JP3956808B2 - 蛍光体前駆体製造装置、およびそれを用いた蛍光体製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光体前駆体製造装置、およびそれを用いた蛍光体製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報化社会の進展の中でプラズマディスプレイパネルなどの各種のフラットパネルディスプレイやカラーブラウン管などのカラー陰極線管は、ハイビジョン用ブラウン管や高精細ディスプレイ管に象徴されるように大画面化、高コントラスト化が進むとともに、高精細化された画面を形成し得るように、より細かい画素をフェースプレート上に形成することが必要になっている。このため、蛍光体は発光輝度向上やフェースプレート面との付着力の向上など様々な特性の向上が求められている。
【0003】
これまでのフラットパネルディスプレイ用蛍光体はカラー陰極線管用に開発された粒径2〜7μm程度の粒子が用いられており、励起波長も各フラットパネルディスプレイ用に最適化されたものの開発が進んでいない為、様々な特性の向上が求められている。特に、今後のディスプレイの高精細化に伴って小粒径且つ単分散で高い輝度を持った蛍光体が求められている。
【0004】
一般的な無機蛍光体の製造方法として、蛍光体母体を構成する元素を含む化合物と賦活剤元素を含む化合物とを所定量混合した後に焼成して固体間反応を行う固相法と、蛍光体母体を構成する元素を含む溶液と賦活剤元素を含む溶液を共に混合して得られた蛍光体前駆体沈殿を固液分離してから焼成を行う液相法がある。
【0005】
蛍光体の発光効率と収率を高める為には、蛍光体組成をできるだけ化学量論的な組成に近づける必要があるが、固相法では純粋に化学量論的な組成を有する蛍光体を製造することは難しい。固相法は固体間反応である為に、反応しない余剰の不純物や反応によって生ずる副塩等が残留することが往々にして起こり、化学量論的に高純度な蛍光体を得にくい。
【0006】
また、固相法によって得られる蛍光体は、比較的広い粒度分布を有し、特に多量の融剤を用いて焼成するときには、大粒径でかつ正規分布に近い広い粒度分布を有する蛍光体が得られる。そして、そういった蛍光体を用いて蛍光膜を形成するときには、輝度が高く、緻密な蛍光膜を得る為には、微細粒子や粗大粒子が多量に存在するのは好ましくないので、これらの微細粒子や粗大粒子は必要に応じて分級操作により除去されるが、分級操作は作業性が悪く、収率を低下させ、特に、粗大粒子の生成は所望粒径の粒子の収率に大きく影響し、また、必ずしも確実に除去することができない。したがって、高精細FPD用蛍光膜の形成には、不要な微細粒子や粗大粒子、特に粗大粒子を焼成時に生成させないことが重要となる。
【0007】
また、固相法によって得られる蛍光体は、粒径が小さくなるほど、発光効率、発光輝度が低下するため、1μm以下で十分な発光効率、発光輝度を持った蛍光体はほとんど供給されてないのが実状である。粒径1μm以下の蛍光体に関する製造方法もいくつか開示されているが、特開平8−81678号等のように分級操作により1μm以下の粒子を得ており、分級操作による蛍光体輝度の低下と収率の低下という問題があった。
【0008】
また、蛍光体製造の各工程において、凝集は粒子粒径を増大させてしまい、蛍光体の微粒化に対して大きな妨げとなっていたが、これを防止する観点での発明の開示は少なく、特開平6−306358号等に焼結防止剤の記述が存在するのみであり、またその効果についても十分とはいえなかった。
【0009】
一方、液相法により蛍光体を製造する場合は、先ず、蛍光体の前駆体である沈殿を生成させた後、この蛍光体前駆体を焼成して蛍光体とする。液相法では、蛍光体を構成する元素イオンにより反応が生じる為、化学量論的に高純度な蛍光体が得やすいものの蛍光体の粒径や粒子形状、粒子径分布、発光特性などの諸特性は蛍光体前駆体の性状に大きく左右される。その為、所望の蛍光体を得るには、蛍光体前駆体作製時における粒子形状や粒子径分布の制御、不純物排除等に配慮することが必要である。
【0010】
それ故、液相法による蛍光体の製造方法に関する改良法が数多く提案されている。例えば特開2001−172627には蛍光ランプ用の希土類燐酸塩蛍光体の製造方法について、希土類元素のイオン及び燐酸イオンが共存する溶液をpH1.0から2.0に制御された水溶液中に添加して希土類燐酸塩蛍光体前駆体を形成する旨が開示されている。また、特開平9−71415号には希土類酸化物の製造方法について、希土類イオンと蓚酸イオンとの反応を−5℃以上20℃以下に保った状態で反応させて球状希土類酸化物を形成する旨が開示されている。しかしながら、これらの方法では、固相法で得られる蛍光体と比べると高純度組成が得られる、球状粒子が得られる等のメリットがあるものの、小粒径と高い輝度を両立する蛍光体を得るにはまだ不十分であった。
【0011】
また、液相法による蛍光体の製造装置に関する改良もいくつか提案されている。例えば、特開2001−26776、特開2001−40349、特開2001−329260には輝尽性蛍光体用の蛍光体前駆体製造装置について技術開示がなされているが、これは全て単一の釜内で核発生と成長を行っており、時々刻々と釜内の状態が変化するような状態での粒子形成を行っており蛍光体前駆体粒子の粒径や晶癖の制御に対してまだ不十分な装置であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、小粒径、高輝度な蛍光体が得られる蛍光体前駆体製造装置、およびそれを用いた蛍光体製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0014】
1.蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置において、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管の中心軸が全て同一の点で集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さないことを特徴とする蛍光体前駆体製造装置。
【0015】
