JP2004075941A - インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着性および耐水性にすぐれ、しかも保存安定性にもすぐれており、そのうえ、普通紙に対してコックリングなく印刷可能であるインク組成物、とくに、インクジェット記録用の顔料インク組成物を提供する。
【解決手段】色材、分散剤および溶媒を少なくとも含むインク組成物において、主溶媒として(ポリ)アルキレングリコールまたはその誘導体を含み、かつ他の溶媒として炭化水素系溶媒を含むことを特徴とするインク組成物、とくに、上記の主溶媒が(ポリ)アルキレングリコールの誘導体であるモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物またはジアルキルエステル化合物である上記構成のインク組成物、あるいは、上記の主溶媒が(ポリ)アルキレングリコールまたはその誘導体であるモノアルキルエーテル化合物、モノアルキルエステル化合物もしくはジアルキルエーテル化合物である上記構成のインク組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色材、分散剤および溶媒を少なくとも含むインク組成物、とくに、インクジェッ記録用の顔料インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、圧力、熱、電界などを駆動源として液状のインクをノズルから記録媒体に向けて吐出させ、印刷するものである。このようなインクジェット記録方式は、ランニングコストが低く、高画質化が可能なことより、近年、オフィス用のみならず民生用としても急速に普及している。
【0003】
インクジェット記録用のインクとしては、水溶性染料を水性媒体に溶解した水性染料インクが、着色力が大きい、ヘッドオリフィスでの目詰まりが少ないなどの理由により、使用されてきている。しかしながら、この水性染料インクは、耐水性や耐候性が十分でないという問題を抱えている。
【0004】
近年、A−Oサイズにも対応できる大型のインクジェットプリンターが開発され、屋外用ポスターなどの屋外用途での使用環境が増え、またデジタルカメラの普及により、印刷物の長期間保存する用途も増加している。このような背景のもと、耐水性や耐候性にすぐれた顔料インクの開発が盛んに行われている。
【0005】
しかし、溶媒に水および水溶性溶剤を用いた水性顔料インクは、普通紙に印字した場合、コックリング(乾燥後に波打ち)を起こし、ポスター用などには不適切である。また、主溶媒に脂肪族炭化水素やアルコールを用いた油性顔料インク(特表平9−511780号、特表平10−507487号、特表平11−501353号、特開平2000−38533号、特開平2001−329193号などの各公報)は、コックリングは少ないものの、光沢紙などに印字した場合、定着性が不十分で印字物が擦れやすいという問題を抱えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の事情に照らして、定着性および耐水性にすぐれ、しかも保存安定性にもすぐれており、そのうえ、普通紙に対してコックリングなく印刷可能であるインク組成物、とくに、インクジェット記録用の顔料インク組成物を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、主溶媒として特定の極性溶媒を使用するとともに、他の溶媒として炭化水素系溶媒を併用することにより、色材に対する分散剤の吸着性が増して安定した分散状態が得られ、これによりヘッド目詰まりを起こすことなくインクの長期保存が可能となる、すぐれた保存安定性が得られ、しかも普通紙に対してコックリングなく印字でき、また印字物の定着性や耐水性を改善できることがわかった。
【0008】
本発明は、上記の知見をもとにして、完成されたものである。
すなわち、本発明は、色材、分散剤および溶媒を少なくとも含むインク組成物において、主溶媒として(ポリ)アルキレングリコールまたはその誘導体を含み、かつ他の溶媒として炭化水素系溶媒を含むことを特徴とするインク組成物に係るものである。とくに、本発明は、上記の主溶媒が(ポリ)アルキレングリコールの誘導体であるモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物またはジアルキルエステル化合物である上記構成のインク組成物と、上記の主溶媒が(ポリ)アルキレングリコールまたはその誘導体であるモノアルキルエーテル化合物、モノアルキルエステル化合物もしくはジアルキルエーテル化合物である上記構成のインク組成物を、提供できるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、主溶媒として使用する極性溶媒は、(ポリ)アルキレングリコールまたはその誘導体である。このような極性溶媒は、分子内に極性基(エステル基、エーテル基と疎水基(アルキル基)を併せ持っているため、これを主溶媒とすることにより、あらゆる印字媒体に対してすぐれた定着性および耐水性を発揮する。また、上記の定着性および耐水性は、エステル基、エーテル基数およびアルキル基の炭素数で、容易に調整することが可能である。とくにエーテル基とエステル基は普通紙に印字した際のコックリングを防止でき、また光沢紙に対する定着性を向上させる働きを有している。なお、上記「主溶媒」とするとは、上記の極性溶媒を、溶媒全体の50重量%以上使用することを意味し、とくに、好ましくは60重量%以上使用するのがよい。
