JP2004075892A - インクジェット記録用インクおよび画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットプリンターでの出射に適したインクジェット記録用インクが得られる無機蛍光体を提供すること。
【解決手段】下記の無機蛍光体を含有するインクジェット記録用インク。
(1)粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子長軸と、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子短軸と定義したとき、粒子群中において、粒子短軸の粒子長軸に対する比が0.5〜1の範囲内にある粒子が全粒子の60%以上を占める無機蛍光体。
(2)比表面積が5m2/g以上である無機蛍光体。
(3)(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)で定義される表面荒さが2以上である無機蛍光体。
【選択図】 なし
【解決手段】下記の無機蛍光体を含有するインクジェット記録用インク。
(1)粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子長軸と、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子短軸と定義したとき、粒子群中において、粒子短軸の粒子長軸に対する比が0.5〜1の範囲内にある粒子が全粒子の60%以上を占める無機蛍光体。
(2)比表面積が5m2/g以上である無機蛍光体。
(3)(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)で定義される表面荒さが2以上である無機蛍光体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用インクおよび画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛍光体を用いて形成された画像は、励起光を当てることにより鮮やかな蛍光を発し、所望の演出ができ好ましい。また、インクジェット記録方法は、比較的簡単な装置で高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。広範囲の分野でインクジェット記録方式を採用したプリンタが製造されており、また、その使用用途に応じてインクの種類も多岐に及んでいる。
インクジェットプリンターを用いて蛍光画像を形成することは、特開平7−310038号公報、特開平8−113776号公報、特開平8−239610号公報に開示されているが、該公報に記載の技術は、水溶性有機蛍光体を用いたインクジェット用のインクに関する技術であり、有機蛍光体は耐侯性が著しく短いとか、自己着色性があるなど数々の問題点があり、該技術は実用上非常に限定された使用にしか耐えられなかった。
また、特開平6−297883号公報には、無機蛍光体を用いた技術が開示されているが、インクジェットプリンターで出射させるには、該無機蛍光体は粒径が大きく、かつ、表面状態、形状についての記述もなく充分とはいえなかった。そこで、本発明者が検討したところ、特定の形状、表面状態を有する蛍光体を用いることにより、優れた射出性能を有するインクジェット記録用インクが得られることを見いだした。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の第1の目的は、インクジェットプリンターでの出射に適したインクジェット記録用インクが得られる無機蛍光体を提供することにある。第2の目的は、該蛍光体を使用した画像形成方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、
(1)無機蛍光体粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子長軸と、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子短軸と定義したとき、粒子群中において、粒子短軸の粒子長軸に対する比が0.5〜1の範囲内にある粒子が全粒子の60%以上を占める無機蛍光体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
(2)比表面積が5m2/g以上である無機蛍光体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
(3)以下によって定義される表面荒さが2以上である無機蛍光体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
表面荒さ=(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)
(4)無機蛍光体粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子長軸と、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子短軸と定義したとき、粒子群中において、粒子短軸の粒子長軸に対する比が0.5〜1の範囲内にある粒子が全粒子の60%以上を占める無機蛍光体によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
(5)比表面積が5m2/g以上である無機蛍光体によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
(6)以下によって定義される表面荒さが2以上である無機蛍光体によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
表面荒さ=(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)
によって達成される。
【0005】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるインクジェット記録用インクは、無機蛍光体を単独で分散媒中に分散して製造してもよく、複数種の無機蛍光体の混合体を分散媒中に分散して製造してもよい。また、複数種の無機蛍光体を用いる場合、複数種の無機蛍光体をそれぞれ分散媒中に分散して複数種の蛍光体インクを用意しそれらを混合して目的とする蛍光体インクを製造するようにしてもよい。
本発明において、粒子短軸の粒子長軸に対する比は、蛍光体粒子をSEM撮影し、該撮影された粒子を観察し、300個の個々の粒子について長軸(粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線)と短軸(粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線)を求めその比(粒子短軸/粒子長軸)を算出することにより求めることができる。
また、粒子の比表面積は、BET比表面積計を用いて求めることができる。
無機蛍光体としては、平均粒径が1.0μm以下、更には、0.8μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが特に好ましく、0.3μm以下であることが最も好ましい。なお、ここでいう粒径とは、球換算粒径を意味する。球換算粒径とは、粒子の体積と同体積の球を想定し、該球の粒径をもって表わした粒径である。
無機蛍光体の粒径分布は狭い方が好ましい。具体的には、下記式によって定義される変動係数[%]の値が100%以下であることが好ましく、50%以下であることが更に好ましい。
