JP2004075777A - 柔軟性を有するポリスチレン系発泡シートおよび青果用トレー - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性と強度のバランスが取れた青果用トレーを成形するための発泡シートおよび青果用トレーを提供する。
【解決手段】ポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)およびスチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)からなる混合樹脂発泡シートとし、該シートの押出方向の引張破断強度が2.5Kg/10mm以上とし、好ましくは、混合樹脂のZ平均分子量が、25〜40万、混合割合が、(a) 40〜90%、(b) 5〜40%、(c) 5〜20%であり、混合樹脂が顔料を含有し、前記発泡シートの厚み方向の気泡数が10〜24個の発泡シートとし、さらに該発泡シートを成形した青果用トレーで、好ましくは、柔軟性28%以上、長手方向の引張時の破断強度が5Kg以上とする。
【解決手段】ポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)およびスチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)からなる混合樹脂発泡シートとし、該シートの押出方向の引張破断強度が2.5Kg/10mm以上とし、好ましくは、混合樹脂のZ平均分子量が、25〜40万、混合割合が、(a) 40〜90%、(b) 5〜40%、(c) 5〜20%であり、混合樹脂が顔料を含有し、前記発泡シートの厚み方向の気泡数が10〜24個の発泡シートとし、さらに該発泡シートを成形した青果用トレーで、好ましくは、柔軟性28%以上、長手方向の引張時の破断強度が5Kg以上とする。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多数の収納用凹部を有する青果用トレーを成形するために使用する柔軟性を有するポリスチレン系発泡シートおよび青果用トレーに関する。
【従来の技術】
従来、桃や梨を中心に青果の収納用にポリスチレン系樹脂の発泡シートを成形してなる容器を中心として各種素材の容器が使用されてきた。ポリスチレン系樹脂の発泡シートは安価であり、強度,リサイクル性にも優れる。また、パルプモールド成形品のように吸湿による強度低下もない。しかし一般にポリスチレン系発泡シートは耐衝撃性が悪く衝撃時に割れやすいという欠点がある。さらに桃のように表面が柔らかいものについては柔軟性が不足し、青果の表面を傷つけてしまう。
上記欠点を解消するために、従来から耐衝撃性に優れたゴム成分を添加することが提案されている。たとえば通常のポリスチレンに変えてゴム変性ポリスチレンを用いる(特開平8−231748)、あるいはポリスチレン樹脂にスチレンブタジエンブロック共重合体樹脂を混合して発泡させたりする(特公平4−49861)等が提案されている。
しかし、この様な方法で柔軟性を付与するとシートの破断強度が低下し、輸送工程での破損が発生する。そのため、容器の外面にポリエチレンフィルムをラミネートして補強することが一般に用いられてきたが、この方法ではコスト高になるほか、リサイクル性もなくなる。
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、柔軟性があり、容器強度のある青果用トレーを成形できる発泡シートおよび該トレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、発明者らは柔軟性があり、かつ容器強度のある青果用トレーを成形できる発泡シートを提供するべく、基材樹脂種・その配合比率、更には発泡シートのセル構造等、種々研究を重ねた結果、ポリスチレン樹脂(a)にゴム変性ポリスチレン樹脂(b)及びスチレンブタジエン共重合樹脂(c)を混合した樹脂を発泡させたシートにおいて、シートの押出方向の破断強度が2.5Kg以上とすることで、柔軟性と強度を有するポリスチレン系樹脂発泡シートを得、更に該シートを成形する事により柔軟性と強度に優れた青果用トレーが得られることを見出すに至った。
すなわち本発明における発泡シートは、複数の収納用凹部を有する青果用トレーを成形するものであって、
1.(1)ポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)およびスチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)の混合樹脂からなる発泡シートであり、