【0010】
このような極性溶媒には、▲1▼遊離の水酸基を2個有する(ポリ)アルキレングリコール、たとえば、アルキレングリコール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコールなどがあり、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられる。また、これらの(ポリ)アルキレングリコールの誘導体である、▲2▼モノアルキルエーテル化合物、モノアルキルエステル化合物などの遊離の水酸基をひとつ有する化合物、▲3▼モノアルキルエーテルモノアルキルエステル合物、ジアルキルエーテル化合物、ジアルキルエステル化合物などの遊離の水酸基を持たない化合物などがある。
【0011】
このような極性溶媒の中でも、とくに、イ)上記▲3▼の遊離の水酸基を持たない化合物のうち、エステル基を有する化合物として、モノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物またはジアルキルエステル化合物が好ましく、エステル基がメチルエステル基であるものが最も好ましい。これらの化合物を使用すると、保存安定性の点でとくに好結果を得ることができる。もちろん、これ以外の化合物として、ロ)上記▲1▼の(ポリ)アルキレングリコール、上記▲2▼のモノアルキルエーテル化合物やモノアルキルエステル化合物、上記▲3▼のジアルキルエーテル化合物を使用しても、本発明の効果は奏されるものである。
【0012】
上記イ)の(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルモノアルキルエスル化合物またはジアルキルエステル化合物としては、エチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジエレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、トエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、エチレングリコールジアルキルエステル、ジエチレングリコールジアルキルエステル、トリエチレングリコールジアルキルエステル、プロピレングリコールジアルキルエステル、ジプロピレングリコールジアルキルエステル、トリプロピレングリコールジアルキルエステルなどがある。
【0013】
具体的には、エチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノエチルエステル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノブチルエステル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールジメチルエステル、トリエチレングリコールジメチルエステルなどが挙げられる。
【0014】
上記ロ)の化合物のうち、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル化合物、モノアルキルエステル化合物またはジアルキルエーテル化合物としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエステル、ジエチレングリコールモノアルキルエステル、トリエチレングリコールモノアルキルエステル、プロピレングリコールモノアルキルエステル、ジプロピレングリコールモノアルキルエステル、トリプロピレングリコールモノアルキルエステル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどがある。
【0015】
具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエステル、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノイソプロピルエステル、エチレングリコールモノブチルエステル、ジエチレングリコールモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノエチルエステル、ジエチレングリコールモノブチルエステル、トリエチレングリコールモノメチルエステル、トリエチレングリコールモノエチルエステル、トリエチレングリコールモノブチルエステル、プロピレングリコールモノメチルエステル、プロピレングリコールモノエチルエステル、ジプロピレングリコールモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
【0016】
本発明においては、上記の主溶媒とともに、さらに、他の溶媒として、炭化水素系溶媒を使用することが重要である。上記の主溶媒単独では分散剤や樹脂との親和性のバランスが悪く、顔料の凝集や沈降を引き起こしやすく、保存安定性に好結果が得られない。上記の主溶媒とともに、炭化水素系溶媒を、溶媒全体の3重量%以上、好ましくは5重量%以上の割合で使用することにより、上記欠点が回避され、すぐれた保存安定性が得られる。
一方、炭化水素系溶媒が溶媒全体の50重量%以上となる、つまり、主溶媒となると、分散剤や樹脂の溶解性が低下し、光沢紙に印字した場合の定着性が低下し、また普通紙に印字した際にコックリングを引き起こしやすい。
【0017】