変動係数[%]=(粒径分布の標準偏差/粒径の平均値)×100
本発明のインクジェット記録用インクにおける無機蛍光体の固形分濃度は特に制限はないが、1〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%である。
【0006】
無機蛍光体の組成には特に制限はなく、意図する蛍光画像の励起光波長、発光色等によって、これまでに公知のあらゆる組成の無機蛍光体を使用することができる。
具体的には、無機蛍光体の組成としては、例えば、特開昭50−6410号公報、同61−65226号公報、同64−22987号公報、同64−60671号公報、特開平1−168911号公報等に記載されている無機蛍光体を適宜使用することができるが、Y2O3、Zn2SiO4等に代表される金属酸化物、Sr5(PO4)3Cl等に代表されるリン酸塩、ZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物等を結晶母核とし、これら母核にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属イオンやAg、Al、Mn、Sb等の金属イオンを賦活剤または共賦活剤として組み合わせたものが好ましい。
結晶母体の好ましい例としては、例えば、ZnS、SrS、CaS、(Zn,Cd)S、SrGa2S4、YO3、Y2O2S、Y2O3、Y2SiO3、SnO2、Y3Al5O12、Zn2SiO4、Sr4Al14O25、CeMgAl11O19、BaAl12O19、BaMgAl10O17、BaMgAl14O23、Ba2Mg2Al12O22、Ba2Mg4Al8O18、Ba3Mg5Al18O35、(Ba,Sr,Mg)O・aAl2O3、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al10O17、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al10O17、Sr2P2O7、(La,Ce)PO4、Ca10(PO4)6(F,Cl)2、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2、GdMgB5O10、(Y,Gd)BO3等を挙げることができる。
以上の結晶母体及び賦活剤または共賦活剤は、元素組成に特に制限はなく、また、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた無機蛍光体は紫外から青色領域の光を吸収して可視光を発するものが好ましい。これら蛍光体としては、無機酸化物蛍光体、無機ハロゲン化物蛍光体を使用することもできる。
【0007】
以下に、本発明に好ましく適用される無機蛍光体を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
[青色発光無機蛍光化合物]
(BL−1) Sr2P2O7:Sn4+
(BL−2) Sr4Al14O25:Eu2+
(BL−3) BaMgAl10O17:Eu2+
(BL−4) SrGa2S4:Ce3+
(BL−5) CaGa2S4:Ce3+
(BL−6) (Ba,Sr)(Mg,Mn)Al10O17:Eu2+
(BL−7) (Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+
(BL−8) BaAl2Si2O8:Eu2+
(BL−9) Sr5(PO4)3Cl:Eu2+
(BL−10) Sr2P2O7:Eu2+
(BL−11) Sr(H2PO4)2:Eu2+
【0008】
[緑色発光無機蛍光化合物]
(GF−1) (BaMg)Al16O27:Eu2+,Mn2+
(GF−2) Sr4Al14O25:Eu2+
(GF−3) (SrBa)Al2Si2O8:Eu2+
(GF−4) (BaMg)2SiO4:Eu2+
(GF−5) Y2SiO5:Ce3+,Tb3+
(GF−6) Sr2P2O7−Sr2B2O5:Eu2+
(GF−7) (BaCaMg)5(PO4)3Cl:Eu2+
(GF−8) Sr2Si3O8−2SrCl2:Eu2+
(GF−9) Zr2SiO4,MgAl11O19:Ce3+,Tb3+
(GF−10)Ba2SiO4:Eu2+
(GF−11)Ca2Y8(SiO4)6O2:Tb3+
(GF−12)Y3Al5O12:Tb3+
(GF−13)La3Ga5SiO14:Tb3+
【0009】
[赤色発光無機蛍光化合物]
(RL−1) Y2O2S:Eu3+
(RL−2) (BaMg)2SiO4:Eu3+
(RL−3) (BaMg)Al16O27:Eu3+
(RL−4) (BaCaMg)5(PO4)3Cl:Eu3+
(RL−5) YVO4:Eu3+
(RL−6) CaS:Eu3+
(RL−7) YAlO3:Eu3+
(RL−8) Ca2Y8(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−9) LiY9(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−10) YVO4:Eu3+,Bi2+
(RL−11) Gd2O2S:Eu3+
(RL−12) CaS:Eu3+Cl−
(RL−13) (CaMg)3(PO4)2:Sn2+
【0010】
また、本発明における無機蛍光体としては上記の無機蛍光体の他にも、3波長蛍光体に使用されている無機蛍光体やハロリン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明の無機蛍光体を製造する方法には、本発明の条件を満たす蛍光体が得られれば特に制限はなく、発光効率の低下を招かずに合成する方法として、例えば、複合金属酸化物を合成する方法、噴霧熱分解法など、これまでに公知の種々の製造方法を用いることができる。
複合金属酸化物を合成する方法としては、2種以上の金属の粉体状酸化物を混合し高温加熱処理を行う固相法、原料を溶解した溶液から複合金属酸化物の前駆体を合成して分離し、得られた前駆体を酸化処理する液相法が挙げられる。
液相法とは、共沈法、反応晶析法、ゾルゲル法など液相中で反応させる方法を称するものであり、いずれの方法を適宜選択することが可能であるが、本発明の前駆体はゾルゲル法によって合成することが好ましい。
先ず、ゾルゲル法によって無機蛍光体を製造する方法について具体的に説明する。
ゾルゲル法とは、例えば、母体または賦活剤または共賦活剤に用いる元素(金属)を含む、例えば、金属アルコキシド(例えば、Si(OCH3)4等)や金属錯体(例えば、Eu3+(CH3COCH=C(O−)CH3)3等)またはそれらの有機溶媒溶液に金属単体を加えて作るダブルアルコキシド(例えば、Al(OBu)3の2−ブタノール溶液に金属マグネシウムを加えて作るMg[Al(OBu)3]2等)、金属ハロゲン化物、有機酸の金属塩を反応容器中で必要量混合し、熱的または化学的に加水分解または重縮合することによって合成する方法である。
【0011】
ゾルゲル法を適用する際の溶媒は反応原料が溶解すれば何を用いてもよいが、環境面の観点からエタノールが好ましい。
また、反応に当り反応開始剤を用いることができるが、これら反応開始剤としては酸でも塩基でもよいが、加水分解速度の観点から塩基を用いる方が好ましい。塩基としては、反応を開始することができればNaOH、アンモニア等の一般的な塩基を用いることができるが、除去のしやすさの観点からはアンモニアを用いることが好ましい。反応開始剤は、先に母液に添加しておいてもよく、また、原料と同時に添加しても、予め原料に加えて添加してもよいが、均一性を高めるためには母液に先に添加することが好ましい。
