JP2004074725A - 引き裂きやすいプラスチック気泡シート - Google Patents
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Abstract
【課題】プラスチックフィルムの熱成形により多数のキャップを成形したキャップフィルムのキャップの底面に、平坦なプラスチックのバックフィルムを貼り合わせてなるプラスチック気泡シートにおいて、幅方向に手で引き裂くことが容易にできるものを提供すること。
【解決手段】プラスチック材料として、アイオノマー樹脂をT−ダイから押し出して長手方向により強く延伸したもの、または低分子量のHDPEをリングダイから押し出して低速・高ブロー比のインフレーションを行なって得たフィルムを使用し、プラスチック気泡シートを製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】プラスチック材料として、アイオノマー樹脂をT−ダイから押し出して長手方向により強く延伸したもの、または低分子量のHDPEをリングダイから押し出して低速・高ブロー比のインフレーションを行なって得たフィルムを使用し、プラスチック気泡シートを製造する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、引き裂きやすく、人の手でも容易に切ることのできるプラスチック気泡シート(以下「気泡シート」と略称する)に関する。
【0002】
【従来の技術】
気泡シート、すなわち、プラスチックフィルムの熱成形、とくに真空成形により、多数のキャップを成形したキャップフィルムのキャップの底面に、平坦なプラスチックのバックフィルムを貼り合わせ、さらにキャップの頂を連ねて、もう1枚の平坦なプラスチックのライナーフィルムを貼り合わせたものが、緩衝包装そのほか広い用途に用いられている。気泡シートとしては、上記のような三層構成のものに限られず、キャップフィルムとバックフィルムとだけからなる二層構成のものでも、多くの場合に有用であって、そのような製品も多く使用されている。
【0003】
いずれにせよ気泡シート製品は、通常、長尺に製造したものを巻き取ったコイルの形で提供されている。使用に当たっては、この巻き取りから気泡シートを繰り出して、打ち抜きとか、折り畳みとかの加工を行なう装置に供給するのが普通である。
【0004】
一方、引っ越し荷物の緩衝包装をするとか、引っ越しを含めて屋内の模様替えや工事に当たって養生をするとかの場合は、気泡シートの巻き取りを展開しながら、ハサミやカッターナイフなどで必要なだけ切り取って使用する。この切り取り作業は、意外に面倒であるし、カッターの取り扱いに気を付けないと、思いがけない危険がある。気泡シートを巻き取りから必要なだけ切り取るような使用態様においては、気泡シートの緩衝性能がそこなわれないという前提がみたされる限り、手で幅方向に、つまり長手方向に直角の方向に引き裂くことができれば好都合である。
【0005】
ところが、現在製造販売されている気泡シートは、引き裂きには抵抗し、とても手で引き裂けるものではない。気泡シートの材料は、多くの場合ポリエチレンであって、製法は、T−ダイから溶融押し出ししたプラスチックフィルムを熱成形ロールで成形して上記キャップフィルムとし、そこへ別のT−ダイから溶融押し出ししたバックフィルムを融着させるという操作を、連続的に行なって製造されている。T−ダイから押し出されたポリエチレンは、程度の差こそあれ、押し出し方向に一軸延伸されていて、流れに沿った方向にはある程度引き裂き可能であるが、幅方向には引き裂きにくい。フィルムの製造は、インフレーション法によることもある。この場合は、フィルムは二軸延伸を受けているため、どの方向に関しても引き裂きにくい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、手で引き裂くことが容易にできる気泡シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の引き裂きやすい気泡シートには、前記したように、三層構成のものと二層構成のものとがある。前者の態様は、プラスチックフィルムの熱成形により多数のキャップを成形したキャップフィルムのキャップの底面に、平坦なプラスチックのバックフィルムを貼り合わせ、さらに、キャップの頂を連ねて、もう1枚の平坦なプラスチックのライナーフィルムを貼り合わせてなる長尺のプラスチック気泡シートにおいて、キャップフィルム、バックフィルムおよびライナーフィルムの少なくとも1種に、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムを使用したものである。
