JP2004070312A - マルチビーム走査装置 - Google Patents

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飯間 光規
Toshimitsu Saito
斉藤 利光
Naoshi Mizuguchi
水口 直志
Shoji Iwasaki
岩崎 庄司
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Abstract

【課題】
副偏向器の動作に伴って各レーザービームのビームウエストが光軸方向へ移動する要因がある場合であっても副偏向器を使用したときの走査対象面上の各スポット光の大きさができるだけ揃うように調整可能なマルチビーム走査装置を提供する。
【解決手段】
モノシリックレーザーアレイ10からの複数のレーザービームを平行光に変換するコリメータレンズ群11が光軸方向にのみ平行移動自在となるように、マルチビーム走査装置を構成する。また、コリメータレンズ群15及びアナモルフィックプリズム12からのレーザービームをリレーする第1及び第2リレーレンズ群15,17の一方が光軸方向へ平行移動自在となるように、マルチビーム走査装置を構成する。また、第1及び第2リレーレンズ群15,17からのレーザービームの一部をポリゴンミラー21へ反射するハーフミラー18が副走査方向へ傾倒自在となるように、マルチビーム走査装置を構成する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザープリンターやレーザーフォトプロッター等に組み込まれるマルチビーム走査装置に、関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、走査装置に内蔵される走査光学系は、回転多面鏡(反射型主偏向器)を等角速度で回転させることにより、レーザービームを動的に偏向する。動的に偏向されたレーザービームは、走査光学系中のfθ光学系に透過又は反射されることにより、走査対象面(感光ドラムやプリント基板の感光面)近傍で収束され、然も、走査対象面を主走査方向に沿って等速度で走査する。その走査対象面は、主走査方向に直交する副走査方向へ等速度で移動されるので、走査対象面には、複数の走査線が等間隔に形成される。そして、回転多面鏡に入射するレーザービームが画像情報に従ってオンオフ変調されていると、走査対象面には二次元状の画像が形成される。
【0003】
通常、回転多面鏡の有するいわゆる面倒れ誤差を補正するために、fθ光学系には、回転多面鏡の反射面と走査対象面とを副走査方向において光学的に共役にする収束パワーが、設定されている。また、これに対応して、走査光学系におけるレーザー光源から回転多面鏡までの間には、回転多面鏡の反射面でレーザービームを副走査方向において一旦収束させるシリンドリカルレンズ群が、備えられている。
【0004】
このような走査装置の中には、走査対象面の移動速度の僅かな増減に同期させてレーザービームを副走査方向へ平行移動させる副偏向器が備えられているものがある。この副偏向器によると、走査対象面の副走査方向への移動むらによって各走査線の間隔が僅かに不等となる誤差が、補正される。
【0005】
なお、面倒れ誤差補正機能を有する走査装置では、fθ光学系の副走査断面の焦点距離が比較的短いために、副走査断面の像面湾曲が無視できない程度に発生する。このため、上記副偏向器によるレーザービームの副走査方向の移動範囲は、fθ光学系の光軸に近い僅かな範囲のみに、制限されている。これにより、レーザービームのビームウエストが走査対象面から光軸方向へ大幅にずれて走査対象面上でのスポット光の大きさが許容範囲を超えてしまうことが、抑制されている。
【0006】
ところで、走査装置を製造する際に、走査光学系により集束されるレーザービームの主走査方向の収束位置と副走査方向の収束位置とが光軸方向において一致しないという誤差が生じてしまうことがある。従来、このような誤差を取り除くための調整手段があった。その調整手段とは、具体的には、以下の通りである。
【0007】
すなわち、作業者は、まず、光源から発散光として発せられるレーザービームを平行光に変換するために用意された回転対称形状のコリメータレンズ群を光軸方向へ平行移動させることにより、レーザービームの主走査方向の収束位置を光軸方向に移動させる。次に、作業者は、面倒れ誤差補正用として用意されたシリンドリカルレンズ群を光軸方向へ平行移動させることにより、レーザービームの副走査方向の収束位置を光軸方向へ移動させる。このような調整手段により、作業者は、主走査方向の収束位置と副走査方向の収束位置とを個々に調整できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような面倒れ誤差補正機能を備えた走査装置において、走査光学系を構成するレンズの何れかに、副走査方向への偏心や倒れ等の加工誤差や組付誤差が生じていると、副走査断面に湾曲している像面が近軸において走査対象面から傾いてしまうので、光軸を副走査方向において挟む両側のうちの一方側の像面が走査対象面に接近し、他方側の像面が走査対象面から離間してしまう。このような状態で上記副偏向器を使用すると、副偏向器によって上記他方側へ平行移動されたレーザービームの副走査方向のビームウエストは、走査対象面から光軸方向へずれてしまうことがある。但し、シングルビームの場合は、使用する範囲が近軸に限られるために、上記副偏向器を使用しても大きな偏向量をとらない限り、ビームウエストのずれ量は少ない。
【0009】
ところが、走査装置が、複数のレーザービームを回転多面鏡で同時に偏向して走査対象面に複数の走査線を一度に形成するマルチビーム走査装置である場合、上記副偏向器により上記他方側において光軸からより遠くへシフトされたレーザービームの副走査方向のビームウエストは、走査対象面から光軸方向へ大幅にずれることとなり、このレーザービームは、一方側及び近軸を通るレーザービームのスポット光の大きさよりも許容範囲を大幅に超えた大きいスポット光を、走査対象面に形成する。つまり、何れかのレンズに副走査方向への偏心や倒れが生じているマルチビーム走査装置において上記副偏向器を使用すると、各レーザービームによる走査対象面上のスポット光の大きさが許容範囲を大きく超えて揃わなくなることがあり、描画品質が著しく低下するという問題があった。
【0010】
なお、走査光学系の各レンズを再加工したり各レンズの組み付け位置を調整することにより加工誤差や組付誤差を取り除くこともできなくはないが、そのような作業は、多くの手間を必要とするため、マルチビーム走査装置を大量生産する際の作業効率を著しく低下させる原因ともなる。
【0011】
一方、コリメータレンズ群とシリンドリカルレンズ群との間に上記副偏向器が配置されている場合に、上述したような調整手段によってコリメータレンズ群を光軸方向へ移動させると、上記副偏向器に入射する光束が副走査方向において平行光ではなくなり発散光や収束光となってしまう。そして、この状態で上記副偏向器を機能させると、像面位置が光軸方向へ移動してしまう。この移動量は、上記副偏向器の作用量に比例して大きくなるために、上記副偏向器の作用量が増えると、許容範囲を大幅に超えた大きいスポット光が、走査対象面に形成されるようになる。このため、上述したような調整が行われたマルチビーム走査装置において、上記副偏向器を使用すると、副偏向器を動作させた前後での各レーザービームのスポット光の大きさが揃わなくなり、画像品質が著しく低下するという問題が生じる。
【0012】
そこで、本発明の課題は、各レーザービームの副走査方向のビームウエストが上記副偏向器の動作に伴って光軸方向へ移動する要因がある場合においてその副偏向器を使用したときでも走査対象面上の各スポット光の大きさができるだけ揃うように調整可能なマルチビーム走査装置を、提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様のマルチビーム走査装置は、以下のような構成を採用した。
【0014】
すなわち、本発明の第1の態様のマルチビーム走査装置は、アレイ状に並んだ光源から発せられる複数のレーザービームを、反射型主偏向器によって主走査方向に偏向させ、前記反射型主偏向器の反射面と前記主走査方向に直交する副走査方向に移動する走査対象面とを前記副走査方向において共役にする結像光学系を介して、前記各レーザービームを前記走査対象面上で走査させるマルチビーム走査装置であって、前記副走査方向においてのみ前記光源からの前記各レーザービームを前記反射型主偏向器の反射面又はその近傍に収束させるシリンドリカルレンズ群と、前記光源と前記シリンドリカルレンズ群との間において前記各レーザービームの光路を前記副走査方向へ偏向する偏向素子と、前記偏向素子による前記各レーザービームに対する前記副走査方向への偏向量を調整する調整機構と、前記走査対象面の前記副走査方向への移動速度の変化に同期させて前記偏向素子からの前記各レーザービームを前記副走査方向へ平行移動させる副偏向器とを備えることを、特徴としている。