複数の反応原料を用いる場合、原料の添加順序は同時でも異なってもよく、その活性によって適切な順序を適宜組み立てることができる。場合によってはダブルアルコキシドを形成してもよい。
【0012】
共沈法とは、母核または賦活剤または共賦活剤に用いる元素(金属)を含む反応原料の1種類または複数種類を水を主とした溶媒に溶解して、1種類または場合によっては複数種類の原料溶液を準備し、それ自身が溶媒に溶解し原料と反応して難溶性または不溶性物質を生成・沈殿する有機化合物、例えば、蓚酸または酒石酸を沈殿剤として添加し、必要に応じてアルカリ金属硼酸塩などのフラックス等を使用して、原料が共沈した沈殿物を生成する方法である。沈殿物を生成した後は、濾別し乾燥・焼成等の工程を経て、所望とする蛍光体粒子を得ることができる。
反応晶析法とは、母核または賦活剤または共賦活剤に用いる元素(金属)を含む金属硝酸塩、金属ハロゲン化物など種々の金属塩等の反応原料を水を主とした溶媒に溶かし混合溶液にした後、化学的に難溶性塩を析出させる方法である。
共沈法や反応晶析法を適用する際の溶媒は反応原料が溶解すれば何を用いてもよいが、過飽和度制御のしやすさの観点から水が好ましい。複数の反応原料を用いる場合は、原料の添加順序は同時でも異なってもよく、活性によって適切な順序を適宜組み立てることができる。
液相法で前駆体を合成する場合、上記のどの方法の場合においても、反応の温度、原料の添加速度、攪拌速度、pHなどを制御してもよく、また、反応中に超音波を照射してもよい。また、粒径制御のために界面活性剤やポリマーなどを添加してもよい。原料を添加し終ったら必要に応じて液を濃縮及び/または熟成することも好ましい態様の1つである。
【0013】
液相法で得られた前駆体は、必要に応じて、ろ過、洗浄、乾燥、焼成、分散等の諸工程を施してもよく、分級してもよい。
焼成には現在知られているあらゆる方法を用いることができるが、回転型のキルンを用いることが好ましい。焼成温度や時間は各蛍光体が最も性能が高くなるように調整すればよく、雰囲気も組成に合わせて酸化性、還元性、硫化性、不活性ガス等の雰囲気を用いることができる。
分散には、例えば、高速攪拌型のインペラー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、また、ボールミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミル、サンドミルなど媒体(メディア)を装置内で運動させてその衝突(crush)及び剪断力を与えて微粒化するもの、また、カッターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。これらの中でも、本発明では特に媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機を使用することが好ましく、連続的に分散処理が可能な連続式湿式メディア型分散機を使用することが更に好ましい。複数の連続式湿式メディア型分散機を直列に接続する態様等も適用できる。ここでいう「連続的に分散処理が可能」とは、少なくとも無機蛍光体及び分散媒体を時間当たり一定の量比で途切れることなく分散機に供給しながら分散処理すると同時に、前記分散機内で製造された分散物を供給された材料に押し出される形で途切れることなく分散機より吐出する形態を指す。
【0014】
本発明の無機蛍光体の製造方法で、分散処理工程として媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機を用いる場合、その分散室容器(ベッセル)は縦型でも横型でも適宜選択することが可能である。
本発明の蛍光画像作成用のインクジェット記録用インクの分散媒としては、水または種々の有機溶媒、またはそれらの混合物など、その用途に応じて使用することができる。また、その際に、必要に応じて種々のバインダーや界面活性剤を使用することもできる。
また、本発明のインクジェット記録用インクには電気伝導度調節剤を用いることもでき、例えば、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩や、トリエタノールアミン等の水性アミン等を使用することができる。
本発明のインクジェット記録用インクにおいては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他諸性能向上の目的に応じて、さらに粘度調整剤、比抵抗調節剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防錆剤、防腐剤等を添加することもできる。
【0015】
本発明のインクジェット記録用インクはインクジェット記録方法に用いることができるが、インクジェット記録方法に用いられるインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
本発明において、蛍光画像を形成する基材としては、普通紙、コート紙、インク液を吸収して膨潤するインク受容層を設けた膨潤型インクジェット用記録紙、多孔質のインク受容層を持った空隙型インクジェット用記録紙を用いることができる。また、これらの基紙に代えてポリエチレンテレフタレートフィルムなどの樹脂支持体を用いたものも用いることができる。しかし、空隙型インクジェット用記録紙または空隙型インクジェット用フィルムが、最も優れた性能を発揮する。
【0016】
空隙型インクジェット用記録紙、空隙型インクジェット用フィルムとは、インク吸収能を有する空隙層が設けられている記録媒体をいい、該空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成される。
空隙層は、皮膜中に空隙を形成する方法として種々知られている方法で形成でき、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子及び親水性または疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布して固体微粒子の間に空隙を作製する方法などが挙げられるが、いずれの方法で設けられてもよい。
蛍光画像の励起光源については蛍光画像の視認性が良好であれば特に制限はないが、比較的多く使われている波長254mmの光源や波長365mmのブラックライトを使用することが好ましく、また、蛍光体によっては波長405mm付近のパープリッシュブルーを励起光源に用いてもよい。
本発明のインクジェット記録用インクを用いて、あるいは、本発明によって形成された蛍光画像は、屋内、屋外、水周り等どのような環境でも使用可能であるが、昼光など周囲の光量が少ない時間があるか、積極的に励起光を照射することが可能である環境に設置することが好ましい。例えば、屋内であれば地下や外光の入射が少ない場所、屋外であれば、安全表示、道路表示や広告、フリートマーキング等が挙げられる。なお、本発明でいう「昼光」とは主に太陽光、蛍光灯光等を意味し、そこに含まれる可視光及び紫外線を総称する。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
《無機蛍光体試料 Sr10(PO4)6Cl2:Eu2+の合成》
蛍光体1(比較例)
下記原料を秤量しボールミルで混合した後、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で2時間の熱処理を施し蛍光体1を得た。
SrCO3 29.52g
SrHPO4 110.16g
SrCl2 31.72g
Eu2O3 3.52g
