JP2004075538A - ノルエチステロン含有外用貼付剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体と粘着剤層とからなる外用貼付剤において、該粘着剤層が分配係数制御剤としてミリスチン酸イソプロピル1〜30重量%を必須成分として含有するアクリル系粘着剤からなり、有効成分としてノルエチステロンおよび/またはその誘導体0.5〜10重量%を含有することを特徴とするノルエチステロン含有外用貼付剤である。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、更年期あるいは閉経後の女性に多くみられる頭痛、のぼせ、発汗等の更年期障害、骨粗鬆症、アルツハイマー病、動脈硬化症、高脂血症などの疾患の予防、治療に有用なノルエチステロン(黄体ホルモン)および/またはその誘導体を含有する外用貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
更年期あるいは閉経後の女性に多くみられる頭痛、のぼせ、発汗等の更年期障害、骨粗鬆症、アルツハイマー病、動脈硬化症、高脂血症などの疾患の予防、治療のため、或いは中高年代の女性におけるQOLの向上として、ホルモン補充療法が、近年重要な手法として定着してきている。
【0003】
上記の症状の予防、治療、改善のためには、主としてホルモン剤の経口投与、或いは注射投与などの手法が選択されている。しかしながら、例えば、ノルエチステロンなどの黄体ホルモンは、経口投与の場合は消化管より吸収された後、肝臓で迅速な代謝を受け、また、注射投与においても肝臓で迅速な代謝を受け、薬物の利用率が大きく低下することが知られている。
【0004】
この高い肝代謝率のため肝機能障害だけでなく、胆嚢疾患、子宮癌等の副作用をもたらす可能性があり、体内の薬物濃度(投与ホルモン濃度)を必要最小限の濃度で持続させる必要があった。そこで消化管や肝臓等を経由しない投与方法が検討され、そのなかでも特に、良好な薬物放出の持続性、取扱性等の理由で経皮吸収製剤が注目され、現在までにいくつかの製剤が検討されている。
【0005】
例えば、特公平6−51623号公報にはヒドロキシプロピルセルロースとエタノールよりなるゲル中に、エストラジオールと酢酸ノルエチステロンを溶解し、エチレン−酢酸ビニル膜で放出を制御するリザバー型製剤が提案されている。しかしながら、この製剤は、揮発成分を含んでいるため、薬物の放出性が変化してしまう恐れがあり、また、含有するエタノールが皮膚刺激性を有することにより、発赤などの皮膚障害を生じる危険性がある。
【0006】
また、国際公開WO91/17752号公報、特開平5−148145号公報、特開2000−119195には、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を粘着剤として用いた経皮吸収貼付剤が提案されている。しかし、これらの貼付剤で使用されているゴム系粘着剤は、その特性上、長時間の貼付には不向きである。
【0007】
そこで、長時間の貼付が可能であるアクリル系粘着剤を用いた製剤が検討され、例えば、特開平4−342532号公報には、2−エチルヘキシルアクリレートとN−ビニル−2−ピロリドンからなるアクリル系粘着剤を用いた貼付剤が提示されている。しかしながら、この製剤は、N−ビニル−2−ピロリドンを高濃度で含んでいるため、主薬であるノルエチステロンが粘着剤中に溶解し、製剤からの放出が低く、また一方粘着力が強すぎるため、物理的な皮膚刺激が強く、長期連続投与に耐えることができない等の問題点があった。
【0008】
さらに、ホルモン補充療法における外用剤の投与では、有効血中濃度を維持するため長時間の貼付を必要とする。この長時間の貼付のためには、外用剤基剤について粘着力を向上させること、さらに保持力を向上させるため、特に粘着剤の皮膚表面の凹凸面への投錨効果を向上させる必要がある。しかしながら、皮膚表面の凹凸面への投錨効果を向上させるためには、粘着基剤である高分子化合物の活動度を上昇させなければならないが、その一方で凝集力の低下が起こり、凝集破壊を起こし、剥離時に皮膚へ粘着剤の残着が起こる可能性がある。したがって、長時間貼付のためには、粘着剤の投錨効果と、その凝集力の制御が必要となっている。
【0009】