【0015】
このように構成されているので、各光学素子の加工誤差や組付誤差によって光学系の一部が副走査方向に偏心して像面が走査対象面から倒れている場合でも、作業者は、調整機構を操作して、各レーザービームの光路を、偏向素子によって像面の倒れ量に応じた量だけ傾ければ、像面の倒れをできるだけ相殺することができる。つまり、副偏向器の動作に伴って各レーザービームの副走査方向のビームウエストが光軸方向へ移動する要因があるにも拘わらず、偏向素子を傾けるだけで、副偏向器を使用した時の各スポット光の大きさの差を小さくでき、その結果、各スポット光の大きさを揃えることができる。
【0016】
本発明の第1の態様のマルチビーム走査装置では、偏向素子は、レーザービームを全反射する全反射ミラーであっても良いし、一部を透過するハーフミラーであっても良いし、バリアングルプリズムであっても良い。
【0017】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様のマルチビーム走査装置は、以下のような構成を採用した。
【0018】
すなわち、本発明の第2の態様のマルチビーム走査装置は、アレイ状に並んだ光源から発せられる複数のレーザービームを、反射型主偏向器によって主走査方向に偏向させ、前記反射型主偏向器の反射面と前記主走査方向に直交する副走査方向に移動する走査対象面とを前記副走査方向において共役にする結像光学系を介して、前記各レーザービームを前記走査対象面上で走査させるマルチビーム走査装置であって、前記光源と前記反射型主偏向器との間に配置され、前記走査対象面の前記副走査方向への移動速度の変化に同期させて前記各レーザービームを前記副走査方向へ平行移動させる副偏向器と、前記光源と前記副偏向器との間に配置され、少なくとも2つのレンズを有するとともに、一方のレンズを光軸方向へ平行移動させたときにおける前記主走査方向の像面位置の移動量と前記副走査方向の像面位置の移動量との比が、他方のレンズを光軸方向へ平行移動させたときの比とは異なる光学系とを備えることを、特徴としている。
【0019】
このように構成されているので、一方のレンズが平行移動されたときと、他方のレンズが平行移動されたときとで、主走査方向の倍率に対する副走査方向の倍率の変化率が異なる。このため、レーザービームの主走査方向の収束位置と副走査方向の収束位置とに誤差があった場合には、副走査方向の光束の状態を変えないで主走査方向の収束位置のみ変えるように、1対のレンズをそれぞれ平行移動させれば、副偏向器に入射するレーザービームが副走査方向において収束光となったり発散光となったりすることがない。つまり、副偏向器の動作に伴って各レーザービームの副走査方向のビームウエストが光軸方向へ移動する要因があるにも拘わらず、他方のレンズを一方のレンズの移動量に応じて平行移動させるだけで、副偏向器を使用した時の各スポット光の大きさの差を小さくでき、その結果、各スポット光の大きさを揃えることができる。なお、副偏向器へ入射するレーザービームが副走査方向において平行であったとしても、副走査方向の収束位置の光軸方向への調整が必要な場合には、従来と同様に、面倒れ誤差補正用として用意されているシリンドリカルレンズ群を光軸方向へ適宜量移動させることにより、その調整を行うことができる。
【0020】
なお、本発明の第2の態様のマルチビーム走査装置では、光源と副偏向器との間の光学系は、副走査方向にのみ各レーザービームのビーム形状を偏向させるアナモルフィック光学素子,及び、そのアナモルフィック光学素子の前後に回転対称な一対のレンズから、構成されていても良い。この場合、アナモルフィック光学素子の前のレンズを光軸方向へ平行移動させたときと、後ろのレンズを光軸方向へ平行移動させたときとで、主走査方向の像面位置の移動量と副走査方向の像面位置の移動量との比が異なる。従って、副偏向器へ入射する光束の副走査方向の状態を変えないで主走査方向の収束位置のみ変えるように、他方のレンズを一方のレンズの移動量に応じて平行移動させることができる。また、この場合、アナモルフィック光学素子の前側にあるレンズを、光源からの各レーザービームを平行光に変換するコリメートレンズとすることができ、アナモルフィック光学素子の後側にあるレンズを、リレー光学系を構成するレンズのうちの1つとすることができる。ここで、光軸方向にのみ平行移動可能に保持されるレンズは、リレー光学系を構成する1対のレンズのうち、前側にあるレンズであっても良いし、後側にあるレンズであっても良い。アナモルフィック光学素子は、アナモルフィックプリズムとすることができる。
【0021】
また、本発明の第2の態様のマルチビーム装置では、光学系は、アナモルフィック光学素子と回転対称な一対のレンズとから構成されるのではなく、以下の2例のように構成されていても良い。
【0022】
例えば、光源と副偏向器との間の光学系は、主走査方向と副走査方向とにおいて倍率の異なるトーリックなコリメートレンズ,副走査方向にのみ収束パワーを有するシリンドリカルレンズ,及び、一対のリレーレンズを、この順に備えていても良い。この場合には、コリメートレンズ,シリンドリカルレンズ及びリレーレンズのうちの任意の2つを光軸方向へ平行移動させれば、副偏向器へ入射する光束の副走査方向の状態を変えないで、主走査方向の収束位置のみを変えることができる。
【0023】
また、例えば、光源と副偏向器との間の光学系は、回転対称なコリメートレンズ,副走査方向にのみ収束パワーを有するとともに焦点距離の異なる一対のシリンドリカルレンズ,及び、回転対称な一対のリレーレンズを、この順に備えていても良い。この場合には、リレーレンズのうちの一方又はコリメートレンズを平行移動させるとともに、その移動量に応じて一対のシリンドリカルレンズの間隔を調整すれば、副偏向器へ入射する光束の副走査方向の状態を変えないで、主走査方向の収束位置のみを変えることができる。
【0024】
また、本発明の第2の態様のマルチビーム走査装置では、アナモルフィック光学素子の前にある第1のレンズの調整量をX[mm]とし、当該光学素子の後にある第2のレンズの調整量をY[mm]とし、作業者の意図する主走査方向の焦点距離の変位量をα[mm]としたときに、以下の条件式(1)
【数2】
Figure 2004070312
を満たすように、調整量X及びYが決定されても良い。但し、この条件式(1)において、A及びBは、第1のレンズの光軸方向への移動量に対するレーザービームの主走査方向及び副走査方向の収束位置の変化量の比率であり、C及びDは、第2のレンズの光軸方向への移動量に対するレーザービームの主走査方向及び副走査方向の収束位置の変位量の比率である。
【0025】
ところで、本発明の第1及び第2の態様のマルチビーム走査装置において、副偏向器は、楔状のプリズムを利用するものであっても良いし、回折素子を利用するものであっても良い。後者の場合には、マルチビーム走査装置を軽量化することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。ここで説明する本発明の実施の形態は、本発明によるマルチビーム走査装置を、レーザープリンター,レーザーコピー,レーザーファクシミリ,レーザーフォトプロッター,及び、ダイレクトイメージャー等のレーザー描画装置に使用可能なレーザースキャニングユニット(LSU)として実施した例である。
【0027】
〔マルチビーム走査装置の全体構成〕
最初に、本実施形態に係るレーザースキャニングユニットの全体構成を図1及び図2に基づいて説明する。なお、図1は、このレーザースキャニングユニットから上蓋(図示略)を外した状態での光学構成の概略を示す平面図であり、図2は、図1に示すX−X線に沿った断面を示す断面図である。
【0028】
これら各図に示されるように、このレーザースキャニングユニットは、全体として扁平な略直方体形状を有している。そして、このレーザースキャニングユニットの外観をなす筐体は、上面が開放した扁平な有底箱型のケーシング1と、このケーシング1の開放上面を閉じる上蓋(図示略)とから、構成されている。
【0029】
ケーシング1は、アルミニウムのダイキャスト成型品であり、底壁1aと、この底壁1aの周囲に立設された側壁1bとを、有している。そして、このケーシング1の内部には、レーザービームを走査させるための光学系(後述する)が内蔵されている。
【0030】