得られた蛍光体1をSEM撮影し観察したところ、粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子長軸と、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子短軸と定義したとき、粒子群中において、粒子短軸の粒子長軸に対する比(以下、粒子短軸の粒子長軸に対する比という。)が0.5〜1の範囲内にある粒子は全粒子の45%であった。
蛍光体2(本発明)
液相法フローにて一次粒子を作製した。
炭酸ストロンチウム29.52g、燐酸水素二ナトリウム12水和物42.97g、塩化ユーロピウム2.58gをそれぞれ純水300gに溶解した溶液を、14%アンモニア水500g中に約1ml/minの速度で攪拌しながら滴下し沈殿を得た。得られた沈殿を濾過により分取して、室温で乾燥した。
乾燥物を、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で2時間の熱処理を施し蛍光体2を得た。
得られた蛍光体2をSEM撮影し観察したところ、粒子短軸の粒子長軸に対する比が0.5〜1の範囲内にある粒子は全粒子の65%であった。
【0018】
《インク1の調製》
下記蛍光体含有分散液処方で分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク1を得た。
《インク2の調製》
下記蛍光体含有分散液処方で分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク2を得た。
【0019】
得られたインク1、2を用いて、エプソン製MC−2000インクジェットプリンターで、普通紙に連続100回ずつ印字を行った。出射不良の具合を印字結果を用いて目視で評価した。
その結果、インク1を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は32回であった。また、インク2を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は2回であった。
この結果より、本発明に規定する無機蛍光体を用いたインクは出射性能が良好で優れた特性を持っていることがわかる。
【0020】
実施例2
《無機蛍光体試料 Sr10(PO4)6Cl2:Eu2+の合成》
蛍光体3(比較例)
下記原料を秤量しボールミルで混合した後、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で2.5時間の熱処理を施し蛍光体3を得た。
SrCO3 29.52g
SrHPO4 110.16g
SrCl2 31.72g
Eu2O3 3.52g
得られた蛍光体3をBET比表面積計を用いて比表面積を測定したところ比表面積は2m2/gであった。
蛍光体4(本発明)
液相法フローにて一次粒子を作製した。
炭酸ストロンチウム29.52g、燐酸水素二ナトリウム12水和物42.97g、塩化ユーロピウム2.58gをそれぞれ純水300gに溶解した溶液を、14%アンモニア水500g中に約1ml/minの速度で攪拌しながら滴下し沈殿を得た。得られた沈殿を濾過により分取して、室温で乾燥した。
乾燥物を、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で2.5時間の熱処理を施し蛍光体2を得た。
得られた蛍光体4をBET比表面積計を用いて比表面積を測定したところ比表面積は5.8m2/gであった。
【0021】
《インク3の調製》
下記蛍光体含有分散液処方で分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク3を得た。
《インク4の調製》
下記蛍光体含有分散液処方で分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク4を得た。
【0022】
得られたインク3、4を用いて、エプソン製MC−2000インクジェットプリンターで、普通紙に連続100回ずつ印字を行った。出射不良の具合を印字結果を用いて目視で評価した。
その結果、インク3を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は35回であった。また、インク2を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は3回であった。
この結果より、本発明に規定する無機蛍光体を用いたインクは出射性能が良好で優れた特性を持っていることがわかる。
【0023】
実施例3
《無機蛍光体試料 Sr10(PO4)6Cl2:Eu2+の合成》
蛍光体5(比較例)
下記原料を秤量しボールミルで混合した後、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で3時間の熱処理を施し蛍光体1を得た。
SrCO3 29.52g
SrHPO4 110.16g
SrCl2 31.72g
Eu2O3 3.52g
得られた蛍光体5について、(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)によって定義される表面荒さを求めたところ表面粗さは1.6であった。
蛍光体6(本発明)
液相法フローにて一次粒子を作製した。
炭酸ストロンチウム29.52g、燐酸水素二ナトリウム12水和物42.97g、塩化ユーロピウム2.58gをそれぞれ純水300gに溶解した溶液を、14%アンモニア水500g中に約1ml/minの速度で攪拌しながら滴下し沈殿を得た。得られた沈殿を濾過により分取して、室温で乾燥した。
乾燥物を、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で3時間の熱処理を施し蛍光体2を得た。
得られた蛍光体5について、(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)によって定義される表面荒さを求めたところ表面粗さは2.6であった。
【0024】
《インク5の調製》
下記蛍光体含有分散液処方の混合物を分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク5を得た。
《インク6の調製》
下記蛍光体含有分散液処方の混合物を分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク6を得た。
【0025】
得られたインク5、6を用いて、エプソン製MC−2000インクジェットプリンターで、普通紙に連続100回ずつ印字を行った。出射不良の具合を印字結果を用いて目視で評価した。
その結果、インク5を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は24回であった。また、インク6を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は5回であった。
この結果より、本発明に規定する無機蛍光体を用いたインクは出射性能が良好で優れた特性を持っていることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の蛍光体を含有するインクジェット記録用インクは、インクジェットプリンターでの出射に適しており、優れた蛍光画像を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用インクおよび画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛍光体を用いて形成された画像は、励起光を当てることにより鮮やかな蛍光を発し、所望の演出ができ好ましい。また、インクジェット記録方法は、比較的簡単な装置で高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。広範囲の分野でインクジェット記録方式を採用したプリンタが製造されており、また、その使用用途に応じてインクの種類も多岐に及んでいる。