【0008】
後者の態様は、プラスチックフィルムの熱成形により多数のキャップを成形したキャップフィルムのキャップの底面に、平坦なプラスチックのバックフィルムを貼り合わせてなる長尺のプラスチック気泡シートにおいて、キャップフィルムおよびバックフィルムの少なくとも1種に、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムを使用したものである。
【0009】
【発明の実施形態】
長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムとしては、まず、アイオノマー樹脂をT−ダイから押し出し、長手方向に延伸を加えて製造したフィルムが好適である。アイオノマー樹脂は、炭化水素鎖の水素の一部をカルボキシル基で置換し、そのカルボキシル基が金属のイオンMn+と塩を形成しているポリマーであり、金属が2価以上の原子価を有するものであれば、その金属イオンを介して複数の炭化水素鎖が結合した、たとえば下記のような分子構造を有する。(Mは、Na,K,Mg,Znなどであり、n=1〜4の整数)
【化1】
【0010】
アイオノマー樹脂のT−ダイ押し出しによりフィルムをつくると、延伸によって炭化水素鎖が配向し、分子間が金属イオンで結合された、つぎのような配置になる。
【化2】
【0011】
金属とカルボキシル基との間のイオン結合は、炭素原子間の共有結合にくらべて弱く、それが延伸によりいっそう弱められるから、たとえば上記の式において左右が長手方向、上下が幅方向であるとし、長手方向の延伸が強く働けば、幅方向に裂けやすいフィルムになる。このようにして、アイオノマー樹脂のフィルムを材料とする気泡シート製品は、長手方向に対し直角の方向に、つまり幅方向に引き裂きやすいものになる。
【0012】
長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムの、いまひとつの態様は、低分子量の高密度ポリエチレン(HDPE)をリング−ダイから低速で押し出し、高いブロー比をもってインフレーションを行ない、幅方向に延伸を加えて製造したフィルムである。インフレーション法によるフィルムの製造を、低い押し出し速度と高いブロー比をもって行なうと、ポリエチレンに対する延伸は、フィルムの流れ方向よりも周方向に関してより強く行なわれる。この傾向は、ポリエチレンが低分子量かつ高密度である場合に、ポリマー分子が配向しやすくなるため、いっそう顕著にあらわれる。このようにして、得られるフィルムは、押し出し方向と直角の方向に引き裂きやすいものになる。
【0013】
長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムの、さらに別の態様として挙げられるものに、メルトフローレートMFRの高い高密度ポリエチレンがある。一般に高密度ポリエチレンであってMFRが高いものは、フィルムにしたときに脆い性質があるため、それを材料とする気泡シートは、裂けやすくなる。MFRは、10以上、好ましくは15以上のものを使用する。
【0014】
気泡シートは、三層構成のものであれ、二層構成のものであれ、それを構成するフィルム、すなわちキャップフィルムおよびバックフィルム、さらにはライナーフィルムの、1種、2種または3種を、2層以上の多層フィルムとすることが可能である。この場合、多層フィルムの少なくとも1層を、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムとすることによって、その多層フィルムを裂けやすいものとすることができ、結果として、気泡フィルム全体を裂けやすいものとすることができる。
【0015】
プラスチックフィルムは、一般に、その中に固体粉末が分散していると、引き裂き強度は低い。この現象を利用して、フィルムの裂けやすさを高めることができる。本発明においても、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムとして、上記のアイオノマー樹脂の延伸フィルムまたは低分子量HDPEの低速高ブロー比インフレーションフィルムを使用し、それに無機質の粉末を添加したフィルムを使用することによって、フィルムの引き裂きやすさを増し、引き裂きやすい気泡シートを得ることができる。無機質の粉末としては、炭酸カルシウム、焼成ドロマイト、タルク、クレーなど、プラスチックの添加剤として常用されているものが、適宜選択できる。
【0016】
【実施例1】