このような炭化水素系溶媒には、ノルマルパラフィンやイソパラフィンなどのパラフィン、ナフテン、パラフィン/ナフテン混合系などがあり、性状は流動状でも固体状でもよい。これらの中でも、市販品として容易に入手可能である、イソパラフィン系溶剤、ノルマルパラフィン系溶剤、流動パラフィン系溶剤、パラフィン/ナフテン混合系溶剤などが、好ましく用いられ、これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0018】
イソパラフィン系溶剤としては、エクソン化学社製の「アイソパーG、H、L、M」、「ノーパー12、13、15」、出光石油化学社製の「IPソルベント1620、2028」、日本石油化学社製の「アイソゾール300、400」、丸善石油化学社製の「マルカゾールR」、シェルジャパン社製の「シェルゾール71、72」などが挙げられる。また、ノルマルパラフィン系溶剤としては、日本石油化学社製の「ノルマルパラフィンSL、L、M、H」などが挙げられる。さらに、流動パラフィン系溶剤としては、松村石油研究所製の「モレスコホワイト」、「モスコバイオレス」などが挙げられる。また、パラフィン/ナフテン混合系溶剤としては、エクソン化学社製の「エクソノールD110、D130」、シェルジャパン社製の「シェルゾールD100」などが挙げられる。
【0019】
本発明においては、主溶媒として上記の(ポリ)アルキレングリコールまたはその誘導体からなる1種または2種以上の極性溶媒を使用し、かつ他の溶媒として上記の炭化水素系溶媒を使用することを必須とするほか、必要により、これらとは別の溶媒をさらに組み合わせ使用してもよい。しかし、通常は、上記の主溶媒と炭化水素系溶媒との二成分系で使用するのが好ましく、この場合、上記の主溶媒が51〜97重量%、好ましくは55〜95重量%、さらに好ましくは60〜80重量%となり、炭化水素系溶媒が49〜3重量%、好ましくは45〜5重量%、さらに好ましくは40〜20重量%となる割合で、使用するのがよい。
【0020】
本発明において、色材としては、無機顔料、有機顔料、染料などが挙げられ、このうち、耐候性の点から、顔料が好ましい。
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカなどが挙げられる。
【0021】
有機顔料としては、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系顔料などが挙げられる。
染料としては、アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、フタロシアニン系、カルボニル系、キノンイミン系、メチン系、キノリン系、ニトロ系などが挙げられ、これらの中でも、分散染料がとくに好ましい。
【0022】
本発明において、分散剤には、ビニル樹脂、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、セルロース系樹脂、天然たんぱく質、これらの共重合体など、公知の一般的な樹脂を使用できる。
【0023】
これらの中でも、ポリオキシエチレン構造またはポリオキシプロピレン構造のうちの少なくとも1種を含むポリエーテル構造を有する樹脂が好ましい。ポリエーテル構造は、主溶媒である(ポリ)アルキレングリコールまたはその誘導体との親和性が良いため、顔料の分散安定性にすぐれている。さらに、光沢紙などへの親和性も良いため、印字物の定着性を高めることもできる。
【0024】
このような効果を発揮するポリエーテル構造を有する樹脂は、たとえば、ポリエーテル系マクロモノマーと、極性または疎水性である一般的なモノマーとを、共重合させることにより、容易に合成することができる。
【0025】
ポリエーテル系マクロモノマーには、アクリロイル基またはメタクリロイル基に直接もしくはアルキル基を介してメトキシポリエチレングリコールやメトキシプロピレングリコールが結合したモノマーが用いられる。
市販品としては、日本油脂社製の「PE−200」、「PE−350」、「AE−200」、「AE−350」、「AP−400」、「AP−550」、「AP−800」、「70PEP−350B」、「10PEP−550B」、「AEP」、「50POEP−800B」、「50AOEP−800B」、「PLE」、「ALE」、「PSE」、「ASE」、「PNE」、「ANE」、「PNP」、「ANP」、「PNEP−600」、「PME−200」、「PME−400」、「PME−1000」、「AME−400」、「PP−500」、「PP−800」、「PP−1000」などがある。
【0026】
他の市販品として、新中村化学社製の「AMP−10G」、「AMP−20G」、「AMP−60G」、「AM−90G」、大阪有機化学工業社製の「ビスコート#355HP」、「ビスコート#310」、「ビスコート#310HP」、「ビスコート#310HG」、「ビスコート#312」、「ビスコート#700」、共栄社化学社製の「ライトアクリレートEHDG−A」、「ライトアクリレートEC−A」、「ライトアクリレートMTG−A」、「ライトアクリレート130A」、「ライトアクリレートP−200A」、「ライトアクリレートNP−4EA」、「ライトアクリレートNP−8EA」、「ライトエステルMC」、「ライトエステル130MA」、「ライトエステル041MA」、新中村化学工業社製の「NKエステルM−20G」、「NKエステルM−40G」、「NKエステルM−90G」、旭電化工業社製の「アデカリアソープNE−10」、「アデカリアソープNE−20」、「アデカリアソープNE−40」などがある。
