを形成した。
次いで、エッチングを行った。即ち、上記レジスト被覆両面銅張積層板の両面に、塩化第二鉄溶液(36重量%)をスプレーノズルから吹き付けて、不要銅箔を溶解除去した。上記エッチング完了後、3%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーノズルから噴射して、エッチングレジストを膨潤させながら洗い流した。
上記のようにして、回路を形成した後、ソルダーレジストインキを塗布し、ソルダーレジスト[図2E、217]を形成した。即ち、先ず、回路が形成された両表面に紫外線・熱硬化型アクリレート/エポキシ混合樹脂を150メッシュのテトロンスクリーンを介してスキージ(スキージ硬度75)にてスクリーン印刷した。
次いで、75〜80℃にて温風乾燥炉中にてプレベークした後、ネガフィルムを密着させて露光(300mj/cm2)硬化した。そして、1%炭酸ナトリウム溶液(30℃、2.5kg/cm2)にて現像して、開口部(パッド部[図2E、218]、及び端子部[図2E、219])を形成した。その後、150℃にて30分間加熱して、熱硬化を行った。
その後、パッド部[図2E、218]及び端子部[図2E、219]については先ず電解ニッケル、続いて金めっきを施した[図2F、220及び221]。
上記のようにして、コア部における回路密集部上の絶縁層の厚さが一定(均一)であり且つ回路過疎部上の絶縁層の厚さが一定(均一)であり、表面に膨れや窪みが無く全体に亘って平坦な、本発明の4層プリント配線板(実施例3)[図2F]を製造した。
・実施例4
上記プリント配線板(実施例2)を素材として使用して、両面プリント配線板を製造した。即ち、先ず上記プリント配線板(実施例2)の被覆硬化樹脂層[図3A、310]をレーザ照射して、パッド部[図3B、318]及び端子部分[図3B、319]における回路層の銅箔を露出させた[図3B]。
その後、パッド部[図3C、318]及び端子部分[図3C、319]に、先ず電解ニッケル、引き続き電解金めっき[図3C、321]を施した。
上記のようにして、回路密集部上の絶縁層の厚さが一定(均一)であり且つ回路過疎部上の絶縁層の厚さが一定(均一)であり、表面に膨れや窪みが無く全体に亘って平坦な、全厚が1.030mmの本発明の両面プリント配線板(実施例4)を製造した[図3C]。
・比較例1
両面プリント配線板として、厚さ0.930mmの絶縁基板[図6A、601]の両面に回路層[図6A、602]を備え、且つスルーホールの内壁が銅張されたもの[銅回路厚が40μm、L/S=20μm/40μm、スルーホール径がめっき後で100μm]を使用した。尚、導電層表面(回路及びスルーホール内壁の銅張部分)を、メックエッチボンドCZ−8101にて予め粗化処理したものを使用した。
上記プリント配線板上に、熱・熱硬化型樹脂組成物(調製例2)[図6A、605]を、表5に示す印刷条件にてスクリーン印刷を行い、回路間の凹部には樹脂充填せず、スルーホールのみを充填、穴埋めした。
次いで、上記プリント配線板を130℃、60分間加熱して、第一段熱硬化物[図6B、609]を形成した[図6B]後、上記プリント配線板の両面を、先ず400番セラミックバフにて1回研磨し、更に600番バフにて4回研磨した[図6C]。
次いで、上記プリント配線板の両表面上に、プリプレグ[図6D、613]を被覆して挟んだ。尚、プリプレグの厚さは0.1mmであった。
次いで、表6のプレス条件に従って、上記プリント配線板を加熱真空プレスし、プリプレグの圧着と、第一段熱硬化樹脂の第二段熱硬化を同時に行い、プリント配線板を製造した[図6E](比較例1)。
得られたプリント配線板(比較例1)について、下記の不具合が見られた。即ち、L/S=20μm/40μmの回路密集部において、プリプレグによる充填が不完全であり、回路間に空気が残存し、表面が膨らんだ[図6E、625]。
更に、L/S=20μm/200μmの回路過疎部において、プリプレグによる充填は完全であったが、回路間にプリプレグが充填消費されることによる窪みが生じた[図6E、626]。
・比較例2
上記プリント配線板(比較例1)を素材として使用して、4層プリント配線板を製造した。即ち、プリント配線板として、実施例1の替わりに比較例1を使用した以外は、実施例3と同様にして、4層プリント配線板(比較例2)を製造した。