2.蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置であり、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管の中心軸が全て同一の点で集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さない蛍光体前駆体製造装置を使用することを特徴とする蛍光体製造方法。
【0016】
3.蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置において、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管を集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さず脈動流が平均流量(体積)の±2%以内であるポンプを用いて原料溶液を供給することを特徴とする蛍光体前駆体製造装置。
【0017】
4.蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置であり、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管を集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さず脈動流が平均流量(体積)の±2%以内であるポンプを用いて原料溶液を供給する蛍光体前駆体製造装置を使用することを特徴とする蛍光体製造方法。
【0018】
5.蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置において、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管の中心軸が全て同一の点で集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さず脈動流が平均流量(体積)の±2%以内であるポンプを用いて原料溶液を供給することを特徴とする前記1または3記載の蛍光体前駆体製造装置。
【0019】
6.蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置であり、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管の中心軸が全て同一の点で集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さず脈動流が平均流量(体積)の±2%以内であるポンプを用いて原料溶液を供給する蛍光体前駆体製造装置を使用することを特徴とする前記2または4記載の蛍光体製造方法。
【0020】
7.複数の供給管と1つの排出管が結合し、全ての管の中心軸が同一の点で集結した分岐管型静的混合装置を用いて、蛍光体原料溶液の少なくとも2液を、供給管内のレイノルズ数3,000以上1×1010以下、かつ線速度4.0m/sec以上1000m/sec以下にて混合して蛍光体前駆体粒子を生成させることを特徴とする前記2、4または6記載の蛍光体製造方法。
【0021】
8.複数の供給管と1つの排出管が結合し、全ての管の中心軸が同一の点で集結し、かつ原料溶液の供給管の各々の内断面積の差が、供給管断面積平均値を基準として±10%以内である分岐管型静的混合装置を用いて、蛍光体原料溶液の少なくとも2液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させることを特徴とする前記1、3または5記載の蛍光体前駆体製造装置。
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
以下に、本発明に係る蛍光体、本発明の蛍光体前駆体製造装置及び蛍光体製造方法を詳細に説明する。
【0023】
本発明において、蛍光体前駆体粒子(以下、蛍光体前駆体ともいう)とは、蛍光体の中間生成物であり、該蛍光体前駆体粒子を所定の温度で焼成することにより、蛍光体が得られる。
【0024】
液相法で蛍光体前駆体を合成した後、必要に応じてろ過、蒸発乾固、遠心分離等の方法で回収した後に好ましくは洗浄を行い、更に乾燥、焼成等の諸工程を施してもよく、分級してもよい。
【0025】
本発明の蛍光体の製造方法では、焼成工程に先立って脱塩工程を経ることにより、蛍光体前駆体から副塩などの不純物を取り除くことが好ましい。脱塩後の蛍光体前駆体の電気伝導度が0.01〜20mS/cmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは0.01〜10mS/cmであり、特に好ましくは0.01〜5mS/cmである。0.01mS/cm未満の電気伝導度にしても特に効果は大きくならず、生産性が低くなってしまう。また20mS/cmを超えると副塩や不純物が充分に除去できていない為に粒子の粗大化や粒子径分布が広くなり、発光強度が劣化してしまう。
【0026】
本発明において、上記記載の電気伝導度の測定方法はどのような方法を用いることも可能であるが、市販の電気伝導度測定器を使用すればよい。
【0027】
本発明における脱塩工程としては、各種膜分離法、凝集沈降法、電気透析法、イオン交換樹脂を用いた方法、ヌーデル水洗法などを適用することが好ましい。また、原料溶液の一つ以上または全部に保護コロイドを混合してもかまわない。
【0028】
本発明において用いられる保護コロイドは、粒子同士の凝集を防ぐために機能しており、特開2001−329262の晶癖制御に用いられている有機ポリマーとは明らかに機能が異なる。本発明において用いられる保護コロイドは、天然、人工を問わず各種高分子化合物を用いることができる。その際、保護コロイドの重量平均分子量は、10,000以上が好ましく、10,000以上300,000以下がより好ましく、10,000以上30,000以下が特に好ましい。また、保護コロイドは、タンパク質が好ましく、ゼラチンが特に好ましい。また、単一の組成である必要はなく、各種バインダーを混合してもよい。
【0029】
ここで言う平均粒径とは、粒子が立方体あるいは八面体の所謂、正常晶の場合には、粒子の稜の長さを言う。又、正常晶でない場合、例えば球状、棒状あるいは平板状粒子の場合には、粒子の体積と同等な球を考えた時の直径を言う。
【0030】
又、粒子は単分散であることが好ましい。ここで言う単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下の場合を示す。本発明において、単分散度としては30%以下が更に好ましく、0.1〜20%が特に好ましい。
