JP2004071131A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】業務用VTRなどのようにデジタル信号とアナログ信号の両方を記録することができ、かつ電磁変換特性の向上を図ることができる磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】非磁性支持体上に、磁性粉からなる第一磁性層及び第二磁性層がこの順に塗布形成されており、前記第一磁性層に使用される前記磁性粉(A)が、飽和磁化σs(A)=80〜150Am/kg、保磁力Hc(A)=90〜180kA/mであり、前記第二磁性層に使用される前記磁性粉(B)が、σs(B)=100〜200Am/kg、Hc(B)=100〜200kA/mかつσs(A)/σs(B)≦1.0、Hc(A)/Hc(B)≦1.0であり、また、前記第一磁性層の厚みT(A)及び前記第二磁性層の厚みT(B)が、1.0μm≦T(A)≦4.0μm、0.01μm≦T(B)≦0.5μmであることを特徴とする磁気記録媒体。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のテレビ放送などでは、デジタル放送やデータ放送が身近になっており、オーディオ・ビデオ向けの磁気記録媒体は、デジタル化に対応した商品が主流となりつつある。
【0003】
アナログからデジタルへの移行期である現在、過去に記録したアナログの記録と新しいデジタル記録を同じVTRやドライブなどを用いて、共に再生及び編集することができれば、使い勝手の良いものとなることから、マルチに使用できるVTRやドライブなどのセットも登場してきている。
【0004】
近年の業務用、放送局用デジタルVTRやデータ用ドライブなどでは、デジタル信号の他に、時間信号であるタイムコードや、アナログオーディオの信号も同時に記録するフォーマットが主流である。
【0005】
しかしながら、このデジタルの信号とアナログオーディオなどの信号では、周波数や記録される深さの違いから、それぞれの特性を同時に満足することが困難であり、現在でも数多くの検討がなされている。
【0006】
例えば、デジタル記録に合う短波長に対応した微粒子の磁性粉からなる磁性塗料を、アナログ記録として使用される深さである2〜5μmの厚さに塗布する手法がある。
【0007】
しかしながら、この方法では、磁性層の厚さが厚いために電磁変換特性における出力が低下するなどの自己減磁による厚み損失の問題がある。
【0008】
この問題を解決する手法として、非磁性支持体の表面に非磁性の厚い層を設けて下層とし、この非磁性層上に磁性層を形成してこれを上層とし、磁性層を薄層とすることによって、厚み減磁を減らして高出力を達成する技術が一般的であるが、この方法では、下層が非磁性であることから、アナログ信号には不利なものとなる。
【0009】
この方法に対して、下層をアナログ記録に対応した磁性層とし、さらにその上にデジタル記録に適した磁性層を塗布することで、両者を満足できるMag−on−Magの手法がある(例えば、後記の特許文献1又は特許文献2参照。)。この磁性層の多層化技術では、記録周波数が1KHz程度と長いアナログオーディオ信号は、磁気記録媒体の深さ方向で2〜3μmのところに記録され、これに対して、より短波長のビデオ信号を記録するために使用されるような数MHz〜数十MHz帯の記録は、磁気記録媒体表層の0.3μm以内に記録される特性を生かした設計をするのが特徴である。
【0010】
即ち、上層には記録周波数が短波長であることから、微粒子の磁性粉末を使用し、下層には、長波長域でも出力が取れる磁気特性を有する磁性粉を使用して、二層に重ねるといった手法である。
【0011】
【特許文献1】
特開昭53−54002号公報(第2頁右上欄10行目〜同頁左下欄1行目、第1図)
【0012】
【特許文献2】
特開平3−62315号公報(第2頁右上欄8行目〜同右下欄20行目、第1図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来より、このMag−on−Magは各種検討されており、VHSなどでのオーディオ信号の上にビデオ信号をオーバーライトするようなフォーマットで多く検討されてきたが、上述したような自己減磁の問題などから、実用化にあたっては、上下層で組み合わされる磁性体のサイズや磁気特性、並びに各層の厚み構成などの制約が厳しいものとなっている。
【0014】
そこで、本発明の目的は、業務用、放送局用VTRなどのようにデジタル信号とアナログ信号の両方を記録することができ、かつ電磁変換特性の向上を図ることができる磁気記録媒体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、非磁性支持体上に、磁性粉からなる第一磁性層及び第二磁性層がこの順に塗布形成されており、
前記第一磁性層に使用される前記磁性粉(A)が、
飽和磁化σs(A)=80〜150Am/kg
保磁力Hc(A)=90〜180kA/m
であり、
前記第二磁性層に使用される前記磁性粉(B)が、
σs(B)=100〜200Am/kg
Hc(B)=100〜200kA/m
かつ
σs(A)/σs(B)≦1.0
Hc(A)/Hc(B)≦1.0
であり、
また、前記第一磁性層の厚みT(A)及び前記第二磁性層の厚みT(B)が、
1.0μm≦T(A)≦4.0μm
0.01μm≦T(B)≦0.5μm
であることを特徴とする磁気記録媒体に係るものである。
【0016】
本発明によれば、前記第1磁性層(下層)に使用される前記磁性粉(A)の飽和磁化σs(A)及び保磁力Hc(A)、及び前記第2磁性層(上層)に使用される前記磁性粉(B)の飽和磁化σs(B)及び保磁力Hc(B)の範囲を、上記のように特定しているので、デジタル記録のフォーマットを満足し、かつ、アナログオーディオのような深層記録の特性も同時に向上させることができる。特に、前記第1磁性層(下層)及び前記第2磁性層(上層)の上下層に使用される前記磁性粉の特性を詳細に検討した結果、上記のように、前記第1磁性層(下層)に対する前記第2磁性層(上層)の厚みの比率を極端に薄くすることで、デジタル信号及びアナログ信号の両方を記録すると共に、その電磁変換特性の向上を図ることが可能である。
【0017】
即ち、業務用、放送局用VTRなどのようにデジタル信号とアナログ信号の両方を記録することができかつ電磁変換特性を向上させることができる磁気記録媒体を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明に基づく磁気記録媒体の概略断面図を示すように、本発明に基づく磁気記録媒体1は、非磁性支持体2上に、磁性粉からなる第一磁性層(下層)3a及び第二磁性層(上層)3bがこの順に塗布形成されている。また、必要に応じて非磁性支持体2の磁性層3とは反対の面側に、バックコーティング層4を設けても構わない。
【0019】
<σsの範囲について>
本発明の磁気記録媒体において、前記第1磁性層(下層)及び前記第2磁性層(上層)に使用することができる強磁性微粉末は、針状のFe(いわゆるメタル磁性粉)である。また、その飽和磁化σsとしては、上記した各範囲内、即ち図2の斜線部分の範囲内で適宜用いられる。なお、飽和磁化σsは各々の磁性粉固有の磁気エネルギーを示すものである。
【0020】