しかし、素材(コア材)のプリント配線板(比較例1)表面に膨れ[図6E、625]や窪み[図6E、626]が存在することに因り、製造された4層プリント配線板(比較例2)表面にも膨れ[図9A、925]や窪み[図9B、926]を生ずることとなった。
<バンプ形成BGA部品実装プリント配線板の製造>
・製造例1及び比較製造例1
BGA部品におけるバンプ[バンプ高さの平均値33.4μm、バンプ高さの標準偏差1.5]と、4層プリント配線板(各実施例3及び比較例2)のパッド部とをバンプ接続して、BGA部品実装プリント配線板を製造した(各製造例1及び比較製造例1)。
<プリント配線板の特性評価>
各プリント配線板について、回路上及び絶縁基板上における塗布樹脂の各硬化膜厚(各実施例1及び2)、(4層)プリント配線板表面上の最大膨れ量及び最大窪み量(各実施例1及び2、比較例1、並びに製造例1及び比較製造例1)、(4層)プリント配線板の平坦性の標準偏差(プリント配線板の各部位における厚みのバラツキの大きさ)(各実施例1及び2、比較例1、並びに製造例1及び比較製造例1)、BGA部品実装後のバンプ高さの平均値(製造例1及び比較製造例1)、並びにバンプ接合性(製造例1及び比較製造例1)について、測定・評価した。
評価に使用したBGAは、サイズ16.0mm×16.0mm、板厚0.4mm、バンプピッチが75μm、バンプ数148のものであった。
表7及び表8中、「膨れ量」及び「窪み量」は、(4層)プリント配線板表面の内、「膨れ」及び「窪み」が生じていない表面部分(即ち平坦面部分)を基準面としたときの、それぞれ膨れの高さ及び窪みの深さを表す。
尚、塗布樹脂の硬化膜厚、表面上の膨れ量及び窪み量、並びにBGA部品実装後のバンプ高さは、クロスセクション法にて測定した。プリント配線板(各実施例1及び2、並びに比較例1)表面の平坦性の標準偏差は、プリント配線板表面上に2mm間隔の升目を想定し、縦横25個ずつの交点におけるプリント配線板の各全厚を測定して求めた。4層プリント配線板(各実施例3及び比較例2)表面の平坦性の標準偏差sは、表面上の各パッドめっき部における全厚を測定して求めた。
更に、バンプ接合性は、以下のようにして評価した。即ち、バンプ接続前のバンプ高さの平均値h(=33.4μm)、バンプ接続後(BGA部品実装後)のバンプ高さの平均値h’、4層プリント配線板表面の平坦性の標準偏差s、並びにバンプ接続前のバンプ高さの標準偏差ρ(=1.5)が、表9中、式(1)を満足する関係にあるときは「○(バンプ接合良好)」、式(2)を満足する関係にあるときは「×(バンプ接合不良)」と評価した。式(1)又は(2)において、左辺はバンプ潰れ量(以下「バンプの潰れ」ということがある。)を表し、右辺は4層プリント配線板表面の平坦性のばらつきとバンプ高さのばらつきとの合計ばらつき量(以下「ばらつき」ということがある。)を表す。
表7及び表8から、以下のことが明らかである。即ち、本願の平坦化樹脂被覆プリント配線板(実施例1及び2)並びに4層プリント配線板(実施例3)は、従来の(4層)プリント配線板(比較例1及び比較製造例1)に比し、(最大膨れ量と最大窪み量との和が小さいので)プリント配線板表面上の凹凸が小さく、且つ(平坦性の標準偏差が小さいので)プリント配線板表面が極めて平坦である。
更に、BGA部品を本願の4層プリント配線板(実施例3)に実装(バンプ接続)した場合(製造例1)は、(バンプ潰れ量が合計ばらつき量よりも大きいことから)「バンプの潰れ」により「ばらつき」を吸収できるので、総てのバンプが確実に接合される。
一方、BGA部品を従来の4層プリント配線板(比較例2)に実装(バンプ接続)した場合(比較製造例1)は、(バンプ潰れ量が合計ばらつき量よりも小さいことから)「バンプの潰れ」により「ばらつき」を吸収できないので、一部のバンプが接合され得ない。
即ち、図9Aに示すように、膨れ量が大き過ぎる場合、膨れ925に存在するバンプ932aは、パッドめっき920とバンプ932bとが接合できる程度にまで、潰れることができない(何故なら、バンプ932aの「バンプの潰れ」量がもはや限界に達しているからである)。その結果、バンプ932bは、パッドめっき920とバンプ接続され得ないこととなる。
同様に、図9Bに示すように、窪み量が大き過ぎる場合、バンプ932aは、窪み926に存在するパッドめっき920とバンプ932bとが接合できる程度にまで、潰れることができない(何故なら、バンプ932aの「バンプの潰れ」量がもはや限界に達しているからである)。その結果、バンプ932bは、パッドめっき920とバンプ接続され得ないこととなる。