アイオノマー樹脂「ハイミラン」(三井デュポンポリケミカル製)を材料として使用し、T−ダイから溶融押し出し、押し出し方向に100%、幅方向には10%の延伸を施して、長手方向に直角の線に沿って裂けやすいバックフィルムを用意した。キャップフィルムは、T−ダイから溶融押し出しした同じプラスチックを、延伸なしで使用した。常用されている、熱成形ロールを使用したキャップフィルム成形に対して、溶融状態のバックフィルムを押圧する方法により、下記の仕様の二層構成の気泡シートを製造した。
キャップフィルム:厚さ50μm
バックフィルム:厚さ35μm
キャップ:直径10.0mm、高さ4.0mm、ピッチ11.5.0mm、千鳥配置
【0017】
この気泡シートは、幅方向に手で引き裂くことが容易にできた。気泡の強度を測定したところ、耐荷重12kg/気泡であって、この値は同じ仕様のポリエチレンを材料とする気泡シートの耐荷重の120%に達していたから、この気泡シートが包装材料としてもつべき緩衝機能は、特殊な材料の選択により実質上悪影響を受けないどころか、むしろ向上していることが確認された。
【0018】
【実施例2】
密度0.94g/cm3、数平均分子量80,000のHDPEをリングダイから線速度40cm/secで押し出し、ブロー比7のインフレーションを行ない、周方向の線に沿って裂けやすいポリエチレンフィルムを用意した。これをバックフィルムとし、同じHDPEのT−ダイ押し出しと熱成形ロールによる成形により用意したキャップフィルムと貼り合わせ、さらに、同じHDPEをT−ダイから押し出したライナーフィルムとの貼り合わせにより、下記の仕様の三層構成の気泡シートを製造した。
キャップフィルム:厚さ50μm
バックフィルム:厚さ35μm
ライナーフィルム:厚さ15μm
キャップ:直径10.0mm、高さ4.0mm、ピッチ11.5mm、千鳥配置
この気泡シートも、幅方向に引き裂きやすいものであった。
【0019】
【発明の効果】
本発明の引き裂きやすい気泡シートは、長尺の製品の巻き取りから必要な量を切り取るに当り、手で引き裂くことができるから、ハサミやカッターナイフを使用する必要がなく、それらの使用に伴うわずらわしさや危険を避けて、所望の切り取りを行なうことができる。したがって本発明の気泡シートは、不定量の切り取り使用を必要とする用途、たとえば引っ越し荷物の包装、室内の模様替えや工事に際しての養生といった場合に、好適に使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、引き裂きやすく、人の手でも容易に切ることのできるプラスチック気泡シート(以下「気泡シート」と略称する)に関する。
【0002】
【従来の技術】
気泡シート、すなわち、プラスチックフィルムの熱成形、とくに真空成形により、多数のキャップを成形したキャップフィルムのキャップの底面に、平坦なプラスチックのバックフィルムを貼り合わせ、さらにキャップの頂を連ねて、もう1枚の平坦なプラスチックのライナーフィルムを貼り合わせたものが、緩衝包装そのほか広い用途に用いられている。気泡シートとしては、上記のような三層構成のものに限られず、キャップフィルムとバックフィルムとだけからなる二層構成のものでも、多くの場合に有用であって、そのような製品も多く使用されている。
【0003】
いずれにせよ気泡シート製品は、通常、長尺に製造したものを巻き取ったコイルの形で提供されている。使用に当たっては、この巻き取りから気泡シートを繰り出して、打ち抜きとか、折り畳みとかの加工を行なう装置に供給するのが普通である。
【0004】
一方、引っ越し荷物の緩衝包装をするとか、引っ越しを含めて屋内の模様替えや工事に当たって養生をするとかの場合は、気泡シートの巻き取りを展開しながら、ハサミやカッターナイフなどで必要なだけ切り取って使用する。この切り取り作業は、意外に面倒であるし、カッターの取り扱いに気を付けないと、思いがけない危険がある。気泡シートを巻き取りから必要なだけ切り取るような使用態様においては、気泡シートの緩衝性能がそこなわれないという前提がみたされる限り、手で幅方向に、つまり長手方向に直角の方向に引き裂くことができれば好都合である。
【0005】