(2)該発泡シートの押出方向の引張破断強度が2.5Kg/10mm以上である、柔軟性を有するポリスチレン系樹脂発泡シート(請求項1)、
2.ポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)、スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)からなる混合樹脂のZ平均分子量が、25〜40万の範囲内である請求項1記載の発泡シート(請求項2)、
3.厚み方向の気泡数が10〜24個である請求項1または2記載の発泡シート(請求項3)、
4.混合樹脂の混合割合が、ポリスチレン樹脂(a) 40〜90%、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b) 5〜40%、スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c) 5〜20%である請求項1〜3いずれかに記載の発泡シート(請求項4)。
5.混合樹脂が顔料を含有する請求項1〜4いずれかに記載の発泡シート(請求項5)、
6.請求項1〜5のいずれかに記載の発泡シートを成形して得た青果用トレー請求項6)、および
7.圧縮率で表される柔軟性が28%以上であり、かつ長手方向の引張時の破断強度が5Kg以上である請求項6記載の青果用トレー(請求項7)、
に関する。
【発明の実施の形態】以下に、本発明を説明する。本発明において、ポリスチレン樹脂としては、スチレンの単独重合体の他、スチレンと他の単量体との共重合体を用いることもできる。他の単量体とは、α−メチルスチレン、メタクリル酸,アクリル酸エステル,無水マレイン酸等があげられる。スチレン樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。スチレン系樹脂のZ平均分子量は、30万から60万のものが使用できる。
ゴム変性ポリスチレンは、一般に広く用いられている、ゴム状重合相にスチレン樹脂の小粒子が点在する、サラミ構造のゴム状重合体粒子が、1〜2μmであるゴム変性ポリスチレンでかまわないが、もちろんゴム粒子の形状がコアシェル状等種々の形態をなしていてもかまわない。また、ゴムは、ブタジエンゴムが一般的であるが、エチレン−プロピレンやスチレン−ブタジエン,イソプレンゴム等でもかまわない。ゴム変性ポリスチレンは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)は、Z平均平均分子量が3万から25万のものが使用出来る。また、水素添加してあるものも使用できる。スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)は、旭化成からタフプレン,シェルからクレイトン等が販売されている。スチレンブタジエン共重合樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記3種の樹脂、すなわちポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)、スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)の、発泡シートにおける混合割合は、ポリスチレン樹脂(a)40〜90%、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b) が5〜40%、スチレンブタジエン共重合樹脂が5〜20%の範囲内であることが望ましい。
ゴム変性ポリスチレン、スチレンブタジエン共重合樹脂はいずれも配合量が多すぎると独立気泡率やガス残存量といったシート物性に悪影響を及ぼし、トレーの強度低下を引き起こす。配合量が少なすぎると、衝撃性及び柔軟性が不足し、破断伸びが低下する。ゴム変性ポリスチレンは特に好ましい配合量は15〜35%であり、スチレンブタジエン共重合体の特に好ましい配合量は、7〜15%である。
ポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)、スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)からなる混合樹脂のZ平均分子量は、25万〜40万であることが望ましく、より望ましくは30万〜35万である。40万を越えると強度は向上するが、柔軟性が低下し伸びが劣り成形性も低下する。25万を割ると強度が低下し実用に耐えない。
本発明の発泡シートは、前記混合樹脂に造核剤としてタルクや高級脂肪酸の金属塩等と混合され、さらにブタン等の低沸点有機化合物を発泡剤として押出機内で加熱溶融されたのち、ダイスより円筒状に押出発泡させてシート状に成形される。