なお、ケーシング1の底壁1aの上面(底面)は略平坦面であるが、後述するポリゴンミラー21を設置する部位(ポリゴンミラーユニット装着部1c)のみが略円柱状に突出し、その内部が開口している。また、この底壁1aには、走査されたレーザービームを図示せぬレーザー描画装置の走査対象(感光ドラムの外周面やプリント基板の感光剤塗布面など)へ向けて通過させるための描画用スリット1dが、図1の右側の側壁1bの近傍においてこれと平行に穿たれており、この描画用スリット1dには、防塵用のカバーガラス板2が嵌め込まれている。さらに、描画用スリット1dの近傍の側壁1bには、この描画用スリット1dと平行に、光学調整用スリット1eが穿たれている。この光学調整用スリット1eは、レーザースキャンニングユニットが製品として出荷される前において、ケーシング1内に組み込まれた光学系の調整をするのに用いられるものである。このため、この調整が完了した後においては、光学調整用スリット1eは、蓋板(図示略)によって閉じられる。
【0031】
このケーシング1内に内蔵される光学系は、レーザービームの進行方向に沿って順番に並ぶモノシリックレーザーアレイ(MLA)10,コリメータレンズ群11,アナモルフィックプリズム12,ポラライゼーションビームスプリッター(PBS)13,直角プリズム14,第1リレーレンズ群15,平面ミラー16,第2リレーレンズ群17,ハーフミラー18,ダイナミックプリズム19,シリンドリカルレンズ群20,ポリゴンミラー(反射型主偏向器)21,fθレンズ群22,及び、折り返しミラー23と、ハーフミラー18を透過した光を受光するオートパワーコントロール(APC)信号検出ユニット24と、fθレンズ群22の像側の片隅においてレーザービームを分岐させる直角反射ミラー群25と、直角反射ミラー群25により分岐されたレーザービームを受光するスタートオブスキャン(SOS)ユニット26とから、構成されている。
【0032】
これらのうち、ポリゴンミラー21は、扁平な正六角柱状に形成されており、その各側面が反射面として構成されている。また、このポリゴンミラー21は、円形の基板3上の中心に固着されたモータ4の駆動軸に取り付けられており、基板3がポリゴンミラーユニット装着部1cに嵌め合わされることにより、その中心軸がケーシング1の底壁1aの上面(この面を、以下、「ケーシング1の底面」と略記する)に対して直立する状態で、その底面の中央よりもやや描画用スリット1dから離れた位置に設置される。なお、基板3上には、それとの間でポリゴンミラー21とモータ4とを封ずる略筒状のカバー5が取り付けられている。このカバー5の側壁には、ポリゴンミラー21の各反射面へレーザービームを入射させるとともに各反射面により反射されたレーザービームを通過させるための光路孔(図示略)が穿たれており、この光路孔には、防塵用のカバーガラス板6が填め込まれている。
【0033】
なお、以下の説明においては、上記の光路孔を通ってポリゴンミラー21の各反射面に入射した光がこれら各反射面によって偏向される方向(折り返しミラー23よりもMLA10側においては図1の紙面と平行でfθレンズ群22の光軸に直交する方向)を「主走査方向」と言い、この主走査方向とfθレンズ群22の光軸方向とに各々直交する方向(折返しミラー23よりもMLA10側においては図1の紙面に直交する方向)を「副走査方向」と言うことにする。
【0034】
MLA10は、同一面内にビーム軸を揃えた状態で12本のレーザービームを100μm程度のピッチで射出させる光源であり、複数のレーザーダイオードを一体化したチップを内蔵している。このMLA10は、ポリゴンミラー21を挟んで描画用スリット1dと反対側において、この描画用スリット1dと平行な方向へ各レーザービームを射出する状態で、ケーシング1の底面上に設置されている。
【0035】
コリメータレンズ群11は、MLA10から射出された各レーザービームを夫々平行光にするとともに、各レーザービームのビーム軸をその射出側瞳面にて交差させる。このコリメータレンズ群11は、色収差や温度変化が小さく、且つ、高い像高まで解像度がある様に、設計されている。このようなコリメータレンズ群11から射出された状態において、各レーザービームのビーム形状は、楕円形となる。なお、このコリメータレンズ群11は、後述するレンズホルダー(図3参照)によって光軸方向にのみ平行移動可能に保持されており、このレンズホルダーがケーシング1の底面上に固定されることにより、この底面に対して光軸が平行となる状態でケーシング1内に設置される。
【0036】
アナモルフィックプリズム12は、一対の楔プリズム12a,12bからなるビーム整形光学系である。これらの楔プリズム12a,12bが組み合わされることによって、各レーザービームのビーム形状は、副走査方向において半分に絞られる。
【0037】
PBS13は、一対のプリズム13a,13bからなる偏光ビームスプリッターである。
【0038】
直角プリズム14は、PBS13を透過した各レーザービームをケーシング1の底面と平行な面内において180度折り返すためのものである。この直角プリズム14は、互いに90度の角度で向き合う一組の矩形反射面がケーシング1の底面に対して垂直となる状態で、ケーシング1内に設置されている。
【0039】
第1リレーレンズ群15は、第2リレーレンズ群17とともにアフォーカル光学系を構成する。この第1リレーレンズ群15は、コリメータレンズ群11の射出側瞳から射出された各レーザービームを結像位置Fに夫々収束させるとともに、これら各レーザービームのビーム軸を相互に平行に、且つ、光軸に対して平行にする。
【0040】
平面ミラー16は、第1リレーレンズ群15から射出された各レーザービームを、ポリゴンミラー21及びfθレンズ群22を回避させつつ、ケーシング1の底面と平行な面内において描画用スリット1d側に向けて90度折り曲げるためのミラーである。この平面ミラー16は、ケーシング1の底面に対して垂直となる状態でケーシング1内に設置されている。
【0041】
第2リレーレンズ群17は、上述したように、第1リレーレンズ群15とともにアフォーカル光学系を構成する。この第2リレーレンズ群17は、第1リレーレンズ群15から射出されて一旦結像位置Fにて収束した後に拡散する各レーザービームを平行光にするとともに、これら各レーザービームのビーム軸をポリゴンミラー21の各反射面上又はその近傍にて交差させる。すなわち、第2リレーレンズ群17は、第1リレーレンズ群15とともに、コリメータレンズ群11の射出側瞳とポリゴンミラー21の各反射面とを光学的に共役にする。なお、この第2リレーレンズ群17は、後述するレンズホルダー(図4参照)によって光軸方向にのみ平行移動可能に保持されており、このレンズホルダーがケーシング1の底面上に固定されることにより、この底面に対して光軸が平行となる状態でケーシング1内に設置される。
【0042】
ハーフミラー18は、第2リレーレンズ群17から射出された各レーザービームを90〜95%の割合でポリゴンミラー21に向けて反射するとともに、残りを透過させる。このハーフミラー18は、後述するミラーホルダー(図5参照)に取り付けられており、このミラーホルダーがケーシング1の底面上にネジ止め固定されることにより、この底面に対して起立する状態でケーシング1内に設置されている。
【0043】
APC信号検出ユニット24は、ハーフミラー18を透過した12本のレーザービームを収束させるコンデンサーレンズ群24aと、そのコンデンサーレンズ群24aにより収束されたレーザービームが入射される受光素子24bとを、内蔵している。受光素子24bは、レーザービームを光電変換し、その出力電流を図示せぬAPC回路に入力する。なお、図示せぬAPC回路は、MLA10から射出される各レーザービームの出力値を自動調整するために用いられる。
【0044】
ダイナミックプリズム19は、ケーシング1の底面と平行な軸回りに回転可能に設けられた楔状のプリズムであり、露光位置での走査対象面の移動速度の僅かな増減に同期して副走査方向から適宜傾動されることにより、ハーフミラー18により反射された12本のレーザービームに対する偏向作用を変化させ、各レーザービームを副走査方向へ平行移動させる。なお、このダイナミックプリズム19を動作させる機構全体が、副偏向器に相当する。
【0045】
シリンドリカルレンズ群20は、副走査方向にのみ正のパワーを有するレンズである。このシリンドリカルレンズ群20は、ダイナミックプリズム19から射出された各レーザービームを、ポリゴンミラー21の各反射面上又はその近傍において、ケーシング1の底面と平行な線状に収束させる。なお、このシリンドリカルレンズ群20は、後述するレンズホルダー(図5参照)によって光軸方向にのみ平行移動可能に保持されており、このレンズホルダーがケーシング1の底面上に固定されることにより、この底面に対して光軸が平行となる状態でケーシング1内に設置される。