前記σs(A)が150Am/kgを超える場合、減磁の影響が大きくなる。また、アナログ信号の電磁変換特性を確保するために、σs(A)は80Am/kg以上必要であり、厚みも1.0μm以上、4.0μm以下とする必要がある。
【0021】
また、第2磁性層(上層)に使用することができる強磁性微粉末の飽和磁化σs(B)は、デジタル信号を高密度に記録するために、より高い飽和磁化が必要となる。例えばビデオテープなら、現在の8mmやEDベータ並びにベータカムSP、デジタルベータカム等のフォーマットを考慮する場合、100〜150Am/kgが効果的であり、DTF−2などの高容量データストレージでは150〜200Am/kgが効果的である。前記σs(B)が200Am/kgより高いものはメタル磁性粉としては凝集力が大きいため、分散性も悪化し、前記第2磁性層(上層)としては、薄膜状に塗布するのには向かない。
【0022】
ここで、前記第1磁性層の飽和磁化σs(A)の値は、前記第2磁性層の飽和磁化σs(B)の値より低いことが望ましい。前記σs(A)が前記σs(B)を上回る場合、先述した自己減磁による損失(磁気記録媒体の磁気特性や電磁変換特性の悪化)を生じ易くなる。
【0023】
<Hcの範囲について>
本発明の磁気記録媒体において、前記第1磁性層(下層)及び前記第2磁性層(上層)に使用することができる強磁性微粉末の保磁力Hcとしては、上記した各範囲内、即ち図3の斜線部分の範囲内で適宜用いられる。
【0024】
前記Hc(A)が上記の範囲外である場合、前記σsと同様にアナログ信号の電磁変換特性が悪化する。また、本発明に基づく磁気記録媒体では、前記上下層共に、例えばFe系メタル磁性粉を用いるために、前記下層のHc(A)の下限値は90kA/m程度となる。
【0025】
一方、前記Hc(B)の上限値は、例えばCo量を増やすことなどでも高くすることが可能であるが、各種のVTRやデータドライブのフォーマットを考慮した場合、前記Hc(B)が200kA/mより高いと、記録電流が合わなくなり、消去特性が悪化するなどの弊害を招く。
【0026】
ここで、アナログオーディオの周波数特性については、前記下層のHc(A)が低くなることで、1kHzの低域の出力は大幅に上昇するに対して、12kHzといった高域の出力は低下する傾向がみられる。また、このアナログオーディオの出力は前記下層の残留磁束密度(Br)に依存することから、より磁気エネルギーが大きく、σsの高い磁性粉を使用するほど、その影響を受けやすくなる。
【0027】
本発明者はこの現象を詳細に検証した結果、上層と下層のHcの差を必要以上に大きくすると、この現象が顕著に現れることを初めて知見した。即ち、上層と下層のHcの差が少ない方が、アナログオーディオの周波数特性をフラットにするのに効果的であることを突き止めた。
【0028】
そして、より効果的な上層と下層のHcの範囲は、
0.8≦Hc(A)/Hc(B)≦1.0
であり、より好ましくは、
0.85≦Hc(A)/Hc(B)≦1.0
である。
【0029】
また、アナログ信号の特性の中でも感度(1kHzの出力)を良好なものとするためには、前記下層のHc(A)を前記上層のHc(B)の90%以下とすると、より効果的である。
【0030】
<Co量について>
本発明に基づく磁気記録媒体で使用することができる強磁性微粉末としては、先述のとおり、針状のメタル磁性粉であり、好ましくはCoを一定の条件で含有することが望ましい。
【0031】
ここで、前記第2磁性層(上層)の前記磁性粉中に含有されるCoは、前記Hc(B)及び前記σs(B)の向上、及び結晶粒径の低減に寄与し、磁気記録媒体の保存特性を示すΔσsの低下を回避するのにも有効に作用するが、Coが3at.%未満ではこのような作用効果を充分に得られないことがある。また、Coが50at.%を超えると、逆に保持力Hc(B)が低下するようになる。従って、前記上層の前記磁性粉中に含有されるCo量は、3at.%〜50at.%、より好ましくは5〜40at.%、更に好ましくは5〜35at.%であることが好ましい。ここで、at.%は原子数の百分率である。
【0032】
また、前記第1磁性層(下層)の前記磁性粉中に含有されるCoは、Coがコスト的に高い面もあることから、前記Hc(A)及び前記σs(A)に合わせて適宜添加されることが好ましく、0〜5at.%であることが好ましい。
【0033】
また、前記第1磁性層及び前記第2磁性層の前記磁性紛に添加されるその他の元素としては、従来公知のものが使用できる。
【0034】
例えば、Alは、前記針状の微細粉の分散性(焼結防止性)の改善及び還元時の粒子の形状保持に顕著な効果を有する。Alが0.1at.%未満ではこのような効果を発揮することは難しく、20at.%を超えるような多量の含有量では前記飽和磁化σsが低下し、磁気特性が劣化するようになるので、0.1〜20at.%の範囲、好ましくは1〜15at.%、更に好ましくは5〜10at.%の範囲で含有させることがよい。なお、この含有量はAlが化合物(酸化物)として含有されている場合、化合物の量ではなく化合物中のAl元素の含有量を言う。
【0035】
また、希土類元素(Yを含む)は、上記のAlと同様に該メタル粉の焼結防止ひいては分散性の改善に有効に作用する。その含有量が0.1at.%未満ではその効果が小さくて焼結し易くなり、10at.%を超えると該元素の酸化物の量が多くなって前記飽和磁化σsが小さくなり、前記第2磁性層(上層)用のメタル磁性粉として不適当なものとなる。希土類元素としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Gd等が挙げられ、これらが複合して含有する場合にもその総量を0.1〜10at.%とする。なお、この含有量はこれらの元素が化合物として含有されている場合、化合物の量ではなく化合物中の当該元素の含有量を言う。
【0036】
さらに、本発明に基づく磁気記録媒体に使用されるメタル粉の粒子サイズは、前記上下層共に平均長軸長0.01〜0.5μmが適当であり、より好ましくは0.4〜0.2μmである。0.01μm未満では該メタル粉が超常磁性となり電磁変換特性が著しく低下し、0.4μmを超えると該メタル粒子が多磁区となり電磁変換特性が低下する。従って、多重構造の磁気記録媒体の意図する磁気特性を確保するには平均長軸長0.01〜0.4μmの針状微粒子であるのがよい。ここで、粒子サイズが小さくなる程、磁性塗料での分散性が困難になることや、前記下層は記録波長が前記上層と比べて長いため、粒子サイズも上層より大きいサイズを使用することが望ましい。
【0037】
前記メタル粉の比表面積(BET)は25〜70m/gが適当であり、より好ましくは40〜60m/gである。25m/g未満ではテープ化時の樹脂との相溶性が悪くなって電磁変換特性が低下する。また、70m/gを超えるとテープ化時に分散不良を起こしてやはり電磁変換特性が低下する。
【0038】
前記メタル磁性粉の結晶子は50〜250Åが適当であり、より好ましくは100〜200Åである。50Å未満では磁性粉が超常磁性となり電磁変換特性が著しく低下し、250Åを超えるとノイズが増大して電磁変換特性が低下する。ここで、上記メタル磁性粉の結晶子とは、メタル磁性粉は通常針状の形をしているが、実際はその中にFe原子が金属結合していて格子状の結合をしているとされている。磁性粉も数個〜数万個の基本的な格子結晶で構成されており、この格子結晶についてを意味するものである。
【0039】