発泡シートの厚みは、成形性と強度の関係から、通常1.0〜2.5mmであり、発泡シートを構成する気泡数は、厚み方向で10〜24個、特に好ましくは12〜20個である。10個未満であれば柔軟性が低下し、24個を超えると成形性が低下する。
青果用トレーは着色する場合が多く、ポリスチレン樹脂(a)やゴム変性ポリスチレン樹脂(b)をベースに着色顔料を配合したマスターバッチを前記混合樹脂に1〜5部添加し、着色シートにする事も出きる。マスターバッチは単独もしくは2種以上混合して用いることが出きる。
発泡シートは、押出時の吐出速度やダイスの設計によりシートの収縮率を調整することができる。本発明におけるポリスチレン系樹脂発泡シートは、最大二次発泡厚みの70%以上の厚みが得られる加熱での収縮率が、幅方向・押出方向共10〜−5%である。更に望ましくは、幅方向・押出方向共5〜−2%である。−5%より低くなればドローダウンにより成形出来ない。また10%より高くても成形性は劣る。成形性が劣ると、成形品の肉まわりが悪くなり、結果として成形品の強度が低下する。
最大二次発泡厚みは、50cm角のシート4辺を固定してオーブンに入れ、時間を変えて加熱を行い、加熱過剰による気泡破壊(ヤケ)が生じる寸前まで加熱を行った場合の二次厚みであり、発泡シートが有する二次発泡性能を最大限発現させた場合の厚みである。ここで用いるオーブンは一般的な赤外線加熱ヒーターを備えた小型単発成形機や電気ヒーターを備えた箱型熱風乾燥装置が使用でき、シートの表面温度を100から150℃程度まで加熱可能であれば測定に用いることが出来る。
収縮率の測定は、50cm角のシートの4辺を固定し、各辺から50mmの位置に辺と平行に長さ30cmの切り込みをいれ、その固定されたシートをオーブンで加熱後取出し、その切り込み中央における対辺間の長さの変化量を幅方向・押出方向について測定し、加熱前後の長さの比率を計算する。スチレン系樹脂発泡シートにおける加熱収縮率は、負は伸びを表している。収縮率は最大二次発泡厚みの70%以上の二次発泡厚みが得られる加熱をかけて測定する。
かかる発泡シートを真空成形、圧空成形など従来の公知技術によりシート成形することで、青果用トレーが得られる。成形品は、青果を収納するための多数の凹部を有し、その形状はリブや突起等形成してもかまわない。
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1〜2、比較例1〜4
表1に示す各樹脂の合計100重量部に対して、気泡調整剤としてのタルク(0.1〜1.2部)及びステアリン酸カルシウム(0.005〜0.12部)を規定の気泡数になるよう調整して添加し、混合したものを、第1押出機(口径φ115mm)及び第2押出機(口径φ180mm)からなるタンデム押出機のうち、第1押出機のホッパーに供給し、第1押出機のバレル中で加熱溶融した後、発泡剤としてイソブタン/ノルマルブタン=85/15の混合ガスを圧入して溶融混合させた。
ついで第2押出機のバレルで均一に冷却し、口径φ220mmの円筒状ダイから吐出量220Kg/Hrで円筒状に押出発泡させ、吐出速度等の調整により規定の収縮率に調整し、得られた円筒状発泡体をマンドレル上で冷却後、カッターで上下2枚になるように切開して、表1に示す発泡シートを得た。
(使用した樹脂)
A:685(A&M社製ポリスチレン)
B:E650(東洋スチレン社製ゴム変性ポリスチレン)
C:タフプレンA(旭化成社製ポリスチレンポリブタジエンブロック共重合体)
D:G8102(A&M社)
(Z平均分子量の測定方法)
本明細書に記載のZ平均分子量は、得られたスチレン系樹脂発泡シートをテトラフドロヒランに溶解し、GPC(東ソー社製HLC−8020,カラム:TSKgelGMHXL30cm×2,カラム温度:35℃,流速:1ml/min)にて測定した。
(シートの引張時の破断強度の測定)
発泡シートの破断強度は、シートの押出方向を長手として、20cm×1cmの短冊状にカットしたサンプルをオリエンテック社製オートグラフ(RTC−1210A)を用い、100mm/minの速度で引張試験を行う時の破断する際の強度を測定する。
(容器の成形)
得られた発泡シートを、上ヒーター温度265℃、下ヒーター温度240℃、成形時間4.3秒で雄・雌金型で真空成形を行い、幅方向33.5cm・長さ方向47.0cm・12個の凹部を持つ、肉厚み2.3mmの梨用青果トレーとして成形した。この場合、特に支障なく成形できたものを○、容器の表面に幅3mm程度の微小なクラックが発生したものを△、大きくクラックが生じ、実用にたえないものを×として評価した。
(容器強度の測定)