【0046】
fθレンズ群22は、等角速度で回転するポリゴンミラー21によって偏向された各レーザービームの走査対象面上での走査速度が等速度となるように補正する走査速度補正レンズ群である。このfθレンズ群22は、ポリゴンミラー21側から折り返しミラー23側に向かって順番に、主走査方向及び副走査方向の両方向に関して夫々負,正,正,負のパワーを有する第1乃至第4レンズ22a〜22dを配列することによって、構成されている。
【0047】
これら第1乃至第4レンズ22a〜22dは、個々のレンズ枠内に収納されており、各レンズ枠がケーシング1の底面上にネジ止め固定されることによって、ケーシング1内に設置される。そして、副走査方向に沿って一列に並ぶ12本のレーザービームは、fθレンズ群22の光軸と副走査方向とに直交する方向に視線を向けて見たときに、ダイナミックプリズム19が作動していない場合には、端から6本目のレーザービームと7本目のレーザービームとの中間にfθレンズ群22の光軸が存在するようにして、fθレンズ群22に入射している。なお、図1には、各レンズ枠の輪郭のみが示されているとともに、第1乃至第4レンズ22a〜22dを透視した状態が、示されている。また、図2では、各レンズ枠の図示が省略されており、第1乃至第4レンズ22a〜22dは、各レンズ枠により設置されるべき位置に浮いているように、示されている。
【0048】
なお、fθレンズ群22は、主走査方向においては、平行光として入射した各レーザービームを走査対象面上にビームスポットとして収束させるために、全体として比較的弱い正のパワーを有している。また、副走査方向においては、ポリゴンミラー21の各反射面上又はその近傍にて一旦収束した後に発散する各レーザービームを走査対象面上にビームスポットとして収束させるために、全体として比較的強い正のパワーを有している。このようにして、副走査方向においてポリゴンミラー21の反射面と走査対象面とがfθレンズ群22を介して共役となることにより、ポリゴンミラー21の各反射面の面倒れ誤差に起因する走査対象面上でのビームスポットの副走査方向への位置ずれが防止される。また、このfθレンズ群22には、走査対象面における走査速度がポリゴンミラー21の回転速度に対して正比例するように、主走査方向における歪曲収差が与えられている。
【0049】
折り返しミラー23は、描画用スリット1dと平行に配置された短冊状の平面鏡である。この折り返しミラー23の両端が、描画用スリット1dと平行に設定された回転軸を介して保持部材によって保持されており、この回転軸を中心として当該ミラー23が傾倒自在となっている。そして、fθレンズ群22(の第4レンズ22d)から射出されたレーザービームを、描画用スリット1dを介して図示せぬ走査対象面(感光ドラムやプリント基板など)における所定露光位置に向けて反射するように、折り返しミラー23の傾斜角が調整されている。なお、この折り返しミラー23により反射された12本のレーザービームは、例えば350μm間隔(約800dpi相当)で副走査方向に沿って一直線上に並ぶ12個のビームスポットを、走査対象面上に形成する。これら12個のビームスポットは、ポリゴンミラー21の回転に伴って走査対象面上において主走査方向に移動し、走査対象面上に線状の軌跡(走査線)を形成する。
【0050】
なお、ポリゴンミラー21の或る一つの反射面によって各レーザービームが偏向される期間内において、この反射面で反射した光が折り返しミラー23にて反射されて描画用スリット1dを通過する期間は、その一部でしかない。この描画用スリット1dを通過する期間の直前において、fθレンズ群22から射出された各レーザービームが入射する位置に、上記の直角反射ミラー群25が配置されている。この直角反射ミラー群25は、互いに90度の角度で向き合う2枚一組の反射鏡から構成されており、入射した各レーザービームを一旦副走査方向に向けて反射するとともに、ケーシング1の底面に平行で描画用スリット1dと直交する方向に更に反射することにより、各レーザービームを略180度折り返す。
【0051】
この直角反射ミラー群25によって折り返された各レーザービームの光路上には、SOSセンサーユニット26が配置されている。このSOSセンサーユニット26の出力電流は、図示せぬ変調回路に入力され、MLA10から射出された各レーザービームをオンオフ変調させ始めるタイミング(水平同期)を取るのに用いられる。
【0052】
〔コリメータレンズ群のレンズホルダーの構成〕
次に、コリメータレンズ群11を保持するレンズホルダーについて、図3に基づいて説明する。なお、図3(a)は、レンズホルダー30の一部断面側面図であり、図3(b)は、レンズホルダー30の平面図である。
【0053】
図3に示されるように、レンズホルダー30は、ケーシング1の底面に固定される円筒状部材31と、その円筒状部材31に挿入されるとともにコリメータレンズ群11を内部に保持する鏡筒32と、円筒状部材31に取り付けられる2個のビス33,33と、円柱状の摘み部材34(図3(b)では図示略)とを、有する。
【0054】
円筒状部材31には、2個のネジ穴が軸方向において所定の間隔を空けて穿たれており、それらネジ穴には、鏡筒32の側面を押圧するためのビス33,33が捻じ込まれている。また、2つのネジ穴の間の中央には、摘み部材34の外径と略等しい内径を有する円形の貫通孔31aが、穿たれており、この貫通孔31aには、摘み部材34の先端が填め込まれている。この摘み部材34の先端面における偏心位置からは、ピン34aが突出形成されており、このピン34aは、鏡筒32の側面に環状に刻まれた溝32aに挿入されている。
【0055】
以上のように構成されるレンズホルダー30において、ビス33,33が緩められた状態で摘み部材34が回転されると、ピン34aが鏡筒32の溝32aを軸方向へ押しやり、鏡筒32が軸方向へ移動される。この結果、コリメータレンズ群11が光軸方向に平行移動する。従って、作業者は、2つのビス33を緩め、摘み部材34を適宜量回転させ、2つのビス33を締めるだけで、コリメータレンズ群11の光軸方向の位置を調整することができる。但し、その調整可能な範囲は、摘み部材34の中心に対するピン34a中心の偏心量の2倍の長さに限られる。
【0056】
〔第2リレーレンズ群のレンズホルダーの構成〕
次に、第2リレーレンズ群17を保持するレンズホルダーについて、図4に基づいて説明する。なお、図4(a)は、レンズホルダー40の平面図であり、図4(b)は、光軸方向に視線を向けて見たときのレンズホルダー40の正面図であり、図4(c)は、レンズホルダー40の側面図である。
【0057】
図4に示されるように、レンズホルダー40は、第2リレーレンズ群17を内部に保持する鏡筒41と、ケーシング1の底面に固定されるL字金具42と、L字金具42に鏡筒41を押さえ付けるためのL字板43と、L字金具42にL字板43を固定するための4つのネジ44とを、有する。
【0058】
L字金具42は、ケーシング1の底面と平行な状態でこの底面に当接されて固定される矩形平板状の底部42aと、この底部42aの側面(上面)から垂直に起立する肉厚な矩形平板状の壁部42bとが一体形成されることによって、構成されている。なお、壁部42bが、底部42aの一側縁に沿って底部42aと接しているために、底部42aと壁部42bとの接線に直交する断面での全体形状が、L字状となっている。また、底部42a上面からの壁部42bの高さは、鏡筒41の直径とほぼ等しい長さとなっており、壁部42b側面からの底部42aの長さは、鏡筒41の直径よりも大きい長さとなっている。そして、底部42aにおける壁部42bがある側とは反対側の側縁の近傍には、2個のネジ穴が穿たれており、壁部42bにおける底部42aがある側とは反対側の側縁(上面)にも、2個のネジ穴が穿たれている。
【0059】
L字板43は、短冊状の薄板がその長手方向における中央付近の折り曲げ線に沿って折り曲げられることによって全体としてL字状に形成されたものである。また、折り曲げ線と平行な一対の側縁の近傍には、それぞれ、2個の貫通孔が穿たれており、更に、一方の側縁近傍は、2個の貫通孔を含む状態で外側に90度折り返されている。そして、このL字板43は、外側に折り返された方の側縁近傍がL字金具42の底部42a上面に当て付けられるとともに、折り返されていない方の側縁近傍がL字金具42の壁部42b上面に当て付けられることによって、L字金具42との間に略角柱状の空間を形成している。この略角柱状の空間内には、鏡筒41が挿入されており、L字板43は、各貫通孔に挿入された4つのネジ44が底部42a及び壁部42bのネジ穴にそれぞれ捻じ込まれることによって、鏡筒41をL字金具42に向けて押し付けている。なお、鏡筒41とL字金具42との間、及び、鏡筒41とL字板43との間に或る程度の摩擦力が生じるように、それぞれの材質及びそれぞれの表面形状が選択されている。