【0027】
一般的なモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸、アクリロイルオキシエチルフタレート、アクリロイルオキシサクシネートなどのカルボキシル基含有モノマー、アクリル酸2−スルホン酸エチル、メタクリル酸2−スルホン酸エチル、ブチルアクリルアミドスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー、メタクリル酸2−ホスホン酸エチル、アクリル酸2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基含有モノマー、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマーなどがある。これらの中で、カルボキシル基または水酸基含有モノマーがとくに好ましい。
【0028】
また、アクリル酸アミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピルなどの第1級アミノ基含有モノマー、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノプロピル、アクリル酸エチルアミノエチル、アクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピルなどの第2級アミノ基含有モノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノプロピルなどの第3級アミノ基含有モノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩などの第4級アミノ基含有モノマーなども使用することができる。
【0029】
さらに、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸セチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルなども使用できる。
【0030】
また、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどのスチレン系モノマー、イタコン酸ベンジルなどのイタコン酸エステル、マレイン酸ジメチルなどのマレイン酸エステル、フマール酸ジメチルなどのフマール酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレンなどのα−オレフィンなどを使用することもできる。
【0031】
本発明においては、上記の色材、分散剤および溶媒を必須として、必要により、任意成分として、界面活性剤や、バインダ、表面調整剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、pH調整剤、電荷付与剤、殺菌剤、防腐剤、防臭剤、電荷調整剤、湿潤剤、皮はり防止剤、香料、顔料分散剤、顔料誘導体など、公知の一般的な添加剤を、適宜使用することができる。
【0032】
本発明のインク組成物は、上記の各成分をボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミルなどの高速回転ミル、攪拌槽型ミルなど媒体攪拌ミル、ディスパーなどの簡単な分散機により、よく撹拌混合し、分散させることにより、調製することができる。
【0033】
このように調製される本発明のインク組成物、とくにインクジェット記録用の顔料インク組成物は、20℃における表面張力が15〜50mN/m、とくに好ましくは20〜40mN/mであるのがよい。また、粘度は2〜30cp、とくに好ましくは3〜20cpであるのがよい。表面張力および粘度を上記の範囲に設定すると、インク組成物の定着性、耐水性に好結果が得られる場合が多い。上記設定は、主溶媒として前記した極性溶媒を使用したことにより、他の構成成分の種類や量を適宜調整することで、容易に行えるものである。
【0034】
また、上記の顔料インク組成物は、分散粒子の平均粒径が0.01〜1μm、とくに好ましくは0.02〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜0.2μmであるのがよい。0.01μm未満ではインク組成物の分散性が不安定となりやすく、1μmを超えるとヘッド詰まりが起こりやすい。
【0035】
本発明のインク組成物は、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、感熱転写印刷などのあらゆる印刷方式のインクとして、使用することができる。上記印刷方式の中でも、とくにインクジェット印刷に適用すると、前記した本発明の効果がより良く発現できるので、望ましい。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0037】
実施例1
100ccのプラスチック製ビンに、顔料として銅フタロシアニンブルー顔料(大日本インキ化学工業社製の「ファストゲンブルーGNPS」)4部、分散剤としてスチレン/メタクリル酸/アクリル酸ブチル/ポリエーテル系マクロモノマー(日本油脂社製の「PME400」)(重量比:20/10/50/20)の共重合体4部、主溶媒としてエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル12部、直径3mmのジルコニアビーズ100部を計り取り、ペイントシェーカー(東洋精機社製)で2時間分散した。