容器の強度は、オリエンテック社製オートグラフ(RTC−1210A)を用い、成形品の長手方向(シートの押出方向)のフランジ部を固定し、成形品全体の引張試験を、100mm/minの速度で行い、容器が破断した時の強度を求めた。
更に容器の凹部に梨12個を充填したものをダンボール箱に2段詰めで梱包したもの(梨24個分)を用い、300Kmの距離の輸送試験を行い、容器の破損等を調べた。評価はダンボール箱5箱分(容器10個分)について行い、12個の凹部の内1箇所でも破損している容器を破損容器として扱った。また、破損容器が全試験容器中に3個以上となる場合、該当仕様の容器は強度不足で使用不能とした。また破損容器が発生しなかった場合を強度良好とした。
(容器の柔軟性評価)
柔軟性は、圧縮変形率として表した。圧縮変形率は、容器の鍔元フランジ部分の10mmφ円柱が接地可能な平らな部分を切り取り、10mmφの円柱を50mm/minの速度で荷重1kg/cm2になるまで圧縮した際の圧縮量を、元の厚み(本実施例の場合、肉厚みである2.3mm)で割ることにより求められる。これは指で容器を押した際に、圧縮変形量が大きいほど、柔らかく感じることを模擬的に表している。すなわち、圧縮変形率が大きいほど、容器は柔らかくなる。
本測定は、カトーテック社のハンディー圧縮試験機(モデルRTC−1210A)で行った。
結果を表1にまとめる。
【表1】
柔軟性の評価指標を表2にまとめる。
【表2】
容器強度の評価指標を表3にまとめる。
【表3】
【発明の効果】
本発明による発泡シートを成形することにより青果用トレーとして、梨、桃、トマトなどに使用できる強度と柔軟性をかねそなえた好適品が得られる。 従来のポリスチレン系樹脂発泡シートを成形して得られる青果用トレーは、強度が不足し、ポリエチレンフィルムなどをラミネートする必要があったが、本発明の発泡シートにより、強度及び柔軟性のバランスが得られ、単体での使用が可能である。
本発明は多数の収納用凹部を有する青果用トレーを成形するために使用する柔軟性を有するポリスチレン系発泡シートおよび青果用トレーに関する。
【従来の技術】
従来、桃や梨を中心に青果の収納用にポリスチレン系樹脂の発泡シートを成形してなる容器を中心として各種素材の容器が使用されてきた。ポリスチレン系樹脂の発泡シートは安価であり、強度,リサイクル性にも優れる。また、パルプモールド成形品のように吸湿による強度低下もない。しかし一般にポリスチレン系発泡シートは耐衝撃性が悪く衝撃時に割れやすいという欠点がある。さらに桃のように表面が柔らかいものについては柔軟性が不足し、青果の表面を傷つけてしまう。
上記欠点を解消するために、従来から耐衝撃性に優れたゴム成分を添加することが提案されている。たとえば通常のポリスチレンに変えてゴム変性ポリスチレンを用いる(特開平8−231748)、あるいはポリスチレン樹脂にスチレンブタジエンブロック共重合体樹脂を混合して発泡させたりする(特公平4−49861)等が提案されている。
しかし、この様な方法で柔軟性を付与するとシートの破断強度が低下し、輸送工程での破損が発生する。そのため、容器の外面にポリエチレンフィルムをラミネートして補強することが一般に用いられてきたが、この方法ではコスト高になるほか、リサイクル性もなくなる。
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、柔軟性があり、容器強度のある青果用トレーを成形できる発泡シートおよび該トレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、発明者らは柔軟性があり、かつ容器強度のある青果用トレーを成形できる発泡シートを提供するべく、基材樹脂種・その配合比率、更には発泡シートのセル構造等、種々研究を重ねた結果、ポリスチレン樹脂(a)にゴム変性ポリスチレン樹脂(b)及びスチレンブタジエン共重合樹脂(c)を混合した樹脂を発泡させたシートにおいて、シートの押出方向の破断強度が2.5Kg以上とすることで、柔軟性と強度を有するポリスチレン系樹脂発泡シートを得、更に該シートを成形する事により柔軟性と強度に優れた青果用トレーが得られることを見出すに至った。
すなわち本発明における発泡シートは、複数の収納用凹部を有する青果用トレーを成形するものであって、
1.(1)ポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)およびスチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)の混合樹脂からなる発泡シートであり、
(2)該発泡シートの押出方向の引張破断強度が2.5Kg/10mm以上である、柔軟性を有するポリスチレン系樹脂発泡シート(請求項1)、