【0060】
以上のように構成されるレンズホルダー40において、4つのネジ44が緩められた状態でL字金具42及びL字板43に対して鏡筒41がその軸方向へずらされると、第2リレーレンズ群17が光軸方向へ平行移動する。従って、作業者は、4つのネジ44を緩め、鏡筒41を適宜量移動させ、4つのネジ44を締めるだけで、第2リレーレンズ群17の光軸方向の位置を調整することができる。
【0061】
〔ハーフミラーのミラーホルダーの構成〕
次に、ハーフミラー18を保持するミラーホルダーについて、図5に基づいて説明する。なお、図5(a)は、ミラーホルダー50の斜視図であり、図5(b)は、ハーフミラー18に直交する方向に視線を向けて見たときのミラーホルダー50の正面図である。
【0062】
図5に示されるように、ミラーホルダー50は、矩形平板状のハーフミラー18を保持するミラー枠51と、このミラー枠51にハーフミラー18を付勢する板バネ52と、ケーシング1の底面に固定されるとともにミラー枠51を回転自在に支持する支持部材53と、この支持部材53にミラー枠51を固定するための2つのネジ54とを、有する。
【0063】
ミラー枠51は、略四角形(正確には、四角形の一辺(図5(b)における上側の辺)のみを外側に湾曲させて突出させた形状)の厚手な平板状に、形成されており、その中央には、略四角形状の開口部51aが穿たれている。この開口部51aは、矩形平板状のハーフミラー18の縦横の長さより若干大きい縦横の内幅を有している。また、ミラー枠51の4つの側縁のうち、外側に湾曲突出している側縁に対して隣接する側縁(図5における左側の側縁)の中央からは、軸51bが突出形成されており、更に、この軸51bの取り付け位置の上下側には、開口部51aに貫通しないネジ穴(図示略)が穿たれている。
【0064】
板バネ52は、略へ字状に折れ曲がった形状の板バネであり、上記開口部51aに挿入されたハーフミラー18と開口部51aの一内縁(図5における上側の内縁)との隙間に挿入されることによって、開口部51aの一内縁(図5における下側の内縁)に向けてハーフミラー18を押し付ける。なお、開口部51aの内縁とハーフミラー18との間に或る程度の摩擦力が生じるように、その内縁の表面形状やミラー枠51の材質が選択されている。
【0065】
支持部材53は、短冊板がその長手方向における中央付近の折り曲げ線に沿って折り曲げられることによって全体としてL字状に形成された部材である。この支持部材53において互いに垂直に接する2つの片53a,53bのうち、一方の第1片53aには、3個の貫通孔53cが穿たれている。そして、これら貫通孔53cに挿入されたネジ(図示略)がケーシング1の底面に捻じ込まれることによって、支持部材53がケーシング1に固定され、第2片53bがケーシング1の底面から垂直に起立する。なお、図5に示す第1片53aは、安定性を向上させるために、第2片よりも短手方向において若干幅広に、形成されている。
【0066】
第2片53bには、ミラー枠51の側縁の中央から突出形成された軸51bが貫通しており、この軸51bが第2片53bに対して回転自在となっていることにより、ミラー枠51に保持されたハーフミラー18が、ケーシング1の底面に直交する方向に対して傾倒自在となっている。
【0067】
さらに、この第2片53bにおける軸51bの取り付け位置の上下側には、当該片53bの短手方向にその長軸を向けた長穴状の貫通孔53d,53dが、穿たれている。そして、これら長穴53d,53dに挿入されたネジ54,54が、ミラー枠51の側縁のネジ穴(図示略)にそれぞれ捻じ込まれることによって、ミラー枠51が第2片53bに押さえ付けられている。なお、ミラー枠51は、外側に湾曲突出した側縁が上方に向けられた状態で、第2片53bに取り付けられる。
【0068】
以上のように構成されるミラーホルダー50において、ネジ54,54が緩められた状態でミラー枠51が軸51b周りに回転されると、その回転に伴ってハーフミラー18が傾倒される。その結果、ハーフミラー18によって折り返された光学系の光軸が、ケーシング1の底面と平行な方向から、その底面に直交する方向(すなわち副走査方向)へ傾けられる。従って、作業者は、2つのネジ54を緩め、ミラー枠51の上側の側縁近傍を摘んでミラー枠51を適宜量傾け、2つのネジ54を締めるだけで、光学系の光軸の傾き角度を調整することができる。但し、その調整可能な範囲は、ミラー枠51の回転に伴って長穴な貫通孔53dをネジ54が移動できる距離に限られる。
【0069】
〔シリンドリカルレンズ群のレンズホルダーの構成〕
次に、シリンドリカルレンズ群20を保持するレンズホルダー60について、図6に基づいて説明する。なお、図6(a)は、光軸方向に視線を向けて見たときのレンズホルダー60の正面図であり、図6(b)は、レンズホルダー60の平面図である。
【0070】
図6に示されるように、レンズホルダー60は、図4に示したレンズホルダー40とほぼ同様に、鏡筒61をL字金具62に対してL字板63によって押さえ付ける構成を、採っている。但し、レンズホルダー60は、以下に述べる二点において図4のレンズホルダー40と相違する。
【0071】
第1に、鏡筒61は、その内部にシリンドリカルレンズ群20を保持するのではなく、筒の先端にフランジ61aを備え、そのフランジ61aにシリンドリカルレンズ群20が嵌め込まれることによって、シリンドリカルレンズ群20を保持している。つまり、フランジ61aには、シリンドリカルレンズ群20の平面側が填め込み可能な矩形の溝が刻まれており、シリンドリカルレンズ群20は、この溝に填め込まれた状態でフランジ61aに接着されている。
【0072】
第2に、L字金具62の壁部62bに直交する方向(すなわち主走査方向)において、底部62aの両側は、所定幅だけそれぞれ拡張されている。そして、ケーシング1の底面には、壁部62bに直交する方向における底部62aの幅とほぼ同じ幅(正確には若干大きい幅)及び底部62aの厚みとほぼ同じ深さ(正確には若干浅い深さ)を有する溝1fが、形成されており、この溝1f内に、L字金具62の底部62aが、挿入されている。なお、溝1fは、光学系の光軸と平行に形成されており、L字金具62の底部62aは、その溝1fの一方の内縁(図6では左側の内縁)に当接している。また、ケーシング1の底面における溝1fを挟む両側には、それぞれ、ワッシャー7aに挿入された2つのネジ7が捻じ込まれており、溝1fの上部に突出する各ワッシャー7aの一部が、底部62aの拡張部分を押さえ付けている。
【0073】
以上のように構成されるレンズホルダー60において、4つのネジ7が緩められた状態で、L字金具62が溝1f内の一方の内縁(図6では左側の内縁)に当接したまま移動されると、L字金具62が溝1fに沿って移動され、鏡筒61が軸方向へ移動される。この結果、シリンドリカルレンズ群20が光軸方向に平行移動する。従って、作業者は、4つのネジ7を緩め、L字金具62を含むレンズホルダー60全体を適宜量移動させ、4つのネジ7を締めるだけで、シリンドリカルレンズ群20の光軸方向の位置を調整することができる。
【0074】
〔本実施形態の機能について〕
上述したように、本実施形態のマルチビーム走査装置には、面倒れ誤差補正機能が備えられているために、副走査断面の焦点距離が短くて、副走査断面の像面湾曲が無視できない程に生じている。このため、光軸から離れた位置を通るレーザービームほど、そのビームウエストが走査対象面から光軸方向へずれるので、光軸に近い位置を通るレーザービームのスポット光の大きさと、光軸から遠い位置を通るレーザービームのスポット光の大きさとに、差が生じている。
【0075】
然も、本実施形態のマルチビーム走査装置は、ダイナミックプリズム19により、走査対象の副走査方向への移動速度の僅かな増減に同期してレーザービームを副走査方向へ平行移動させているために、ダイナミックプリズム19を用いていないマルチビーム走査装置に較べると、光軸からのレーザービームのシフト量がより大きくなり得るので、そのようなレーザービームのスポット光の大きさがより大きくなり得る。このため、マルチビーム走査装置の設計者は、通常、スポット光の大きさの差の最大値が許容範囲内に収まるように、ダイナミックプリズムの最大作用量を設定している。これにより、各光学素子が設計通りに加工されて設計通りにケーシング1に組み付けられていれば、ダイナミックプリズム19を使用した時のスポット光の大きさの差はそれほど大きくならないので、この差が描画品質に与える影響は小さい。
【0076】