インクジェットプリンターを用いて蛍光画像を形成することは、特開平7−310038号公報、特開平8−113776号公報、特開平8−239610号公報に開示されているが、該公報に記載の技術は、水溶性有機蛍光体を用いたインクジェット用のインクに関する技術であり、有機蛍光体は耐侯性が著しく短いとか、自己着色性があるなど数々の問題点があり、該技術は実用上非常に限定された使用にしか耐えられなかった。
また、特開平6−297883号公報には、無機蛍光体を用いた技術が開示されているが、インクジェットプリンターで出射させるには、該無機蛍光体は粒径が大きく、かつ、表面状態、形状についての記述もなく充分とはいえなかった。そこで、本発明者が検討したところ、特定の形状、表面状態を有する蛍光体を用いることにより、優れた射出性能を有するインクジェット記録用インクが得られることを見いだした。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の第1の目的は、インクジェットプリンターでの出射に適したインクジェット記録用インクが得られる無機蛍光体を提供することにある。第2の目的は、該蛍光体を使用した画像形成方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、
(1)無機蛍光体粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子長軸と、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子短軸と定義したとき、粒子群中において、粒子短軸の粒子長軸に対する比が0.5〜1の範囲内にある粒子が全粒子の60%以上を占める無機蛍光体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
(2)比表面積が5m2/g以上である無機蛍光体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
(3)以下によって定義される表面荒さが2以上である無機蛍光体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
表面荒さ=(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)
(4)無機蛍光体粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子長軸と、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子短軸と定義したとき、粒子群中において、粒子短軸の粒子長軸に対する比が0.5〜1の範囲内にある粒子が全粒子の60%以上を占める無機蛍光体によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
(5)比表面積が5m2/g以上である無機蛍光体によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
(6)以下によって定義される表面荒さが2以上である無機蛍光体によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
表面荒さ=(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)
によって達成される。
【0005】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるインクジェット記録用インクは、無機蛍光体を単独で分散媒中に分散して製造してもよく、複数種の無機蛍光体の混合体を分散媒中に分散して製造してもよい。また、複数種の無機蛍光体を用いる場合、複数種の無機蛍光体をそれぞれ分散媒中に分散して複数種の蛍光体インクを用意しそれらを混合して目的とする蛍光体インクを製造するようにしてもよい。
本発明において、粒子短軸の粒子長軸に対する比は、蛍光体粒子をSEM撮影し、該撮影された粒子を観察し、300個の個々の粒子について長軸(粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線)と短軸(粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線)を求めその比(粒子短軸/粒子長軸)を算出することにより求めることができる。
また、粒子の比表面積は、BET比表面積計を用いて求めることができる。
無機蛍光体としては、平均粒径が1.0μm以下、更には、0.8μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが特に好ましく、0.3μm以下であることが最も好ましい。なお、ここでいう粒径とは、球換算粒径を意味する。球換算粒径とは、粒子の体積と同体積の球を想定し、該球の粒径をもって表わした粒径である。
無機蛍光体の粒径分布は狭い方が好ましい。具体的には、下記式によって定義される変動係数[%]の値が100%以下であることが好ましく、50%以下であることが更に好ましい。
変動係数[%]=(粒径分布の標準偏差/粒径の平均値)×100
本発明のインクジェット記録用インクにおける無機蛍光体の固形分濃度は特に制限はないが、1〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%である。
【0006】
無機蛍光体の組成には特に制限はなく、意図する蛍光画像の励起光波長、発光色等によって、これまでに公知のあらゆる組成の無機蛍光体を使用することができる。
具体的には、無機蛍光体の組成としては、例えば、特開昭50−6410号公報、同61−65226号公報、同64−22987号公報、同64−60671号公報、特開平1−168911号公報等に記載されている無機蛍光体を適宜使用することができるが、Y2O3、Zn2SiO4等に代表される金属酸化物、Sr5(PO4)3Cl等に代表されるリン酸塩、ZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物等を結晶母核とし、これら母核にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属イオンやAg、Al、Mn、Sb等の金属イオンを賦活剤または共賦活剤として組み合わせたものが好ましい。
結晶母体の好ましい例としては、例えば、ZnS、SrS、CaS、(Zn,Cd)S、SrGa2S4、YO3、Y2O2S、Y2O3、Y2SiO3、SnO2、Y3Al5O12、Zn2SiO4、Sr4Al14O25、CeMgAl11O19、BaAl12O19、BaMgAl10O17、BaMgAl14O23、Ba2Mg2Al12O22、Ba2Mg4Al8O18、Ba3Mg5Al18O35、(Ba,Sr,Mg)O・aAl2O3、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al10O17、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al10O17、Sr2P2O7、(La,Ce)PO4、Ca10(PO4)6(F,Cl)2、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2、GdMgB5O10、(Y,Gd)BO3等を挙げることができる。