その他、本発明に基づく磁気記録媒体において、磁性層に混入される前記強磁性粉末以外の組成物である結合剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤、或いは磁性塗料を調製するのに使用される溶剤、非磁性支持体等は従来公知のものがいずれも適応可能であり何ら限定されない。
【0040】
非磁性支持体の素材としては、一般に磁気記録媒体に使用されるものを使用することができ、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネイト、ポリイミド、ポリアミドイミド、その他のプラスチック、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等である。
【0041】
前記磁性層に用いる結合剤としては、いずれも公知の材料が使用できる。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂又はこれらの混合物などが挙げられる。
【0042】
また特に、柔軟性を付与するとされているポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等、剛性を付与するとされているセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が望ましい。これらの結合剤は、イソシアネート化合物を架橋させることにより耐久性を向上させたり、或いは、適当な極性基を導入させたものであってもよい。
【0043】
本発明に基づく磁気記録媒体に使用できるカ−ボンブラックとしては、例えば「カ−ボンブラック便覧(カ−ボンブラック協会編、図書出版社発行1971年5月25日)」を参考にすることができ、カーボンの種類に関して何ら限定されない。
【0044】
また、本発明で使用されるカーボンブラックは、DBP吸油量が、30〜150ml/100g、好ましくは50〜150ml/100gであり、且つ、平均粒子径が5〜150nm、好ましくは15〜50nmであり、さらにBET法による比表面積が、40〜300m/g、好ましくは100〜250m/gであるものが効果的である。また、タップ密度は0.1〜1g/cc、pHは2.0〜10が好ましい。DBP吸油量がより多いカーボンブラックは、粘度が高くなり、分散性が著しく悪化する。少ない場合では、分散性が悪いため分散工程に時間がかかる。平均粒子径は、より小さいもの程分散時間がかかるが表面性が良く、大きくなる程表面性が悪くなる。このため、先述の範囲が好ましい。
【0045】
以上のような条件を満たすカーボンブラックとしては、例えば、コロンビアンカーボン社製の商品名ラーベン(RAVEN)1250(粒径23nm、BET値135.0m/g、DBP吸油量58.0ml/100g)、ラーベン1255(粒径23nm、BET値125.0m/g、DBP吸油量58.0ml/100g)、ラーベン1020(粒径27nm、BET値95.0m/g、DBP吸油量60.0ml/100g)、ラーベン1080(粒径28nm、BET値78.0m/g、DBP吸油量65.0ml/100g)、ラーベン1035、ラーベン1040、ラーベン1060、ラーベン3300、ラーベン450、ラーベン780等、又は、コンダクテック(CONDUCTEX)社製の商品名SC(粒径20nm、BET値220.0m/g、DBP吸油量115.0ml/100g)でもよい。
【0046】
また、旭カーボン社製の商品名#80(粒径23nm、BET値117.0m/g、DBP吸油量113.0ml/100g)、三菱化成社製の商品名#22B(粒径40nm、BET値5.0m/g、DBP吸油量131.0ml/100g)、同#20B(粒径40nm、BET値56.0m/g、DBP吸油量115.0ml/100g)、キャボット社製の商品名ブラックパールズ(BLACK PEARLS)L(粒径24nm、BET値250.0m/g、DBP吸油量60.0ml/100g)、ブラックパールズ800(粒径17.0nm、BET値240.0m/g、DBP吸油量75.0ml/100g)、ブラックパールズ1000、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ700、ブラックパールズ905等でもよい。また、より大きな粒径のカーボンとしてはMTカーボン(コロンビアンカーボン社製、粒子経350nm)、サーマックスMT等も使用できる。
【0047】
研磨剤としては、例えば、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、2硫化モリブデン、磁性酸化鉄の原料を脱水、アニール処理した針状α酸化鉄及び必要によりそれらをアルミ及び/又はシリカで表面処理したもの等が単独又は組み合わせて使用される。
【0048】
これら非磁性粉末の粒子サイズは、通常、0.01〜2μm、好ましくは0.015〜1.00μm、更に好ましくは0.015〜0.50μmの範囲であるが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。タップ密度は、通常、0.05〜2g/cc、好ましくは0.2〜1.5g/ccである。比表面積は、通常、1〜200m/g、望ましくは5〜100m/g、更に望ましくは7〜80m/gである。結晶子サイズは、通常、0.01〜2μm、好ましくは0.015〜1.00、更に好ましくは0.015〜0.50μmの範囲である。DBPを用いた吸油量は、通常、5〜100ml/100g、望ましくは10〜80ml/100g、更に望ましくは20〜60ml/100gである。比重は通常、1〜12、好ましくは2〜8である。形状は針状、球状、サイコロ状、板状のいずれでもよい。
【0049】
また、上記の非磁性粉末は必ずしも100%純粋である必要はなく、目的に応じて表面を他の化合物で処理してもよい。その際、純度は通常、70%以上であれば効果を減ずることにはならない。例えば、酸化チタンを用いる場合、表面をアルミナで処理することが一般的に用いられている。強熱減量は、20%以下であることが望ましい。本発明に用いられる上記無機粉体のモース硬度は6以上のものが望ましい。
【0050】
さらに、前記研磨剤は、例えば、α−アルミナ、β−アルミナ、溶融アルミナ、酸化チタン等を主成分にして、モース硬度6以上の公知の材料が単独又は組み合わせて使用してもよい。
【0051】
本発明に用いられる研磨剤の具体的な例としては、昭和電工社製の商品名UA5600、同UA5605、住友化学社製の商品名AKP−20、同AKP−30、同AKP−50、同HIT−50、同HIT−100、同ZA−G1、日本化学工業社製の商品名G5、同G7、同S−1、戸田工業社製の商品名TF−100、同TF−120、同TF−140、同DPN250BX、同DBN270BX、石原産業社製の商品名TTO−51B、同TTO−55A、同TTO−55B、同TTO−55C、同TTO−55S、同TTO−55D、同FT−1000、同FT−2000、同FTL−100、同FTL−200、同M−1、S−1、同SN−100、チタン工業社製の商品名ECT−52、同STT−4D、同STT−30D、同STT−30、同STT−65C、三菱マテリアル社製の商品名T−1、日本触媒社製の商品名NS−O、同NS−3Y、同NS−8Y、テイカ社製の商品名MT−100S、同MT−100T、同MT−150W、同MT−500B、同MT−600B、同MT−100F、堺化学社製の商品名FINE X−25、同BF−1、同BF−10、同BF−20、同BF−1L、同BF−10P、同和鉱業社製の商品名DEFIC−Y、同DEFIC−R、チタン工業社製の商品名Y−LOPが挙げられる。