また、外用貼付剤における支持体の柔軟性が、薬物の経皮吸収性の向上に大きく関与することが様々な文献等で明らかにされている。この様な目的に好適な物性を持つ支持体として低密度高分子フィルム、不織布、織布等が挙げられるが、いずれも柔軟性を坦持させるための自由体積の大きさが必要とされる。しかしながら、支持体の自由体積が大きくなると、支持体層中へ薬物の吸着が起こり、その結果、長期保存後に薬物放出性の低下が生じ、外用貼付剤としての十分な性能が得られないこと等の問題点がある。
【0010】
また、外用貼付剤における支持体の柔軟性が、薬物の経皮吸収性の向上に大きく関与することが様々な文献等で明らかにされている。この様な目的に好適な物性を持つ支持体として低密度高分子フィルム、不織布、織布等が挙げられるが、いずれも柔軟性を坦持させるための自由体積の大きさが必要とされる。しかしながら、支持体の自由体積が大きくなると、支持体層に薬物の吸着が起こり、その結果、長期保存後に薬物放出性の低下が生じ、外用貼付剤としての十分な性能が得られないこと等の問題点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、上記の問題点に鑑み、
(1)外用貼付剤の単位面積当たりの薬物放出性を向上させること、
(2)外用貼付剤としての皮膚刺激の低減を図ること、
(3)長時間の貼付に際しても粘着力の向上、および長時間貼付後の剥離時における凝集破壊の防止を図ること、ならびに
(4)支持体への薬物の吸着が無く、かつ経皮吸収性の向上に寄与する柔軟な支持体の開発を図ること、
の点を充足する、ノルエチステロンおよび/またはその誘導体を含有した外用貼付剤を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するべく、発明者らは鋭意研究を重ねた結果、薬物の経皮吸収においては、製剤/皮膚間の分配係数が重要な因子となり、粘着剤中に含有されるノルエチステロンの分配係数の制御には、ミリスチン酸イソプロピルが有効であること、さらに、ミリスチン酸イソプロピルの配合に際しては、その至適配合量率が存在し、さらに皮膚刺激も低減させることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明の基本的態様である請求項1に記載の発明は、支持体と粘着剤層とからなる外用貼付剤において、該粘着剤層が分配係数制御剤としてミリスチン酸イソプロピル1〜30重量%を必須成分として含有するアクリル系粘着剤からなり、有効成分としてノルエチステロンおよび/またはその誘導体0.5〜10重量%を含有することを特徴とするノルエチステロン(黄体ホルモン)含有外用貼付剤である。
【0014】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、支持体が、厚さ0.1μm〜20μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと、厚さ1μm〜200μmの柔軟な高分子フィルム、織布または不織布を積層したものであるノルエチステロン(黄体ホルモン)含有外用貼付剤である。
【0015】
すなわち本発明は、粘着剤層としてアクリル系粘着剤を使用すること、さらにかかるアクリル系粘着剤に対して分配係数制御剤としてミリスチン酸イソプロピルを特定量配合させることにより、粘着剤層に含有される有効成分の経皮吸収性が向上し、皮膚刺激も低減されること、また、支持体として、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、柔軟な高分子フィルムまたは不織布または織布を積層した支持体が支持体中への有効成分の吸着を防止し、有効である点に特徴を有するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記したように、本発明は、粘着剤層としてミリスチン酸イソプロピル1〜30重量%を必須成分として含有するアクリル系粘着剤を使用し、そこに有効成分であるノルエチステロンおよび/またはその誘導体を含有させることを基本とする。
【0017】
本発明が提供する外用貼付剤における有効成分であるノルエチステロンおよび/またはその誘導体の配合量は、後述する粘着剤成分、そこに配合するミリスチン酸イソプロピルの配合量、支持体の構成により一概に限定し得ないが、0.5〜10重量%、より好ましくは、1〜7重量%、さらに好ましくは3.0〜5重量%である。0.5重量%未満では十分な血中濃度を得ることができず、また、10重量%を超えても、配合率の上昇に比例した血中濃度は得られず、さらに粘着剤中での結晶の析出が生じる可能性があり好ましいものではない。
【0018】