ところが、現在製造販売されている気泡シートは、引き裂きには抵抗し、とても手で引き裂けるものではない。気泡シートの材料は、多くの場合ポリエチレンであって、製法は、T−ダイから溶融押し出ししたプラスチックフィルムを熱成形ロールで成形して上記キャップフィルムとし、そこへ別のT−ダイから溶融押し出ししたバックフィルムを融着させるという操作を、連続的に行なって製造されている。T−ダイから押し出されたポリエチレンは、程度の差こそあれ、押し出し方向に一軸延伸されていて、流れに沿った方向にはある程度引き裂き可能であるが、幅方向には引き裂きにくい。フィルムの製造は、インフレーション法によることもある。この場合は、フィルムは二軸延伸を受けているため、どの方向に関しても引き裂きにくい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、手で引き裂くことが容易にできる気泡シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の引き裂きやすい気泡シートには、前記したように、三層構成のものと二層構成のものとがある。前者の態様は、プラスチックフィルムの熱成形により多数のキャップを成形したキャップフィルムのキャップの底面に、平坦なプラスチックのバックフィルムを貼り合わせ、さらに、キャップの頂を連ねて、もう1枚の平坦なプラスチックのライナーフィルムを貼り合わせてなる長尺のプラスチック気泡シートにおいて、キャップフィルム、バックフィルムおよびライナーフィルムの少なくとも1種に、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムを使用したものである。
【0008】
後者の態様は、プラスチックフィルムの熱成形により多数のキャップを成形したキャップフィルムのキャップの底面に、平坦なプラスチックのバックフィルムを貼り合わせてなる長尺のプラスチック気泡シートにおいて、キャップフィルムおよびバックフィルムの少なくとも1種に、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムを使用したものである。
【0009】
【発明の実施形態】
長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムとしては、まず、アイオノマー樹脂をT−ダイから押し出し、長手方向に延伸を加えて製造したフィルムが好適である。アイオノマー樹脂は、炭化水素鎖の水素の一部をカルボキシル基で置換し、そのカルボキシル基が金属のイオンMn+と塩を形成しているポリマーであり、金属が2価以上の原子価を有するものであれば、その金属イオンを介して複数の炭化水素鎖が結合した、たとえば下記のような分子構造を有する。(Mは、Na,K,Mg,Znなどであり、n=1〜4の整数)
【化1】
【0010】
アイオノマー樹脂のT−ダイ押し出しによりフィルムをつくると、延伸によって炭化水素鎖が配向し、分子間が金属イオンで結合された、つぎのような配置になる。
【化2】
【0011】
金属とカルボキシル基との間のイオン結合は、炭素原子間の共有結合にくらべて弱く、それが延伸によりいっそう弱められるから、たとえば上記の式において左右が長手方向、上下が幅方向であるとし、長手方向の延伸が強く働けば、幅方向に裂けやすいフィルムになる。このようにして、アイオノマー樹脂のフィルムを材料とする気泡シート製品は、長手方向に対し直角の方向に、つまり幅方向に引き裂きやすいものになる。
【0012】
長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムの、いまひとつの態様は、低分子量の高密度ポリエチレン(HDPE)をリング−ダイから低速で押し出し、高いブロー比をもってインフレーションを行ない、幅方向に延伸を加えて製造したフィルムである。インフレーション法によるフィルムの製造を、低い押し出し速度と高いブロー比をもって行なうと、ポリエチレンに対する延伸は、フィルムの流れ方向よりも周方向に関してより強く行なわれる。この傾向は、ポリエチレンが低分子量かつ高密度である場合に、ポリマー分子が配向しやすくなるため、いっそう顕著にあらわれる。このようにして、得られるフィルムは、押し出し方向と直角の方向に引き裂きやすいものになる。
【0013】
長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムの、さらに別の態様として挙げられるものに、メルトフローレートMFRの高い高密度ポリエチレンがある。一般に高密度ポリエチレンであってMFRが高いものは、フィルムにしたときに脆い性質があるため、それを材料とする気泡シートは、裂けやすくなる。MFRは、10以上、好ましくは15以上のものを使用する。
【0014】
気泡シートは、三層構成のものであれ、二層構成のものであれ、それを構成するフィルム、すなわちキャップフィルムおよびバックフィルム、さらにはライナーフィルムの、1種、2種または3種を、2層以上の多層フィルムとすることが可能である。この場合、多層フィルムの少なくとも1層を、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムとすることによって、その多層フィルムを裂けやすいものとすることができ、結果として、気泡フィルム全体を裂けやすいものとすることができる。