【0052】
潤滑剤としては、従来公知のものがいずれも使用できる。例えば、高級脂肪酸エステル、シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコン、弗素含有シリコン、又はその他の弗素系潤滑剤、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステル及び金属塩、ポリフェニルエーテル、弗化アルキルエーテル、アルキルカルボン酸アミン塩及び弗化アルキルカルボン酸アミン塩等のアミン系潤滑剤、並びに炭素数12〜24のアルコール類(それぞれ不飽和を含んでも分岐していてもよい)、炭素数12〜24の高級脂肪酸などが使用できる。
【0053】
また、上記高級脂肪酸エステル成分としては、炭素数12〜32の高級脂肪エステル類(それぞれ不飽和を含んでも分岐していてもよい)であり、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、オレイン酸、エイコ酸、エライジン酸、ヘベン酸、リノール酸、リノレイン酸等のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、へプチルエステル、オクチルエステル等がある。
【0054】
具体的な化合物名としては、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ペンチル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸イソオクチル、パルミチン酸ブチル等が挙げられる。また潤滑剤は、複数の潤滑剤と混合してもかまわない。
【0055】
帯電防止剤としては、先述のカーボンブラックの他に、天然界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等の公知の帯電防止剤が使用可能である。
【0056】
本発明においては公知のカップリング剤を使用しても構わない。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。ここで、当該磁性粉100重量部に対するカップリング剤の添加量は、0.05〜10.00重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5.00重量部である。
【0057】
シランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプリピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン化合物やβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン化合物やγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメキシシランなどのアミノシラン化合物やγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン化合物などが好適に用いることができる。
【0058】
チタネート系カップリング剤としては、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、ビス[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノレート][2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノレート−0](2−プロパノレート)チタニウム、トリス(イソオクタデカノエート−0)(2−プロパノレート)チタニウム、ビス(ジトリデシルホスファイト−0”)テトラキス(2−プロパノレート)ジハイドロゼンチタネート、ビス(ジオクチルホスファイト−0”)テトラキス(2−プロパノレート)ジハイドロゼンチタネート、トリス(ジオクチルホスファイト−0”)(2−プロパノレート)チタニウム、ビス(ジオクチルホスファイト−0”)[1,2−エタンジオレート(2−)−0,0’]チタニウム、トリス(ドデシルベンゼンスルフォネート−0)(2−プロパノレート)チタニウム、テトラキス[2,2−ビス[(2−プロペニルオキシ)メチル]−1−ブタノレートチタネート等が挙げられる。
【0059】
具体的な商品名としては、例えば、味の素社製のプレンアクトKR TTS、KR 46B、KR 55、KR 41B、KR 38S、KR 138S、KR 238S、338X、KR 12、KR 44、KR 9SA、KR 34S等が好適に用いることができる。
【0060】
アルミニウム系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられ、具体的な商品名としては、味の素社製のプレンアクトAL−M等が好適に用いることができる。
【0061】
本発明では、より耐久性を持たせるため平均官能基数2以上のイソシアネート系硬化剤を含む構成としてもよい。即ち、ポリイソシアネートのポリメリック体やポリイソシアネートのポリオールアダクトは、いずれも本発明において好適に使用できる。上記の中でも、ジイソシアネートの三量体である環状の骨格を有するイソシアヌレートはより反応性に富む硬化剤であり、耐久性向上については効果的である。
【0062】
また、イソシアネート硬化剤としては、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、これらと活性水素化合物との付加体が好ましい。
【0063】
芳香族ポリイソシアネートとしてはトルエンジイソシアネート(TDI)、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニルジイソシアネート、m−フェニルジイソシアネート、1,5−ナフチルジイソシアネート等を挙げることができる。
【0064】
また、脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等を挙げることができる。
【0065】
さらに、これらと付加体を形成する活性水素化合物としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等があり、平均分子量は、100〜5000の範囲のものが好ましい。
【0066】
硬化剤の添加量としては、バインダー樹脂の重量比で0〜20重量部が一般的であり、好ましくは0〜10重量部である。ここで、理論上は、ポリウレタン樹脂組成物(若しくは結着剤樹脂組成物)中の活性水素と当量のイソシアネート量となる硬化剤重量で、十分な添加量となる。しかしながら実際の製造上では、水分などにより硬化剤成分のイソシアネートが反応してしまうため、活性水素と当量のイソシアネート量では、不十分である場合が多く、このため活性水素当量より10%〜50%過剰量の硬化剤を添加するのが効果的である。
【0067】
さらに、ポリイソシアネートからなる硬化剤を使用した場合、磁性塗料をコーティング後、40℃〜80℃の温度で数時間硬化反応を促進させることにより、より強い接着性が得られる。
【0068】