一般に、外用貼付剤の粘着基剤としては、天然ゴム、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤が知られている。本発明者らの検討によれば、粘着基剤として天然ゴム、合成ゴム系粘着剤を選択した場合は、粘着剤層に配合される有効成分であるノルエチステロンおよび/またはその誘導体との相互作用が強く、その放出性が低下することが判明した。
【0019】
さらに、天然ゴム、合成ゴム系粘着剤は、もともと疎水性であり、汗、水に弱く、高温、多湿の環境下や入浴、運動等の条件下では、粘着剤層と皮膚の間に汗または水分が介入してしまい、薬物の皮膚への移行性の低下、さらには貼付剤の皮膚からの脱落が起こる可能性があり、本製剤に求められる性能の一つである長時間の貼付には適さないことが判明した。
【0020】
また、シリコン系粘着剤を用いた場合には、最終的な材料構成が特異的なものとなり、コストアップの要因となり好ましいものではない。したがって、本発明のノルエチステロンおよび/またはその誘導体を有効成分とする外用貼付剤にあっては、アクリル系粘着剤が粘着基剤として最も好ましいものであることが判明した。
【0021】
上述のアクリル系粘着剤を構成するモノマーとしては、アクリル酸、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル等が挙げることができる。
【0022】
アクリル系粘着剤の各モノマー成分の配合量は、アクリル酸2−エチルヘキシルが5〜50重量%、アクリル酸が1〜10重量%、アクリル酸エチルが5〜50重量%、酢酸ビニルが5〜50重量%であるのが好ましく、これらの使用範囲は所望される粘着剤の物性等により適宜決定される。
【0023】
ところで、アクリル系粘着剤は、ノルエチステロンおよび/またはその誘導体に対して高い溶解性を有するため、粘着剤中からの薬物の放出性が非常に低いものとなる。かかる放出性の低下は、粘着基剤中にミリスチン酸イソプロピルを配合することにより、ノルエチステロンの基剤への分配を制御させ、その放出性を改善することができるのである。
【0024】
その場合のミリスチン酸イソプロピルの配合量は、1〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。1重量%未満では上記の効果は得られず、30重量%を超える場合には架橋剤の過剰配合によっても粘着剤の凝集力を保持することが困難になり、貼付時、皮膚表面に粘着剤残りが生じる等の問題を生じ好ましくない。
【0025】
一方、外用貼付剤における支持体の柔軟性が、粘着剤層に含有される有効成分の経皮吸収性の向上に、大きく関与することが明らかにされている。このような目的に好適な物性を持つ支持体としては、低密度高分子フィルム、不織布、織布等が挙げられるが、これらを単独で支持体として使用した場合には、いずれも柔軟性を坦持させるための自由体積の大きさが必要であり、そのため支持体中へ薬物の吸着が起こり、長期保存後に薬物放出性の低下が生じ、外用貼付剤として十分な性能が得られない等の問題がある。特に本発明が目的とするノルエチステロンおよび/またはその誘導体を有効成分とする外用貼付剤にあっては、かかる薬物放出性の低下を極力回避しなければならないものである。
【0026】
この問題に鑑み、発明者らはノルエチステロンおよび/またはその誘導体を有効成分とする外用貼付剤の最も好ましい支持体の検討を行ったところ、支持体として、ごく薄い密な構造をもつ薬物非吸着層と、皮膚の凹凸面あるいは皮膚の動きに追従する柔軟なフィルムの両者を積層することにより、支持体中への有効成分の吸着を防ぐことができ、その結果、優れた薬物の経皮吸収性が発揮されるものであることを確認した。
【0027】
図1にその支持体の積層構造を示すが、本発明の支持体Aは、柔軟なフィルム1、および薄い密な構造を有する薬物非吸着層2の積層体からなるものであり、したがって、本発明の外用貼付剤は、かかる薬物非吸着層2側に有効成分を含有する粘着剤層3が積層され、さらに剥離ライナー4が積層された構成を有するものである。
【0028】
すなわち、本発明の支持体Aは、粘着剤層側に薄い、密な構造を有する薬物非吸着層2を設けたことにより、支持体中への有効成分の吸着を防止し、さらに柔軟なフィルム層1により皮膚の凹凸あるいは皮膚の動きに追従させた点に特徴を有するものである。
【0029】