以上の結晶母体及び賦活剤または共賦活剤は、元素組成に特に制限はなく、また、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた無機蛍光体は紫外から青色領域の光を吸収して可視光を発するものが好ましい。これら蛍光体としては、無機酸化物蛍光体、無機ハロゲン化物蛍光体を使用することもできる。
【0007】
以下に、本発明に好ましく適用される無機蛍光体を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
[青色発光無機蛍光化合物]
(BL−1) Sr2P2O7:Sn4+
(BL−2) Sr4Al14O25:Eu2+
(BL−3) BaMgAl10O17:Eu2+
(BL−4) SrGa2S4:Ce3+
(BL−5) CaGa2S4:Ce3+
(BL−6) (Ba,Sr)(Mg,Mn)Al10O17:Eu2+
(BL−7) (Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+
(BL−8) BaAl2Si2O8:Eu2+
(BL−9) Sr5(PO4)3Cl:Eu2+
(BL−10) Sr2P2O7:Eu2+
(BL−11) Sr(H2PO4)2:Eu2+
【0008】
[緑色発光無機蛍光化合物]
(GF−1) (BaMg)Al16O27:Eu2+,Mn2+
(GF−2) Sr4Al14O25:Eu2+
(GF−3) (SrBa)Al2Si2O8:Eu2+
(GF−4) (BaMg)2SiO4:Eu2+
(GF−5) Y2SiO5:Ce3+,Tb3+
(GF−6) Sr2P2O7−Sr2B2O5:Eu2+
(GF−7) (BaCaMg)5(PO4)3Cl:Eu2+
(GF−8) Sr2Si3O8−2SrCl2:Eu2+
(GF−9) Zr2SiO4,MgAl11O19:Ce3+,Tb3+
(GF−10)Ba2SiO4:Eu2+
(GF−11)Ca2Y8(SiO4)6O2:Tb3+
(GF−12)Y3Al5O12:Tb3+
(GF−13)La3Ga5SiO14:Tb3+
【0009】
[赤色発光無機蛍光化合物]
(RL−1) Y2O2S:Eu3+
(RL−2) (BaMg)2SiO4:Eu3+
(RL−3) (BaMg)Al16O27:Eu3+
(RL−4) (BaCaMg)5(PO4)3Cl:Eu3+
(RL−5) YVO4:Eu3+
(RL−6) CaS:Eu3+
(RL−7) YAlO3:Eu3+
(RL−8) Ca2Y8(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−9) LiY9(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−10) YVO4:Eu3+,Bi2+
(RL−11) Gd2O2S:Eu3+
(RL−12) CaS:Eu3+Cl−
(RL−13) (CaMg)3(PO4)2:Sn2+
【0010】
また、本発明における無機蛍光体としては上記の無機蛍光体の他にも、3波長蛍光体に使用されている無機蛍光体やハロリン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明の無機蛍光体を製造する方法には、本発明の条件を満たす蛍光体が得られれば特に制限はなく、発光効率の低下を招かずに合成する方法として、例えば、複合金属酸化物を合成する方法、噴霧熱分解法など、これまでに公知の種々の製造方法を用いることができる。
複合金属酸化物を合成する方法としては、2種以上の金属の粉体状酸化物を混合し高温加熱処理を行う固相法、原料を溶解した溶液から複合金属酸化物の前駆体を合成して分離し、得られた前駆体を酸化処理する液相法が挙げられる。
液相法とは、共沈法、反応晶析法、ゾルゲル法など液相中で反応させる方法を称するものであり、いずれの方法を適宜選択することが可能であるが、本発明の前駆体はゾルゲル法によって合成することが好ましい。
先ず、ゾルゲル法によって無機蛍光体を製造する方法について具体的に説明する。
ゾルゲル法とは、例えば、母体または賦活剤または共賦活剤に用いる元素(金属)を含む、例えば、金属アルコキシド(例えば、Si(OCH3)4等)や金属錯体(例えば、Eu3+(CH3COCH=C(O−)CH3)3等)またはそれらの有機溶媒溶液に金属単体を加えて作るダブルアルコキシド(例えば、Al(OBu)3の2−ブタノール溶液に金属マグネシウムを加えて作るMg[Al(OBu)3]2等)、金属ハロゲン化物、有機酸の金属塩を反応容器中で必要量混合し、熱的または化学的に加水分解または重縮合することによって合成する方法である。
【0011】
ゾルゲル法を適用する際の溶媒は反応原料が溶解すれば何を用いてもよいが、環境面の観点からエタノールが好ましい。
また、反応に当り反応開始剤を用いることができるが、これら反応開始剤としては酸でも塩基でもよいが、加水分解速度の観点から塩基を用いる方が好ましい。塩基としては、反応を開始することができればNaOH、アンモニア等の一般的な塩基を用いることができるが、除去のしやすさの観点からはアンモニアを用いることが好ましい。反応開始剤は、先に母液に添加しておいてもよく、また、原料と同時に添加しても、予め原料に加えて添加してもよいが、均一性を高めるためには母液に先に添加することが好ましい。
複数の反応原料を用いる場合、原料の添加順序は同時でも異なってもよく、その活性によって適切な順序を適宜組み立てることができる。場合によってはダブルアルコキシドを形成してもよい。
【0012】
共沈法とは、母核または賦活剤または共賦活剤に用いる元素(金属)を含む反応原料の1種類または複数種類を水を主とした溶媒に溶解して、1種類または場合によっては複数種類の原料溶液を準備し、それ自身が溶媒に溶解し原料と反応して難溶性または不溶性物質を生成・沈殿する有機化合物、例えば、蓚酸または酒石酸を沈殿剤として添加し、必要に応じてアルカリ金属硼酸塩などのフラックス等を使用して、原料が共沈した沈殿物を生成する方法である。沈殿物を生成した後は、濾別し乾燥・焼成等の工程を経て、所望とする蛍光体粒子を得ることができる。
反応晶析法とは、母核または賦活剤または共賦活剤に用いる元素(金属)を含む金属硝酸塩、金属ハロゲン化物など種々の金属塩等の反応原料を水を主とした溶媒に溶かし混合溶液にした後、化学的に難溶性塩を析出させる方法である。
共沈法や反応晶析法を適用する際の溶媒は反応原料が溶解すれば何を用いてもよいが、過飽和度制御のしやすさの観点から水が好ましい。複数の反応原料を用いる場合は、原料の添加順序は同時でも異なってもよく、活性によって適切な順序を適宜組み立てることができる。
液相法で前駆体を合成する場合、上記のどの方法の場合においても、反応の温度、原料の添加速度、攪拌速度、pHなどを制御してもよく、また、反応中に超音波を照射してもよい。また、粒径制御のために界面活性剤やポリマーなどを添加してもよい。原料を添加し終ったら必要に応じて液を濃縮及び/または熟成することも好ましい態様の1つである。
【0013】
液相法で得られた前駆体は、必要に応じて、ろ過、洗浄、乾燥、焼成、分散等の諸工程を施してもよく、分級してもよい。
焼成には現在知られているあらゆる方法を用いることができるが、回転型のキルンを用いることが好ましい。焼成温度や時間は各蛍光体が最も性能が高くなるように調整すればよく、雰囲気も組成に合わせて酸化性、還元性、硫化性、不活性ガス等の雰囲気を用いることができる。