【0031】
単分散度=(粒径の標準偏差/粒径の平均値)×100
本発明においては、蛍光体前駆体の乾燥方法には特に限定はなく、真空乾燥、気流乾燥、流動層乾燥、噴霧乾燥等、あらゆる方法が用いられる。
【0032】
本発明においては、蛍光体前駆体の焼成温度、時間に特に限定はなく、蛍光体の種類に応じて適宜選択できる。更に、焼成時のガス雰囲気は、酸化性雰囲気、還元性雰囲気又は不活性雰囲気の何れでもよく、目的に応じて適宜選択できる。焼成装置としても特に限定はなく、あらゆる装置を使用することができる。例えば箱型炉や坩堝炉、ロータリーキルン等が好ましく用いられる。
【0033】
焼成時に焼結防止剤を添加しても添加しなくともよい。添加する場合は、蛍光体前駆体形成時にスラリーとして添加してもよく、又、粉状のものを乾燥済蛍光体前駆体と混合して焼成する方法も好ましく用いられる。更に、焼結防止剤に特に限定はなく、蛍光体の種類、焼成条件によって適宜選択される。例えば、蛍光体の焼成温度域によって800℃以下での焼成にはTiO2等の金属酸化物が、1000℃以下での焼成にはSiO2が、1700℃以下での焼成にはAl23が、それぞれ好ましく使用される。
【0034】
本発明において製造される蛍光体は、種々の目的で吸着・被覆等の表面処理を施すことができる。どの時点で表面処理を施すかはその目的によって異なり、適宜適切に選択するとその効果がより顕著になる。例えば、分散処理工程前のいずれかの時点でSi、Ti、Al、Zr、Zn、In、Snから選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物で蛍光体の表面を被覆すると、分散処理時における蛍光体の結晶性の低下を抑制でき、更に蛍光体の表面欠陥に励起エネルギーが捕獲されることを防ぐことにより、発光輝度及び発光強度の低下を抑制できる。また、分散処理工程後のいずれかの時点で有機高分子化合物等で蛍光体の表面を被覆すると、耐候性等の特性が向上し、耐久性に優れた無機蛍光体を得ることができる。これら表面処理を施す際の被覆層の厚さや被覆率等は、適宜任意に制御することができる。
【0035】
本発明において製造される蛍光体はその組成に特に制限は無く、例えば特開昭50−6410号、同61−65226号、同64−22987号、同64−60671号、特開平1−168911号等に記載されている公知の種々の組成を適用することが可能である。具体的には、Y23、Zn2SiO4等に代表される金属酸化物、Ca5(PO43Cl等に代表されるリン酸塩、ZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物等を蛍光体結晶母体とし、これら母体にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属イオンやAg、Al、Mn、Sb等の金属イオンを賦活剤または共賦活剤として組み合わせたものが好ましい。
【0036】
結晶母体の好ましい例を以下に列挙する。
ZnS、SrS、GaS、(Zn,Cd)S、SrGa24、YO3、Y22S、Y23、Y2SiO3、SnO2、Y3Al512、Zn2SiO4、Sr4Al1425、CeMgAl1019、BaAl1219、BaMgAl1017、BaMgAl1423、Ba2Mg2Al1222、Ba2Mg4Al818、Ba3Mg5Al1835、(Ba,Sr,Mg)O・aAl23、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017、Sr227、(La,Ce)PO4、Ca10(PO46(F,Cl)2、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2、GdMgB510、(Y,Gd)BO3等が挙げられる。
【0037】
結晶母体及び賦活剤または共賦活剤は、特に元素の組成に制限はなく、同族の元素と一部置き換えたものでも使用可能で、紫外領域の励起光を吸収して可視光を発するものであればどのような組み合わせでも使用可能であるが、無機酸化物蛍光体、または無機ハロゲン化物蛍光体を使用することが好ましい。
【0038】
以下に本発明に係る蛍光体の具体的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
[青色発光無機蛍光体化合物]
(BL−1) Sr227:Sn4+
(BL−2) Sr4Al1425:Eu2+
(BL−3) BaMgAl1017:Eu2+
(BL−4) SrGa24:Ce3+
(BL−5) CaGa24:Ce3+
(BL−6) (Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017:Eu2+
(BL−7) (Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+
(BL−8) ZnS:Ag
(BL−9) CaWO4
(BL−10) Y2SiO5:Ce
(BL−11) ZnS:Ag,Ga,Cl
(BL−12) Ca259Cl:Eu2+
(BL−13) BaMgAl1423:Eu2+
(BL−14) BaMgAl1017:Eu2+,Tb3+,Sm2+
(BL−15) BaMgAl1423:Sm2+
(BL−16) Ba2Mg2Al1222:Eu2+
(BL−17) Ba2Mg4Al818:Eu2+
(BL−18) Ba3Mg5Al1835:Eu2+
(BL−19) (Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017:Eu2+
[緑色発光無機蛍光体化合物]
(GL−1) (Ba,Mg)Al1627:Eu2+,Mn2+
(GL−2) Sr4Al1425:Eu2+
(GL−3) (Sr,Ba)Al2Si28:Eu2+
(GL−4) (Ba,Mg)2SiO4:Eu2+
(GL−5) Y2SiO5:Ce3+,Tb3+
(GL−6) Sr227−Sr225:Eu2+
(GL−7) (Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu2+
(GL−8) Sr2Si38−2SrCl2:Eu2+
(GL−9) Zr2SiO4,MgAl1119:Ce3+,Tb3+
(GL−10) Ba2SiO4:Eu2+