分散後、顔料濃度が10重量%になるように、上記と同じ溶媒で希釈して、顔料分散体を調製した。この分散体10部に、イソパラフィン系溶剤(エクソン化学社製の「アイソパーM」)2部を加えて、顔料濃度が5重量%となるように希釈し、インク組成物Aを調製した。なお、上記のイソパラフィン系溶剤は、これと主溶媒(エチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル)との合計量中、10重量%であった。
【0038】
実施例2
主溶媒として、エチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステルに代えて、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステルを使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料濃度が10重量%である顔料分散体を調製した。この分散体10部に、イソパラフィン系溶剤(エクソン化学社製の「アイソパーG」)5部を加えて、顔料濃度が5重量%となるように希釈し、インク組成物Bを調製した。なお、上記のイソパラフィン系溶剤は、これと主溶媒(ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル)との合計量中、25重量%であった。
【0039】
実施例3
主溶媒として、エチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステルに代えて、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料濃度が10重量%である顔料分散体を調製した。この分散体10部に、イソパラフィン系溶剤(エクソン化学社製の「アイソパーG」)5部を加えて、顔料濃度が5重量%となるように希釈し、インク組成物Cを調製した。なお、上記のイソパラフィン系溶剤は、これと主溶媒(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)との合計量中、25重量%であった。
【0040】
実施例4
主溶媒として、エチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステルに代えて、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料濃度が10重量%である顔料分散体を調製した。この分散体10部に、イソパラフィン系溶剤(エクソン化学社製の「アイソパーG」)2部を加えて、顔料濃度が5重量%となるように希釈し、インク組成物Dを調製した。なお、上記のイソパラフィン系溶剤は、これと主溶媒(トリエチレングリコールモノブチルエーテル)との合計量中、10重量%であった。
【0041】
実施例5
主溶媒として、エチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステルに代えて、ジエチレングリコールジブチルエーテルを使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料濃度が10重量%である顔料分散体を調製した。この分散体10部に、イソパラフィン系溶剤(エクソン化学社製の「アイソパーG」)5部を加えて、顔料濃度が5重量%となるように希釈し、インク組成物Eを調製した。なお、上記のイソパラフィン系溶剤は、これと主溶媒(ジエチレングリコールジブチルエーテル)との合計量中、25重量%であった。
【0042】
実施例6
主溶媒として、エチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステルに代えて、エチレングリコールを使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料濃度が10重量%である顔料分散体を調製した。この分散体10部に、イソパラフィン系溶剤(エクソン化学社製の「アイソパーG」)8部を加えて、顔料濃度が5重量%となるように希釈し、インク組成物Fを調製した。なお、上記のイソパラフィン系溶剤は、これと主溶媒(エチレングリコール)との合計量中、40重量%であった。
【0043】
比例例1
主溶媒として、エチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステルに代えて、イソパラフィン系溶剤(エクソン化学社製の「アイソパーG」)を使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料濃度が10重量%である顔料分散体を調製した。この分散体に、上記と同じ溶媒をさらに加えて、顔料濃度が5重量%となるように希釈し、インク組成物Gを調製した。
【0044】
比例例2
実施例1で調製した顔料濃度が10重量%の顔料分散体10部に、主溶媒であるエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステルをさらに加えて、顔料濃度が5重量%となるように希釈し、インク組成物Hを調製した。
【0045】
比例例3