分散には、例えば、高速攪拌型のインペラー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、また、ボールミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミル、サンドミルなど媒体(メディア)を装置内で運動させてその衝突(crush)及び剪断力を与えて微粒化するもの、また、カッターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。これらの中でも、本発明では特に媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機を使用することが好ましく、連続的に分散処理が可能な連続式湿式メディア型分散機を使用することが更に好ましい。複数の連続式湿式メディア型分散機を直列に接続する態様等も適用できる。ここでいう「連続的に分散処理が可能」とは、少なくとも無機蛍光体及び分散媒体を時間当たり一定の量比で途切れることなく分散機に供給しながら分散処理すると同時に、前記分散機内で製造された分散物を供給された材料に押し出される形で途切れることなく分散機より吐出する形態を指す。
【0014】
本発明の無機蛍光体の製造方法で、分散処理工程として媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機を用いる場合、その分散室容器(ベッセル)は縦型でも横型でも適宜選択することが可能である。
本発明の蛍光画像作成用のインクジェット記録用インクの分散媒としては、水または種々の有機溶媒、またはそれらの混合物など、その用途に応じて使用することができる。また、その際に、必要に応じて種々のバインダーや界面活性剤を使用することもできる。
また、本発明のインクジェット記録用インクには電気伝導度調節剤を用いることもでき、例えば、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩や、トリエタノールアミン等の水性アミン等を使用することができる。
本発明のインクジェット記録用インクにおいては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他諸性能向上の目的に応じて、さらに粘度調整剤、比抵抗調節剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防錆剤、防腐剤等を添加することもできる。
【0015】
本発明のインクジェット記録用インクはインクジェット記録方法に用いることができるが、インクジェット記録方法に用いられるインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
本発明において、蛍光画像を形成する基材としては、普通紙、コート紙、インク液を吸収して膨潤するインク受容層を設けた膨潤型インクジェット用記録紙、多孔質のインク受容層を持った空隙型インクジェット用記録紙を用いることができる。また、これらの基紙に代えてポリエチレンテレフタレートフィルムなどの樹脂支持体を用いたものも用いることができる。しかし、空隙型インクジェット用記録紙または空隙型インクジェット用フィルムが、最も優れた性能を発揮する。
【0016】
空隙型インクジェット用記録紙、空隙型インクジェット用フィルムとは、インク吸収能を有する空隙層が設けられている記録媒体をいい、該空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成される。
空隙層は、皮膜中に空隙を形成する方法として種々知られている方法で形成でき、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子及び親水性または疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布して固体微粒子の間に空隙を作製する方法などが挙げられるが、いずれの方法で設けられてもよい。
蛍光画像の励起光源については蛍光画像の視認性が良好であれば特に制限はないが、比較的多く使われている波長254mmの光源や波長365mmのブラックライトを使用することが好ましく、また、蛍光体によっては波長405mm付近のパープリッシュブルーを励起光源に用いてもよい。
本発明のインクジェット記録用インクを用いて、あるいは、本発明によって形成された蛍光画像は、屋内、屋外、水周り等どのような環境でも使用可能であるが、昼光など周囲の光量が少ない時間があるか、積極的に励起光を照射することが可能である環境に設置することが好ましい。例えば、屋内であれば地下や外光の入射が少ない場所、屋外であれば、安全表示、道路表示や広告、フリートマーキング等が挙げられる。なお、本発明でいう「昼光」とは主に太陽光、蛍光灯光等を意味し、そこに含まれる可視光及び紫外線を総称する。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
《無機蛍光体試料 Sr10(PO4)6Cl2:Eu2+の合成》
蛍光体1(比較例)
下記原料を秤量しボールミルで混合した後、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で2時間の熱処理を施し蛍光体1を得た。
SrCO3 29.52g
SrHPO4 110.16g
SrCl2 31.72g
Eu2O3 3.52g
得られた蛍光体1をSEM撮影し観察したところ、粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子長軸と、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子短軸と定義したとき、粒子群中において、粒子短軸の粒子長軸に対する比(以下、粒子短軸の粒子長軸に対する比という。)が0.5〜1の範囲内にある粒子は全粒子の45%であった。
蛍光体2(本発明)
液相法フローにて一次粒子を作製した。
炭酸ストロンチウム29.52g、燐酸水素二ナトリウム12水和物42.97g、塩化ユーロピウム2.58gをそれぞれ純水300gに溶解した溶液を、14%アンモニア水500g中に約1ml/minの速度で攪拌しながら滴下し沈殿を得た。得られた沈殿を濾過により分取して、室温で乾燥した。
乾燥物を、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で2時間の熱処理を施し蛍光体2を得た。
得られた蛍光体2をSEM撮影し観察したところ、粒子短軸の粒子長軸に対する比が0.5〜1の範囲内にある粒子は全粒子の65%であった。
【0018】
《インク1の調製》
下記蛍光体含有分散液処方で分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク1を得た。
《インク2の調製》
下記蛍光体含有分散液処方で分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク2を得た。
【0019】
得られたインク1、2を用いて、エプソン製MC−2000インクジェットプリンターで、普通紙に連続100回ずつ印字を行った。出射不良の具合を印字結果を用いて目視で評価した。
その結果、インク1を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は32回であった。また、インク2を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は2回であった。
この結果より、本発明に規定する無機蛍光体を用いたインクは出射性能が良好で優れた特性を持っていることがわかる。
【0020】
実施例2
《無機蛍光体試料 Sr10(PO4)6Cl2:Eu2+の合成》
蛍光体3(比較例)
下記原料を秤量しボールミルで混合した後、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で2.5時間の熱処理を施し蛍光体3を得た。