(GL−11) ZnS:Cu,Al
(GL−12) (Zn,Cd)S:Cu,Al
(GL−13) ZnS:Cu,Au,Al
(GL−14) Zn2SiO4:Mn
(GL−15) ZnS:Ag,Cu
(GL−16) (Zn,Cd)S:Cu
(GL−17) ZnS:Cu
(GL−18) Gd22S:Tb
(GL−19) La22S:Tb
(GL−20) Y2SiO5:Ce,Tb
(GL−21) Zn2GeO4:Mn
(GL−22) CeMgAl1119:Tb
(GL−23) SrGa24:Eu2+
(GL−24) ZnS:Cu,Co
(GL−25) MgO・nB23:Ce,Tb
(GL−26) LaOBr:Tb,Tm
(GL−27) La22S:Tb
(GL−28) SrGa24:Eu2+,Tb3+,Sm2+
[赤色発光無機蛍光体化合物]
(RL−1) Y22S:Eu3+
(RL−2) (Ba,Mg)2SiO4:Eu3+
(RL−3) Ca28(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−4) LiY9(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−5) (Ba,Mg)Al1627:Eu3+
(RL−6) (Ba,Ca,Mg)5(PO4)3Cl:Eu3+
(RL−7) YVO4:Eu3+
(RL−8) YVO4:Eu3+,Bi3+
(RL−9) CaS:Eu3+
(RL−10) Y23:Eu3+
(RL−11) 3.5MgO,0.5MgF2GeO2:Mn
(RL−12) YAlO3:Eu3+
(RL−13) YBO3:Eu3+
(RL−14) (Y,Gd)BO3:Eu3+
本発明で製造される蛍光体は、その粒径に特に制限は無いが、予め平均粒径は小さい方が後に分散処理を施すに当たって有利である。具体的には、平均粒径は1.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることが更に好ましい。ここで無機蛍光体の粒径は、球換算粒径を意味する。球換算粒径とは、粒子の体積と同体積の球を想定し、該球の粒径をもって表わした粒径である。
【0039】
また、粒径分布も上記と同様の理由から予め狭い方が有利であり、具体的には、粒径分布の変動係数が100%以下であることが好ましく、70%以下であることが更に好ましい。ここで粒径分布の変動係数(粒子分布の広さ)とは、下式によって定義される値である。
【0040】
粒径分布の広さ(変動係数)[%]=(粒子サイズ分布の標準偏差/粒子サイズの平均値)×100
本発明の蛍光体製造方法によって得られた蛍光体の分散物は、様々な用途に適用することができる。その適用方法は、例えば、他の溶液や固体分散物等の液状の材料と混合させて液状の蛍光性材料としたり、蛍光体の分散物またはそれを含む混合物を基材に塗布したりするなど、多様な方法で適用できる。
【0041】
本発明に係る蛍光体の用途は特に制限は無く、例えばプラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションディスプレイ、エレクトロルミネッセンス装置、能動発光型液晶装置、陰極線管(CRT)等の種々の画像表示装置の無機蛍光層、インクジェットプリンター用インク、レーザプリンター用インク、その他オフセット印刷や転写リボン等の印刷様式に適した各種インク、電子写真用トナー、または各種塗料や筆記具等に用いる色材、更には電子記録媒体用色材、ハロゲン化銀写真材料、増感紙等、様々な用途を挙げることができる。
【0042】
特に上記各種インク、各種色材に適用する場合は、主に色補正等を目的として本発明に係る蛍光体の分散物を染料や顔料等の着色剤を含む溶液や固体分散物に混合したり、着色剤を含有せずに無機蛍光体を主成分とする蛍光性材料として適用することも可能である。
【0043】
以下、本発明の実施の形態を、図面を利用しながら説明する。
図1及び図2は蛍光体前駆体粒子を生成する反応装置の一例の主要部と、粒子の熟成・成長を行うための容器の一例を模式的に示す図である。
【0044】
図1と図2は、後述する流路の形態が異なる(Y字型、T字型)だけであり、同じ機能を有する手段は同一数字で示してある。
【0045】
図中、1は反応装置、2は熟成成長用容器である。反応装置1は、蛍光体原料溶液Aを取り込む為の第1流路11と、蛍光体原料溶液Bを取り込むための第2流路12と、後述する第3流路13とを有する。
【0046】
前記第1流路11および第2流路12の一端は、交点C′において、それぞれの流路内に連続的に送液される溶液が衝突し、混合するように関係づけられており、また、第3流路13の一端は、衝突後の混合溶液を連続的に受け入れることができるように、交点C′において前記2つの流路の一端と繋がっている。即ち、前記3つの流路の一端が集結して交点C′を形成している構成にある。ここで重要なことは、交点C′における衝突後の溶液が逆流しないように、また、衝突混合により即時に形成される粒子核が、少なくともほぼ安定状態となるまでの時間、反応装置内で(実際には第3流路13内で)送液(液の移動)しうる構成に配慮することである。
【0047】
ここでは、粒子が安定状態となるまでの時間を0.001秒以上と定め、第3流路13は、これを満足する径と長さを有している。
【0048】
貯蔵タンクT1およびT2は、それぞれ蛍光体原料溶液AおよびBを貯蔵する貯蔵タンクである。前記溶液は制御手段S1,S2の制御に従って動作するポンプP1,P2により前記の各流路にレイノルズ数3000以上で送り込まれるように制御されている。混合前の前記両溶液の流速は同じでも、差があってもよい。
【0049】
前記第3流路は、混合前の前記第1及び第2流路に送り込まれる各溶液の流速以上の流速を、混合後の溶液に付与することができる。前記制御手段S1,S2は1つに纏めてもよく、また、前記ポンプP1,P2は無脈動ポンプで或ることが望ましい。
【0050】
熟成成長用容器2は、内部に撹拌翼21を有する。モータMは前記撹拌翼21の回転動力源のモータである。
【0051】
ノズル22は蛍光体原料溶液Cを前記容器中に導入するためのノズルであり、またノズル23は蛍光体原料溶液Dを導入するためのノズルであり、ダブルジェット法の実施を可能とする。前記溶液は、pH等の制御下に添加してもよい。
【0052】
以上のような構成に基づく作動状態を簡単に説明する。