この場合に使用される薬物非吸着層は、密な構造をもちさらに薄膜成形が可能であって、有効成分等の粘着剤層成分との相互作用が無いものであれば、特に制限はなく、金属フィルム、蒸着金属、高密度高分子フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)などが挙げられる。そのなかでも、汎用性、製造コストなどの点からポリエチレンテレフタレートフィルムが望ましい。この薬物非吸着層、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さとしては、0.1μm〜20μm程度が望ましい。20μmを超える厚さでは、ポリエチレンテレフタレートフィルムの剛性により貼付剤が皮膚の凹凸あるいは皮膚の動きに追従できず、したがって、粘着剤層に含有される有効成分の経皮吸収性が低下する。
【0030】
一方、薬物非吸着層に積層される柔軟なフィルムとしては、皮膚の凹凸面あるいは皮膚の動きに追従する柔軟なフィルムであれば特に制限はなく、織布、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、高分子エラストマー等の高分子フィルムを挙げることができる。これらのフィルムの厚さとしては、1μm〜200μm、好ましくは2μm〜100μm、さらに好ましくは5μm〜50μm程度である。
【0031】
柔軟なフィルム層が1μm未満では、製剤に腰がないため剥離ライナーをはがした時折れ曲がったり、反り返ったりして貼付しにくくなる。また、200μmを超える場合には、その厚さにより皮膚の凹凸面、動きへの追従が困難になり、有効成分の経皮吸収性が低下するため、好ましいものではない。
【0032】
本発明が提供する外用貼付剤は、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、アクリル酸2−エチルヘキシル39重量%、アクリル酸1重量%、アクリル酸エチル40重量%、および酢酸ビニル20重量%の配合比で、酢酸エチル中で過酸化ベンゾイルを重合開始剤として使用し、減圧下、60℃の条件下で24時間重合反応を行い、アクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。このアクリル系粘着剤溶液に、ノルエチステロンおよび/またはその誘導体である有効成分、さらに所望の配合物を添加、攪拌後、剥離ライナー上に塗工し、乾燥の後、支持体をラミネートし、所望の大きさに切断して外用貼付剤とする。
【0033】
以上のようにして提供される本発明の外用貼付剤は、粘着剤層に含有される有効成分であるノルエチステロンおよび/またはその誘導体の、粘着剤層中への溶解性が良好であり、支持体中への有効成分の吸着がなく、さらに貼付剤自体の皮膚の凹凸面、あるいは皮膚の動きに追従することができるものである。したがって、粘着剤層に含有される有効成分の経皮吸収性が極めて良好で、長時間の貼付を維持できる貼付剤として、更年期あるいは閉経後の女性に多くみられる頭痛、のぼせ、発汗等の更年期障害、骨粗鬆症、アルツハイマー病、動脈硬化症、高脂血症などの疾患の予防、治療に有用なものである。
【0034】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例、比較例中の「部」は全て重量部である。
【0035】
実施例1〜3:
以下の表1に記載の処方により、上記した製造法に従い、各厚みを有する支持体(積層体)のポリエチレンテレフタレートフィルム側に粘着剤層をラミネートし、所望の大きさに切断し、本発明の各実施例の外用剤を得た。
【0036】
【表1】
【0037】
比較例1〜6:
以下の表2に記載の処方により、上記した製造法に従い、各厚みを有する支持体のポリエチレンテレフタレートフィルム側に粘着剤層をラミネートし、所望の大きさに切断し、各比較例の外用剤を得た。
ただし、比較例4では、支持体として50μmの低密度ポリエチレンフィルム(単層体)を、比較例5では、支持体として50μmのポリ塩化ビニルフィルム(単層体)を、比較例6では、支持体として50μmのポリウレタンフィルム(単層体)を使用し、粘着剤層をラミネートして、所望の大きさに切断し、比較例の外用剤を得た。
【0038】
【表2】
【0039】
試験例1:ラットインビトロ透過試験
除毛したラットの腹部の摘出皮膚を、フランツ型セルにセットし、その内側にはリン酸緩衝生理食塩水(レセプター液)10mlを満たし、ウオータージャケットには、37℃の温水を環流させた。実施例1、2および3、ならびに比較例1の各貼付剤を円状(1.77cm2)に打ち抜き、ラット摘出皮膚に貼付し、経時的にレセプター液をサンプリングし、液体クロマトグラフィー法によりレセプター液中に溶出したノルエチステロンの透過量を測定した。
【0040】