2.ポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)、スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)からなる混合樹脂のZ平均分子量が、25〜40万の範囲内である請求項1記載の発泡シート(請求項2)、
3.厚み方向の気泡数が10〜24個である請求項1または2記載の発泡シート(請求項3)、
4.混合樹脂の混合割合が、ポリスチレン樹脂(a) 40〜90%、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b) 5〜40%、スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c) 5〜20%である請求項1〜3いずれかに記載の発泡シート(請求項4)。
5.混合樹脂が顔料を含有する請求項1〜4いずれかに記載の発泡シート(請求項5)、
6.請求項1〜5のいずれかに記載の発泡シートを成形して得た青果用トレー請求項6)、および
7.圧縮率で表される柔軟性が28%以上であり、かつ長手方向の引張時の破断強度が5Kg以上である請求項6記載の青果用トレー(請求項7)、
に関する。
【発明の実施の形態】以下に、本発明を説明する。本発明において、ポリスチレン樹脂としては、スチレンの単独重合体の他、スチレンと他の単量体との共重合体を用いることもできる。他の単量体とは、α−メチルスチレン、メタクリル酸,アクリル酸エステル,無水マレイン酸等があげられる。スチレン樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。スチレン系樹脂のZ平均分子量は、30万から60万のものが使用できる。
ゴム変性ポリスチレンは、一般に広く用いられている、ゴム状重合相にスチレン樹脂の小粒子が点在する、サラミ構造のゴム状重合体粒子が、1〜2μmであるゴム変性ポリスチレンでかまわないが、もちろんゴム粒子の形状がコアシェル状等種々の形態をなしていてもかまわない。また、ゴムは、ブタジエンゴムが一般的であるが、エチレン−プロピレンやスチレン−ブタジエン,イソプレンゴム等でもかまわない。ゴム変性ポリスチレンは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)は、Z平均平均分子量が3万から25万のものが使用出来る。また、水素添加してあるものも使用できる。スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)は、旭化成からタフプレン,シェルからクレイトン等が販売されている。スチレンブタジエン共重合樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記3種の樹脂、すなわちポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)、スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)の、発泡シートにおける混合割合は、ポリスチレン樹脂(a)40〜90%、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b) が5〜40%、スチレンブタジエン共重合樹脂が5〜20%の範囲内であることが望ましい。
ゴム変性ポリスチレン、スチレンブタジエン共重合樹脂はいずれも配合量が多すぎると独立気泡率やガス残存量といったシート物性に悪影響を及ぼし、トレーの強度低下を引き起こす。配合量が少なすぎると、衝撃性及び柔軟性が不足し、破断伸びが低下する。ゴム変性ポリスチレンは特に好ましい配合量は15〜35%であり、スチレンブタジエン共重合体の特に好ましい配合量は、7〜15%である。
ポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)、スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)からなる混合樹脂のZ平均分子量は、25万〜40万であることが望ましく、より望ましくは30万〜35万である。40万を越えると強度は向上するが、柔軟性が低下し伸びが劣り成形性も低下する。25万を割ると強度が低下し実用に耐えない。
本発明の発泡シートは、前記混合樹脂に造核剤としてタルクや高級脂肪酸の金属塩等と混合され、さらにブタン等の低沸点有機化合物を発泡剤として押出機内で加熱溶融されたのち、ダイスより円筒状に押出発泡させてシート状に成形される。