タンクT1,T2に所定の溶液が貯蔵されている状態において、ポンプP1,P2が制御手段S1,S2の制御の基に作動を開始すると、第1流路11、第2流路12に蛍光体原料溶液が乱流状態で送り込まれる。
【0053】
やがて、前記両液は交点C′に達し、そこで衝突した後、混合状態となって第3流路13に入る。前記両液の衝突・混合により蛍光体前駆体粒子核が形成される。前記混合溶液は、衝突・混合した時から0.001秒間以上、第3流路中を移動した後に、当該流路から吐出され、熟成成長用容器2に収容される。
【0054】
混合後の前記溶液の流速は、混合前の各溶液の流速以上であり、その流速をもって前記熟成成長用容器2に吐出されてもよいし、一旦、別の容器に溜め、その後、熟成成長用容器2に移送してもよい。
【0055】
熟成成長用容器2内には保護コロイド性のよいゼラチン溶液が加温溶解されていてもよいし、なくてもよい。熟成成長用容器2に導入された蛍光体前駆体粒子核はそこで熟成工程を経てもよく、経なくともよい。また熟成成長用容器2導入後の蛍光体前駆体粒子に対し、ノズル22,23を介してさらに蛍光体原料を添加してもよく、しなくともよい。
【0056】
以上の実施の形態は、あくまでも一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
蛍光体原料溶液流量制御装置は一般に知られている制御手段を用いることができる。送液ポンプを用いて回転数による制御、或いは流量計と制御バルブを組み合わせたフィードバック制御などを使用して添加液の流量をコントロールすることができる。また別な態様として混合器を出た後の流量を監視することもできる。蛍光体原料溶液流量の変動の許容範囲は設定流量値(体積)の±2%以内が好ましく、より好ましくは±1%以内、更に好ましくは±0.5%以内、特に好ましくは±0%である。±2%の範囲を超えると均一な粒子形成が困難になることがある。
【0058】
したがって、本発明の請求項3、4、5または6の発明における如く、脈動流が平均流量(体積)の±2%以内であるポンプを用いることが好ましい。一般に核発生はその核発生条件の変動により大きく影響をうけるため高精度の送液装置を用いることが好ましい。送液ポンプとしては、プランジャーポンプ、或いは特開平4−181240号記載のシリンジポンプなど脈動の非常に小さい、或いは存在しない装置を用いることが最も好ましい。
【0059】
混合器外周にジャケットを有し、このジャケット内液の温度を制御することにより制御する方法、或いは蛍光体原料溶液Aおよび/または蛍光体原料溶液Bの配管中にジャケット或いは熱交換器を設けて添加液の温度を制御する方法などをとることができる。温度の許容範囲としては設定温度から5℃以内が好ましい。より好ましくは3℃以内であり、1℃が更に好ましい。
【0060】
混合器でのpHを監視するためには当業界ではよく知られたpH電極を用いることができる。予め設定されたpHと偏差がある場合には添加溶液の流量を調整する方法、或いは粒子を形成するための蛍光体原料溶液以外の溶液を用意し、別の流路から添加する方法などを使用することができる。また混合器の構造上電極の設置が困難であれば混合器直後の配管中に設置してもよい。pHの許容範囲としては好ましくは0.1以内、より好ましくは0.05以内である。
【0061】
混合器の形状及び構造については様々なものを使用することができる。混合器への上記添加液の導入はそれぞれ単一でもよいが複数の流路を通して分散添加することが好ましい。また添加剤を別流路或いは添加液と混ぜて混合してもよい。
【0062】
混合器と反応容器間には切替装置の他にバッファ容器を設け、反応容器に送る前に更に添加剤の添加や温度調整などを行ってもよい。この場合切り換え手段は混合器とバッファ容器間の配管中に設置する。
【0063】
混合器で形成される粒子は通常その後反応容器内で行われる粒子成長の種粒子として用いられるが完成粒子として製品に使用してもよい。蛍光体前駆体粒子の晶癖は当業界ではよく知られている正常晶を形成してもよいし、球状晶でもよい。また別な態様として微粒子添加法における供給源となる蛍光体前駆体微粒子を形成し、反応容器内で成長剤として利用することができる。
【0064】
また、以下に変形例を含め、その周囲の技術等について述べる。
前記蛍光体原料溶液AおよびBの流路は1つずつである例を示したが、処理の効率化等から、複数本ずつ存在させてもよく、また流路の直径を大きく設定するなど、選択の自由度は広い。
【0065】
また、複数の原料溶液を用いたり、成長抑制剤、凝集防止剤等を同時混合する目的で3種以上の溶液を混合してもよい。
【0066】
また、交点C′で原料溶液が衝突・混合され、蛍光体前駆体粒子が発生した瞬間に溶液の粘度は急激に増大することがあり、その結果、混合前の各溶液の各流路内における流速よりも混合後の流速が低くなると、流路を形成する壁面に対して蛍光体前駆体粒子の付着が起きやすくなり、溶液の流動状態が一定でなくなるので不均一な核発生が起こりやすくなる。
【0067】
故に、流路内における混合後の溶液の流速は混合前の各溶液の流速の1.2倍以上であることが好ましく、2.0倍以上であることがより好ましく、3.0倍以上であることが最も好ましい。流速とは流路内における平均流速をいう。
【0068】
上記送液時間(反応装置内で移動しながら滞留する時間)は0.001秒以上が好ましく、0.01秒以上がより好ましく、0.1秒以上が最も好ましい。
【0069】
本発明において、蛍光体原料溶液の少なくとも2液を、供給管内の、レイノルズ数が少なくとも3,000以上、かつ線速度が少なくとも4.0m/sec以上にて混合して蛍光体前駆体粒子を生成させることが好ましく、供給管内のレイノルズ数が3,000以上1×1010以下、かつ線速度が4.0m/sec以上1000m/sec以下にて混合して蛍光体前駆体粒子を生成させることがより好ましい。
【0070】
供給管内の線速度が少なくとも4.0m/sec以上であることが好ましく、4.0m/sec以上1000m/sec以下であることがより好ましく、10m/sec以上100m/sec以下であることが更に好ましく、20m/sec以上50m/sec以下であることが特に好ましい。供給管内の線速度が4.0m/sec未満では混合が不十分となることがある。また、1000m/secを越えることは実用的に困難となることがある。
【0071】