このように設計されるマルチビーム走査装置を実際に製造すると、各光学素子の加工誤差や組付誤差によって、光学系の一部が副走査方向へ偏心する場合がある。このような偏心があると、副走査断面において湾曲している像面が近軸において走査対象面から倒れてしまうので、光軸を副走査方向において挟む両側のうちの一方側の像面が走査対象面に接近し、他方側の像面が走査対象面から離間する。このため、その他方側において光軸からより遠くへシフトしたレーザービームのスポット光の大きさと、一方側及び近軸を通るレーザービームのスポット光の大きさとの差が、設計時に予想していたものよりも大幅に大きくなる。つまり、ダイナミックプリズム19を使用することによって描画品質が著しく低下する。
【0077】
しかしながら、本実施形態のマルチビーム走査装置は、上述したように、ハーフミラー18が傾倒自在であるように構成されている。このため、加工誤差や組付誤差により光学系の一部が副走査方向へ偏心して副走査断面像面が倒れてしまった場合でも、当該装置の製造過程において、作業者が、その像面の倒れ量に応じてハーフミラー18を傾倒させれば、各光学素子を点検して交換したりそれらの組み付け位置を調整したりしなくても、その像面の倒れができるだけなくなるように修正することができる。そして、その結果、ダイナミックプリズム10を使用することによる描画品質の低下を抑制することができる。なお、ハーフミラー18を利用した具体的な調整例については後述する(第1の実施例)。
【0078】
また、上述したように設計されるマルチビーム走査装置を実際に製造すると、各光学素子の加工誤差によって、光学系によって収束されるレーザービームの主走査方向の収束位置と副走査方向の収束位置との間に誤差が生じることがある。従来、このような誤差を取り除くために、コリメータレンズ群11をその光軸方向へ平行移動させて主走査方向の収束位置を光軸方向へ移動調整し、その後にシリンドリカルレンズ群20をその光軸方向へ平行移動させて副走査方向の収束位置を光軸方向へ移動調整していた。
【0079】
このような従来の調整手段によると、コリメータレンズ群11が回転対称形状であるために、コリメートレンズ群11を平行移動させると、副走査方向へも作用を及ぼし、ダイナミックプリズム19に入射するレーザービームを、副走査方向において、平行光から収束光又は発散光へと変化させてしまう。すると、ダイナミックプリズム19によってレーザービームが副走査方向へ平行移動されたときに、その平行移動に同期して副走査像面位置が光軸方向へ移動し、ダイナミックプリズム19の作用量に応じて副走査像面位置の移動量が増加する。その結果、ダイナミックプリズム19を動作させた前後での各レーザービームのスポット光の大きさが揃わなくなり、描画品質が著しく低下する。
【0080】
しかしながら、本実施形態のマルチビーム走査装置は、上述したように、第2リレーレンズ群17も光軸方向に平行移動自在であるように、構成されており、然も、コリメータレンズ群11と第2リレーレンズ群17との間には、アナモルフィックプリズム12が配置されている。これにより、コリメータレンズ群11を移動させたときと第2リレーレンズ群17を平行移動させたときとで、主走査方向の倍率に対する副走査方向の倍率の変化率が異なるので、当該装置の製造を担当する作業者が、その製造工程において、副走査方向の倍率を変えないで主走査方向の倍率だけを変化させるように、コリメータレンズ群11と第2リレーレンズ群17とを移動させれば、ダイナミックプリズム19に入射するレーザービームを副走査方向において平行光のままにすることができる。従って、ダイナミックプリズム19の使用による描画品質の低下を生じさせることなく、主走査方向と副走査方向の焦点距離の誤差を補正することができる。なお、コリメータレンズ群11と第2リレーレンズ群17を利用した具体的な調整例については後述する(第2の実施例)。
【0081】
〔調整例〕
以下、ハーフミラー18を利用した具体的な調整例と、コリメータレンズ群11と第2リレーレンズ群17を利用した具体的な調整例とを、第1及び第2の実施例において順に説明する。
【0082】
【実施例1】
表1に、第1の実施例のコリメータレンズ群11,第2リレーレンズ群17及びfθレンズ群22の焦点距離を示す。また、表2に、第1の実施例による光学系の近軸での具体的な数値構成を示す。なお、上述したように、アナモフィックプリズム12は、レーザービームに対し、そのビーム形状を副走査方向において半分に絞るように、作用する。
【0083】
【表1】
Figure 2004070312
【0084】
【表2】
Figure 2004070312
【0085】
上記表2において、記号NOは、ポリゴンミラー21の反射面を第1面としてこの第1面より走査対象側に向かって順に各レンズ面に付された面番号である。記号Ryは、レンズ面の主走査方向の曲率半径(単位は[mm])であり、記号Rzは、レンズ面の副走査方向の曲率半径(回転対称面の場合には省略、単位は[mm])であり、記号dは、次のレンズ面までの光軸上での距離(単位は[mm])であり、記号nは、設計波長780nmでの各レンズの屈折率である。
【0086】
第1の実施例の光学系において、各光学素子が設計通りに加工されて設計通りにケーシング1に組み付けられた状態での副走査方向のビームウエストの走査対象面からの光軸方向へのずれ量(単位は[mm])を、表3に示す。なお、12本のレーザービーム相互の像面上での間隔は350μmである。
【0087】
【表3】
Figure 2004070312
【0088】
表3において、「上部」及び「下部」は、ケーシング1の底面から最も遠い位置を通るレーザービームから近い位置を通るレーザービームに向かって1,2,3,…と順番を付けたときにおける1番目及び12番目のレーザービームを指し、「中部」は、その順番でいうところの6番目と7番目の中間に仮想的に存在させたレーザービームを指す。また、「上0.3mm」及び「下0.3mm」は、ダイナミックプリズム19がレーザービームを上方(副走査方向においてケーシング1から遠離る方)及び下方へ0.3mm平行移動させるように作用している状態を示し、「なし」は、ダイナミックプリズム19がレーザービームに作用していない状態を示す。なお、「上0.3mm」及び「下0.3mm」はダイナミックプリズム19の最大作用量を示している。また、「上下差」は、「上0.3mm」と「下0.3mm」との間の差を示し、「最大差」は、「上0.3mm」と「なし」と「下0.3mm」とから2つを選択して作る3つの組み合わせの差のうちで最も大きいものを示している。
【0089】
マルチビーム走査装置が設計通りに製造されていると、表3の「上下差」に示されるように、上部ビームの上下差と下部ビーム上下差との差が大きくなく、上下のバランスがほぼ取れている。つまり、像面が副走査方向からあまり傾いていない。また、表3の「最大差」に示されるように、ダイナミックプリズム19を動作させた場合でのビームウエストの光軸方向への変位量が、上部ビーム及び下部ビームとも、0.25mm以内に収まっているので、走査対象面上のスポット光の大きさは、ダイナミックプリズム19を使用した時にあまり変化しない。つまり、ダイナミックプリズム19を使用しても描画品質は低下しない。なお、この設計状態での各スポット光の様子を、図7(a)に概略的に示している。この図7(a)に示されるように、ダイナミックプリズム19が作用していても、上中下部ビームのスポット光の大きさはあまり変わらず、各走査線の太さも殆ど同じである。
【0090】
<加工誤差>
次に、加工誤差によってfθレンズ群22の第2レンズ22bの後面(面番号5)だけが上方へ0.2mm偏心してしまった状態でのビームウエストの走査対象面からの光軸方向へのずれ量(単位は[mm])を、表4に示す。
【0091】
【表4】
Figure 2004070312
【0092】
上記加工誤差によって光学系の一部が副走査方向へ偏心していると、像面が副走査方向から傾いてしまうために、表4に示されるように、上部ビームの上下差と下部ビーム上下差との差が、表3の設計状態よりも大きくなっている。また、ダイナミックプリズム19を動作させた場合でのビームウエストの光軸方向への変位量が、上部ビームになるほど大きくなり、然も、上部ビームの変化量は0.45mm以上となっている。つまり、上部ビームに近いビームほど、走査対象面上のスポット光の大きさは、ダイナミックプリズム19を使用した時に大きく変化する。従って、ダイナミックプリズム19を使用すると描画品質が低下する。なお、光学系の一部が副走査方向へ偏心している状態での各スポット光の様子を、図7(b)に概略的に示している。この図7(b)に示されるように、上部ビームに近いほど、ダイナミックプリズム19の作用に伴ってスポット光の大きさが大きく変化し、走査線の太さが太くなる。