【0015】
プラスチックフィルムは、一般に、その中に固体粉末が分散していると、引き裂き強度は低い。この現象を利用して、フィルムの裂けやすさを高めることができる。本発明においても、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムとして、上記のアイオノマー樹脂の延伸フィルムまたは低分子量HDPEの低速高ブロー比インフレーションフィルムを使用し、それに無機質の粉末を添加したフィルムを使用することによって、フィルムの引き裂きやすさを増し、引き裂きやすい気泡シートを得ることができる。無機質の粉末としては、炭酸カルシウム、焼成ドロマイト、タルク、クレーなど、プラスチックの添加剤として常用されているものが、適宜選択できる。
【0016】
【実施例1】
アイオノマー樹脂「ハイミラン」(三井デュポンポリケミカル製)を材料として使用し、T−ダイから溶融押し出し、押し出し方向に100%、幅方向には10%の延伸を施して、長手方向に直角の線に沿って裂けやすいバックフィルムを用意した。キャップフィルムは、T−ダイから溶融押し出しした同じプラスチックを、延伸なしで使用した。常用されている、熱成形ロールを使用したキャップフィルム成形に対して、溶融状態のバックフィルムを押圧する方法により、下記の仕様の二層構成の気泡シートを製造した。
キャップフィルム:厚さ50μm
バックフィルム:厚さ35μm
キャップ:直径10.0mm、高さ4.0mm、ピッチ11.5.0mm、千鳥配置
【0017】
この気泡シートは、幅方向に手で引き裂くことが容易にできた。気泡の強度を測定したところ、耐荷重12kg/気泡であって、この値は同じ仕様のポリエチレンを材料とする気泡シートの耐荷重の120%に達していたから、この気泡シートが包装材料としてもつべき緩衝機能は、特殊な材料の選択により実質上悪影響を受けないどころか、むしろ向上していることが確認された。
【0018】
【実施例2】
密度0.94g/cm3、数平均分子量80,000のHDPEをリングダイから線速度40cm/secで押し出し、ブロー比7のインフレーションを行ない、周方向の線に沿って裂けやすいポリエチレンフィルムを用意した。これをバックフィルムとし、同じHDPEのT−ダイ押し出しと熱成形ロールによる成形により用意したキャップフィルムと貼り合わせ、さらに、同じHDPEをT−ダイから押し出したライナーフィルムとの貼り合わせにより、下記の仕様の三層構成の気泡シートを製造した。
キャップフィルム:厚さ50μm
バックフィルム:厚さ35μm
ライナーフィルム:厚さ15μm
キャップ:直径10.0mm、高さ4.0mm、ピッチ11.5mm、千鳥配置
この気泡シートも、幅方向に引き裂きやすいものであった。
【0019】
【発明の効果】
本発明の引き裂きやすい気泡シートは、長尺の製品の巻き取りから必要な量を切り取るに当り、手で引き裂くことができるから、ハサミやカッターナイフを使用する必要がなく、それらの使用に伴うわずらわしさや危険を避けて、所望の切り取りを行なうことができる。したがって本発明の気泡シートは、不定量の切り取り使用を必要とする用途、たとえば引っ越し荷物の包装、室内の模様替えや工事に際しての養生といった場合に、好適に使用することができる。
Claims (7)
- プラスチックフィルムの熱成形により多数のキャップを成形したキャップフィルムのキャップの底面に、平坦なプラスチックのバックフィルムを貼り合わせ、さらに、キャップの頂を連ねて、もう1枚の平坦なプラスチックのライナーフィルムを貼り合わせて三層構成とした長尺のプラスチック気泡シートにおいて、キャップフィルム、バックフィルムおよびライナーフィルムの少なくともひとつに、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムを使用した、引き裂きやすいプラスチック気泡シート。
- プラスチックフィルムの熱成形により多数のキャップを成形したキャップフィルムのキャップの底面に、平坦なプラスチックのバックフィルムを貼り合わせてなる二層構成の長尺のプラスチック気泡シートにおいて、キャップフィルムおよびバックフィルムの少なくともひとつに、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムを使用した、引き裂きやすいプラスチック気泡シート。
- 長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムとして、アイオノマー樹脂をT−ダイから押し出し、長手方向に延伸を加えて製造したフィルムを使用した請求項1または2の引き裂きやすいプラスチック気泡シート。