前記蛍光体原料溶液を第1及び第2流路に送液するに当たり、交点付近における逆流を防いだり、より均一な両液の混合を行わせるために、実質的に乱流であることが好ましく、供給管内のレイノルズ数が少なくとも3,000以上であることが好ましく、3,000以上1×1010以下であることがより好ましい。5,000以上1×107以下であることが更に好ましく、10,000以上1×106以下であることが特に好ましい。供給管内のレイノルズ数が3,000未満では混合が不十分となることがある。また、1000m/secを越えることは実用的に困難となることがある。
【0072】
乱流はレイノルズ(Re)数により定義される。レイノルズ数とは、流れの中にある物体の代表的な長さをD、速度をU、密度をρ、粘性率をηとしたとき、以下の式により得られる無次元数である。
【0073】
Re=ρDU/η
一般にRe<2300の時を層流、2,300<Re<3,000を遷移域、Re>3,000の時を乱流という。実質的に乱流とはRe>3,000であることが好ましく、よりましくはRe>5,000、特に好ましくはRe>10,000である。
【0074】
本発明においては、複数の供給管と1つの排出管が結合し、全ての管の中心軸が同一の点で集結し、かつ原料溶液の供給管の各々の内断面積の差が、供給管断面積平均値を基準として±10%以内である分岐管型静的混合装置を用いて、蛍光体原料溶液の少なくとも2液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させることが好ましい。該内断面積の差が±10%以内であることが好ましく、±5%以内であることがより好ましく、±2%以内であることが特に好ましい。±10%の範囲を超えると均一な粒子形成が困難となることがある。
【0075】
また、本発明における核の平均粒子サイズは0.1μm以下であることを特徴としており0.05μm以下が好ましい。
【0076】
平均粒子サイズは、乳剤中に含まれる微粒子を直接メッシュにのせて、そのまま透過型電子顕微鏡によって任意に1000個以上観察することにより確認することができる。
【0077】
蛍光体原料溶液の一部もしくは全てにゼラチンや水溶性ポリマー等の保恒剤や界面活性剤を加えることができる。
【0078】
図3は耐溶剤性の高い樹脂で作った反応装置の他の例を、便宜上、中央断面で示してある。
【0079】
図1における機能と同じ機能を有する部分は同一の数字で示してある。
図1の反応装置においては、混合溶液が上から下に送液される構成であるが、図3の構成においては、混合溶液を下から上に吹き出す構成としてある。
【0080】
第1流路11、第2流路12、および、第3流路13のそれぞれ一端部が集結して交点C′を形成している構成は図1の構成と同じである。
【0081】
前記3つの流路は、円柱の素材をくり抜いて形成されている。
前記装置における、蛍光体前駆体粒子核の生成は前述した通りであり、また、タンク、送液用のポンプ等が操作時に備えられること等、図1を利用しての説明と同じであるのでここでの説明は省略する。
【0082】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
【0083】
実施例1
蛍光体1(比較(請求項1、2)、(非同一点集結))の作製
水500mlにシリコンのイオン濃度が0.5000mol/lとなるように、メタ珪酸ナトリウムを溶解しA液とした。水500mlに亜鉛のイオン濃度が0.9500mol/lとなるように塩化亜鉛を溶解しB液とした。水500mlにマンガンのイオン濃度が0.0500mol/lとなるように塩化マンガン四水和物を溶解しC液とした。
【0084】
3液とも60℃に温度を保ち、図4の供給側の供給管が3本の混合装置を用いて混合及び反応を行った。(供給管11′、11″、11′″の管径:いずれも1mm、排出管13′の管径:1mm)供給管11′にA液を、供給管11″にB液を、供給管11′″にC液を供給し混合および反応を行った。3液の添加速度は150ml/minでその際の供給管11′、11″、11′″での液の線速度は3.18m/s、Re数は3,183、排出管13′での液の線速度は9.55m/s、Re数は9,549であった。
【0085】
添加後、図1の2に液を導入し10分間熟成を行い、蛍光体前駆体1を得た。
その後、蛍光体前駆体1を濾過乾燥し乾燥蛍光体前駆体1を得た。
【0086】
さらに乾燥蛍光体前駆体1を1,000℃N2雰囲気条件下で2時間焼成し蛍光体1を得た。
【0087】
蛍光体2(本発明(請求項1、2)、(同一点集結))の作製
水500mlにシリコンのイオン濃度が0.5000mol/lとなるように、メタ珪酸ナトリウムを溶解しA液とした。水500mlに亜鉛のイオン濃度が0.9500mol/lとなるように塩化亜鉛を溶解しB液とした。水500mlにマンガンのイオン濃度が0.0500mol/lとなるように塩化マンガン四水和物を溶解しC液とした。
【0088】
3液とも60℃に温度を保ち、図5の供給側の供給管が3本の混合装置を用いて混合及び反応を行った。(供給管11′、11″、11′″の管径:いずれも1mm、排出管13′の管径:1mm)供給管11′にA液を、供給管11″にB液を、供給管11′″にC液を供給し混合および反応を行った。3液の添加速度は150ml/minでその際の供給管11′、11″、11′″での液の線速度は3.18m/s、Re数は3,183、排出管13′での液の線速度は9.55m/s、Re数は9,549であった。
【0089】
添加後、図1の2に液を導入し10分間熟成を行い、蛍光体前駆体2を得た。
その後、蛍光体前駆体2を濾過乾燥し乾燥蛍光体前駆体2を得た。
【0090】
さらに乾燥蛍光体前駆体2を1,000℃N2雰囲気条件下で2時間焼成し蛍光体2を得た。
【0091】
大塚電子(株)蛍光スペクトル測定装置を用いて、147nm励起における発光強度測定を行い、比較である蛍光体の発光強度を100%としたときの蛍光体の相対発光強度は以下のようになった。
【0092】
また、蛍光体の粒径を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子500個の平均粒径を測定した。
【0093】
結果を、表1に示す。
【0094】
【表1】
Figure 0003956808
【0095】