【0093】
この表4に示す状態において、ハーフミラー18で折り曲げられた光軸がケーシング1の底面と平行な方向から上方へ4.0分傾くようにハーフミラー18の傾きを調整した状態でのビームウエストの走査対象面からの光軸方向へのずれ量(単位は[mm])を、表5に示す。
【0094】
【表5】
Figure 2004070312
【0095】
ハーフミラー18を傾けることによって、副走査断面像面の副走査方向からの傾きがなくなるように修正されているために、表5に示されるように、上部ビームの上下差と下部ビーム上下差との差が、表3の設計状態とほぼ同程度になっている。また、ハーフミラー18を傾けた後では、ダイナミックプリズム19を動作させた場合でのビームウエスト位置の光軸方向への変位量が、上部ビーム及び下部ビームとも、0.25mm以内に収まるように修正されている。従って、第2レンズ22bの後面のみが偏心加工されていても、ハーフミラー18を適宜量傾けることによって、像面の傾きが修正され、結果的に、ダイナミックプリズム19を使用することによる描画品質の低下が抑制される。
【0096】
<組付誤差>
次に、組付誤差によってシリンドリカルレンズ群20だけが上方へ0.2mm偏心してしまった状態でのビームウエストの走査対象面からの光軸方向へのずれ量(単位は[mm])を、表6に示す。
【0097】
【表6】
Figure 2004070312
【0098】
上記組付誤差によって光学系の一部が副走査方向へ偏心していると、像面が副走査方向から傾いてしまうために、表6に示されるように、上部ビームの上下差と下部ビームの上下差との差が、表3の設計状態よりも大きくなっている。また、ダイナミックプリズム19を動作させた場合でのピント位置の光軸方向への変位量が、下部ビームになるほど大きくなり、然も、下部ビームの変化量は0.45mm以上となっている。つまり、下部ビームに近いビームほど、走査対象面上のスポット光の大きさは、ダイナミックプリズム19を使用した時に大きく変化する。従って、ダイナミックプリズム19を使用すると描画品質が低下する。
【0099】
この表6に示す状態において、ハーフミラー18で折り曲げられた光軸が水平方向から下方へ4.0分傾くようにハーフミラー18の傾きを調整した状態でのビームウエストの走査対象面からの光軸方向へのずれ量(単位は[mm])を、表7に示す。
【0100】
【表7】
Figure 2004070312
【0101】
ハーフミラー18を傾けることによって、像面の副走査方向からの傾きがなくなるように修正されているために、表7に示されるように、上部ビームの上下差と下部ビーム上下差との差は、表3の設計状態とほぼ同程度になっている。また、ハーフミラー18を傾けた後では、ダイナミックプリズム19を動作させた場合でのビームウエストの光軸方向への変位量が、上部ビーム及び下部ビームとも、0.25mm以内に収まるように修正されている。従って、第2レンズ22bのみが偏心配置されても、ハーフミラー18を適宜傾けることによって、像面の傾きが修正され、結果的に、ダイナミックプリズム19を使用することによる描画品質の低下が抑制される。
【0102】
なお、マルチビーム走査装置の製造を担当する作業者が、ハーフミラー18を用いた調整を実際に行う際には、例えば、表3に示した設計状態からハーフミラー18を上方へ6.0分傾けると表8に示すような状態になるというように、予め、ハーフミラー18の傾倒量と「上下差」及び「最大差」との相関関係を割り出しておく。そして、作業者は、製造工程において、各ビームのビームウエストを従来の測定手段を用いて測定し、組み上げた装置にどのような誤差が生じているか否かに拘わらず、その測定結果に基づいてハーフミラー18の傾倒量を決定し、その傾倒量に従ってハーフミラー18を傾倒すれば良い。これにより、加工誤差と組付誤差が同時に生じている場合であってもそうでない場合でも、簡単に調整を行うことができる。
【0103】
【表8】
Figure 2004070312
【0104】
また、ハーフミラー18を実際に傾倒する際には、例えば、図8に示されるような調整量検出装置70をレーザースキャンニングユニットに取り付けて、行えば良い。
【0105】
図8に示す調整量検出装置70は、第2レンズ22bをそのレンズ枠ごと取り外した後に設置されるスケールスクリーン71及びミラー72と、撮影カメラ73と、モニター74とから、構成されている。
【0106】
スケールスクリーン71は、磨りガラスであり、その表面には、目盛りが刻まれた1本のラインLが描かれている。このスケールスクリーン71は、fθレンズ群22の光軸Axと直交する状態で、且つ、上記のラインLを副走査方向に向けた状態で、ケーシング1の底面上に設置される。ミラー72は、その反射面がスケールスクリーン71に対して45°傾いた状態で、ケーシング1の底面上に設置される。このミラー72は、第1レンズ22a及びスケールスクリーン71を透過した光をケーシング1の底面が向く方向に向けて反射する。撮影カメラ73は、ミラー72の反射面上に映り込むスケールスクリーン41上の像を撮影するためのカメラであり、撮影した像をモニター74に出力する。
【0107】
この調整量検出装置70では、ポリゴンミラー21の回転に伴ってレーザービームによる線状の軌跡(走査線)がスケールスクリーン71上に描かれるので、モニター74には、目盛りが記されたラインLとこのラインLに交差する走査線Sとが、映し出される。この走査線Sは、ミラーホルダー50を操作してハーフミラー18を傾けることによって、モニター74の画面内で上下に移動する。作業者は、このモニター74に映し出された走査線Sを利用して、ハーフミラー18の傾倒量を簡単に確認することができる。
【0108】
【実施例2】
第2の実施例による光学系の近軸での具体的な数値構成は、表1及び表2に示したのと同じであり、各光学素子が設計通りに加工されて設計通りに組み付けられた状態でのビームウエストの走査対象面からの光軸方向へのずれ量は、表3に示したのと同じである。
【0109】
この光学系において、仮に第2レンズ22bに加工誤差が生じてその後面のRyが、211.6mmから200.9mmに変更されていたとすると、fθレンズ群22の主走査方向の焦点距離が、329.6mmから325.2mmに変更されることとなる。すると、この光学系により収束されるレーザービームの副走査方向の収束位置は不変であるにも拘わらず、主走査方向の収束位置だけが光軸方向へ変位する。そして、このようにレーザービームの主走査方向の収束位置と副走査方向の収束位置とに誤差が生じてしまった状態においては、レーザービームの主走査方向の収束位置を、fθレンズ群22の副走査方向の焦点距離329.6mmの地点へと戻さねばならない。
【0110】
従来のマルチビーム走査装置では、上記の誤差を取り除くために、コリメータレンズ群11をMLA10側へ0.25mm平行移動する必要がある。また、コリメータレンズ群11を動かしたことによってレーザービームの副走査方向の収束位置が移動してしまったのを元に戻すために、シリンドリカルレンズ群20をポリゴンミラー21側へ2.47mm平行移動する必要がある。このような従来の調整手段による調整後のビームウエストの走査対象面からの光軸方向へのずれ量(単位は[mm])を、表9に示す。
【0111】
【表9】
Figure 2004070312
【0112】
このように従来の調整手段により調整されると、ダイナミックプリズム19に入射するレーザービームが、副走査方向において収束光又は発散光となるために、ダイナミックプリズム19の動作に伴って像面位置が光軸方向へ移動してしまう。特に、表9の「上0.3mm」と「下0.3mm」とを比較して分かるように、レーザービームを下方へと平行移動させるようにダイナミックプリズム20を動作させるほど像面位置が光軸方向へ移動する。このため、下部ビームに近いビームほど、走査対象面上のスポット光の大きさは、ダイナミックプリズム19を大きく作用させるほど大きく変化する。従って、ダイナミックプリズム19を使用すると描画品質が著しく低下する。
【0113】
これに対し、本実施形態のマルチビーム走査装置では、上記の誤差を取り除くために、コリメータレンズ群11をアナモルフィックプリズム12側へ0.084mm平行移動し、第2リレーレンズ群17をポリゴンミラー21側へ2.33mm平行移動し、シリンドリカルレンズ群20の平行移動量を0.00mmにする。このような調整後のビームウエストの走査対象面からの光軸方向へのずれ量(単位は[mm])を、表10に示す
【0114】
【表10】
Figure 2004070312
【0115】