また、磁性塗料を調製するための溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸エチルモノエチルエーテル等のエステル系溶媒、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素系溶媒、メチレンクロリド、エチレンクロリド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の塩素含有系溶媒が挙げられる。また、その他にも従来公知の有機溶媒を使用することができる。
【0069】
磁性塗料を調製する方法としては、いずれも公知の方法が利用できる。例えば、ロールミル、ボールミル、サンドミル、トロンミル、高速ストーンミル、バスケットミル、ディスパー、ホモミキサー、ニーダー、連続ニーダー、エクストルーダー、ホモジナイザー及び超音波分散機等を用いることができる。
【0070】
本発明に基づく磁気記録媒体において、非磁性支持体の磁性層側と反対の面に、非磁性のバックコート層を設けてもよい。バックコート層の厚みは0.3〜1.0μmであり、公知のものが使用できる。
【0071】
磁性塗料の塗布では、非磁性支持体上に直接行う前に、接着剤層等の下塗り層や、非磁性支持体上に、コロナ放電処理や電子線照射処理等の前処理を施しても構わない。
【0072】
非磁性支持体上への塗布の方法としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押し出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、グラビアコート、トランスファーロールコート、キャストコート等の方法を挙げることができ、これら以外の方法も使用でき、さらに、押し出しコートによる同時重層塗布でもよい。
【0073】
ここで、場合によっては、接着強度を上げる等の理由で、非磁性支持体と前記第1磁性層(下層)との間に、先述した公知の結合剤を主成分とする層(下塗り層)を設けても構わない。
【0074】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0075】
<磁性層の作製>
下記に示した組成に基づき、各磁性層を構成する各塗料を調製した。
【0076】
<上層磁性層塗料の作製>
メタル磁性粉 100重量部
平均長軸長 :0.01〜0.5μm
比表面積  :BET法で50〜70m/g
結晶粒径  :50〜250Å
保磁力Hc :100〜200(kA/m)
飽和磁化σs:100〜200(Am/kg)
(詳細は下記表1−1〜表1−4に記載。)
塩化ビニル系共重合体 15重量部
(日本ゼオン社製、商品名:MR−110)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5重量部
(イソフタル酸/テレフタル酸/ブタンジオールーMDI系ポリウレタン
分子量25000、極性基=SONa=0.2wt%含有)
α−Al 10重量部
(住友化学社製、商品名:HIT−5010)
カーボンブラック 1重量部
(キャボット社製、商品名:BP−L)
ポリイソシアネート 4重量部
(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL。但し、ポリイソシアネートは塗布直前に混合した。)
ミリスチン酸 1重量部
ステアリン酸ブチル 1重量部
メチルエチルケトン 80重量部
メチルイソブチルケトン 80重量部
トルエン 80重量部
【0077】
上述した上層磁性塗料組成を三本ロールで混練した後、サンドミルを用いて分散し、ポリイソシアネート4重量部、ミリスチン酸1重量部を加え、1μmの平均口径を有するフィルターで濾過し、上層磁性塗料液とした。
【0078】
<下層磁性層塗料の作製>
メタル磁性粉 100重量部
平均長軸長 :0.01〜0.5μm
比表面積  :BET法で25〜60m/g
結晶粒径  :50〜250Å
保磁力Hc :90〜180(kA/m)
飽和磁化σs:80〜150(Am/kg)
(詳細は下記表1−1〜表1−4に記載。)
塩化ビニル系共重合体 15重量部
(日本ゼオン社製、商品名:MR−110)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5重量部
(イソフタル酸/テレフタル酸/ブタンジオールーMDI系ポリウレタン
分子量25000、極性基=SONa=0.2wt%含有)
カーボンブラック 5重量部
(キャボット社製、商品名:BP−L)
ポリイソシアネート 4重量部
(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL。但し、ポリイソシアネートは塗布直前に混合した。)
ミリスチン酸 1重量部
ステアリン酸ブチル 1重量部
メチルエチルケトン 80重量部
メチルイソブチルケトン 80重量部
トルエン 80重量部
【0079】
上述した下層磁性塗料組成を連続ニーダーで混練した後、サンドミルを用いて分散し、ポリイソシアネート4重量部、ミリスチン酸1重量部を加え、1μmの平均口径を有するフィルターで濾過し、下層磁性塗料液とした。
【0080】
【表1】
Figure 2004071131
【0081】
【表2】
Figure 2004071131
【0082】
【表3】
Figure 2004071131
【0083】
【表4】
Figure 2004071131
【0084】
また、以下に示す組成でバックコート塗料を作製した。
【0085】
<バックコート用非磁性塗料の作製>
カーボンブラック 100重量部
(平均粒子経20nm)
カーボンブラック 5重量部
(平均粒子経350nm)
ポリウレタン樹脂 25重量部
(ポリカーボネートポリオール/ネオペンチルグリコールHDI系ポリウレタン、分子量35000、Nーメチルジエタノールアミン=0.2wt%含有)
ニトロセルロース 15重量部
(旭化成社製、商品名:NC−1/2H)
ポリイソシアネート 20重量部
(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL。但し、ポリイソシアネートは塗布直前に混合した。)
メチルエチルケトン 180重量部
メチルイソブチルケトン 180重量部
トルエン 180重量部
【0086】
上述した非磁性塗料組成を三本ロールにて混練後、サンドミルを用いて分散し、ポリイソシアネート20重量部を加え、1μmの平均口径を有するフィルターで濾過し、バックコート用非磁性塗料液とした。
【0087】
上記に作製した各磁性塗料液を厚さが10μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、それぞれ4.0μmの厚みとなるように磁性層2層を同時塗布し、乾燥及びカレンダー処理後、硬化した。次に、上記に作製したバックコート用非磁性塗料を、上記のポリエチレンテレフタレートフィルムの磁性面と反対の面側に0.8μmの厚みで塗布、乾燥し、得られた幅広の磁性フィルムを1/2インチ幅に裁断してビデオテープを作製した。また、これをソニー製HDCAM用のカセットに組込み、実施例1〜8及び比較例1〜14のカセットテープを作製した。
【0088】
<測定方法>
(電磁変換特性の測定)