発泡シートの厚みは、成形性と強度の関係から、通常1.0〜2.5mmであり、発泡シートを構成する気泡数は、厚み方向で10〜24個、特に好ましくは12〜20個である。10個未満であれば柔軟性が低下し、24個を超えると成形性が低下する。
青果用トレーは着色する場合が多く、ポリスチレン樹脂(a)やゴム変性ポリスチレン樹脂(b)をベースに着色顔料を配合したマスターバッチを前記混合樹脂に1〜5部添加し、着色シートにする事も出きる。マスターバッチは単独もしくは2種以上混合して用いることが出きる。
発泡シートは、押出時の吐出速度やダイスの設計によりシートの収縮率を調整することができる。本発明におけるポリスチレン系樹脂発泡シートは、最大二次発泡厚みの70%以上の厚みが得られる加熱での収縮率が、幅方向・押出方向共10〜−5%である。更に望ましくは、幅方向・押出方向共5〜−2%である。−5%より低くなればドローダウンにより成形出来ない。また10%より高くても成形性は劣る。成形性が劣ると、成形品の肉まわりが悪くなり、結果として成形品の強度が低下する。
最大二次発泡厚みは、50cm角のシート4辺を固定してオーブンに入れ、時間を変えて加熱を行い、加熱過剰による気泡破壊(ヤケ)が生じる寸前まで加熱を行った場合の二次厚みであり、発泡シートが有する二次発泡性能を最大限発現させた場合の厚みである。ここで用いるオーブンは一般的な赤外線加熱ヒーターを備えた小型単発成形機や電気ヒーターを備えた箱型熱風乾燥装置が使用でき、シートの表面温度を100から150℃程度まで加熱可能であれば測定に用いることが出来る。
収縮率の測定は、50cm角のシートの4辺を固定し、各辺から50mmの位置に辺と平行に長さ30cmの切り込みをいれ、その固定されたシートをオーブンで加熱後取出し、その切り込み中央における対辺間の長さの変化量を幅方向・押出方向について測定し、加熱前後の長さの比率を計算する。スチレン系樹脂発泡シートにおける加熱収縮率は、負は伸びを表している。収縮率は最大二次発泡厚みの70%以上の二次発泡厚みが得られる加熱をかけて測定する。
かかる発泡シートを真空成形、圧空成形など従来の公知技術によりシート成形することで、青果用トレーが得られる。成形品は、青果を収納するための多数の凹部を有し、その形状はリブや突起等形成してもかまわない。
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1〜2、比較例1〜4
表1に示す各樹脂の合計100重量部に対して、気泡調整剤としてのタルク(0.1〜1.2部)及びステアリン酸カルシウム(0.005〜0.12部)を規定の気泡数になるよう調整して添加し、混合したものを、第1押出機(口径φ115mm)及び第2押出機(口径φ180mm)からなるタンデム押出機のうち、第1押出機のホッパーに供給し、第1押出機のバレル中で加熱溶融した後、発泡剤としてイソブタン/ノルマルブタン=85/15の混合ガスを圧入して溶融混合させた。
ついで第2押出機のバレルで均一に冷却し、口径φ220mmの円筒状ダイから吐出量220Kg/Hrで円筒状に押出発泡させ、吐出速度等の調整により規定の収縮率に調整し、得られた円筒状発泡体をマンドレル上で冷却後、カッターで上下2枚になるように切開して、表1に示す発泡シートを得た。
(使用した樹脂)
A:685(A&M社製ポリスチレン)
B:E650(東洋スチレン社製ゴム変性ポリスチレン)
C:タフプレンA(旭化成社製ポリスチレンポリブタジエンブロック共重合体)
D:G8102(A&M社)
(Z平均分子量の測定方法)
本明細書に記載のZ平均分子量は、得られたスチレン系樹脂発泡シートをテトラフドロヒランに溶解し、GPC(東ソー社製HLC−8020,カラム:TSKgelGMHXL30cm×2,カラム温度:35℃,流速:1ml/min)にて測定した。
(シートの引張時の破断強度の測定)
発泡シートの破断強度は、シートの押出方向を長手として、20cm×1cmの短冊状にカットしたサンプルをオリエンテック社製オートグラフ(RTC−1210A)を用い、100mm/minの速度で引張試験を行う時の破断する際の強度を測定する。
(容器の成形)
得られた発泡シートを、上ヒーター温度265℃、下ヒーター温度240℃、成形時間4.3秒で雄・雌金型で真空成形を行い、幅方向33.5cm・長さ方向47.0cm・12個の凹部を持つ、肉厚み2.3mmの梨用青果トレーとして成形した。この場合、特に支障なく成形できたものを○、容器の表面に幅3mm程度の微小なクラックが発生したものを△、大きくクラックが生じ、実用にたえないものを×として評価した。
(容器強度の測定)