SrCO3 29.52g
SrHPO4 110.16g
SrCl2 31.72g
Eu2O3 3.52g
得られた蛍光体3をBET比表面積計を用いて比表面積を測定したところ比表面積は2m2/gであった。
蛍光体4(本発明)
液相法フローにて一次粒子を作製した。
炭酸ストロンチウム29.52g、燐酸水素二ナトリウム12水和物42.97g、塩化ユーロピウム2.58gをそれぞれ純水300gに溶解した溶液を、14%アンモニア水500g中に約1ml/minの速度で攪拌しながら滴下し沈殿を得た。得られた沈殿を濾過により分取して、室温で乾燥した。
乾燥物を、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で2.5時間の熱処理を施し蛍光体2を得た。
得られた蛍光体4をBET比表面積計を用いて比表面積を測定したところ比表面積は5.8m2/gであった。
【0021】
《インク3の調製》
下記蛍光体含有分散液処方で分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク3を得た。
《インク4の調製》
下記蛍光体含有分散液処方で分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク4を得た。
【0022】
得られたインク3、4を用いて、エプソン製MC−2000インクジェットプリンターで、普通紙に連続100回ずつ印字を行った。出射不良の具合を印字結果を用いて目視で評価した。
その結果、インク3を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は35回であった。また、インク2を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は3回であった。
この結果より、本発明に規定する無機蛍光体を用いたインクは出射性能が良好で優れた特性を持っていることがわかる。
【0023】
実施例3
《無機蛍光体試料 Sr10(PO4)6Cl2:Eu2+の合成》
蛍光体5(比較例)
下記原料を秤量しボールミルで混合した後、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で3時間の熱処理を施し蛍光体1を得た。
SrCO3 29.52g
SrHPO4 110.16g
SrCl2 31.72g
Eu2O3 3.52g
得られた蛍光体5について、(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)によって定義される表面荒さを求めたところ表面粗さは1.6であった。
蛍光体6(本発明)
液相法フローにて一次粒子を作製した。
炭酸ストロンチウム29.52g、燐酸水素二ナトリウム12水和物42.97g、塩化ユーロピウム2.58gをそれぞれ純水300gに溶解した溶液を、14%アンモニア水500g中に約1ml/minの速度で攪拌しながら滴下し沈殿を得た。得られた沈殿を濾過により分取して、室温で乾燥した。
乾燥物を、5%H2−N2雰囲気中、1200℃で3時間の熱処理を施し蛍光体2を得た。
得られた蛍光体5について、(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)によって定義される表面荒さを求めたところ表面粗さは2.6であった。
【0024】
《インク5の調製》
下記蛍光体含有分散液処方の混合物を分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク5を得た。
《インク6の調製》
下記蛍光体含有分散液処方の混合物を分散して蛍光体含有分散液を得た。分散は、予備分散工程を経て粗分散物を得た後、ビーズミル分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用い行った。なお、ビーズミル分散では、平均粒経0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズの充填率は80%とした。
この蛍光体含有分散液35gを撹拌しながら、ジエチレングリコール8g、1,5−ペンタンジオール7gおよびイオン交換水50gを30分間かけて滴下してインク6を得た。
【0025】
得られたインク5、6を用いて、エプソン製MC−2000インクジェットプリンターで、普通紙に連続100回ずつ印字を行った。出射不良の具合を印字結果を用いて目視で評価した。
その結果、インク5を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は24回であった。また、インク6を用いた場合、100回の印字中出射不良の起こった回数は5回であった。
この結果より、本発明に規定する無機蛍光体を用いたインクは出射性能が良好で優れた特性を持っていることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の蛍光体を含有するインクジェット記録用インクは、インクジェットプリンターでの出射に適しており、優れた蛍光画像を得ることができる。
Claims (6)
- 無機蛍光体粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子長軸と、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子短軸と定義したとき、粒子群中において、粒子短軸の粒子長軸に対する比が0.5〜1の範囲内にある粒子が全粒子の60%以上を占める無機蛍光体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
- 比表面積が5m2/g以上である無機蛍光体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
- 以下によって定義される表面荒さが2以上である無機蛍光体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
表面荒さ=(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積) - 無機蛍光体粒子の表面の任意の点aから、異なる点bまでの線の長さをxとし、xが最大値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子長軸と、xが最小値となる点aから点bまでを結んだ線を粒子短軸と定義したとき、粒子群中において、粒子短軸の粒子長軸に対する比が0.5〜1の範囲内にある粒子が全粒子の60%以上を占める無機蛍光体によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 比表面積が5m2/g以上である無機蛍光体によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 以下によって定義される表面荒さが2以上である無機蛍光体によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
表面荒さ=(対象粒子の比表面積)/(対象粒子と同一比重、同一平均直径を有する球の比表面積)
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JP2002239366A JP2004075892A (ja) | 2002-08-20 | 2002-08-20 | インクジェット記録用インクおよび画像形成方法 |
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