HDCAMカセットに組み込んでなる上記サンプルを、SONY社製HDCAMビデオレコーダー(HDW−500)でデジタルのビデオ信号46.98MHzとアナログオーディオ信号1kHz、12kHzでの出力をソニー製HDCAMビデオテープ(BCT−124HDL)を0dBとして測定した(以下、同様。)。なお、上記表1−3及び表1−4では、それぞれ実施例6と実施例8を規準の0dBとして測定した。また、アナログオーディオの周波数特性(F特)は1kHzの出力から12kHzの出力を引いた値を算出した(以下、同様。)。
【0089】
ここで、電磁変換特性の測定において、規準としたテープより−0.5dB以下では特性上劣るものと判断でき、−1.0dB以下では、各種のフォーマットでの規格を満足しないと判断できる。アナログオーディオの周波数特性については、±1.5dB以内が使用上、問題のない範囲であり、良好であると判断した。
【0090】
(耐久性測定)
SONY社製HDCAMビデオレコーダー(HDW−500)で、100時間分の記録再生を行い、ビデオ信号の出力波形を測定し、以下の規準で評価した。
○;ビデオ信号で出力の劣化がないもの。
△;出力が劣化するものの、回復するもの、若しくは−2.0dB以内であるもの。
×;ヘッドクロッグの発生したもの。
【0091】
(耐候性測定)
実施例及び比較例の各テープを温度45℃、湿度80%の環境下で1ヶ月間保存し、保存の前後の残留磁束の減少率ΔΦを測定し、以下の規準で評価した。
○;ΔΦが−5%以下のもの
△;ΔΦが−5%〜−10%のもの
×;ΔΦが−10%以上のもの
【0092】
結果を表2−1〜2−4に示す。
【0093】
【表5】
Figure 2004071131
【0094】
【表6】
Figure 2004071131
【0095】
【表7】
Figure 2004071131
【0096】
【表8】
Figure 2004071131
【0097】
上記表2−1より明らかなように、比較例1は、磁性層として厚さ3μmの下層しか塗布形成しなかったので、デジタル信号の出力が著しく低かった。また、Co含有量が少ないため、耐久性及び耐候性も悪い。
【0098】
また、比較例2は、磁性層として厚さ3μmの上層しか塗布形成しなかったので、アナログオーディオ信号の出力が著しく低かった。
【0099】
そして、実施例1〜3及び比較例3〜6は、上層又は下層の厚みを変化させたものであり、上層を0.01μm未満とする場合(比較例3及び4)、塗膜の連続性に問題があり(塗膜が途切れる部分が発生)、デジタル信号の出力が安定せずかなり低い値となった。また、比較例5及び6は、上層が0.5μmを超えているので、厚み減磁の影響でデジタルの出力も低下する傾向があることがわかる。さらに、下層が1.0μm未満では(比較例3及び5)、十分なアナログオーディオの特性が得られなかった。
【0100】
図4は、下記表3に示すように、上層の厚みを0.3μmで固定し、また上層磁性粉のσs(B)を135Am/kg、Hc(B)を135kA/m、Co含有量を10at.%に固定し、さらに下層磁性粉のσs(A)を120Am/kg、Hc(A)を115kA/m、Co含有量を3at.%に固定して、下層の厚みを変化させたときの電磁変換特性のグラフである。なお、下記表4にも結果を示す。
【0101】
【表9】
Figure 2004071131
【0102】
【表10】
Figure 2004071131
【0103】
図4及び上記表4より明らかなように、下層の厚みが1μm未満の場合、厚みが薄すぎるために十分なアナログオーディオの電磁変換特性を得ることができない。また、下層の厚みが4μmを超える場合、より厚くしても電磁変換特性は飽和した状態であり、磁性層を厚くし過ぎることで、自己減磁を伴うことが分かる。従って、下層の厚みを1〜4μmと特定することにより、アナログ信号の電磁変換特性の向上を図ることが可能となる。
【0104】
図5は、下記表5に示すように、下層の厚みを2.7μmで固定し、また上層磁性粉のσs(B)を135Am/kg、Hc(B)を135kA/m、Co含有量を10at.%に固定し、さらに下層磁性粉のσs(A)を120Am/kg、Hc(A)を115kA/m、Co含有量を3at.%に固定して、上層の厚みを変化させたときの電磁変換特性のグラフである。なお、下記表6にも結果を示す。
【0105】
【表11】
Figure 2004071131
【0106】
【表12】
Figure 2004071131
【0107】
図5及び上記表6より明らかなように、上層の厚みが0.01μm未満の場合、塗膜の連続性に問題が生じ(塗膜が途切れる部分が発生)、デジタル信号の出力が安定せずかなり低い値となる。また、上層の厚みが0.5μmを超える場合、厚み減磁の影響でデジタルの出力も低下する傾向があることがわかる。従って、上層の厚みを0.01〜0.5μmと特定することにより、デジタル信号の電磁変換特性の向上を図ることが可能となる。
【0108】
上記表2−2より明らかなように、実施例4は、Hc(A)/Hc(B)≦1.0を満たすことから、ビデオ、アナログオーディオの出力、周波数特性の全てに関して良好な値を得ることができた。但し、Hc(A)/Hc(B)≧0.9であるので、実施例2と比較して、デジタル信号の出力が下層の影響で若干低くなることがあった。従って、Hc(A)/Hc(B)≦1.0であることが重要であり、特にHc(A)/Hc(B)≦0.9とすることがより好ましい。
【0109】
一方、比較例7は、下層のσs(A)が上層のσs(B)より高い組み合わせであり、σs(A)/σs(B)≦1.0を満たしていないので、実施例2と比較すると、出力の低下が見られた。従って、上層(B)及び下層(A)の飽和磁化σsは、σs(A)/σs(B)≦1.0であることが重要である。
【0110】
上記表2−3は、上層としてσs及びHcがそれぞれ上限値(σs(B)=200Am/kg、Hc(B)=200kA/m)のものを使用し、また、各種の下層を組み合わせた結果を示している。
【0111】
上記表2−3より明らかなように、比較例8は、下層のσsが80Am/kg未満であり、またHcが90kA/m未満であるので、実施例6と比較して、アナログオーディオの出力は低くなった。さらに、比較例9は、下層のσsが150Am/kgを超えており、またHcが180kA/mを超えているので、上記と同様にして、アナログオーディオの出力は低くなった。
【0112】
また、比較例10は、下層としてσs及びHcがそれぞれ下限値(σs(A)=80Am/kg、Hc(A)=90kA/m)のものを使用し、上層のCo含有量を多くすることにより(50at.%を超える)、上層のσs(B)を200Am/kgを超えた値とし、かつ上層のHc(B)を50kA/mを超えた値とした場合である。さらに、比較例11は、下層としてσs及びHcがそれぞれ上限値(σs(A)=150Am/kg、Hc(A)=180kA/m)のものを使用し、上層のCo含有量を多くすることにより(50at.%を超える)、上層のσs(B)を200Am/kgを超えた値とし、かつ上層のHc(B)を50kA/mを超えた値とした場合である。
【0113】
比較例10及び比較例11は、上層のσs及びHcについて上限値を超えた値のものを使用したので、磁性粉の凝集などの影響が大きくなりすぎることから、実施例5及び7と比較して、アナログオーディオともに出力は低下した。
【0114】
上記表2−4は、上層としてσs及びHcがそれぞれ下限値(σs(B)=100Am/kg、Hc(B)=100kA/m)又はその値未満ものを使用し、また、各種の下層を組み合わせた結果を示している。