このように調整されると、ダイナミックプリズム19に入射するレーザービームは副走査方向において平行光のままとなるために、ダイナミックプリズム19を動作させても像面位置は光軸方向へ大幅に移動することがない。表9と表10の「上0.3mm」及び「下0.3mm」を比較して分かるように、本実施形態のようにコリメータレンズ群11と第2リレーレンズ群17とを用いて調整すると、マルチビーム走査装置が表3の設計状態に近い状態になっていることが分かる。
【0116】
なお、本発明の調整手段を実際に適用する際には、予め、以下の条件式(1)のA〜Dを求めておくとよい。そして、マルチビーム走査装置を製造する際に、レーザービームの主走査方向及び副走査方向の収束位置を従来の測定手段を用いて測定し、その測定結果に基づいて、主走査方向の収束位置の移動量α[mm]を決定し、その移動量α[mm]と条件式(1)とに基づいてコリメータレンズ群11と第2リレーレンズ群17の移動量X[mm]及びY[mm]を算出し、その移動量X[mm]及びY[mm]に従ってコリメータレンズ群11と第2リレーレンズ群17とを移動させると良い。
【0117】
上述した条件式(1)は、以下の通りである。
【数3】
Figure 2004070312
【0118】
この条件式(1)において、A及びBは、コリメータレンズ群11の光軸方向への移動量[mm]に対する主走査方向及び副走査方向の収束位置の移動量[mm]の比率である。また、C及びDは、第2リレーレンズ群17の光軸方向への移動量[mm]に対する主走査方向及び副走査方向の収束位置の移動量[mm]の比率である。
【0119】
なお、本実施形態では、第2リレーレンズ群17が光軸方向に平行移動可能に保持されているとしたが、第1リレーレンズ群15が光軸方向に平行移動可能に保持されていても良いし、第1及び第2リレーレンズ15,17の両方が個々に光軸方向に平行移動可能に保持されていても良い。何れの場合でも、本発明の効果を十分に発揮することができる。
【0120】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、走査対象面の副走査方向への移動速度の僅かな増減に同期してレーザービームを平行移動させる副偏向器の動作に伴って、各レーザービームの副走査方向のビームウエストが光軸方向へ移動する要因がある場合であっても、副偏向器を使用したときの走査対象面上の各スポット光の大きさができるだけ揃うように調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であるレーザースキャンニングユニットから上蓋を外した状態を示す平面図
【図2】図1のX−X線に沿った断面図
【図3】コリメータレンズ群を光軸方向にのみ平行移動可能に保持するレンズホルダーの(a)一部断面側面図と(b)平面図
【図4】第1リレーレンズ群を光軸方向にのみ平行移動可能に保持するレンズホルダーの(a)平面図と(b)正面図と(c)側面図
【図5】ハーフミラーを副走査方向にのみ傾倒可能に保持するミラーホルダーの(a)斜視図と(b)正面図
【図6】シリンドリカルレンズ群を光軸方向にのみ平行移動可能に保持するレンズホルダーの(a)正面図と(b)平面図
【図7】各レーザービームが走査対象面上を走査する様子を示す概略図
【図8】ハーフミラーの傾き量を測定する測定装置を使用している状態を示す概略図
【符号の説明】
1  ケーシング
1f 溝
7  ネジ
7a ワッシャー
10  モノシリックレーザーアレイ(MLA)
11  コリメートレンズ群
12  アナモルフィックプリズム
15  第1リレーレンズ群
17  第2リレーレンズ群
18  ハーフミラー
19  ダイナミックプリズム
20  シリンドリカルレンズ群
21  ポリゴンミラー
22  fθレンズ群
22a 第1レンズ
22b 第2レンズ
22c 第3レンズ
22d 第4レンズ
30  レンズホルダー
31  円筒状部材
32  鏡筒
33  ビス
34  摘み部材
40  レンズホルダー
41  鏡筒
42  L字金具
43  L字板
44  ネジ
50  ミラーホルダー
51  ミラー枠
51a 開口部
51b 軸
52  板バネ
53  支持部材
53d 貫通孔
54  ネジ
60  レンズホルダー
61  鏡筒
62  L字金具
63  L字板
64  ネジ

Claims (9)

  1. アレイ状に並んだ光源から発せられる複数のレーザービームを、反射型主偏向器によって主走査方向に偏向させ、前記反射型主偏向器の反射面と前記主走査方向に直交する副走査方向に移動する走査対象面とを前記副走査方向において共役にする結像光学系を介して、前記各レーザービームを前記走査対象面上で走査させるマルチビーム走査装置であって、
    前記副走査方向においてのみ前記光源からの前記各レーザービームを前記反射型主偏向器の反射面又はその近傍に収束させるシリンドリカルレンズ群と、
    前記光源と前記シリンドリカルレンズ群との間において前記各レーザービームの光路を前記副走査方向へ偏向する偏向素子と、
    前記偏向素子による前記各レーザービームに対する前記副走査方向への偏向量を調整する調整機構と、
    前記走査対象面の前記副走査方向への移動速度の変化に同期させて前記偏向素子からの前記各レーザービームを前記副走査方向へ平行移動させる副偏向器とを備えることを特徴とするマルチビーム走査装置。
  2. 前記偏向素子は、ミラーである
    ことを特徴とする請求項1記載のマルチビーム走査装置。
  3. 前記ミラーは、前記各レーザービームの一部を透過させるとともにその残りを反射させるハーフミラーである
    ことを特徴とする請求項2記載のマルチビーム走査装置。
  4. 前記反射型主偏向器は、回転多面鏡である
    ことを特徴とする請求項1,2又は3記載のマルチビーム走査装置。
  5. アレイ状に並んだ光源から発せられる複数のレーザービームを、反射型主偏向器によって主走査方向に偏向させ、前記反射型主偏向器の反射面と前記主走査方向に直交する副走査方向に移動する走査対象面とを前記副走査方向において共役にする結像光学系を介して、前記各レーザービームを前記走査対象面上で走査させるマルチビーム走査装置であって、
    前記光源と前記反射型主偏向器との間に配置され、前記走査対象面の前記副走査方向への移動速度の変化に同期させて前記各レーザービームを前記副走査方向へ平行移動させる副偏向器と、
    前記光源と前記副偏向器との間に配置され、少なくとも2つのレンズを有するとともに、一方のレンズを光軸方向へ移動させたときにおける前記主走査方向の像面位置の移動量と前記副走査方向の像面位置の移動量との比が、他方のレンズを光軸方向へ移動させたときの比とは異なる光学系と
    を備えることを特徴とするマルチビーム走査装置。
  6. 前記光学系は、
    前記光源と前記反射型主偏向器との間に配置され、前記副走査方向においてのみ前記光源からの前記各レーザービームのビーム形状を変更させるアナモルフィック光学素子と、
    前記アナモルフィック光学素子の前後において前記各レーザービームが透過される位置に配置されるとともに、光軸方向にのみ平行移動可能に保持される回転対称な一対のレンズと
    を備えることを特徴とする請求項5記載のマルチビーム走査装置。
  7. 前記一対のレンズのうち、前記アナモルフィック光学素子の前側にあるレンズは、前記光源からの前記各レーザービームを平行光に変換するコリメートレンズであり、前記アナモルフィック光学素子の後側にあるレンズは、リレー光学系を構成するレンズのうちの1つである
    ことを特徴とする請求項6記載のマルチビーム走査装置。
  8. 前記アナモルフィック光学素子は、アナモルフィックプリズムである
    ことを特徴とする請求項6又は7記載のマルチビーム走査装置。
  9. 前記一対のレンズのうち、前記アナモルフィック光学素子の前側にある第1のレンズの光軸方向への移動量に対するレーザービームの主走査方向及び副走査方向の収束位置の変化量の比率をA及びBとし、前記アナモルフィック光学素子の後側にある第2のレンズの光軸方向への移動量に対するレーザービームの主走査方向及び副走査方向の収束位置の変位量の比率をC及びDとし、前記第1及び第2のレンズの移動量をX[mm]及びY[mm]とし、前記第1及び第2のレンズの移動前後でのレーザービームの主走査方向の収束位置の変位量をα[mm]としたときに、以下の条件(1)
    Figure 2004070312
    を満たすように、前記第1及び第2レンズが初期位置からそれぞれX[mm]及びY[mm]だけ移動される
    ことを特徴とする請求項6,7又は8記載のマルチビーム走査装置。
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