その結果を図2に示した。図中に示した結果からも判明するように、粘着基剤中に分配係数制御剤であるミリスチン酸イソプロピルをまったく含まない比較例1の貼付剤は、その透過量が実施例1、2および3に比較して、極端に低いものであった。したがって、粘着基剤中にミリスチン酸イソプロピルを配合させることによるノルエチステロンの吸収促進効果が発揮されていることが理解される。
【0041】
試験例2:ラット血中ノルエチステロン濃度
ラットの背部を除毛した後、1群4匹とし、9cm2に切断した実施例1、ならびに比較例2および3の各外用貼付剤を除毛した背部に貼付し、経時的に採血して、ガスクロマトグラフィー法により血中のノルエチステロン濃度を測定した。その結果を図3に示した。
【0042】
図中に示した結果からも判明するように、30および50μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムと50μmの厚さの低密度ポリエチレンフィルムが積層された支持体を用いた比較例2および比較例3の外用貼付剤に比べ、3μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムと50μmの厚さの低密度ポリエチレンフィルムが積層された支持体を用いた実施例1の外用貼付剤は、その柔軟性により明らかに高い血中ノルエチステロン濃度推移を示していた。
【0043】
試験例4:保存後の有効成分の放出試験
実施例1、ならびに比較例4、5および6の外用貼付剤を、40℃で6ヶ月間保存した貼付剤について、図4に示す放出試験測定法を使用し、支持体中へのノルエチステロンの吸着性を、製造初期の放出性との対比で検討した。その結果を、図5,6,7および8に示した。
支持体として低密度ポリエチレンフィルム(比較例4:図6)、ポリ塩化ビニルフィルム(比較例5:図7)およびポリウレタンフィルム(比較例6:図8)を用いた外用貼付剤にあっては、支持体への有効成分であるノルエチステロンの吸着が起こり、放出性が低下していることが理解される。
【0044】
これに対して支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルムに低密度ポリエチレンフィルムを積層した支持体を用いた実施例1の貼付剤(図4)では、40℃で6ヶ月間保存後においても放出性の低下は認められず、支持体中へのノルエチステロンの吸着が生じていないものであった。
【0045】
【発明の効果】
以上記載のように、本発明のノルエチステロンおよび/またはその誘導体を含有し、さらにミリスチン酸イソプロピルを特定の比率で配合し、支持体に薬物非吸着層と柔軟なフィルムとの積層体を使用した外用貼付剤は、粘着剤中における薬物の溶解性および安定性に優れ、また、薬効成分の経皮吸収性を高め、放出性においても支持体への吸着がなく、安定な薬物放出性を長期にわたり維持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外用貼付剤の断面図である。
【図2】試験例1のラットインビトロ透過試験の濃度測定結果を示すグラフである。
【図3】試験例2のラット血中ノルエチステロン濃度測定結果を示すグラフである。
【図4】試験例3の放出試験を実施した装置の模式図である。
【図5】試験例3で検討した実施例1の結果を示すグラフである。
【図6】試験例3で検討した比較例4の結果を示すグラフである。
【図7】試験例3で検討した比較例5の結果を示すグラフである。
【図8】試験例3で検討した比較例6の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
A:支持体
1:柔軟なフィルム
2:薬物非吸着層
3:粘着剤層
4:剥離ライナー
5:貼付剤
6:水
7:ガラス板
8:攪拌子
Claims (2)
- 支持体と粘着剤層とからなる外用貼付剤において、該粘着剤層が分配係数制御剤としてミリスチン酸イソプロピル1〜30重量%を必須成分として含有するアクリル系粘着剤からなり、有効成分としてノルエチステロンおよび/またはその誘導体0.5〜10重量%を含有することを特徴とするノルエチステロン含有外用貼付剤。
- 支持体が、厚さ0.1μm〜20μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと、厚さ1μm〜200μmの柔軟な高分子フィルムまたは織布または不織布を積層したものであることを特徴とする請求項1に記載のノルエチステロン含有外用貼付剤。
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