表1から、本発明の蛍光体前駆体製造装置および蛍光体製造方法(本発明の請求項1、2、5、6または7等の発明の構成)を用いると優れた特性を持った蛍光体の製造が可能であることが明らかである。また平均粒径が小さくなっても、相対発光強度が減少しないという長所を持つことがわかる。
【0096】
実施例2
蛍光体3(比較(請求項3、4)、(脈動ポンプ(ギアポンプ)使用))の作製
水500mlにシリコンのイオン濃度が0.5000mol/lとなるように、メタ珪酸ナトリウムを溶解しA液とした。水500mlに亜鉛のイオン濃度が0.9500mol/lとなるように塩化亜鉛を溶解しB液とした。水500mlにマンガンのイオン濃度が0.0500mol/lとなるように塩化マンガン四水和物を溶解しC液とした。
【0097】
3液とも60℃に温度を保ち、図5の供給側の供給管が3本の混合装置を用いて混合及び反応を行った。(供給管11′、11″、11′″の管径:いずれも1mm、排出管13′の管径:1mm)供給管11′にA液を、供給管11″にB液を、供給管11′″にC液を供給し混合および反応を行った。3液の添加速度は150ml/minでその際の供給管11′、11″、11′″での液の線速度は3.18m/s、Re数は3,183、排出管13′での液の線速度は9.55m/s、Re数は9,549であった。
【0098】
原料溶液を送液する際に3液ともギアポンプを用いて供給を行った。その際の流量変動を測定した結果、変動幅は25.8%であった。
【0099】
添加後、図1の2に液を導入し10分間熟成を行い、蛍光体前駆体3を得た。
その後蛍光体前駆体3を濾過乾燥し乾燥蛍光体前駆体3を得た。
【0100】
さらに乾燥蛍光体前駆体3を1,000℃N2雰囲気条件下で2時間焼成し蛍光体3を得た。
【0101】
蛍光体4(本発明(請求項3、4)、非脈動ポンプ(プランジャーポンプ)使用)の作製
水500mlにシリコンのイオン濃度が0.5000mol/lとなるように、メタ珪酸ナトリウムを溶解しA液とした。水500mlに亜鉛のイオン濃度が0.9500mol/lとなるように塩化亜鉛を溶解しB液とした。水500mlにマンガンのイオン濃度が0.0500mol/lとなるように塩化マンガン四水和物を溶解しC液とした。
【0102】
3液とも60℃に温度を保ち、図3と同様の構造を持ち図5のように供給側の供給管が3本の混合装置を用いて混合及び反応を行った。(供給管11′、11″、11′″の管径:いずれも1mm、排出管13′の管径:1mm)供給管11′にA液を、供給管11″にB液を、供給管11′″にC液を供給し混合および反応を行った。3液の添加速度は150ml/minでその際の供給管11′、11″、11′″での液の線速度は3.18m/s、Re数は3,183、排出管13′での液の線速度は9.55m/s、Re数は9,549であった。
【0103】
原料溶液を送液する際に3液ともプランジャーポンプを用いて供給を行った。
その際の流量変動を測定した結果、変動幅は平均流量(ml)の±1.8%であった。
【0104】
添加後、図1の2に液を導入し10分間熟成を行い、蛍光体前駆体4を得た。
その後、蛍光体前駆体4を濾過乾燥し乾燥蛍光体前駆体4を得た。
【0105】
さらに乾燥蛍光体前駆体4を1,000℃N2雰囲気条件下で2時間焼成し蛍光体4を得た。
【0106】
大塚電子(株)蛍光スペクトル測定装置を用いて、147nm励起における発光強度測定を行い、比較である蛍光体の発光強度を100%としたときの蛍光体の相対発光強度は以下のようになった。
【0107】
また、蛍光体の粒径を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子500個の平均粒径を測定した。
【0108】
結果を、表2に示す。
【0109】
【表2】
Figure 0003956808
【0110】
表2から、本発明の蛍光体前駆体製造装置および蛍光体製造方法(本発明の請求項3、4、5、6または7等の発明の構成)を用いると優れた特性を持った蛍光体の製造が可能であることが明らかである。また平均粒径が小さくなっても、相対発光強度が減少しないという長所を持つことがわかる。
【0111】
実施例3
蛍光体5(比較(請求項8)、(供給管の内断面積の差:20%))の作製
水500mlにシリコンのイオン濃度が0.5000mol/lとなるように、メタ珪酸ナトリウムを溶解しA液とした。水500mlに亜鉛のイオン濃度が0.9500mol/lとなるように塩化亜鉛を溶解しB液とした。水500mlにマンガンのイオン濃度が0.0500mol/lとなるように塩化マンガン四水和物を溶解しC液とした。
【0112】
3液とも60℃に温度を保ち、図3と同様の構造を持ち図5のように供給側の供給管が3本の混合装置を用いて混合及び反応を行った。(供給管11′、11″、11′″の管径:いずれも1mm、排出管13′の管径:1mm)供給管11′にA液を、供給管11″にB液を、供給管11′″にC液を供給し混合および反応を行った。3液の添加速度は150ml/minでその際の供給管11′、11″、11′″での液の線速度は3.18m/s、Re数は3,183、排出管13′での液の線速度は9.55m/s、Re数は9,549であった。
【0113】
添加後、図1の2に液を導入し10分間熟成を行い、蛍光体前駆体5を得た。
その後、蛍光体前駆体5を濾過乾燥し乾燥蛍光体前駆体5を得た。
【0114】
さらに乾燥蛍光体前駆体5を1,000℃N2雰囲気条件下で2時間焼成し蛍光体5を得た。
【0115】
蛍光体6(本発明(請求項8)、供給管の内断面積の差:0%)の作製
水500mlにシリコンのイオン濃度が0.5000mol/lとなるように、メタ珪酸ナトリウムを溶解しA液とした。水500mlに亜鉛のイオン濃度が0.9500mol/lとなるように塩化亜鉛を溶解しB液とした。水500mlにマンガンのイオン濃度が0.0500mol/lとなるように塩化マンガン四水和物を溶解しC液とした。
【0116】
3液とも60℃に温度を保ち、図3と同様の構造を持ち図5のように供給側の供給管が3本の混合装置を用いて混合及び反応を行った。(供給管11′、11″、11′″の管径:いずれも1mm、排出管13′の管径:1mm)供給管11′にA液を、供給管11″にB液を、供給管11′″にC液を供給し混合および反応を行った。3液の添加速度は150ml/minでその際の供給管11′、11″、11′″での液の線速度は3.18m/s、Re数は3,183、排出管13′での液の線速度は9.55m/s、Re数は9,549であった。