【0115】
比較例12及び比較例13は、下層のσs(A)及びHc(A)は条件を満たしているものの、上層のσs(B)及びHc(B)が共に低すぎるので、デジタル信号の出力が著しく悪化した。また、比較例14のように下層もσsが低い場合、アナログオーディオの出力も取れなかった。
【0116】
図6は、下記表7に示すように、下層のHc(A)を115kA/m、上層のσs(B)を135Am/kg及び上層のHc(B)を135kA/mと固定し、さらに下層の厚みを2.7μm及び上層の厚みを0.3μmと固定し、下層のσs(A)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。また、下記表8にも結果を示す。
【0117】
【表13】
Figure 2004071131
【0118】
【表14】
Figure 2004071131
【0119】
図6及び上記表8より明らかなように、下層のσs(A)が80Am/kg未満の場合、アナログ信号の電磁変換特性を確保することができなかった。また、150Am/kgを超える場合も同様にして、減磁の影響が大きく、アナログ信号の電磁変換特性が低下した。
【0120】
従って、下層のσs(A)は80〜150Am/kgであることが重要であり、この範囲内とすることによって、アナログ信号の電磁変換特性の向上を図ることができる。
【0121】
図7は、下記表9に示すように、下層のσs(A)を120Am/kg、上層のσs(B)を135Am/kg及び上層のHc(B)を135kA/mと固定し、さらに下層の厚みを2.7μm及び上層の厚みを0.3μmと固定し、下層のHc(A)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。また、下記表10にも結果を示す。
【0122】
【表15】
Figure 2004071131
【0123】
【表16】
Figure 2004071131
【0124】
図7及び上記表10より明らかなように、下層のHc(A)が90kA/m未満の場合、デジタル信号の出力の低下のほか、下層磁性体自体としてσs=120Am/kgとしてはHcが低すぎるため、磁性体の安定性が著しく損なわれることで、耐候性も悪い。また、下層のHc(A)が110kA/m等の114.75kA/m未満(上層のHc(B)の85%未満)では、1kHzの出力が上昇するものの、12kHzの高域の出力は逆に低くなり、周波数特性が低下する傾向にあった。これにより、周波数特性のより良好な下層のHc(A)の範囲は、上層のHc(B)の85%〜100%の間、更に好ましくは85%〜90%の間であると考えられる。
【0125】
従って、下層のHc(A)は90〜180kA/mであることかつHc(A)/Hc(B)≦1.0、より好ましくは0.85≦Hc(A)/Hc(B)≦1.0、更に好ましくは0.85≦Hc(A)/Hc(B)≦0.9であることが重要であり、この範囲内とすることによって、アナログ信号の電磁変換特性の向上を図ることができる。
【0126】
図8は、下記表11に示すように、下層のσs(A)を120Am/kg及び下層のHc(A)を115kA/mとし、上層のHc(B)を135kA/mと固定し、さらに下層の厚みを2.7μm及び上層の厚みを0.3μmと固定し、上層のσs(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。また、下記表12にも結果を示す。
【0127】
【表17】
Figure 2004071131
【0128】
【表18】
Figure 2004071131
【0129】
図8及び上記表12より明らかなように、上層のσs(B)が下層のσs未満の場合、デジタル信号の出力が著しく悪化し、また、200Am/kgを超える場合は、分散性が悪化し、薄膜状に塗布形成するには向かず、デジタル、アナログ共に出力も悪化することが分かる。
【0130】
従って、上層のσs(B)は100〜200Am/kgであり、特に下層のσs(A)以上であることが重要であり、この範囲内とすることによって、デジタル信号の電磁変換特性の向上を図ることができる。
【0131】
図9は、下記表13に示すように、下層のσs(A)を120Am/kg及び下層のHc(A)を115kA/mとし、上層のσs(B)を135Am/kgと固定し、さらに下層の厚みを2.7μm及び上層の厚みを0.3μmと固定し、上層のHc(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。また、下記表14にも結果を示す。
【0132】
【表19】
Figure 2004071131
【0133】
【表20】
Figure 2004071131
【0134】
図9及び上記表14より明らかなように、上層のHc(B)が200kA/mを超える場合は、上層自体のHc(B)により、記録され難くなることから、デジタル出力が悪化した。また、上層のHc(B)が下層のHc(A)に対しHc(A)/Hc(B)>1.0である場合、下層のHc(A)の影響で上層の記録が阻害され、デジタルの出力が著しく悪化した。
【0135】
従って、上層のHc(B)は100〜200kA/mであることかつHc(A)/Hc(B)≦1.0であることが重要であり、この範囲内とすることによって、デジタル信号の電磁変換特性の向上を図ることができる。
【0136】
図10は、下記表15に示すように、上層のσs(B)を135Am/kgと固定し、下層のHc(A)を115kA/mとし、上層のHc(B)を135kA/mと固定し、さらに下層の厚みを2.7μm及び上層の厚みを0.3μmと固定し、下層のσs(A)/上層のσs(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。また、下記表16にも結果を示す。
【0137】
【表21】
Figure 2004071131
【0138】
【表22】
Figure 2004071131
【0139】
また、図11は、下記表17に示すように、下層のσs(A)を120Am/kgと固定し、下層のHc(A)を115kA/mとし、上層のHc(B)を135kA/mと固定し、さらに下層の厚みを2.7μm及び上層の厚みを0.3μmと固定し、下層のσs(A)/上層のσs(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。また、下記表18にも結果を示す。
【0140】
【表23】
Figure 2004071131
【0141】
【表24】
Figure 2004071131
【0142】
図10〜11及び上記表16及び18より明らかなように、下層のσs(A)/上層のσs(B)が1を超える場合、デジタル信号の出力の低下が見られた。
【0143】
従って、下層のσs(A)/上層のσs(B)は1以下であることが重要であり、この範囲内とすることによって、デジタル信号の電磁変換特性の向上を図ることができる。
【0144】
図12は、下記表19に示すように、上層のHc(B)を135kA/mと固定し、下層のσs(A)を120Am/kgとし、上層のσs(B)を135Am/kgと固定し、さらに下層の厚みを2.7μm及び上層の厚みを0.3μmと固定し、下層のHc(A)/上層のHc(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。また、下記表20にも結果を示す。