主溶媒として、エチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステルに代えて、水/トリエチレングリコール(重量比90/10)の混合溶媒を用い、分散剤として、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸ブチル/ポリエーテル系マクロモノマー(重量比:20/10/50/20)の共重合体に代えて、ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリル62」を同量使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料濃度が10重量%である顔料分散体を調製した。この分散体10部に、さらに上記と同じ主溶媒(混合溶媒)を加えて、顔料濃度が5重量%となるように希釈し、インク組成物Iを調製した。
【0046】
上記の実施例1〜6のインク組成物A〜Fおよび比較例1〜3のインク組成物G〜Iについて、下記の方法により、表面張力、定着性、耐水性、保存安定性およびコックリングを評価した。
これらの結果は、表1に示されるとおりであった。
【0047】
<表面張力>
全自動平衡式エレクトロ表面張力計ESB−V(協和科学社製)により、インク組成物の温度を25℃にして、その表面張力を測定した。
【0048】
<定着性>
インク組成物を、No.4ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて、光沢紙(日立マクセル社製のフォト光沢紙)上に塗布したのち、100gの分銅をのせた布で光沢紙上を3秒間隔で10回摺動させた。この摺動により、擦りとられなかったものを○、擦りとられたものを×、と評価した。
【0049】
<耐水性>
インク組成物を、No.4ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて、光沢紙(日立マクセル社製のフォト光沢紙)上に塗布したのち、イオン交換水に8時間浸漬した。この浸漬で、滲みが全くないものを○、滲みがほんの少しだけみられるものを△、滲みの著しいものを×、と評価した。
【0050】
<保存安定性>
インク組成物を、25℃の恒温室で2週間静置したのち、25℃における粘度と平均粒子径を測定した。この保存試験で、粘度と平均粒子径ともに、保存前の値の±5%以内であるものを○、いずれかの値が±5%を超えるものを×、と評価した。さらに、○のものに関しては、80℃の恒温室で3週間静置したのち、25℃における粘度と平均粒子径を測定した。この保存試験で、粘度と平均粒子径ともに、保存前の±5%以内であるものを◎、と評価した。
【0051】
<コックリング>
インク組成物を、No.4ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて、普通紙上に塗布し、乾燥したのちに、コックリング(波打ち)のないものを○、コックリングのあるものを×、と評価した。
【0052】
Figure 2004075941
【0053】
上記表1の結果から明らかなように、実施例1〜6のインク組成物A〜Fは、いずれも、定着性と耐水性にすぐれ、かつ保存安定性にもすぐれており、しかも普通紙に印字してもコックリングがなく、すべての評価項目において、すぐれていることがわかった。とくに、主溶媒として(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物を用いた実施例1,2のインク組成物A,Bは、80℃,3週間の保存試験後も、粒子径や粘度の変化がなく、保存安定性に格段にすぐれていることがわかった。
【0054】
これに対して、比較例1のインク組成物Gは、定着性が不十分であり、また、比較例2のインク組成物Hは、保存安定性が不十分であり、さらに、比較例3のインク組成物Iは、耐水性およびコックリングが不十分であった。
【0055】
【発明の効果】以上のように、本発明は、色材、分散剤および溶媒を少なくとも含むインク組成物において、主溶媒として(ポリ)アルキレングリコールまたはその誘導体を使用し、かつ他の溶媒として炭化水素系溶媒を併用する構成としたことにより、定着性および耐水性にすぐれ、しかも保存安定性にもすぐれており、そのうえ、普通紙に対してコックリングなく印刷可能であるインク組成物、とくに、インクジェット記録用の顔料インク組成物を提供することができる。

Claims (6)

  1. 色材、分散剤および溶媒を少なくとも含むインク組成物において、主溶媒として(ポリ)アルキレングリコールまたはその誘導体を含み、かつ他の溶媒として炭化水素系溶媒を含むことを特徴とするインク組成物。
  2. 主溶媒が(ポリ)アルキレングリコールの誘導体であるモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物またはジアルキルエステル化合物である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 主溶媒が(ポリ)アルキレングリコールまたはその誘導体であるモノアルキルエーテル化合物、モノアルキルエステル化合物もしくはジアルキルエーテル化合物である請求項1に記載のインク組成物。
  4. 色材が顔料である請求項1〜3のいずれかに記載のインク組成物。
  5. 分散剤としてポリエーテル構造を有するアクリル樹脂を少なくとも含む請求項1〜4のいずれかに記載のインク組成物。
  6. 20℃における表面張力が15〜50mN/m、粘度が2〜30cpである請求項1〜5のいずれかに記載のインク組成物。
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