容器の強度は、オリエンテック社製オートグラフ(RTC−1210A)を用い、成形品の長手方向(シートの押出方向)のフランジ部を固定し、成形品全体の引張試験を、100mm/minの速度で行い、容器が破断した時の強度を求めた。
更に容器の凹部に梨12個を充填したものをダンボール箱に2段詰めで梱包したもの(梨24個分)を用い、300Kmの距離の輸送試験を行い、容器の破損等を調べた。評価はダンボール箱5箱分(容器10個分)について行い、12個の凹部の内1箇所でも破損している容器を破損容器として扱った。また、破損容器が全試験容器中に3個以上となる場合、該当仕様の容器は強度不足で使用不能とした。また破損容器が発生しなかった場合を強度良好とした。
(容器の柔軟性評価)
柔軟性は、圧縮変形率として表した。圧縮変形率は、容器の鍔元フランジ部分の10mmφ円柱が接地可能な平らな部分を切り取り、10mmφの円柱を50mm/minの速度で荷重1kg/cm2になるまで圧縮した際の圧縮量を、元の厚み(本実施例の場合、肉厚みである2.3mm)で割ることにより求められる。これは指で容器を押した際に、圧縮変形量が大きいほど、柔らかく感じることを模擬的に表している。すなわち、圧縮変形率が大きいほど、容器は柔らかくなる。
本測定は、カトーテック社のハンディー圧縮試験機(モデルRTC−1210A)で行った。
結果を表1にまとめる。
【表1】
柔軟性の評価指標を表2にまとめる。
【表2】
容器強度の評価指標を表3にまとめる。
【表3】
【発明の効果】
本発明による発泡シートを成形することにより青果用トレーとして、梨、桃、トマトなどに使用できる強度と柔軟性をかねそなえた好適品が得られる。 従来のポリスチレン系樹脂発泡シートを成形して得られる青果用トレーは、強度が不足し、ポリエチレンフィルムなどをラミネートする必要があったが、本発明の発泡シートにより、強度及び柔軟性のバランスが得られ、単体での使用が可能である。
Claims (7)
- (1)ポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)およびスチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)の混合樹脂からなる発泡シートであり、
(2)該発泡シートの押出方向の引張破断強度が2.5Kg/10mm以上である、柔軟性を有するポリスチレン系樹脂発泡シート。 - ポリスチレン樹脂(a)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b)、スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c)からなる混合樹脂のZ平均分子量が、25〜40万の範囲内である請求項1記載の発泡シート。
- 厚み方向の気泡数が10〜24個である請求項1または2記載の発泡シート。
- 混合樹脂の混合割合が、ポリスチレン樹脂(a) 40〜90%、ゴム変性ポリスチレン樹脂(b) 5〜40%、スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(c) 5〜20%である請求項1〜3いずれかに記載の発泡シート。
- 混合樹脂が顔料を含有する請求項1〜4いずれかに記載の発泡シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の発泡シートを成形して得た青果用トレー。
- 圧縮率で表される柔軟性が28%以上であり、かつ長手方向の引張時の破断強度が5Kg以上である請求項6記載の青果用トレー。
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WO2019050032A1 (ja) * | 2017-09-11 | 2019-03-14 | 積水化成品工業株式会社 | 熱可塑性エラストマー組成物、発泡粒子及び発泡成形体 |
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2002
- 2002-08-13 JP JP2002235969A patent/JP2004075777A/ja active Pending
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US11643538B2 (en) | 2017-09-11 | 2023-05-09 | Sekisui Plastics Co., Ltd. | Thermoplastic elastomer composition, foam particle, and foam molded body |
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