【0145】
【表25】
Figure 2004071131
【0146】
【表26】
Figure 2004071131
【0147】
また、図13は、下記表21に示すように、下層のHc(A)を115kA/mと固定し、下層のσs(A)を120Am/kgとし、上層のσs(B)を135Am/kgと固定し、さらに下層の厚みを2.7μm及び上層の厚みを0.3μmと固定し、下層のHc(A)/上層のHc(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。また、下記表22にも結果を示す。
【0148】
【表27】
Figure 2004071131
【0149】
【表28】
Figure 2004071131
【0150】
図12〜13及び上記表20及び22より明らかなように、下層のHc(A)/上層のHc(B)が1.0を超える場合、特にアナログ信号の低域1kHzの出力が低下することが分かる。また、下層のHc(A)/上層のHc(B)が0.85未満のとき、アナログオーディオの周波数特性が低下する傾向にあることが分かる。
【0151】
従って、下層のHc(A)/上層のHc(B)は1.0以下、より好ましくは0.85以上、0.9以下であることが重要であり、この範囲内とすることによって、アナログ信号及びデジタル信号の電磁変換特性の向上を図ることができる。
【0152】
図14は、下記表23に示すように、上層のHc(A)を130kA/mと固定し、下層のσs(A)を110Am/kgとし、上層のσs(B)を120Am/kgと固定し、さらに下層の厚みを2.5μm及び上層の厚みを0.5μmと固定し、下層のHc(A)/上層のHc(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。また、下記表24にも結果を示す。
【0153】
【表29】
Figure 2004071131
【0154】
【表30】
Figure 2004071131
【0155】
図14及び上記表24より明らかなように、上下層のHcの比率を1.0以下とすることで、ビデオ及びアナログオーディオの特性が良好となり、特に、下層のHc(A)/上層のHc(B)を0.85以上、1.0以下、より好ましくは0.85以上、0.9以下とすると、バランスに優れることを示唆しているといえる。
【0156】
【発明の作用効果】
本発明によれば、前記第1磁性層(下層)に使用される前記磁性粉(A)の飽和磁化σs(A)及び保磁力Hc(A)、及び前記第2磁性層(上層)に使用される前記磁性粉(B)の飽和磁化σs(B)及び保磁力Hc(B)の範囲を、上記のように特定しているので、デジタル記録のフォーマットを満足し、かつ、アナログオーディオのような深層記録の特性も同時に向上させることができる。特に、前記第1磁性層(下層)及び前記第2磁性層(上層)の上下層に使用される前記磁性粉の特性を詳細に検討した結果、上記のように、前記第1磁性層(下層)に対する前記第2磁性層(上層)の厚みの比率を極端に薄くすることで、デジタル信号及びアナログ信号の両方を記録すると共に、その電磁変換特性の向上を図ることが可能である。
【0157】
即ち、業務用、放送局用VTRなどのようにデジタル信号とアナログ信号の両方を記録することができかつ電磁変換特性を向上させることができる磁気記録媒体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による磁気記録媒体の概略断面図である。
【図2】同、磁気記録媒体の磁性層に用いられる磁性粉のσsの範囲を示すグラフである。
【図3】同、磁気記録媒体の磁性層に用いられる磁性粉のHcの範囲を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例による上層の厚みを0.3μmで固定して、下層の厚みを変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【図5】同、下層の厚みを2.7μmで固定して、上層の厚みを変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【図6】同、下層のσs(A)以外の値を全て固定し、σs(A)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【図7】同、下層のHc(A)以外の値を全て固定し、Hc(A)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【図8】同、上層のσs(B)以外の値を全て固定し、σs(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【図9】同、上層のHc(B)以外の値を全て固定し、Hc(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【図10】同、下層のσs(A)/上層のσs(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【図11】同、下層のσs(A)/上層のσs(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【図12】同、下層のHc(A)/上層のHc(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【図13】同、下層のHc(A)/上層のHc(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【図14】同、上層のHc(B)を固定して、下層のHc(A)を変化させる組み合わせにより、Hc(A)/Hc(B)を変化させたときの電磁変換特性のグラフである。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体、2…非磁性支持体、3a…第一磁性層(下層)、
3b…第二磁性層(上層)、4…バックコーティング層(非磁性)

Claims (2)

  1. 非磁性支持体上に、磁性粉からなる第一磁性層及び第二磁性層がこの順に塗布形成されており、
    前記第一磁性層に使用される前記磁性粉(A)が、
    飽和磁化σs(A)=80〜150Am/kg
    保磁力Hc(A)=90〜180kA/m
    であり、
    前記第二磁性層に使用される前記磁性粉(B)が、
    σs(B)=100〜200Am/kg
    Hc(B)=100〜200kA/m
    かつ
    σs(A)/σs(B)≦1.0
    Hc(A)/Hc(B)≦1.0
    であり、
    また、前記第一磁性層の厚みT(A)及び前記第二磁性層の厚みT(B)が、
    1.0μm≦T(A)≦4.0μm
    0.01μm≦T(B)≦0.5μm
    であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記第一磁性層に使用される前記磁性粉(A)が、針状のFe中にCoを0〜5at.%含有されたものであり、また前記第二磁性層に使用される前記磁性粉(B)が、針状のFe中にCoを3〜50at.%含有されている、請求項1に記載した磁気記録媒体。
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