- 長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムとして、低分子量の高密度ポリエチレンをリング−ダイから低速で押し出し、高いブロー比をもってインフレーションを行ない、幅方向に延伸を加えて製造したフィルムを使用した請求項1または2の引き裂きやすいプラスチック気泡シート。
- 長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムとして、メルトフローレートが10以上の高密度ポリエチレンを材料とするフィルムを使用した請求項1または2の引き裂きやすいプラスチック気泡シート。
- 長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムとして、請求項3または4に記載したフィルムであって、無機質の粉末を添加したフィルムを使用した請求項1または2の引き裂きやすいプラスチック気泡シート。
- キャップフィルム、バックフィルムおよびライナーフィルムの少なくとも1種、またはキャップフィルムおよびバックフィルムの少なくとも1種が2層以上の多層フィルムであって、その多層の少なくとも1層が、長手方向に対して直角の線に沿って裂けやすいフィルムである請求項1または2の引き裂きやすいプラスチック気泡シート。
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---|---|---|---|
JP2002241501A JP2004074725A (ja) | 2002-08-22 | 2002-08-22 | 引き裂きやすいプラスチック気泡シート |
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JP2002241501A JP2004074725A (ja) | 2002-08-22 | 2002-08-22 | 引き裂きやすいプラスチック気泡シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004074725A true JP2004074725A (ja) | 2004-03-11 |
Family
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JP2002241501A Pending JP2004074725A (ja) | 2002-08-22 | 2002-08-22 | 引き裂きやすいプラスチック気泡シート |
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Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2008184227A (ja) * | 2008-04-07 | 2008-08-14 | Sakai Kagaku Kogyo Kk | 自己粘着性気泡性緩衝シート |
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JP2015016616A (ja) * | 2013-07-10 | 2015-01-29 | 川上産業株式会社 | 気泡シート |
JP2015208912A (ja) * | 2014-04-25 | 2015-11-24 | 日本ポリエチレン株式会社 | 易引裂性気泡緩衝材 |
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JP2021181322A (ja) * | 2020-05-18 | 2021-11-25 | 川上産業株式会社 | 気泡シート、気泡シートの製造装置、気泡シートの製造方法 |
-
2002
- 2002-08-22 JP JP2002241501A patent/JP2004074725A/ja active Pending
Cited By (10)
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JP2018167880A (ja) * | 2017-03-30 | 2018-11-01 | 日本ポリエチレン株式会社 | 易引裂性気泡緩衝材 |
JP2021181322A (ja) * | 2020-05-18 | 2021-11-25 | 川上産業株式会社 | 気泡シート、気泡シートの製造装置、気泡シートの製造方法 |
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