【0117】
添加後、図1の2に液を導入し10分間熟成を行い、蛍光体前駆体6を得た。
その後蛍光体前駆体6を濾過乾燥し乾燥蛍光体前駆体6を得た。
【0118】
さらに乾燥蛍光体前駆体6を1,000℃N2雰囲気条件下で2時間焼成し蛍光体6を得た。
【0119】
大塚電子(株)蛍光スペクトル測定装置を用いて、147nm励起における発光強度測定を行い、比較である蛍光体の発光強度を100%としたときの蛍光体の相対発光強度は以下のようになった。
【0120】
また、蛍光体の粒径を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子500個の平均粒径を測定した。
【0121】
結果を、表3に示す。
【0122】
【表3】
Figure 0003956808
【0123】
表3中、供給管の内断面積の差とは、供給管内断面積平均値を基準とした供給管の内断面積の差を意味する。
【0124】
表3から、本発明の蛍光体前駆体製造装置(本発明の請求項8の発明の構成)を用いると優れた特性を持った蛍光体の製造が可能であることが明らかである。また平均粒径が小さくなっても、相対発光強度が減少しないという長所を持つことがわかる。
【0125】
【発明の効果】
本発明により、小粒径、高輝度な蛍光体が得られる蛍光体前駆体製造装置、およびそれを用いた蛍光体製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光体前駆体粒子を生成する反応装置の一例の主要部と、粒子の熟成・成長を行うための容器の一例を模式的に示す図である。
【図2】蛍光体前駆体粒子を生成する反応装置の別の一例の主要部と、粒子の熟成・成長を行うための容器の別の一例を模式的に示す図である。
【図3】耐溶剤性の高い樹脂で作った反応装置の他の例を、便宜上、中央断面で示す図。
【図4】供給側の管が3本の混合装置(非同一点集結)の一例を示す図。
【図5】供給側の管が3本の混合装置(同一点集結)の一例を示す図。
【符号の説明】
1 反応装置
2 熟成成長用容器
11 第1流路
11′、11″、11′″ 供給管
12 第2流路
13 第3流路
13′ 排出管
C′ 交点
T1、T2 貯蔵タンク
S1、S2 制御手段
P1、P2 ポンプ
M モータ
21 撹拌翼
22、23 ノズル

Claims (8)

  1. 蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置において、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管の中心軸が全て同一の点で集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さないことを特徴とする蛍光体前駆体製造装置。
  2. 蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置であり、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管の中心軸が全て同一の点で集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さない蛍光体前駆体製造装置を使用することを特徴とする蛍光体製造方法。
  3. 蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置において、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管を集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さず脈動流が平均流量(体積)の±2%以内であるポンプを用いて原料溶液を供給することを特徴とする蛍光体前駆体製造装置。
  4. 蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置であり、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管を集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さず脈動流が平均流量(体積)の±2%以内であるポンプを用いて原料溶液を供給する蛍光体前駆体製造装置を使用することを特徴とする蛍光体製造方法。
  5. 蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置において、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管の中心軸が全て同一の点で集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さず脈動流が平均流量(体積)の±2%以内であるポンプを用いて原料溶液を供給することを特徴とする請求項1または3記載の蛍光体前駆体製造装置。
  6. 蛍光体前駆体原料溶液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させる装置であり、全ての原料溶液供給管及び混合後の溶液を排出する排出管の中心軸が全て同一の点で集結し、かつ管内部に撹拌手段を有さず脈動流が平均流量(体積)の±2%以内であるポンプを用いて原料溶液を供給する蛍光体前駆体製造装置を使用することを特徴とする請求項2または4記載の蛍光体製造方法。
  7. 複数の供給管と1つの排出管が結合し、全ての管の中心軸が同一の点で集結した分岐管型静的混合装置を用いて、蛍光体原料溶液の少なくとも2液を、供給管内のレイノルズ数3,000以上1×1010以下、かつ線速度4.0m/sec以上1000m/sec以下にて混合して蛍光体前駆体粒子を生成させることを特徴とする請求項2、4または6記載の蛍光体製造方法。
  8. 複数の供給管と1つの排出管が結合し、全ての管の中心軸が同一の点で集結し、かつ原料溶液の供給管の各々の内断面積の差が、供給管断面積平均値を基準として±10%以内である分岐管型静的混合装置を用いて、蛍光体原料溶液の少なくとも2液を混合して蛍光体前駆体粒子を生成させることを特徴とする請求項1、3または5記載の蛍光体前駆体製造装置。
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